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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147651
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】照明装置、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231005BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20231005BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231005BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20231005BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20231005BHJP
【FI】
F21S2/00 481
F21S2/00 482
F21V9/32
G02B5/20
G02F1/13357
G02F1/1333
G02F1/1335
F21Y105:16
F21Y115:10 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055288
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安永 博敏
(72)【発明者】
【氏名】増田 岳志
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 寿史
(72)【発明者】
【氏名】京兼 庸三
【テーマコード(参考)】
2H148
2H189
2H291
2H391
3K244
【Fターム(参考)】
2H148AA01
2H148AA19
2H189AA53
2H189AA54
2H189AA55
2H189AA59
2H189AA60
2H189AA64
2H189AA70
2H189AA71
2H189AA72
2H189HA16
2H189LA20
2H291FA42Z
2H291FA52Z
2H291FA83Z
2H291FA85Z
2H291LA24
2H291LA40
2H391AA03
2H391AB04
2H391AB34
2H391AC03
2H391AC10
2H391AC13
2H391AC26
2H391CB13
3K244AA01
3K244BA03
3K244BA08
3K244BA18
3K244BA23
3K244BA42
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA13
3K244DA19
3K244FA06
3K244GA01
3K244GA02
3K244GA04
3K244GA18
3K244HA01
(57)【要約】
【課題】ローカルディミング駆動におけるコントラスト低下及び輝度低下を抑制する。
【解決手段】照明装置30は、平面内に並んで配される複数の光源52と、光源52の発光面52Aと対向して配され、光源52からの光を波長変換するための波長変換シート60と、を備え、波長変換シート60は、透明性を有する基材61と、基材61の光源52と反対側の主面において、波長変換材料を含有し表面が球面状の複数の突部66が隙間なく並んで配される波長変換層65と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に並んで配される複数の光源と、
前記光源の発光面と対向して配され、前記光源からの光を波長変換するための波長変換シートと、を備え、
前記波長変換シートは、
透明性を有する基材と、
前記基材の前記光源と反対側の主面において、波長変換材料を含有し表面が球面状の複数の突部が隙間なく並んで配される波長変換層と、を有する照明装置。
【請求項2】
前記複数の光源が並んで配される実装面を有する光源基板を備え、
前記実装面は、各々が少なくとも1つの前記光源を含む大きさを有する複数の分割領域に区分され、
前記複数の光源は、前記分割領域毎に独立して駆動可能に構成されており、
隣り合う前記突部の中心間距離は、隣り合う前記分割領域の中心間距離以下である請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記各分割領域は矩形状をなし、その中央部に前記光源が1つずつ含まれるように区分されており、隣り合う前記分割領域の中心間距離は、隣り合う前記光源の中心間距離と実質的に同一である請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記基材の厚さは、20μm以上300μm以下とされる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記波長変換シートは、前記基材と前記波長変換層との間に、前記基材及び前記波長変換層に比して屈折率が低い低屈折率層を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記突部は断面半楕円状をなし、平面視で多角形状をなしている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記波長変換層は、前記基材の一対の主面の両方にそれぞれ設けられており、
前記突部の平面視における中心は、一方の前記主面に設けられた前記波長変換層と他方の前記主面に設けられた前記波長変換層とで異なる位置に配されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記光源は、発光面の面積が0.01mm2以上1.0mm2以下である単色発光型のLEDからなり、前記波長変換シートは、分散配合された蛍光材料を有する蛍光体シートからなる請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の照明装置と、前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える表示装置。
【請求項10】
前記表示パネルは、液晶層を有する液晶パネルである請求項9に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に記載の技術は、照明装置、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルに光を照射する照明装置として、ミニLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)やマイクロLEDと称される小型LEDを用いたバックライト装置が知られている。LEDを小型化するとバックライト装置を薄型化できる他、LEDを局所的に独立して駆動するローカルディミング駆動を行うことで高精細な輝度調整、及び低消費電力化が可能となる。
【0003】
特許文献1には、ミニLEDをセグメント領域(配線基板を複数に区分した分割領域、ディミング領域)単位でローカルディミング駆動するバックライト装置が開示されている。特許文献1に記載のバックライト装置は、いわゆる直下型であり、複数のミニLEDが面状に配された配線基板と、ミニLEDからの光を波長変換する平板状の波長変換部と、光を拡散する拡散シートと、光を集光するプリズムシートと、が順に積層された構成をなしている。波長変換部は、ミニLEDから青色の発光光が入射されると黄色に発光する蛍光体である。このような構成により、バックライト装置から白色の合成光がセグメント領域単位で出射可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-187982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記構成のバックライト装置においてローカルディミング駆動を行っているにも関わらず、LEDが駆動されていない非駆動セグメント領域から光が僅かに出射される課題がある。この課題は、波長変換部の発光光が平板状の波長変換部内を主面方向に沿って伝播し、LEDが駆動されている駆動セグメント領域から非駆動セグメント領域に到達して、非駆動セグメント領域から僅かに出射されることに起因する。これにより、LEDの部分点灯(駆動)時において駆動セグメント領域からの出射光量は低下し、バックライト装置の輝度が低下してしまう。また、非駆動セグメント領域からの出射光量は上昇することとなるため、バックライト装置の輝度のコントラストが低下してしまう。
【0006】
この事態に対処する一手段として、波長変換部の主面に微小な孔を形成し、当該孔から波長変換部の発光光の一部を出射させれば、波長変換部の発光光が主面方向に沿って伝搬する事態を抑制できる。しかしながらこの場合には、孔とLEDとの位置関係によって輝度ムラが生じやすくなる。また、孔の形成スペース分だけ波長変換部の占有スペースが減少するため、波長変換作用が低下して色度変化等が生じてしまうのが実情である。
【0007】
本願明細書に記載の技術は上記のような実情に基づいて完成されたものであって、ローカルディミング駆動におけるコントラスト低下及び輝度低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本願明細書に記載の技術に関わる照明装置は、面状に並んで配される複数の光源と、前記光源の発光面と対向して配され、前記光源からの光を波長変換するための波長変換シートと、を備え、前記波長変換シートは、透明性を有する基材と、前記基材の前記光源と反対側の主面において、波長変換材料を含有し表面が球面状の複数の突部が隙間なく並んで配される波長変換層と、を有する。
【0009】
(2)また、上記照明装置は、上記(1)に加え、前記複数の光源が並んで配される実装面を有する光源基板を備え、前記実装面は、各々が少なくとも1つの前記光源を含む大きさを有する複数の分割領域に区分され、前記複数の光源は、前記分割領域毎に独立して駆動可能に構成されており、隣り合う前記突部の中心間距離は、隣り合う前記分割領域の中心間距離以下であってもよい。
【0010】
(3)また、上記照明装置は、上記(2)に加え、前記各分割領域は矩形状をなし、その中央部に前記光源が1つずつ含まれるように区分されており、隣り合う前記分割領域の中心間距離は、隣り合う前記光源の中心間距離と実質的に同一である。
【0011】
(4)また、上記照明装置は、上記(1)または(3)に加え、前記基材の厚さは、20μm以上300μm以下であってもよい。
【0012】
(5)また、上記照明装置は、上記(1)から(4)のいずれか1つに加え、前記波長変換シートは、前記基材と前記波長変換層との間に、前記基材及び前記波長変換層に比して屈折率が低い低屈折率層を有していてもよい。
【0013】
(6)また、上記照明装置は、上記(1)から(5)のいずれか1つに加え、前記突部は断面視で半楕円状をなし、平面視で多角形状をなしていてもよい。
【0014】
(7)また、上記照明装置は、上記(1)から(6)のいずれか1つに加え、前記波長変換層は、前記基材の一対の主面の両方にそれぞれ設けられており、前記突部の平面視における中心は、一方の前記主面に設けられた前記波長変換層と他方の前記主面に設けられた前記波長変換層とで異なる位置に配されていてもよい。
【0015】
(8)また、上記照明装置は、上記(1)から(7)のいずれか1つに加え、前記光源は、発光面の面積が0.01mm2以上1.0mm2以下である単色発光型のLEDからなり、前記波長変換シートは、分散配合された蛍光材料を有する蛍光体シートからなっていてもよい。
【0016】
(9)本願明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(1)から(8)のいずれか1つの照明装置と、前記照明装置からの光を利用して表示を行う表示パネルと、を備える。
【0017】
(10)また、上記表示装置は、上記(9)に加え、液晶層を有する液晶パネルであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願明細書に記載の技術によれば、ローカルディミング駆動におけるコントラスト低下及び輝度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る液晶表示装置の分解斜視図
図2】液晶表示装置の断面図
図3】ディミング領域を示す平面図
図4】蛍光体シート及びLED基板を拡大した断面図
図5】蛍光体シートの平面図
図6】変形例1に係る蛍光体シートの平面図
図7】蛍光体シートを拡大した断面図
図8】基材の薄膜化効果を示す断面図
図9】実施形態2に係る蛍光体シートを拡大した断面図
図10】実施形態3に係る蛍光体シートを拡大した断面図
図11】実施形態3に係る蛍光体シートの部分平面図
図12】他の実施形態に係る液晶表示装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1を図1から図8を参照して説明する。本実施形態では、バックライト装置30(照明装置の一例)を備えた液晶表示装置(表示装置の一例)10について例示する。なお、各図面の一部には、X軸、Y軸、及びZ軸を示しており、各軸方向が各図で共通した方向となるように描かれている。また、Z軸方向において液晶パネル20側を表側とし、バックライト装置30側を裏側とする。
【0021】
液晶表示装置10は、全体として横長の矩形状をなしており、図1に示すように、画像を表示する液晶パネル(表示パネルの一例)20と、液晶パネル20に光を照射するバックライト装置(照明装置の一例)30と、を備え、これらが枠状をなすベゼル14及びフレーム15により一体的に保持されている。液晶パネル20は、全体として横長な矩形状をなし、画像を表示可能な表示面が表側を向いた姿勢でベゼル14とフレーム15との間に挟持されている。液晶パネル20は、透明な(高い透光性を有する)一対の基板が所定のギャップを隔てた状態で貼り合わせられ、両ガラス基板間に液晶層が封入された構成をなしている。両ガラス基板の外側には偏光板が配されているものとされる。
【0022】
ベゼル14は、図1及び図2に示すように液晶パネル20の表側の周縁部に沿って延在しており、液晶表示装置10の表側の外観を構成している。ベゼル14は、剛性に優れた金属(例えばステンレス鋼、アルミニウム系材料)または遮光性を有する樹脂からなる。フレーム15は、光反射性に優れた白色等の樹脂(例えばポリカーボネート)からなる。液晶パネル20の裏側とフレーム15との間には、固定及び遮光のために黒色のテープ状部材91が貼り付けられている。
【0023】
バックライト装置30は、図1及び図2に示すように、単色(青色)を発光するLED52(光源の一例)と、LED52を実装するLED基板(光源基板の一例)51と、蛍光体シート60(波長変換シートの一例)と、拡散板55と、光学シート33と、シャーシ40と、を備える。LED52は、液晶パネル20の裏側(下側)に対向して配されており、バックライト装置30はいわゆる直下型のバックライト装置である。蛍光体シート60は、LED52からの青色光の一部を透過させると共に、青色光の他の一部を吸収して黄色光を発光する。バックライト装置30は、単色発光型のLED52を蛍光体シート60と組み合わせて用いることで白色の合成光を出射するように構成されている。拡散板55は、蛍光体シート60からの光に拡散作用を付与する。光学シート33は、拡散板55からの光に所定の光学作用を付与して、液晶パネル20に向けて出射する。
【0024】
シャーシ40は、図1及び図2に示すように、光出射側(液晶パネル20側)に向けて開口したトレー状をなし、その底部41にLED基板51が収容されている。シャーシ40の外周縁部42は表側に突出しており、外周縁部42上に、蛍光体シート60、拡散板55、及び光学シート33がこの順に積み重ねて載置されている。積み重ねられた光学シート33の表側とフレーム15との間には、光反射性に優れた白色等の固定用のテープ状部材92が貼り付けられている。
【0025】
拡散板55は、図1及び図2に示すように、蛍光体シート60及び光学シート33に比して厚い(例えば厚さ3mm)部材であり、透過する光を拡散させる。拡散板55は、例えば透明な樹脂製の基材内に拡散粒子が多数分散された構成とされる。拡散板55を設けることで、LED52から液晶パネル20までの距離を小さくしても、LEDの配置に応じた輝度ムラ(いわゆるLEDムラ)を抑制しやすくなり、バックライト装置30及び液晶表示装置10を薄型化しやすくなる。
【0026】
光学シート33は、図1及び図2に示すように、拡散板55と液晶パネル20との間に介在して配されることで、拡散板55からの出射光に所定の光学作用を付与する。光学シート33は、その厚みが例えば30μmと薄く可撓性を有する。光学シート33は種々様々なものが知られており、液晶表示装置10の用途等に応じて1種類または複数種類のものが適宜用いられる。本実施形態では、光学シート33として2枚のレンズシートが用いられ、これにより拡散板55からの出射光に集光作用を付与し、液晶パネル20に向けて出射させている。各レンズシートは、一方向に沿って延在する単位レンズが、その延在方向と直交する方向に沿って多数並べて配置された構成をなしている。2枚のレンズシートは、各々の単位レンズの延在方向が直交するように配されている。
【0027】
レンズシート以外の光学シート33の具体例としては、BEF(Brightness Enhancement Film)(登録商標)シリーズやDBEF(Dual Brightness Enhancement Film)(登録商標)シリーズ等の輝度向上シート、ターニングレンズ、拡散シート、プリズムシート(輝度向上シートやターニングレンズを除く、プリズムもしくはレンズ形状を有する光学シート)、ダイクロイックフィルターが挙げられる。ダイクロイックフィルターは、バンドパスフィルタ効果を奏するものであって、蛍光体シート60と組み合わせることで、色再現性を向上できる。ダイクロイックフィルターとして具体的には、青色光を反射し黄色光を透過させるフィルターや、黄色光を反射し青色光を透過させるフィルター等が用いられる。
【0028】
LED52は、図1及び図2に示すように、矩形状をなすLED基板51の表側の主面(実装面51A)上に、X軸方向(行方向)及びY軸方向(列方向)についてそれぞれほぼ等間隔に格子状(マトリックス状)に配されている。LED52は直方体状をなし、底面が実装面51Aに配されて、底面と反対側の上面が発光面52Aとなる、いわゆる頂面発光型(トップビュー型)とされる。LED52の光軸(発光光の発光強度が最も高い(ピークとなる)光の進行方向)はZ軸方向である。
【0029】
LED52は、約420nmから約500nmの波長領域に含まれる青色光(一次光)を発光する。LED52は、発光面52Aの面積が5.0mm2以下と、一般的なLED(発光面の面積が10.0mm程度)に比して小さい小型LEDである。LED52は、発光面52Aの面積が0.01mm2以上1.0mm2以下のいわゆるミニLED又はマイクロLEDであることが好ましい。LED52は、小型化のために蛍光体を含有しておらず、青色LED素子(青色発光素子)が蛍光体非含有の透明樹脂材料からなる封止材によって封止された構成をなしている。LED52のパッケージには、CSP(Chip Scale Package)又はフリップチップタイプ等の小型化パッケージが用いられていてもよい。
【0030】
LED基板51は、基板(例えばアルミニウム系の金属材料製、ガラスエポキシやセラミック等の絶縁材料製)の表面に、絶縁層を介して銅箔などの金属膜からなる配線パターンが形成された構成をなしている。また、実装面51Aには、光の利用効率を高めるために高反射層が設けられたり、ESR(Enhanced Specular Reflector)等のポリエステル系やPET系の白色樹脂からなる反射シートが載置されたりすることが好ましい。高反射層は、例えば、高反射塗装(白色塗料)を塗布したり、銀(Ag)やアルミニウム(Al)等を蒸着したりすることで設けられる。なお、LED基板51は、可撓性を有するフィルム状のフレキシブル基板(FPC, Flexible Printed Circuits)であっても構わない。
【0031】
LED基板51の実装面51Aは、図3に示すように、隙間なく行列状に並ぶ複数のディミング領域(セグメント領域、分割領域の一例)DAに区分されている。本実施形態では、各ディミング領域DAは矩形状をなし、その中央部にLED52が1個ずつ含まれるように区分されている。ディミング領域DAのピッチP1(隣り合うディミング領域DAの中心間距離)は、LED52の配列ピッチ(隣り合うLED52の中心間距離)と実質的に同一である。ディミング領域DAは、少なくとも1個のLED52を含む大きさを有していればよく、ディミング領域DAのピッチP1、及び各ディミング領域DAに含まれるLED52の個数は、液晶パネル20の画面サイズや用途、要求精度に応じて適宜変更可能である。
【0032】
LED52には、実装面51A内に配索形成された配線パターンを介して外部電源から駆動電力が供給される。バックライト装置30は、LED52に供給される駆動電力がディミング領域DA毎に独立して制御されるローカルディミング駆動が行われるように当該配線パターン等が構成されている。これによりLED52の発光量はディミング領域DA毎に局所的に調節可能となっており、バックライト装置30及び液晶表示装置10は高精細な輝度調整、及び低消費電力化が可能となっている。
【0033】
蛍光体シート60は、LED52の発光光(一次光)をより長波長の光(二次光)へ波長変換する。より詳しくは、蛍光体シート60は、LED52からの青色光の一部を透過させると共に、青色光の他の一部を吸収して黄色光を発光する。蛍光体シート60は、図4に示すように、基材61と、基材61の一対の主面のうち表側の主面(出光側主面61A)に設けられた波長変換層65と、を有する。蛍光体シート60は、基材61の主面の法線方向がLED52の光軸と一致するように配されている。基材61は、透明性の高い樹脂製(例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂)とされ、波長変換層65を支持している。波長変換層65には、蛍光材料を含有する複数の突部66が隙間なく配列されるように形成されている。
【0034】
突部66は、図4に示すように基材61の出光側主面61Aから断面半楕円状に突出するように形成されており、光出射面である表側の面66A(LED52と反対側の表面)が球面状をなしている。また、突部66は、図5に示すように、平面形状が矩形(四角形、多角形の一例)状をなしている。突部66の平面形状は、実装面51A内に隙間なく配列可能な形状であれば矩形状に限られず、例えば図6の変形例1に係る蛍光体シート160の突部166のように六角形状(多角形状の別の一例)としてもよい。
【0035】
突部66は、バインダ樹脂として用いられるアクリル系樹脂と、バインダ樹脂中に分散した状態で配合される蛍光体(蛍光材料、波長変換材料の一例)と、を含有する。バインダ樹脂は、光透過性及び基材61に対する接着性を有する。蛍光体は、所定の波長領域に含まれる一次光を異なる波長領域に含まれる二次光に波長変換できればその種類は限定されず、例えば量子ドット蛍光体、無機蛍光体、有機蛍光体等が用いられる。本実施形態では、LED52からの青色光を吸収して励起し、約500nmから約570nmの波長領域内の緑色光を放出する緑色量子ドット蛍光体と、約600nmから約780nmの波長領域内の赤色光を放出する赤色量子ドット蛍光体と、が所定の割合で配合された量子ドット蛍光体が用いられている。各色の量子ドット蛍光体は、突部66を構成するアクリル系樹脂中に略均一となるように分散配合されている。
【0036】
続いて、上記した構成の蛍光体シート60の作用及び効果を説明する。LED52からの青色光は、図4に矢線L1で示すように光軸であるZ軸方向に沿って進んで蛍光体シート60に入射し、そのまま概ねZ軸方向に基材61を透過して突部66に入射する。そして、突部66部内に分散された蛍光体によって図7の矢線L2,L3,L4で示されるように各方向に黄色光が放出される。そして、光出射面66Aに達した黄色光は、光出射面66Aが球面状をなすため、光出射面66Aに対する入射角が臨界角を超えにくいものとなる。その結果、光出射面66Aに達した光の多くは、図7の矢線L2で示すように、空気層との界面である光出射面66Aで全反射されずに光出射面66Aの外側(光出射面66Aと拡散板55との隙間の空気層)に出射される。
【0037】
仮に波長変換層が従来技術のように平板状をなし複数の突部66が形成されていない場合、その表側の光出射面は平面状であるため、蛍光体によって放出された黄色光は、空気層との界面である光出射面に対する入射角が臨界角を超え、全反射されやすいものとなる。その結果、波長変換層内の黄色光は蛍光体シート60の主面方向(X-Y面方向)に沿って伝搬しやすくなる。これに対して、本実施形態に係る蛍光体シート60によれば、波長変換層65を構成する突部66の光出射面66Aが球面状をなすことで、蛍光体シート60に入射された光が光出射面66Aから出射されやすくなり、蛍光体シート60の主面方向に伝搬する事態が抑制される。
【0038】
上記した構成によれば、ローカルディミング駆動によってLED52の一部のみを駆動(点灯)した場合に、当該LED52を含むディミング領域(駆動ディミング領域)DA1の光がLED52が駆動されていない他のディミング領域(非駆動ディミング領域)DA2に伝搬して、非駆動ディミング領域DA2から出射される事態を抑制することができる。これにより、駆動ディミング領域DA1からの出射光量が低下し、非駆動ディミング領域DA2からの出射光量が上昇する事態を抑制できる。その結果、部分点灯時のバックライト装置30の輝度(ひいては液晶パネル20の明るさ)が低下したり、輝度のコントラストが低下してしまう事態を抑制できる。
【0039】
また、突部66内で放出された黄色光の一部は、図7に矢線L3及びL4で示すように、基材61に再び入射する。そして、基材61に再び入射された黄色光の一部は、矢線L3で示すように、空気層との界面である基材61の裏側の主面(波長変換層65と反対側の主面、入光側主面61B)で全反射されて蛍光体シート60の主面方向に伝播する伝播光となる。また、基材61に再び入射された黄色光の他の一部は、矢線L4で示すように、入光側主面61Bで全反射されずに基材61を透過して、基材61の外側に出射される。
【0040】
本実施形態では、入光側主面61Bで全反射されて伝搬される伝搬光(図7の矢線L3)の伝搬距離を小さくするために、図4に示すように、突部66のピッチP2(隣り合う突部66の中心間距離)が、ディミング領域DAのピッチP1以下となっている。突部66のピッチD2が小さいほど伝搬光が到達する距離が小さくなり、伝搬光を抑制する効果を高められる。一方で、突部66のピッチP2が小さくなると突部66の製造難易度が上がってしまう。そこで突部66のピッチP2を少なくともディミング領域DAのピッチP1以下とすることで、伝搬光の抑制効果を効果的に高められる。なお、突部66の光出射面66Aの曲率半径は、突部66の高さ(突出高)とピッチP2によって決定され、ピッチP2が小さいほど光出射面66Aの曲率半径も小さくなる。
【0041】
また、基材61の厚さL61は、20μm以上300μm以下であることが好ましい。入光側主面61Bで全反射されて伝搬される伝搬光(図7の矢線L3)の伝搬距離は、図7図8との比較で示されるように基材61の厚さL61が小さいほど小さくなり、伝搬光を抑制する効果を高められる。一方で、基材61の厚さL61が20μm未満になると、基材61上に波長変換層65を形成することが製造上難しくなり、組み立て時に蛍光体シート60を扱う際の作業難易度も上がってしまう。そこで、基材61の厚さL61を20μm以上300μm以下とすることで、伝搬光の抑制効果を効果的に高められる。
【0042】
<実施形態2>
実施形態2に係る液晶表示装置110について説明する。液晶表示装置110は、図9に示すように蛍光体シート260の構成が実施形態1及び変形例1と異なる。実施形態2において、実施形態1及び変形例1と同様の構成、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0043】
本実施形態に係る蛍光体シート260は、図9に示すように、基材61と波長変換層65との間に、これらに比して屈折率が低い低屈折率層68を有する。このようにすれば、波長変換層65の突部66内に分散された蛍光体によって放出された黄色光は、既述したように図7の矢線L2,L3,L4で示すように進行するものに加えて、その一部が、図9に矢線L5で示すように低屈折率層68との界面で全反射されるようになる(これにより、突部66内で放出された黄色光が、隣り合う突部66へと伝播されにくくなり、ローカルディミング駆動において駆動ディミング領域DA1からの出射光量が低下し、非駆動ディミング領域DA2からの出射光量が上昇する事態を抑制できる。その結果、部分点灯時のバックライト装置30の輝度(ひいては液晶パネル20の明るさ)が低下したり、輝度のコントラストが低下してしまう事態を抑制できる。
【0044】
上記した全反射の効果は、低屈折率層68の屈折率が低いほど高まる。また、上記した基材61の薄膜化効果と同様に、低屈折率層68の厚さは小さいほど、突部66内で放出された黄色光の一部が蛍光体シート60の主面方向へ伝播する距離が小さくなり、伝搬光の抑制効果を高められる。
【0045】
<実施形態3>
実施形態3に係る液晶表示装置210について説明する。液晶表示装置210は、図10及び図11に示すように蛍光体シート360の構成が実施形態1、変形例1及び実施形態2と異なる。実施形態3において、実施形態1、変形例1及び実施形態2と同様の構成、作用及び効果については重複する説明は省略する。
【0046】
本実施形態に係る蛍光体シート360は、図10に示すように、基材61の一対の主面の両方(出光側主面61A、入光側主面61B)に波長変換層がそれぞれ設けられており、出光側主面61Aに設けられた第1波長変換層65と、入光側主面61Bに設けられた第2波長変換層265と、を有する。波長変換層65,265にはそれぞれ複数の突部66,266が形成されており、第2波長変換層265の突部266の形状及び大きさは、第1波長変換層65の突部66に倣うものとされる。
【0047】
本実施形態では、第2波長変換層265を設けることで、第1波長変換層65内で放出された黄色光の一部が、図7の矢線L3のように入光側主面61Bで全反射されずに、図8の矢線L6で示すように基材61を透過して第2波長変換層265に入射される。第2波長変換層265に入射された黄色光の多くは、突部266の球面266Aに対する入射角が臨界角を超えにくいものとなるため、空気層との界面である球面266Aで全反射されずに球面266Aの外側(空気層)に出射される。球面266Aから出射された黄色光は、LED基板51の実装面51Aの高反射層で反射されて、蛍光体シート360に回帰することとなる。そして、蛍光体シート360に回帰された光は、黄色光であるため、蛍光体によって波長変換作用を受けることなく、その進行方向に沿って蛍光体シート360内を透過し光出射面66Aから出射される。
【0048】
このようにすれば、平面状の基材61の入光側主面61Bは空気層との界面とならない。これにより、入光側主面61Bで全反射される光(図7の矢線L3)を抑制して蛍光体シート360の主面方向に伝播する伝搬光を抑制する効果を高められる。また、光の利用効率を高められるようになる。
【0049】
また、図10及び図11に示すように、第1波長変換層65の突部66の平面視における中心O66と、第2波長変換層265の突部266の平面視における中心O266は、異なる位置に配されている。より詳しくは、突部66の中心O66は、隣り合う突部266間の境界B266に重畳し、突部266の中心O266は、隣り合う突部66間の境界B66に重畳するように配されている。
【0050】
このようにすれば、図10に示すように、第1波長変換層65において膜厚が大きい部分と、第2波長変換層265において膜厚が小さい部分とがZ軸方向(膜厚方向)について重畳し、第1波長変換層65において膜厚が小さい部分と、第2波長変換層265において膜厚が大きい部分とが膜厚方向について重畳するようになる。これにより、波長変換層65,265の膜厚の和は面内において均一化される。蛍光体シート360全体として波長変換層の膜厚を均一化することで、面内における輝度ムラ及び色度ムラを抑制できるようになる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0052】
(1)LED52は、発光面52Aの面積が5.0mm2以下の小型LEDではなくても構わず、本技術はより大型のLEDを用いた照明装置にも適用可能である。LED52が出射する一次光の波長領域は限定されるものではなく、青色以外の単色が発光されても構わない。その場合、蛍光体シート60の蛍光材料は、LED52が発光する波長領域に合わせて適宜選択されるものとされる。
【0053】
(2)ベゼル14及びフレーム15は、液晶パネル20及びバックライト装置30の少なくとも一部を保持可能であればよく、非枠状であっても構わない。また、ベゼル14及びフレーム15は両方が備えられておらず、いずれか一方のみで液晶パネル20及びバックライト装置30を保持していても構わない。
【0054】
(3)光学シート33,133、拡散板55、蛍光体シート60,160,260,360は、シャーシ40の外周縁部42ではなく、別の構成によって支持されていても構わない。
【0055】
(4)拡散板55及び光学シート33等の光学作用を付与する光学部材は、用途に応じて適宜変更可能であり、例えば図12に示すような構成でも構わない。図12に示す液晶表示装置310は、蛍光体シート60とLED52との間、及び蛍光体シート60と液晶パネル20との間に、複数の光学シート133が介在して配されている。より詳しくは、シャーシ40の外周縁部42上に、ダイクロイックフィルター133A、蛍光体シート60、2枚のプリズムシート133B、ダイクロイックフィルター133C、拡散シート133D、2枚のレンズシート133Eがこの順に積み重ねて載置されている。
【0056】
(5)液晶パネル20、バックライト装置30、液晶表示装置10,110,210,310は非矩形状であっても構わない。
【符号の説明】
【0057】
10,110,210,310…液晶表示装置(表示装置)、20…液晶パネル(表示パネル)、30…バックライト装置(照明装置)、33,133…光学シート、51…LED基板(光源基板)、51A…実装面、52…LED(光源)、52A…発光面、60,160,260,360…蛍光体シート(波長変換シート)、61…基材、65,265…波長変換層、66,166,266…突部、68…低屈折率層、DA…ディミング領域(分割領域)
図1
図2
図3
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図5
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図7
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図11
図12