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特開2023-147662画像形成装置の交換可能デバイスおよび交換可能デバイスの接点バネ
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  • 特開-画像形成装置の交換可能デバイスおよび交換可能デバイスの接点バネ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147662
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】画像形成装置の交換可能デバイスおよび交換可能デバイスの接点バネ
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20231005BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055303
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA31
2H033BA04
2H033BB12
2H033BB30
2H171FA01
2H171FA03
2H171FA05
2H171FA19
2H171GA12
2H171GA15
2H171GA27
2H171KA02
2H171KA05
2H171KA23
2H171KA25
2H171KA27
2H171QC36
(57)【要約】
【課題】接点バネによる良好な電気的接続を確保しつつ、組立性を向上する。
【解決手段】接点バネ50は、コイル55の一端から延びる第1アーム51であって、先端に装置本体2の電極2Aに接触する電気接点51Aを有する第1アーム51と、コイル55の他端から第1アーム51とは異なる方向に延びる第2アーム52と、を有する。交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、接点バネ50が付勢バネ60によって付勢されることで、電気接点51Aは退避位置に位置し、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されるときに、第2アーム52が装置本体2に押圧されることで第1アーム51がボス11Bの周りで回転し、電気接点51Aが退避位置よりもフレーム10から突出した突出位置に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の交換可能デバイスであって、
ボスを有するフレームと、
前記ボスの外周に嵌まることで前記ボスに支持されるコイルを有する接点バネと、
前記接点バネを前記ボスの周りで一方の回転方向に付勢する付勢バネとを備え、
前記接点バネは、
前記コイルの一端から延びる第1アームであって、先端に前記画像形成装置の装置本体の電極に接触する電気接点を有する第1アームと、
前記コイルの他端から前記第1アームとは異なる方向に延びる第2アームと、を有し、
前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されていない状態において、前記接点バネが前記付勢バネによって付勢されることで、前記電気接点は退避位置に位置し、
前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されるときに、前記第2アームが前記装置本体に押圧されることで前記第1アームが前記ボスの周りで回転し、前記電気接点が前記退避位置よりも前記フレームから突出した突出位置に位置することを特徴とする画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項2】
前記第1アームは屈曲した屈曲部を有し、
前記フレームは、前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されていない状態において、前記付勢バネの付勢力により前記屈曲部と接触するストッパ面を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項3】
前記第1アームは、
前記コイルの前記一端から前記コイルの軸方向に延びるバネ掛け部であって、前記付勢バネの一端が係合するバネ掛け部と、
前記バネ掛け部から前記コイルの中心から離れる方向に延び、前記屈曲部に繋がる延出部とを有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項4】
前記接点バネは、1本の金属線からなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項5】
前記電気接点は、尖ったエッジを有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項6】
前記第2アームは、前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されていない状態において、前記フレームから突出するように屈曲した被押圧部を有し、
前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されるときに、前記被押圧部が前記装置本体に押圧されること特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項7】
前記第2アームは、先端部に、屈曲した抜止部であって、前記接点バネが前記一方の回転方向に回転した場合に前記フレームと係合可能な抜止部を有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項8】
前記交換可能デバイスは、
シートを加熱する加熱部材と、
シートを前記加熱部材に押圧する加圧部材とを備え、
前記付勢バネは、前記加熱部材と前記接点バネとを電気的に接続して、前記加熱部材のアースを取るための導通線となっていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置の交換可能デバイス。
【請求項9】
画像形成装置の交換可能デバイスのアースを取るための接点バネであって、
前記交換可能デバイスのフレームが有するボスの外周に嵌まるコイルと、
前記コイルの一端から延びる第1アームであって、先端に前記画像形成装置の装置本体の電極に接触する電気接点を有する第1アームと、
前記コイルの他端から前記第1アームとは異なる方向に延びる第2アームと、を備え、
前記第1アームは、
前記コイルの前記一端から前記コイルの軸方向に延び、付勢バネの一端が係合するバネ掛け部と、
前記バネ掛け部から前記コイルの中心から離れる方向に延びる延出部と、
前記延出部から前記コイルの径方向と異なる方向に屈曲して延びる先端部であって、先端が前記電気接点となる先端部と、
を有してなり、
前記交換可能デバイスが装置本体に装着されていない状態において、前記接点バネが前記付勢バネによって付勢されることで、前記電気接点は退避位置に位置し、
前記交換可能デバイスが前記装置本体に装着されるときに、前記第2アームが前記装置本体に押圧されることで前記第1アームが前記ボスの周りで回転し、前記電気接点が前記退避位置よりも前記フレームから突出した突出位置に位置することを特徴とする接点バネ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接点バネにより画像形成装置の装置本体と電気的に接続することが可能な、画像形成装置の交換可能デバイスおよび交換可能デバイスの接点バネに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交換可能に構成された定着器において、アースを取りたい部品同士を金属製のバネで繋いだものが知られている。これにより、一方の部品が他方の部品に対して相対的に移動しても確実に電気的な接続を得るようにしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、定着器の出口でシートを案内するガイド部材26と、補強板27とを捩りコイルバネ29で繋いで導通させる構造が記載されている。また、特許文献2には、定着器のヒートユニット22を加圧ローラ21へ向けて押すアーム81と連結部98とを付勢部材82およびスプリング94で繋いで導通させる構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-192704号公報
【特許文献2】特開2016-206344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、接点バネにより良好な電気的接続を得るためには、バネを構成する部材に尖った先端を設け、この先端を装置本体の金属フレームなどに食い込ませて導通させることが望ましいことがある。こうすることで、金属フレームに塗膜、酸化被膜または汚れ等があっても、それを削り取って小さい抵抗で導通させることができる。
【0006】
しかしながら、接点バネの尖った先端が露出したままであると、組立時に接点バネの先端が、導通させたい金属フレーム等以外の物に引っ掛かりやすく、組立に時間と手間が掛かるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明では、接点バネによる良好な電気的接続を確保しつつ、組立性を向上する、画像形成装置の交換可能デバイスおよび交換可能デバイスの接点バネを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の画像形成装置の交換可能デバイスは、ボスを有するフレームと、ボスの外周に嵌まることでボスに支持されるコイルを有する接点バネと、接点バネをボスの周りで一方の回転方向に付勢する付勢バネとを備える。
接点バネは、コイルの一端から延びる第1アームであって、先端に画像形成装置の装置本体の電極に接触する電気接点を有する第1アームと、コイルの他端から第1アームとは異なる方向に延びる第2アームと、を有する。
交換可能デバイスが装置本体に装着されていない状態において、接点バネが付勢バネによって付勢されることで、電気接点は退避位置に位置する。交換可能デバイスが装置本体に装着されるときに、第2アームが装置本体に押圧されることで第1アームはボスの周りで回転し、電気接点は退避位置よりもフレームから突出した突出位置に位置する。
【0009】
このような構成によれば、交換可能デバイスが装置本体に装着されていないときには、第1アームの先端の電気接点が退避位置に位置するので、組立作業中に、電気接点が他の物に引っ掛かりにくい。一方、交換可能デバイスが装置本体に装着されるときには、第2アームが装置本体に押圧されることで第1アームがボスの周りで回転し、電気接点は退避位置よりもフレームから突出するので、装着後において、電気接点と装置本体の電極との導通を確保しやすい。すなわち、接点バネによる良好な電気的接続を確保しつつ、組立性を向上することができる。
【0010】
第1アームは屈曲した屈曲部を有していてもよい。そして、フレームは、交換可能デバイスが装置本体に装着されていない状態において、付勢バネの付勢力により屈曲部と接触するストッパ面を有していてもよい。
【0011】
第1アームは、コイルの一端からコイルの軸方向に延びるバネ掛け部であって、付勢バネの一端が係合するバネ掛け部と、バネ掛け部からコイルの中心から離れる方向に延び、屈曲部に繋がる延出部とを有していてもよい。
【0012】
接点バネは、1本の金属線からなっていてもよい。
【0013】
電気接点は、尖ったエッジを有していることが望ましい。電気接点が尖ったエッジを有していることで、装置本体の電極と電気接点の導通を良くすることができる。
【0014】
第2アームは、交換可能デバイスが装置本体に装着されていない状態において、フレームから突出するように屈曲した被押圧部を有していてもよい。
そして、交換可能デバイスが装置本体に装着されるときに、被押圧部は装置本体に押圧される構成であってもよい。
【0015】
第2アームは、先端部に、屈曲した抜止部であって、接点バネが一方の回転方向に回転した場合にフレームと係合可能な抜止部を有していてもよい。
【0016】
交換可能デバイスは、シートを加熱する加熱部材と、シートを加熱部材に押圧する加圧部材とを備えるものであってもよい。このとき、付勢バネは、加熱部材と接点バネとを電気的に接続して、加熱部材のアースを取るための導通線とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、付勢バネがアースを取るための導通線を兼ねることで、部品点数の増加を抑制することができる。
【0018】
前記した課題を解決するための接点バネは、画像形成装置の交換可能デバイスのアースを取るための接点バネであって、交換可能デバイスのフレームが有するボスの外周に嵌まるコイルと、コイルの一端から延びる第1アームであって、先端に画像形成装置の装置本体の電極に接触する電気接点を有する第1アームと、コイルの他端から第1アームとは異なる方向に延びる第2アームと、を備える。
第1アームは、コイルの一端からコイルの軸方向に延び、付勢バネの一端が係合するバネ掛け部と、バネ掛け部からコイルの中心から離れる方向に延びる延出部と、延出部からコイルの径方向と異なる方向に屈曲して延びる先端部であって、先端が電気接点となる先端部と、を有してなる。
交換可能デバイスが装置本体に装着されていない状態において、接点バネが付勢バネによって付勢されることで、電気接点は退避位置に位置する。交換可能デバイスが装置本体に装着されるときに、第2アームが装置本体に押圧されることで第1アームがボスの周りで回転し、電気接点が退避位置よりもフレームから突出した突出位置に位置する。
【0019】
このような接点バネによれば、交換可能デバイスが装置本体に装着されるときに、第2アームが装置本体に押圧されることで第1アームがボスの周りで回転し、電気接点が退避位置よりもフレームから突出しやすい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、接点バネによる良好な電気的接続を確保しつつ、組立性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】装置本体と定着器の図である。
図2】定着器の斜視図である。
図3】接点バネの平面図(a)と、正面図(b)である。
図4】定着器のフレームを斜め下から見た斜視図である。
図5】装置本体に交換可能デバイスを装着するときの作用を説明する図であり、(a)交換可能デバイスが装置本体に装着される前で、接点バネが電極に近づいた状態と、(b)交換可能デバイスが装置本体に装着される過程で、接点バネが回転した状態を示す。
図6】交換可能デバイスが装置本体に装着され、接点バネの電気接点が電極に接触した後の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の交換可能デバイス1は、画像形成装置の装置本体2に対して取り外しまたは装着可能な部品であり、一例として、シートに形成されたトナー像を熱定着する定着器である。交換可能デバイス1は、装置本体2の後側のカバー2Cを開くことで形成される開口2Bから装置本体2に挿入される。装置本体2は、電極2Aを有する。電極2Aは、装置本体2のフレームを兼ねる金属板である。電極2Aは、電気的に接地されている。交換可能デバイス1は、接点バネ50を備え、後に詳細に説明するように、交換可能デバイス1を装置本体2に装着することで接点バネ50の電気接点51Aが電極2Aに電気的に接続する。
【0023】
図2に示すように、交換可能デバイス1は、フレーム10と、加熱部材20と、加圧部材30と、加圧アーム40と、加圧バネ45と、接点バネ50と、付勢バネ60とを備える。なお、図2は、フレーム10の細かい構成を省略して示している。
【0024】
フレーム10は、加圧部材30の軸方向(以下、単に「軸方向」という。)に互いに離れて位置する側壁11,12と、側壁11,12を連結する連結部13とを主に有する。なお、以下の説明において、便宜上、図2における上下をそのまま上、下とし、上下方向および軸方向に直交する方向を前後方向とし、前後方向のうち、図2の左側を前、右側を後ろとして説明する。側壁11,12は、上方が開口するU字形状を有する(図4も参照)。側壁11,12は、U字形状の内側に、互いに平行に延びる一対のレール11R,12Rを有している。一方の側壁11には、加圧アーム40、接点バネ50および付勢バネ60が取り付けられている。他方の側壁12は、接点バネ50の取付に関係する構造を除き、一方の側壁11と軸方向に関して略対称な構造を有しているので、以下、側壁11,12については、一方の側壁11の構成についてのみ説明する。
【0025】
加熱部材20は、シートを加熱する部材である。加熱部材20は、図示しないヒータと、ヒータの周りを回転するベルトを有してなる。加熱部材20は、軸方向の端部がフレーム10のレール11R,12Rに係合している。これにより、加熱部材20は、レール11R,12Rにガイドされて上下方向にスライド移動可能となっている。
【0026】
加圧部材30は、シートを加熱部材20に押圧する部材である。加圧部材30は、金属シャフトの周りを弾性部材で覆われたローラである。加圧部材30は、フレーム10の側壁11,12にベアリング31を介して回転可能に支持されている。
【0027】
加圧アーム40は、下方に開口したU字形状の金属板からなる。加圧アーム40の一端は、フレームの側壁11が有するシャフト11Sに回転可能に支持されている。加圧アーム40の中央部は、加熱部材20の端部に上から接触している。加圧アーム40は、他端に溝42を有している。ここで、加圧バネ45は、金属線からなる引張バネである。加圧バネ45は、一端にフック45Aを有し、他端にフック45Bを有する。加圧バネ45の一端のフック45Aは、加圧アーム40の溝42に引っ掛けられている。側壁11は、加圧アーム40の溝42の下方に溝19を有している。加圧バネ45の他端のフック45Bは、側壁11の溝19に引っ掛けられている。加圧バネ45は、常時、加圧アーム40を下方に付勢している。これにより、加熱部材20の端部は、加圧アーム40によって上から付勢され、加熱部材20は、加圧部材30に圧接されている。
【0028】
図3(a)、(b)に示すように、接点バネ50は、捩りコイルバネからなる。接点バネ50は、1本の金属線からなる。接点バネ50は、コイル55と、コイル55の一端から延びる第1アーム51と、コイル55の他端から第1アーム51とは異なる方向に延びる第2アーム52と、を有する。
【0029】
図2および図4に示すように、側壁11は、ベアリング31の下方に、下方に突出するボス11B(図4参照)を有する。コイル55は、ボス11Bの外周に嵌まることでボス11Bに支持されている。接点バネ50は、ボス11Bの周りで回転可能である。
【0030】
図3(a)、(b)に戻り、第1アーム51は、先端に、装置本体2の電極2Aに接触する電気接点51Aを有する。詳細には、第1アーム51は、バネ掛け部51Bと、延出部51Cと、鉤部51Dと、屈曲した屈曲部51Eとを有する。
【0031】
バネ掛け部51Bは、コイル55の一端からコイル55の軸方向に延びる。図2および図5(a)に示すように、バネ掛け部51Bは、付勢バネ60の一端62が係合する。付勢バネ60は、引張バネである。付勢バネ60の他端63は、加圧バネ45のフック45Bに係合している。これにより、接点バネ50は、付勢バネ60により一方の回転方向に付勢されている。具体的には、接点バネ50は、図5(a)の時計回りに付勢されている。
【0032】
図4および図5(a)に示すように、フレーム10は、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、付勢バネ60の付勢力により屈曲部51Eと接触するストッパ面18を有している。交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、第1アーム51は、屈曲部51Eがストッパ面18に接触することで、その姿勢が決まっている。このときの電気接点51Aの位置を退避位置とする。なお、図5(a)のように、接点バネ50が電極2Aと接触していない状態は、交換可能デバイス1が完全に装着された状態ではないので、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態とする。
【0033】
図3(a)、(b)に戻り、延出部51Cは、バネ掛け部51Bからコイル55の中心から離れる方向に延び、屈曲部51Eに繋がる。鉤部51Dは、延出部51Cから屈曲して、コイル55の軸方向に対して直交する方向に延びている。電気接点51Aは、第1アーム51の先端の尖った部分である。電気接点51Aは、金属線が切断されたままの形状からなり、丸み付けなどの処理がされず、尖ったエッジを有している。図3(a)、(b)においては、金属線を直角に綺麗に切断したように描いてあるが、例えば、切断工具の刃の形が転写された形状など、不定形な形を有していても構わない。
【0034】
第2アーム52は、第2延出部52Aと、第3延出部52Bと、抜止部52Cとを有する。
第2延出部52Aは、コイル55の他端から、コイル55の中心から離れる方向に延びる。
第3延出部52Bは、第2延出部52Aのコイル55から遠い端部から屈曲して延びる。第3延出部52Bは、コイル55の軸方向に直交する方向、かつ、第2延出部52Aとは異なる方向に延びる。第2延出部52Aから第3延出部52Bにかけて屈曲する部分は、被押圧部52Fである。被押圧部52Fは、図4および図5(a)に示すように、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、フレーム10から突出するように屈曲している。
【0035】
図3(a)、(b)に戻り、抜止部52Cは、第3延出部52Bのコイル55から遠い端部から、コイル55の軸方向に向けて延びる。
図4に示すように、フレーム10は、ボス11Bの前方に、ボス11Bの軸に直交する方向に長く延びるスリット14と、スリット14に隣接して配置された抜け止め壁15とを有する。第2アーム52は、第3延出部52Bがスリット14に入り、抜止部52Cが、抜け止め壁15を基準として、被押圧部52Fが位置する側とは反対側に延びている。これにより、接点バネ50が、被押圧部52Fが突出するような一方の回転方向に回転した場合に、抜止部52Cが抜け止め壁15と係合可能である。
【0036】
フレーム10は、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、コイル55の軸方向における鉤部51Dの一方側に位置する第1保護壁16と、コイル55の軸方向における鉤部51Dの他方側に位置する第2保護壁17とを有している。すなわち、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、鉤部51Dは、第1保護壁16と第2保護壁17の間の隙間に位置する。電気接点51Aは、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、第1保護壁16および第2保護壁17からの突出量が僅かとなっている。これにより、電気接点51Aは、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、第1保護壁16および第2保護壁17によって保護され、他の物に引っ掛かりにくい。望ましくは、電気接点51Aは、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていない状態において、第1保護壁16および第2保護壁17から突出せずに、第1保護壁16および第2保護壁17の間に位置するとよい。このように、電気接点51Aがフレーム10から突出しないことで、電気接点51Aに他の物がさらに引っ掛かりにくい。
【0037】
そして、上述の構成により、付勢バネ60は、加圧バネ45および加圧アーム40を介して加熱部材20と電気的に接続されている(図2参照)。また、付勢バネ60は、接点バネ50のバネ掛け部51Bに接触しているので、付勢バネ60は、加熱部材20と接点バネ50とを電気的に接続して、加熱部材20のアースを取るための導通線となっている。
【0038】
以上のように構成された交換可能デバイス1における接点バネ50の作用効果について説明する。
図5(a)のように、装置本体2に対し、交換可能デバイス1を後ろから前に挿入していくと、接点バネ50の第2アーム52が電極2Aに近づいていく。それまでの過程において、接点バネ50の電気接点51Aは、フレーム10からほとんど突出していないので、電気接点51Aが他の物に引っ掛かることは少ない。
【0039】
図5(b)に示すように、図5(a)の状態からさらに交換可能デバイス1を前方に押し込むと、第2アーム52の被押圧部52Fが電極2Aに押圧される。すると、第2アーム52がボス11Bの周りで図5の反時計回りに回転し、これに伴い、コイル55および第1アーム51もボス11Bの周りで反時計回りに回転する。これにより、電気接点51Aが、退避位置よりもフレーム10から突出した突出位置に位置する。
【0040】
図6に示すように、さらに交換可能デバイス1を前方に押し込むと、鉤部51Dが電極2Aにより押圧されて第1アーム51がボス11Bの周りで時計回りに回転し、電気接点51Aが、電極2Aの表面に接触する。そして、交換可能デバイス1が前方に移動する過程で、電気接点51Aの尖ったエッジが電極2Aの表面を引っ掻きながら前方へ移動する。これにより、電極2Aの表面に塗膜や酸化皮膜があった場合でも、電気接点51Aがそれらを掻き取ることで、電極2Aの金属部分と電気接点51Aとがしっかりと電気的に接続する。
【0041】
このようにして、本実施形態の交換可能デバイス1によれば、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されていないときには、第1アーム51の先端の電気接点51Aが退避位置に位置するので、組立作業中に、電気接点51Aが他の物に引っ掛かりにくい。一方、交換可能デバイス1が装置本体2に装着されるときには、第2アーム52が装置本体2に押圧されることで第1アーム51がボス11Bの周りで回転し、電気接点51Aは退避位置よりもフレームから突出するので、装着後において、電気接点51Aと装置本体2の電極2Aとの導通を確保しやすい。すなわち、接点バネ50による良好な電気的接続を確保しつつ、組立性を向上することができる。
【0042】
そして、電気接点51Aが尖ったエッジを有していることで、電気接点51Aが電極2Aの表面の塗膜や酸化皮膜を掻き取ることができ、電極2Aと電気接点51Aの導通を良くすることができる。
【0043】
また、付勢バネ60が加熱部材20のアースを取るための導通線を兼ねることで、部品点数の増加を抑制することができる。
【0044】
以上に一実施形態について説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、適宜変形して実施することができる。
【0045】
例えば、前記実施形態では、装置本体2に交換可能デバイス1を装着する際に、第2アーム52が第1アーム51よりも先に装置本体2に入るように接点バネ50を配置したが、第1アーム51が第2アーム52よりも先に装置本体2に入るように配置されていてもよい。
【0046】
接点バネは、抜止部を有していなくてもよい。例えば、電気接点が退避位置にある場合に、第2アームの先端がフレームから突出しないように第2アームの形状が形成されていてもよい。
【0047】
交換可能デバイスは、定着器に限らず、現像カートリッジや、ドラムカートリッジであってもよい。
【0048】
上述した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 交換可能デバイス
2 装置本体
2A 電極
10 フレーム
11B ボス
20 加熱部材
30 加圧部材
50 接点バネ
51 第1アーム
51A 電気接点
52 第2アーム
55 コイル
60 付勢バネ

図1
図2
図3
図4
図5
図6