(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147694
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】仮想空間ビデオ通話システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20231005BHJP
G06F 3/04817 20220101ALI20231005BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20231005BHJP
H04N 7/14 20060101ALI20231005BHJP
H04L 67/131 20220101ALI20231005BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20231005BHJP
【FI】
H04M3/56 C
G06F3/04817
G06F3/04842
H04N7/14 110
H04L67/131
G06Q50/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055344
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】593059773
【氏名又は名称】富士ソフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 直樹
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 一展
(72)【発明者】
【氏名】石田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】小山 岳史
(72)【発明者】
【氏名】内山 ゆかり
【テーマコード(参考)】
5C164
5E555
5K201
5L049
【Fターム(参考)】
5C164FA09
5C164MA03S
5C164SC11S
5C164UB81S
5C164VA07S
5C164VA13P
5C164YA07
5E555AA02
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5E555BB06
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5K201AA05
5K201BB09
5K201CA06
5K201CB13
5K201CC10
5K201DC06
5K201EC06
5K201EF04
5K201EF10
5L049CC00
(57)【要約】
【課題】ユーザにとっての使い勝手を向上できるようにすること。
【解決手段】仮想空間ビデオ通話システム1は、仮想空間制御部21と、ビデオ通話を制御するビデオ通話制御部22と、ビデオ通話の候補を管理する通話候補管理部25を備え、通話候補管理部は、ビデオ通話の候補となるユーザの情報を表示させて選択させるユーザ選択部250と、候補ユーザの状況を表示させる候補ユーザ状況確認部251と、自アバターを候補アバターの所定範囲内に移動させる移動部252とを備え、仮想空間制御部は、仮想空間内のアバター同士が接触したか判定し、ビデオ通話制御部は、仮想空間制御部により接触したと判定されたアバターについて、各アバターに対応するクライアント端末3間でビデオ通話を開始させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数ユーザが仮想空間を介してビデオ通話を行う仮想空間ビデオ通話システムであって、
前記複数ユーザの使用するクライアント端末へ提供される仮想空間を制御する仮想空間制御部と、
前記仮想空間でのビデオ通話を制御するビデオ通話制御部と、
前記複数ユーザのうち所定ユーザを前記ビデオ通話の候補として管理する通話候補管理部とを備え、
前記通話候補管理部は、所定ユーザの情報を表示させ、前記所定ユーザの中からビデオ通話の相手となる候補ユーザを選択させるユーザ選択部と、前記候補ユーザの状況を示す情報を表示させる候補ユーザ状況確認部と、ビデオ通話を希望するユーザのアバターを前記候補ユーザ選択部で選択された候補ユーザのアバターの所定範囲内に移動させる移動部とを備える
仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項2】
前記ビデオ通話制御部は、所定の指示を受領すると、前記ビデオ通話を希望するユーザの使用するクライアント端末と前記選択された候補ユーザの使用するクライアント端末との間でビデオ通話を開始させる
請求項1に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項3】
前記仮想空間制御部は、前記仮想空間内のアバター同士が接触したと判定すると前記所定の指示を前記ビデオ通話制御部に送信し、
前記ビデオ通話制御部は、前記仮想空間制御部により接触したと判定されたアバターについて、前記各アバターに対応するユーザがそれぞれ使用するクライアント端末間でビデオ通話を開始させる
請求項2に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項4】
前記所定ユーザの情報には、前記所定ユーザの状況を示すユーザ状況が表示されており、
前記候補ユーザ状況確認部は、前記候補ユーザのアバターの周囲状況を示すアバター状況が表示される
請求項1に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項5】
前記仮想空間制御部は、前記ビデオ通話を希望するユーザのアバターが前記所定範囲内に移動した場合に、前記ビデオ通話を希望するユーザのアバターが前記候補ユーザのアバターの近くにいることを示す所定のエフェクトを表示させる
請求項1に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項6】
前記仮想空間は仮想フロアを複数有しており、
前記ビデオ通話を希望するアバターのいる仮想フロアと前記候補ユーザのアバターのいる仮想フロアとは異なる
請求項1に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項7】
前記通話候補管理部は、前記ビデオ通話を希望するユーザのアバターを閲覧中のユーザの数である閲覧人数を表示させる
請求項1に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項8】
前記通話候補管理部は、前記ビデオ通話を希望するユーザのアバターを閲覧するユーザとビデオ通話を希望するユーザとの関係別に前記閲覧人数を表示させる
請求項7に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項9】
前記ユーザ状況は、ユーザの作業状況を管理する管理システムから取得される情報と、前記ユーザの使用するクライアント端末から取得される情報とに基づいて作成される
請求項4に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項10】
前記ビデオ通話制御部は、前記仮想空間で接触した各アバター内に、該各アバターに対応するユーザが使用するクライアント端末からそれぞれ取得された画像を表示させることにより、前記ビデオ通話を開始させる
請求項3~9のいずれか一項に記載の仮想空間ビデオ通話システム。
【請求項11】
複数ユーザの使用するクライアント端末が仮想空間を介してビデオ通話を行う仮想空間ビデオ通話方法であって、
前記複数のクライアント端末と双方向通信可能に接続される計算機は、
前記複数ユーザの使用するクライアント端末へ提供される仮想空間を仮想空間制御部により制御し、
前記仮想空間でのビデオ通話をビデオ通話制御部により制御し、
前記複数ユーザのうち所定ユーザをビデオ通話の候補として管理し、
前記所定ユーザの情報を表示させて、前記所定ユーザの中からビデオ通話の相手となる候補ユーザをユーザ選択部により選択させ、
候補ユーザ状況確認部により前記候補ユーザの状況を示す情報を表示させ、
ビデオ通話を希望するユーザのアバターを前記候補ユーザ選択部で選択された候補ユーザのアバターの所定範囲内へ移動部により移動させ、
前記仮想空間内のアバター同士が接触したかを前記仮想空間制御部により判定し、
前記ビデオ通話制御部により、前記仮想空間制御部により接触したと判定されたアバターについて前記各アバターに対応するユーザがそれぞれ使用するクライアント端末間でビデオ通話を開始させる
仮想空間ビデオ通話方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間ビデオ通話システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザがネットワーク上のサーバに設けられた仮想空間に集い、チャットやゲームなどを通じて交流する技術は知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年は、在宅で仕事をするテレワークの普及に伴い、コミュニケーションの機会が不足しており、職場の仲間意識の維持や情報共有などに問題が生じている。
【0005】
そこで、仮想的なオフィスに社員のアバターを集め、ビデオ通話することが考えられるが、一般的なビデオ通話システムでは、仮想オフィス内のアバター位置に関係なく、通話相手をリストから選択して通話開始ボタンを操作する。したがって、仮想オフィスにビデオ通話を導入した場合であっても、それはスマートフォンなどでビデオ通話するのと大差なく、現実のオフィスで頻繁に行われているような、話したい人の傍に行って話しかけるという気軽さや便利さに欠ける。
【0006】
ところで音声通話の場合はデータ量が少ないため、例えばアバターに設定された円形の通話範囲内の他のアバターを音声チャネルへ自動的に招待し、音声通話を開始することも考えられる。
【0007】
しかし、ビデオ通話の場合は、音声通話よりもデータ量が大きい。したがって、仮に、通話範囲内の他のアバターとビデオ通話を自動的に開始する方法の場合、コンピュータリソースおよび通信帯域を多量に消費する。一方、ビデオ通話を開始するためのボタンを画面に用意し、そのボタンを押したときにビデオ通話を始めることも考えられるが、その場合は、通話開始のために特別な操作が必要となり、現実のオフィスで会話を始める場合とは乖離しており、ユーザにとっての使い勝手が低く、気軽なコミュニケーションを促進することができない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ユーザにとっての使い勝手を向上できるようにした仮想空間ビデオ通話システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの観点に係る仮想空間ビデオ通話システムは、複数ユーザが仮想空間を介してビデオ通話を行う仮想空間ビデオ通話システムであって、複数ユーザの使用するクライアント端末へ提供される仮想空間を制御する仮想空間制御部と、仮想空間でのビデオ通話を制御するビデオ通話制御部と、複数ユーザのうち所定ユーザをビデオ通話の候補として管理する通話候補管理部とを備え、通話候補管理部は、所定ユーザの情報を表示させ、所定ユーザの中からビデオ通話の相手となる候補ユーザを選択させるユーザ選択部と、候補ユーザの状況を示す情報を表示させる候補ユーザ状況確認部と、ビデオ通話を希望するユーザのアバターを候補ユーザ選択部で選択された候補ユーザのアバターの所定範囲内に移動させる移動部とを備える。
【0010】
前記ビデオ通話制御部は、所定の指示を受領すると、前記ビデオ通話を希望するユーザの使用するクライアント端末と前記選択された候補ユーザの使用するクライアント端末との間でビデオ通話を開始させることができる。
【0011】
仮想空間制御部は、仮想空間内のアバター同士が接触したと判定すると前記所定の指示を前記ビデオ通話制御部に送信し、ビデオ通話制御部は、仮想空間制御部により接触したと判定されたアバターについて、各アバターに対応するユーザがそれぞれ使用するクライアント端末間でビデオ通話を開始させることができる。
【0012】
所定ユーザの情報には、所定ユーザの状況を示すユーザ状況が表示されており、候補ユーザ状況確認部は、候補ユーザのアバターの周囲状況を示すアバター状況が表示されてもよい。
【0013】
仮想空間制御部は、ビデオ通話を希望するユーザのアバターが所定範囲内に移動した場合に、ビデオ通話を希望するユーザのアバターが候補ユーザのアバターの近くにいることを示す所定のエフェクトを表示させることができる。
【0014】
仮想空間は、仮想フロアを複数有しており、ビデオ通話を希望するアバターのいる仮想フロアと候補ユーザのアバターのいる仮想フロアとは異なってもよい。
【0015】
通話候補管理部は、ビデオ通話を希望するユーザのアバターを閲覧中のユーザの数である閲覧人数を表示させることもできる。
【0016】
通話候補管理部は、ビデオ通話を希望するユーザのアバターを閲覧するユーザとビデオ通話を希望するユーザとの関係別に閲覧人数を表示させることもできる。
【0017】
ユーザ状況は、ユーザの作業状況を管理する管理システムから取得される情報と、ユーザの使用するクライアント端末から取得される情報とに基づいて作成されてもよい。
【0018】
ビデオ通話制御部は、仮想空間で接触した各アバター内に、該各アバターに対応するユーザが使用するクライアント端末からそれぞれ取得された画像を表示させることにより、ビデオ通話を開始させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態の仮想空間ビデオ通話システムの全体概要図。
【
図3】ビデオ通話を希望するユーザがビデオ通話の候補ユーザを選択する様子を示す説明図。
【
図4】ビデオ通話を希望するユーザのアバターが候補ユーザのアバターの近くへ移動し、両方のアバターが接触することでビデオ通話が開始される様子を示す説明図。
【
図6】クライアント端末から情報を収集する処理を示すフローチャート。
【
図12】第2実施例に係り、仮想オフィスの表示処理を示すフローチャート。
【
図13】ビデオ通話を希望するユーザのアバターの様子を他フロアから閲覧しているユーザの情報を通知する様子を示す説明図。
【
図14】第3実施例に係り、クライアント端末から取得した情報と他システムから取得した情報に基づいて、ユーザの状況を解析する処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本実施形態では、ビデオ通話を希望するユーザが自分のアバターを話したい相手のアバターへ向けて移動させて接触させるだけという直感的操作により、現実のオフィスでの会話と同様に、手軽に他のユーザとビデオ通話できるようにした仮想空間ビデオ通話システムを提供する。
【0021】
さらに本実施形態では、仮想空間が広大であったり、複数フロアから仮想空間が構成されていたりする場合でも、ビデオ通話をしたい相手の様子を移動前に容易に確認することができ、さらに、速やかに相手の近くへ移動できるようにしている。
【実施例0022】
図1~
図11を用いて第1実施例を説明する。
図1は、本実施形態の仮想空間ビデオ通話システム1の全体概要を示す。仮想空間ビデオ通話システム1は、例えば、仮想オフィス提供サーバ2と、複数のクライアント端末3とを備えている。
【0023】
仮想オフィス提供サーバ2は、「仮想空間」としての仮想オフィス4を各クライアント端末3へ提供する。仮想オフィス提供サーバ2は、仮想オフィス4を制御する「仮想空間制御部」としての仮想オフィス制御部21と、仮想オフィスで行われるビデオ通話を制御するビデオ通話制御部22と、情報収集部23と、情報提供部24と、通話候補管理部25を備える。仮想オフィス提供サーバ2は、「管理システム」としての他システム5とも双方向通信に接続されている。
【0024】
「仮想空間制御部」としての仮想オフィス制御部21は、各クライアント端末3に対して「仮想空間」の例としての仮想オフィス4を提供する。ユーザは、クライアント端末3を用いて、仮想オフィス4内で自分に対応するアバターを操作することができる。
【0025】
ビデオ通話制御部22は、仮想オフィス4内でユーザ同士がアバターを通じて実行するビデオ通話を制御する。後述のように、本実施例では、アバター同士が仮想オフィス4内で接触したと指示を受け取ると、ビデオ通話が開始される。
【0026】
以下では、ビデオ通話を希望するユーザを自ユーザと、自ユーザに対応するアバターを自アバターと、ビデオ通話の候補ユーザに対応するアバターを候補アバターと、自ユーザ以外のユーザを他ユーザと、呼ぶことがある。
【0027】
情報収集部23は、各クライアント端末3から情報を収集する。情報収集部23は、例えば、クライアント端末3で起動しているオペレーティングシステムやアプリケーションの種類、メモリ残量、CPU使用量、キーボードなどの入力装置の操作、ユーザの顔画像などをクライアント端末3から取得する。情報収集部23は、体温、脈拍、血圧といったバイタル情報をクライアント端末3から取得してもよい。
【0028】
情報提供部24は、各クライアント端末3から収集された情報のうち全部または一部を、各クライアント端末3へ配信する。
【0029】
通話候補管理部25は、ビデオ通話の候補となる所定ユーザを管理する。通話候補管理部25は、「ユーザ選択部」としてのフォローリスト250と、「候補ユーザ状況確認部」としての確認ボタン251と、「移動部」としての移動ボタン252を備える。
【0030】
後述のように、フォローリスト250には、ビデオ通話の候補となる所定ユーザと当該所定ユーザの状況とが表示されており、ユーザは、フォローリスト250から所望の所定ユーザを一人選択することができる。
【0031】
ユーザは、確認ボタン251を操作することにより、選択した所定ユーザに対応するアバターの状況を表示させることができる。ユーザは、移動ボタン252を操作することにより、自分のアバターを所定ユーザのアバターの近くへ移動させることができる。そして、ユーザは、自分のアバターを近くにいる所定ユーザのアバターへ向けて移動させ、所定ユーザのアバターに接触させることで、ビデオ通話を開始させることができる。
【0032】
他システム5には、例えば、プロジェクト管理、タスク管理、ワークフロー管理、グループウェア、スケジュール管理、ファイル共有、メール管理、勤怠管理などがある。
図1では、他システム5を一つだけ示すが、仮想オフィス提供サーバ2は複数の異なる他システム5とそれぞれ双方向通信に接続可能である。
【0033】
以下の説明では、仮想空間ビデオ通話システム1をビデオ通話システム1と、仮想オフィス提供サーバ2をサーバ2と、それぞれ略記する場合がある。
【0034】
ユーザは、クライアント端末3を用いてサーバ2へアクセスし、仮想オフィスサービスへログインすることにより、自分のアバターGP1を仮想オフィス4に出現させる。クライアント端末3は、後述のように、そのユーザインターフェース部33に画像取得部としてのカメラを有する。
【0035】
仮想オフィス4は、ユーザの属する組織が使用する仮想空間である。仮想オフィス4のレイアウトは現実のオフィスのレイアウトに似せることもできるし、現実のオフィスとは異ならせることもできる。ユーザの属する組織には、例えば、企業、官公庁、地方公共団体、NPO(Non-Profit Organization)法人などがある。
【0036】
仮想オフィス4では、例えば、机GP2や椅子GP3などの什器備品、机上ネームプレートGP4、会議室GP5、集中室GP6(いずれも
図2参照)などが描画される。アバターGP1があらかじめ定められた座席から離れている間、その座席には、ゴーストアバターGP12が表示される。ゴーストアバターGP12は、ユーザはログインしているがその座席には居ないことを示す。例えば、
図1では、ユーザU3のアバターは他のフロアに出かけているため、自席にいない。このとき、アバターGP1(U3)の代わりにゴーストアバターGP12が表示される。他のユーザのアバターがゴーストアバターGP12に接触すると、当該他のユーザのアバターはゴーストアバターGP12に対応するアバターGP1(U3)のいる場所へ移動させられる。図示は省略するが、ユーザU3の使用するアバターに符号GP1(U3)を付して説明する。以下の説明も同様である。
【0037】
例えば、仮想オフィス4が第1フロア4(F1)と第2フロア4(F2)のように複数フロアを持つ場合を説明する。第1フロア4(F1)にいるアバターGP1(U3)が第2フロア4(F2)へ移動しているときに、第1フロア4(F1)にいる他のアバターGP1がゴーストアバターGP12(U3)に接触すると、そのアバターGP1は第2フロア4(F2)のアバターGP1(U3)の近くへ移動する。
【0038】
アバターGP1には、そのアバターに対応するユーザの情報を示す情報表示部GP11が対応付けられて表示される。情報表示部GP11は、例えば、アバターGP1を操作するユーザの氏名を含む。情報表示部GP11は、氏名に加えて、ユーザの状態(ステータス)、ユーザの所属部署名、ユーザの行動の活発さを示す数値、ユーザの状態を示す情報などを「ユーザ状況」として表示することもできる。
【0039】
ユーザの状態には、例えば、電話中、会議中、多忙中、退勤、休暇といったユーザ自身の状況が含まれる。ユーザの状態として、さらに例えば、体調、睡眠時間、体温、心拍数、疲労度、幸福度などの生体情報やメンタル情報を含めてもよい。
【0040】
図3で後述するように、ユーザの状態を示す情報(ユーザ状況を示す情報)は、複数の情報表示部GP11,GP31,GP32を用いて、他のユーザへ提供される。
【0041】
図2は、仮想オフィス4の例を示す。仮想オフィス4は、仮想的な2次元空間または仮想的な三次元空間として構成される。仮想オフィス4は、いわゆる仮想的な2.5次元空間として構成されてもよい。
図2では、4つの机GP2と16脚の椅子GP3を備えた比較的小規模の1フロアの仮想オフィス4を示すが、これに限らず、複数のフロアを備え、各フロアに数十人~数百人収容可能な大規模な仮想オフィス4であってもよい。
【0042】
会議室GP5は、ユーザ同士がアバターを介して会議する領域である。会議室GP5に誰が入室しているかは、会議室GP5以外の領域から目視で確認できる。アバターGP1が会議室GP5に入室すると、自動的にビデオ通話の参加者となる。例えば、アバターGP1(U8)の居る会議室GP5へアバターGP1(U12)が入室すると、アバター同士のビデオ通話が開始される。本実施例では、アバターGP1同士が接触することによりビデオ通話が開始されるが、会議室GP5内ではアバター同士が接触しなくてもビデオ通話を開始することができる。会議室GP5は、会議のための領域であるから、入室時点でそのアバターがビデオ通話を希望していることは明らかなためである。しかし、会議室GP5内においても、アバター同士が接触することでビデオ通話を開始させるようにしてもよい。
【0043】
集中室GP6は、作業や思考に専念したいユーザの使用する領域である。集中室GP6には、一人のアバターのみ入ることができる。他のアバターは、集中室GP6内のアバターに接触できないため、集中室GP6に入室しているアバターとビデオ通話をすることはできない。例えば、集中室GP6に入室しているアバターの机上ネームプレートGP4にメッセージを表示することにより、連絡することができる。
【0044】
アバターGP1は、全ユーザに共通のデザインを適用してもよいし、髪型やアクセサリーなどのパーツ毎に選択可能としてもよい。アバターGP1は、人間を模したデザインである必要はなく、動植物、ロボット、機械、図形などでもよい。アバターには、通常のアバターGP1、ゴーストアバターGP12、多忙アバターGP1Nなどの複数種類が用意されてもよい。多忙アバターGP1Nは、多忙であり、他ユーザからのビデオ通話を受け付けないことを周囲に知らせるためのアバターである。したがって、多忙アバターGP1Nに他ユーザのアバターGP1が接触しても、ビデオ通話は開始されない。
【0045】
図3および
図4を用いて、仮想オフィス4内でビデオ通話をする場合を説明する。仮想オフィス4には、フォローリスト250が表示される。フォローリスト250は、ビデオ通話の候補となる所定ユーザが登録された情報であり、一覧形式で提供される。フォローリスト250は、ユーザの操作によって表示をオンオフさせてもよいし、常時表示させてもよい。
【0046】
フォローリスト250では、「所定ユーザ」として登録されたユーザの状況(ステータス)が情報表示部GP11に表示されている。したがって、ユーザは、フォローリスト250を一瞥するだけで、登録されたユーザ(以下、登録ユーザとも呼ぶ。)の状況を速やかに把握することができる。ユーザは、登録ユーザのうちビデオ通話が可能と思われる状況にあるユーザの中から、ビデオ通話の相手を選択することができる。
【0047】
登録ユーザのステータスに応じて、フォローリスト250での表示順序を変更してもよい。例えば、オンラインの登録ユーザのうちビデオ通話が可能な状況にある登録ユーザをフォローリスト250の上側に表示させてもよい。ビデオ通話が可能な状況にある登録ユーザとは、離席中や電話中などのビデオ通話ができないと判断される特定の状況にない登録ユーザである。または、オンラインであることのみが表示されており、それ以外のステータスは表示されていない登録ユーザを、ビデオ通話が可能な状況にある登録ユーザであると設定してもよい。
【0048】
なお、フォローリスト250に登録可能なユーザ数に制限は設けないが、ネットワークリソースおよびコンピュータリソースの節約のために数人~数十人といった上限を設けてもよい。ユーザの職位や所属部署などの属性に応じて、フォローリスト250に登録可能なユーザ数の上限を設定してもよい。
【0049】
フォローリスト250には、同一フロアのユーザを登録してもよいが、異なるフロアのユーザを登録する方が便利に使用できる。一階の仮想オフィス4(F1)にいるユーザは、他の階(例えば二階)の仮想オフィス4(F2)にいるユーザを登録することで、簡単に相手の様子を確認したり、ビデオ通話を開始したりすることができる。
【0050】
一つのフロアが広大な仮想オフィスの場合でも、同一フロアの他ユーザをフォローリスト250に登録することにより、ビデオ通話を希望するユーザは、何度も画面をスクロールさせることなく、ビデオ通話をしたいユーザのアバターの様子を確認でき、自分のアバターを長い距離移動させることなく、ビデオ通話を容易に開始できる。
【0051】
図3では、仮想オフィス4(F1)にアバターを置いているユーザU3が、フォローリスト250に登録されたユーザU28とのビデオ通話を希望している場合を示す。以下の説明では、ユーザU3がビデオ通話を希望するユーザであり、ユーザU28がビデオ通話の候補ユーザである。ユーザU28は、ユーザU3のアバターがいる仮想オフィス4(F1)とは異なる仮想オフィス4(F2)にいるものとする。
【0052】
上述の通り、フォローリスト250には、ユーザU28の状況(ユーザのステータス)が表示されている。したがって、ユーザU3は、フォローリスト250を確認することで、ユーザU28のおよその状況を簡単に把握できる。
【0053】
しかし、情報表示部GP11から得られる情報だけでは、通話候補のユーザU28の実際の状況を把握したと言えない場合もある。例えば、ユーザU28のアバターの近くに他のユーザのアバターが集まりつつありビデオ通話が始まりそうな雰囲気の場合、ユーザU28のアバターが集中室GP6にいる場合、ユーザU28のステータスは「会議中」になっているが、ユーザU28のアバターは会議室GP5に一人でいる場合のように、フォローリスト250に表示されるユーザの状況と、ユーザに対応するアバターの状況とは必ずしも一致しないことがある。したがって、通話候補ユーザのアバターの状況も確認しないと、ビデオ通話が可能か否かを適切に判断できない可能性がある。
【0054】
これに対し例えば、「会議室に一人で滞在中」、「ビデオ通話による雑談が始まる可能性大きい」のようにユーザの状況をより細かく分類して、情報表示部GP11に表示させることも考えられる。この場合は、フォローリスト250を見るだけで、そこに登録されたユーザがビデオ通話可能な状況であるか判定することができる。しかし、通話システム1の管理下にある全ユーザの状況を把握して細かくステータスを管理する必要があるため、コンピュータリソースおよびネットワークリソースを多量に消費してしまう。
【0055】
そこで、本実施例では、
図3の上側に示すように、フォローリスト250に「確認」ボタン251を設けている。ユーザU3は、ビデオ通話を希望する相手(ここではユーザU28)を選択した状態で、確認ボタン251を操作する。
【0056】
すると、
図3の下側に示すように、ユーザU3の使用するクライアント端末3の画面には、ビデオ通話の候補U28に対応するアバターの周辺状況を示す周辺状況ウインドウW1が表示される。
【0057】
ウインドウW1は、ユーザU3のアバターのいる仮想オフィス4(F1)の上に重ねて表示してもよいし、仮想オフィス4(F1)の画像から周辺状況ウインドウW1へ切り替わってもよい。周辺状況ウインドウW1は、ビデオ通話の候補ユーザU28に対応するアバターの周辺領域を映し出す表示領域である。候補ユーザU28に対応するアバターの周辺領域とは、そのアバターから所定範囲内の領域である。周辺領域の形状は、矩形状、円形状、楕円形状などいずれでもよい。周辺状況ウインドウW1は、ビデオ通話の候補ユーザのアバターおよびその周辺を拡大して表示することができる。さらに、候補ユーザのアバター周辺で表現されている音、光、メッセージ、振動などの仮想オフィス4(F2)の環境の少なくとも一部を周辺状況ウインドウW1内で再現してもよい。例えば、候補ユーザU28のいる仮想オフィス4(F2)で流れている音楽や音声、テキストメッセージ、室内の照明の色などからも、候補ユーザU28の置かれた状況を判断できる。
【0058】
さらに候補ユーザU28のアバターの周囲には、ユーザの状況を示す情報表示部GP11(
図3では省略),GP31,GP32が表示される。これらの情報表示部には、ユーザ状況を示す情報が表示される。
【0059】
周辺状況ウインドウW1の中には、ユーザU3のアバターが候補ユーザU28のアバターの近くへ移動するための移動可否ウインドウW2も表示される。ビデオ通話希望者であるユーザU3は、「はい」ボタンB1を操作することにより、ユーザU3のアバターをビデオ通話の相手候補であるユーザU28のアバターの近くへ移動させることができる。ユーザU3が「いいえ」ボタンB2を操作すると、アバターは移動しない。ユーザU3が「いいえ」ボタンB2を操作したときに、周辺状況ウインドウW1を消してもよい。ユーザU3が「はい」ボタンB1を操作すると、
図4の上側に示す図へ移動する。
【0060】
なお、ユーザU3は、ユーザU28のアバターの周辺状況を確認することなく、フォローリスト250に表示された移動ボタン252を操作することにより、自分のアバターをユーザU28のアバターの近くに出現させることもできる。
【0061】
ウインドウW1の表示周囲と、ビデオ通話を希望するユーザU3が移動ボタン252を操作したときにユーザU3のアバターが出現する範囲とは、一致してもよいし、一致しなくてもよい。
【0062】
図4の上側に示すように、ビデオ通話を希望するユーザU3のアバターは、通話相手として選ばれたユーザU28のアバターの近くに移動する。ユーザU3のアバターは、ユーザU28のアバターから所定距離ΔL離れた箇所に出現する。ユーザU3のアバターには、ユーザU3のアバターの存在を周囲に知らしめるための所定のエフェクトGP13が表示される。
【0063】
所定のエフェクトは、「通知エフェクト」、「ビデオ通話希望エフェクト」などと呼ぶこともできる。所定のエフェクトとしては、例えば、音、音声メッセージ、色の変化、アバターの大きさの変化、振動(クライアント端末3に振動デバイスが接続されているような場合)、およびこれらの組み合わせなどである。これらのエフェクトに限らず、ユーザU28に対してユーザU3の接近を直接的にまたは間接的に通知可能なエフェクトであれば採用してもよい。
【0064】
図4の下側に示すように、ビデオ通話を希望するユーザU3は、自分のアバターをユーザU28のアバターへ向けて移動させ、両者のアバターを接触させる。これにより、ビデオ通話のチャネルが開き、ビデオ通話が開始される。以下、アバターGP1(U3)のように、アバターの符号GP1にユーザの符号を加えることで、どのユーザのアバターであるかを区別することがある。
【0065】
アバター同士が接触すると、ビデオ通話制御部22はビデオ通話の準備を開始する。ビデオ通話の準備が整うまでの間、仮想オフィス制御部21は、ビデオ通話の対象であるアバターGP1(U3),GP1(U28)のそれぞれにビデオ通話準備中を示すエフェクト(不図示)を表示させることもできる。仮想オフィス制御部21は、例えば、アバターの色を変えたり、明滅させたり、サイズを拡縮させたり、アニメーションを表示させたりすることにより、ビデオ通話の対象者U3,U28だけでなく、周囲の他のユーザにもビデオ通話の開始を通知する。
【0066】
ビデオ通話が開始されると、ビデオ通話に参加する各アバターGP1(U3),GP1(U28)は、そのサイズが所定量だけ拡大する。拡大されたアバターの中にユーザのビデオVDが表示される。すなわち、拡大されたアバターGP1(U3)の中には、ユーザU3の顔画像を含むビデオVDが表示される。同様に、拡大されたアバターGP1(U28)の中には、ユーザU10のビデオVDが表示される。
【0067】
アバターGP1の中にユーザの顔画像が表示されるか否かは、クライアント端末3のカメラの向き、就業規則などに依存する。ユーザがいわゆる顔出しを希望しない場合、ユーザはカメラをオフにしたり、ユーザの居ない方向にカメラを向けたり、静止画像またはアニメーションを顔画像に代えて表示させたりすることもできる。
【0068】
ビデオ通話に参加していない他のユーザには、ビデオ通話中のアバターは通常サイズで表示される。ビデオ通話中であることを他のユーザへ明確に知らせるために、ビデオ通話中のアバターの色や形または大きさを変化させてもよい。ビデオ通話へ参加を希望するユーザは、自分のアバターをビデオ通話中のアバターGP1(U3),GP1(U28)のいずれかに接触させることで、そのビデオ通話に参加することができる。
【0069】
上述の通り、本実施例では、アバター同士が接触するとビデオ通話が開始されるが、アバター同士が接触するとは、アバターの外縁同士が接触する場合に限らず、アバターの外縁同士の距離が所定距離以下になった場合も含まれる。アバター同士が一部重なりあってもよい。
【0070】
図5を用いて、ビデオ通話システム1の機能構成とハードウェア構成を説明する。ビデオ通話システム1は、
図1でも述べたように、仮想オフィス提供サーバ2と、複数のクライアント端末3とを備えている。サーバ2は、各クライアント端末3および他システム5と通信ネットワークCNを介して双方向通信可能に接続されている。
【0071】
サーバ2は、プロセッサ200およびメモリ201を備えたコンピュータであり、メモリ201に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより、仮想オフィス提供サーバ2としての機能が実現される。
【0072】
サーバ2は、例えば、仮想オフィス制御部21と、ビデオ通話制御部22と、情報収集部23と、情報提供部24と、通話候補管理部25と、データベース(図中、DB)26および通信部27を備えている。図中では線を省略しているが、仮想オフィス制御部21とビデオ通話制御部22と情報収集部23および情報提供部24は、データベース26に接続されている。
【0073】
データベース26には、例えば、仮想オフィスサービスを利用する各ユーザの認証情報を管理するテーブル、各ユーザの仮想オフィスの利用履歴を管理するテーブル、仮想オフィス4に配置される各種オブジェクトの位置および表示形態などを管理するテーブル、各クライアント端末3の情報収集アプリケーション32から取得したユーザ状況情報を管理するテーブル(いずれも不図示)などが含まれる。
【0074】
通信部27は、通信ネットワークCNを介して各クライアント端末3と双方向通信する機能である。
【0075】
記憶媒体MMは、例えば、フラッシュメモリまたはハードディスクドライブなどの比較的長時間データを保持可能な記憶媒体である。記憶媒体MMをサーバ2に接続することにより、記憶媒体MMとメモリ201の間でコンピュータプログラムの少なくとも一部を転送することができる。
【0076】
クライアント端末3は、ユーザにより使用されるコンピュータである。クライアント端末3は、例えば、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、タブレット型パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(いわゆるスマートフォンを含む)、ウェアラブル端末などのように構成される。
【0077】
クライアント端末3は、例えば、仮想オフィスアプリケーション31と、情報収集アプリケーション32と、ユーザインターフェース(図中、UI)部33と、通信部34を備える。
【0078】
仮想オフィスアプリケーション31は、仮想オフィス4でアバターGP1を操作するためのコンピュータプログラムである。ユーザインターフェース部33は、ユーザとクライアント端末3とが情報入出力装置(不図示)を介して情報を入出力する機能である。情報入出力装置としては、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マイクロフォン、カメラ、モニタディスプレイ、プリンタ、スピーカなどがある。通信部34は、通信ネットワークCNを介してサーバ2と双方向通信する機能を持つ。
【0079】
情報収集アプリケーション32は、ユーザインターフェース部33から取得される情報と、図示せぬオペレーティングシステムまたはクライアント端末3上で稼働する他のアプリケーションから取得される情報とをそのままで、あるいは加工して、サーバ2の情報収集部23へ送る。
【0080】
例えば、カメラで撮影した画像により、ユーザがクライアント端末3の前にいるか否かがわかる。例えば、マイクロフォンの信号から、ユーザが会話しているか否かや、ユーザを取り巻く騒音などがわかる。例えば、キーボード操作を取得することにより、ユーザがクライアント端末3へ何らかの情報を入力していることがわかる。例えば、マウスまたはタッチパネルなどの操作を取得することにより、ユーザがウェブブラウザなどの何らかのアプリケーションを操作していることがわかる。例えば、クライアント端末3がGPS(Global Positioning System)を有する場合、ユーザの現在位置、移動方向、移動速度、移動軌跡などがわかる。例えば、クライアント端末3がモーションセンサを備える場合、ユーザの動作を知ることができる。
【0081】
さらに、クライアント端末3で稼働する他のアプリケーション、例えば、ウェブブラウザのアクセス履歴を取得することにより、ユーザが訪れていたウェブページを知ることができる。例えば、クライアント端末3から操作する文書作成ソフトウェア、表計算ソフトウェア、設計支援ソフトウェアなどの情報を取得することにより、ユーザが使用していたソフトウェアが何であるかを知ることができる。
【0082】
さらに、勤怠管理システムからユーザの情報を取得することにより、ユーザが何時に出勤し、何時に退勤したのかを知ることができる。例えば、ビル入退館管理システムから情報を取得することにより、ユーザがどのビルへ何時に入り、何時に出たのかを知ることができる。
【0083】
上述の通り、本実施例では、ビデオ通話の候補ユーザの状況をフォローリスト250に表示させ、さらに確認ボタン251が操作された場合は、候補ユーザの使用するアバターの状況をウインドウW1に表示させる。アバター状況は、アバターおよびその周囲の状況を示す情報であるため、「アバター周辺情報」と呼ぶこともできる。
【0084】
図6は、サーバ2の情報収集部23が各クライアント端末3の情報収集アプリケーション32から情報を収集する処理を示すフローチャートである。
【0085】
情報収集アプリケーション32は、ユーザインターフェース部33から情報入出力部(キーボード、カメラ、マイクロフォンなど)の状態を取得し(S11)、クライアント端末3で稼働する他のアプリケーション(ウェブブラウザ、事務処理系アプリケーション、ソフトウェア開発用アプリケーションなど)の状態を取得する(S12)。さらに情報収集アプリケーション32は、クライアント端末3のオペレーティングシステムの状態を取得し(S13)、クライアント端末3の位置情報を取得する(S14)。情報収集アプリケーション32は、これら取得した情報をユーザ状況情報としてサーバ2の情報収集部23へ送信する(S15)。
【0086】
情報収集部23は、各クライアント端末3から情報を受信すると(S21)、受信情報をデータベース26へ記憶して(S22)、解析する(S23)。ここで解析とは、情報収集アプリケーション32からの情報を処理することにより、ユーザの状況を判定する処理である。例えば、キーボードへ文字を入力する頻度の大小から、ユーザの忙しさを判定する処理である。後述の実施例では、ユーザに関係するワークフロー、TODOリスト、スケジュールデータなどから、そのユーザの置かれている状況を判定する。その判定は、ディープラーニングや機械学習などのいわゆる人工知能を利用することにより実現することができる。
【0087】
情報収集部23は、ステップS23での解析結果をデータベース26へ記憶させる(S24)。情報収集部23は、ステップS21において、他システム5から情報を取得することもできる。例えば、情報収集部23は、クライアント端末3を操作するユーザの識別番号を明示して、そのユーザの勤怠状況を勤怠管理システムに問い合わせ、その回答を取得することができる。
【0088】
図7は、ビデオ通話システム1の全体処理のフローチャートである。仮想オフィス制御部21は、クライアント端末3からアクセスされて、ユーザからのログイン情報(ユーザ認証に使用する情報)を取得すると、仮想オフィスサービスへのログイン処理を実行する(S31)。仮想オフィス制御部21は、仮想オフィス4内にアバターや机などのオブジェクトを配置等する仮想オフィス表示処理を実行する(S32)。
【0089】
情報提供部24は、ログインしたユーザに設定されている関心情報フィルタT2(
図11で後述)を参照し(S33)、そのユーザが他のユーザについて関心を持つと設定された情報(ユーザ状況情報)を、他アバターの周囲に表示させる(S34)。アバターの周囲にそのアバターを操作するユーザの状況を表示する例は、
図3で述べた。
【0090】
仮想オフィス制御部21は、クライアント端末3からの操作を受け付けると(S35)、アバターの位置変更や表情変更など、クライアント端末3からの操作に応じて仮想オフィス4の表示を制御する(S36)。
【0091】
ビデオ通話制御部22は、アバター同士が接触すると、ビデオ通話処理を開始する(S37)。ビデオ通話処理の例は後述する。仮想オフィス制御部21は、仮想オフィスサービスの停止が指示されるまで(S38)、本処理を実行する。
【0092】
図8は、
図7中のビデオ通話処理S37の詳細を示すフローチャートである。ビデオ通話制御部22は、フォローリスト250に登録されたユーザの中からビデオ通話の候補ユーザが選択されたか判定する(S41)。
【0093】
ビデオ通話制御部22は、フォローリスト250に登録されたユーザの中からビデオ通話の候補ユーザが選択されると(S41:YES)、確認ボタン251が操作されたか判定する(S42)。
【0094】
候補ユーザに対応するアバターの状況を確認するために確認ボタン251が操作されると(S42:YES)、情報提供部24は、ビデオ通話を希望するユーザに設定されている関心情報フィルタT2を参照し、ビデオ通話の候補ユーザについて関心を持っていると設定された情報を、候補ユーザのアバターの周囲に表示させる(S44)。
【0095】
仮想オフィス制御部21は、ビデオ通話を希望するユーザによる移動操作を受け付ける(S45)。この移動操作には、自分のアバターを候補ユーザのアバターの近くへ瞬時に移動させるための操作(移動ボタン252の操作)と、マウスなどで自分のアバターを移動させる操作が含まれる。
【0096】
ステップS45で移動ボタン252が操作されると、ビデオ通話を希望するユーザのアバターは、
図4の上側で述べたように、ビデオ通話の候補ユーザのアバターの近くに直ちに移動する。ビデオ通話を希望するユーザは、移動ボタン252を使わずに、画面をスクロールさせて、自分のアバターをビデオ通話の候補ユーザのアバターへ向けて移動させることもできる。
【0097】
仮想オフィス制御部21は、ビデオ通話を希望するユーザのアバターがビデオ通話の候補ユーザのアバターに接近したか判定する(S46)。仮想オフィス制御部21は、両アバターが接近すると(S46:YES)、その接近を知らせるためのエフェクトGP13をビデオ通話を希望するユーザのアバターに表示させる(S47)。接近を通知するためのエフェクトは、視覚で認識される要素だけでなく、聴覚や触覚で認識される要素によって実現されてもよい。
【0098】
仮想オフィス制御部21は、アバター同士が接触したか判定し(S48)、アバター同士が接触した場合(S48:YES)、その旨をビデオ通話制御部22に通知する。
【0099】
ビデオ通話制御部22は、アバター同士が接触してビデオ通話の開始が指示されると、ビデオおよび音声の共有などのビデオ通話の準備を開始し、準備が完了するとビデオ通話を開始させる(S49)。
【0100】
ステップS49では、例えば、仮想オフィス制御部21による通話準備を示すエフェクトの表示、アバターのサイズの拡大、通信チャネルの設定なども行われる。ビデオ通話制御部22は、アバター内にクライアント端末3のカメラで撮影したビデオVDを表示させると共に、音声通話を開始させる(S49)。
【0101】
仮想オフィス制御部21は、アバター同士の接触が解消したか否か、すなわちビデオ通話中のアバター同士が離れたか判定する(S50)。アバター同士が接触し続けている間(S50:NO)、ビデオ通話は維持される(S49)。アバター同士が離れると(S50:YES)、ビデオ通話は終了する(S51)。
【0102】
なお、アバター同士の接触が解消した場合であっても、ただちにビデオ通話を終了させるのではなく、所定の短時間だけビデオ通話を継続させることもできる。例えば、ユーザが誤操作によりアバターを動かしてしまったような場合に備えるためである。
【0103】
ユーザは、フォローリスト250に登録されていないユーザをビデオ通話の候補ユーザとして選択することもできる(S41:NO)。ユーザは、ビデオ通話の候補ユーザのアバターが居る場所まで自分のアバターを移動させる(S45,S46:YES)。ユーザは、候補ユーザのアバターを見つけると、自分のアバターを候補ユーザのアバターに接触させて(S48:YES)、ビデオ通話を開始する(S49)。
【0104】
ビデオ通話の候補ユーザのアバターが自分のアバターの近くにおり、画面を少しスクロールさせただけで候補ユーザのアバターの状況を確認できる場合は、フォローリスト250を使用する必要は少ない。しかし、仮想オフィスが広かったり、複数フロアを有する場合には、自分のアバターを候補ユーザのアバターの場所までわざわざ移動させる必要があり、ビデオ通話を速やかに開始することができない。本実施例では、フォローリスト250に候補ユーザを登録しておくことができ、自分のアバターを移動させずに候補ユーザのアバターの様子を閲覧(観察)することができる。
【0105】
図9は、フォロー情報T1の例を示す。
図9では一つのフォロー情報T1を示すが、フォロー情報T1はユーザ毎に作成される。フォローリスト250は、フォロー情報T1に基づいて作成され、表示される。
【0106】
フォロー情報T1は、例えば、ユーザID C11と、ユーザ氏名C12と、所属部署C13と、所属プロジェクトC14と、リスト追加日C15と、確認日時C16と、通話日時C17と、その他C18を含む。
【0107】
ユーザID C11は、ビデオ通話システム1で管理する各ユーザを識別する情報である。ユーザ氏名C12は、ビデオ通話の候補として登録されたユーザの氏名である。所属部署C13は、登録されたユーザの属する部署である。所属プロジェクトC14は、登録されたユーザの属するプロジェクトである。リスト追加日C15は、ユーザIDで特定されるユーザがビデオ通話の候補として登録された日付である。確認日時は、登録されたユーザに対応するアバターの状況が確認された日時(確認ボタン251が操作された日時)である。通話日時C17は、登録されたユーザとビデオ通話が行われた日時である。その他C18には、例えば、ビデオ通話の累計時間および累計回数などが含まれる。なお、
図9に示すフォロー情報T1の各項目のうち少なくとも一部はなくてもよい。
【0108】
ユーザは、ビデオ通話の候補ユーザを明示的に指定することにより、フォローリスト250に登録することができる。例えば、ユーザは、登録したいユーザのアバターを選択して登録ボタン(不図示)を操作することにより、そのユーザをフォローリスト250に登録することができる。
【0109】
または、ユーザは、登録したいユーザの氏名またはユーザIDをユーザ検索窓(不図示)に入力することで検出し、検出されたユーザをフォローリスト250に登録することもできる。あるいは、ビデオ通話をした相手のユーザが自動的にフォローリスト250に登録されてもよい。または、ユーザと同一部署に属するユーザ、ユーザと同一プロジェクトに属するユーザを自動的にフォローリスト250に登録してもよい。
【0110】
図10は、ユーザ状況情報の例を示す説明図である。
図10には、ユーザ状況情報の表示種別と、その情報の取得方法と、ユーザ状況情報の表現方法と、その制御についての例が示されている。
【0111】
ユーザ状況情報の表示種別には、例えば、「1.業務状態」、「2.ユーザ状態(クライアント端末前のユーザの状態)」、「3.オンライン状態」、「4.フロア状態」、「5.カレンダー状態」、「6.コミュニケーション状態」がある。
【0112】
「業務状態」に関する情報は、例えば、電話アプリケーションの稼働状態、オンライン会議アプリケーションの稼働状態、電子メールアプリケーションの稼働状態、ソフトウェア開発用アプリケーションの稼働状態、事務処理系アプリケーションの稼働状態、クライアント端末3の画面のオンオフ状態、クライアント端末3の電源のオンオフ状態、チャットアプリケーションまたはSNS(Social Networking Service)などへの投稿内容、クライアント端末3の位置測定機能などから取得される。業務状態の内容に応じて、例えば、電話中マーク、会議中マーク、メール中マーク、開発中マーク、資料作成中マーク、クライアント端末スリープ中マーク、不明マーク(クライアント端末の電源オフ時)、移動中マークなどがアバターの周囲に表示される。
【0113】
「ユーザ状態」に関する情報は、例えば、キーボードへの入力状態、マイクロフォンへの入力音、カメラで撮影されるユーザ画像の有無、カメラで撮影されるユーザ動作や表情、ユーザの位置情報などから取得される。ユーザ状態の内容に応じて、例えば、汗をかいているアニメーション、吹き出しアニメーション、離席マーク、うなずきマーク、現在位置マーク(「本社」「工場」「在宅」など)がアバターの周囲に表示される。
【0114】
「オンライン状態」に関する情報は、例えば、あらかじめ用意された状態表示ボタン(離席中ボタン、食事中ボタンなど)の操作、勤怠管理システムなどの他システム5から取得される。オンライン状態の内容に応じて、例えば、離席マーク、食事中マーク、長時間勤務マーク、残業警告マーク、オフライン継続時間マークなどがアバターの周囲に表示される。
【0115】
「フロア状態」に関する情報は、仮想オフィス4に入退室するアバターの有無、操作ユーザのアバターから所定範囲内に入った他のアバターの有無などから取得される。仮想オフィス4に座席GP22が用意されていない他のアバターが入室した場合、操作ユーザのクライアント端末3からピンポンと鳴動させる。仮想オフィス4に座席GP22がある他アバターが入室した場合、ドアの開閉する効果音が操作ユーザのクライアント端末3から発せられる。操作ユーザのアバターの所定範囲内に他のアバターが入った場合、上述のように所定のエフェクトが実行され、例えば足音の効果音が操作ユーザのクライアント端末3から発せられる。足音以外に、近くのアバターを明滅させたり、サイズを大きくしたりしてもよい。
【0116】
「カレンダー状態」に関する情報は、例えば、スケジュール管理ソフトウェアなどから取得される。
【0117】
「コミュニケーション状態」に関する情報は、例えば、ビデオ通話の利用状態、チャットアプリケーションの使用状態などから取得される。
【0118】
なお、「制御」では、例えば、ユーザが会議中または電話中の場合に、ビデオ通話の開始を禁止することができる。または、ユーザが食事中や移動中のとき、他ユーザから会話の申込みがあった場合は、その旨を知らせるメッセージをクライアント端末3へ送信して表示させる。
【0119】
後述の実施例では、ワークフローまたはTODOリストから取得した情報を解析することにより、ユーザの状況を判定する。
【0120】
図11は、ユーザ状況情報の抽出に使用される関心情報フィルタT2の例である。本実施例の情報提供部24は、ユーザ毎に設定される関心情報フィルタT2に基づいて、各ユーザ状況情報の中から所定のユーザ状況情報を抽出し、抽出されたユーザ状況情報を各ユーザの操作するアバターに対応付けて仮想オフィス4に提供する。すなわち、本実施例では、ユーザ毎に、他のユーザのアバターに対応付けられるユーザ状況情報の表示内容が異なっている。
【0121】
関心情報フィルタT2は、「所定のポリシ」と呼ぶこともできる。関心情報フィルタT2は、ユーザごとに用意されている。関心情報フィルタT2は、対応するユーザに提供する他ユーザの状況を規定する。
【0122】
図11の上側に示す関心情報フィルタT2は、例えば、管理番号C21と、フィルタ名C22と、表示内容C23を含む。フィルタ名C22は、関心情報フィルタの内容を端的に表現する。表示内容C23は、その関心情報フィルタにより抽出されるユーザ状況情報の内容である。
【0123】
同一フロア内の他アバターについて表示されるユーザ状況情報、同一グループ内の他アバターについて表示されるユーザ状況情報、同一サブグループ内の他アバターについて表示されるユーザ状況情報、操作ユーザの指定したユーザのアバターについて表示されるユーザ状況情報は、それぞれ異なってもよい。
【0124】
ここで「グループ」とは複数のユーザが所属する集団であり、部署と言い換えることもできる。「サブグループ」とは、グループに属する小集団であり、チームと言い換えることもできる。
【0125】
同一フロア内の他アバターについては、例えば、「1.業務状態」と「5.カレンダー状態」を表示させる。同一グループ内の他アバターについては、例えば、「1.業務状態」、「3.オンライン状態」、「4.フロア状態」、「6.コミュニケーション状態」を表示させる。同一サブグループ内の他アバターについては、例えば、「1.業務状態」、「2.ユーザ状態(クライアント端末前のユーザの状態)」、「3.オンライン状態」、「4.フロア状態」、「5.カレンダー状態」、「6.コミュニケーション状態」を表示させる。ユーザの指定した他ユーザのアバターについては、例えば、「1.業務状態」、「5.カレンダー状態」、「6.コミュニケーション状態」を表示させる。
【0126】
ある他アバター(他ユーザ)が関心情報フィルタT2の複数のフィルタに該当する場合、下位概念に相当するフィルタを適用すればよい。例えば、同一フロア内の他アバターがあるグループに属している場合、管理番号「2」の「同一グループ内」フィルタが適用される。サブグループに属する所定のユーザのアバターがユーザにより指定されている場合、その指定されたユーザのアバターには、管理番号「4」の「指定ユーザ」フィルタが適用される。
【0127】
以上の例に限らず、表示内容の少ないフィルタを優先的に適用してもよいし、逆に表示内容の多いフィルタを優先的に適用してもよい。
【0128】
図11の下側に示す関心情報フィルタT2Aは、仮想オフィス4のアバター密度に応じて、各フィルタに表示させる内容を制御する。アバター密度が大きくなるほど、各アバターの周囲に配置されるユーザ状況情報を少なくすることにより、ユーザは他のユーザの状況を容易に把握することができる。
【0129】
このように構成される本実施例の仮想空間ビデオ通話システム1によれば、ユーザは、自分を象徴するアバターを話したい相手のアバターに接触させるだけでビデオ通話を開始することができるため、直感的操作で手軽にビデオ通話を利用することができ、現実のオフィスでの会話と同様のコミュニケーションを簡単に取ることができる。
【0130】
さらに、本実施例では、ユーザは、フォローリスト250からビデオ通話の相手となるユーザを簡単に選択でき、ビデオ通話の使い勝手が向上する。
【0131】
さらに、本実施例では、フォローリスト250に表示されるユーザ状況から候補ユーザの状況をただちに把握できるため、ユーザはビデオ通話の可否判断を簡単に行うことができる。
【0132】
さらに、本実施例では、ユーザは確認ボタン251を操作することにより、候補ユーザのアバターの状況を確認することもできる。これにより、ユーザは、ビデオ通話の可否判断をより適切に行うことができる。
【0133】
本実施例では、ユーザは、移動ボタン252を操作することにより、候補ユーザのアバターの近くに自分のアバターを出現させることができる。そして、ユーザは、自分のアバターの出現場所から候補ユーザのアバターへ向けて移動して接触させることにより、ビデオ通話を開始させることができる。
【0134】
本実施例では、ビデオ通話の候補ユーザに対応するアバターの状況を、ビデオ通話を希望するユーザのアバターを移動させずにその場で確認できるとともに、その確認後に自アバターを候補ユーザのアバターの近くに瞬時に移動させアバター同士を接触させて、ビデオ通話を開始できる。これにより、本実施例では、一つのフロアが広大な仮想オフィス4や複数フロアを有する仮想オフィス4において、ビデオ通話の可否を適切に判断でき、簡単にビデオ通話を開始することができ、ユーザの使い勝手が向上する。
【0135】
さらに、本実施例では、アバターの内部にユーザの顔画像を表示させるため、コンピュータリソースおよびネットワークリソースを節約できる。さらに、本実施例では、顔画像を通じて話し相手の様子を知ることができる上に、アバター以外の画面を顔画像で隠さないため、ビデオ通話の当事者は、仮想オフィス4内の状況を確認しながらビデオ通話を行うことができる。
【0136】
本実施例では、既に開催中のビデオ通話へ参加を希望するユーザは、自分のアバターを開催中のビデオ通話に参加しているいずれかのアバターへ接触させるだけで、そのビデオ通話に参加することができる。
本実施例では、ユーザのアバターを閲覧している他のユーザの数を、仮想オフィス4に表示する。さらに、本実施例では、閲覧中のユーザと閲覧されているユーザとの関係別に、閲覧ユーザ数を表示させる。
サーバ2は、閲覧中のユーザが一人でも検出されると(S62:YES)、閲覧中のユーザと閲覧されているユーザとの関係を検出する(S63)。関係には、例えば、互いにフォローリスト250に登録されている相互フォローの関係、互いに同一部署に属しているという関係、互いに同一プロジェクトに属しているという関係、共通のフォロワーがいるという関係、それら以外の関係(その他の関係)などがある。
サーバ2は、ユーザからステータス変更の指示を受信すると(S65:YES)、ユーザのアバターに表示するステータスを変更させる(S66)。ステータスには、上述した電話中、会議中、離席中などのビデオ通話を断るための意思表示に使用可能なものと、例えば「雑談希望」などのように、ビデオ通話を希望するための意思表示に使用可能なものとがある。
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。さらに本実施例では、ユーザのアバターの様子を閲覧中のユーザの数を閲覧状況ウインドウW3に表示させるため、ユーザは自分への注目の度合いを知ることができる。
さらに、本実施例では、ユーザは閲覧状況ウインドウW3の表示内容を確認した後、自分のアバターに表示させるステータスのうちビデオ通話に直接的にまたは間接的に関係するステータスを変更することができる。これにより、ユーザは、ビデオ通話を事前に拒否するか否か、ビデオ通話を消極的にまたは積極的に受け入れるかをアバターを通じて意思表示することができ、ユーザの使い勝手が向上する。