(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147748
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】灯具
(51)【国際特許分類】
B60Q 5/00 20060101AFI20231005BHJP
B60Q 1/56 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60Q5/00 680E
B60Q5/00 650A
B60Q5/00 660Z
B60Q1/56
B60Q5/00 620A
B60Q5/00 630B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055438
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】永田 真悟
(72)【発明者】
【氏名】天野 平祐
(72)【発明者】
【氏名】北澤 由希子
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA42
3K339BA01
3K339BA13
3K339CA21
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA04
3K339GB21
3K339KA40
3K339MA04
3K339MA07
3K339MC03
3K339MC35
(57)【要約】
【課題】音発生装置が一体化された新たな灯具を提供する。
【解決手段】LPL26は、スピーカユニット22と、灯具ユニット24と、スピーカユニット22及び灯具ユニット24を保持する保持部28と、を備える。保持部28は、スピーカユニット22を保持する第1の保持部28aと、灯具ユニット24を保持する第2の保持部28bと、第1の保持部28aと第2の保持部28bとの間に設けられた屈曲部28cと、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音発生装置と、
灯具ユニットと、
前記音発生装置及び前記灯具ユニットを保持する保持部と、を備え、
前記保持部は、前記音発生装置を保持する第1の保持部と、前記灯具ユニットを保持する第2の保持部と、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間に設けられた屈曲部と、を有することを特徴とする灯具。
【請求項2】
前記第1の保持部及び前記第2の保持部は、前記保持部が取り付けられる取付対象の前後方向に対して互いの位置が異なることを特徴とする請求項1に記載の灯具。
【請求項3】
前記音発生装置は、前記灯具ユニットの一方の側に設けられた第1の音発生装置と、前記灯具ユニットの他方の側に設けられた第2の音発生装置と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の灯具。
【請求項4】
前記第1の音発生装置及び前記第2の音発生装置のそれぞれの発音の大きさを制御する制御部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の灯具。
【請求項5】
周囲に存在する物体の位置を検出する検出装置を更に備え、
前記制御部は、前記検出装置が検出した物体の位置に応じて、前記第1の音発生装置及び前記第2の音発生装置のそれぞれの発音の大きさを制御することを特徴とする請求項4に記載の灯具。
【請求項6】
前記第1の音発生装置及び前記第2の音発生装置は、前記保持部が取り付けられる取付対象の上下方向に対して互いの位置が異なることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の灯具。
【請求項7】
前記音発生装置は、スピーカであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の灯具。
【請求項8】
前記灯具ユニットは、車両後部に設けられたライセンスプレートを照明するためのライセンスプレートランプであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の灯具。
【請求項9】
前記灯具ユニットは、下方を照射することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灯具に関し、例えば、音発生装置を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車のようにモータを走行駆動源とする車両では、低速時におけるモータ音が静粛であるため他車両や歩行者が自車両に気づき難い。そこで、モータ音とは別の疑似音を発生させ、この疑似音を他車両や歩行者に対する警告音とする技術が提案されている。
【0003】
例えば、光源と、車両用灯具を構成するアウタレンズに固定され、電気信号を受けて振動によりアウタレンズを発音させる振動子と、を備える車両用灯具が考案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の車両用灯具が備える振動子は、車両前部かつ車両下部に配置されているため、振動子が発する音が届きやすい方向には偏りがある。そのため、車両の接近を広範囲に適切に通報するためには更なる工夫が必要である。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、音発生装置が一体化された新たな灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の灯具は、音発生装置と、灯具ユニットと、音発生装置及び灯具ユニットを保持する保持部と、を備える。保持部は、音発生装置を保持する第1の保持部と、灯具ユニットを保持する第2の保持部と、第1の保持部と第2の保持部との間に設けられた屈曲部と、を有する。
【0008】
この態様によると、一体化された灯具ユニットと音発生装置を互いにずらして配置できる。
【0009】
第1の保持部及び第2の保持部は、保持部が取り付けられる取付対象の前後方向に対して互いの位置が異なってもよい。これにより、灯具ユニットに対して音発生装置を前後方向にずらして配置できる。
【0010】
音発生装置は、灯具ユニットの一方の側に設けられた第1の音発生装置と、灯具ユニットの他方の側に設けられた第2の音発生装置と、を有してもよい。これにより、灯具ユニットを中心に左右の広範囲に向けて音を出せる。
【0011】
第1の音発生装置及び第2の音発生装置のそれぞれの発音の大きさを制御する制御部を更に備えてもよい。これにより、灯具ユニットを中心に左右に出る音の大きさを異ならせることができる。
【0012】
周囲に存在する物体の位置を検出する検出装置を更に備えてもよい。制御部は、検出装置が検出した物体の位置に応じて、第1の音発生装置及び第2の音発生装置のそれぞれの発音の大きさを制御してもよい。これにより、周囲に存在する物体に対して効果的に通報できる。
【0013】
第1の音発生装置及び第2の音発生装置は、保持部が取り付けられる取付対象の上下方向に対して互いの位置が異なってもよい。これにより、灯具ユニットに対して2つの音発生装置を互いに上下方向にずらして配置できる。
【0014】
音発生装置は、スピーカであってもよい。
【0015】
灯具ユニットは、車両後部に設けられたライセンスプレートを照明するためのライセンスプレートランプであってもよい。
【0016】
灯具ユニットは、下方を照射してもよい。
【0017】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、音発生装置が一体化された新たな灯具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ライセンスプレートランプを備える車両を後方から見た正面図である。
【
図3】LPLの一例を車両後方から見た模式図である。
【
図4】LPLの他の例を車両後方から見た模式図である。
【
図5】LPLの他の例を車両後方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
前述のように、灯具から音を発生させる装置が考案されているが、灯具としての機能を満たしつつ周囲へ音を伝えやすくする構造やレイアウトを実現するには様々な工夫の余地がある。例えば、車両用灯具に音発生装置を一体化したユニットでは、車両のどの位置にユニットを配置するかによって最適な構造やレイアウトは変わりうる。そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、以下に例示される本発明に想到した。
【0021】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0022】
本実施の形態に係る灯具は、車両の後部のライセンスプレートを照明するためのライセンスプレートランプ(以下、適宜「LPL」と称する。)であり、音発生装置であるスピーカユニットが一体化されたものである。
【0023】
図1は、ライセンスプレートランプを備える車両を後方から見た正面図である。車両10は、車体後部の左右にそれぞれテールランプとストップランプとターンシグナルランプを一体化したリアコンビネーションランプ12が配設されている。また、左右のリアコンビネーションランプ12で挟まれた領域にはトランクリッド14が設けられている。トランクリッド14の後部パネル14aのほぼ中央には、横長のほぼ矩形(台形)をした浅い凹部16が形成されている。凹部16内にはライセンスプレート18が取り付けられている。また、後部パネル14aの凹部16の上縁に沿った水平方向の領域には、詳細を後述するLPL20が配設されている。
【0024】
図2は、後部パネル14aの凹部16近傍の正面図である。
図2に示すように、LPL20は、車両の周囲に向けて音を発するスピーカユニット22と、車両後部に設けられたライセンスプレート18を照射する光源(例えばLED)を有する灯具ユニット24と、を備える。
図2に示すLPL20は、スピーカユニット22が灯具ユニット24の両側に一対設けられているが、灯具ユニット24の片側に一つのスピーカユニット22が設けられていてもよい。
【0025】
このように、車両後部に設けたLPL20にスピーカユニット22が一体化されることで、車両前部のみに車両接近通報用スピーカが配置されている場合と比較して、車両後方にも適度な音量で通報できる。つまり、車両内にいる乗員に対して通報音が過度に大きくならない。また、外から見えにくいLPL20にスピーカユニット22を配置することで、車両の意匠を崩さずに車両接近通報装置を実現できる。
【0026】
図3は、LPLの一例を車両後方から見た模式図である。
図3に示すLPL26は、スピーカユニット22と、灯具ユニット24と、スピーカユニット22及び灯具ユニット24を保持する保持部28と、を備える。保持部28は、スピーカユニット22を保持する第1の保持部28aと、灯具ユニット24を保持する第2の保持部28bと、第1の保持部28aと第2の保持部28bとの間に設けられた屈曲部28cと、を有する。屈曲部28cは、第1の保持部28aと第2の保持部28bと交差(直交)し、車両の上下方向に延びている段差部である。これにより、一体化された灯具ユニット24とスピーカユニット22を互いに上下方向にずらして配置できる。なお、保持部28は、一つの連続した部品でなくてもよく、複数の部品が組み合わされたものや、組み合わされた複数の部品の一部が他から離れているものであってもよい。
【0027】
保持部28は、一部または全部が透明な部材であり、灯具ユニット24から出た光Lで下方のライセンスプレート18を照射できるように構成されている。また、第1の保持部28aには開口28dが形成されており、スピーカユニット22の音Sが開口28dを通じて下方の広範囲に向けて出る。開口28dが形成されている第1の保持部28aは、後部パネル14aの奥まったところにあるため、外部から水や埃がLPL26の内部に侵入しにくくなる。なお、スピーカユニット22は防水機構を有しているとよい。また、灯具ユニット24から出た光Lは、屈曲部28cを介して側方を照射できる。
【0028】
なお、第1の保持部28a及び第2の保持部28bは、保持部28が取り付けられる取付対象である後部パネル14aの前後方向に対して互いの位置が異なってもよい。これにより、灯具ユニット24に対してスピーカユニット22を前後方向にずらして配置できる。
【0029】
図4は、LPLの他の例を車両後方から見た模式図である。
図4に示すLPL30は、灯具ユニット24の一方の側に設けられたスピーカユニット22aと、灯具ユニット24の他方の側に設けられたスピーカユニット22bと、を有している。第1の保持部28aと第2の保持部28bとの間には、第1の保持部28aに対して第2の保持部28bが斜めになるように屈曲部28eが設けられている。これにより、灯具ユニット24が主として光Lを出す方向とスピーカユニット22a,22bが主として音Sを発する方向とが異なる。そのため、灯具ユニット24を中心に左右の広範囲に向けて音Sを出せる。
【0030】
また、LPL30は、スピーカユニット22a及びスピーカユニット22bのそれぞれの発音の大きさを制御する制御部32を更に備えている。これにより、灯具ユニット24を中心に左右に出る音の大きさを異ならせることができる。つまり、自車両の接近を知らせたい他者が存在する側のスピーカユニットの音だけを大きくできる。また、スピーカユニット22aが発する音とスピーカユニット22bが発する音同士の干渉を抑制するため、制御部32は、両方のスピーカユニット22,22bから同時に音が出るタイミングを減らすように各スピーカユニットを制御してもよい。より好ましくは、一方のスピーカユニットから音が出ているタイミングでは、他方のスピーカユニットから音が出ない(あるいは音量を下げる)ように制御してもよい。
【0031】
また、LPL30は、周囲に存在する物体の位置を検出する検出装置34を更に備えている。制御部32は、検出装置34が検出した物体の位置に応じて、スピーカユニット22a及びスピーカユニット22bのそれぞれの発音の大きさを制御してもよい。これにより、周囲に存在する物体に対して効果的に自車両の存在を通報できる。検出装置34は、例えば、LiDARやミリ波レーダー、超音波センサ等である。
【0032】
図5は、LPLの他の例を車両後方から見た模式図である。
図5に示すLPL36は、
図4に示すLPL30と比較して、スピーカユニット22aがスピーカユニット22bや灯具ユニット24より下部に配置されている。つまり、スピーカユニット22a及びスピーカユニット22bは、後部パネル14aの上下方向に対して互いの位置が異なっている。これにより、灯具ユニット24に対してスピーカユニット22a,22bを互いに上下方向にずらして配置できる。
【0033】
また、スピーカユニット22aを保持する第1の保持部28aは、灯具ユニット24より下方に配置されており、スピーカユニット22aが発する音Sがより側方に向かいやすくなる。
【0034】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0035】
10 車両、 16 凹部、 18 ライセンスプレート、 20 LPL、 22 スピーカユニット、 22a スピーカユニット、 22b スピーカユニット、 24 灯具ユニット、 26 LPL、 28 保持部、 28a 第1の保持部、 28b 第2の保持部、 28c 屈曲部、 28d 開口、 28e 屈曲部、 32 制御部、 34 検出装置。