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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147743
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】直流電圧生成回路
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/20 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01D5/20 110Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055433
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 秀記
(72)【発明者】
【氏名】水野 健太朗
(72)【発明者】
【氏名】近江 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】小野田 渚
(72)【発明者】
【氏名】巻田 真宏
【テーマコード(参考)】
2F077
【Fターム(参考)】
2F077FF34
2F077JJ06
2F077JJ07
2F077PP26
2F077TT82
(57)【要約】
【課題】レゾルバの励磁電圧から直流電圧を生成可能な回路を提供する。
【解決手段】直流電圧生成回路は、交流電圧生成部、AC-DC変換部、第1ハーネス、第2ハーネス、を備える。交流電圧生成部の第1出力端子は、第1基準電圧部位に接続されている。交流電圧生成部の第2出力端子は、第1コンデンサおよび交流電圧源を介して第1基準電圧部位に接続されている。AC-DC変換部の第1入力端子は、第2基準電圧部位に接続されている。AC-DC変換部の第2入力端子は、第1ダイオードのアノードおよび第2ダイオードのカソードに接続されている。第1ダイオードのカソードは、第2コンデンサを介して第2基準電圧部位に接続している。第2ダイオードのアノードは、第2基準電圧部位に接続している。第1ハーネスは、第1出力端子と第1入力端子とを接続している。第2ハーネスは、第2出力端子と第2入力端子とを接続している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧生成部と、AC-DC変換部と、第1ハーネスと、第2ハーネスと、を備える直流電圧生成回路であって、
前記交流電圧生成部は、第1出力端子と、第2出力端子と、第1基準電圧部位と、交流電圧源と、第1コンデンサと、を備えており、
前記第1出力端子は、前記第1基準電圧部位に接続されており、
前記第2出力端子は、前記第1コンデンサおよび前記交流電圧源を介して前記第1基準電圧部位に接続されており、
前記AC-DC変換部は、第1入力端子と、第2入力端子と、第2基準電圧部位と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、第2コンデンサと、を備えており、
前記第1入力端子は、前記第2基準電圧部位に接続されており、
前記第2入力端子は、前記第1ダイオードのアノードおよび前記第2ダイオードのカソードに接続されており、
前記第1ダイオードのカソードは、前記第2コンデンサを介して前記第2基準電圧部位に接続しており、
前記第2ダイオードのアノードは、前記第2基準電圧部位に接続しており、
前記第1ハーネスは、前記第1出力端子と前記第1入力端子とを接続しており、
前記第2ハーネスは、前記第2出力端子と前記第2入力端子とを接続している、
直流電圧生成回路。
【請求項2】
前記第2入力端子と前記第1ダイオードのアノードおよび前記第2ダイオードのカソードとの接続経路上に、抵抗素子およびインダクタの少なくとも一方が配置されている、請求項1に記載の直流電圧生成回路。
【請求項3】
第1ダイオードのカソードと前記第2コンデンサとの接続経路上に、抵抗素子およびインダクタの少なくとも一方が配置されている、請求項1または2に記載の直流電圧生成回路。
【請求項4】
前記交流電圧生成部は、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間を接続する第3コンデンサをさらに備えており、
前記第3コンデンサの容量は前記第1コンデンサの容量よりも小さい、請求項1~3の何れか1項に記載の直流電圧生成回路。
【請求項5】
前記第2ダイオードは、複数のダイオードが直列に接続されている構造を備えている、請求項1~4の何れか1項に記載の直流電圧生成回路。
【請求項6】
前記第2コンデンサの両端子に接続されており、直流電圧で動作するセンサをさらに備える、請求項1~5の何れか1項に記載の直流電圧生成回路。
【請求項7】
前記第2コンデンサの両端子に接続されており、一定の直流電圧を出力可能なレギュレータ回路をさらに備えており、
前記センサは、前記レギュレータ回路の出力端子に接続されている、請求項6に記載の直流電圧生成回路。
【請求項8】
前記センサは、インダクティブ方式の回転角センサ、または、ホール素子を用いた回転角センサ、または、磁気抵抗素子を用いた回転角センサである、請求項6または7に記載の直流電圧生成回路。
【請求項9】
前記センサから出力される出力信号、および、前記交流電圧源から出力される交流電圧が入力される変調回路をさらに備え、
前記変調回路は、前記出力信号に基づいて前記交流電圧の振幅を変化させた変調信号を出力する、請求項6~8の何れか1項に記載の直流電圧生成回路。
【請求項10】
前記変調信号を伝達する第3ハーネスをさらに備え、
前記変調回路には、前記第2入力端子と前記第1ダイオードのアノードおよび前記第2ダイオードのカソードとの接続経路、前記センサ、および、前記第3ハーネスが接続されている、請求項9に記載の直流電圧生成回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、直流電圧生成回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レゾルバに励磁電圧(交流電圧)を供給する交流電圧生成部が開示されている。レゾルバにより、電気モータ等の回転体の回転角を絶対角にて検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-183566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、レゾルバに代わる回転角センサとして、インダクティブ方式の新型センサが実用化されている。レゾルバは励磁電圧で動作するが、新型センサは直流電圧で動作する。従って、既存の交流電圧生成部を変更せずに、レゾルバを新型センサに置換するためには、新型センサを駆動するための直流電圧を励磁電圧から生成する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する直流電圧生成回路の一実施形態は、交流電圧生成部と、AC-DC変換部と、第1ハーネスと、第2ハーネスと、を備える直流電圧生成回路である。交流電圧生成部は、第1出力端子と、第2出力端子と、第1基準電圧部位と、交流電圧源と、第1コンデンサと、を備えている。第1出力端子は、第1基準電圧部位に接続されている。第2出力端子は、第1コンデンサおよび交流電圧源を介して第1基準電圧部位に接続されている。AC-DC変換部は、第1入力端子と、第2入力端子と、第2基準電圧部位と、第1ダイオードと、第2ダイオードと、第2コンデンサと、を備えている。第1入力端子は、第2基準電圧部位に接続されている。第2入力端子は、第1ダイオードのアノードおよび第2ダイオードのカソードに接続されている。第1ダイオードのカソードは、第2コンデンサを介して第2基準電圧部位に接続している。第2ダイオードのアノードは、第2基準電圧部位に接続している。第1ハーネスは、第1出力端子と第1入力端子とを接続している。第2ハーネスは、第2出力端子と第2入力端子とを接続している。
【0006】
交流電圧生成部の第1コンデンサC1と、AC-DC変換部の第1ダイオードD1および第2ダイオードD2および第2コンデンサC2と、第1ハーネス31および第2ハーネス32と、によって、倍電圧整流回路を構成することができる。この倍電圧整流回路は、コッククロフト・ウォルトン回路の1段の昇圧整流回路である。これにより、既存の交流電圧生成部を変更せずに、直流電圧を生成できる。そして2倍の電圧で電流を供給できるため、半波整流回路等を用いる場合に比して、大きな電力を供給することが可能となる。
【0007】
第2入力端子と第1ダイオードのアノードおよび第2ダイオードのカソードとの接続経路上に、抵抗素子およびインダクタの少なくとも一方が配置されていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0008】
第1ダイオードのカソードと第2コンデンサとの接続経路上に、抵抗素子およびインダクタの少なくとも一方が配置されていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0009】
交流電圧生成部は、第1出力端子と第2出力端子との間を接続する第3コンデンサをさらに備えていてもよい。第3コンデンサの容量は第1コンデンサの容量よりも小さくてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0010】
第2ダイオードは、複数のダイオードが直列に接続されている構造を備えていてもよい。効果の詳細は実施例で説明する。
【0011】
第2コンデンサの両端子に接続されており、直流電圧で動作するセンサをさらに備えていてもよい。センサは、各種の電源回路を介して接続されていてもよい。
【0012】
第2コンデンサの両端子に接続されており、一定の直流電圧を出力可能なレギュレータ回路をさらに備えていてもよい。センサは、レギュレータ回路の出力端子に接続されていてもよい。
【0013】
センサは、インダクティブ方式の回転角センサ、または、ホール素子を用いた回転角センサ、または、磁気抵抗素子を用いた回転角センサであってもよい。
【0014】
センサから出力される出力信号、および、交流電圧源から出力される交流電圧が入力される変調回路をさらに備えていてもよい。変調回路は、出力信号に基づいて交流電圧の振幅を変化させた変調信号を出力してもよい。
【0015】
変調信号を伝達する第3ハーネスをさらに備えていてもよい。変調回路には、第2入力端子と第1ダイオードのアノードおよび第2ダイオードのカソードとの接続経路、センサ、および、第3ハーネスが接続されていてもよい。第3ハーネスは、差動信号線を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】回転角検出システム1の回路構成図である。
図2】交流電圧V1の波形図である。
図3】整流入力電圧V2および整流出力電圧V3の波形図である。
図4】フィルタ出力電圧V4の波形図である。
図5】比較例の回転角検出システム101の回路構成図である。
図6】比較例の回転角検出システム201の回路構成図である。
図7】変形例の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(回転角検出システム1の構成)
図1に、本実施例に係る回転角検出システム1の回路構成図を示す。回転角検出システム1は、直流電圧生成回路2、回転角センサ3、モータ4、モータ制御部5、を備えている。回転角センサ3は、直流電圧で動作するセンサである。回転角センサ3は、インダクティブ方式、ホール素子方式、磁気抵抗素子方式など、各種方式のセンサを使用可能である。磁気抵抗素子は、例えば、AMR(異方性磁気抵抗効果)素子、GMR(巨大磁気抵抗効果)素子、TMR(トンネル磁気抵抗効果)素子、などであってよい。本実施例では、回転角センサ3は、インダクティブ方式とした。回転角センサ3は、モータ4に取り付けられている。直流電圧生成回路2は、回転角センサ3に直流電圧DVを供給する。モータ制御部5は、インバータ等を備えており、モータ4の動作を制御する。
【0018】
直流電圧生成回路2は、交流電圧生成部10、AC-DC変換部20、変調部40、第1ハーネス31、第2ハーネス32、第3ハーネス33、を備える。交流電圧生成部10は、第1出力端子11、第2出力端子12、基準電圧線13、交流電圧源14、直流オフセット電圧源15、第1コンデンサC1、第3コンデンサC3、を備えている。第1出力端子11は、基準電圧線13に接続されている。基準電圧線13は、接地部GNDに接続されている配線である。第2出力端子12は、第1コンデンサC1、交流電圧源14、直流オフセット電圧源15を介して、基準電圧線13に接続されている。第1コンデンサC1は、DC電圧カット用の素子である。交流電圧源14は、レゾルバに用いられる励磁電圧(交流電圧)を生成する部位である。直流オフセット電圧源15は、交流電圧源14が生成した交流電圧に直流オフセット電圧を重畳する部位である。
【0019】
第3コンデンサC3は、第1出力端子11と第2出力端子12との間を接続している。第3コンデンサC3の容量は、第1コンデンサC1の容量よりも小さい。第3コンデンサC3により、高周波ノイズを低減することが可能とされている。
【0020】
AC-DC変換部20は、第1入力端子21、第2入力端子22、基準電圧線23、レギュレータ回路24、センサ端子25および26、第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、第2コンデンサC2、抵抗素子R1、インダクタL1、を備えている。第1入力端子21は、基準電圧線23に接続されている。これにより基準電圧線23は、第1ハーネス31を介して交流電圧生成部10の接地部GNDに共通接続されている。
【0021】
第2入力端子22は、インダクタL1を介してノードN1に接続している。ノードN1は、第1ダイオードD1のアノードおよび第2ダイオードD2のカソードに接続されている。第2ダイオードD2のアノードは、基準電圧線23に接続している。第1ダイオードD1のカソードは、抵抗素子R1を介して、第2コンデンサC2の一端に接続している。第2コンデンサC2の他端は、基準電圧線23に接続している。
【0022】
インダクタL1のインダクタンスは、交流電圧AV(数kHz~数10kHz)のインピーダンスに比して、第2ハーネス32に注入されるノイズ電圧(数10kHz~数10MHz)のインピーダンスが高くなるように設定すればよい。これにより、交流電圧AVに対する電圧降下よりも、ノイズ電圧に対する電圧降下を大きくすることができる。従って、インダクタL1の代わりに抵抗素子を配置する場合に比して、第2入力端子22での交流電圧AVの低下を小さくできるとともに、ノイズ電圧による電圧上昇を抑制することが可能となる。
【0023】
第2コンデンサC2の両端には、レギュレータ回路24が接続されている。レギュレータ回路24は、一定の直流電圧DVを出力する回路である。なお、直流電圧DVの値は、回転角センサ3の要求電圧に応じて適宜定めることができる。なお、レギュレータ回路24の回路構成は周知の様々な構成を採用することができるため、詳細な説明は省略する。レギュレータ回路24の出力は、センサ端子25および26に接続されている。センサ端子25および26には、回転角センサ3が接続されている。
【0024】
変調部40は、変調回路41、センサ端子42、出力端子43、配線44および45、を備えている。変調回路41は、配線44によって、第2入力端子22とインダクタL1との接続経路に接続されている。また変調回路41は、配線45によって、基準電圧線23に接続されている。また変調回路41は、複数の差動信号線によって、センサ端子42を介して回転角センサ3の出力端子に接続されている。また変調回路41は、出力端子43を介して第3ハーネス33に接続されている。第3ハーネス33は、複数の差動信号線を備えている。
【0025】
回転角センサ3から出力される出力信号OSは、センサ端子42を介して変調回路41に入力される。出力信号OSは、モータ4の回転角に応じた波形を有する、複数の信号の集合である。出力信号OSは、正弦波の差動信号(Sin+、Sin-)および余弦波の差動信号(Cos+、Cos-)の、4種類の信号を含んでいる。また変調回路41には、配線44によって交流電圧AVが供給される。交流電圧AVは搬送波として機能する電圧である。変調回路41は、交流電圧AVの振幅に出力信号OSの振幅を乗算する。すなわち変調回路41は、出力信号OSに基づいて、搬送波である交流電圧AVの振幅を変化させる。これにより、出力信号OSがAM変調され、変調信号MSが生成される。変調信号MSも複数の信号の集合であり、正弦波の差動信号および余弦波の差動信号を含んでいる。変調信号MSは、第3ハーネス33を介してモータ制御部5に伝達される。
【0026】
第1ハーネス31、第2ハーネス32、第3ハーネスは、複数の配線を束ねたワイヤーハーネスである。第1ハーネス31は、第1出力端子11と第1入力端子21とを接続している。第2ハーネス32は、第2出力端子12と第2入力端子22とを接続している。第3ハーネス33は、出力端子43とモータ制御部5とを接続している。
交流電圧生成部10およびモータ制御部5に対して、AC-DC変換部20および変調部40が離れて配置されている場合においても、第1ハーネス31、第2ハーネス32、第3ハーネスを用いることで、両者を電気的に接続することが可能となる。なお、第1ハーネス31および第2ハーネス32によって、外来ノイズが受信されてしまう場合がある。
【0027】
(倍電圧整流回路28およびローパスフィルタ27の機能)
直流電圧生成回路2によって、倍電圧整流回路28およびローパスフィルタ27の機能を実現することができる。すなわち、第1コンデンサC1、第1ハーネス31、第2ハーネス32、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2、第2コンデンサC2によって、倍電圧整流回路28を構成することができる。倍電圧整流回路28は、コッククロフト・ウォルトン回路の1段の昇圧整流回路である。当該回路の構成は周知であるため、詳細な説明を省略する。また、抵抗素子R1および第2コンデンサC2によって、平滑回路として機能するRC型のローパスフィルタ27を構成することができる。
【0028】
倍電圧整流回路28およびローパスフィルタ27の動作の具体例を説明する。交流電圧源14から出力される電圧を、交流電圧V1と定義する。ノードN1に入力される電圧を、整流入力電圧V2と定義する。第1ダイオードD1から出力される電圧を、整流出力電圧V3と定義する。ローパスフィルタ27から出力される電圧を、フィルタ出力電圧V4と定義する。図2に示すように、交流電圧V1は、+15Vを中心として+5Vから+25Vまでの20Vの振幅を有している。
【0029】
図3に、整流入力電圧V2(点線)および整流出力電圧V3(実線)を示す。倍電圧整流回路28の倍電圧整流動作により、整流入力電圧V2は、下限が0V、最大値が20V、振幅が20Vの交流電圧となる。整流出力電圧V3は、後述するフィルタ出力電圧V4に対し、ローパスフィルタ27による電圧降下だけ高い電圧を基準として整流される。従って整流出力電圧V3は、第1ダイオードD1がオフの間は、ローパスフィルタ27のフィルタ出力電圧V4(15Vの直流電圧)でホールドされる。
【0030】
図4に、フィルタ出力電圧V4を示す。フィルタ出力電圧V4は、整流出力電圧V3がローパスフィルタ27によって平滑化された電圧である。よってフィルタ出力電圧V4は、15Vの直流電圧になっている。レギュレータ回路24は、フィルタ出力電圧V4に基づいて、直流電圧DVを生成し回転角センサ3に供給する。本実施例では、直流電圧DVの電圧を3.3Vとし、最大32mAの電力を供給した。
【0031】
(効果)
図5を用いて、比較例の回転角検出システム101を説明する。なお、本実施例の回転角検出システム1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。比較例の回転角検出システム101は、交流電圧生成部10の第1出力端子11および第2出力端子12に、レゾルバ103が接続されている構成を備えている。交流電圧生成部10から出力される交流電圧AVによってレゾルバ103を励磁することにより、レゾルバ103からはAM変調波である変調信号MSが出力される。不図示の制御部で変調信号MSを変換することで、モータ4の回転角を検出する。一方、本実施例の回転角検出システム1(図1)では、交流電圧生成部10と回転角センサ3との間に、AC-DC変換部20が挿入された構成を備えている。また、モータ制御部5と回転角センサ3との間に、変調部40が挿入された構成を備えている。そして、交流電圧AVから直流電圧DVを生成し、回転角センサ3に供給する。また、回転角センサ3から出力された出力信号OSを、変調信号MSに変調して出力する。これにより、レゾルバ103を用いた回転角検出システム101(図5)を、回転角センサ3を用いた回転角検出システム1(図1)に変更することができる。そして回転角センサ3への変更に際し、交流電圧生成部10の回路構成(例:第1コンデンサC1が第2出力端子12に接続されている構成)や、第1ハーネス31および第2ハーネス32の接続構成(例:第1ハーネス31が接地部GNDに共通接続される構成)に、変更を加える必要がない。よって、AC-DC変換部20および変調部40によって、レゾルバ103と回転角センサ3との間で完全な互換性を実現することが可能となる。換言すると、AC-DC変換部20および変調部40によって、互換インターフェースを構成することが可能となる。
【0032】
本実施例の回転角検出システム1では、倍電圧整流回路28を形成することができる。これにより、整流入力電圧V2および整流出力電圧V3(図3)に示すように、下限電圧を0V以上にすることができる。半波整流を行う場合に比して、2倍の電圧で電流を供給できるため、大きな電力を供給することが可能となる。
【0033】
図6を用いて、比較例の回転角検出システム201を説明する。なお、本実施例の回転角検出システム1と共通する部位には同一符号を付すことで、説明を省略する。比較例の回転角検出システム201は、AC-DC変換部20の第2入力端子22に、倍電圧整流回路28を構成するコンデンサC200を備えている。また、AC-DC変換部20にインダクタL1を備えていない。また、交流電圧生成部10に第1コンデンサC1を備えていない。第2ハーネス32にパルスノイズ電圧が注入される場合を説明する。比較例の回転角検出システム201では、ノイズ電圧はコンデンサC200を介してノードN1に入力される。ノイズ電圧が低下する時にダイオードが順バイアスされるため、ノードN1の整流入力電圧V2は、パルスノイズ電圧の低下に追従しない。そしてパルスノイズ電圧が0Vまで上昇する時に、整流入力電圧V2が正の高電圧に上昇してしまう。整流入力電圧V2の高電圧は、コンデンサC200の電荷がなくなるまで保持されるため、整流入力電圧V2のDC電圧の変動が大きくなってしまう。一方、本実施例の回転角検出システム1(図1)では、交流電圧生成部10の第2出力端子12に、倍電圧整流回路28を構成する第1コンデンサC1が備えられている。従って、第2ハーネス32に注入されたノイズ電圧がノードN1に入力されるまでの経路上に、コンデンサが存在していない。これにより、ノイズ電圧によるDC電圧変動を整流入力電圧V2に発生させないことが可能となる。すなわち、DC電圧カット用に交流電圧生成部10に備えられている第1コンデンサC1を、倍電圧整流回路28の構成素子に流用することにより、第2ハーネス32から注入される外来ノイズに影響を受けない直流電圧生成回路2を実現することが可能となる。
【0034】
本実施例のAC-DC変換部20では、第2入力端子22とノードN1との接続経路間に、インダクタL1を備えている。これにより、第2ハーネス32に注入されたノイズ電圧を、抵抗素子R1およびインダクタL1によって分圧することができる。インピーダンスの分圧比を適宜調整することによって、最大ノイズ電圧が注入された場合においても、第1ダイオードD1および第2ダイオードD2にブレークダウン電圧を超過する電圧が印加されないようにすることができる。ノイズ電圧によるダイオードの破壊を防止することが可能となる。また、ノイズ電圧が注入された場合における整流入力電圧V2の電圧上昇量を低減することができるため、フィルタ出力電圧V4の電圧変化量を抑制することが可能となる。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0036】
(変形例)
インダクタL1に代えて抵抗素子を用いてもよい。また、インダクタL1に直列に抵抗素子が接続されていてもよい。この構成においても、ノイズ電圧を分圧することができるため、ダイオードの破壊を防止することが可能となる。
【0037】
抵抗素子R1に代えてインダクタを用いてもよい。LC型のローパスフィルタ27を構成することができる。また、抵抗素子R1に直列にインダクタが接続されていてもよい。RLC型のローパスフィルタ27を構成することができる。
【0038】
第2ダイオードD2は、複数のダイオードが直列に接続されている構造を備えていてもよい。これにより、逆方向電圧を複数のダイオードで分圧することができる。各ダイオードに印加される逆方向電圧の最大値を、ブレークダウン電圧を超過しないように調整することができるため、第2ダイオードD2の破壊を防止することが可能となる。
【0039】
本実施例では、平滑回路としてローパスフィルタ27を用いる形態を説明したが、この形態に限られず、様々な回路を使用可能である。例えば図7の変形例に示すように、平滑回路として定電圧回路29を用いてもよい。定電圧回路29から出力されるフィルタ出力電圧V4は、ツェナーダイオードD3のツェナー電圧からバイポーラトランジスタQ1のベース・エミッタ間電圧だけ低下した電圧に固定される。よって整流出力電圧V3を平滑化することができる。
【0040】
本実施例では、回転角センサ3の測定対象をモータとしたが、この形態に限られない。車輪など、回転体であれば何れの構成部品も測定対象にすることが可能である。
【0041】
基準電圧線13は、第1基準電圧部位の一例である。基準電圧線23は、第2基準電圧部位の一例である。
【符号の説明】
【0042】
1:回転角検出システム 2:直流電圧生成回路 3:回転角センサ 4:モータ 10:交流電圧生成部 11:第1出力端子 12:第2出力端子 13:基準電圧線 14:交流電圧源 20:AC-DC変換部 21:第1入力端子 22:第2入力端子 23:基準電圧線 24:レギュレータ回路 31:第1ハーネス 32:第2ハーネス 33:第3ハーネス C1:第1コンデンサ C2:第2コンデンサ D1:第1ダイオード D2:第2ダイオード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7