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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147747
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】固定構造
(51)【国際特許分類】
   B60Q 5/00 20060101AFI20231005BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20231005BHJP
   F21S 45/00 20180101ALI20231005BHJP
   F21S 41/00 20180101ALI20231005BHJP
   F21W 102/13 20180101ALN20231005BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
F21V33/00 430
F21S45/00
F21S41/00
B60Q5/00 670A
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
F21W102:13
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055437
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】船村 和彦
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】音発生装置を固定する新たな固定構造を提供する。
【解決手段】固定構造22は、音発生装置と、音発生装置を保持した状態で車両用灯具に固定される保持部材と、を備える。保持部材は、車両用灯具に固定される際に該車両用灯具の一部と結合する結合部26aを有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音発生装置と、
前記音発生装置を保持した状態で車両用灯具に固定される保持部材と、を備え、
前記保持部材は、車両用灯具に固定される際に該車両用灯具の一部と結合する結合部を有することを特徴とする固定構造。
【請求項2】
前記音発生装置は、電気信号を振動に変換する磁気回路と、前記磁気回路の振動が伝わる振動板と、を有するスピーカユニットであることを特徴とする請求項1に記載の固定構造。
【請求項3】
前記保持部材は、前記音発生装置が内部に設置される円筒状の筐体を有し、該筐体の車両外部側の開口を閉塞するように前記振動板を保持していることを特徴とする請求項2に記載の固定構造。
【請求項4】
前記結合部は、スナップフィットであり、
前記保持部材は、前記音発生装置が内部に設置される円筒状の筐体を有し、該筐体の車両用灯具側の開口の縁部に前記スナップフィットが設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固定構造。
【請求項5】
前記筐体の外周部にOリングが装着されており、
前記Oリングは、前記車両用灯具と前記保持部材との間を封止することを特徴とする請求項3又は4に記載の固定構造。
【請求項6】
前記振動板の前面を覆うカバーを更に備え、
前記カバーは、前記筐体の外周部に設けられた突起が嵌まる嵌合形状を有することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の固定構造。
【請求項7】
前記保持部材は、前記車両用灯具に対して回転動作で所定位置に固定されるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固定構造。
【請求項8】
前記保持部材は、車両用灯具の一部が外側に突き出した凸空間の内側に装着されていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の固定構造。
【請求項9】
前記振動板の前面を覆うカバーを更に備え、
前記カバーは、前記車両用灯具の一部と一体であることを特徴とする請求項8に記載の固定構造。
【請求項10】
前記車両用灯具の一部を構成する灯具部品を更に備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定構造に関し、例えば、車両用灯具に音発生装置を固定する固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車のようにモータを走行駆動源とする車両では、低速時におけるモータ音が静粛であるため他車両や歩行者が自車両に気づき難い。そこで、モータ音とは別の疑似音を発生させ、この疑似音を他車両や歩行者に対する警告音とする技術が提案されている。
【0003】
例えば、光源と、車両用灯具を構成するアウタレンズに固定され、電気信号を受けて振動によりアウタレンズを発音させる振動子と、を備える車両用灯具が考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-241156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の振動子は、ボディの外縁部の2箇所に形成された、径方向外側に向かって突き出すタブ片を有している。そして、そのタブ片に形成された挿通穴に挿通されたネジにより、車両用灯具の一部であるアウタレンズやランプボディに振動子が固定されている。そのため、上述の振動子は、車両用灯具へ固定する際にネジが必要であり部品点数が増加してしまう。また、上述の振動子は、車両用灯具へ固定する際にネジ止めの工程が必要であり、組立てコストの増大を招く。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、車両用灯具へ音発生装置を固定する新たな固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の固定構造は、音発生装置と、音発生装置を保持した状態で車両用灯具に固定される保持部材と、を備える。保持部材は、車両用灯具に固定される際に該車両用灯具の一部と結合する結合部を有する。
【0008】
この態様によると、音発生装置を保持部材を介して車両用灯具に固定できる。
【0009】
音発生装置は、電気信号を振動に変換する磁気回路と、磁気回路の振動が伝わる振動板と、を有するスピーカユニットであってもよい。
【0010】
保持部材は、音発生装置が内部に設置される円筒状の筐体を有し、該筐体の車両外部側の開口を閉塞するように振動板を保持していてもよい。これにより、水や埃が筐体を通って車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0011】
結合部は、スナップフィットであり、保持部材は、音発生装置が内部に設置される円筒状の筐体を有し、該筐体の車両用灯具側の開口の縁部にスナップフィットが設けられていてもよい。これにより、音発生装置を保持部材を介して簡易に車両用灯具に固定できる。
【0012】
筐体の外周部にOリングが装着されており、Oリングは、車両用灯具と保持部材との間を封止してもよい。これにより、車両用灯具と保持部材との間から水や埃が車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0013】
振動板の前面を覆うカバーを更に備えてもよい。カバーは、筐体の外周部に設けられた突起が嵌まる嵌合形状を有してもよい。これにより、カバーを筐体の所定位置に嵌合させて振動板が外部へ露出しないようにできる。カバーは、振動板から出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリットが形成されていてもよい。
【0014】
保持部材は、車両用灯具に対して回転動作で所定位置に固定されるように構成されていてもよい。これにより、ネジを用いずに音発生装置を車両用灯具に固定できる。
【0015】
保持部材は、車両用灯具の一部が外側に突き出した凸空間の内側に装着されていてもよい。これにより、車両用灯具の内側から音発生装置を固定できる。また、凸空間を形成する壁面の一部に、振動板から出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリットが形成されていてもよい。
【0016】
振動板の前面を覆うカバーを更に備えてもよい。カバーは、車両用灯具の一部と一体であってもよい。これにより、固定構造の部品点数を削減できる。
【0017】
車両用灯具の一部を構成する灯具部品を更に備えてもよい。
【0018】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、音発生装置を固定する新たな固定構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。
図2】第1の実施の形態に係る固定構造を上方から見た斜視図である。
図3】第1の実施の形態に係る固定構造を下方から見た斜視図である。
図4図2に示す固定構造をA方向から見た側面図である。
図5図2に示す固定構造の上面図である。
図6】車両用灯具に固定された状態の固定構造を示す側面図である。
図7図6に示す固定構造の上面図である。
図8】第1の実施の形態に係る固定構造の断面図である。
図9】第2の実施の形態に係る固定構造を上方から見た斜視図である。
図10図9に示す固定構造の上面図である。
図11】第2の実施の形態に係る固定構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態に係る車両用灯具の概略構成を示す縦断面図である。なお、図1は一部の部品を省略して図示している。図1に示す車両用灯具としての車両用前照灯10は、不図示の光源から出射された光が車両前方へ向けて透過するように配置されるアウタレンズ12と、光源と車両本体とを隔てる隔壁としてのランプボディ14と、を備える。アウタレンズ12は、ランプボディ14の車両前方側の開口を塞ぐように、ランプボディ14と一体化され、光源が配置される灯室16を構成する。
【0023】
このように構成された車両用前照灯10は、車両フード18及びバンパ20の間の空間に配置されている。本実施の形態に係る車両用前照灯10は、ランプボディ14の底部14aの灯具外側に、車両周囲の他車両や歩行者に対する警告音を発生する音発生装置を固定する固定構造22が設けられている。
【0024】
図2は、第1の実施の形態に係る固定構造を上方から見た斜視図である。図3は、第1の実施の形態に係る固定構造を下方から見た斜視図である。図4は、図2に示す固定構造をA方向から見た側面図である。図5は、図2に示す固定構造の上面図である。図6は、車両用灯具に固定された状態の固定構造を示す側面図である。図7は、図6に示す固定構造の上面図である。図8は、第1の実施の形態に係る固定構造の断面図である。
【0025】
図2乃至図8に示すように、本実施の形態に係る固定構造22は、車両外部へ向けて音を発する音発生装置であるスピーカユニット24と、スピーカユニット24を保持した状態で車両用灯具に固定される保持部材としてのスピーカボディ26と、を備える。スピーカボディ26は、車両用灯具である車両用前照灯10に固定される際に、車両用前照灯10の一部を構成する灯具部品としてのランプボディ14の底部14aと結合する結合部26aを有する。灯具部品としては、ランプボディ14そのものに限らず、ランプボディ14と一体の他部品や、ランプボディ14と連結される他部品であってもよい。
【0026】
スピーカユニット24は、音Sを発する前面24aが車両外部EXへ向くようにスピーカボディ26中央の所定位置に固定されている。スピーカユニット24は、音を発するものであればよく、例えば、ボイスコイルとマグネットにより振動板を振動させることで音を発する構造であってもよい。本実施の形態に係るスピーカユニット24は、電気信号を振動に変換する磁気回路24bと、磁気回路24bの振動が伝わる円板状の振動板24cと、を有する
【0027】
スピーカボディ26は、スピーカユニット24がランプボディ14から離れた状態で、スピーカユニット24をランプボディ14に対して固定する部品である。つまり、固定構造22は、スピーカユニット24をスピーカボディ26を介してランプボディ14に固定できる。スピーカボディ26は、スピーカユニット24が内部に設置される円筒状の筐体26bを有し、筐体26bの車両外部側の開口26cを閉塞するように振動板24cを保持している。これにより、水や埃が筐体26bを通って車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0028】
また、固定構造22は、振動板24cの前面24aを覆うカバー28を更に備えている。カバー28は、スピーカユニット24が直接外部に露出しないように保護するためのものであり、スピーカユニット24の破損や汚損が低減される。また、カバー28は、振動板24cから出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリット29が形成されている。円筒状のカバー28は、側壁28aに形成された穴あきタブ28bに、スピーカボディ26の側壁に形成されている突起27が係合するように構成されている。
【0029】
本実施の形態に係る結合部26aは、スピーカボディ26の一部が加工されたスナップフィットやローテーションフィックスである。スナップフィットとは、例えば、材料の弾性を利用してはめ込むことにより固定する方式の一つである。ローテーションフィックスとは、相対的な回転動作により一方の部品が他方の部品を押す力が増すことで最終的に互いが固定される方式の一つである。
【0030】
本実施の形態に係るスピーカボディ26は、筐体26bの車両用灯具側の開口26dの縁部26eにスナップフィットである結合部26aが設けられている。なお、結合部26aはローテーションフィックスを実現する形状であってもよい。これにより、スピーカユニット24をスピーカボディ26を介して簡易にランプボディ14に固定できる。また、スピーカユニット24の振動板24cとほぼ同径のスピーカボディ26を底部14aに結合するため、カバー28の大きさや形状の制約を受けずに底部14aの形状を工夫できる。
【0031】
スピーカボディ26は、筐体26bの外周部の環状のフランジ部26fにOリング30が装着されている。Oリング30は、ランプボディ14とスピーカボディ26との間を封止する。これにより、接着剤等を用いずにランプボディ14とスピーカボディ26との間から水や埃が車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0032】
次に、スピーカボディ26をランプボディ14の底部14aに取り付けて固定する方法の一例について説明する。図5等に示すように、本実施の形態に係る固定構造22は、縁部26eの3箇所に等間隔で結合部26aが設けられている。結合部26aは、縁部26eから径方向外側に張り出したフランジ部26gを有する。そして、図7に示す底部14aに形成された3箇所の開口14bにフランジ部26gの位置P1を合わせ、結合部26aを底部14aから灯室16側に向けて突き出す。
【0033】
フランジ部26gの裏側には傾斜部26hが設けられている。そのため、結合部26aが灯室側に突き出した状態で底部14aに対してスピーカボディ26を回転させると、傾斜部26hが底部14aの内面14cに当接しながら移動することで結合部26aが灯室16側に徐々に引き込まれる。そして、結合部26aが位置P2まで移動することで、傾斜部26hの頂点で底部14aの内面14cがしっかり押圧され、スピーカボディ26が底部14aに対してしっかり固定される。つまり、スピーカボディ26は、ランプボディ14に対して回転動作で所定位置に固定される。これにより、ネジを用いずにスピーカユニット24を車両用前照灯10に固定できる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図9は、第2の実施の形態に係る固定構造を上方から見た斜視図である。図10は、図9に示す固定構造の上面図である。図11は、第2の実施の形態に係る固定構造の断面図である。なお、以下の説明では第1の実施の形態に係る固定構造22と同様の構成については同じ符号や名称を付して説明を適宜省略する。
【0035】
図9乃至図11に示すように、本実施の形態に係る固定構造32は、ランプボディ14の一部が外側に突き出した凸空間34の内側に装着されている。具体的には、本実施の形態に係る固定構造32は、スピーカユニット24と、スピーカユニット24を保持した状態でランプボディ14に固定されるスピーカボディ36と、を備える。スピーカボディ36は、車両用前照灯10に固定される際に、ランプボディ14の底部14aから突き出した凸空間34を形成する側壁34aと結合する結合部36aを有する。結合部36aは、側壁34aに形成された穴あきタブ34bに係合する突起である。
【0036】
これにより、ランプボディ14の内側からスピーカユニット24を固定できる。また、凸空間34を形成する壁面の一部である底面34cは、カバーとして機能し、振動板24cから出た音が外部へ伝わりやすいように穴やスリット38が形成されている。
【0037】
このように、本実施の形態に係る固定構造32は、カバーを構成する凸空間34とランプボディ14とが一体であり、部品点数や組立て工数が削減される。また、スピーカボディ36は、スピーカユニット24がランプボディ14から離れた状態で、スピーカユニット24をランプボディ14に対して固定する部品である。また、スピーカボディ36は、スピーカユニット24が内部に設置される円筒状の筐体36bを有し、筐体36bの車両外部側の開口36cを閉塞するように振動板24cを保持している。これにより、水や埃が筐体36bを通って車両内部へ入り込むことを防止できる。
【0038】
以上、本発明を上述の各実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、各実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて各実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を各実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0039】
10 車両用前照灯、 14 ランプボディ、 14a 底部、 14b 開口、 14c 内面、 16 灯室、 22 固定構造、 24 スピーカユニット、 24a 前面、 24b 磁気回路、 24c 振動板、 26 スピーカボディ、 26a 結合部、 26b 筐体、 26c 開口、 26d 開口、 26e 縁部、 26f フランジ部、 26g フランジ部、 28 カバー、 30 Oリング、 32 固定構造、 34 凸空間、 34a 側壁、 34c 底面、 36 スピーカボディ、 36a 結合部、 36b 筐体、 36c 開口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11