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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147740
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】クレーン
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/12 20060101AFI20231005BHJP
   B66C 13/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B66C13/12 D
B66C13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055426
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 宏之
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA01
3F204AA04
(57)【要約】
【課題】エンジン停止時でも電装品を稼働させることが可能なクレーンを提供する。
【解決手段】クレーン1は、エンジン13と、エンジン13とは異なる手段で発電される発電装置20と、を備え、エンジン13の停止時に、発電装置20から電装品17に電力を供給して電装品17を稼働させる。発電装置20は、ブーム4に配置されていてもよい。また、発電装置20は、ブーム4の上面4αより下方に配置されていてもよい。さらに、発電装置20は、受光部21を備える太陽光発電装置20であり、ブーム4の上面4αより下方に受光部21が配置されていてもよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンとは異なる手段で発電される発電装置と、
を備え、
前記エンジンの停止時に、前記発電装置から電装品に電力を供給して前記電装品を稼働させる、
クレーン。
【請求項2】
前記発電装置は、ブームに配置される、
請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記発電装置は、前記ブームの上面より下方に配置される、
請求項2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記ブームは、歩行可能な足場を備え、
前記発電装置は、前記足場より下方に配置される、
請求項2又は請求項3に記載の移動式クレーン。
【請求項5】
前記足場には、歩行可能な面に複数の開口部が形成され、
前記発電装置は、受光部を備える太陽光発電装置であり、前記複数の開口部の下方に前記受光部が配置される、
請求項4に記載のクレーン。
【請求項6】
前記受光部は、間隔をあけて複数に分割されており、前記複数の開口部より通った気体が前記複数の受光部の間から通過可能に構成される、
請求項5に記載の移動式クレーン。
【請求項7】
前記発電装置は、受光部を備える太陽光発電装置であり、
前記受光部は、前記ブームの外形の一部を覆うように曲面状に配置される、
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項8】
前記発電装置は、受光部を備える太陽光発電装置であり、
前記受光部が、前記ブームの上面に対して傾斜するように配置される、
請求項2から請求項7のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項9】
前記発電装置は、受光部を備える太陽光発電装置であり、
前記受光部は、前記ブームの上面側に露出する露光面積が小さい格納位置と、前記ブームの上面側に露出する露光面積が前記格納位置よりも大きい展開位置の間で移動可能である、
請求項2に記載のクレーン。
【請求項10】
前記発電装置は、受光部を備える太陽光発電装置であり、
前記受光部が、風を受けると風による抵抗を減らす方向に移動可能に構成されている、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、油圧クレーン等の通常のクレーンでは、エンジンを停止するとエアコン等の電装品の作動が停止してしまう場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-96033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、玉掛け作業等のクレーン作業時に、省エネ等の観点からエンジンを止めるとエアコンが止まるため、夏場などにはキャブ内の温度が高温になってしまう。
そのため、エアコン等の電装品を稼働させるためにエンジンを動かさなければならず、燃料を無駄に消費せざるを得ない場合があった。
【0005】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、エンジン停止時でも電装品を稼働させることが可能なクレーンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るクレーンの一観点によれば、
エンジンと、
前記エンジンとは異なる手段で発電される発電装置と、
を備え、
前記エンジンの停止時に、前記発電装置から電装品に電力を供給して前記電装品を稼働させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、エンジン停止時でも電装品を稼働させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】クレーンの構成例を表す側面図である。
図2】ブームを構成する単位ブームを表す斜視図である。
図3】クレーンにおける電力系の構成を表す図である。
図4】(a)斜材に巻き付けられた受光部を表す断面図であり、(b)第1の実施形態における受光部等を表す図である。
図5】(a)第2の実施形態における受光部を収納した状態を表す側面図であり、(b)平面図である。
図6】(a)2枚の受光部を展開、収納するためのラックアンドピニオン構造を表す図であり、(b)第2の実施形態における受光部を展開した状態を表す平面図である。
図7】第3の実施形態における受光部を(a)展開した状態、(b)収納した状態を表す図である。
図8】第3の実施形態における受光部の別の構成例を表す図である。
図9】(a)第4の実施形態における受光部を表す側面図であり、(b)平面図である。
図10】第5の実施形態における受光部を表す側面図である。
図11】(a)第5の実施形態における受光部の構成例を表す図であり、(b)第5の実施形態における受光部の別の構成例を表す図である。
図12】足場の構成例を表す平面図である。
図13】(a)第6の実施形態における受光部の別の構成例を表す図であり、(b)(a)の構成における作用効果を説明する図である。
図14図13(a)の受光部を倒伏させた状態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るクレーンの実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、クレーンのフロント部分のうちブームに対して起伏する部分をジブという場合があるが、本発明では、ブームとジブとを区別せずに、まとめてブームという。また、クレーン1の記載に関して、車両前進方向を「前」、後退方向を「後」とし、前を向いた状態で左手側を「左」(図1紙面奥側)、右手側を「右」(図1紙面手前側)とする。また、走行を行う下部走行体2とその上で旋回を行う上部旋回体3とを備えるが、特に言及しない場合には、原則として、下部走行体2と上部旋回体3とは前後方向が一致した状態(基準姿勢とする)にあるものとして各部の方向を説明する。
【0010】
図1に示すように、クレーン1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とを備えて構成されている。
上部旋回体3の前側には、ブーム4が起伏可能に取り付けられている。図2は、ブーム4を構成する単位ブームを表す斜視図である。
【0011】
ブーム4は、複数の単位ブーム4Aが図示しない連結ピン等の連結部材で連結されて構成されている。
ブーム4や単位ブーム4Aは、4本の主材4aと複数の斜材4bとを備えて構成されている。
【0012】
上側の左右の2本の主材4aの間には、主材4aの長手方向に対して傾斜するように複数の斜材4bが設けられており、上側の2本の主材4aが複数の斜材4bにより互いに連結されている。
そして、上側の2本の主材4aとそれらの間の複数の斜材4bで形成される面によりブーム4の上面4αが形成されている。
【0013】
また、下側の左右の2本の主材4a、右側の上下の2本の主材4a、及び左側の上下の2本の主材4aも、それぞれ複数の斜材4bにより互いに連結されている。なお、主材4aと斜材4bの間などに補強材4c等を備えていてもよい。
また、後述する図4(b)等に示すように、ブーム4の上面4αに、作業者がその上を歩行可能な足場5が配置されている場合がある。また、足場5の両脇に、作業者の命綱を掛けるためのスタンション6が設けられている場合もある。
【0014】
図1に示すように、上部旋回体3の後部には、ブーム4及び吊荷との重量バランスをとるためのカウンタウエイト7が取り付けられる。
ブーム4の起伏動作は図示しない起伏ウインチによる起伏ロープ8の巻き取り、巻き出しにより行われる。先端にフック9を備える巻き上げロープ10の巻き取り、巻き出しは図示しない巻上ウインチより行われる。
また、上部旋回体3の右前側にはキャブ(運転席)11が配置されている。
【0015】
一方、図3に示すように、クレーン1は、エンジン13と、エンジン13で駆動される発電機14と、エンジン13で駆動されるポンプ15やモータ16と、エアコン等の電装品17と、発電機14とは別体の発電装置20と、を備えている。
なお、複数のモータ16によって、巻上げウインチや起伏ウインチ、上部旋回体3を動かすことで、クレーン1は、起伏、巻上げ、旋回といったクレーン1の吊り荷作業を行う。このようにエンジン13は、起伏や巻上、旋回等のクレーン1の吊り荷作業をするために使用される。
【0016】
発電装置20は、エンジン13とは異なる手段で発電されるようになっており、発電機14とは独立に、発電した電力を電装品17に供給できるようになっている。
なお、発電装置20には、クレーン以外の場所から外部電源で電力を供給するものは含まれない。また、図示を省略するが、電装品17には、エアコンの他、キャブ11内で使われるモニタや、風力計、クレーン1の周囲を監視する監視装置など、クレーン1で作業を行わないときにも使用される各種の電装品が含まれる。
【0017】
発電機14は、エンジン13が停止すると発電を停止するが、発電装置20は、エンジン13の稼働とは関係なく発電を行うことができるようになっている。そして、発電装置20は、エンジン13の停止時に、電装品17に電力を供給して電装品17を稼働させることができるようになっている。
そのため、本実施形態に係るクレーン1によれば、エンジン13の停止時でもエアコン等の電装品17を稼働させることが可能となる。
【0018】
本実施形態では、発電装置20として、受光部を備える太陽光発電装置が用いられているが、その他にも、例えば風力発電装置であってもよい。
ただし、エンジン13で駆動される発電機14は、エンジン13の停止時には発電装置20として使用されない。発電装置20としてエンジン13で駆動される発電機14を用いると、前述したように、エンジン13が停止すると発電機14が発電を行うことができなくなるためである。
【0019】
また、本実施形態では、発電装置20は、ブーム4に配置されている。
以下、発電装置20の構成や設置形態について、いくつかの実施形態を挙げて具体的に説明する。
【0020】
[第1の実施の形態]
発電装置20が足場5の上側にあると、作業者が足場5の上で作業する際に作業の妨げになり得る。また、作業者が足場5の上を歩く際に発電装置20を踏んだり蹴ったりしてしまう可能性がある。
そのため、発電装置20を足場5の下方、すなわちブーム4の上面4αより下方に配置されるように構成することが可能である。そして、上記のように発電装置20が太陽光発電装置である場合は、受光部をブーム4の上面4αより下方に配置するように構成することが可能である。
【0021】
このように構成すると、上記のように作業者が足場5の上を歩く際に発電装置20を踏んだり蹴ったりしないという効果の他に、ブーム4の高さを低くすること、すなわちブーム4の高さを本来の高さ以上に高くならないようにすることが可能となる。
そのため、例えば、ブーム4を分解して輸送する際に高さ制限に抵触しないようにすることが可能となるといった効果もある。
【0022】
上記のように構成するために、例えば、太陽光発電装置20の受光部21を、ブーム4の上面4αより下方の斜材4bに配置するように構成することが可能である。
すなわち、ブーム4の上面4α以外の部分の斜材4bに受光部21を配置することが可能である。
【0023】
この場合、例えば、受光部21としてペロブスカイト太陽電池等の柔軟な受光部を用い、例えば図4(a)に示すように、受光部21を斜材4bに巻き付ける。
なお、斜材4bの断面が円形以外の場合でも、後述する風の関係で図4(a)に示すように丸く巻き付けることが望ましい。
【0024】
そして、例えば図4(b)に示すように、受光部21を、ブーム4の左側の上下の2本の主材4a間の斜材4bやブーム4の右側の上下の2本の主材4a間の斜材4bに巻き付けて、それらを電気的に接続するように構成することが可能である。
その際、図示を省略するが、受光部21を下側の左右の2本の主材4a間の斜材4bに配置するように構成してもよい。
【0025】
なお、図4(b)では、ブーム4の右側の上下の2本の主材4a間の斜材4bや、上面4α側や下側の左右の2本の主材4a間の斜材4bの図示が省略されている。また、これは、後述する図5(a)等においても同様である。
また、以下の各実施形態や各図において、受光部21が複数の受光部で構成される場合、それらは電気的に接続される。
【0026】
上記のように構成すると、ブーム4の上面4α以外の部分の斜材4bには、例えばブーム起こし時や休車姿勢、保管状態のいずれにおいても作業者が乗ることがないため、太陽光発電装置20の受光部21が踏まれる可能性が低い。
そのため、受光部21が破損する等の問題が生じる可能性を低減することが可能となる。
【0027】
また、図4(a)に示したように、受光部21を斜材4bに巻き付けて、受光部21をブーム4の外形の一部を覆うように曲面状に配置すると、受光部21の表面が曲面状になるため、受光部21が風を受けた際に風による荷重がさほど大きくならない。
受光部21がペロブスカイト太陽電池等の薄い素材で形成されていれば、斜材4bに受光部21を巻き付けても風による受圧面積がほとんど増えないため、その点でも風による影響を軽減することが可能となる。
【0028】
また、受光部21を斜材4bに巻き付けて配置できるため、既存のブーム4に後付けで配置することができる。
また、図4(b)に示したように、ブーム4を起こした状態で、斜材4bが略水平状態になるため、上方からの太陽光を効率よく受光することが可能となり、効率よく発電することが可能となる。
【0029】
[第2の実施の形態]
また、発電装置としての太陽光発電装置20の受光部21が、発電時に展開し、太陽光を受光して発電可能な状態になるように構成することも可能である。なお、展開という場合、受光部21が太陽光を受光できない状態から受光可能な状態になる場合の他、太陽光を受光する面積が小さい状態から面積が拡大する場合も含まれる。
そこで、第2の実施形態では、受光部21が、ブーム4の上面側に露出する露光面積が小さい格納位置と、ブーム4の上面側に露出する露光面積が格納位置よりも大きい展開位置の間で移動可能であるように構成されている場合について説明する。
【0030】
例えば、受光部21A、21Bを、ブーム4の長手方向に延在する2枚の平板状に形成する。
そして、この場合、収納時には、図5(a)に示すように受光部21A、21Bをブーム4の上面4αより下方、例えば足場5の直下に上下方向に重ねる状態で収納するように構成することができる。つまり、ブーム上面から見たときに、受光部21A、21Bの一方が他方を覆っている。このように受光部21A、21Bが収納されている位置が格納位置に相当する。
【0031】
その際、受光部21A、21Bの横幅が狭くなるようにして、図5(b)に示すように、収納時に、受光部21A、21Bが足場5の下方に隠れる状態になるように構成してもよい。
なお、図5(b)や後述する図6(b)では、ブーム4の上側の左右の2本の主材4a間の斜材4bや、右側及び左側の上下の2本の主材4a間の斜材4bの図示が省略されている。
【0032】
また、例えば、図6(a)に示すように、2枚の受光部21A、21Bの長手方向の両端部にそれぞれラック22、22が互いに対向する状態で取り付けられる。
そして、2本のラック22、22の間にピニオン23が配置されたラックアンドピニオン構造とされる。
【0033】
そして、2枚の受光部21A、21Bを左右方向に引っ張ったり、あるいはピニオン23に取り付けたハンドルを回すなどすることで、図6(b)に示すように、受光部21A、21Bを左右方向に展開させることができるようになっている。
このように受光部21A、21Bを展開させた位置は、ブーム上面から見たときに受光部21A、21Bの一方が他方を覆っている格納位置のときよりも露光面積が大きくなるので展開位置に相当する。
【0034】
ピニオン23をモータ等で回転させるように構成してもよい。その際の電力は、例えばスタータ用のバッテリ等から供給するように構成することが可能である。
また、ピニオン23を油圧や空圧等で回転させるように構成することも可能である。
【0035】
また、上記の動作を逆に行うことで、2枚の受光部21A、21Bを足場5の下方に収納することができるように構成される。
なお、風が弱い場合には、上記のように受光部21A、21Bを展開して発電することが可能である。また、風が強い場合には、受光部21A、21Bを足場5の下方に収納して発電を行わないようにしてもよく、また、収納した状態のまま発電を行うように構成することも可能である。
【0036】
本実施形態のように構成すると、発電装置としての太陽光発電装置20の受光部21A、21Bを容易に展開して発電を行うことが可能となる。
また、受光部21A、21Bが足場5の下側に配置されるため、作業者が足場5の上で作業する際に作業の妨げになったり、作業者が足場5の上を歩く際に踏まれたり蹴られたりすることを防止することが可能となる。また、ブーム4の高さを本来の高さ以上に高くならないようにすることが可能となる。
【0037】
なお、ピニオン23をモータや油圧等で回転させるように構成する場合、制御部を設けて、制御部が作業者による展開指示に応じて受光部21A、21Bを展開させるように構成することが可能である。
その際、制御部は、風速が一定値を超えた場合には受光部21A、21Bを展開させず、あるいは展開している受光部21A、21Bを自動的に収納するように構成することが可能である。また、日没等により発電量が低下した場合に展開している受光部21A、21Bを自動的に収納するように構成することも可能である。
【0038】
[変形例1]
また、図7(a)に示すように、2枚の受光部21A、21Bの左右方向の端部を互いに蝶番24で回動可能に接続し、受光部21A、21Bの下方にリンク25を取り付ける。そして、蝶番24の部分をブーム4で支持するように構成することも可能である。
そして、2枚の受光部21A、21Bを手動で開いたり、あるいは蝶番24の部分等に取り付けたハンドルを回すなどすることで、図7(b)に示すように受光部21A、21Bが閉じて収納した状態(格納位置)から図7(a)に示したように開いた状態(展開位置)に展開する。
蝶番24の部分をモータや油圧、空圧等で回動させるように構成してもよい。
【0039】
このように構成すると、上記の第2の実施形態と同様の有益な作用効果を得ることが可能となる。
また、風が弱い場合にのみ受光部21A、21Bを展開して発電したり、あるいは制御部を設けて、制御部で受光部21A、21Bの展開や収納を制御するように構成することが可能であることも第2の実施形態と同様である。
【0040】
なお、上記のように、受光部21A、21B等を蝶番24の部分で支持するように構成する代わりに、図8に示すように、上記と同じ構成で、さらに受光部21A、21Bの外側の端部(蝶番24が設けられた側とは反対側の端部)をワイヤ26等で吊るすように構成することも可能である。
このように構成すれば、受光部21A、21Bを、蝶番24の部分で互いに回動することが可能な状態(すなわち上記のようにして展開、収納することが可能な状態)で支持することが可能となる。
【0041】
[変形例2]
第2の実施形態及び変形例1では、発電装置としての太陽光発電装置20の受光部21を、ブーム4の上面4αより下方すなわち足場5の下側に配置する場合について説明した。
しかし、発電時にだけ受光部21をブーム4の上面4αより上方すなわち足場5の上側に展開することができるように構成し、発電を行わない時や作業者が足場5上で作業を行う場合のような受光部21の不使用時に、ブーム4の上面4αより下方すなわち足場5より下側に収納するように構成することも可能である。このように構成すれば、受光部21の不使用時に後述するように受光部21が収納部27に収納されるため、作業者の邪魔にならない。
【0042】
この場合、太陽光発電装置20の受光部21をフレキシブルに形成する。そして、例えば、図9(a)、(b)に示すように、足場5(すなわちブーム4の上面4α。以下同じ。)の下方に受光部21を巻き取って収納する収納箱27を配置する。
また、足場5の上側で長手方向の両端にそれぞれ滑車28を設け、受光部21の先端に取り付けたワイヤ29を各滑車28に架け渡す。そして、収納箱27でワイヤ29を巻き取ったり送り出したりすることができるように構成する。
また、受光部21が通り抜ける足場5の部分に、受光部21が通過できる分だけ隙間5aを設けておく。
【0043】
そして、この場合、収納箱27でワイヤ29を巻き取ることで、ワイヤ29により受光部21が収納箱27から引き出され、受光部21を足場5の上側に展開させることができる(展開位置)。
また、収納箱27で受光部21を巻き取る(同時にワイヤ29を送り出す)ことで受光部21を足場5より下側に収納することができる(格納位置)。
【0044】
このように構成することで、発電装置としての太陽光発電装置20の受光部21を足場5の上側に容易に展開して発電を行うことが可能となる。また、受光部21の不使用時には受光部21を足場5より下方に容易に収納することが可能となる。
そのため、作業者が足場5上で作業する際に受光部21が作業の妨げになったり、作業者が足場5上を歩く際に受光部21が踏まれたり蹴られたりすることを防止することが可能となる。また、ブーム4の高さを本来の高さ以上に高くならないようにすることが可能となる。
【0045】
なお、この変形例2では、受光部21を足場5の上側に展開する場合について説明したが、足場5の下側で展開するように構成することも可能である。
この場合も、収納箱27は、作業者の邪魔にならないように、足場5の下方に配置されることが望ましい。
【0046】
[第3の実施の形態]
一方、太陽光発電装置20の受光部21は、ある程度の面積を有するものであるため、上記のように風が強くなるほど風による抵抗が増える。そのため、受光部21が風を受けるとブーム4にかかる風の荷重が増大する。
そのため、上記のように、風が強い場合は展開していた受光部21を収納するなどの対応をとることが必要になる。
【0047】
しかし、受光部21自体が、風を受けると姿勢を変えるなどして風を受け流すように構成すれば、風が吹くたびに受光部21を収納しなくてもよくなる可能性がある。
そこで、受光部21を、風を受けると風による抵抗を減らす方向に移動可能に構成することが可能である。
【0048】
この場合、例えば、受光部21を翼断面形状や平板状等に形成して、図10に示すように足場5(すなわちブーム4の上面4α。以下同じ。)の下方に揺動可能な状態に吊るす。
そして、受光部21を吊るす際の支点Aを、図11(a)に示すように受光部21の短手方向の重心Bから偏心した位置に設けるように構成することが可能である。
【0049】
このように構成すれば、受光部21が風を受けると風の方向になびくため、風による抵抗を減らすことが可能となる。しかし、このように構成すると、上方からの太陽光を受光しにくくなる可能性がある。
そこで、例えば図11(b)に示すように、受光部21を吊るす際の支点Aを、受光部21の短手方向の重心Bから偏心させ、さらに受光部21自体から離間した位置に設けるように構成することが可能である。
【0050】
このように構成すると、受光部21を吊り下げた際、風がなければ、図11(b)に示すように、支点Aが受光部21の重心Bの真上に位置する状態になり、受光部21が上下方向から傾斜した状態で吊り下がる。
そして、上記と同様に、受光部21が風を受けると風の方向になびくため、風による抵抗を減らすことが可能となる。また、上方からの太陽光を受光することが可能となるため、太陽光を受けて確実に発電することが可能となる。
【0051】
[第4の実施の形態]
ところで、足場5は、その上面5a(歩行可能な面すなわち踏み板部分)が図12に示すように格子状に形成されており、上面5aに多数の開口部5bが形成されていることがある。
そこで、上記のようにブーム4の上面4αより下方すなわち足場5より下側に太陽光発電装置20の受光部21を配置する場合、この足場5の開口部5bを通過してくる太陽光を受光部21で受光して発電を行うように構成することも可能である。
【0052】
そこで、例えば、足場5の各開口部5bに対応する位置に、複数の小片状の受光部を並べて受光部21を形成するように構成することが可能である。
また、以下のように構成すれば、足場5の各開口部5bを通過した太陽光を小片状の受光部でそれぞれ受光して発電を行うことが可能となるとともに、受光部21が風の影響を受けにくくすることができる。
図13(a)は、足場5を構成する鋼材のうち、多数の開口部5bが形成された上面5aを取り除いた足場5の枠体5cの部分を表している。
【0053】
このように、受光部21は、間隔をあけて複数に分割されており、足場5の複数の開口部5bより通った気体が前記複数の受光部の間から通過可能に構成されている。
すなわち、例えば、受光部21を、複数の小片状の受光部21aを並べて形成するとともに、さらに、複数の小片状の受光部21aがブーム4の上面4αすなわちこの場合は足場5に対して傾斜するように配置するように構成することが可能である。
なお、図13(a)では、小片状の受光部21aを足場5の枠体5cに固定するように構成した場合を示したが、小片状の受光部21aは足場5と別体に形成してもよい。
【0054】
このように構成すると、図13(b)に示すように、上方から足場5の開口部5bを通過した太陽光Sを小片状の各受光部21aで受光して確実に発電することが可能となる。
また、それとともに、ほぼ横方向に吹く風Wが小片状の各受光部21aの間を通り抜けるため、風による抵抗を減らすことが可能となり、風の影響を受けにくくなる。
【0055】
また、ブーム4が前方に横倒しにされた倒伏姿勢にある場合やブーム4の保管時には、図14に示すように、傾斜した小片状の各受光部21aが間隔をあけて配置された状態になる。
そのため、例えば、雨が降っても雨滴Rが各受光部21aの表面にたまらずに流れ落ちるため、各受光部21aの表面が汚れることが防止され、各受光部21aによる発電効率が低下することを抑制することが可能となる。
【0056】
以上のように、上記の各実施形態や各変形例に係るクレーン1によれば、エンジン13が停止してエンジン13で駆動される発電機14で発電を行うことができない場合であっても、発電機14とは別体の太陽光発電装置等の発電装置20により発電を行うことが可能となるため、エンジン停止時でもエアコン等の電装品17を稼働させることが可能となる。
【0057】
なお、発電装置20は、クレーン1のブーム4以外の部分に設けられていてもよい。
また、発電装置としての太陽光発電装置20の受光部21を、ブーム4全体に一体的に設けることも可能であり、また、単位ブーム4Aごとに設けることも可能である。また、受光部21を、ブーム4の全体に設けることも可能であり、ブーム4の一部に設けることも可能である。
【0058】
また、本発明が上記の各実施形態や各変形例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、第4の実施形態で、受光部21(小片状の各受光部21a)をブーム4の上面4αに対して傾斜するように配置することについて説明したが、この構成を他の実施形態や各変形例に係る受光部21に適用することも可能である。
【0059】
また、上記の各実施形態や各変形例では、クレーン1がクローラクレーンである例を示したが、本発明は、ホイールクレーン、トラッククレーン、ラフテレーンクレーン、オールテレーンクレーン等の他のあらゆる移動式クレーン、及び、タワークレーン、天井クレーン、ジブクレーン、引込みクレーン、スタッカークレーン、門型クレーン、アンローダ等のあらゆるクレーンにも適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 クレーン
4 ブーム
4b 斜材
4α ブームの上面
5 足場
13 エンジン
17 電装品
20 発電装置、太陽光発電装置
21 受光部
21a 小片状の受光部
図1
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図3
図4
図5
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図14