(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147661
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】定着装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20231005BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G15/20 505
G03G21/16 185
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055302
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】畠山 真一
(72)【発明者】
【氏名】田口 和奈
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA21
2H033BA06
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BB01
2H033BB18
2H033BB21
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H171FA03
2H171FA04
2H171FA19
2H171GA13
2H171JA23
2H171JA29
2H171JA33
2H171KA09
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA24
2H171KA25
2H171KA27
2H171KA28
2H171LA08
2H171PA07
2H171PA14
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB32
2H171QC36
2H171UA02
(57)【要約】
【課題】定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができる定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置本体に取り付けられる定着装置8であって、ヒータと、ヒータにより加熱される無端状のベルトBLと、ベルトBLとの間でニップ部を形成する加圧ローラ82と、ベルトBLおよび加圧ローラ82を支持する樹脂製のフレーム40であって、加圧ローラ82の長手方向におけるフレーム40の一端部に位置する第1側壁40Aを有するフレーム40と、第1側壁40Aに固定される金属製の補強板50とを備える。補強板50は、定着装置8を画像形成装置本体に位置決めするための、長手方向に突出する突起51を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に取り付けられる定着装置であって、
ヒータと、
前記ヒータにより加熱される加熱部材と、
前記加熱部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、
前記加熱部材および前記加圧部材を支持する樹脂製のフレームであって、前記加圧部材の長手方向における前記フレームの一端部に位置する側壁を有するフレームと、
前記側壁に固定される金属製の補強板と、を備え、
前記補強板は、定着装置を前記画像形成装置本体に位置決めするための、前記長手方向に突出する突起を有することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記補強板の前記長手方向における外側に配置される第1ギヤであって、前記加熱部材または前記加圧部材の前記長手方向における一端部に取り付けられた第1ギヤと、
前記補強板の前記長手方向における外側に配置される第2ギヤであって、前記第1ギヤに駆動力を伝達する第2ギヤと、を備え、
前記突起は、前記第2ギヤを回転可能に支持することを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記第2ギヤは、前記第1ギヤと噛み合うことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記補強板と前記第1ギヤは、前記長手方向に隙間をあけた状態で配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記加熱部材は、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトであり、
前記加圧部材は、前記長手方向の一端部に前記第1ギヤが取り付けられた加圧ローラであることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記突起は、前記長手方向から見て、前記加熱部材の外周の内側の位置に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記側壁は、
前記長手方向と直交する方向である移動方向に延びる第1壁部と、
前記移動方向に延びる第2壁部であって、前記第1壁部との間で前記加熱部材または前記加圧部材を前記移動方向に移動可能に支持する第2壁部と、
前記第1壁部の前記移動方向における一端部と、前記第2壁部の前記移動方向における一端部とを接続する第3壁部と、
前記第1壁部、前記第2壁部および前記第3壁部により形成される凹部であって、前記移動方向において前記第3壁部が位置する側とは反対側が開放された凹部と、を有し、
前記補強板は、前記第1壁部と前記第2壁部とにわたって配置され、前記第1壁部および前記第2壁部に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
前記補強板は、前記側壁に固定されるプレート本体と、前記突起である金属棒であって、前記プレート本体にかしめられた金属棒と、を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記加熱部材および前記加圧部材のうち一方の部材を他方の部材に向けて押圧する加圧アームを備え、
前記フレームは、前記長手方向に延びるボスを有し、
前記ボスは、ネジにより前記補強板を前記フレームに固定するための穴を有し、
前記加圧アームは、前記ボスに係合して前記フレームに回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記画像形成装置本体と、
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置であって、所定の取付方向に沿って前記画像形成装置本体に取り付けられる定着装置と、を備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置本体は、
前記取付方向に延び、前記取付方向における上流側が開放され、前記取付方向における下流側が閉じられた溝であって、前記突起が嵌る溝と、
前記第2ギヤと噛み合う駆動ギヤであって、前記第2ギヤを支持する前記突起を前記溝の前記取付方向における下流側に向けて付勢するように回転する駆動ギヤと、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記溝は、前記取付方向における上流側に向けて幅が広くなっていることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、ヒータと、ヒータにより加熱されるエンドレスベルトと、エンドレスベルトとの間でニップ部を形成する加圧ローラと、加圧ローラを支持する樹脂製のフレームとを備えるものが知られている(特許文献1)。この技術では、樹脂製のフレームの側壁に突出する係合部が設けられ、係合部が画像形成装置本体に設けられた係合リブに係合することで、定着装置が画像形成装置本体に位置決めされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂製のフレームに係合部のような画像形成装置本体に対する位置決め部が設けられていると、トナー像の熱定着によりフレームの温度が高くなった場合に、定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができない可能性がある。
【0005】
そこで、定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができる定着装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
定着装置は、画像形成装置本体に取り付けられる定着装置であって、ヒータと、ヒータにより加熱される加熱部材と、加熱部材との間でニップ部を形成する加圧部材と、加熱部材および加圧部材を支持する樹脂製のフレームであって、加圧部材の長手方向におけるフレームの一端部に位置する側壁を有するフレームと、側壁に固定される金属製の補強板と、を備える。
補強板は、定着装置を画像形成装置本体に位置決めするための、前記長手方向に突出する突起を有する。
【0007】
このような構成によれば、定着装置のフレームの側壁に固定された金属製の補強板の突起により定着装置を画像形成装置本体に位置決めすることで、フレームの温度が高くなっても定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができる。また、温度が高くなる樹脂製のフレームを金属製の補強板によって補強することができる。
【0008】
また、定着装置は、補強板の前記長手方向における外側に配置される第1ギヤであって、加熱部材または加圧部材の前記長手方向における一端部に取り付けられた第1ギヤと、補強板の前記長手方向における外側に配置される第2ギヤであって、第1ギヤに駆動力を伝達する第2ギヤと、を備え、突起は、第2ギヤを回転可能に支持していてもよい。
【0009】
これによれば、突起に、定着装置の位置を決める機能と、第2ギヤを回転可能に支持する機能とを持たせることができる。これにより、定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができるとともに、第2ギヤの支持軸の剛性を向上させることができる。また、定着装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0010】
また、第2ギヤは、第1ギヤと噛み合っていてもよい。
【0011】
これによれば、定着装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0012】
また、補強板と第1ギヤは、前記長手方向に隙間をあけた状態で配置されていてもよい。
【0013】
これによれば、補強板と第1ギヤが接触しないので、摩耗や接触音の発生を抑制することができる。
【0014】
一例として、加熱部材は、ヒータの周りを回転する無端状のベルトであり、加圧部材は、前記長手方向の一端部に第1ギヤが取り付けられた加圧ローラである。
【0015】
また、突起は、前記長手方向から見て、加熱部材の外周の内側の位置に配置されていてもよい。
【0016】
これによれば、定着装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0017】
また、側壁は、前記長手方向と直交する方向である移動方向に延びる第1壁部と、前記移動方向に延びる第2壁部であって、第1壁部との間で加熱部材または加圧部材を前記移動方向に移動可能に支持する第2壁部と、第1壁部の前記移動方向における一端部と、第2壁部の前記移動方向における一端部とを接続する第3壁部と、第1壁部、第2壁部および第3壁部により形成される凹部であって、前記移動方向において第3壁部が位置する側とは反対側が開放された凹部と、を有し、補強板は、第1壁部と第2壁部とにわたって配置され、第1壁部および第2壁部に固定されていてもよい。
【0018】
これによれば、凹部を有することにより側壁の強度が弱くなる部分を金属製の補強板によって効果的に補強することができる。
【0019】
また、補強板は、側壁に固定されるプレート本体と、突起である金属棒であって、プレート本体にかしめられた金属棒と、を有する構成であってもよい。
【0020】
また、定着装置は、加熱部材および加圧部材のうち一方の部材を他方の部材に向けて押圧する加圧アームを備え、フレームは、前記長手方向に延びるボスを有し、ボスは、ネジにより補強板をフレームに固定するための穴を有し、加圧アームは、ボスに係合してフレームに回動可能に支持されていてもよい。
【0021】
これによれば、ボスに、補強板の固定部分としての機能と、加圧アームを回動可能に支持する機能とを持たせることができる。これにより、定着装置をコンパクトな構成とすることができる。
【0022】
また、画像形成装置は、画像形成装置本体と、上述の定着装置であって、所定の取付方向に沿って画像形成装置本体に取り付けられる定着装置と、を備える画像形成装置であって、画像形成装置本体は、取付方向に延び、取付方向における上流側が開放され、取付方向における下流側が閉じられた溝であって、突起が嵌る溝と、第2ギヤと噛み合う駆動ギヤであって、第2ギヤを支持する突起を溝の取付方向における下流側に向けて付勢するように回転する駆動ギヤと、を有する構成であってもよい。
【0023】
このような構成によれば、駆動ギヤが回転したときに突起を溝の閉じられた方に付勢することができるので、突起が溝から抜けることを抑制することができるとともに、定着装置を画像形成装置本体に対して確実に位置決めすることができる。
【0024】
また、溝は、取付方向における上流側に向けて幅が広くなっていてもよい。
【0025】
これによれば、定着装置を画像形成装置本体に取り付ける際に、突起を溝に容易に嵌めることができる。
【発明の効果】
【0026】
上述の定着装置および画像形成装置によれば、定着装置を画像形成装置本体に対して精度良く位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図3】加熱ユニットと加圧ローラの間のニップ圧を第1ニップ圧とした状態のニップ圧変更機構を示す断面図である。
【
図4】ニップ圧を第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧とした状態のニップ圧変更機構を示す断面図である。
【
図5】フレームを示す斜視図(a)と、側面図(b)である。
【
図6】フレームの一端部と、補強板、第1ギヤ、第2ギヤおよびギヤカバーを示す斜視図である。
【
図7】定着装置を示す側面図(a)と、ギヤカバーを外した状態の側面図(b)である。
【
図8】
図7(b)のX-X断面を示す断面図である。
【
図9】画像形成装置本体のサイドフレームを示す斜視図である。
【
図10】サイドフレームの、溝付近を拡大して示す側面図である。
【
図11】画像形成装置本体に取り付けられた定着装置の一端部付近を示す斜視図である。
【
図12】突起が画像形成装置本体の溝に嵌り、第2ギヤが駆動ギヤと噛み合った状態の定着装置を示す側面図(a)と、駆動ギヤから第2ギヤにかかる力を説明する図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、定着装置および画像形成装置の一実施形態について説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、モノクロプリンタであり、画像形成装置本体1Aと、定着装置8とを備える。画像形成装置本体1Aは、筐体2と、シート供給部3と、露光装置4とを備える。画像形成装置本体1Aには、ドラムカートリッジ6と現像カートリッジ7が着脱可能である。
【0029】
シート供給部3は、シートトレイ31と、圧板32と、シート供給機構33とを備える。シートトレイ31は、筐体2に着脱可能である。シート供給部3は、シートトレイ31に収容されたシートSを圧板32によりシート供給機構33に寄せ、シート供給機構33により1枚ずつ感光ドラム6Aと転写ローラ6Cの間に向けて供給する。
【0030】
露光装置4は、図示しない光源、符号を省略して示すポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備える。露光装置4は、一点鎖線で示す光ビームを感光ドラム6Aの表面に照射することで、感光ドラム6Aの表面を露光する。
【0031】
ドラムカートリッジ6は、筐体2のフロントカバー21を開いた状態で筐体2の開口を通して筐体2に着脱可能である。ドラムカートリッジ6は、感光ドラム6Aと、帯電器6Bと、転写ローラ6Cとを備える。
【0032】
現像カートリッジ7は、ドラムカートリッジ6に着脱可能である。現像カートリッジ7は、ドラムカートリッジ6に装着された状態で筐体2に着脱可能である。現像カートリッジ7は、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容する収容部74と、アジテータ75とを備える。
【0033】
現像カートリッジ7は、収容部74に収容されたトナーを、アジテータ75により攪拌しながら供給ローラ72に供給し、供給ローラ72から現像ローラ71に供給する。現像ローラ71に供給されたトナーは、現像ローラ71の回転により現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して現像ローラ71上で一定の厚さの薄層として担持される。
【0034】
定着装置8は、加熱ユニット81と、加圧部材の一例としての加圧ローラ82とを備える。加熱ユニット81は、ヒータ10と、ホルダ20と、加熱部材の一例としてのベルトBLとを有する。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。ベルトBLは、ヒータ10の周りを回転する無端状のベルトであり、ヒータ10により加熱される。ホルダ20は、ヒータ10およびベルトBLを支持するとともに、ベルトBLの回転を案内する機能を有する。加圧ローラ82は、金属製のシャフト82Aと、ゴムなどからなりシャフト82Aの一部を被覆するローラ部82Bとを有し、ベルトBLとの間でニップ部NPを形成する。
【0035】
画像形成装置1は、帯電器6Bにより感光ドラム6Aの表面を一様に帯電し、露光装置4により感光ドラム6Aの表面を露光することで、感光ドラム6A上に画像データに基づく静電潜像を形成する。次に、感光ドラム6A上に形成された静電潜像に現像ローラ71からトナーを供給することで、感光ドラム6A上にトナー像を形成する。
【0036】
次に、シート供給部3から供給されたシートSが感光ドラム6Aと転写ローラ6Cの間を通過することで、感光ドラム6A上に形成されたトナー像がシートSに転写される。定着装置8は、トナー像が転写されたシートSを加熱ユニット81と加圧ローラ82の間で搬送することで、トナー像をシートSに熱定着する。トナー像が熱定着されたシートSは、搬送ローラ23および排出ローラ24によって排出トレイ22上に排出される。
【0037】
図2に示すように、定着装置8は、樹脂製のフレーム40と、金属製の補強板50と、第1ギヤG1と、第2ギヤG2と、ギヤカバー90とを備える。また、
図3および
図4に示すように、定着装置8は、加熱ユニット81と加圧ローラ82の間のニップ圧を変更するためのニップ圧変更機構NMを備える。
【0038】
フレーム40は、ベルトBLおよび加圧ローラ82を支持する。詳しくは、フレーム40は、ベルトBLをホルダ20を介して支持するとともに、加圧ローラ82をベアリングBRを介して回転可能に支持する。また、フレーム40は、加熱ユニット81を移動方向に移動可能に支持する。詳しくは、フレーム40は、ホルダ20を介してヒータ10およびベルトBLを所定の移動方向に移動可能に支持する。
【0039】
加熱ユニット81(ヒータ10、ホルダ20およびベルトBL)の移動方向は、加圧ローラ82の長手方向と直交する方向である。なお、以下の説明では、加熱ユニット81の移動方向を単に「移動方向」とも称し、加圧ローラ82の長手方向を単に「長手方向」とも称する。
【0040】
図5(a)に示すように、フレーム40は、長手方向におけるフレーム40の一端部に位置する側壁の一例としての第1側壁40Aと、長手方向におけるフレーム40の他端部に位置する第2側壁40Bとを有する。
図5(b)および
図6に示すように、第1側壁40Aは、第1壁部41と、第2壁部42と、第3壁部43と、凹部44とを有している。
【0041】
第1壁部41と第2壁部42は、移動方向と直交する対向方向に間隔をあけた状態で配置され、移動方向に延びている。第2壁部42は、第1壁部41との間でホルダ20の長手方向における一端部を挟んだ状態で、ホルダ20を移動方向に移動可能に支持し、これによって、ホルダ20に支持されたベルトBLを移動方向に移動可能に支持する。第3壁部43は、第1壁部41の移動方向における一端部と、第2壁部42の移動方向における一端部とを接続する。
【0042】
凹部44は、第1壁部41、第2壁部42および第3壁部43により形成されている。凹部44は、移動方向において第3壁部43が位置する側とは反対側が開放された形状を有する。凹部44は、ベアリングBRを介して加圧ローラ82のシャフト82Aの長手方向の一端部を支持するローラ支持部44Aと、ホルダ20を長手方向における一端部を移動方向に移動可能に支持するレール部44Bとを有している。
【0043】
レール部44Bは、移動方向において、ローラ支持部44Aよりも第3壁部43から遠い位置に位置している。第1壁部41と第2壁部42が対向する方向は、移動方向および長手方向の両方と直交する方向である。なお、以下の説明では、第1壁部41と第2壁部42が対向する方向を「対向方向」とも称する。
【0044】
フレーム40は、ボスの一例としての第1ボス45と、第2ボス46と、第3ボス47と、第4ボス48とを有している。第1ボス45、第2ボス46、第3ボス47および第4ボス48は、長手方向に延びるように設けられている。
【0045】
第1ボス45は、第1壁部41の移動方向における中央付近に設けられている。第2ボス46は、対向方向において第1ボス45と対向するように、第2壁部42の移動方向における中央付近に設けられている。第3ボス47は、第3壁部43に設けられている。第3ボス47は、対向方向において、第1ボス45と第2ボス46との間の位置に配置されている。第1ボス45、第2ボス46および第3ボス47は、ネジSC1,SC2,SC3により補強板50をフレーム40に固定するための穴45H,46H,47Hを有している。
【0046】
第4ボス48は、第2壁部42に設けられている。第4ボス48は、対向方向において、第2ボス46の、第1ボス45が位置する側とは反対側に配置されている。第4ボス48は、ネジSC4によりギヤカバー90をフレーム40に固定するための穴48Hを有している。第4ボス48は、長手方向において、第1ボス45、第2ボス46および第3ボス47よりも外側まで延びている。
【0047】
図5(a)に示すように、第2側壁40Bは、第1側壁40Aの凹部44と同様の構成を有する凹部44を有している。第2側壁40Bの凹部44は、加圧ローラ82のシャフト82Aの長手方向の他端部を図示しないベアリングを介して支持するとともに、ホルダ20の長手方向における他端部を移動方向に移動可能に支持する。ベルトBLを有する加熱ユニット81は、第1側壁40Aと第2側壁40Bとにより移動方向に移動可能に支持されている。
【0048】
図3に示すように、ニップ圧変更機構NMは、加圧アーム60と、加圧バネ70と、カム80とを備える。加圧アーム60、加圧バネ70およびカム80は、フレーム40の長手方向における一端部と他端部にそれぞれ配置されている。以下では、フレーム40の長手方向における一端部に配置された加圧アーム60、加圧バネ70およびカム80を図示しながらニップ圧変更機構NMについて説明する。
【0049】
加圧アーム60は、ベルトBLおよび加圧ローラ82のうち一方の部材を他方の部材に向けて押圧する。実施形態では、加圧アーム60は、ホルダ20を加圧ローラ82に向けて押圧することで、ホルダ20に支持されたベルトBLを加圧ローラ82に向けて押圧する。加圧アーム60は、本体部61と、被支持部62と、第1先端部63と、第2先端部64とを有する。
【0050】
本体部61は、ホルダ20を加圧ローラ82に向けて押圧する加圧面F1を有する。
被支持部62は、フレーム40に回動可能に支持されている。長手方向の一端部に配置された加圧アーム60は、被支持部62が第1ボス45に係合してフレーム40に回動可能に支持されている。被支持部62は、長手方向から見て、略C字型となる形状を有し、その内側に第1ボス45が配置されることで第1ボス45に係合する。
【0051】
第1先端部63は、金属からなるベース部63Aと、樹脂からなるカムフォロア63Bとを有する。本体部61、被支持部62、ベース部63Aおよび第2先端部64は、金属からなり、一体に形成されている。カムフォロア63Bは、ベース部63Aに嵌め込まれており、カム80によって押圧される被押圧面F2を有している。
第2先端部64は、本体部61の端から第1先端部63とは異なる方向に延びている。第2先端部64は、加圧バネ70の端部が引っ掛かるバネ掛け64Aを有する。
【0052】
加圧バネ70は、加圧アーム60を加圧ローラ82に向けて付勢する引張コイルバネである。フレーム40は、加圧バネ70の端部が引っ掛かるバネ掛け40Hを有し、加圧バネ70は、一端部がフレーム40のバネ掛け40Hに引っ掛けられ、他端部が加圧アーム60のバネ掛け64Aに引っ掛けられている。
【0053】
カム80は、フレーム40に回動可能に支持されており、加圧バネ70の付勢力に抗して加圧アーム60を押圧可能となっている。カム80は、
図3に示す第1位置と、
図4に示す第2位置との間で回動可能である。長手方向の一端部に配置されたカム80と、長手方向の他端部に配置された図示しないカム80は、金属製のシャフトSFに固定されており、一体に回動する。
【0054】
図3に示すように、カム80が第1位置に位置するとき、ニップ圧は第1ニップ圧となる。このとき、本体部61の加圧面F1は、ホルダ20に接触して、ホルダ20を加圧ローラ82に向けて押圧する。
図4に示すように、カム80が第2位置に位置するとき、ニップ圧は、第1ニップ圧よりも小さい第2ニップ圧となる。このとき、本体部61の加圧面F1は、ホルダ20から離間している。
【0055】
図6に示すように、補強板50は、第1側壁40Aに固定されている。補強板50は、定着装置8を画像形成装置本体1Aに位置決めするための突起51を有する。突起51は、円柱形状を有し、長手方向におけるフレーム40の外側に向けて突出する。補強板50は、プレート本体50Aと、金属棒50Bとを有する。
【0056】
プレート本体50Aは、金属板からなり、第1側壁40Aに固定されている。
金属棒50Bは、突起51を形成する部材であり、長手方向における第1側壁40Aに近い端部がプレート本体50Aにかしめられた状態でプレート本体50Aに固定されている。
図7(a)に示すように、突起51は、長手方向から見て、ベルトBLの外周の内側の位置に配置されている。
【0057】
図7(b)に示すように、補強板50は、第1側壁40Aの長手方向における外側で第1壁部41と第2壁部42とにわたって配置されている。さらに言えば、補強板50は、長手方向から見て、凹部44を覆うとともに、第1壁部41の一部と、第2壁部42の一部と、第3壁部43の一部とに重なった状態で配置されている。
【0058】
補強板50は、第1壁部41および第2壁部42と、第3壁部43とに固定されている。詳しくは、
図6に示すように、補強板50のプレート本体50Aは、第1ボス45に対応して設けられた孔55と、第2ボス46に対応して設けられた切欠56と、第3ボス47に対応して設けられた孔57とを有する。補強板50は、ネジSC1を孔55を通して第1ボス45に締結することで、第1壁部41に固定され、ネジSC2を切欠56を通して第2ボス46に締結することで、第2壁部42に固定されている。これにより、補強板50は、凹部44(
図7(b)参照)の対向方向における両側で第1壁部41および第2壁部42に固定されている。また、補強板50は、ネジSC3を孔57を通して第3ボス47に締結することで、第3壁部43に固定されている。
【0059】
第1ギヤG1は、加圧ローラ82の長手方向における一端部に取り付けられたギヤであり、加圧ローラ82と一体に回転する。詳しくは、第1ギヤG1は、加圧ローラ82のシャフト82Aの長手方向における一端部に係合し、EリングERによってシャフト82Aから抜けないように留められている。第1ギヤG1は、長手方向から見て、第1ボス45、第2ボス46および第3ボス47により囲まれるように配置されている。また、
図8に示すように、第1ギヤG1は、補強板50の長手方向における外側に配置されている。補強板50のプレート本体50Aと第1ギヤG1は、長手方向に隙間GP1をあけた状態で配置されている。
【0060】
また、プレート本体50Aは、加圧ローラ82のシャフト82Aの長手方向における一端部と第1ギヤG1の一部が通る孔59を有し、孔59の内周面と第1ギヤG1は、シャフト82Aの径方向にも隙間GP2をあけた状態で配置されている。すなわち、補強板50のプレート本体50Aと第1ギヤG1は、互いに接触しないように配置されている。
【0061】
図7(b)に示すように、第2ギヤG2は、第1ギヤG1に駆動力を伝達するギヤである。第1ギヤG1は、定着装置8が画像形成装置本体1Aに取り付けられた状態で、画像形成装置本体1Aに設けられた駆動ギヤGDと噛み合う。第1ギヤG1には、駆動ギヤGDから駆動力が入力される。第2ギヤG2は、補強板50の長手方向における外側に配置されている。第2ギヤG2は、第1ギヤG1と噛み合う。第2ギヤG2は、補強板50の突起51に係合して、突起51に回転可能に支持されている。すなわち、突起51は、第2ギヤG2を回転可能に支持する。
【0062】
図6に示すように、定着装置8は、第3ギヤG3をさらに備える。画像形成装置1は、加熱ユニット81と加圧ローラ82との間から排出されるシートSを搬送ローラ23(
図1参照)に向けて搬送する図示しない中間排出ローラを備えており、第3ギヤG3は、中間排出ローラに駆動力を伝達するギヤである。第3ギヤG3は、第2ギヤG2と噛み合う。第3ギヤG3は、第4ボス48に係合して、第4ボス48に回転可能に支持されている。
【0063】
ギヤカバー90は、ギヤG1~G3の一部を長手方向の外側から覆う部材であり、第1側壁40Aに取り付けられている。ギヤカバー90は、補強板50の突起51が通る孔91と、第1側壁40Aに設けられた第4ボス48の先端部が係合する孔98とを有する。ギヤカバー90は、ネジSC4を第4ボス48に締結することで、第1側壁40Aに固定されている。
【0064】
図9に示すように、画像形成装置本体1Aは、サイドフレーム25と、駆動ギヤGDとを有する。
サイドフレーム25は、画像形成装置本体1Aの筐体2を形成する部材の1つであり、定着装置8が画像形成装置本体1Aに取り付けられた状態で、定着装置8の長手方向における一端側に配置される。サイドフレーム25には、定着装置8の長手方向における一端部が固定される。
【0065】
サイドフレーム25は、定着装置8の突起51が嵌る溝26を有する。
図10に示すように、定着装置8は、所定の取付方向に沿って画像形成装置本体1Aに取り付けられ、溝26は、取付方向に沿うように延びている。溝26は、サイドフレーム25の長手方向における内側に配置される定着装置8に向けて開口している。また、溝26は、長手方向から見て、取付方向における上流側が開放され、取付方向における下流側が閉じられた形状を有する。
【0066】
溝26は、取付方向における上流側に向けて幅が広くなっている。詳しくは、溝26は、定着装置8の突起51が嵌る嵌合部26Aと、突起51を嵌合部26Aに案内する案内部26Bとを有し、案内部26Bの幅が取付方向における下流側から上流側にいくにつれて、言い換えると、嵌合部26Aから離れるにつれて広くなっている。嵌合部26Aは、取付方向における下流側が閉じられている。嵌合部26Aの幅は、突起51の直径と略同じである。
【0067】
図11に示すように、定着装置8の長手方向の一端部は、突起51が溝26に嵌った状態で、ネジSC5によりサイドフレーム25(画像形成装置本体1A)に固定されている。詳しくは、フレーム40は、第1側壁40Aから長手方向の外側に向けて延びる板状の固定部40Fを有し、定着装置8は、ネジSC5を固定部40Fに形成された孔40G(
図5(a)参照)を通してサイドフレーム25に締結することで、画像形成装置本体1Aに固定されている。
【0068】
図12(a)に示すように、駆動ギヤGDは、定着装置8が画像形成装置本体1Aに取り付けられた状態で、定着装置8の第2ギヤG2と噛み合う。駆動ギヤGDには、画像形成装置本体1Aに設けられた図示しないモータから駆動力が入力される。
【0069】
駆動ギヤGDは、第2ギヤG2を支持する突起51を溝26の取付方向における下流側に向けて付勢するように回転する。詳しくは、
図12(a),(b)に示すように、駆動ギヤGDは、駆動ギヤGDのギヤ歯GD1が第2ギヤG2のギヤ歯G21を押す力Pが、突起51を溝26の取付方向における下流側(嵌合部26Aの奥側)に向けて付勢する水平方向成分P1を有するように回転する。実施形態では、駆動ギヤGDは、
図12の反時計回りに回転する。
【0070】
上述の定着装置8によれば、定着装置8のフレーム40の第1側壁40Aに固定された金属製の補強板50の突起51により定着装置8を画像形成装置本体1Aに位置決めすることで、樹脂製のフレーム40の温度が高くなっても定着装置8を画像形成装置本体1Aに対して精度良く位置決めすることができる。また、温度が高くなる樹脂製のフレーム40を金属製の補強板50によって補強することができる。
【0071】
また、突起51は、第2ギヤG2を回転可能に支持するので、突起51に、定着装置8の位置を決める機能と、第2ギヤG2を回転可能に支持する機能とを持たせることができる。これにより、定着装置8を画像形成装置本体1Aに対して精度良く位置決めすることができるとともに、第2ギヤG2の支持軸の剛性を向上させることができる。詳しくは、樹脂製のフレーム40に第2ギヤG2の支持軸を設ける場合と比較して、第2ギヤG2の支持軸の剛性を向上させることができる。また、第2ギヤG2の支持軸を突起51とは別に設ける場合と比較して、定着装置8をコンパクトな構成とすることができる。
【0072】
また、第2ギヤG2が第1ギヤG1と直接噛み合うので、第1ギヤG1と第2ギヤG2の間に他のギヤがある場合と比較して、定着装置8をコンパクトな構成とすることができる。
【0073】
また、補強板50と第1ギヤG1が互いに接触しないので、摩耗や接触音の発生を抑制することができる。
【0074】
また、突起51が長手方向から見てベルトBLの外周の内側の位置に配置されているので、突起が長手方向から見てベルトBLの外周の外側の位置に配置される場合と比較して、定着装置8をコンパクトな構成とすることができる。
【0075】
また、補強板50が第1側壁40Aの第1壁部41と第2壁部42とにわたって配置され、第1壁部41および第2壁部42に固定されているので、凹部44を有することにより第1側壁40Aの強度が弱くなる部分を金属製の補強板50によって効果的に補強することができる。
【0076】
また、加圧アーム60がフレーム40の第1ボス45に係合してフレーム40に回動可能に支持されているので、第1ボス45に、補強板50の固定部分としての機能と、加圧アーム60を回動可能に支持する機能とを持たせることができる。これにより、加圧アーム60を回動可能に支持する部分を第1ボス45とは別に設ける場合と比較して、定着装置8をコンパクトな構成とすることができる。
【0077】
また、上述の画像形成装置1によれば、駆動ギヤGDが回転したときに突起51を溝26の閉じられた方に付勢することができるので、突起51が溝26から抜けることを抑制することができるとともに、定着装置8を画像形成装置本体1Aに対して確実に位置決めすることができる。
【0078】
また、溝26は取付方向における上流側に向けて幅が広くなっているので、定着装置8を画像形成装置本体1Aに取り付ける際に、突起51を溝26に容易に嵌めることができる。
【0079】
以上、実施形態について説明したが、定着装置および画像形成装置は以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0080】
前記実施形態では、ヒータ10がセラミックヒータであったが、例えば、ヒータは、ハロゲンヒータ、カーボンヒータ、IHヒータなどであってもよい。また、前記実施形態では、加熱部材が無端状のベルトBLであったが、例えば、加熱部材は、いわゆる加熱ローラなどであってもよい。また、前記実施形態では、加圧部材が加圧ローラ82であったが、例えば、加圧部材は、無端状のベルトと、加熱部材との間でベルトを挟むパッドとを備える加圧ユニットなどであってもよい。
【0081】
前記実施形態は、フレーム40が、加熱部材であるベルトBLを移動方向に移動可能に支持する構成であったが、例えば、フレームは、加圧部材を移動方向に移動可能に支持する構成であってもよい。この場合、加圧アームは、加圧部材を加熱部材に向けて押圧する構成とすることができる。また、例えば、加圧アームは、前記実施形態のカムフォロア63Bを備えない構成であってもよい。
【0082】
前記実施形態は、加圧部材である加圧ローラ82の長手方向の一端部に第1ギヤG1が取り付けられた構成であったが、例えば、加熱部材の他の例としての加熱ローラの長手方向における一端部に第1ギヤが取り付けられた構成であってもよい。
【0083】
前記実施形態は、第2ギヤG2が第1ギヤG1と直接噛み合うことで第1ギヤG1に駆動力を伝達する構成であったが、例えば、第2ギヤが1つ以上のギヤを介して第1ギヤに駆動力を伝達する構成であってもよい。
【0084】
前記実施形態では、補強板50と第1ギヤG1が隙間GP1,GP2をあけた状態で配置されていたが、例えば、隙間をあける以外の方法で摩耗や接触音の発生を抑制することができるのであれば、補強板と第1ギヤが接触した状態で配置されていてもよい。
【0085】
前記実施形態では、突起51が、定着装置8の位置を決める機能と、第2ギヤG2を回転可能に支持する機能とを有していたが、例えば、突起を、第2ギヤを回転可能に支持する支持軸として利用しない構成であってもよい。また、前記実施形態では、補強板50が、プレート本体50Aと、突起51を構成する金属棒50Bであって、プレート本体50Aにかしめられた金属棒50Bとを有する構成であったが、例えば、補強板は、前記実施形態のプレート本体50Aと突起51とが1枚の金属板から一体成形された構成であってもよい。
【0086】
前記実施形態では、画像形成装置1としてモノクロプリンタを例示したが、例えば、画像形成装置は、カラープリンタであってもよい。また、画像形成装置は、例えば、複写機、複合機などであってもよい。
【0087】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 画像形成装置
1A 画像形成装置本体
8 定着装置
10 ヒータ
40 フレーム
40A 第1側壁
50 補強板
51 突起
82 加圧ローラ
BL ベルト