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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147698
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】水上遊覧方法、及び水上遊覧組船
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/42 20060101AFI20231005BHJP
   B63B 34/00 20200101ALI20231005BHJP
   B63C 3/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B63B35/42 Z
B63B34/00
B63C3/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055356
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-24
(71)【出願人】
【識別番号】504274996
【氏名又は名称】一本松物流株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522127508
【氏名又は名称】一本松 秀樹
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】一本松 剛
(72)【発明者】
【氏名】一本松 秀樹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】乗客が船を乗り換えることなく、川や運河と海湾や湖の両方を続けて遊覧できるようにする。
【解決手段】本発明は、河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、河川遊覧船2に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程S1と、河川遊覧船2に乗客を乗せたまま、母船1に河川遊覧船2を積載する遊覧船積載工程S2と、母船1に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程S3とを備え、湾内遊覧工程S2において、乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、
河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と、
前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船に河川遊覧船を積載する遊覧船積載工程と、
母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と
を備え、
前記湾内遊覧工程において、乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法。
【請求項2】
前記母船は、無蓋有床で後方に開口部を有する係船室を備え、
前記遊覧船積載工程は、バラスト調整で前記係船室に海水を流入させる係船室沈下工程と、前記河川遊覧船を水上で走行させて前記係船室に入渠させる遊覧船入渠工程と、バラスト調節により前記係船室を浮上させ、前記河川遊覧船を前記係船室に固定する遊覧船固定工程とを有する請求項1に記載の水上遊覧方法。
【請求項3】
前記遊覧船積載工程において、乗客が前記河川遊覧船の窓から前記母船の周壁に妨げられることなく周囲を見晴らし可能である請求項1、又は請求項2に記載の水上遊覧方法。
【請求項4】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、
母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と、
前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船から河川遊覧船を離脱させる遊覧船離脱工程と、
河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と
を備え、
前記湾内遊覧工程において、乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水上遊覧方法と、請求項4に記載の水上遊覧方法とを乗客を入れ替えながら交互に繰り返す水上遊覧方法。
【請求項6】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧するために用いる水上遊覧組船であって、
母船と、
母船に積載される河川遊覧船と
を備え、
前記河川遊覧船は、前記母船に積載された状態において、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けられていることを特徴とする水上遊覧組船。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水上を船で遊覧するための方法、及び設備に関し、特に河川や運河と海湾を続けて遊覧する水上遊覧方法、及びこれに用いる水上遊覧組船に関する。
【背景技術】
【0002】
従来大阪では、河川や運河を遊覧するクルーズが人気を博している(非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0003】
例えば、非特許文献1のクルーズは、大川を大阪城付近から天満橋、天神橋をくぐって、難波橋あたりまでを往復しながら、大阪の名所旧跡を遊覧するものであり、非特許文献2のクルーズは、大阪港内をユニバーサルスタジオジャパン近傍から天保山近傍まで遊覧するものである。
【0004】
ところが、これらのクルーズでは、船が海上走行を想定しない小船からなるため、大阪湾内を遊覧することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明者は、河川や港を遊覧したあと、河川用の遊覧船を乗客ごと大きな船に収容して、湾内を遊覧することに想到する。
【0006】
このように、観光用の船艇を別の船に収容するものとして、特許文献1には、観光用の潜水艇を母船に係留して船着場から水中観光位置まで運搬する小船付き双胴船が提案されている。特許文献1の小船付き双胴船では、母船である双胴船の双胴間に小船である潜水艇を引き込むようにして一体的に連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平3-112486号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「KEIHAN大阪水上」のホームページの「アクアライナーの運行コース」のページ、2022年3月23日検索、<https://suijo-bus.osaka/intro/aqualiner/>
【非特許文献2】同「サンタマリアの運行コース」のページ、2022年3月23日検索、<https://suijo-bus.osaka/intro/santamaria/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の小船付き双胴船を、河川と海湾の遊覧に応用しようとしても、乗客は小船と双胴船の乗り換えが面倒であるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、乗客が船を乗り換えることなく河川と海湾の両方を観光可能な遊覧方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と、前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船に河川遊覧船を積載する遊覧船積載工程と、母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程とを備え、前記湾内遊覧工程において、乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする。
【0011】
本発明の水上遊覧方法は、このように、遊覧船積載工程において乗客を乗せ換えることなく河川遊覧船を母船に積載するので、乗客は、乗り換えるための時間と労力を節約できるとともに、乗り換える際に転倒したり海に落下したりする危険を回避できる。
【0012】
本発明の水上遊覧方法は、前記母船が、無蓋有床で後方に開口部を有する係船室を備え、前記遊覧船積載工程は、バラスト調整で前記係船室に海水を流入させる係船室沈下工程と、前記河川遊覧船を水上で走行させて前記係船室に入渠させる遊覧船入渠工程と、バラスト調節により前記係船室を浮上させ、前記河川遊覧船を前記係船室に固定する遊覧船固定工程とを有することが好ましい。
このように、遊覧船積載工程において、河川遊覧船に水上を走行させるようにして河川遊覧船を係船室に積載するので、船が傾くことによる乗客の危険や乗り心地の悪さを抑制できる。
【0013】
本発明の水上遊覧方法は、前記遊覧船積載工程において、乗客が前記河川遊覧船の窓から前記母船の周壁に妨げられることなく周囲を見晴らし可能であることが好ましい。こうすることで、乗客は、遊覧船積載工程の間も周りの景観を楽しむことができる。
【0014】
本発明は、河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧するために、母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と、前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船から河川遊覧船を離脱させる遊覧船離脱工程と、河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程とを備え、前記湾内遊覧工程において、乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法を含む。
【0015】
本発明は、上記2つの水上遊覧方法を、乗客を入れ替えながら交互に繰り返すようにしてもよい。こうすることで、乗客の入れ替え時に母船に対し河川遊覧船を載置したり下ろしたりする工程を省略できる。
【0016】
本発明は、河川や運河を遊覧する河川遊覧船に乗客を乗せたまま海湾を遊覧するために用い、母船と、母船に積載される河川遊覧船とを備え、前記河川遊覧船は、前記母船に積載された状態において、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けられていることを特徴とする水上遊覧組船を含む。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の水上遊覧方法によれば、河川を遊覧した船から降りることなく、湖や海湾を遊覧できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る水上遊覧方法において、母船が最もレベルアップした状態における(a)母船後方に河川遊覧船を配置した状態を側面視で示す模式図、(b)母船を後方から見た模式図である。
図2】本発明に係る水上遊覧方法において、母船が最もレベルダウンした様子を示す模式図である。
図3】本発明に係る水上遊覧方法において、母船に入渠後、あるいは出渠前の遊覧船が、係船室内の水面に浮かぶ様子を示す模式図である。
図4】本発明に係る水上遊覧方法において、遊覧船固定工程の様子を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る水上遊覧方法を示す工程図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る水上遊覧方法を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を用いながら本発明の実施形態について詳述する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限られるものではない。
【0020】
<第1実施形態>
(水上遊覧組船)
図1は、本発明の第1実施形態に係る水上遊覧組船100を示している。水上遊覧組船100は、河川や運河と、湖や海湾とを続けて遊覧するために用いられ、母船1と、河川遊覧船2とを備えている。
【0021】
母船1は、図3(b)に示すように、幅方向の中央に係船室13を有している。係船室13は、船底11と周壁12とにより上方全面が開口した無蓋有床の扁平箱形のドック状に形成され、母船1の全幅に亘り開口した後端の開口部14から水上遊覧船を入出渠させるよう構成されている。母船1は、バラスト調節により浮沈するとともに、開口部14から海水が出入りし、床面13aが海面に対し浮上、沈没するよう構成されている。符号15、16、及び17は、それぞれ船橋、スクリュー、及び舵を示す。
尚、図示の例では、係船室13に2隻の河川遊覧船2を係留しているが、1台、又は3台以上を係留するようにしてもよい。
【0022】
河川遊覧船2は、船体21と、船体21に載置される客室22とを備えている。河川遊覧船2を母船1の係船室13に固定した状態において、客室22の窓22aは、少なくとも一部が、母船1の周壁12の上縁よりも上方に突出するよう設けられ、この突出した部分から、客室22内の乗客は、母船1の周囲を見晴らすことができる。図示の例では、客室22は、側壁から天井に亘る窓22aの全部が母船1の周壁12よりも上方に突出するよう設けられ、客室22内に設けられた客席(不図示)から客室外の側方、及び上方を望むことができるよう構成されている。
【0023】
河川遊覧船2は、自力で母船1に入渠できれば特に限定されないが、ホバークラフトや、ウォータージェット船のようにスクリュー以外の動力で走行する船が好ましい。こうすることで、スクリューを船体上に引き上げることなく、河川遊覧船2を母船1に入渠できる。
【0024】
(水上遊覧方法)
次に、水上遊覧組船100を用いて、河川と海湾を続けて遊覧する方法について説明する。本実施形態に係る水上遊覧方法は、図5に示すように、河川遊覧船2に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程S1と、河川遊覧船2に乗客を乗せたまま、母船1に河川遊覧船2を積載する遊覧船積載工程S2と、母船1に河川遊覧船2を載置した状態で、海湾や湖を遊覧する湾内遊覧工程S3とを備えている。
【0025】
(河川遊覧工程S1)
河川遊覧工程S1は、河川遊覧船2に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する工程である。河川遊覧工程S1では、まず、遊覧する河川や運河沿いに設けた港(不図示)において、乗客を河川遊覧船2に乗せ、河川や運河を遊覧する。乗客は客室22の窓22aから河岸の景色を観覧する。河川遊覧工程S1は、遊覧した河川の河口や運河の海や湖への出口近辺に設けた港Aに到着することで終了する。当該港Aは、乗船用の港と同じでも別でもよい。
【0026】
(遊覧船積載工程S2)
遊覧船積載工程S2は、河川遊覧船2に乗客を乗せたまま、母船1に河川遊覧船2を積載する工程であり、図5に示すように、バラスト調整で係船室13に海水を流入させる係船室沈下工程S21と、河川遊覧船2を水上で走行させて係船室13に入渠させる遊覧船入渠工程S22と、バラスト調節により係船室13を浮上させ、河川遊覧船2を係船室13に固定する遊覧船固定工程S23とを有している。
【0027】
(係船室沈下工程S21)
河川遊覧船2が河川遊覧工程S1を終え、港Aに到着したら、図1(a)に示すように、河川遊覧船2を港A内に停泊している母船1の後方(図1の右方)に船首を母船1に向けるようにして停泊させる。この際、母船1の係船室13の床面13aは、海面Wから露出している。
【0028】
この状態で、母船1のバラストタンクに海水を流入する等して、母船1をレベルダウン(沈下)させ、図2(b)に示すように、係船室13内に海水を流入させて係船室13の床面13aを海面下に水没させる。
【0029】
(遊覧船入渠工程S22)
係船室13の床面13aを水没させたら、図2(a)の「入渠」と記した矢印の向きに河川遊覧船2を走行させ、図3に示すように、河川遊覧船2を係船室13内に入渠させる。
【0030】
この遊覧船入渠工程S22において、河川遊覧船2が母船1に入渠する間、河川遊覧船2は一貫して概ね水平な水面を走行するため、客室22内の乗客は、体が大きく傾くことがなく安全で快適である。また、この入渠の間、河川遊覧船2の窓22aは、少なくとも上側の一部が、(好ましくは、全部が)一貫して母船1の周壁12の上端より上側に露出しているため、乗客は入渠の間も周りの景色を楽しむことができる。
【0031】
(遊覧船固定工程S23)
河川遊覧船2を母船1の係船室13に入渠させたら、河川遊覧船2が動かないように係船柱(不図示)にロープを繋ぐ等して河川遊覧船2を母船1に係留する。図4に示すように、河川遊覧船2を係留した状態でバラストタンクから海水を排出し、母船1をレベルアップ(浮上)させる。係船室13から海水が排出され、係船室13の床面13aが浮上したら、河川遊覧船2を係船室13の床面13aに設置した枕木(不図示)等の固定手段により母船1に固定する。
【0032】
この遊覧船固定工程S23において、河川遊覧船2が水に浮いた状態から係船室13の床面13aに当接して固定されるまでの間、河川遊覧船2は概ね水平な状態を維持するため、客室22の乗客は、体が大きく傾くことがなく安全で快適である。また、河川遊覧船2が床面13aに固定された状態においても、河川遊覧船2の窓22aは、少なくとも上側の一部が(好ましくは、全部が)、一貫して母船1の周壁12の上端より上側に突出しているため、乗客は、遊覧船固定工程S23の間も周りの景色を楽しむことができる。
【0033】
(湾内遊覧工程S3)
湾内遊覧工程S3は、母船1に河川遊覧船2を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する工程である。遊覧船固定工程S23において、河川遊覧船2を母船1の係船室13に固定したら、母船1のエンジンを駆動して、河川遊覧船2を載置した状態で海や湖の湾内を遊覧する。河川遊覧船2の窓22aは、少なくとも一部が母船1の周壁12より上側に露出しているので、湾内遊覧工程S3においても、乗客は、河川遊覧船2の窓22aから母船1の周壁12に視界を妨げられることなく、周囲の景色を楽しむことができる。
【0034】
<第2実施形態.>
次に、本発明の第2実施形態に係る水上遊覧方法について説明する。第2実施形態に係る水上遊覧方法では、第1実施形態とは逆に、海湾や湖を先に遊覧したのち、河川や運河を遊覧する。
尚、第2実施形態においても、第1実施形態と同じ水上遊覧組船100を用いる他、第1実施形態と共通する部材については同一符号を付して、説明を省略する。
【0035】
(湾内遊覧工程S201)
湾内遊覧工程S201は、母船1に河川遊覧船2を載置した状態で、海湾や湖を遊覧する工程である。湾内遊覧工程S201は、港A内に河川遊覧船2を載置した母船1を停泊させておき、この河川遊覧船2内に乗客を乗せる。乗客が河川遊覧船2の窓22aから景色を眺めることができるのは、第1実施形態における湾内遊覧工程S3と同様である。
【0036】
(遊覧船離脱工程S202)
遊覧船離脱工程S202は、河川遊覧船2に乗客を乗せたまま、母船1から河川遊覧船2を離脱させる工程であり、図6に示すように、バラスト調整で係船室13に海水を流入させる係船室沈下工程S221と、河川遊覧船2を水上で走行させて係船室13から出渠させる遊覧船出渠工程S222と、バラスト調節により係船室13を浮上させる係船室浮上工程S223とを有している。
【0037】
(係船室沈下工程S221)
河川遊覧船2が湾内遊覧工程S201を終え、港Aに到着したら、乗客はそのまま河川遊覧船2に乗せたまま、母船1のバラストタンクに海水を流入する等して、母船1をレベルダウン(沈下)させ、図3(b)に示すように、係船室13内に海水を流入させて河川遊覧船2を海面上に浮上させる。この間、河川遊覧船2を母船1に対する固定手段は適宜に解除する。
【0038】
(遊覧船出渠工程S222)
係船室13内で河川遊覧船2を浮上させたら、河川遊覧船2の係留も解除し、図2(a)の「出渠」と記した矢印の向き(図の右向き)に河川遊覧船2を自力で走行させ、河川遊覧船2を係船室13の後方に出渠させる。
【0039】
この遊覧船出渠工程S222において、河川遊覧船2が係船室13の床面13aに固定された状態から、水に浮上して出渠を完了するまでの間、河川遊覧船2は概ね水平な状態を維持するため、客室22の乗客は、体が大きく傾くことがなく安全で快適である。また、この間一貫して河川遊覧船2の窓22aは、少なくとも上側の一部が(好ましくは、全部が)、一貫して母船1の周壁12の上端より上側に突出しているため、乗客は、遊覧船出渠工程S222の間も周りの景色を楽しむことができる。
【0040】
(係船室浮上工程S223)
河川遊覧船2を母船1から離脱させたら、バラストタンクから海水を排出する等して、図1(b)の状態にまで、母船1を浮上させる。
【0041】
(河川遊覧工程S203)
河川遊覧船2を母船1から離脱させたら、母船1は港A内に残し、河川遊覧船単独で河川や運河を遊覧する。
【0042】
(その他の実施形態)
第1実施形態の水上遊覧方法を、乗客を入れ替えながら繰り返す場合には、乗客の入れ替え時に、第2実施形態における遊覧船離脱工程S202を実施すればよい。
【0043】
また、第2実施形態の水上遊覧方法を、乗客を入れ替えながら繰り返す場合には、乗客の入れ替え時に、第1実施形態における遊覧船積載工程S2を実施すればよい。
【0044】
さらに、第1実施形態の水上遊覧方法が終了したら乗客を入れ替えて第2実施形態の水上遊覧方法を実施し、第2実施形態の水上遊覧方法が終了したら、また乗客を入れ替えて第1実施形態の水上遊覧方法を実施するというように、第1実施形態と第2実施形態の水上遊覧方法を交互に繰り返すこともでき、こうすると、第1、又は第2実施形態のうち同じ実施形態の水上遊覧方法を繰り返す場合に乗客の入れ替え時に必要な遊覧船離脱工程S202や遊覧船積載工程S2を省略できる。
【0045】
以上、本発明の水上遊覧方法、及び水上遊覧組船は、上述した実施形態に限らず、例えば、母船の係船室は、乗客が河川遊覧船の客室の窓から母船の外部が望めれば、屋根があってもよいし、床がなくてもよい。遊覧船積載工程や、遊覧船離脱工程において、母船を浮沈させずに母船に対し河川遊覧船を積載、又は離脱させるようにしてもよい。
【0046】
また、本発明の水上遊覧方法では、河川、又は海湾を遊覧する途中で港に立ち寄って乗客の一部、または全部を乗降させることも可能である。また、万博会場やテーマパーク等の観光地に立ち寄って乗客を降ろし、観光が終わったころに迎えに行くようしてもよいし、観光地で降りた乗客がそこで観光をする間、別のグループの乗客を乗せて河川や海湾を遊覧するようにしてもよい。本発明の水上遊覧方法を、観光地と別の観光地、観光地とホテルの間等の移動手段として利用してもよい。異なる遊覧船を、交代で載せて遊覧することもできる。
【符号の説明】
【0047】
100 水上遊覧組船
1 母船
12 周壁
13 係船室
13a 床面
14 開口部
2 河川遊覧船
22 客室
22a 窓
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-07-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、
河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と、
前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船に河川遊覧船を積載する遊覧船積載工程と、 母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と
を備え、
前記湾内遊覧工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に積載された際に、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて、乗客が河川遊覧船の窓から視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法。
【請求項2】
前記母船は、無蓋有床で後方に開口部を有する係船室を備え、
前記遊覧船積載工程は、バラスト調整で前記係船室に海水を流入させる係船室沈下工程と、前記河川遊覧船を水上で走行させて前記係船室に入渠させる遊覧船入渠工程と、バラスト調節により前記係船室を浮上させ、前記河川遊覧船を前記係船室に固定する遊覧船固定工程とを有する請求項1に記載の水上遊覧方法。
【請求項3】
前記遊覧船積載工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に入渠を開始してから母船に固定されるまでの間、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて乗客が前記河川遊覧船の窓から前記母船の周壁に妨げられることなく周囲を見晴らし可能である請求項2に記載の水上遊覧方法。
【請求項4】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、
母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と、
前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船から河川遊覧船を離脱させる遊覧船離脱工程と、
河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と
を備え、
前記湾内遊覧工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に積載された状態において、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法。
【請求項5】
請求項1に記載の水上遊覧方法を河川遊覧工程、遊覧船積載工程、湾内遊覧工程の順に実施したのち、乗客を入れ替えて、請求項4に記載の水上遊覧方法を湾内遊覧工程、遊覧船離脱工程、河川遊覧工程の順に実施するか、又は、請求項4に記載の水上遊覧方法を湾内遊覧工程、遊覧船離脱工程、河川遊覧工程の順に実施したのち、乗客を入れ替えて、請求項1に記載の水上遊覧方法を河川遊覧工程、遊覧船積載工程、湾内遊覧工程の順に実施する水上遊覧方法。
【請求項6】
河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧するために用いる水上遊覧組船であって、
母船と、
母船に積載される河川遊覧船と
を備え、
前記河川遊覧船は、前記母船に積載された状態において、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けられていることを特徴とする水上遊覧組船。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程と、前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船に河川遊覧船を積載する遊覧船積載工程と、母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程とを備え、前記湾内遊覧工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に積載された際に、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて、乗客が河川遊覧船の窓から視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明の水上遊覧方法は、前記遊覧船積載工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に入渠を開始してから母船に固定されるまでの間、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて乗客が前記河川遊覧船の窓から前記母船の周壁に妨げられることなく周囲を見晴らし可能であることが好ましい。こうすることで、乗客は、遊覧船積載工程の間も周りの景観を楽しむことができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明は、河川や運河と海湾や湖の両方を乗客に船を乗り換えさせることなく遊覧する水上遊覧方法であって、母船に河川遊覧船を載置した状態で、海や湖の湾内を遊覧する湾内遊覧工程と、前記河川遊覧船に乗客を乗せたまま、母船から河川遊覧船を離脱させる遊覧船離脱工程と、河川遊覧船に乗客を乗せて、河川や運河を遊覧する河川遊覧工程とを備え、前記湾内遊覧工程において、前記河川遊覧船が、前記母船に積載された状態において、当該河川遊覧船の客室の窓の少なくとも一部が前記母船の周壁より上側に出るよう設けて乗客が河川遊覧船の窓から母船の周壁に視界を妨げられることなく周囲を見晴らし可能とすることを特徴とする水上遊覧方法を含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は、上記2つの水上遊覧方法のうち一方の水上遊覧方法を、河川遊覧工程、遊覧船積載工程、湾内遊覧工程の順に実施したのち、乗客を入れ替えて、他方の水上遊覧方法を湾内遊覧工程、遊覧船離脱工程、河川遊覧工程の順に実施するか、又は、当該他方の水上遊覧方法を湾内遊覧工程、遊覧船離脱工程、河川遊覧工程の順に実施したのち、乗客を入れ替えて、当該一方の水上遊覧方法を河川遊覧工程、遊覧船積載工程、湾内遊覧工程の順に実施するようにしてもよい。こうすることで、乗客の入れ替え時に母船に対し河川遊覧船を載置したり下ろしたりする工程を省略できる。