(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147660
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20231005BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055301
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033BA02
2H033BA03
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB22
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB34
2H033BB35
2H033BE03
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA19
2H171FA28
2H171GA03
2H171JA02
2H171JA12
2H171JA46
2H171JA51
2H171KA05
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA26
2H171KA27
2H171KA29
2H171MA02
2H171QA02
2H171QA08
2H171QA11
2H171WA11
2H171WA13
2H171WA23
(57)【要約】
【課題】定着装置のシャッタを開閉するためのシャッタアームを備えた構成において、画像形成装置が大型化するのを抑制すること。
【解決手段】定着装置1は、第1回転体と、第1回転体との間でニップ部を形成する第2回転体と、開口を有するフレーム4と、開口を開閉するシャッタ50と、ニップ圧変更機構NMと、シャッタアーム91と、アームカム92を備える。ニップ圧変更機構NMは、第1回転体を第2回転体に押圧する加圧アームと、加圧アームを押圧するカム80を有する。カム80は、第2軸X2を中心として回動可能である。シャッタアーム91は、シャッタ50に連結される。シャッタアーム91は、カム80とは独立して第2軸X2を中心として回動することで、シャッタ50を開閉させる。アームカム92は、第2軸X2を中心として回動することによって、第2軸X2からずれた位置でシャッタアーム91を押して、シャッタアーム91を回動させる。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1回転体と、
前記第1回転体との間でニップ部を形成する第2回転体と、
前記ニップ部に向けて搬送されるシートが通る開口を有し、前記第1回転体および前記第2回転体を支持するフレームと、
第1軸を中心として、前記開口を閉じる閉位置と、前記開口を開放する開位置との間で回動可能なシャッタと、
前記ニップ部におけるニップ圧を変更するニップ圧変更機構であって、
前記第1回転体を前記第2回転体に向けて押圧する加圧アームと、
前記加圧アームを押圧するカムであって、第2軸を中心として回動可能なカムと、を有するニップ圧変更機構と、
前記シャッタに連結されるシャッタアームであって、前記カムとは独立して前記第2軸を中心として回動することによって、前記シャッタを前記閉位置と前記開位置との間で回動させるシャッタアームと、
前記第2軸を中心として回動することによって、前記第2軸からずれた位置で前記シャッタアームを押し、前記シャッタアームを前記第2軸を中心として回動させるアームカムと、を備えることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記カムを支持するシャフトであって、前記第2軸を中心として回動可能なシャフトをさらに備え、
前記アームカムは、前記シャフトが入る円筒部を有し、
前記シャッタアームは、前記円筒部が入る孔を有することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記シャッタは、突起を有し、
前記シャッタアームは、前記突起が入る長孔を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記シャッタの前記突起は、
前記シャッタが前記閉位置にあるとき、前記第1軸と前記第2軸を結ぶ直線に対して前記ニップ部側に位置し、
前記シャッタが前記開位置にあるとき、前記直線に対して前記ニップ部とは反対側に位置することを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記カムを支持するシャフトであって、前記第2軸を中心として回動可能なシャフトをさらに備え、
前記フレームは、
前記第1回転体および前記第2回転体を支持する第1フレームと、
前記第1フレームに取り付けられる第2フレームであって、前記第1フレームとの間で前記シャフトを保持する第2フレームと、を有し、
前記シャッタは、ボスを介して前記第2フレームに支持されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
シートの搬送方向において、前記ボスは、前記ニップ部よりも上流側に配置されることを特徴とする請求項5に記載の定着装置。
【請求項7】
シートの搬送方向において、前記第2軸は、前記ニップ部よりも下流側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記加圧アームは、
前記フレームの長手方向の一端側に配置される第1加圧アームと、
前記フレームの前記長手方向の他端側に配置される第2加圧アームと、を有し、
前記シャッタアームは、前記長手方向において、前記第1加圧アームに対して前記第2加圧アームとは反対側に配置されることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
基板と、前記基板に配置された抵抗発熱体と、を有するヒータを備え、
前記第1回転体は、前記ヒータにより加熱され、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記ヒータに電気を供給するコネクタをさらに備え、
前記ヒータは、前記基板の長手方向の少なくとも一端部に、前記コネクタから電気が供給される給電端子をさらに有し、
前記第2回転体は、第3軸を中心として回転可能な加圧ローラであり、
前記シャッタアームは、前記コネクタに対して前記第3軸とは反対側に配置されることを特徴とする請求項9に記載の定着装置。
【請求項11】
前記シャッタアームと接触可能なバネをさらに備え、
前記アームカムは、前記バネを介して前記シャッタアームを押圧することで、前記シャッタを前記閉位置に位置させることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項12】
前記アームカムは、前記シャッタアームに接触することで、前記シャッタを前記開位置に位置させることを特徴とする請求項11に記載の定着装置。
【請求項13】
本体筐体と、
前記本体筐体に着脱可能なユニットと、
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記ユニットが前記本体筐体に着脱されることによって、前記アームカムが前記第2軸を中心として回動し、
前記シャッタアームは、
前記ユニットが前記本体筐体に装着されるときに前記シャッタを前記閉位置から前記開位置に回動させ、
前記ユニットが前記本体筐体から離脱されるときに前記シャッタを前記開位置から前記閉位置に回動させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
前記アームカムに連結する連結リンクであって、前記ユニットが前記本体筐体に装着されるときに前記ユニットと当接して前記本体筐体に対して移動可能な連結リンクを備えることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記シャッタを前記開位置または前記閉位置に保持するためのロックをさらに備え、
前記ロックは、前記連結リンクに当接するロックアームと、前記ロックアームを前記連結リンクへ向けて付勢するロックバネとを有し、
前記連結リンクは、前記ロック側へ突出するリンク突起を有することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記ユニットは、前記本体筐体に装着されるときに前記連結リンクに当接するユニット軸を有し、
前記本体筐体は、前記ユニット軸を案内するガイドレールを有することを特徴とする請求項14または請求項15に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートにトナー像を定着させる定着装置と、定着装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1筐体と、第1筐体に対してスライド移動する第2筐体と、第1筐体内に位置する定着装置と、定着装置のシートの入口を開閉するシャッタと、第2筐体の移動に連動してシャッタを開閉させるシャッタアームとを備えたものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、シャッタアームは、定着装置とプロセスカートリッジの間において、上下方向に延びるように配置されている。
【0003】
シャッタアームは、上端部に回転可能なコロを有する。第2筐体は、コロが相対的に移動可能なガイドレールを有する。ガイドレールは、コロを上下動させるための傾斜部を有している。これにより、第2筐体をスライド移動させると、シャッタアームが上下動して、シャッタが開閉されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、シャッタアームが、定着装置とプロセスカートリッジの間に配置されるので、画像形成装置が大型化するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、定着装置のシャッタを開閉するためのシャッタアームを備えた構成において、画像形成装置が大型化するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明に係る定着装置は、第1回転体と、第2回転体と、フレームと、シャッタと、ニップ圧変更機構と、シャッタアームと、アームカムと、を備える。
前記第2回転体は、前記第1回転体との間でニップ部を形成する。
前記フレームは、前記ニップ部に向けて搬送されるシートが通る開口を有する。前記フレームは、前記第1回転体および前記第2回転体を支持する。
前記シャッタは、第1軸を中心として、前記開口を閉じる閉位置と、前記開口を開放する開位置との間で回動可能である。
前記ニップ圧変更機構は、前記ニップ部におけるニップ圧を変更する。前記ニップ圧変更機構は、加圧アームと、カムと、アームカムと、を備える。
前記加圧アームは、前記第1回転体を前記第2回転体に向けて押圧する。
前記カムは、前記加圧アームを押圧する。前記カムは、第2軸を中心として回動可能である。
前記シャッタアームは、前記シャッタに連結される。前記シャッタアームは、前記カムとは独立して前記第2軸を中心として回動することによって、前記シャッタを前記閉位置と前記開位置との間で回動させる。
前記アームカムは、前記第2軸を中心として回動することによって、前記第2軸からずれた位置で前記シャッタアームを押し、前記シャッタアームを前記第2軸を中心として回動させる。
【0008】
この構成によれば、シャッタアームの回動軸がカムの回動軸と同軸となるので、シャッタアームが定着装置のフレームから突出する量を少なくすることができ、画像形成装置が大型化するのを抑えることができる。
【0009】
また、前記定着装置は、前記カムを支持するシャフトであって、前記第2軸を中心として回動可能なシャフトをさらに備え、前記アームカムは、前記シャフトが入る円筒部を有し、前記シャッタアームは、前記円筒部が入る孔を有していてもよい。
【0010】
また、前記シャッタは、突起を有し、前記シャッタアームは、前記突起が入る長孔を有していてもよい。
【0011】
また、前記シャッタの前記突起は、前記シャッタが前記閉位置にあるとき、前記第1軸と前記第2軸を結ぶ直線に対して前記ニップ部側に位置し、前記シャッタが前記開位置にあるとき、前記直線に対して前記ニップ部とは反対側に位置してもよい。
【0012】
この構成によれば、シャッタアームの長孔の長さを短くしてもシャッタの開閉動作を行うことができるので、シャッタアームが大型化するのを抑えることができる。
【0013】
また、前記定着装置は、前記カムを支持するシャフトであって、前記第2軸を中心として回動可能なシャフトをさらに備え、前記フレームは、前記第1回転体および前記第2回転体を支持する第1フレームと、前記第1フレームに取り付けられる第2フレームであって、前記第1フレームとの間で前記シャフトを保持する第2フレームと、を有し、前記シャッタは、ボスを介して前記第2フレームに支持されていてもよい。
【0014】
また、シートの搬送方向において、前記ボスは、前記ニップ部よりも上流側に配置されていてもよい。
【0015】
また、シートの搬送方向において、前記第2軸は、前記ニップ部よりも下流側に配置されていてもよい。
【0016】
また、前記加圧アームは、前記フレームの長手方向の一端側に配置される第1加圧アームと、前記フレームの前記長手方向の他端側に配置される第2加圧アームと、を有し、前記シャッタアームは、前記長手方向において、前記第1加圧アームに対して前記第2加圧アームとは反対側に配置されていてもよい。
【0017】
また、前記定着装置は、基板と、前記基板に配置された抵抗発熱体と、を有するヒータを備え、前記第1回転体は、前記ヒータにより加熱され、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトであってもよい。
【0018】
また、前記定着装置は、前記ヒータに電気を供給するコネクタをさらに備え、前記ヒータは、前記基板の長手方向の少なくとも一端部に、前記コネクタから電気が供給される給電端子をさらに有し、前記第2回転体は、第3軸を中心として回転可能な加圧ローラであり、前記シャッタアームは、前記コネクタに対して前記第3軸とは反対側に配置されていてもよい。
【0019】
また、前記定着装置は、前記シャッタアームと接触可能なバネをさらに備え、前記アームカムは、前記バネを介して前記シャッタアームを押圧することで、前記シャッタを前記閉位置に位置させてもよい。
【0020】
また、前記アームカムは、前記シャッタアームに接触することで、前記シャッタを前記開位置に位置させてもよい。
【0021】
また、本発明に係る画像形成装置は、本体筐体と、前記本体筐体に着脱可能なユニットと、前記定着装置と、を備える。
前記アームカムは、前記ユニットが前記本体筐体に着脱されることによって、前記第2軸を中心として回動する。
前記シャッタアームは、前記ユニットが前記本体筐体に装着されるときに前記シャッタを前記閉位置から前記開位置に回動させ、前記ユニットが前記本体筐体から離脱されるときに前記シャッタを前記開位置から前記閉位置に回動させる。
【0022】
また、前記画像形成装置は、前記アームカムに連結する連結リンクであって、前記ユニットが前記本体筐体に装着されるときに前記ユニットと当接して前記本体筐体に対して移動可能な連結リンクを備えていてもよい。
【0023】
また、前記画像形成装置は、前記シャッタを前記開位置または前記閉位置に保持するためのロックをさらに備え、前記ロックは、前記連結リンクに当接するロックアームと、前記ロックアームを前記連結リンクへ向けて付勢するロックバネとを有し、前記連結リンクは、前記ロック側へ突出するリンク突起を有していてもよい。
【0024】
また、前記ユニットは、前記本体筐体に装着されるときに前記連結リンクに当接するユニット軸を有し、前記本体筐体は、前記ユニット軸を案内するガイドレールを有していてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、定着装置のシャッタを開閉するためのシャッタアームを備えた構成において、画像形成装置が大型化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態に係る定着装置を示す断面図(a)と、ヒータ周りを拡大して示す断面図(b)である。
【
図2】ヒータの抵抗発熱体が配置された面を示す図(a)と、ヒータおよび熱伝導部材を、ヒータの裏側から見た図(b)と、ヒータ等を長手方向に切った断面図(c)である。
【
図3】ニップ圧変更機構を示す断面図であり、ニップ圧が第1ニップ圧となる状態を示す断面図である。
【
図4】ニップ圧変更機構を示す断面図であり、ニップ圧が第2ニップ圧となる状態を示す断面図である。
【
図5】フレームやニップ圧変更機構の一部を分解して示す斜視図である。
【
図6】定着装置を搬送方向の下流側から見た斜視図である。
【
図7】定着装置の断面図であり、シャッタが閉位置に位置する状態を示す図(a)と、シャッタが開位置に位置する状態を示す図(b)である。
【
図8】シャッタを第1板状部側から見た斜視図(a)と、シャッタを第2板状部側から見た斜視図(b)である。
【
図9】シャッタが閉位置に位置する状態の定着装置を搬送方向の上流側から見た斜視図である。
【
図10】シャッタが開位置に位置する状態の定着装置を搬送方向の上流側から見た斜視図である。
【
図11】シャッタ作動機構を分解して示す斜視図である。
【
図12】シャッタが閉位置に位置する状態の定着装置の側面図(a)と、バネ接触部を拡大して示す断面図(b)である。
【
図13】シャッタが開位置に位置する状態の定着装置の側面図(a)と、バネ接触部を拡大して示す断面図(b)である。
【
図14】2つの加圧アームとシャッタアームの関係を示す斜視図である。
【
図15】定着装置が設置される画像形成装置の本体筐体等を示す図である。
【
図16】本体筐体に着脱可能なユニットを示す図である。
【
図17】本体筐体からユニットが外されているときの連結リンクの状態を示す図である。
【
図18】本体筐体にユニットを装着している途中における連結リンクの状態を示す図である。
【
図19】本体筐体にユニットが装着されているときの連結リンクの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1(a)に示すように、定着装置1は、シートSにトナー像を定着させる装置である。定着装置1は、プリンタなどの画像形成装置に設置される。定着装置1は、加熱ユニット2と、第2回転体の一例としての加圧ローラ3と、フレーム4とを備える。
【0028】
加圧ローラ3は、第3軸X3を中心として回転可能であり、加熱ユニット2との間でシートSを挟むことが可能である。加圧ローラ3は、円柱状のシャフト3Aと、円筒状のローラ部3Bとを有する。シャフト3Aは、例えば金属からなる。ローラ部3Bは、例えばゴムからなる。ローラ部3Bは、シャフト3Aの一部を被覆する。加圧ローラ3は、加熱ユニット2との間で、ニップ部NPを形成する。
【0029】
加熱ユニット2は、ヒータ10と、ホルダ20と、熱伝導部材30と、ステイSTと、第1回転体の一例としてのベルトBLとを有する。ヒータ10は、ベルトBLを加熱し、ベルトBLを介してシートSを加熱する。
【0030】
図1(b)に示すように、ヒータ10は、基板11と、基板11に配置された抵抗発熱体12と、カバー13とを有する。基板11は、酸化アルミニウムを材料とするセラミックの細長い長方形の板からなる。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に、印刷により形成されている。
図2(a)に示すように、本実施形態では、抵抗発熱体12は、2本設けられている。2本の抵抗発熱体12は、それぞれ、ヒータ10の長手方向に長く、長手方向に直交する短手方向に互いに離れて平行に配置されている。各抵抗発熱体12の一端12Aには、それぞれ導線19Aが接続され、導線19Aの各端部には、抵抗発熱体12に電力を供給するための給電端子18が設けられている。
【0031】
給電端子18は、導線19Aを介して抵抗発熱体12と導通している。給電端子18は、基板11の長手方向の一端部11Eに位置する。
図2(c)に示すように、給電端子18には、ヒータ10に電気を供給するコネクタCが接続されている。コネクタCは、ヒータ10の長手方向の一端部に対して着脱可能となっている。給電端子18には、コネクタCから電気が供給される。なお、
図2(c)においては、便宜上、抵抗発熱体12、カバー13およびベルトBLの図示は省略する。
【0032】
また、各抵抗発熱体12の他端12Bは、導線19Bにより互いに接続されている。なお、抵抗発熱体12の本数は、特に限定されない。また、長手方向の中央部の発熱量を長手方向の端部の発熱量より大きくした抵抗発熱体と、長手方向の端部の発熱量を長手方向の中央部の発熱量より大きくした抵抗発熱体とを設けて、各抵抗発熱体を個別に制御することで、長手方向の発熱分布を調整できるようにしてもよい。
【0033】
図1(b)に示すように、カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスからなる。
【0034】
図1(a)に示すように、ホルダ20は、ヒータ10を支持するとともに、ベルトBLを案内する機能を有する。ホルダ20は、例えば、樹脂からなる。
【0035】
ステイSTは、ホルダ20を支持する。ステイSTは、例えば金属からなる。
【0036】
ベルトBLは、無端状であり、金属または樹脂などからなる。ベルトBLは、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルトBLは、外周面と内周面を有する。外周面は、加圧ローラ3または加熱対象となるシートSと接触する。内周面は、ヒータ10と接触する。
【0037】
熱伝導部材30は、ヒータ10の長手方向に熱を伝導して、ヒータ10の温度を、長手方向に均一化するための部材である。熱伝導部材30は、板状部材であり、ヒータ10とホルダ20との間に位置する。加熱ユニット2が加圧ローラ3との間でシートSを挟むときには、熱伝導部材30は、ヒータ10とホルダ20により挟まれる。熱伝導部材30は、例えばアルミニウムからなる。
【0038】
図2(a),(b)に示すように、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bは、長手方向において、加熱ユニット2で使用可能なシートの最大幅W1の外側、かつ、熱伝導部材30の一端30Aおよび他端30Bの内側に位置する。つまり、長手方向において、熱伝導部材30の長さは、抵抗発熱体12の長さより長い。
【0039】
長手方向において、基板11の長さは、熱伝導部材30の長さより長い。熱伝導部材30の一端30Aは、長手方向において、基板11の一端11Aよりも内側に位置する。熱伝導部材30の他端30Bは、長手方向において、基板11の他端11Bよりも外側に位置する。
【0040】
図5に示すように、フレーム4は、第1フレーム41と、第2フレーム42とを有する。第1フレーム41は、加熱ユニット2および加圧ローラ3を支持する。第2フレーム42は、加熱ユニット2を加圧ローラ3の反対側から覆うように、第1フレーム41に取り付けられている。
【0041】
第1フレーム41は、加圧ローラ3をベアリングBRを介して支持する。ベアリングBRは、加圧ローラ3の軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。
【0042】
第1フレーム41は、加熱ユニット2を所定方向に移動可能に支持する。なお、以下の説明では、加圧ローラ3の軸方向を、単に「軸方向」とも称する。また、ニップ部NPでのシートSの搬送方向を、単に「搬送方向」とも称する。なお、本実施形態では、ニップ部NPでのシートSの搬送方向は、軸方向と所定方向とに直交している。また、図において、方向を示す矢印は、一方側を指すこととする。特に、搬送方向を示す矢印は、搬送方向の下流側を指すこととする。
【0043】
図3に示すように、定着装置1は、加熱ユニット2と加圧ローラ3の間のニップ部NPにおけるニップ圧を変更するためのニップ圧変更機構NMをさらに備えている。ニップ圧変更機構NMは、シャフトSFと、加圧アーム60と、加圧バネ70と、カム80と、を備えている。第1フレーム41は、加圧バネ70を支持するとともに、加圧アーム60およびカム80を回動可能に支持する。
【0044】
図5に示すように、加圧アーム60とカム80は、軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。なお、図示は省略するが、加圧バネ70も、軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。ニップ圧変更機構NMの軸方向の一方側の構造と、他方側の構造は、略同一であるため、以下、主に軸方向の一方側の構造を代表して説明する。
【0045】
なお、以下の説明では、フレーム4の長手方向の一端側に配置される加圧アーム60を、「第1加圧アーム60A」とも称する。また、フレーム4の長手方向の他端側に配置される加圧アーム60を、「第2加圧アーム60B」とも称する。ここで、フレーム4の長手方向は、軸方向と平行な方向をいう。
【0046】
シャフトSFは、軸方向に延びている。シャフトSFは、例えば金属からなる。シャフトSFの軸方向の各端部には、カム80が固定されている。言い換えると、カム80は、シャフトSFを有している。カム80は、シャフトSFの回動に伴って回動する。第1フレーム41は、シャフトSFを回動可能に支持する支持部41Cを有する。支持部41Cは、軸方向における第1フレーム41の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。支持部41Cは、シャフトSFを回動可能に支持する孔H1を有している。
【0047】
第2フレーム42は、シャフトSFを回動可能に支持する溝42Cを有する(
図6も参照)。溝42Cは、軸方向における第2フレーム42の一端部と他端部のそれぞれに配置されている。第2フレーム42は、第1フレーム41との間でシャフトSFを保持する。
【0048】
図3に示すように、シャフトSFは、フレーム4に第2軸X2を中心として回動可能に支持されている。
【0049】
加圧アーム60は、加熱ユニット2を加圧ローラ3に向けて押圧するアームである。第1フレーム41は、加圧アーム60を軸XAまわりに回動可能に支持する第1支持部41Dを有する。第1支持部41Dは、略円柱状の突起である。軸XA、第2軸X2および第3軸X3は、それぞれ異なる位置に位置する。軸XA、第2軸X2および第3軸X3は、それぞれ平行である。
【0050】
加圧バネ70は、加圧アーム60を加圧ローラ3に向けて付勢する引張コイルバネである。加圧バネ70の付勢方向は、所定方向と略平行である。第1フレーム41は、加圧バネ70の一端が引っ掛かる第1バネ掛け41Eを有する。
【0051】
カム80は、加圧バネ70の付勢力に抗して加圧アーム60を押圧可能となっている。具体的に、カム80は、
図3に示す第1位置と、
図4に示す第2位置との間で回動可能となっている。
【0052】
カム80が第1位置に位置するとき、ニップ圧は第1ニップ圧となる。カム80が第2位置に位置するとき、ニップ圧は、第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧となる。
【0053】
加圧アーム60は、本体部61と、被支持部62と、第1先端部63と、第2先端部64と、を有する。第1先端部63は、金属からなるベース部63Aと、樹脂からなるカムフォロア63B(
図5も参照)とを有する。本体部61、被支持部62、ベース部63Aおよび第2先端部64は、金属からなり、一体に形成されている。カムフォロア63Bは、ベース部63Aに嵌め込まれている。
【0054】
本体部61は、第1端E1および第2端E2を有する。本体部61は、第1端E1から所定方向の一方側に延びた後、搬送方向の下流側に延び、搬送方向の下流端が第2端E2となっている。本体部61は、第1端E1と第2端E2の間に、加熱ユニット2を加圧ローラ3に向けて押圧する加圧面F1を有する。
【0055】
ここで、加熱ユニット2は、軸方向の各端部に、サイドガイドSGを有している。サイドガイドSGは、ステイSTの軸方向の端部を支持する。サイドガイドSGは、第1フレーム41に移動可能に支持されている。加圧面F1は、サイドガイドSGを加圧ローラ3に向けて押圧する。
【0056】
被支持部62は、本体部61の第1端E1に位置する。被支持部62は、第1フレーム41の第1支持部41Dで支持されている。
【0057】
第1先端部63は、本体部61の第2端E2に位置する。第1先端部63は、カム80によって押圧される被押圧面F2を有する。詳しくは、ベース部63Aは、本体部61の第2端E2から搬送方向の下流側に向かうにつれて所定方向の一方側に位置するように、搬送方向に対して傾斜した方向に延びている。ベース部63Aに取り付けられたカムフォロア63Bは、被押圧面F2を有している。
【0058】
第2先端部64は、本体部61の第2端E2に位置する。第2先端部64は、第1先端部63とは異なる方向に延びる。第2先端部64は、加圧バネ70の他端が引っ掛かる第2バネ掛け64Aを有する。
【0059】
図7に示すように、フレーム4は、開口4Aを有する。開口4Aは、ニップ部NPに向けて搬送されるシートSが通る開口である。開口4Aは、ニップ部NPに対して搬送方向の上流側に位置する。
【0060】
定着装置1は、シャッタ50をさらに備えている。シャッタ50は、
図7(a)に示す閉位置と、
図7(b)に示す開位置との間で、第1軸X1を中心として回動可能となっている。シャッタ50は、閉位置に位置するとき、開口4Aを閉じる。シャッタ50は、開位置に位置するとき、開口4Aを開放する。シャッタ50は、後述するボス52を介して第2フレーム42に回動可能に支持されている。ボス52は、搬送方向において、ニップ部NPよりも上流側に配置されている。シャフトSFは、搬送方向において、ニップ部NPよりも下流側に配置されている。つまり、第2軸X2は、搬送方向において、ニップ部NPよりも下流側に配置されている。
【0061】
図8に示すように、シャッタ50は、シャッタ本体51と、ボス52と、連結部53と、突起54とを有する。シャッタ50は、樹脂などからなる。シャッタ本体51、ボス52、連結部53および突起54は、一体に形成されている。
【0062】
シャッタ本体51は、第1板状部51Aと、第2板状部51Bと、複数のリブ51Cとを有する。第1板状部51Aは、軸方向に長い板状の部位である。第1板状部51Aは、複数の孔H2を有する。複数の孔H2は、第1板状部51Aの短手方向に複数並ぶとともに、第1板状部51Aの長手方向に複数並んでいる。
【0063】
第2板状部51Bは、軸方向に長い板状の部位である。第2板状部51Bは、複数の孔を有さない。第2板状部51Bは、第1板状部51Aの短手方向の一端から延びている。
【0064】
複数のリブ51Cは、第1板状部51Aと第2板状部51Bの間に配置されている。複数のリブ51Cは、第1板状部51Aと第2板状部51Bを連結する。
【0065】
ボス52は、シャッタ本体51の軸方向の一端側と他端側のそれぞれに配置されている。各ボス52は、円柱状である。各ボス52の中心は、第1軸X1と一致する。
【0066】
連結部53は、ボス52をシャッタ本体51に連結する。連結部53は、シャッタ本体51の軸方向の一端側と他端側のそれぞれに配置されている。
【0067】
突起54は、シャッタ本体51の軸方向の一端側に配置されている。詳しくは、突起54は、第1板状部51Aの軸方向の一端から軸方向に延びている。突起54は、軸方向に直交する方向において、ボス52とは異なる位置に位置する。
【0068】
突起54は、抜け止め部54Aを有する。抜け止め部54Aは、突起54の先端に位置する。抜け止め部54Aは、突起54の外周面から突出する。
【0069】
図9および
図10に示すように、定着装置1は、シャッタ50を開閉させるためのシャッタ作動機構90をさらに備えている。
図11に示すように、シャッタ作動機構90は、シャッタアーム91と、アームカム92と、バネ93とを備える。シャッタアーム91およびアームカム92は、樹脂などからなる。バネ93は、金属などからなる。
【0070】
シャッタアーム91は、第2軸X2を中心として回動することによって、シャッタ50を閉位置と開位置との間で回動させる機能を有する(
図9および
図10参照)。シャッタアーム91は、アーム本体91Aと、第1連結部91Bと、第2連結部91Cとを有する。アーム本体91A、第1連結部91Bおよび第2連結部91Cは、一体に形成されている。
【0071】
第1連結部91Bは、アームカム92の円筒部92Aが入る孔H3を有する。第1連結部91Bは、円筒部92Aを介して、シャフトSFに連結されている。第1連結部91Bは、円筒部92Aを介して、シャフトSFに回動可能に支持されている。これにより、シャッタアーム91は、第2軸X2を中心として回動可能となっている。また、シャッタアーム91は、シャフトSFとは独立して回動可能である。
【0072】
第2連結部91Cは、シャッタ50の突起54が入る長孔H4を有する。第2連結部91Cは、長孔H4によって、シャッタ50の突起54に連結されている。
【0073】
アーム本体91Aは、第1連結部91Bと第2連結部91Cを連結している。アーム本体91Aは、ボスB1を有する。
【0074】
図12(a)に示すように、シャッタ50が閉位置にあるとき、シャッタ50の突起54は、第1軸X1と第2軸X2を結ぶ直線L1に対してニップ部NP側に位置する。
図13(a)に示すように、シャッタ50が開位置にあるとき、シャッタ50の突起54は、直線L1に対してニップ部NPとは反対側に位置する。シャッタアーム91は、コネクタCに対して第3軸X3とは反対側に配置されている。
【0075】
図11に示すように、アームカム92は、第2軸X2を中心として回動することによって、第2軸X2からずれた位置でシャッタアーム91を押し、シャッタアーム91を第2軸X2を中心として回動させるカムである。具体的には、アームカム92は、シャッタアーム91のボスB1を周方向に押圧する。ここで、周方向とは、第2軸X2を中心とした円に沿った方向である。アームカム92は、円筒部92Aと、押圧部92Bと、ボスB2と、連結部92Cとを有する。円筒部92A、押圧部92B、ボスB2および連結部92Cは、一体に形成されている。押圧部92BおよびボスB2は、連結部92Cによって円筒部92Aに連結されている。
【0076】
円筒部92Aは、シャフトSFが入る孔H5を有する。円筒部92Aは、シャフトSFに回動可能に支持されている。これにより、アームカム92は、第2軸X2を中心として回動可能となっている。アームカム92は、シャフトSFとは独立して回動可能である。円筒部92Aは、シャッタアーム91の孔H3に入る。円筒部92Aは、シャッタアーム91を回動可能に支持する。
【0077】
ボスB2は、後述する連結リンク200(
図17参照)から力が入力される部位である。ボスB2は、軸方向に直交する方向において、第2軸X2とは異なる位置に位置する。
【0078】
押圧部92Bは、第2軸X2からずれた位置に位置する。押圧部92Bは、シャッタアーム91のボスB1が入る長孔H6を有する。長孔H6は、第2軸X2を中心とする円弧状となっている。長孔H6は、シャッタアーム91のボスB1の変位を許容する。押圧部92Bは、円弧状の長孔H6に沿った筒状となっている。
図9に示すように、押圧部92Bの軸方向における他方側の端部は、長孔H6の一端側の部分が切り欠かれることで、アームカム92の回動方向においてバネ93と接触可能なバネ接触部Tとなっている。
【0079】
図12(b)に示すように、バネ93は、トーションバネであり、コイル部93Aと、第1アーム部93Bと、第2アーム部93Cとを有する。アームカム92の円筒部92Aは、コイル部93A内に入っている。円筒部92Aは、コイル部93Aを支持する。第1アーム部93Bと第2アーム部93Cのなす角は、鋭角となっている。
【0080】
バネ接触部Tは、第1アーム部93Bと第2アーム部93Cの間に位置する。バネ接触部Tは、第1接触面T1と、凹部T3とを有する。第1接触面T1は、アームカム92の回動方向において、第1アーム部93Bと接触可能な面である。
【0081】
凹部T3は、
図12(a)に示す長孔H6の一部を切り欠いた形状を有する。凹部T3は、第2アーム部93Cに向けて開口する。シャッタアーム91のボスB1は、凹部T3内を移動可能である。凹部T3の底面は、アームカム92の回動方向においてシャッタアーム91のボスB1と接触可能な第2接触面T2となっている。アームカム92の回動方向において、第2接触面T2は、第1接触面T1とボスB1の間に位置する。また、ボスB1は、アームカム92の回動方向において、第2接触面T2と第2アーム部93Cの間に位置する。
【0082】
図12(a)に示すように、シャッタ50が閉位置にあるとき、
図12(b)に示すように、アームカム92の第1接触面T1が第1アーム部93Bと接触し、第2アーム部93Cがシャッタアーム91のボスB1と接触する。第2アーム部93Cがシャッタアーム91のボスB1と接触する位置は、第2軸X2からずれた位置である。これにより、アームカム92は、バネ93を介してシャッタアーム91を押圧することで、シャッタ50を閉位置に位置させている。
【0083】
図13(a)に示すように、シャッタ50が開位置にあるとき、
図13(b)に示すように、アームカム92の第2接触面T2が、シャッタアーム91のボスB1と接触する。第2接触面T2がシャッタアーム91のボスB1と接触する位置は、第2軸X2からずれた位置である。これにより、アームカム92は、シャッタアーム91に接触することで、シャッタ50を開位置に位置させている。
【0084】
図14に示すように、シャッタアーム91は、軸方向において、第1加圧アーム60Aに対して第2加圧アーム60Bとは反対側に配置されている。シャッタアーム91は、軸方向において、アームカム92と第1加圧アーム60Aの間に配置されている。
【0085】
図15および
図16に示すように、画像形成装置100は、画像形成装置本体としての本体筐体110と、ユニット120と、連結リンク200と、前述した定着装置1とを備えている。なお、
図15では、定着装置1のうちアームカム92を代表して図示し、定着装置1のその他の部分は省略する。
【0086】
図16に示すように、ユニット120は、感光ドラム121を有する。感光ドラム121は、ユニット軸の一例としてのドラム軸122を有する。ドラム軸122は、感光ドラム121の回転中心に位置する。ユニット120は、本体筐体110に着脱可能である。
図15に示すように、本体筐体110は、ドラム軸122を案内するガイドレール111を有する。
【0087】
図17に示すように、連結リンク200は、ユニット120が本体筐体110に装着されるときにシャッタ50を閉位置から開位置に回動させ、ユニット120が本体筐体110から離脱されるときにシャッタ50を開位置から閉位置に回動させる機構である。連結リンク200は、当接片210と、第1回動リンク220と、直動リンク230と、第2回動リンク240とを備えている。
【0088】
当接片210は、ドラム軸122と当接して移動可能となっている。当接片210は、図示せぬ当接片レールによって移動可能に支持されている。なお、当接片レールは、本体筐体110等に設けられている。
【0089】
当接片210は、本体部211と、第1突起212と、第2突起213とを有している。第1突起212および第2突起213は、本体部211から軸方向に突出する。
【0090】
第1突起212は、ユニット120が本体筐体110に装着されるときにドラム軸122と当接する。第2突起213は、ユニット120が本体筐体110から離脱されるときにドラム軸122と当接する。
【0091】
なお、本実施形態においては、当接片210はドラム軸122と当接して移動するように構成されているが、ユニット120に、ドラム軸122とは別のガイド突起を形成し、当接片210がガイド突起と当接して移動するように構成することもできる。この場合、ガイド突起が、ユニット軸に相当する。
【0092】
第1回動リンク220は、当接片210と直動リンク230とに連結される略直線状の部材である。第1回動リンク220の一端部は、当接片210の本体部211を回動可能に支持する。
【0093】
直動リンク230は、第1回動リンク220と第2回動リンク240とに連結される略直線状の部材である。直動リンク230は、本体筐体110に対して前後方向に移動可能となっている。直動リンク230の一端部は、第1回動リンク220を回動可能に支持する。直動リンク230の他端部は、上下方向に延びる長孔H7を有する。
【0094】
第2回動リンク240は、直動リンク230と連結され、第4軸X4を中心として本体筐体110に回動可能に支持されている。第2回動リンク240は、本体筐体110に回動可能に支持される支持部241と、支持部241から略下方へ延出する第1アーム242と、支持部241から略上方へ延出する第2アーム243とを有している。
【0095】
第1アーム242は、直動リンク230の長孔H7に入るボスB3を有する。第2アーム243は、長孔H8を有する。長孔H8は、第4軸X4を中心とする円弧状となっている。
【0096】
アームカム92のボスB2は、第2回動リンク240の長孔H8に入る。以上により、当接片210に入力された力は、第1回動リンク220、直動リンク230および第2回動リンク240を介して、アームカム92に伝達されるようになっている。
【0097】
画像形成装置100は、シャッタ50を開位置または閉位置に保持するためのロック300をさらに備えている。具体的には、ロック300は、直動リンク230を押圧することにより直動リンク230の前後方向への移動を規制する。ロック300は、直動リンク230に当接するロックアーム310と、ロックアーム310を直動リンク230へ向けて付勢するロックバネ320とを有している。
【0098】
ロックアーム310は、第5軸X5を中心として本体筐体110に回動可能に支持されている。直動リンク230は、ロック300側へ向けて突出するリンク突起231を有している。ロックアーム310の先端部311は、直動リンク230の前後方向への移動に伴って、ロックバネ320の付勢力に抗してリンク突起231を乗り越えることが可能である。
【0099】
ロックアーム310の先端部311がリンク突起231の後側に位置しているときには、直動リンク230の後方への移動が規制される。ロックアーム310の先端部311がリンク突起231の前側に位置しているときには、直動リンク230の前方への移動が規制される。
【0100】
次に、シャッタ作動機構90と連結リンク200の動作について説明する。
まず、ユニット120を本体筐体110に装着するときのシャッタ作動機構90および連結リンク200の動作について説明する。なお、以下の説明では、シャッタ50が閉位置に位置するときのアームカム92の位置を「閉対応位置」とも称し、シャッタ50が開位置に位置するときのアームカム92の位置を「開対応位置」とも称する。
【0101】
図17に示すように、ユニット120のドラム軸122を本体筐体110のガイドレール111に挿入していくと、ドラム軸122が、当接片210の第1突起212に当接し、当接片210を後方に押す。これにより、
図18に示すように、ドラム軸122から当接片210に加わった力が、第1回動リンク220および直動リンク230を介して第2回動リンク240に伝わり、第2回動リンク240が図示時計回りに回動する。
【0102】
第2回動リンク240が図示時計回りに回動すると、第2回動リンク240が、アームカム92のボスB2を押すことで、アームカム92が閉対応位置から開対応位置に回動する。
【0103】
アームカム92が閉対応位置から開対応位置に回動する過程においては、
図13(b)に示すように、アームカム92の第2接触面T2がシャッタアーム91のボスB1を押すことで、シャッタアーム91が
図12(a)に示す位置から
図13(a)に示す位置に回動する。これにより、シャッタアーム91に連結されたシャッタ50が閉位置から開位置に回動する。
【0104】
図19に示すように、本体筐体110に装着された状態のユニット120を、本体筐体110から外していくと、ドラム軸122が、ガイドレール111に沿って前方に移動することで、当接片210の第2突起213に当接し、当接片210を前方に押す。これにより、ドラム軸122から当接片210に加わった力が、第1回動リンク220および直動リンク230を介して第2回動リンク240に伝わり、第2回動リンク240が図示反時計回りに回動する。
【0105】
第2回動リンク240が図示反時計回りに回動すると、第2回動リンク240が、アームカム92のボスB2を押すことで、アームカム92が開対応位置から閉対応位置に回動する。
【0106】
アームカム92が開対応位置から閉対応位置に回動する過程においては、
図12(b)に示すように、アームカム92の第1接触面T1がバネ93を介してシャッタアーム91のボスB1を押すことで、シャッタアーム91が
図13(a)に示す位置から
図12(a)に示す位置に回動する。これにより、シャッタアーム91に連結されたシャッタ50が開位置から閉位置に回動する。
【0107】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
図11に示すように、シャッタアーム91の回動軸がカム80の回動軸と同軸であるので、シャッタアーム91が定着装置1のフレーム4から突出する量を少なくすることができ、画像形成装置100が大型化するのを抑えることができる。
【0108】
図12および
図13に示すように、シャッタ50が閉位置にあるときに、突起54が直線L1に対してニップ部NP側に位置し、シャッタ50が開位置にあるときに、突起54が直線L1に対してニップ部NPとは反対側に位置することで、シャッタアーム91の長孔H4の長さを短くしてもシャッタ50の開閉動作を行うことができるので、シャッタアーム91が大型化するのを抑えることができる。
【0109】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。
【0110】
前記実施形態では、ユニットを本体筐体に装着する動作に連動してシャッタアームが動く構造としたが、例えば、ユニットを本体筐体に着脱するための本体筐体の開口を開閉するカバーの動作に連動してシャッタアームが動いてもよい。つまり、シャッタアームは、画像形成装置本体の開口を開閉するカバーを閉じたときに、シャッタを閉位置から開位置に回動させてもよい。この場合、例えば、カバーを開いた場合にシャッタを閉位置に位置させ、カバーを閉じた場合にシャッタを開位置に位置させるように、シャッタアームとカバーをカムやリンクなどを用いて連動させればよい。
【0111】
前記実施形態では、シャッタがボスを有する構成としたが、例えば、定着装置のフレームがボスを有し、シャッタは、ボスが入る穴を有していてもよい。
【0112】
前記実施形態では、シャッタが閉位置にあるときに、突起が直線L1に対してニップ部側に位置し、シャッタが開位置にあるときに、突起が直線L1に対してニップ部とは反対側に位置したが、例えば、シャッタが閉位置と開位置のどちらに位置しても突起が直線L1に対してニップ部側に位置してもよいし、シャッタが閉位置と開位置のどちらに位置しても突起が直線L1に対してニップ部とは反対側に位置してもよい。
【0113】
給電端子は、基板の長手方向の両端部に設けられていてもよい。
【0114】
バネは、トーションバネに限らず、例えば、板バネや線バネなどであってもよい。
【0115】
第1回転体は、ベルトに限らず、例えば円筒状の金属管を有する加熱ローラであってもよい。
【0116】
第2回転体は、加圧ローラに限らず、例えば、加圧パッドとベルトとを有する加圧ユニットのベルトであってもよい。この場合、第2回転体としてのベルトは、加圧パッドと第1回転体の間で挟まれていてもよい。
【0117】
また、第1回転体は、加圧ローラや加圧ユニットのベルトなどであってもよい。また、第2回転体は、ヒータで加熱されるベルトや加熱ローラなどであってもよい。
【0118】
画像形成装置の本体筐体に着脱可能であるユニットは、現像ローラを有していてもよいし、トナーを収容する収容器を有していてもよい。ユニットは、感光ドラム、現像ローラ、収容器の少なくとも一つを有していればよい。
【0119】
ヒータは、セラミックヒータに限らず、例えば、ハロゲンランプなどであってもよい。この場合、加熱ユニットは、ベルトと、加圧ローラとの間でベルトを挟むニップ板と、ニップ板を加熱するヒータとを備える構成としてもよい。
【0120】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 定着装置
2 加熱ユニット
3 加圧ローラ
4 フレーム
4A 開口
10 ヒータ
50 シャッタ
60 加圧アーム
80 カム
91 シャッタアーム
92 アームカム
NM ニップ圧変更機構
NP ニップ部
SF シャフト
X1 第1軸
X2 第2軸