特開 2023-147745 固定構造及び固定方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023147745

(43)【公開日】2023-10-13

(54)【発明の名称】固定構造及び固定方法

(51)【国際特許分類】

   B60Q 5/00 20060101AFI20231005BHJP

   F21V 33/00 20060101ALI20231005BHJP

   F21S 45/00 20180101ALI20231005BHJP

【ＦＩ】

B60Q5/00 680E

F21V33/00 430

F21S45/00

B60Q5/00 620A

B60Q5/00 630B

【審査請求】未請求

【請求項の数】6

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022055435

(22)【出願日】2022-03-30

(71)【出願人】

【識別番号】000001133

【氏名又は名称】株式会社小糸製作所

(74)【代理人】

【識別番号】100122183

【弁理士】

【氏名又は名称】小澤 一郎

(72)【発明者】

【氏名】船村 和彦

【テーマコード（参考）】

3K014

【Ｆターム（参考）】

3K014AA01

3K014RB11

(57)【要約】

【課題】取付部に音発生装置を固定する新たな固定構造を提供する。
【解決手段】固定構造２３は、音発生装置と、音発生装置を所定の位置に取り付ける取付部２６と、音発生装置を保持した状態で、取付部に固定される保持部材と、音発生装置に接続されるワイヤーハーネス３０と、を備える。音発生装置は、ワイヤーハーネス３０のコネクタ３０ａが接続される接続部３２ａを有する。取付部２６は、保持部材が固定される際に接続部３２ａに接続された状態のコネクタ３０ａに当接する当接面２６ａを有している。
【選択図】図７

【特許請求の範囲】

【請求項1】

音発生装置と、
前記音発生装置を所定の位置に取り付ける取付部と、
前記音発生装置を保持した状態で、前記取付部に固定される保持部材と、
前記音発生装置に接続されるワイヤーハーネスと、を備え、
前記音発生装置は、前記ワイヤーハーネスのコネクタが接続される接続部を有し、
前記取付部は、前記保持部材が固定される際に前記接続部に接続された状態の前記コネクタに当接する当接面を有していることを特徴とする固定構造。

【請求項2】

前記保持部材は、前記取付部に対して回転動作で所定位置に固定されるように構成されていることを特徴とする請求項１に記載の固定構造。

【請求項3】

前記当接面は、前記取付部の前記保持部材と対向する側に設けられており、前記保持部材の回転動作に伴い前記コネクタを前記接続部に向けて圧入するように構成された傾斜部を有することを特徴とする請求項２に記載の固定構造。

【請求項4】

前記傾斜部は、前記取付部に形成された円弧状のスリットの少なくとも片側に沿って設けられていることを特徴とする請求項３に記載の固定構造。

【請求項5】

前記取付部は、前記傾斜部の高さが低い側の端部に形成された、前記コネクタが通る貫通孔を有し、
前記スリットは、前記貫通孔と繋がっており、前記ワイヤーハーネスのケーブルが通り、かつ前記コネクタが通らない形状であることを特徴とする請求項４に記載の固定構造。

【請求項6】

音発生装置を所定の位置に取り付ける取付部に該音発生装置を固定する固定方法であって、
取付部に形成された貫通孔から該取付部の外側に引き出されたワイヤーハーネスのコネクタを、前記音発生装置の接続部に接続する接続工程と、
前記コネクタが接続された前記音発生装置を保持した保持部材を、前記取付部に固定する固定工程と、を含み、
前記固定工程は、
前記接続部に接続された状態の前記コネクタを、前記取付部が有する当接面に当接させる工程と、
前記当接面に当接したコネクタを前記保持部材の回転動作に伴い前記接続部に向けて圧入する工程と、
を有することを特徴とする固定方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、固定構造に関し、例えば、車両用灯具等の取付部に音発生装置を固定する固定構造に関する。

【背景技術】

【0002】

ハイブリッド車や電気自動車のようにモータを走行駆動源とする車両では、低速時におけるモータ音が静粛であるため他車両や歩行者が自車両に気づき難い。そこで、モータ音とは別の疑似音を発生させ、この疑似音を他車両や歩行者に対する警告音とする技術が提案されている。

【0003】

例えば、光源と、車両用灯具を構成するアウタレンズに固定され、電気信号を受けて振動によりアウタレンズを発音させる振動子と、を備える車両用灯具が考案されている（特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２０１３－２４１１５６号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

上述の振動子は、ボディの外縁部の２箇所に形成された、径方向外側に向かって突出するタブ片を有している。そして、そのタブ片に形成された挿通穴に挿通されたネジにより、車両用灯具の一部であるアウタレンズやランプボディの外側に振動子が固定されている。また、上述の振動子は、駆動コイルに交流電流を印加するためのハーネスがボディを貫通して灯室の外部に引き出されている。

【0006】

そのため、ハーネスの防水性を考慮すれば、音を発するユニットへの電源供給や信号通信を担うハーネスを車両用灯具の内側に配置することが一案である。その場合、ハーネス端部のコネクタとユニットを接続した状態でユニットを車両用灯具に固定する新たな固定構造が求められている。

【0007】

本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、取付部に音発生装置を固定する新たな固定構造を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記課題を解決するために、本発明のある態様の固定構造は、音発生装置と、音発生装置を所定の位置に取り付ける取付部と、音発生装置を保持した状態で、取付部に固定される保持部材と、音発生装置に接続されるワイヤーハーネスと、を備える。音発生装置は、ワイヤーハーネスのコネクタが接続される接続部を有する。取付部は、保持部材が固定される際に接続部に接続された状態のコネクタに当接する当接面を有している。

【0009】

この態様によると、音発生装置を所定の位置に取り付けた状態では、音発生装置の接続部に接続されたコネクタに取付部の当接面が当接することで、振動や接続不良によってコネクタが抜けることが抑制される。

【0010】

保持部材は、取付部に対して回転動作で所定位置に固定されるように構成されていてもよい。これにより、保持部材を取付部に対して簡易に固定できる。

【0011】

当接面は、取付部の保持部材と対向する側に設けられており、保持部材の回転動作に伴いコネクタを接続部に向けて圧入するように構成された傾斜部を有してもよい。これにより、保持部材を取付部に固定する際にコネクタを接続部に向けて圧入できる。

【0012】

傾斜部は、取付部に形成された円弧状のスリットの少なくとも片側に沿って設けられていてもよい。これにより、保持部材を取付部に対して回転動作する際に、傾斜部がコネクタを接続部に向けて徐々に圧入できる。

【0013】

取付部は、傾斜部の高さが低い側の端部に形成された、コネクタが通る貫通孔を有してもよい。スリットは、貫通孔と繋がっており、ワイヤーハーネスのケーブルが通り、かつコネクタが通らない形状であってもよい。これにより、コネクタが貫通孔を通った状態で保持部材を取付部に対して回転した後は、コネクタがスリットに引っかかることで、保持部材が取付部から抜けなくなる。

【0014】

本発明の別の態様は、固定方法である。この方法は、音発生装置を所定の位置に取り付ける取付部に該音発生装置を固定する固定方法であって、取付部に形成された貫通孔から該取付部の外側に引き出されたワイヤーハーネスのコネクタを、音発生装置の接続部に接続する接続工程と、コネクタが接続された音発生装置を保持した保持部材を、取付部に固定する固定工程と、を含む。固定工程は、接続部に接続された状態のコネクタを、取付部が有する当接面に当接させる工程と、当接面に当接したコネクタを保持部材の回転動作に伴い接続部に向けて圧入する工程と、を有する。

【0015】

この態様によると、音発生装置を所定の位置に取り付けた状態では、音発生装置の接続部に接続された状態のコネクタに取付部の当接面が当接することで、振動や接続不良によってコネクタが抜けることが抑制される。

【0016】

以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。

【発明の効果】

【0017】

本発明によれば、簡易な作業で音発生装置への給電を実現できる。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】第１の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。

【図2】第１の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。

【図3】第１の実施の形態に係る固定構造の上面図である。

【図4】図３に示す固定構造をＢ方向から見た側面図である。

【図5】図３に示す固定構造から取付部の図示を省略した上面図である。

【図6】図５に示す固定構造をＣ方向から見た側面図である。

【図7】図２に示す断面構造のＡ－Ａ断面図である。

【図8】第２の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。

【図9】図８に示す固定構造における取付部を裏側から見た斜視図である。

【図10】図８に示す固定構造のＤ－Ｄ断面図である。

【図11】第３の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。

【図12】図１１に示す固定構造の上面図である。

【図13】図１１に示す固定構造のＥ－Ｅ断面図である。

【図14】第４の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0019】

以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。

【0020】

（第１の実施の形態）
図１は、第１の実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。なお、図１は一部の部品を省略して図示している。図１に示す車両用灯具としての車両用前照灯１０は、不図示の光源から出射された光が車両前方へ向けて透過するように配置されるアウタレンズ１２と、光源と車両本体とを隔てる隔壁としてのランプボディ１４と、を備える。アウタレンズ１２は、ランプボディ１４の車両前方側の開口を塞ぐように、ランプボディ１４と一体化され、光源が配置される灯室１６を構成する。

【0021】

このように構成された車両用前照灯１０は、車両フード１８及びバンパ２０の間の空間に配置されている。本実施の形態に係る車両用前照灯１０は、ランプボディ１４の底部１４ａの灯具外側に、車両周囲の他車両や歩行者に対する警告音を発生する音発生構造２２が設けられている。

【0022】

図２は、第１の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。図３は、第１の実施の形態に係る固定構造の上面図である。図４は、図３に示す固定構造をＢ方向から見た側面図である。図５は、図３に示す固定構造から取付部の図示を省略した上面図である。図６は、図５に示す固定構造をＣ方向から見た側面図である。図７は、図２に示す断面構造のＡ－Ａ断面図である。図１に示す音発生構造２２は、本実施の形態に係る固定構造を兼ねるものであり、以下では、音発生構造２２を固定構造２３として説明する。また、以下では、車両用灯具に固定する固定構造を例に説明するが、車両用灯具以外の部品に固定する固定構造であってもよい。

【0023】

図２乃至図７に示すように、固定構造２３は、音発生装置の一種であるスピーカユニット２４と、スピーカユニット２４を車両用灯具の所定の位置に取り付ける取付部２６と、スピーカユニット２４を保持した状態で、取付部２６に固定される保持部材としてのカバー２８と、スピーカユニット２４に接続されるワイヤーハーネス３０と、を備える。ワイヤーハーネス３０は、コネクタ３０ａと、コネクタ３０ａに一端が結合されているケーブル３０ｂと、を有する。

【0024】

ランプボディ１４の外側に設けられたスピーカユニット２４は、音Ｓを発する前面２４ａが車両外部ＥＸへ向くようにスピーカボディ３２中央の所定位置に固定されている。スピーカユニット２４は、音を発するものであればよく、例えば、ボイスコイルとマグネットにより振動板を振動させることで音を発する構造であってもよい。本実施の形態に係るスピーカユニット２４は、電気信号を振動に変換する磁気回路（不図示）と、磁気回路の振動が伝わる円板状の振動板２４ｂと、を有する。

【0025】

スピーカボディ３２は、ワイヤーハーネス３０のコネクタ３０ａが接続される接続部３２ａを有する。また、本実施の形態に係る取付部２６は、車両用前照灯１０を構成する灯具部品としてのランプボディ１４の一部（底部１４ａ）である。灯具部品としては、ランプボディ１４そのものに限らず、ランプボディ１４と一体の他部品や、ランプボディ１４と連結される他部品であってもよい。取付部２６は、カバー２８と対向する側に、カバー２８が固定される際に接続部３２ａに接続された状態のコネクタ３０ａに当接する当接面２６ａを有している。これにより、スピーカユニット２４を所定の位置に取り付けた状態では、スピーカユニット２４の接続部３２ａに接続されたコネクタ３０ａに取付部２６の当接面２６ａが当接することで、振動や接続不良によってコネクタ３０ａが抜けることが抑制される。また、仮にカバー２８を取付部２６に固定する際に、コネクタ３０ａが半嵌合状態で接続部３２ａから多少浮いた状態であった場合、当接面２６ａがコネクタ３０ａと干渉することで取付部２６へのカバー２８の組付けが困難となり、半嵌合状態で組付けが完了することを防止できる。

【0026】

スピーカボディ３２は、円筒状の筐体３２ｂを有し、筐体３２ｂの車両外部側の開口３２ｃを閉塞するように振動板２４ｂを保持している。これにより、水や埃が筐体３２ｂを通って車両内部へ入り込むことを防止できる。

【0027】

また、固定構造２３は、振動板２４ｂの前面２４ａを覆うカバー２８を更に備えている。カバー２８は、スピーカユニット２４が直接外部に露出しないように保護するためのものであり、スピーカユニット２４の破損や汚損が低減される。また、カバー２８は、振動板２４ｂから出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリット２９が形成されている。また、カバー２８は、取付部２６に固定される際に、取付部２６と結合する結合部２８ａを有する。

【0028】

本実施の形態に係る結合部２８ａは、カバー２８の一部が加工されたスナップフィットやローテーションフィックスである。スナップフィットとは、例えば、材料の弾性を利用してはめ込むことにより固定する方式の一つである。ローテーションフィックスとは、相対的な回転動作により一方の部品が他方の部品を押す力が増すことで最終的に互いが固定される方式の一つである。

【0029】

本実施の形態に係るカバー２８は、筐体２８ｂの車両用灯具側の開口２８ｃの縁部２８ｄにローテーションフィックスである結合部２８ａが設けられている。これにより、スピーカユニット２４は、カバー２８を介して簡易にランプボディ１４に固定できる。

【0030】

カバー２８は、筐体２８ｂの外周部の環状のフランジ部２８ｅにＯリング３４が装着されている。Ｏリング３４は、取付部２６とカバー２８との間を封止する。これにより、接着剤等を用いずに取付部２６とカバー２８との間から水や埃が車両内部へ入り込むことを防止できる。

【0031】

次に、カバー２８をランプボディ１４の底部１４ａに取り付けて固定する方法の一例について説明する。図５等に示すように、本実施の形態に係る固定構造２３は、縁部２８ｄの３箇所に等間隔で結合部２８ａが設けられている。結合部２８ａは、縁部２８ｄから径方向外側に張り出したフランジ部２８ｆを有する。そして、図２や図３に示す取付部２６に形成された３箇所の開口２６ｂにフランジ部２８ｆの位置Ｐ１を合わせ、結合部２８ａを底部１４ａから灯室１６側に向けて突き出す。

【0032】

図４に示すように、フランジ部２８ｆの裏側には傾斜部２８ｇが設けられている。そのため、結合部２８ａが灯室１６側に突き出した状態で底部１４ａに対してカバー２８を回転させると、傾斜部２８ｇが底部１４ａの内面１４ｃに当接しながら移動することで結合部２８ａが灯室１６側に徐々に引き込まれる。そして、結合部２８ａが位置Ｐ２まで移動することで、傾斜部２８ｇの頂点で底部１４ａの内面１４ｃがしっかり押圧され、カバー２８が底部１４ａに対してしっかり固定される。つまり、カバー２８は、ランプボディ１４に対して簡易な回転動作で所定位置に固定される。これにより、ネジを用いずにスピーカユニット２４を車両用前照灯１０に固定できる。

【0033】

以上のように、本実施の形態に係る固定方法は、スピーカユニット２４を車両や車両用灯具の所定の位置に取り付ける取付部２６にスピーカユニット２４を固定する方法である。そして、図３に示す取付部２６に形成された貫通孔２６ｃから取付部２６の外側（図３における紙面の裏側）に引き出されたワイヤーハーネス３０のコネクタ３０ａを、スピーカユニット２４の接続部３２ａに接続する。次に、コネクタ３０ａが接続されたスピーカユニット２４を保持したカバー２８を、前述の方法で取付部２６に固定する。これにより、スピーカユニット２４を所定の位置に取り付けた状態では、図７に示すように、スピーカユニット２４の接続部３２ａに接続された状態のコネクタ３０ａに取付部２６の当接面２６ａが上から当接することで、振動や接続不良によってコネクタ３０ａが接続部３２ａから抜けることが抑制される。

【0034】

（第２の実施の形態）
図８は、第２の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。図９は、図８に示す固定構造における取付部を裏側から見た斜視図である。図１０は、図８に示す固定構造のＤ－Ｄ断面図である。なお、以下の説明では、第１の実施の形態と同様の構成には同じ符号や名称を付して説明を適宜省略する。

【0035】

図８乃至図１０に示すように、固定構造３６は、スピーカユニット２４と、スピーカユニット２４を車両用灯具の所定の位置に取り付ける取付部３８と、カバー２８と、スピーカユニット２４に接続されるワイヤーハーネス３０と、を備える。

【0036】

スピーカボディ３２は、ワイヤーハーネス３０のコネクタ３０ａが接続される接続部３２ａを有する。また、本実施の形態に係る取付部３８は、車両用前照灯１０を構成する灯具部品としてのランプボディ１４の一部（底部１４ａ）である。取付部３８は、カバー２８が固定される際に接続部３２ａに接続された状態のコネクタ３０ａに当接する当接面３８ａを有している。これにより、スピーカユニット２４を所定の位置に取り付けた状態では、スピーカユニット２４の接続部３２ａに接続されたコネクタ３０ａに取付部３８の当接面３８ａが当接することで、振動や接続不良によってコネクタ３０ａが抜けることが抑制される。

【0037】

本実施の形態に係る当接面３８ａは、取付部３８のカバー２８と対向する側に設けられており、カバー２８の回転動作に伴いコネクタ３０ａを接続部３２ａに向けて圧入するように構成された傾斜部３８ｂを有している。傾斜部３８ｂは、取付部３８の裏面３８ｃからの高さＨ（図１０参照）が貫通孔３８ｄから円弧状のスリット３８ｅの先端に向かって徐々に大きくなる部分である。これにより、カバー２８を取付部３８に回転動作で固定する際に、コネクタ３０ａが半嵌合状態で接続部３２ａから多少浮いた状態であっても、コネクタ３０ａを接続部３２ａに向けて徐々に圧入できる。

【0038】

傾斜部３８ｂは、取付部３８に形成された円弧状のスリット３８ｅの両側に設けられている。これにより、カバー２８を取付部３８に対して回転動作する際に、傾斜部３８ｂがコネクタ３０ａを接続部３２ａに向けて徐々に圧入できる。なお、傾斜部３８ｂは、スリット３８ｅの少なくとも片側に沿って設けられていてもよい。

【0039】

取付部３８は、傾斜部３８ｂの高さＨが低い側の端部に形成された、コネクタが通る貫通孔３８ｄを有している。また、スリット３８ｅは、貫通孔３８ｄと繋がっており、ワイヤーハーネス３０のケーブル３０ｂが通り、かつコネクタ３０ａが通らない形状である。これにより、コネクタ３０ａが貫通孔３８ｄを通った状態でカバー２８を取付部３８に対して回転した後は、コネクタ３０ａがスリット３８ｅに引っかかることで、カバー２８が取付部３８から抜けなくなる。

【0040】

（第３の実施の形態）
図１１は、第３の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。図１２は、図１１に示す固定構造の上面図である。図１３は、図１１に示す固定構造のＥ－Ｅ断面図である。なお、以下の説明では、前述の各実施の形態と同様の構成には同じ符号や名称を付して説明を適宜省略する。

【0041】

例えば、第１の実施の形態における固定構造２３では、回転動作によってカバー２８を取付部２６に固定する。そのため、回転動作による固定の際に、カバー２８の結合部２８ａと取付部２６との間にケーブル３０ｂが噛み込まれるおそれがある。そこで、本実施の形態に係る固定構造は、ケーブルの噛み込みを抑制する構成を採用している。

【0042】

図１１乃至１３に示すように、固定構造４０は、スピーカユニット２４と、スピーカユニット２４を車両用灯具の所定の位置に取り付ける取付部４２と、スピーカユニット２４を保持した状態で、取付部４２に固定されるカバー２８と、スピーカユニット２４に接続されるワイヤーハーネス３０と、を備える。

【0043】

ランプボディ１４の外側に設けられたスピーカユニット２４は、音Ｓを発する前面２４ａが車両外部ＥＸへ向くようにスピーカボディ３２中央の所定位置に固定されている。本実施の形態に係るスピーカユニット２４は、電気信号を振動に変換する磁気回路２４ｃと、磁気回路２４ｃの振動が伝わる円板状の振動板２４ｂと、を有する。

【0044】

スピーカボディ３２は、ワイヤーハーネス３０のコネクタ３０ａが接続される接続部３２ａと、円筒状の筐体３２ｂとを有し、筐体３２ｂの車両外部側の開口３２ｃを閉塞するように振動板２４ｂを保持している。これにより、水や埃が筐体３２ｂを通って車両内部へ入り込むことを防止できる。また、本実施の形態に係るスピーカボディ３２は、結合部２８ａと取付部４２との嵌合部近傍へのケーブル３０ｂの接近を邪魔する邪魔部３２ｄを更に有する。なお、邪魔部３２ｄは、コネクタ３０ａからケーブル３０ｂが延びる方向に１箇所設けていてもよいし、複数の結合部２８ａごとに設けていてもよい。

【0045】

邪魔部３２ｄは、取付部４２に形成されている円弧状のスリット４２ａから灯室１６側に突き出す円弧状のリブであり、結合部２８ａとコネクタ３０ａとの間に設けられている。邪魔部３２ｄの取付部４２からの突き出し量は、結合部２８ａの取付部４２からの突き出し量より大きい。したがって、取付部４２にカバー２８を挿入する際に、ケーブル３０ｂを持ち上げることができる。また、円弧状の邪魔部３２ｄの中心角αは、結合部２８ａの中心角βよりも大きい。そのため、コネクタ３０ａからみて結合部２８ａが邪魔部３２ｄによって隠れる。したがって、仮にケーブル３０ｂが結合部２８ａに向かって延びている場合であっても、ケーブル３０ｂと結合部２８ａとが触れにくくなり、カバー２８の結合部２８ａと取付部４２との間にケーブル３０ｂが噛み込まれることを防止できる。

【0046】

本実施の形態に係る邪魔部３２ｄは、取付部４２にカバー２８を固定する際の回転方向Ｒ（図１１参照）の先端側に傾斜部３２ｅが形成されている。傾斜部３２ｅがあることで、取付部４２の表面にケーブル３０ｂが存在していても、カバー２８の回転動作に伴いケーブル３０ｂをスムーズに邪魔部３２ｄの上に誘導することができる。

【0047】

（第４の実施の形態）
図１４は、第４の実施の形態に係る固定構造の斜視図である。なお、以下の説明では、前述の各実施の形態と同様の構成には同じ符号や名称を付して説明を適宜省略する。

【0048】

本実施の形態に係る固定構造４４は、第３の実施の形態に係る固定構造４０における邪魔部３２ｄを省略し、結合部２８ａ自体にケーブル３０ｂの噛み込みを防止する構成を持たせた。具体的には、３つある結合部２８ａのうちコネクタ３０ａから最も離れた結合部２８ａに傾斜部２８ｈが形成されている。傾斜部２８ｈは、結合部２８ａの回転方向Ｒの先端側に形成されている。また、結合部２８ａの回転方向Ｒの後端側には、結合部２８ａの上に誘導されたケーブル３０ｂが取付部４２の上面に再度落ちないようにするためのストッパー２８ｋが形成されている。

【0049】

なお、傾斜部２８ｈは、全ての結合部２８ａに設けられていてもよいし、一つ又は一部の結合部に設けられていてもよい。また、ストッパー２８ｋは、全ての結合部２８ａに設けられていてもよいし、一つ又は一部の結合部に設けられていてもよい。あるいは、ストッパー２８ｋを設けなくてもよい。

【0050】

以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。

【符号の説明】

【0051】

１０ 車両用前照灯、 １４ ランプボディ、 １４ａ 底部、 ２２ 音発生構造、 ２３ 固定構造、 ２４ スピーカユニット、 ２４ａ 前面、 ２４ｂ 振動板、 ２６ 取付部、 ２６ａ 当接面、 ２６ｂ 開口、 ２６ｃ 貫通孔、 ２８ カバー、 ２８ａ 結合部、 ２８ｂ 筐体、 ２８ｃ 開口、 ２８ｄ 縁部、 ２８ｅ フランジ部、 ２８ｆ フランジ部、 ２８ｇ 傾斜部、 ２８ｈ 傾斜部、 ２８ｋ ストッパー、 ３０ ワイヤーハーネス、 ３０ａ コネクタ、 ３０ｂ ケーブル、 ３２ スピーカボディ、 ３２ａ 接続部、 ３２ｂ 筐体、 ３２ｃ 開口、 ３２ｄ 邪魔部、 ３２ｅ 傾斜部、 ３６ 固定構造、 ３８ 取付部、 ３８ａ 当接面、 ３８ｂ 傾斜部、 ３８ｄ 貫通孔、 ３８ｅ スリット。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】