(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147628
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素の回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20231005BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231005BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231005BHJP
【FI】
B01D53/04 220
H01M50/244 Z
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055256
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶川 敦史
(72)【発明者】
【氏名】岡平 裕之
【テーマコード(参考)】
3D235
4D012
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB53
3D235CC15
3D235DD35
3D235EE63
3D235HH63
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CB08
4D012CD10
4D012CJ05
4D012CK03
5H040AA31
5H040AS07
5H040AT02
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY08
5H040DD08
5H040DD26
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】 二酸化炭素を容易に取り出すことができるように構成された、二酸化炭素回収装置を提供すること。
【解決手段】 二酸化炭素回収装置(1)は、充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリー(20)と、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱されることにより捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材(30)と、二酸化炭素捕捉材(30)が内部に収容された捕捉材収容部(16)を有する収容容器(10)と、を備える。そして、収容容器(10)は、バッテリー(20)の充電時に発生する熱が捕捉材収容部(16)内の二酸化炭素捕捉材(30)に伝熱されるようにバッテリー(20)に近接配置される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリーと、
二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱されることにより捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材と、
前記二酸化炭素捕捉材が内部に収容された捕捉材収容部を有する収容容器と、
を備え、
前記収容容器は、前記バッテリーの充電時に発生する熱が前記捕捉材収容部内の前記二酸化炭素捕捉材に伝熱されるように前記バッテリーに近接配置される、
二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記収容容器及び前記バッテリーが一体的に形成されている、二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記バッテリーが移動体に搭載されるバッテリーであり、
前記捕捉材収容部には、大気中の空気を前記移動体の移動により生じる走行風として内部に導入するための導入口と、内部の空気を外部に排出するための排出口と、が形成されている、二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項3に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記捕捉材収容部が前記バッテリーの下方に配置される、二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の二酸化炭素回収装置であって、
前記移動体から取り外し可能に構成される、二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリーを充電する充電工程と、
前記充電工程により前記バッテリーから発生する熱を、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱により捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材に伝熱させる伝熱工程と、
を含む、二酸化炭素の回収方法。
【請求項7】
請求項6に記載の二酸化炭素の回収方法であって、
前記伝熱工程にて、前記二酸化炭素捕捉材を前記充電工程にて充電されている前記バッテリーに近接配置する、二酸化炭素の回収方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の二酸化炭素の回収方法であって、
前記伝熱工程にて放出された二酸化炭素を回収する回収工程を含む、二酸化炭素の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素の回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、二酸化炭素取出システムを開示する。この二酸化炭素取出システムは、車両に搭載された二酸化炭素回収装置を、建築物において使用される太陽光発電システム等のエネルギ生成装置の余剰電力を利用して加熱することにより、二酸化炭素回収装置から二酸化炭素を取り出すように構成される。特許文献1に記載の二酸化炭素取出システムによれば、建築物に用いられるエネルギ生成装置の余剰電力を用いて二酸化炭素回収装置を加熱しているので、二酸化炭素回収装置を加熱するためだけにエネルギを発生させる必要がなく、エネルギの無駄を減らすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
例えば電動車両に二酸化炭素回収装置が搭載されている場合、充電スタンド等の充電施設にて、二酸化炭素回収装置から二酸化炭素が取り出されると良い。しかしながら、充電スタンド等の施設に太陽光発電システム等のエネルギ生成装置が設置されていない場合、上記特許文献1に記載の方法によって二酸化炭素を取り出すことができない。
【0005】
そこで、本発明は、二酸化炭素を容易に取り出すことができるように構成された、二酸化炭素回収装置及び二酸化炭素の回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリーと、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱されることにより捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材と、二酸化炭素捕捉材が内部に収容された捕捉材収容部を有する収容容器と、を備え、収容容器は、バッテリーの充電時に発生する熱が捕捉材収容部内の二酸化炭素捕捉材に伝熱されるように前記バッテリーに近接配置される、二酸化炭素回収装置を提供する。
【0007】
本発明によれば、バッテリーの充電時に発生する熱が、バッテリーに近接配置された収容容器の捕捉材収容部内の二酸化炭素捕捉材に伝熱されることにより、二酸化炭素捕捉材が加熱されて、二酸化炭素捕捉材から二酸化炭素が放出する。このため太陽光発電システム等のエネルギ生成装置が設置されていない場合であっても、バッテリーの充電熱を利用して容易に二酸化炭素を取り出すことができる。
【0008】
この場合、収容容器及びバッテリーが一体的に形成されているように構成することもできる。これによれば、バッテリーを含む二酸化炭素回収装置をコンパクトに構成することができる。さらにこの場合、収容容器は、バッテリーが収容されたバッテリー収容部を有し、バッテリー収容部内の空間と捕捉材収容部内の空間が仕切壁部を介して隣接配置されているように、収容容器を構成することもできる。これによれば、バッテリー収容部内のバッテリーと捕捉材収容部内の二酸化炭素捕捉材とを仕切壁部を挟んで近接配置させることができる。
【0009】
また、バッテリーが移動体に搭載されるバッテリーであり、収容容器の捕捉材収容部には、大気中の空気を移動体の移動により生じる走行風として内部に導入するための導入口と、内部の空気を外部に排出するための排出口と、が形成されているように、構成することもできる。これによれば、移動体の走行中に捕捉材収容部に導入された空気中の二酸化炭素を、捕捉材収容部内の二酸化炭素捕捉材により捕捉することができる。
【0010】
この場合、捕捉材収容部がバッテリーの下方に配置されるように構成することもできる。これによれば、バッテリーの上方空間にスペースを作ることができ、そのスペースに移動体に搭載される他の部品を配設することができる。
【0011】
二酸化炭素回収装置は、移動体から取り外し可能に構成することもできる。これによれば、二酸化炭素回収装置を移動体から取り外して、例えば充電スタンドにてバッテリーを充電することができ、さらに、バッテリーの充電と同時に二酸化炭素捕捉材をバッテリーの充電により生じる熱により再生させて、二酸化炭素を回収することができる。
【0012】
また、本発明は、充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリーを充電する充電工程と、充電工程によりバッテリーから発生する熱を、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱により捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材に伝熱させる伝熱工程と、を含む、二酸化炭素の回収方法を提供する。
【0013】
これによれば、バッテリーの充電時に発生する熱を二酸化炭素捕捉材に伝熱させることにより、二酸化炭素捕捉材が加熱されて、二酸化炭素捕捉材から二酸化炭素が放出する。このため太陽光発電システム等のエネルギ生成装置が設置されていない場合であっても、バッテリーの充電熱を利用して容易に二酸化炭素を取り出すことができる。
【0014】
伝熱工程では、二酸化炭素捕捉材を充電工程にて充電されているバッテリーに近接配置すると良い。これによれば、バッテリーの充電により生じた熱を、効率的に、二酸化炭素捕捉材に伝熱させることができる。
【0015】
また、伝熱工程にて放出された二酸化炭素を回収する回収工程を含むように、二酸化炭素の回収方法を構成することもできる。これによれば、二酸化炭素捕捉材から放出された二酸化炭素を効率的に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素回収装置の概略断面図である。
【
図2】
図2は、二酸化炭素回収装置を搭載した車両の概略図である。
【
図3】
図3は、車両の走行時に大気中の空気が捕捉材収容部内に導入される様子を示す図である。
【
図4】
図4は、バッテリーの充電時の様子を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る二酸化炭素回収装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る二酸化炭素回収装置1の概略断面図である。
図1に示すように、二酸化炭素回収装置1は、収容容器10と、バッテリー20と、二酸化炭素捕捉材30と、を有する。
【0018】
収容容器10は、略直方体形状の外観を有する。収容容器10は、矩形状の上壁部11と、上壁部11と同形であり上壁部11に上下方向に対向して配置した下壁部12と、上壁部11の周囲と下壁部12の周囲とを連結する4つの側壁部13とを有する。そして、収容容器10の内部には、上壁部11、下壁部12及び側壁部13により囲まれた内部空間が形成される。
【0019】
収容容器10の内部空間には、水平方向に延在する仕切壁部14が形成されており、この仕切壁部14によって、収容容器10の内部空間が、上側空間と下側空間とに区画される。
【0020】
仕切壁部14の周縁は、4つの側壁部13の内壁面に接続される。側壁部13のうち、仕切壁部14との接続部分よりも上側の部分(上壁部11に近い部分)を上側側壁部131と呼び、仕切壁部14との接続部分よりも下側の部分(下壁部12に近い部分)を下側側壁部132と呼ぶ。従って、収容容器10内の上側空間は、上壁部11、仕切壁部14及び上側側壁部131により区画され、収容容器10内の下側空間は、仕切壁部14、下壁部12及び下側側壁部132により区画される。そして、上側空間と下側空間は、仕切壁部14を隔てて上下に隣接配置している。収容容器10のうち上側空間を区画する部分(上壁部11、仕切壁部14及び上側側壁部131)をバッテリー収容部15と呼び、下側空間を区画する部分(仕切壁部14、下壁部12及び下側側壁部132)を捕捉材収容部16と呼ぶ。
【0021】
収容容器10のバッテリー収容部15にバッテリー20が収容される。バッテリー20は充放電可能であり、充電する際に発熱する。このようなバッテリー20として、リチウムイオンバッテリーを例示することができる。バッテリー20は、複数のセルが積層配置されてなるセルスタックにより構成されていても良い。
【0022】
収容容器10の捕捉材収容部16に二酸化炭素捕捉材30が収容される。二酸化炭素捕捉材30は、捕捉材収容部16内の下側空間内に粒状の形態で充填されていても良いし、下側空間内に設けられた支持体等の表面に担持或いは塗布されていても良い。さらに、液体状の二酸化炭素捕捉材が捕捉材収容部16に充填されていても良い。二酸化炭素捕捉材30は、接触する空気中の二酸化炭素を捕捉する機能(捕捉機能)、および、所定温度以上に加熱することにより再生して捕捉した二酸化炭素を放出する機能(再生機能)、を有する。ここで、本明細書において、二酸化炭素捕捉材30が捕捉した二酸化炭素を放出する温度を、二酸化炭素放出温度と呼ぶ。このような捕捉機能及び再生機能を有する二酸化炭素捕捉材30として、例えば、活性炭、ゼオライト、シリカゲル、のような周知の二酸化炭素吸着材、MOFなどの固体剤、透過膜、化学系吸収剤を用いることができる。
【0023】
このように、二酸化炭素回収装置1の収容容器10は、バッテリー20が収容されたバッテリー収容部15と、二酸化炭素捕捉材30が収容された捕捉材収容部16とを有するように構成される。そして、二酸化炭素捕捉材30が収容された捕捉材収容部16は、バッテリー収容部15内のバッテリー20の下方に近接配置される。
【0024】
また、収容容器10は、熱伝導度の良好な材質、例えばアルミニウム等の金属により形成される。このためバッテリー収容部15内のバッテリー20の熱は、金属製の仕切壁部14を介して捕捉材収容部16内の二酸化炭素捕捉材30に伝達される。つまり、二酸化炭素捕捉材30が収容された捕捉材収容部16は、バッテリー20の熱が仕切壁部14を介してその内部の二酸化炭素捕捉材30に伝熱されるように、バッテリー20に近接配置されることになる。
【0025】
また、二酸化炭素捕捉材30が収容された捕捉材収容部16とバッテリー20が収容されたバッテリー収容部15は、一つの収容容器10内に一体化されている。つまり、二酸化炭素捕捉材30が収容された捕捉材収容部16とバッテリー収容部15内のバッテリー20は、一体的に形成されている。
【0026】
捕捉材収容部16には、導入口161及び排出口162が形成される。導入口161は、捕捉材収容部16を構成する4つの下側側壁部132のうちの1つに形成される。排出口162は、捕捉材収容部16を構成する4つの下側側壁部132のうち導入口161が形成されている下側側壁部132に対向する下側側壁部に形成される。導入口161及び排出口162は、下側側壁部132に形成される貫通孔であり、それぞれ捕捉材収容部16内の下側空間と外部とを連通する。また、導入口161に通気性の第一フィルター171が設けられ、排出口162に通気性の第二フィルター172が設けられている。
【0027】
上記構成の二酸化炭素回収装置1は、本実施形態では、車両Vに搭載される。
図2は、二酸化炭素回収装置1を搭載した車両Vの概略図である。
図2において、車両Vは、電気モータを駆動源とする車両(電動車両、ハイブリッド車両、プラグインハイブリッド車両等)である。
【0028】
図2に示すように、二酸化炭素回収装置1は、車両Vの底部付近に設置される。このとき、二酸化炭素回収装置1は、導入口161が形成された下側側壁部132が車両前方に面し、排出口162が形成された下側側壁部132が車両後方に面するように、車両Vに取り付けられる。
【0029】
二酸化炭素回収装置1が車両Vに取り付けられた状態で、バッテリー20は車両Vに設けられている電気モータに電気的に接続される。そして、バッテリー20が放電してバッテリー20から電気モータに電力が供給されることにより、電気モータが駆動して、車両Vが走行する。
【0030】
また、二酸化炭素回収装置1は、車両Vの走行時に走行風が当たるように、車両Vに設置される。さらに、二酸化炭素回収装置1は、車両Vから取り外すことができ、且つ、再度取り付けることができるように構成される。つまり、二酸化炭素回収装置1は、車両Vに対して交換可能に構成される。ここで、二酸化炭素回収装置1にはバッテリー20が含まれるので、二酸化炭素回収装置1が交換された場合、バッテリー20も交換される。よって、車両Vとしてバッテリー交換式の車両を例示することができる。この場合、バッテリー20を交換するタイミングで、二酸化炭素回収装置1を車両Vから取り外すことができる。
【0031】
上記構成の二酸化炭素回収装置1が搭載された車両Vが走行すると、大気中の空気が走行風として、捕捉材収容部16内に導入される。
図3は、車両Vの走行時に大気中の空気が捕捉材収容部16内に導入される様子を示す図である。
図3に示すように、車両Vの走行時に、矢印Aに示すように、大気中の空気が走行風として導入口161に設けられた第一フィルター171を経由して二酸化炭素回収装置1の捕捉材収容部16内に導入される。捕捉材収容部16内に導入された空気中の二酸化炭素は、捕捉材収容部16に収容されている二酸化炭素捕捉材30により捕捉される。そして、二酸化炭素捕捉材30に捕捉されなかった二酸化炭素を含む空気が、排出口162に設けられた第二フィルター172を通過して、矢印Bに示すように捕捉材収容部16から外部に排出される。また、車両Vの走行中、捕捉材収容部16内に導入された走行風により、二酸化炭素捕捉材30が冷却される。このため、車両Vの走行中に、二酸化炭素を捕捉した二酸化炭素捕捉材30の温度が、バッテリー20の放電等によって過度に上昇すること、例えば二酸化炭素捕捉材30の温度が二酸化炭素放出温度に到達することが、防止される。なお、収容容器10の仕切壁部14内に冷却通路を形成し、車両Vの走行中に冷却水を冷却通路に流すことにより、走行中に放電しているバッテリー20を冷却して、二酸化炭素捕捉材30の温度上昇をより一層抑制することもできる。
【0032】
車両Vが所定の航続距離だけ走行すると、バッテリー20の残量が所定値以下にまで低下する。この場合、車両Vのドライバは、充電スタンドまで車両Vを走行させ、充電スタンドにてバッテリー20を交換する。ここで、バッテリー20は二酸化炭素回収装置1の収容容器10内に収容されているので、車両Vのドライバは、充電スタンドにて二酸化炭素回収装置1ごと車両Vから取り外す。
【0033】
車両Vから取り外された二酸化炭素回収装置1のバッテリー20は、充電スタンドにて充電される。このときバッテリー20は、二酸化炭素回収装置1のバッテリー収容部15に収容された状態で、充電される。なお、二酸化炭素回収装置1を取り外した車両Vには、別の二酸化炭素回収装置1、例えば、予め充電スタンドに用意され、既にバッテリー20が充電されている二酸化炭素回収装置1を取り付けることができる。
【0034】
図4は、バッテリー20の充電時の様子を示す概略図である。
図4に示すように、バッテリー20を充電する際には、バッテリー収容部15内のバッテリー20に充電装置40が接続される。また、バッテリー20を充電する際に、第一フィルター171を取り外し、第一フィルター171が取り付けられていた導入口161に封止栓41を取り付ける。さらに、排出口162に設けられている第二フィルター172を覆うように、下側側壁部132に吸引プラグ42を取付ける。この吸引プラグ42には、配管43の一方端が接続されている。配管43の他方端には二酸化炭素回収箱44が接続されている。また、配管43の途中に吸引ポンプ45が介装される。
【0035】
そして、充電装置40を作動させることによって、バッテリー収容部15に収容されているバッテリー20が充電される(充電工程)。このときバッテリー20が発熱する。バッテリー20の発熱により生じた熱は、仕切壁部14を介して、バッテリー20の下方に近接配置している捕捉材収容部16内の二酸化炭素捕捉材30に伝熱される(伝熱工程)。これにより二酸化炭素捕捉材30が加熱されて、二酸化炭素捕捉材30の温度が二酸化炭素放出温度に到達する。すると、二酸化炭素捕捉材30に捕捉されていた二酸化炭素が放出される。
【0036】
バッテリー20の充電が開始されてから所定時間が経過した後に、吸引ポンプ45を作動させることにより、二酸化炭素捕捉材30から放出されて捕捉材収容部16内に溜められた二酸化炭素が、第二フィルター172、吸引プラグ42及び配管43を介して二酸化炭素回収装置1から排出されて、二酸化炭素回収箱44に回収される(回収工程)。このようにして、バッテリー20の充電と同時に二酸化炭素を回収することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係る二酸化炭素回収装置1は、充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリー20と、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱されることにより捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材30と、二酸化炭素捕捉材30が内部に収容された捕捉材収容部16を有する収容容器10と、を備える。そして、収容容器10は、バッテリー20の充電時に発生する熱が捕捉材収容部16内の二酸化炭素捕捉材30に伝熱されるようにバッテリー20に近接配置される。このように二酸化炭素回収装置1を構成することにより、バッテリー20の充電熱を利用して容易に二酸化炭素を取り出すことができる。
【0038】
また、収容容器10とバッテリー20とは、一体的に形成されている。具体的には、収容容器10がバッテリー収容部15と捕捉材収容部16とを有し、バッテリー収容部15内にバッテリー20が収容されている。このためバッテリー20を含む二酸化炭素回収装置1をコンパクトに構成することができる。さらに、本実施形態に係る収容容器10によれば、バッテリー収容部15内のバッテリー20と捕捉材収容部16内の二酸化炭素捕捉材30とを仕切壁部14を挟んで近接配置させることができる。
【0039】
また、バッテリー20が移動体としての車両Vに搭載されるバッテリーであり、収容容器10の捕捉材収容部16には、大気中の空気を車両Vの移動(走行)により生じる走行風として内部に導入するための導入口161と、内部の空気を外部に排出するための排出口162と、が形成されている。このため、車両Vの走行中に捕捉材収容部16に導入された空気中の二酸化炭素を、捕捉材収容部16内の二酸化炭素捕捉材30により捕捉することができる。
【0040】
また、捕捉材収容部16はバッテリー20が収容されたバッテリー収容部15の下方に配置されている。このため、バッテリー20の上方空間(バッテリー収容部15の上方空間)にスペースを作ることができ、そのスペースに車両Vに搭載される他の部品を配設することができる。
【0041】
また、二酸化炭素回収装置1は、車両Vから取り外し可能に構成されている。このため、二酸化炭素回収装置1を車両Vから取り外して、例えば充電スタンドにてバッテリー20を充電することができ、さらに、バッテリー20の充電と同時に二酸化炭素捕捉材30をバッテリーの充電により生じる熱により再生させて、二酸化炭素を回収することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る二酸化炭素の回収方法は、充放電可能であり、充電する際に発熱するバッテリー20を充電する充電工程と、充電工程によりバッテリー20から発生する熱を、二酸化炭素を捕捉可能であるとともに加熱により捕捉した二酸化炭素を放出する二酸化炭素捕捉材30に伝熱させる伝熱工程と、を含む。このような二酸化炭素の回収方法によれば、バッテリー20の充電熱を利用して二酸化炭素捕捉材30から二酸化炭素を回収することができるので、太陽光発電システム等のエネルギ生成装置が設置されていない場合であっても容易に二酸化炭素を取り出すことができる。
【0043】
また、伝熱工程では、二酸化炭素捕捉材30は、充電工程にて充電されているバッテリー20に近接配置される。これによれば、バッテリー20の充電により生じた熱を、効率的に、二酸化炭素捕捉材30に伝熱させることができる。
【0044】
また、本実施形態に係る二酸化炭素の回収方法は、伝熱工程にて放出された二酸化炭素を回収する回収工程を含む。これによれば、二酸化炭素捕捉材30から放出された二酸化炭素を効率的に回収することができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態では、二酸化炭素回収装置1が移動体としての車両Vに搭載される例について説明したが、二酸化炭素回収装置1は移動体に搭載されていなくても良い。例えば二酸化炭素回収装置1は、定置用の蓄電池に備え付けられており、蓄電池の充電時の充電熱を利用して二酸化炭素を回収するように構成することができる。
【0046】
また、上記実施形態では、二酸化炭素回収装置1が車両Vに取り外し可能に取り付けられる例について説明したが、二酸化炭素回収装置1は、車両Vに取り外し不能に搭載されていても良い。この場合、バッテリー20の充電及び二酸化炭素の回収は、二酸化炭素回収装置1が車両Vに搭載された状態で行われる。
【0047】
また、二酸化炭素回収装置1は、車両以外の移動体、例えば、電車、船舶、等に搭載することもできる。
【0048】
また、上記実施形態では、二酸化炭素回収装置1の収容容器10がバッテリー収容部15を有する例について説明したが、収容容器10がバッテリー収容部15を有しなくても良い。例えば、捕捉材収容部16のみを有するように収容容器10を構成し、バッテリー20は収容容器10の周囲(例えば上部)に近接配置するように、二酸化炭素回収装置1を構成することもできる。
【0049】
また、本発明に係る二酸化炭素の回収方法は、バッテリーの充電時に充電熱が二酸化炭素捕捉材に伝熱しさえすればよく、バッテリーの充電時以外のときには、バッテリーと二酸化炭素捕捉材とは熱的に離間していても良い。例えばバッテリーの使用時(放電時)にはバッテリーが単独で用いられ、バッテリーの充電時にのみ、バッテリーと二酸化炭素捕捉材とを近接配置させることもできる。
【0050】
このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…二酸化炭素回収装置、10…収容容器、11…上壁部、12…下壁部、13…側壁部、131…上側側壁部、132…下側側壁部、14…仕切壁部、15…バッテリー収容部、16…捕捉材収容部、161…導入口、162…排出口、20…バッテリー、30…二酸化炭素捕捉材、40…充電装置、41…封止栓、42…吸引プラグ、43…配管、44…二酸化炭素回収箱、45…吸引ポンプ