特開 2023-147710 サポートプログラム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023147710

(43)【公開日】2023-10-13

(54)【発明の名称】サポートプログラム

(51)【国際特許分類】

   G06F 3/12 20060101AFI20231005BHJP

   B41J 29/38 20060101ALN20231005BHJP

【ＦＩ】

G06F3/12 356

G06F3/12 303

G06F3/12 332

B41J29/38 202

【審査請求】未請求

【請求項の数】12

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022055381

(22)【出願日】2022-03-30

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000291

【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所

(72)【発明者】

【氏名】成田 建樹

(72)【発明者】

【氏名】細溝 仁人

【テーマコード（参考）】

2C061

【Ｆターム（参考）】

2C061AP01

2C061AQ05

2C061HJ08

2C061HK06

2C061HK07

2C061HN05

2C061HN15

2C061HP08

2C061HQ01

(57)【要約】

【課題】ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタに対して特別な処理の実行を簡単に指示できる技術を提供すること。
【解決手段】補助プログラム４２は、編集アプリ４３等から出力された印刷指示があったことによって、汎用印刷プログラム４１から処理が要求され、プリンタ２が選択された状態で起動指示をＯＳ２１が受け付けたことによっても、汎用印刷プログラム４１から処理が要求される。補助プログラム４２は、起動指示をＯＳ２１が受け付けたことによって処理が要求された場合に、ＰＣ１のＣＰＵ１１に、プリンタ２が有する本体情報を取得させ、取得された本体情報に基づく処理をプリンタ２に実行させる本体命令を、プリンタ２に送信させる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、特定のプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、前記オペレーティングシステムは、選択されたプリンタに対応するプログラムの起動指示を受け付けることが可能であり、前記汎用印刷プログラムには、前記起動指示に応じて処理を要求するプログラムがプリンタに関連付けられており、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記特定のプリンタに行わせる前記印刷指示があったことによって、前記汎用印刷プログラムから処理が要求された場合に、
前記汎用印刷プログラムから前記画像を示す画像データを取得し、前記画像データに基づいて印刷コマンドを前記特定のプリンタに送信するための処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記特定のプリンタが選択された状態で、前記起動指示を前記オペレーティングシステムが受け付けたことによって、前記汎用印刷プログラムから処理が要求された場合に、
前記特定のプリンタが有する本体情報を取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づく処理を前記特定のプリンタに実行させる本体命令を、前記特定のプリンタに送信する送信処理と、
を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項2】

請求項１に記載するサポートプログラムにおいて、
前記取得処理にて取得される前記本体情報には、前記特定のプリンタの能力を示す能力情報が含まれており、
前記送信処理では、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に含まれる前記能力情報に基づいて、前記特定のプリンタが実行可能な処理を特定し、特定された処理を前記特定のプリンタに実行させる前記本体命令を、前記特定のプリンタに送信する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項3】

請求項１または請求項２に記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記取得処理を実行した後、前記本体命令の出力指示を受け付ける出力指示受付処理を実行させ、前記出力指示受付処理にて前記出力指示が受け付けられた場合に、前記送信処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項4】

請求項１または請求項２に記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づいて前記特定のプリンタで実行可能な処理が複数あった場合に、前記特定のプリンタに実行させる処理の選択を受け付け、選択された処理を前記特定のプリンタに実行させる前記本体命令を、前記特定のプリンタに送信する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項5】

請求項１から請求項４のいずれか１つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記特定のプリンタが選択された状態で、前記起動指示を前記オペレーティングシステムが受け付けたことによって、前記汎用印刷プログラムから処理が要求された場合に、
前記取得処理にて取得された前記本体情報の少なくとも一部を表示する表示処理を実行させる、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項6】

請求項５に記載するサポートプログラムにおいて、
前記取得処理にて取得される前記本体情報には、第１本体情報と、第２本体情報と、が含まれており、前記第１本体情報は、前記特定のプリンタのディスプレイに表示される情報であり、前記第２本体情報は、前記特定のプリンタの前記ディスプレイに表示されない情報であり、
前記表示処理では、前記取得処理にて取得された前記本体情報に含まれる情報のうち少なくとも前記第２本体情報を表示する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項7】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記本体命令として、前記特定のプリンタに設定されている設定値の印刷を前記特定のプリンタに実行させる設定値印刷コマンドを、前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記設定値印刷コマンドを受信した場合、前記特定のプリンタに設定されている前記設定値を印刷する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項8】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記取得処理にて取得される前記本体情報には、前記特定のプリンタに設定されている設定値の情報が含まれており、
前記コンピュータに、
前記取得処理を実行した後、前記取得処理にて取得された前記設定値の情報を表示し、前記設定値の変更指示と、新たな設定値と、を受け付ける設定変更受付処理を実行させ、前記設定変更受付処理にて前記変更指示が受け付けられた場合に、前記送信処理を実行させ、
前記送信処理では、
前記本体命令として、設定値を変更する処理を前記特定のプリンタに実行させる変更コマンドを、前記設定変更受付処理にて受け付けられた前記新たな設定値と関連付けて、前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記変更コマンドを受信した場合、受信した前記変更コマンドに関連付けられている前記新たな設定値を設定する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項9】

請求項１から請求項６のいずれか１つに記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記本体命令として、前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づくテスト印刷を前記特定のプリンタに実行させるテスト印刷コマンドを、前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記テスト印刷コマンドを受信した場合、前記テスト印刷に用いられる画像を含むテスト画像を印刷する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項10】

請求項９に記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づいて前記テスト印刷に用いる前記テスト画像を決定し、決定された前記テスト画像を含む前記テスト印刷コマンドを、前記本体命令として前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記テスト印刷コマンドを受信した場合、受信した前記テスト印刷コマンドに含まれる前記テスト画像を印刷する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項11】

請求項１０に記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づいて前記テスト印刷に用いる前記テスト画像を決定し、決定された前記テスト画像に前記取得処理にて取得された前記本体情報の少なくとも一部が書き込まれた第１編集テスト画像を含む前記テスト印刷コマンドを、前記本体命令として前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記テスト印刷コマンドを受信した場合、受信した前記テスト印刷コマンドに含まれる前記第１編集テスト画像を印刷する、
ように構成されるサポートプログラム。

【請求項12】

請求項１０に記載するサポートプログラムにおいて、
前記送信処理では、
前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づいて前記テスト印刷に用いる前記テスト画像を決定し、決定された前記テスト画像に前記サポートプログラムに関する情報が書き込まれた第２編集テスト画像を含む前記テスト印刷コマンドを、前記本体命令として前記特定のプリンタに送信し、前記特定のプリンタは、前記テスト印刷コマンドを受信した場合、受信した前記テスト印刷コマンドに含まれる前記第２編集テスト画像を印刷する、
ように構成されるサポートプログラム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本明細書に開示される技術分野は、プリンタの制御をサポートするサポートプログラムに関する。

【背景技術】

【0002】

近年、前述したプリンタドライバを利用せず、オペレーティングシステム（ＯＳ）に標準に組み込まれている汎用印刷プログラムによってプリンタを制御する技術が実用化されている。この技術では、ＯＳがプリンタを検知するとＯＳ標準の汎用印刷プログラムとの関連付けを行い、以後、そのプリンタに対する印刷指示を受け付けた場合に、プリンタドライバを用いずに、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムによる印刷が可能になる。

【0003】

また、プリンタが通常の印刷以外に実行する処理として、例えば特許文献１には、プリンタの操作部からテスト印刷の指示を受け付けて、テストパターンを印刷する構成が開示されている。また、プリンタドライバの技術であるが、アプリケーションプログラムからの印刷指示に基づく通常の印刷以外にプリンタに実行させる処理として、プリンタドライバからプリンタが有する特別な処理を実行させるためのコマンドを出力し、プリンタを制御する構成も知られている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００８－１５２４６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

前述したように、プリンタに通常の印刷以外に実行させる処理として、テスト印刷やクリーニングといった特別な処理があり、プリンタの操作部やプリンタドライバからその特別な処理の実行を指示する技術が知られている。ＯＳ標準の汎用印刷プログラムを利用する環境であっても、アプリケーションプログラムからの印刷指示に基づく通常の印刷以外に、情報処理装置からその特別な処理の実行を指示できることが望まれるが、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムにはそのような指示を受け付けるインタフェースが設けられていないことから、改善の余地がある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上述した課題の解決を目的としてなされたサポートプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、特定のプリンタに対応し、前記情報処理装置のオペレーティングシステムにあらかじめ組み込まれた汎用印刷プログラムをサポートするサポートプログラムであって、前記オペレーティングシステムは、選択されたプリンタに対応するプログラムの起動指示を受け付けることが可能であり、前記汎用印刷プログラムには、前記起動指示に応じて処理を要求するプログラムがプリンタに関連付けられており、前記コンピュータに、前記情報処理装置に組み込まれているアプリケーションプログラムから出力された印刷指示であって、前記汎用印刷プログラムに対して画像の印刷を前記特定のプリンタに行わせる前記印刷指示があったことによって、前記汎用印刷プログラムから処理が要求された場合に、前記汎用印刷プログラムから前記画像を示す画像データを取得し、前記画像データに基づいて印刷コマンドを前記特定のプリンタに送信するための処理を実行させ、さらに前記コンピュータに、前記特定のプリンタが選択された状態で、前記起動指示を前記オペレーティングシステムが受け付けたことによって、前記汎用印刷プログラムから処理が要求された場合に、前記特定のプリンタが有する本体情報を取得する取得処理と、前記取得処理にて取得された前記本体情報に基づく処理を前記特定のプリンタに実行させる本体命令を、前記特定のプリンタに送信する送信処理と、を実行させる、ように構成されている。

【0007】

本明細書に開示されるサポートプログラムは、アプリケーションプログラムからの印刷指示とは別に、ＯＳにて起動指示が受け付けられた際、特定のプリンタの本体情報を取得し、その本体情報に基づく処理の実行を指示する本体命令を特定のプリンタに送信する。従って、ユーザは、特定のプリンタにアプリケーションプログラムからの印刷指示に基づく通常の印刷以外の処理の実行を、起動指示の入力という操作に基づいて、特定のプリンタに指示できる。

【0008】

上記サポートプログラムが組み込まれた情報処理装置、サポートプログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、及びサポートプログラムの機能を実現するための制御方法、サポートプログラムとプリンタとを含む印刷システムも、新規で有用である。

【発明の効果】

【0009】

本明細書に開示される技術によれば、ＯＳ標準の汎用印刷プログラムが組み込まれた情報処理装置において、プリンタに対して特別な処理の実行を簡単に指示できる技術が実現される。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】ＰＣの電気的構成の概略を示すブロック図である。

【図2】補助プログラムによる処理の手順の例を示すシーケンス図である。

【図3】デバイス管理指示を受け付ける画面の例を示す説明図である。

【図4】詳細管理画面の例を示す説明図である。

【図5】指示受付画面の例を示す説明図である。

【図6】補助プログラムによる処理の手順の例を示すシーケンス図である。

【図7】印刷の手順の例を示すシーケンス図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本形態の補助プログラムを利用するパーソナルコンピュータ（以下、「ＰＣ」とする）について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本明細書は、ＰＣにて実行される補助プログラムを開示する。

【0012】

本形態のＰＣ１は、図１に示すように、ＣＰＵ１１と、メモリ１２と、を含むコントローラ１０を備えている。ＰＣ１は、情報処理装置の一例である。ＣＰＵ１１は、コンピュータの一例である。また、ＰＣ１は、ユーザインタフェース（以下、「ユーザＩＦ」とする）１３と、通信インタフェース（以下、「通信ＩＦ」とする）１４と、を備え、これらがコントローラ１０に電気的に接続されている。なお、図１中のコントローラ１０は、ＰＣ１の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にＰＣ１に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。

【0013】

ＣＰＵ１１は、メモリ１２から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ１２には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ１２は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。ＣＰＵ１１が備えるバッファも、メモリの一例である。なお、メモリ１２の一例は、ＰＣ１に内蔵されるＲＯＭ、ＲＡＭ、ＨＤＤ等に限らず、ＣＰＵ１１が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体、例えば、ＣＤ－ＲＯＭ、ＤＶＤ－ＲＯＭ等の記録媒体であっても良い。

【0014】

ユーザＩＦ１３は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザＩＦ１３は、情報を表示可能なディスプレイと、入力受付機能を有するマウスやキーボード等と、の組であっても良いし、表示機能と入力受付機能とを備えるタッチパネルであっても良い。

【0015】

通信ＩＦ１４は、プリンタ２等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信ＩＦ１４の通信規格は、イーサネット（登録商標）、Ｗｉ－Ｆｉ（登録商標）、ＵＳＢなどである。ＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、インターネットに接続可能であっても良い。また、ＰＣ１は、複数の通信規格に対応する複数の通信ＩＦ１４を備えていてもよい。本形態のＰＣ１は、通信ＩＦ１４を介して、図１に示すように、プリンタ２に接続されている。プリンタ２は、少なくとも印刷機能と通信機能とを有する装置である。プリンタ２は、特定のプリンタの一例である。

【0016】

ＰＣ１のメモリ１２には、図１に示すように、汎用印刷プログラム４１を含むオペレーティングシステム（以下、「ＯＳ」とする）２１と、補助プログラム４２と、編集アプリ４３等の各種のアプリケーションプログラム（以下、「アプリ」とする）と、が記憶されている。ＯＳ２１は、例えば、Ｗｉｎｄｏｗｓ（登録商標）、ｍａｃＯＳ（登録商標）、Ｌｉｎｕｘ（登録商標）、ｉＯＳ（登録商標）、Ａｎｄｒｏｉｄ（登録商標）である。補助プログラム４２は、サポートプログラムの一例である。

【0017】

汎用印刷プログラム４１は、ＯＳ２１とともに提供されるＯＳ標準のプログラムであり、プリンタ２等に印刷を実行させるための機能を有する。本形態の汎用印刷プログラム４１は、印刷対象の画像データに基づいて、中間画像データを生成する機能を含むプログラムである。汎用印刷プログラム４１は、各種のプリンタのベンダによって提供される複数種類のモデルのプリンタが共通に利用できる機能をサポートしている。汎用印刷プログラム４１は、各種のプリンタに固有のプリンタドライバとは異なり、各種のプリンタが固有に備える機能の全てに対応するものではなく、サポートする機能は汎用的なものに限られる。

【0018】

補助プログラム４２は、対象のハードウェアの制御をサポートするプログラムまたはプログラム群である。本形態の補助プログラム４２は、ＰＣ１に接続されているプリンタ２のモデルに対応するものであり、例えば、汎用印刷プログラム４１を使用してプリンタ２に印刷を実行させる指示を受け付けた場合に、汎用印刷プログラム４１から起動される。補助プログラム４２は、例えば、印刷サポートアプリ（略称、ＰＳＡ）、またはハードウェアサポートアプリ（略称、ＨＳＡ）と呼ばれるものである。

【0019】

なお、補助プログラム４２は、それぞれが実行命令を受け付ける複数のプログラムの組み合わせであっても良いし、１つのプログラムであって命令に応じてそれぞれ異なる処理を実行できるプログラムであっても良い。また、補助プログラムは、プリンタのベンダによってプリンタのタイプごとに用意されるプログラムであっても良い。例えば、インクジェットプリンタ用の補助プログラムやレーザプリンタ用の補助プログラムが、それぞれ用意されても良い。プリンタのタイプごとに限らず、プリンタのモデルごとやプリンタのモデルのシリーズごとに用意される補助プログラムが有っても良い。

【0020】

ＰＣ１のＯＳ２１は、例えば、新たなプリンタがＰＣ１に接続された場合、接続されたプリンタのタイプやモデルに応じて、適切な補助プログラムをサーバ等からダウンロードしてＰＣ１に組み込むことができる。ＯＳ２１は、組み込んだ補助プログラムの識別情報を新たに接続されたプリンタのプリンタ情報と対応付けてメモリ１２に記憶し、プリンタごとにプリンタキューを生成する。

【0021】

編集アプリ４３は、例えば、画像データや文書データの作成や編集を行うためのアプリである。編集アプリ４３は、例えば、マイクロソフト（登録商標）製のワード（登録商標）やパワーポイント（登録商標）などであっても良いし、プリンタ２のベンダから提供されるアプリであっても良い。編集アプリ４３は、ユーザＩＦ１３を介して、例えば、プリンタ２に印刷を実行させる印刷実行指示を受け付け可能である。

【0022】

次に、本形態のＯＳ２１と補助プログラム４２とによる処理の手順について、図２のシーケンス図を参照して説明する。この手順は、ＰＣ１にプリンタ２が接続され、プリンタ２に対応する補助プログラム４２がメモリ１２に記憶されている状態で実行される。

【0023】

なお、本形態における各処理ステップは、基本的に、補助プログラム４２などのプログラムに記述された命令に従ったＣＰＵ１１の処理を示す。ＣＰＵ１１による処理は、ＯＳ２１のＡＰＩを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、ＯＳ２１の詳細な記載を省略して各プログラムの動作を説明する。また、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。

【0024】

ＯＳ２１は、ユーザによる各部の設定指示を受け付け可能であり、設定指示を受け付ける画面にて、ＰＣ１に接続されている各種のデバイスについての情報の表示指示や設定の変更指示を含むデバイス管理指示を受け付け可能である。ＯＳ２１は、例えば、設定指示とデバイス管理指示とを受け付けた場合（Ａ０１）、例えば、図３に示すように、さらにデバイスの選択を受け付け可能となる。ＯＳ２１は、例えば、「デバイス」ボタン５１１への操作を受け付けたことで表示されるデバイス設定画面５１（図３（Ａ））にて、「プリンタとスキャナ」ボタン５１２への操作を受け付けた場合、例えば、図３（Ｂ）に示すような、デバイス管理画面５２を表示する（Ａ０２）。

【0025】

デバイス管理画面５２は、ＰＣ１に接続されているデバイスであって、プリンタやスキャナ等の画像処理を実行可能な各種のデバイスの、リストを含む画面である。ユーザは、デバイス管理画面５２に表示されているリストから、管理対象のデバイスを選択できる（Ａ０３）。例えば、デバイス管理画面５２にてプリンタ２を指定するボタン５２１への操作を受け付けた場合、ＯＳ２１は、例えば、図４に示すように、詳細管理画面５３を表示する（Ａ０４）。

【0026】

詳細管理画面５３には、「プリンタキューを開く」ボタン５３１、「アプリ起動」ボタン５３２、「テストページの印刷」ボタン５３３等が表示される。「プリンタキューを開く」ボタン５３１は、選択されているプリンタに対応するプリンタキューの状態を確認する指示を受け付けるボタンである。「アプリ起動」ボタン５３２は、選択されているプリンタに対応するプログラムの起動指示を受け付けるボタンである。「テストページの印刷」ボタン５３３は、ＯＳ２１によるテスト画像を選択されているプリンタに送信する指示を受け付けるボタンである。詳細管理画面５３にて、ＯＳ２１は、ボタン５３１、５３２、５３３等へのユーザによる操作を受け付け可能である。

【0027】

プリンタ２が選択されて表示された詳細管理画面５３にて、「アプリ起動」ボタン５３２への操作によるプログラムの起動指示を受け付けた場合（Ａ１１）、ＯＳ２１は、選択されているプリンタであるプリンタ２の情報と、そのプリンタに対応するプログラムを起動する指示とを、汎用印刷プログラム４１に渡す。汎用印刷プログラム４１は、ＯＳ２１からこの指示を受け付けた場合、プリンタ２のプリンタ情報に対応付けられているプログラムを起動するようになっている。本形態では、プリンタ２のプリンタ情報に対応付けて補助プログラム４２の識別情報が記憶されていることから、汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２を起動する（Ａ１２）。

【0028】

補助プログラム４２は、ユーザの起動指示に応じて汎用印刷プログラム４１から起動された場合、ＯＳ２１を介してプリンタ２の本体情報を取得する。補助プログラム４２は、まず、プリンタ２の接続情報をＯＳ２１に要求し（Ａ２１）、ＯＳ２１から接続情報を取得する（Ａ２２）。接続情報は、例えば、ＩＰアドレスである。

【0029】

補助プログラム４２は、Ａ２２にて取得した接続情報を用いてプリンタ２に本体情報を要求し（Ａ２３）、プリンタ２から本体情報を取得する（Ａ２４）。本体情報は、プリンタ２が有する能力を示す情報である能力情報を含み、プリンタ２の本体の状況を示す情報をさらに含んでも良い。Ａ２４は、取得処理の一例である。

【0030】

能力情報は、例えば、プリンタ２にて実行可能な機能を示す情報や印刷設定として設定可能なパラメータの情報、である。プリンタ２の本体の状況を示す情報は、例えば、ステータス情報、消耗品の残量情報、装着されているオプショントレイ等の付属品を示す情報、トレイごとに設定されている用紙サイズや用紙タイプの情報、使用言語等の本体の設定やネットワーク設定の情報、ファームウェアのバージョン情報、印刷の履歴情報、待機中の印刷ジョブ数、を含んでも良い。

【0031】

なお、本形態のプリンタ２は、操作パネルを備えている。プリンタ２の操作パネルは、情報を表示するディスプレイ２０１（図１参照）と、ユーザの入力操作を受け付ける操作ボタンと、を含む。操作パネルはディスプレイ２０１の機能を有するタッチパネルを含んでいても良い。プリンタ２は、プリンタ２に関する情報をディスプレイ２０１に表示可能であり、また、操作パネルへの入力操作による各種の指示を受け付け可能である。

【0032】

プリンタ２は、プリンタ２に設定されている設定値の一部について、操作パネルを介しての変更指示を受け付け可能である。プリンタ２は、例えば、トレイごとの用紙サイズや用紙タイプの変更の指示、ネットワーク設定の変更の指示、を操作パネルを介して受け付けた場合、選択可能な設定値をディスプレイ２０１に表示してユーザの選択を受け付ける。一方、プリンタ２の設定値には、操作パネルへの表示や操作パネルを介しての変更を受け付けないものもある。プリンタ２は、例えば、プリンタ２へのアクセス制限の情報、印刷履歴の情報、をディスプレイ２０１に表示しないように構成されていても良い。

【0033】

プリンタ２は、Ａ２３の要求に応じて、ディスプレイ２０１に表示される情報も表示されない情報も補助プログラム４２に渡す。つまり、補助プログラム４２は、Ａ２４にて、本体情報として、プリンタ２の操作パネルを介して受け付けた各種の設定等のディスプレイ２０１に表示される情報と、外部装置からの指示によって受け付けた各種の設定等のディスプレイ２０１に表示されない情報と、のいずれも取得できる。ディスプレイ２０１に表示される情報は、第１本体情報の一例であり、ディスプレイ２０１に表示されない情報は、第２本体情報の一例である。

【0034】

また、プリンタ２は、受け付けた印刷ジョブに基づいて画像処理を行って，画像処理後のデータに基づいて印刷する機能、例えば、Ｎｉｎ１等の集約印刷、ウォータマーク等の合成印刷、着色剤を節約する節約印刷、を行う機能を有していても良い。プリンタ２にて実行可能な画像処理の機能を有している場合、プリンタ２は、その機能の情報を本体情報として補助プログラム４２に渡しても良い。

【0035】

補助プログラム４２は、例えば、ＭＩＢ（Management Information Baseの略）を使って、プリンタ２から直接、情報を取得することで、ＯＳ２１に理解されない情報をも取得できる。補助プログラム４２は、プリンタ２から取得した情報を一旦、メモリ１２に記憶する（Ａ２５）。

【0036】

なお、補助プログラム４２は、Ａ２１に代えて、プリンタ２の本体情報を要求する取得要求をＯＳ２１に出力しても良い。その場合、ＯＳ２１は、例えば、ＩＰＰ（internet printing protocolの略）に応じた通信によってプリンタ２から情報を取得し、取得した情報を補助プログラム４２に渡す。補助プログラム４２は、ＯＳ２１への情報の取得要求と、直接通信による本体情報の取得と、の両方を行っても良い。

【0037】

補助プログラム４２は、Ａ２４にて取得した本体情報に基づいて、命令リストを作成する（Ａ３１）。命令リストは、ＰＣ１からコマンドを送信することでプリンタ２に実行させることが可能な処理のリストである。補助プログラム４２は、プリンタ２の本体情報に基づいて、命令リストに含ませる命令を決定する。具体的には、補助プログラム４２は、プリンタ２の能力情報に基づいて、プリンタ２にて実行可能な命令のみを命令リストに含ませ、実行不可能な命令を含ませない。

【0038】

補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２がカラー印刷を実行可能なプリンタであれば、色ずれ調整用の画像を印刷させるテスト印刷命令を含む命令リストを作成し、プリンタ２がカラー印刷を実行不可能なプリンタであれば、色ずれ調整用の画像を印刷させるテスト印刷命令を含まない命令リストを作成する。また、補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２がインクジェットプリンタであれば、ノズルチェックパターンの印刷命令を含む命令リストを作成し、プリンタ２がレーザプリンタであれば、ノズルチェックパターンの印刷命令を含まない命令リストを作成する。

【0039】

また、補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２がふちなし印刷を実行可能なプリンタであれば、ふちなし調整パターンの印刷命令を含む命令リストを作成し、プリンタ２が罫線印刷を実行可能なプリンタであれば、罫線調整パターンの印刷命令を含む命令リストを作成する。また、補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２が赤色の色味の選択を受け付ける機能を有していれば、赤色系のカラーパッチのカタログを印刷する印刷命令を含む命令リストを作成する。

【0040】

プリンタ２で実行できない処理についての本体命令の送信は無駄である。本形態の補助プログラム４２は、プリンタ２にて実行可能な処理を特定して、プリンタ２にて実行可能な処理のみを含む命令リストを作成するので、その無駄を回避できる。なお、補助プログラム４２は、プリンタ２のモデル情報に基づいて、命令リストに含ませる命令を決定しても良い。

【0041】

さらに、補助プログラム４２は、作成した命令リストに基づいて、例えば、図５に示すような、指示受付画面５４をユーザＩＦ１３に表示する（Ａ３２）。Ａ３２は、表示処理の一例である。指示受付画面５４は、Ａ２４にて取得した本体情報の一部を含む、プリンタ２に関する情報を表示する画面であり、さらに、Ａ３１にて作成した命令リストに含まれる命令の出力指示を受け付けるボタンを含む。

【0042】

具体的には、指示受付画面５４は、プリンタ２のディスプレイ２０１に表示される情報を含む第１表示領域５４１と、プリンタ２のディスプレイ２０１に表示されない情報を含む第２表示領域５４２と、命令リストに含まれる命令に対応する情報を含む第３表示領域５４３と、を含む。第１表示領域５４１には、例えば、プリンタ２の給紙トレイの設定状況や、推定インク残量が表示され、各給紙トレイの設定変更を受け付けるボタン６１、６２や設定印刷指示を受け付けるボタン６３、が含まれる。第２表示領域５４２には、例えば、印刷履歴の一部が表示され、印刷履歴の印刷指示を受け付けるボタン６４が含まれる。第３表示領域５４３には、命令リストに基づいて、例えば、各種のテスト印刷の実行指示を受け付けるボタン６５、６６、６７が含まれる。

【0043】

なお、補助プログラム４２は、第２表示領域５４２への情報の表示前に、ユーザ認証を要求しても良い。プリンタ２のディスプレイ２０１に表示されない情報は、秘匿性の高い情報である可能性がある。補助プログラム４２は、例えば、Ａ３２では第１表示領域５４１と第３表示領域５４３とを表示し、ユーザによる第２表示領域５４２の表示要求に応じて、認証情報の入力を受け付ける画面を表示して認証情報の入力を受け付けても良い。そして、補助プログラム４２は、受け付けた認証情報をプリンタ２に送信して、プリンタ２にユーザ認証を行わせ、プリンタ２の管理者であると判断された場合に情報を表示するとしても良い。

【0044】

指示受付画面５４は、さらに、プリンタ２のステータス情報やネットワーク情報、ファームウェアのバージョン情報等の各種の本体情報の表示、詳細な情報の表示指示を受け付けるボタン、指示受付画面５４の表示を終了する指示を受け付ける終了ボタン５４４、等を含んでも良い。

【0045】

本形態の補助プログラム４２は、プリンタ２から取得した本体情報を含む指示受付画面５４を表示するので、ユーザは、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示のみで、プリンタ２の本体情報を閲覧できる。また、本形態の補助プログラム４２は、プリンタ２のディスプレイ２０１に表示されない情報をも表示可能とするので、表示の利用価値が高い。また、補助プログラム４２は、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示に基づいて、プリンタ２に適合する命令の命令リストの情報を表示するので、ユーザは、プリンタ２に適切なテスト印刷の指示を行うことができる。

【0046】

そして、補助プログラム４２は、表示中の指示受付画面５４への操作を受け付け可能となる。つまり、ユーザは、指示受付画面５４に表示されている各ボタンへの操作を行うことができる。指示受付画面５４への操作を受け付けた場合の各プログラムの手順について、図６のシーケンス図を参照して説明する。

【0047】

補助プログラム４２は、指示受付画面５４中の各ボタンへのユーザの操作による指示入力を受け付けた場合（Ｂ０１）、受け付けた指示の内容を判別する（Ｂ０２）。Ｂ０１は、出力指示受付処理の一例である。具体的には、補助プログラム４２は、受け付けた指示が、ボタン６１～６２への操作によるトレイ設定の変更指示と、ボタン６３への操作によるプリンタ２の設定情報の印刷指示と、ボタン６４～６７への操作による各種の情報のテスト印刷指示と、のいずれであるかを判断する。本形態の補助プログラム４２は、ユーザによる指示を受け付けた場合に処理を行うので、必要のない処理の実行を回避できる。

【0048】

補助プログラム４２は、例えば、第１表示領域５４１に含まれるボタン６１へのユーザの操作によって、トレイ１の設定変更の指示を受け付けたと判断した場合（ａｌｔ：［設定変更］）、トレイ１に設定可能な設定値を選択肢として含む一覧をユーザＩＦ１３に表示して（Ｂ１１）、ユーザの選択を受け付ける（Ｂ１２）。ボタン６１への操作による設定値の変更指示は、本体命令の出力指示の一例である。トレイの設定は、プリンタ２に設定されている設定値の一例であり、Ｂ１２は、設定変更受付処理の一例である。

【0049】

補助プログラム４２は、トレイ１の設定値を変更させる指示である変更コマンドと、ユーザの操作によって選択された新たな設定値の情報と、をプリンタ２に送信する（Ｂ１３）。変更コマンドは、本体命令の一例であり、Ｂ１３は、送信処理の一例である。プリンタ２は、受信した変更コマンドに基づいて、変更コマンドに関連付けられている新たな設定値を、トレイ１の設定値として設定する（Ｂ１４）。

【0050】

本形態の補助プログラム４２は、指示受付画面５４にて、設定値を変更させる変更コマンドのプリンタ２への送信指示を受け付ける。これにより、ユーザは、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示に基づいて、プリンタ２に設定値を変更させることができる。

【0051】

また、補助プログラム４２は、例えば、第１表示領域５４１に含まれるボタン６３へのユーザの操作によって、プリンタ２に設定されている設定値の情報の印刷指示を受け付けたと判断した場合（ａｌｔ：［設定印刷］）、設定値印刷コマンドをプリンタ２に送信する（Ｂ２１）。ボタン６３への操作による設定値の印刷指示は、本体命令の出力指示の一例である。設定値印刷コマンドは、本体命令の一例であり、Ｂ２１は、送信処理の一例である。

【0052】

プリンタ２は、受信した設定値印刷コマンドに基づいて、プリンタ２の各種の設定値の情報を印刷する（Ｂ２２）。プリンタ２は、プリンタ２があらかじめ備えているフォーマットで、あらかじめ決められた項目の設定値を印刷する。

【0053】

本形態の補助プログラム４２は、指示受付画面５４にて、設定値の情報を印刷させる設定値印刷コマンドのプリンタ２への送信指示を受け付ける。これにより、ユーザは、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示に基づいて、プリンタ２に設定値の情報を印刷させることができる。

【0054】

また、補助プログラム４２は、例えば、第２表示領域５４２に含まれるボタン６４や第３表示領域５４３に含まれるボタン６５～６７へのユーザの操作によって、各種の情報の印刷指示を受け付けたと判断した場合（ａｌｔ：［情報印刷］）、印刷対象の情報が、補助プログラム４２によって画像を決定する必要のある情報であるか否かを判断する。ボタン６４～６７への操作による情報の印刷指示は、本体命令の出力指示の一例である。

【0055】

情報の印刷指示には、テスト画像等のプリンタ２が備えている画像をそのまま印刷させる指示と、状況ごとに異なる情報やユーザによって選択された情報に基づく画像を印刷させる指示と、が有る。受け付けた印刷指示が、プリンタ２が備えている情報をそのまま印刷させる指示であれば、補助プログラム４２は、印刷を指示するコマンドをプリンタ２に送信すればよい。一方、状況ごとに異なる情報やユーザによって選択された情報を印刷させる指示を受け付けた場合、補助プログラム４２は、印刷対象の画像を決定する必要がある。

【0056】

補助プログラム４２は、例えば、第３表示領域５４３に含まれるボタン６５への操作によって、本体情報に基づく情報の印刷指示を受け付けた場合、印刷対象の画像を決定する必要があると判断し（ａｌｔ：［画像要］）、印刷対象の画像を決定する（Ｂ３１）。この場合、補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２の本体情報から印刷対象の情報を抽出し、抽出した情報に基づいて、本体情報の少なくとも一部が書き込まれた画像を、印刷対象の画像として決定する。プリンタ２の本体情報の少なくとも一部が書き込まれた印刷対象の画像は、第１編集テスト画像の一例である。

【0057】

補助プログラム４２は、印刷対象となる情報の選択を受け付けても良い。補助プログラム４２は、例えば、ボタン６５への操作を受け付けた場合、印刷対象として抽出可能な情報の項目一覧を表示し、ユーザの選択を受け付けても良い。このようにすれば、必要な情報のみを印刷させることができる。

【0058】

補助プログラム４２は、例えば、第３表示領域５４３に含まれるボタン６６への操作によって、補助プログラム４２に設定されている情報の印刷指示を受け付けた場合にも、印刷対象の画像を決定する必要があると判断し（ａｌｔ：［画像要］）、印刷対象の画像を決定する（Ｂ３１）。この場合、補助プログラム４２は、例えば、補助プログラム４２に設定されている情報を含む画像を生成して、印刷対象の画像として決定する。

【0059】

補助プログラム４２に設定されている情報には、例えば、補助プログラム４２のデフォルトの印刷設定、ユーザのプロファイル設定、ユーザ名、ＯＳ２１の情報、が有る。補助プログラム４２は、印刷対象となる情報の選択を受け付けて、印刷対象の画像を生成しても良い。補助プログラム４２に関する情報が書き込まれた印刷対象の画像は、第２編集テスト画像の一例である。

【0060】

さらに、補助プログラム４２は、テスト印刷コマンドとＢ３１にて決定した画像を示す画像データとをプリンタ２に送信する（Ｂ３２）。テスト印刷コマンドは、本体命令の一例であり、Ｂ３２は、送信処理の一例である。プリンタ２は、受信したテスト印刷コマンドに基づいて、受信した画像データの画像を含むテスト画像を印刷するテスト印刷を実行する（Ｂ３３）。

【0061】

補助プログラム４２が、プリンタ２の本体情報の少なくとも一部を書き込んだテスト画像を生成してプリンタ２に送信すれば、ユーザは、印刷された印刷物を見ることで、その印刷画像に書き込まれた本体情報を知ることができる。また、補助プログラム４２が、補助プログラム４２に関する情報を書き込んだテスト画像を生成してプリンタ２に送信すれば、ユーザは、印刷された印刷物を見ることで、補助プログラム４２に関する情報を知ることができる。

【0062】

一方、Ｂ０１にて受け付けた指示が、テスト画像等のプリンタ２が備えている画像の印刷指示であると判断した場合（ａｌｔ：［画像不要］）、補助プログラム４２は、印刷対象のテスト画像を決定し、決定したテスト画像を指定したテスト印刷コマンドをプリンタ２に送信する（Ｂ３５）。補助プログラム４２は、複数のテスト画像から印刷対象の画像を決定しても良い。テスト印刷コマンドは、本体命令の一例であり、Ｂ３５は、送信処理の一例である。プリンタ２は、受信したテスト印刷コマンドに基づいて、指定されているテスト画像を印刷するテスト印刷を実行する（Ｂ３６）。

【0063】

補助プログラム４２は、例えば、第３表示領域５４３に含まれるボタン６７への操作によって、ノズルチェックパターンの印刷指示を受け付けた場合、プリンタ２が備えるノズルチェックパターンを指定するテスト印刷コマンドをプリンタ２に送信する。プリンタ２が備えている画像の印刷指示であれば、補助プログラム４２は、印刷対象の画像を指定するのみで良く、画像データを送信する必要はない。

【0064】

本形態の補助プログラム４２は、指示受付画面５４にて、テスト印刷の対象となる画像の指定を含む印刷指示を受け付けるので、ユーザは、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示に基づいて、希望の情報を含む画像を印刷させることができる。そして、補助プログラム４２が印刷対象のテスト画像を決定してその画像の画像データを含むテスト印刷コマンドを送信すれば、プリンタ２は印刷対象のテスト画像を用意する必要が無く、プリンタ２のメモリを節約できる。一方、プリンタ２が備える画像の印刷の指示であれば、補助プログラム４２が印刷対象のテスト画像を決定する必要が無く、補助プログラム４２の処理はシンプルになる。

【0065】

また、補助プログラム４２は、印刷対象として指定された情報によって、コマンドの送信前にユーザ認証を要求しても良い。例えば、補助プログラム４２は、各ユーザのアクセス制限の情報や認証情報等を印刷させる指示を受け付けた場合、認証情報の入力を受け付けて、プリンタ２にユーザ認証を行わせても良い。また、例えば、ＰＣ１にログインしているユーザ以外のユーザの情報の印刷指示を受け付けた場合、補助プログラム４２は、認証情報の入力を要求し、プリンタ２の管理者であると判断された場合に限って、コマンドの送信を実行するとしても良い。

【0066】

また、補助プログラム４２は、指示受付画面５４にて、プリンタ２に組み込まれているファームウェアの更新指示を受け付け可能であっても良い。補助プログラム４２は、例えば、プリンタ２を利用した印刷を実行する際に、プリンタメーカのサーバ等からファームウェアの最新バージョンに関する情報を取得して、メモリ１２に記憶することができる。そして、Ａ２４にて取得した本体情報に基づいて、プリンタ２のファームウェアが最新のものではないと判断した場合、補助プログラム４２は、指示受付画面５４にファームウェアの更新指示を受け付けるボタンを表示させても良い。

【0067】

次に、本形態の補助プログラム４２の動作を含む印刷の手順について、図７のシーケンス図を参照して説明する。補助プログラム４２は、プリンタ２に印刷を行わせるユーザの指示が汎用印刷プログラム４１に対してあった場合にも実行される。ユーザは、編集アプリ４３等を利用して、印刷対象の画像の選択と、印刷を実行させるプリンタの指定と、印刷実行の指示と、を行うことができる。図７は、プリンタ２に印刷を行わせるユーザの指示を、編集アプリ４３が受け付けた場合における、各プログラムによる動作について示している。なお、ユーザによる印刷実行の指示は、汎用印刷プログラム４１に直接入力されても良い。

【0068】

編集アプリ４３は、選択中の画像の印刷をプリンタ２に行わせる印刷実行の指示を、汎用印刷プログラム４１に対して受け付けると（Ｃ０１）、ＯＳ２１を介して、印刷指示を汎用印刷プログラム４１に渡す（Ｃ０２）。汎用印刷プログラム４１は、印刷指示にて、印刷対象の画像の画像データを示す情報と印刷設定を示す情報と、を取得する。

【0069】

汎用印刷プログラム４１は、受け取った印刷指示に含まれる画像データの形式を中間画像データの形式に変換することで中間画像データを生成し（Ｃ０３）、中間画像データを含む印刷ジョブを生成する。編集アプリ４３から渡される画像データは種々のタイプのものであり、汎用印刷プログラム４１は、受け取った画像データを、印刷データの生成に適した中間画像データに変換する。なお、印刷指示に含まれる画像データが印刷データの生成に適したデータであれば、中間画像データの生成を省略し、そのまま中間画像データとしても良い。中間画像データは、例えば、ＸＰＳデータである。

【0070】

汎用印刷プログラム４１は、さらに、プリンタ２に対応するプログラムである補助プログラム４２に実行指示を出力し（Ｃ０４）、補助プログラム４２に処理を要求する。実行指示では、Ｃ０３にて生成された中間画像データと印刷設定を示す情報とが補助プログラム４２に渡される。

【0071】

補助プログラム４２は、受け取った中間画像データと印刷設定とに基づいてラスタライズを実行し、印刷データを生成する（Ｃ０５）。Ｃ０５にて生成される印刷データは、プリンタ２にて印刷に使用できる形式のデータであり、例えば、プリンタ２のモデルに専用のＰＤＬデータである。なお、補助プログラム４２は、Ａ２４にて取得した本体情報を利用して、Ｃ０５を実行しても良い。また、補助プログラム４２は、Ｃ０５の前に再度、プリンタ２から本体情報等を取得しても良い。

【0072】

補助プログラム４２は、生成した印刷データと印刷の実行を指示する印刷コマンドとを、プリンタ２に送信する（Ｃ０６）。印刷データと印刷コマンドとを受信したプリンタ２は、受信した印刷コマンドに基づいて、印刷データの画像の印刷を実行する（Ｃ１１）。これにより、印刷物が生成される。

【0073】

プリンタ２に対応する補助プログラム４２にてラスタライズすることで、汎用印刷プログラム４１にてラスタライズする場合に比較して自由度が大きく、プリンタ２での印刷に適した印刷データが生成される可能性が高い。なお、補助プログラム４２によって生成される印刷データは、プリンタ２のモデル以外のプリンタでの印刷にも使用できる形式のデータであっても良い。

【0074】

また、補助プログラム４２が印刷データを生成する代わりに、汎用印刷プログラム４１が印刷データの生成を行っても良い。つまり、補助プログラム４２は、中間画像データと、印刷設定の情報と、印刷実行の情報と、を汎用印刷プログラム４１に渡しても良い。汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２から受け取った中間画像データと印刷設定とに基づいて印刷データを生成し、生成した印刷データを補助プログラム４２に渡しても良い。補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１から印刷データを受け取った場合、汎用印刷プログラム４１から受け取った印刷データを、印刷の実行を指示する印刷コマンドとともにプリンタ２に送信する。

【0075】

汎用印刷プログラム４１によって生成される印刷データは、各種のプリンタにて印刷に使用できる形式の印刷データであり、例えば、ＰＷＧＲａｓｔｅｒデータ、または、ＰＤＦデータである。汎用印刷プログラム４１によって印刷データを生成するとすれば、補助プログラム４２の処理が少なく、処理時間増大の回避が見込まれ、また、補助プログラム４２のプログラムサイズが抑えられる。

【0076】

また、プリンタ２への印刷データ等の送信は、汎用印刷プログラム４１が行っても良い。つまり、補助プログラム４２は、生成した印刷データ等を、プリンタ２を送信先としてＰＣ１から送信されるように、汎用印刷プログラム４１に渡しても良い。この場合、汎用印刷プログラム４１は、補助プログラム４２から受け取った印刷データ等を、ＯＳ２１を介してプリンタ２に送信する。

【0077】

また、プリンタ２は、中間画像データをラスタライズする機能を有していても良い。プリンタ２がラスタライズの機能を有している場合には、補助プログラム４２は、印刷対象の画像の印刷データを生成することなく、印刷対象の画像の中間画像データと印刷設定とを含む印刷コマンドをプリンタ２に送信しても良い。

【0078】

印刷データの送信が終了したら、補助プログラム４２は、汎用印刷プログラム４１にＣ０４の指示に基づく処理の終了を通知する（Ｃ２１）。これにより、汎用印刷プログラム４１は、Ｃ０２にて受け付けた印刷指示の処理を終する。汎用印刷プログラム４１は、処理の終了を編集アプリ４３に通知しても良い。

【0079】

以上、詳細に説明したように、本形態の補助プログラム４２は、編集アプリ４３等からの印刷指示とは別に、ＯＳ２１にて起動指示が受け付けられた際、選択されているプリンタであるプリンタ２の本体情報を取得し、その本体情報に基づく処理の実行を指示する本体命令をプリンタ２に送信する。これにより、ユーザは、起動指示の入力という操作に基づいて、印刷指示に基づく通常の印刷以外の処理の実行をプリンタ２に指示できる。

【0080】

なお、本明細書に開示される実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、ＰＣ１に接続される装置は、プリンタに限らず、複合機、複写機、ＦＡＸ装置、等印刷機能を有する装置であればよい。また、ＰＣ１に接続されるプリンタの数は、図示の例に限らず、２台以上でも良い。

【0081】

また、例えば、図３～図５の画像の例は、いずれも一例であって、図示の例に限らない。また、通知画像中に表示される文言やオブジェクトの形状、配置、背景等は、どのようなものでも良い。また、表示される情報の種類は、図示の例に限らない。

【0082】

また、例えば、本形態の補助プログラム４２は、プリンタ２に実行させる命令の選択指示を受け付けるとしたが、受け付けなくても良い。例えば、補助プログラム４２は、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示によって起動された場合には、あらかじめ決められた本体命令を自動的に送信するとしても良い。ただし、実行の必要が無い処理についての本体命令の送信は無駄である。本形態の補助プログラム４２は、ユーザによる指示を受け付けた場合に処理を行うので、無駄な処理の実行を回避できる。

【0083】

また、例えば、補助プログラム４２は、「アプリ起動」ボタン５３２（図４）への操作による起動指示によって起動された場合に、本体情報の取得と本体命令の送信との他に、別の処理を行ってもよい。補助プログラム４２は、本体命令の出力指示が入力されなくても、別の処理を実行しても良い。

【0084】

また、本形態の補助プログラム４２は、プリンタ２の本体情報や補助プログラム４２の情報を含むテスト画像を生成して、プリンタ２に印刷させることができるとしたが、画像の生成は行わなくても良い。例えば、補助プログラム４２は、テスト印刷コマンドを送信する際に画像データの送信は行わなくても良い。

【0085】

また、本形態の処理を実行するプログラムは、補助プログラム４２に限らず、汎用印刷プログラム４１を用いた印刷を行う際に、ＯＳ２１または汎用印刷プログラム４１から指示を受け付けるプログラムであればよい。例えば、マイクロソフト社が仕様公開した印刷ワークフローアプリ（Print workflow）でも良い。

【0086】

また、補助プログラム４２の実行タイミングは、実施の形態の例に限らない。例えば、補助プログラム４２は、ＯＳ２１から直接実行指示されて実行されても良く、または、常駐されても良い。常駐される場合には、補助プログラム４２は、実行命令を受けて前述した動作を行うとすれば良い。

【0087】

また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。

【0088】

また、実施の形態に開示されている処理は、単一のＣＰＵ、複数のＣＰＵ、ＡＳＩＣなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。

【符号の説明】

【0089】

１ ＰＣ
２ プリンタ
１１ ＣＰＵ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】