(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147792
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】連続焼成炉
(51)【国際特許分類】
F27B 9/40 20060101AFI20231005BHJP
F27B 9/02 20060101ALI20231005BHJP
F27D 19/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F27B9/40
F27B9/02
F27D19/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055506
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 千浩
(72)【発明者】
【氏名】岡島 上士
【テーマコード(参考)】
4K050
4K056
【Fターム(参考)】
4K050AA04
4K050BA07
4K050BA16
4K050CA13
4K050CC07
4K050CD06
4K050CG04
4K050CG07
4K050CG29
4K050EA02
4K050EA10
4K056AA12
4K056BA02
4K056BB06
4K056BC03
4K056FA10
4K056FA27
(57)【要約】
【課題】搬送トラブルの低減
【解決手段】
制御装置60は、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1とを取得する。制御装置60の第1処理では、第1センサ51によって搬送物30が検知されたタイミングに基づいて、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度が予め定められた速度に上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度を上昇させるタイミングが定められる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記搬送空間に設定された搬送方向に沿って並べられて複数の搬送ローラと、
前記複数の搬送ローラを回転駆動させる駆動装置と、
制御装置と
を備え、
前記搬送空間には、
前記複数の搬送ローラが予め定められた第1速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第1定速ゾーンと、
前記第1定速ゾーンに連続して後方に設けられた早送りゾーンと
が設定されており、
前記搬送空間は、
前記第1定速ゾーンと前記早送りゾーンとの境界から予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第1センサを有し、
前記早送りゾーンは、
前記複数の搬送ローラの回転速度を変更でき、前記第1定速ゾーンよりも速い速度で搬送物が搬送されるように構成されており、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさと、
前記第1定速ゾーンの搬送速度と
を取得し、
前記第1センサによって前記搬送物が検知されたタイミングに基づいて、前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った後で、前記早送りゾーンの搬送速度が上昇するように、前記早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成された、
連続焼成炉。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合において、
前記早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた前記複数の搬送物が前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに全て乗り移った後で、前記早送りゾーンの搬送速度が予め定められた速度に上昇するように、前記早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成された、請求項1に記載された連続焼成炉。
【請求項3】
前記早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた前記複数の搬送物が一斉に速度が上昇して搬送される、請求項2に記載された連続焼成炉。
【請求項4】
前記制御装置によって、
前記早送りゾーンの搬送速度が上昇した後で前記搬送物が前記早送りゾーンを搬送されている間、前記第1定速ゾーンの前記搬送物が前記早送りゾーンに到達しないように、前記第1定速ゾーンを搬送される前記搬送物の間隔が設定されている、
請求項1から3までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項5】
前記第1定速ゾーンの上流側に、前記第1定速ゾーンに前記搬送物を供給する供給機構を有し、
前記制御装置は、
前記供給機構を制御し、予め定められたタイミングで、前記第1定速ゾーンに前記搬送物が供給されるように構成された、請求項4に記載された連続焼成炉。
【請求項6】
前記搬送空間には、
前記早送りゾーンに連続して前記早送りゾーンの下流側に設けられ、前記複数の搬送ローラが予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第2定速ゾーンがさらに設定されており、
前記搬送空間は、
前記早送りゾーンと前記第2定速ゾーンとの境界から前記早送りゾーン側の予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第2センサを有し、
前記制御装置は、
前記第2センサによって前記搬送物が検知されたタイミングに基づいて、前記早送りゾーンの搬送速度を前記遅くし始め、かつ、前記第2定速ゾーンの搬送速度に合わせて前記搬送物を前記早送りゾーンから前記第2定速ゾーンに移すように構成された、請求項1から5までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項7】
前記第1定速ゾーンの搬送速度と前記第2定速ゾーンの搬送速度とが、異なる速度である、請求項6に記載された連続焼成炉。
【請求項8】
前記炉体の入口に処理物を供給するための置換室を備え、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさと、
前記第1定速ゾーンの搬送速度と、
前記早送りゾーンの搬送時間と、
前記第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間と
に基づいて、
前記置換室から前記炉体に搬送物を送る時間間隔が定められるように構成された、
請求項1から7までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、連続焼成炉に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009-229013号公報には、多数のローラによって被焼成品を所定速度で移送しながら脱バインダーと焼成とを行なうローラーハースキルンに関する発明が開示されている。同公報では、被焼成品を所定速度で移送する通常搬送領域の途中に、被焼成品をこの所定速度よりも高速で搬送する高速搬送領域を形成し、この高速搬送領域の炉室内に、通常搬送領域の加熱源よりも高出力の加熱源が設けられている。また、急速昇温機能を有するローラーハースキルンに関し、被焼成品が一定の大きさのセッターに搭載されて炉内を移送されるものであり、高速搬送領域の両端に、搬送速度変更部が形成すること、搬送速度変更部が、セッター1枚分の長さを持つこと、などが開示されている。この搬送速度変更部は、通常搬送領域と高速搬送領域とを重複させた部分である。例えば、通常搬送領域の搬送用ローラによって搬送速度変更部まで移送されてきたセッターは、搬送速度変更部に載せられる。セッターが搬送速度変更部まで移動完了したことをセンサが検知すると、高速搬送領域のローラが高速回転を開始し、セッターが急速搬送されること、などが開示されている。
【0003】
国際公開第2017/104625号には、高速搬送区間を有するローラーハースキルンが開示されている。同公報では、被処理物の位置に応じてモータの出力を調整し、搬送ローラの回転速度を制御する場合に関し、モータへの制御指令値を変化させてから搬送ローラの回転が所望の速度となるまでには、一定の応答時間が必要であり、応答時間を考慮して高速搬送区間における被処理物の搬送速度を設定する必要があるという問題が挙げられている。これに対して、同公報では、クラッチ機構を設けることが提案されている。ここで、クラッチ機構は、第1駆動装置の駆動力が第2搬送区間内に配置された搬送ローラに伝達される第1状態と、第2駆動装置の駆動力が第2搬送区間内に配置された搬送ローラ及び第1搬送区間内と第3搬送区間内に配置された搬送ローラの少なくとも一部とに伝達される第2状態とを切り替える機構である。この場合、第2搬送区間内に配置された搬送ローラの駆動速度は、上記クラッチ機構を制御することによって高速で切替えられる。これによって、第1駆動装置及び第2駆動装置の回転速度を変化させる必要がない。このため、駆動装置の回転速度を変化させるための応答時間を考慮することなく、第2搬送区間内に配置された搬送ローラの駆動速度を設定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-229013号公報
【特許文献2】国際公開第2017/104625号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ローラハースキルン(RHK)では、ローラに反りがあったり、投入された処理物を載せるセッターには、経年的な使用での歪みがあったりする。このため、投入された処理物が途中で蛇行するなど、一定の間隔で炉内にセッターが投入された場合でも、炉内の途中で処理物の搬送が乱れる場合がある。また、セッターの歪には、個体差があり、ローラの反りも周方向において、セッターを乗せる位置が異なるので、処理物の搬送の乱れは予測が難しい。また、セッターに欠損があったり、セッターの大きさにバラツキがあったりするため、センシングだけでは、処理物の搬送位置を厳密に予測することが難しい。他方で、炉内の途中で処理物の搬送にトラブルが生じると、その復旧に時間がかかる。このような事象が生じうる中で、炉内の途中に早送りゾーンが存在する場合、低速ゾーンと早送りゾーンとの間で適切に処理物が乗り移す必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される連続焼成炉は、搬送空間を囲うトンネル状の炉体と、搬送空間に設定された搬送方向に沿って並べられて複数の搬送ローラと、複数の搬送ローラを回転駆動させる駆動装置と、制御装置とを備えている。
【0007】
搬送空間には、複数の搬送ローラが予め定められた第1速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第1定速ゾーンと、第1定速ゾーンに連続して後方に設けられた早送りゾーンとが設定されている。また、搬送空間は、第1定速ゾーンと早送りゾーンとの境界から予め定められた位置で搬送物を検知するように構成された第1センサを有している。早送りゾーンは、複数の搬送ローラの回転速度を変更でき、第1定速ゾーンよりも速い速度で搬送物が搬送されるように構成されている。
【0008】
制御装置は、搬送される搬送物の搬送方向に沿った大きさと、第1定速ゾーンの搬送速度とを取得する。そして、第1センサによって搬送物が検知されたタイミングに基づいて、第1定速ゾーンから早送りゾーンに搬送物が乗り移った後で、早送りゾーンの搬送速度が上昇するように、早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成されている。
【0009】
ここで開示される連続焼成炉によれば、第1定速ゾーンから早送りゾーンに搬送物が乗り移るタイミングで、搬送トラブルが起きにくい。
【0010】
制御装置は、搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合において、早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた複数の搬送物が第1定速ゾーンから早送りゾーンに全て乗り移った後で、早送りゾーンの搬送速度が予め定められた速度に上昇するように、早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成されていてもよい。
【0011】
この場合、早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた複数の搬送物が一斉に速度が上昇して搬送されるように構成されていてもよい。
【0012】
また、制御装置によって、早送りゾーンの搬送速度が上昇した後で搬送物が早送りゾーンを搬送されている間、第1定速ゾーンの搬送物が早送りゾーンに到達しないように、第1定速ゾーンを搬送される搬送物の間隔が設定されていてもよい。
【0013】
また、第1定速ゾーンの上流側に、第1定速ゾーンに前記搬送物を供給する供給機構を有していてもよい。この場合、制御装置は、供給機構を制御し、予め定められたタイミングで、第1定速ゾーンに搬送物が供給されるように構成されていてもよい。
【0014】
また搬送空間には、早送りゾーンに連続して早送りゾーンの下流側に設けられ、複数の搬送ローラが予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第2定速ゾーンがさらに設定されていてもよい。この場合、搬送空間は、早送りゾーンと第2定速ゾーンとの境界から早送りゾーン側の予め定められた位置で搬送物を検知するように構成された第2センサを有しているとよい。制御装置は、第2センサによって搬送物が検知されたタイミングに基づいて、早送りゾーンの搬送速度を遅くし始め、かつ、第2定速ゾーンの搬送速度に合わせて搬送物を早送りゾーンから第2定速ゾーンに移すように構成されていてもよい。この場合、第1定速ゾーンの搬送速度と第2定速ゾーンの搬送速度とが、異なる速度であってもよい。
【0015】
また、炉体の入口に処理物を供給するための置換室を備えていてもよい。この場合、制御装置は、搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさと、第1定速ゾーンの搬送速度と、早送りゾーンの搬送時間と、第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間とに基づいて、置換室から炉体に搬送物を送る時間間隔が定められるように構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、連続焼成炉10の模式的な側面図である。
【
図3】
図3は、第1センサ51の他の形態を示す断面図である。
【
図4】
図4は、制御装置60による制御を模式的に示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚みなど)は実際の寸法関係を反映するものではない。
【0018】
〈連続焼成炉10〉
図1は、連続焼成炉10の模式的な側面図である。
図2は、炉体11の横断断面図である。ここで、
図2では、第1定速ゾーンZ1で第1センサ51が設けられた位置における炉体11の横断面が示されている。
【0019】
図1および
図2に示された形態では、連続焼成炉10は、炉内の製品をローラに乗せて搬送するタイプの連続型の焼成炉である。このような連続焼成炉は、いわゆるローラーハースキルンと称される。連続焼成炉10は、トンネル状の炉体11と、複数の搬送ローラ12と、複数の仕切り13と、ヒータ14と、駆動装置15と、入口置換室21と、出口置換室22と、第1センサ51と、第2センサ52と、制御装置60とを備えている。なお、ローラーハースキルンの基本的な構造は、公知技術である。このため、本明細書で言及されない事項で説明が不足する部分は、種々の公知技術を基に当業者において実施可能な程度に理解されうる。
【0020】
〈炉体11〉
炉体11は、直線状の搬送空間を囲うトンネル状の部材である。この実施形態では、炉体11は、直線状の搬送空間11aを有している。搬送空間11aの片側には、搬送物30を搬入するための入口11bが設けられている。搬送空間11aの反対側には、搬送物30を搬出するための出口11cが設けられている。搬送空間11aには、入口11bから出口11cに向かって搬送物30を搬送する搬送方向D1が設定されている。この実施形態では、搬送物30は、被処理物を収容した焼成容器である。被処理物は、例えば、電子部品に用いられるセラミックス材料や、電池の活物質材料などでありうる。このようなセラミックス材料や活物質材料は、サヤやセッターや匣鉢などと称される焼成容器に収容されて搬送されうる。なお、搬送物30や被処理物の形態はこれに限定されない。
【0021】
図1では簡略化されているが、炉体11は、
図2に示されているように、搬送空間11aの周りを全周に亘って囲う炉壁31を有している。炉壁31は、断熱材によって構成されている。炉壁31は、所定の形状に成形されたセラミックファイバーボードが重ねられているとよい。セラミックファイバーボードは、例えば、いわゆるバルクファイバーに無機フィラーと無機・有機結合材とが添加されて板状に成形された板材である。炉壁31を構成するセラミックファイバーボードが、例えば、厚み方向に積み重ねられているとよい。炉体11を構成する炉壁31には、天井と、床壁と、左右一対の側壁とが含まれている。各炉壁31の厚さは、搬送空間の熱が十分に断熱される程度の所要の厚さに設定されている。炉体11は、例えば、基台の上に設けられていてもよい。炉体11が基台の上に設けられていることで、床壁の下に配管や、駆動装置を配置することができる。左右の側壁には、搬送ローラ12が挿通される複数の貫通穴が設けられている。
【0022】
〈搬送ローラ12〉
搬送空間11aには、複数の搬送ローラ12が、炉体11の搬送方向D1に沿って並べられている。搬送ローラ12は、炉体11の左右の側壁に形成された貫通穴を貫通している。搬送ローラ12は、円筒軸状である。搬送ローラ12には、セラミック製の中空軸が用いられている。搬送ローラ12には、例えば、アルミナ製等の耐熱性能の高い管状体が用いられるとよい。各搬送ローラ12の内径、外径および長さは、許容されうる製造誤差を除き概ね同じである。搬送ローラ12は、炉体11の外で、駆動装置15に接続されている。
【0023】
〈仕切り13〉
この実施形態では、搬送空間11aには、搬送方向D1に沿って搬送空間11aを仕切る複数の仕切り13が設けられている。この実施形態では、搬送空間11aにおいて、複数の搬送ローラ12が並べられた位置を、搬送ローラ12に支持されて処理物が搬送される。仕切り13は、かかる処理物が当たらないように搬送空間11aに設けられている。この実施形態では、仕切り13は、
図2に示されているように、搬送ローラ12が並べられた位置よりも高い位置および搬送ローラ12が並べられた位置の下方に設けられている。仕切り13は、搬送方向D1に直交する向きに設けられた隔壁でありうる。仕切り13は、隣り合う搬送空間11aで、雰囲気を遮り、また、伝熱を低く抑える部材である。仕切り13は、例えば、セラミックファイバーボードのような板材で構成されうる。なお、この実施形態では、
図2に示されているように、仕切り13は、複数の搬送ローラ12が並べられた位置の上方および下方に配置されている。
図1では、模式的に示されており、複数の搬送ローラ12が並べられた位置の下方に配置された仕切り13の図示は省略されている。
【0024】
〈ヒータ14〉
炉体11の搬送空間11aには、
図1に示されているように、搬送方向D1に沿って複数のヒータ14が配置されている。ヒータ14は、搬送空間11aにおいて搬送物30を加熱する装置である。なお、
図1では、ヒータ14は、搬送空間11aにおいて搬送物30が搬送される空間の上方に配置されている。
図1では、図示が省略されているが、この実施形態では、ヒータ14は、
図2に示されているように、搬送ローラ12を上下に挟むように搬送空間11aの上方と下方にそれぞれ設けられている。また、複数のヒータ14は、
図1に示されているように、搬送方向D1に沿って所定の間隔を空けて並べられている。この実施形態では、ヒータ14は円筒軸状であり、炉体11の左右の側壁を貫通している。ヒータ14としては、加熱温度等に応じて種々のヒータを用いることができ、例えば、セラミック製のヒータを用いることができる。また、図示は省略するが、炉体11に取り付けられた温度センサを通じて、搬送空間11aの温度を検知し、ヒータ14の出力を制御してもよい。
【0025】
炉体11には、その他の構成が含まれていてもよい。例えば、炉体11を構成する炉壁31は、外枠32で囲われている。外枠32は、ベース33の上に設置されている。外枠32には、炉体11の側面に露出した、ヒータ14の端部や、複数の搬送ローラ12の端部を囲う囲い32aが設けられている。搬送ローラ12の端部には、それぞれチェーンスプロケット12a,12bが取り付けられており、チェーン12a1,12b1が掛け廻されていることによって、複数の搬送ローラ12が同期して回転するように構成されている。ベース33は、床に設置される基台34に取り付けられた支柱35の上に設置されている。基台34と、ベース33との間には、駆動装置15が設置されている。
【0026】
例えば、炉体11には、
図2に示されているように、ガス供給管41やガス排気管42が設けられていてもよい。ガス供給管41は、炉体11内に雰囲気ガスを供給するための管路である。ガス供給管41は、搬送空間11aの底部に雰囲気ガスを供給するための開口を有しているとよい。ガス排気管42は、炉体11から雰囲気ガスを排出するための管路である。ガス排気管42は、搬送空間11aの上部に雰囲気ガスを供給するための開口を有しているとよい。炉体11には、適当な位置にガス供給管41とガス排気管42が配置されていることによって、炉体11内の雰囲気ガスが調整される。例えば、炉体11内は、仕切り13によって搬送方向D1に沿っていくつかの空間に分けられる。仕切り13で仕切られた空間毎に適当な位置にガス供給管41とガス排気管42が設けられていることによって、仕切り13で区切られた空間毎に、焼成雰囲気のガス成分を調整することができる。また、焼成中に反応ガスが発生する場合でも、適当な位置にガス排気管42が設けられていることによって、反応ガスを適切に排出することができる。なお、炉体11に対するガス供給管41やガス排気管42の配置は、
図2に示された形態に限定されない。例えば、炉体11の上部にガス供給管41が設けられ、炉体11の株式会社にガス排気管42が設けられてもよい。
【0027】
〈搬送空間11a〉
この実施形態では、搬送空間11aには、第1定速ゾーンZ1と、早送りゾーンZ2と、第2定速ゾーンZ3とが、設定されている。
【0028】
第1定速ゾーンZ1は、複数の搬送ローラ12が予め定められた第1速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される領域である。
早送りゾーンZ2は、第1定速ゾーンZ1に連続して第1定速ゾーンZ1の下流側に設けられた領域である。早送りゾーンZ2では、搬送物30が第1定速ゾーンZ1に比べて早い速度で搬送される。この実施形態では、早送りゾーンZ2では、複数の搬送ローラ12の回転速度が変更でき、第1定速ゾーンZ1よりも速い速度で搬送物30が搬送されるように構成されている。
第2定速ゾーンZ3は、搬送空間11aにおいて、早送りゾーンZ2に連続して早送りゾーンZ2の下流側に設けられた領域である。第2定速ゾーンZ3では、複数の搬送ローラ12が予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物30が予め定められた間隔で搬送される。
【0029】
〈駆動装置15〉
駆動装置15は、複数の搬送ローラ12を回転駆動させる装置である。この実施形態では、第1定速ゾーンZ1と早送りゾーンZ2と第2定速ゾーンZ3は、搬送ローラ12を駆動させる機構Z1a,Z2a,Z3aが、それぞれ独立している。各ゾーンZ1,Z2,Z3の複数の搬送ローラ12は、左端に取り付けられたチェーンスプロケット12aに掛け廻されたチェーン12a1に駆動装置15が取り付けられている。駆動装置15は、搬送ローラ12を駆動させる機構Z1a,Z2a,Z3aにおいて、各ゾーンZ1,Z2,Z3の複数の搬送ローラ12を繋ぐチェーン12a1に駆動力を付与する。この実施形態では、駆動装置15は、モータで構成されている。
図1において、チェーン12a1と駆動装置15の符号に付した括弧内の数字は、各ゾーンZ1,Z2,Z3に対応し、それぞれを区別するための添え字である。図示は省略するが、駆動装置15には、駆動力の伝達を切離するクラッチが設けられていてもよい。
【0030】
〈入口置換室21,出口置換室22〉
入口置換室21は、搬送方向D1において、炉体11の入口側(搬送方向D1の後方側)に設けられている。
出口置換室22は、搬送方向D1において、炉体11の出口側(搬送方向D1の前方側)に設けられている。
【0031】
入口置換室21と出口置換室22は、それぞれ入口と出口にシャッター21a,21b,22a,22bを備えている。入口置換室21では、炉体11の入口側に導入される前に搬送物30が入れられる。そして、入口置換室21の雰囲気が調整された後で、炉体11の入口側に導入される。これにより、炉体11の入口側で炉体11の雰囲気が乱れにくい。また、炉体11の出口側から搬出された搬送物30は、外部に出される前に出口置換室22に入れられる。出口置換室22では、搬送物30が入れられた後で、炉体11と出口置換室22とを遮断した後で、搬送物30が搬出される。その後、出口置換室22が閉じられ、外気が混入した出口置換室22がパージ(浄化)され、次の搬送物30を受け入れる状態で待機する。これにより、炉体11の出口側で炉体11の雰囲気が乱れにくい。また、出口置換室22では、例えば、搬送物30の焼成において発生したガスや搬送空間11aに供給されたガスが、外部に漏れるのを抑制できる。
【0032】
入口置換室21は、
図1に示されているように、第1定速ゾーンZ1に搬送物30を供給する供給機構21cを有している。具体的には、入口置換室21から第1定速ゾーンZ1へ繋がる搬送経路には、図示は省略するが、複数の搬送ローラが設けられている。供給機構21cは、予め定められたタイミングで、入口置換室21の出口のシャッター21bを開け、供給機構21cを通じて第1定速ゾーンZ1に搬送物30を供給する。これにより、第1定速ゾーンZ1を搬送される搬送物30が、一定の間隔P1となる。
【0033】
〈第1センサ51,第2センサ52〉
搬送空間11aは、
図1に示されているように、第1センサ51と、第2センサ52とを有している。
第1センサ51は、第1定速ゾーンZ1と早送りゾーンZ2との境界から予め定められた位置で搬送物30を検知するように構成されたセンサである。
第2センサ52は、早送りゾーンZ2と第2定速ゾーンZ3との境界から早送りゾーンZ2側の予め定められた位置で搬送物30を検知するように構成されたセンサである。
【0034】
この実施形態では、第1センサ51と第2センサ52は、それぞれ光学センサで構成されている。
図2は、第1センサ51の構造を模式的に示している。第1センサ51は、
図2に示されているように、検査孔51aと、発光素子51bと、受光素子51cとを有している。検査孔51aは、炉体11に形成された搬送空間11aに対して斜めに貫通している。
図2に示された形態では、炉体11に形成された搬送空間11aに対して、2方向p,qに沿って貫通した検査孔51aが形成されている。方向p,qは、それぞれ搬送ローラ12の間隙を通って搬送空間11aを貫通している。また、方向p,qは、搬送ローラ12上の位置はずらされている。このため、例えば、搬送ローラ12上で搬送物30の位置がずれた場合でも、搬送物30を検知できる。
【0035】
この実施形態では、方向pに沿って貫通した一方の検査孔51a(p1)には、発光素子51b(p)が取り付けられている。方向pに沿って貫通した他方の検査孔51a(p2)には、受光素子51c(p)が取り付けられている。また、方向qに沿って貫通した一方の検査孔51a(q1)には、発光素子51b(q)が取り付けられている。方向pに沿って貫通した他方の検査孔51a(q2)には、受光素子51c(q)が取り付けられている。搬送物30が、方向pに沿った搬送ローラ12上の位置を通過すると、発光素子51b(p)から照射されたレーザが遮られる。搬送物30が、方向qに沿った搬送ローラ12上の位置を通過すると、発光素子51b(q)から照射されたレーザが遮られる。このため、受光素子51c(p),51c(q)の検知信号に基づいて、炉体11内で、搬送物30が所定位置を通過したタイミングを検知することができる。
【0036】
図3は、第1センサ51の他の形態を示す断面図である。
図3に示された形態では、搬送ローラ12の軸方向に沿って間隔を空けて3つの搬送物30が並べられている。この場合、搬送空間11aに、搬送ローラ12の軸方向に沿って間隔を空けて3つの搬送物30(1)~(3)が並べられている。搬送物30は、搬送空間11aの搬送方向D1に沿って3列で搬送される。この場合、炉体11に形成された搬送空間11aに対して、各列の搬送物30が搬送される位置に合わせて、3方向p,q,rに沿って貫通した一対の検査孔51a(p1,p2)~(r1,r2)が形成されている。そして、それぞれ発光素子と、受光素子が取り付けられているとよい。これにより、搬送物30は、搬送空間11aの搬送方向D1に沿って3列で搬送される場合に、各列で搬送物30が通過したタイミングが検知される。なお、ここでは、搬送空間11aの搬送方向D1に沿って搬送物30が3列で搬送される場合が例示されているが、これに限定されず、複数列での搬送に対応できるようにセンサが構成されているとよい。第2センサ52には、第1センサ51と同様の構成が採用されうる。
【0037】
〈制御装置60〉
図4は、制御装置60による制御を模式的に示す模式図である。制御装置60は、
図4に示されているように、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1とを取得する。制御装置60の第1処理では、第1センサ51によって搬送物30が検知されたタイミングに基づいて、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度が予め定められた速度に上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度を上昇させるタイミングが定められる。
【0038】
ここで、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1は、上述したように厳密には、搬送容器の個体差などによって搬送物30毎にばらつく場合がある。このような場合には、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさには、搬送物30毎のばらつきが考慮された上で、1つの代表値が設定されているとよい。例えば、搬送容器が、30cm角のセッターである場合は、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさは、30cmとする。この場合、セッター毎に多少の個体差があってもよく、また、一部に欠損があってもよい。つまり、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさは、1つの代表値で設定されているとよい。
【0039】
第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1は、第1定速ゾーンZ1の複数の搬送ローラ12の回転速度(第1速度)で規定される。搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1とは、それぞれ制御装置60に予め記憶されているとよい。
【0040】
制御装置60の第1処理では、制御装置60は、まず第1センサ51によって搬送物30を検知する。第1センサ51によって搬送物30が検知されるタイミング(T1)は、
図4に示されているように、搬送方向D1に沿って第1センサ51が搬送物30を検知する予め定められた位置K1を搬送物30の先頭H1が通過した時に相当する。ここで、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1とは、制御装置60において取得された値で定められる。また、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に乗り移った時の搬送物30(b)の先頭H1の位置K2は、搬送方向D1に沿って第1センサ51が搬送物30を検知する予め定められた位置K1から予め定められた位置となる。このため、搬送方向D1に沿って位置K1から位置K2までの距離(K2-K1)が得られる。第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1は、制御装置60において取得されている。このため、搬送方向D1に沿って位置K1から位置K2までの距離(K2-K1)を、搬送物30が搬送される時間ΔS1は、ΔS1=(K2-K1)/V1で求められる。このため、制御装置60は、第1センサ51によって搬送物30が検知されたタイミングT1に基づいて、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移ったタイミングT2を得る。つまり、タイミングT2は、T2=T1+ΔS1で得られる。
【0041】
図4において、搬送物30(a)は、第1センサ51によって搬送物30が検知されたタイミングT1での搬送物30の位置を示している。搬送物30(b)は、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移ったタイミングT2での搬送物30の位置を示している。ここで、ΔS1は、タイミングT1からタイミングT2まで搬送物30が移動する時間である。このように、制御装置60は、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1とが取得されていることによって、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移ったタイミングT2を取得しうる。そして、制御装置60は、当該タイミングT2において、早送りゾーンZ2の搬送速度が上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成されているとよい。この実施形態では、制御装置60は、早送りゾーンZ2の駆動装置15(2)を制御することによって、早送りゾーンZ2の搬送速度を上昇させるとよい。
【0042】
このように、この連続焼成炉10では、第1定速ゾーンZ1と早送りゾーンZ2との境界から予め定められた位置で搬送物30を検知するように構成された第1センサ51によって搬送物30が検知される。そして、第1センサ51によって搬送物30が検知されたタイミングT1に基づいて、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を上昇させるタイミングT2が定められるように構成されている。この場合、搬送物30が第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇する。このため、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移るタイミングで、搬送トラブルが起きにくい。連続焼成炉10の内部で搬送トラブルが生じると、一度、連続焼成炉10を止める必要があり、生産性を下げる要因になる。これに対して、ここで開示される連続焼成炉10では、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移るタイミングで、搬送トラブルが起きにくいので、生産性を上げやすい。
【0043】
なお、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移るまでは、早送りゾーンZ2の搬送速度V2は、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と同じでもよい。これにより、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2にスムーズに搬送物30が乗り移る。また、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に搬送物30が乗り移るまでは、駆動装置15の駆動力がクラッチで切られていてもよい。この場合、早送りゾーンZ2では、搬送物30との摩擦によって搬送ローラ12がスムーズに従動する。この場合でも、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2にスムーズに搬送物30が乗り移りうる。
【0044】
制御装置60は、
図3に示されているように、搬送空間11aの幅方向に沿って複数の搬送物30が位置を揃えて並べられて搬送されていてもよい。この場合では、早送りゾーンZ2では、位置を揃えて並べられた複数の搬送物30が第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2に全て乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が予め定められた速度に上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を上昇させるタイミングT2が定められるとよい。例えば、
図3に示されているように、搬送空間11aの幅方向に沿って複数の搬送物30が位置を揃えて並べられて搬送されている場合、それぞれの位置に第1センサ51が取り付けられていてもよい。また、搬送空間11aの幅方向に沿って複数の搬送物30が位置を揃えて並べられて搬送されている場合、何れかの位置で搬送物30が検知されてもよい。この場合、何れかの位置で搬送物30が検知されたタイミングT1に基づいて、経験則で得られる第1定速ゾーンZ1での、各列での搬送速度のずれや蛇行量などが考慮されて、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を上昇させるタイミングT2が定められてもよい。
【0045】
この場合、早送りゾーンZ2では、位置を揃えて並べられた複数の搬送物30が一斉に速度が上昇して搬送される。
【0046】
次に、制御装置60は、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇した後で搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送されている間、第1定速ゾーンZ1の搬送物30が早送りゾーンZ2の搬送速度V2に到達しないように、第1定速ゾーンZ1を搬送される搬送物30の間隔P1が設定されているとよい。
【0047】
ここで、第1定速ゾーンZ1を搬送される搬送物30の間隔P1は、制御装置60によって定められる。この実施形態では、
図1に示されているように、第1定速ゾーンZ1の上流側に、第1定速ゾーンZ1に搬送物30を供給する供給機構21cを有している。制御装置60は、供給機構21cを制御し、予め定められたタイミング(間隔P1)で、第1定速ゾーンZ1に搬送物30が供給されるように構成されているとよい。この際、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇した後で搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送されている間、第1定速ゾーンZ1の搬送物30が早送りゾーンZ2の搬送速度V2に到達しないように、第1定速ゾーンZ1を搬送される搬送物30の間隔P1が設定されているとよい。このことによって、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇しているタイミングでは、第1定速ゾーンZ1の搬送物30が早送りゾーンZ2に到達しない。このため、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2にスムーズに搬送物30が乗り移りうるタイミングでの搬送トラブルが低減する。
【0048】
また、
図1および
図4に示されているように、搬送空間11aには、早送りゾーンZ2に連続して早送りゾーンZ2の下流側に第2定速ゾーンZ3が設けられている。第2定速ゾーンZ3は、複数の搬送ローラ12が予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物30が予め定められた間隔P2で搬送される。搬送空間11aは、早送りゾーンZ2と第2定速ゾーンZ3との境界から早送りゾーンZ2側の予め定められた位置K3で搬送物30を検知するように構成された第2センサ52を有している。換言すると、位置K3は、第2センサ52が搬送物30を検知する位置である。ここで、第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3での搬送物30の搬送間隔P2は、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30が乗り移るタイミングで定まる。
図4において、搬送物30(c)は、第1センサ52によって搬送物30が検知されたタイミングT3での搬送物30の位置を示している。
【0049】
制御装置60の第2処理では、制御装置60は、第2センサ52によって搬送物30が検知されたタイミングT3に基づいて早送りゾーンZ2の搬送速度V2を遅くし始め、かつ、第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3に合わせて搬送物30を早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に移すように構成されている。この場合、第2センサ52によって搬送物30が検知されたタイミングT3、換言すると早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に変わる手前で、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を遅くし始める。そして、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3に合わされる。これにより、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30がスムーズに乗り移る。このように、早送りゾーンZ2の下流側に第2定速ゾーンZ3がある場合には、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30がスムーズに乗り移るように構成されているとよい。これにより、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30が乗り移る際の搬送トラブルが低減する。早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3にタイミングで、搬送トラブルが起きにくいので、生産性を上げやすい。
【0050】
なお、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30を乗り移させる制御は、上記に限定されない。例えば、第2センサ52が搬送物30を検知する位置K3から早送りゾーンZ2の終点まで、搬送速度を下げてもよい。また、第2センサ52が搬送物30を検知する位置K3で、搬送物30が検知されてから、制御装置60に内蔵されたタイマーで搬送物30を停止させるタイミングを測って、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3に搬送物30を乗り移させてもよい。この場合、第2センサ52が搬送物30を検知する位置K3から搬送速度を落とさずに、第2定速ゾーンZ3の終点まで速いスピードで搬送し、適当なタイミングで早送りゾーンZ2の搬送速度を遅くしてもよい。
【0051】
ここでは、第2センサ52によって搬送物30が検知されたタイミングT3に基づいて、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を遅くし始め、かつ、第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3に合わせて搬送物30を早送りゾーンZ2の搬送速度V2から第2定速ゾーンZ3に移す。第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3とは、同じ速度であってもよい。また、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3とは、異なる速度であってもよい。つまり、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3とは、異なる速度であっても、早送りゾーンZ2から第2定速ゾーンZ3にスムーズに搬送物30が乗り移る。
【0052】
また、この実施形態では、連続焼成炉10は、炉体11の入口に処理物を供給するための入口置換室21を備えている。制御装置60は、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThと、第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間ΔTzとに基づいて、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmが定められるように構成されている。これにより、例えば、入口置換室21から炉体11に適切に搬送物30を供給することができる。
【0053】
例えば、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇した後で搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送されている間、第1定速ゾーンZ1の搬送物30が早送りゾーンZ2に到達しないように、第1定速ゾーンZ1を搬送される搬送物30の間隔が設定されるとよい。ここで、蛇行調整分に相当する時間ΔTzは、経験則で定められ得る。ここで、早送りゾーンZ2の搬送距離S2は、早送りゾーンZ2の全体の距離L2から、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1を引いた値、S2=L2-X1として得られる。早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThは、ΔTh=S2/V2で得られる。例えば、早送りゾーンZ2の搬送距離S2が、525mmであり、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が、900mm/分であるとすると、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThは、0.58分(約35秒)でありうる。
【0054】
なお、早送りゾーンZ2の搬送速度V2は、加減速するため、厳密には、ΔTh=S2/V2は、早送りゾーンZ2の搬送速度V2の加減速を考慮して算出されうる。なお、制御装置60は、早送りゾーンZ2の搬送速度V2に代えて、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThに基づいて、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmが定められるように構成されていてもよい。
【0055】
入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmは、例えば、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1を、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1で割り、搬送物30が、第1定速ゾーンZ1で搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1分進む時間Tm0を算出する。例えば、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1が150mmであり、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1が50mm/minである場合、Tm0=X1/V1であり、3分となる。
【0056】
第1定速ゾーンZ1での搬送物30の搬送間隔P1は、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThで定められる。つまり、早送りゾーンZ2を搬送物30が搬送される時間ΔThにおいて、第1定速ゾーンZ1の搬送物30が早送りゾーンZ2に到達しないように定められる。このため、第1定速ゾーンZ1での搬送間隔P1を設定するための時間間隔Tm1は、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThである(Tm1=ΔTh)。このためΔTh=Tm1=P1/V1で定められる。このため、第1定速ゾーンZ1での搬送物30の蛇行を考慮しなければ、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmは、ΔTm=Tm0+Tm1であり、Tm1=ΔThであるから、ΔTm=Tm0+ΔThである。例えば、Tm0が上述のように3分である。さらに、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThが0.58分(約35秒)である場合には、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmは、3分35秒(3.58分)でありうる。
【0057】
しかし、本発明者の知見では、連続焼成炉10では、搬送物30は、搬送ローラ12の反りなどに起因して蛇行する。搬送物30がどの程度、蛇行するかは、タイミングによりばらつく。ここで、蛇行は、搬送物30の搬送方向D1にも生じるし、搬送方向D1に直行する方向にも生じる。つまり、搬送物30は、第1定速ゾーンZ1において、搬送方向D1に先に進んだり、進みが遅れたりする。また、搬送方向D1に直行する幅方向に位置がずれたりする。このため、より確実に搬送物30の位置を制御するため、経験則で得られる蛇行調整分に相当する時間ΔTzが加味されるとよい。例えば、蛇行調整分に相当する時間ΔTzが10秒であるとする。この場合、蛇行調整分に相当する時間ΔTzを余裕時間として、加算して、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmを定めるとよい。この場合、ΔTm=Tm0+Tm1+ΔTzとなる。これを置き換えると、ΔTm=(X1/V1)+ΔTh+ΔTzである。
【0058】
例えば、Tm0が上述のように3分であり、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThが0.58分(約35秒)である場合には、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmであり、さらに第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間ΔTzが10秒である場合には、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmは、3分45秒(3.75分)でありうる。
【0059】
このように、制御装置60において、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThと、第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間ΔTzとに基づいて、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る時間間隔ΔTmが定められるように構成されているとよい。第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間ΔTzが加味されることによって、炉体11で、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2にスムーズに搬送物30が乗り移るタイミングでの搬送トラブルがより確実に低減する。
【0060】
これによって、搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさX1と、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1と、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThと、第1定速ゾーンZ1における蛇行調整分に相当する時間ΔTzとが特定されることによって、入口置換室21から炉体11に搬送物30を送る適切な時間間隔ΔTmが定められる。制御装置60は、かかる時間間隔ΔTmに従って、第1定速ゾーンZ1に搬送物30を供給する供給機構21cを制御するとよい。これにより、入口置換室21から炉体11に搬送物30が適当な時間間隔ΔTmで送られる。これにより、炉体11で、第1定速ゾーンZ1から早送りゾーンZ2にスムーズに搬送物30が乗り移るタイミングでの搬送トラブルが低減する。
【0061】
なお、ここで、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThは、搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送される時間でありうる。搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送される時間(早送りゾーンZ2の搬送時間)は、搬送物30が早送りゾーンZ2に乗り移ってから、早送りゾーンZ2で搬送が開始されて、早送りゾーンZ2での搬送が完了するまでの時間を意味する。搬送物30が早送りゾーンZ2を搬送される時間は、厳密には、搬送物30毎に個体差が生じうる。ここでは、早送りゾーンZ2の搬送時間は、1つの代表値で設定されているとよい。
【0062】
早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThは、早送りゾーンZ2の搬送速度V2や早送りゾーンZ2の搬送距離S2を基に定められていてもよい。なお、早送りゾーンZ2の搬送速度V2は変動する。つまり、早送りゾーンZ2では、搬送物30を早送りする領域であり、第1定速ゾーンZ1から搬送物30が乗り移った後で、加速され、その後、減速されて、第2定速ゾーンZ3に搬送物30が移される。早送りゾーンZ2の搬送速度V2は、加速された後、減速される前の速度が設定されうる。このように早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThに代えて、早送りゾーンZ2の搬送速度V2や早送りゾーンZ2の搬送距離S2や早送りゾーンZ2の全体の距離L2などを入力情報としてもよい。この場合、早送りゾーンZ2での搬送速度V2の加減速が考慮されて、早送りゾーンZ2の搬送時間ΔThが得られるように構成されているとよい。
【0063】
上述のように、第1定速ゾーンZ1の搬送速度V1や早送りゾーンZ2の搬送速度V2や第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3など、搬送速度の加減速やそのタイミングは、制御装置60がプログラムされているとよい。制御装置60の制御は、例えば、第1センサ51と第2センサ52での搬送物30の検知に起因した制御であるとよく。これにより、炉体11内での搬送物30の蛇行で搬送物30が個々に搬送されるタイミングがずれるのを調整できる。ここで、制御装置60の制御には、例えば、シーケンス制御やタイマーとタイムスイッチを用いた制御など、種々の制御手法が採用されうる。
【0064】
また、搬送空間11aに、第1定速ゾーンZ1と、早送りゾーンZ2と、第2定速ゾーンZ3が設定された形態を例示したが、搬送空間11aの構成は、これに限定されない。例えば、搬送空間11aには、早送りゾーンZ2が複数設定されていてもよい。この場合、複数の早送りゾーンZ2は、それぞれ搬送速度が異なっていてもよい。制御装置60は、それぞれの早送りゾーンZ2の前後、および、早送りゾーンZ2での搬送速度の制御に、上述した制御を適用してもよい。
【0065】
以上、ここで開示される発明の詳細な説明を行ったが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。また、ここでの開示は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされうる。
【符号の説明】
【0066】
10 連続焼成炉
11 炉体
11a 搬送空間
11b 入口
11c 出口
12 搬送ローラ
12a,12b チェーンスプロケット
12a1,12b1 チェーン
13 仕切り
14 ヒータ
15 駆動装置
21 入口置換室
21a,21b シャッター
21c 供給機構
22 出口置換室
22a,22b シャッター
30 搬送物
31 炉壁
32 外枠
32a 囲い
33 ベース
34 基台
35 支柱
41 ガス供給管
42 ガス排気管
51 第1センサ
51a 検査孔
51b 発光素子
51c 受光素子
52 第2センサ
60 制御装置
D1 搬送方向
H1 搬送物30の先頭
K1 第1センサ51が搬送物30を検知する位置
K2 第1定速ゾーンから早送りゾーンに乗り移った時の搬送物30の先頭H1の位置
K3 第2センサ52が搬送物30を検知する位置
P1 第1定速ゾーンZ1での搬送物30の搬送間隔
P2 第2定速ゾーンZ3の搬送速度V3での搬送物30の搬送間隔
S2 早送りゾーンZ2の搬送距離
V1 第1定速ゾーンZ1の搬送速度
V2 早送りゾーンZ2の搬送速度
V3 第2定速ゾーンZ3の搬送速度
X1 搬送される搬送物30の搬送方向D1に沿った大きさ
Z1 第1定速ゾーン
Z2 早送りゾーン
Z3 第2定速ゾーン
【手続補正書】
【提出日】2022-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記搬送空間に設定された搬送方向に沿って並べられて複数の搬送ローラと、
前記複数の搬送ローラを回転駆動させる駆動装置と、
制御装置と
を備え、
前記搬送空間には、
前記複数の搬送ローラが予め定められた第1速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第1定速ゾーンと、
前記第1定速ゾーンに連続して後方に設けられた早送りゾーンと
が設定されており、
前記搬送空間は、
前記第1定速ゾーンと前記早送りゾーンとの境界から予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第1センサを有し、
前記早送りゾーンは、
前記複数の搬送ローラの回転速度を変更でき、前記第1定速ゾーンよりも速い速度で搬送物が搬送されるように構成されており、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさの代表値と、
前記第1定速ゾーンの搬送速度と、
前記第1センサによって前記搬送物が検知された位置から前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った時の前記搬送物の先頭の位置まで、前記搬送物が搬送される距離と、
が予め定められており、
前記第1センサによって前記搬送物が検知された後、搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさの代表値と、前記第1定速ゾーンの搬送速度と、前記第1センサによって前記搬送物が検知された位置から前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った時の前記搬送物の先頭の位置まで前記搬送物が搬送される距離とに基づいて、前記第1定速ゾーンから早送りゾーンに前記搬送物が乗り移るタイミングが定められ、
前記第1定速ゾーンから早送りゾーンに搬送物が乗り移った後で、早送りゾーンZ2の搬送速度V2が上昇するように、早送りゾーンZ2の搬送速度V2を上昇させるタイミングT2が定められるように構成されている、
連続焼成炉。
【請求項2】
前記第1センサは、
前記搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合に対応して、複数の搬送物が搬送されるそれぞれの位置で搬送物を検知するように取り付けられており、
前記制御装置は、
前記搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合における前記第1定速ゾーンでの搬送速度のずれや蛇行量が予め定められており、
複数の搬送物が搬送されるそれぞれの位置のうち何れかの位置で前記第1センサによって前記搬送物が検知された後、前記第1センサによって前記搬送物が検知された位置から前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った時の前記搬送物の先頭の位置まで前記搬送物が搬送される時間と、前記第1定速ゾーンでの搬送速度のずれや蛇行量とに基づいて、前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに各列の前記搬送物が乗り移った後で、前記早送りゾーンの搬送速度が上昇するように、前記早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成された、請求項1に記載された連続焼成炉。
【請求項3】
前記早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた前記複数の搬送物が一斉に速度が上昇して搬送される、請求項2に記載された連続焼成炉。
【請求項4】
前記制御装置によって、
前記早送りゾーンの搬送速度が上昇した後で前記搬送物が前記早送りゾーンを搬送されている間、前記第1定速ゾーンの前記搬送物が前記早送りゾーンに到達しないように、前記第1定速ゾーンの前記搬送物における予め定められた蛇行調整分に相当する時間を加算して、前記第1定速ゾーンを搬送される前記搬送物の間隔が設定されている、
請求項1から3までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項5】
前記第1定速ゾーンの上流側に、前記第1定速ゾーンに前記搬送物を供給する供給機構を有し、
前記制御装置は、
前記供給機構を制御し、予め定められたタイミングで、前記第1定速ゾーンに前記搬送物が供給されるように構成された、請求項4に記載された連続焼成炉。
【請求項6】
前記搬送空間には、
前記早送りゾーンに連続して前記早送りゾーンの下流側に設けられ、前記複数の搬送ローラが予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第2定速ゾーンがさらに設定されており、
前記搬送空間は、
前記早送りゾーンと前記第2定速ゾーンとの境界から前記早送りゾーン側の予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第2センサを有し、
前記制御装置は、
前記第2センサによって前記搬送物の先頭が検知されたタイミングに基づいて、前記早送りゾーンの搬送速度を遅くし始め、かつ、前記第2定速ゾーンの搬送速度に合わせて前記搬送物を前記早送りゾーンから前記第2定速ゾーンに移すように構成された、請求項1から5までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項7】
前記第1定速ゾーンの搬送速度と前記第2定速ゾーンの搬送速度とが、異なる速度である、請求項6に記載された連続焼成炉。
【請求項8】
前記炉体の入口に処理物を供給するための置換室を備え、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさをX1とし、
前記第1定速ゾーンの搬送速度をV1とし、
前記早送りゾーンの搬送時間をΔThとし、
前記第1定速ゾーンにおける蛇行調整分に相当する時間をΔTzとし、
ΔTm=(X1/V1)+ΔTh+ΔTzの式に基づいて、
前記置換室から前記炉体に搬送物を送る時間間隔ΔTmが定められるように構成された、
請求項1から7までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送空間を囲うトンネル状の炉体と、
前記搬送空間に設定された搬送方向に沿って並べられて複数の搬送ローラと、
前記複数の搬送ローラを回転駆動させる駆動装置と、
制御装置と
を備え、
前記搬送空間には、
前記複数の搬送ローラが予め定められた第1速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第1定速ゾーンと、
前記第1定速ゾーンに連続して後方に設けられた早送りゾーンと
が設定されており、
前記搬送空間は、
前記第1定速ゾーンと前記早送りゾーンとの境界から予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第1センサを有し、
前記早送りゾーンは、
前記複数の搬送ローラの回転速度を変更でき、前記第1定速ゾーンよりも速い速度で搬送物が搬送されるように構成されており、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさの代表値と、
前記第1定速ゾーンの搬送速度と、
前記第1センサによって前記搬送物が検知された位置から前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った時の前記搬送物の先頭の位置まで、前記搬送物が搬送される距離と、
が予め定められており、
前記第1センサによって前記搬送物が検知された後、搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさの代表値と、前記第1定速ゾーンの搬送速度と、前記第1センサによって前記搬送物が検知された位置から前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移った時の前記搬送物の先頭の位置まで前記搬送物が搬送される距離とに基づいて、前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに前記搬送物が乗り移るタイミングが定められ、
前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに搬送物が乗り移るタイミングで、前記早送りゾーンの搬送速度が上昇するように、前記早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成されている、
連続焼成炉。
【請求項2】
前記第1センサは、
前記搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合に対応して、複数の搬送物が搬送されるそれぞれの位置で搬送物を検知するように取り付けられており、
前記制御装置は、
前記搬送空間の幅方向に沿って複数の搬送物が位置を揃えて並べられて搬送されている場合における前記第1定速ゾーンでの搬送速度のずれや蛇行量が予め定められており、
複数の搬送物が搬送されるそれぞれの位置のうち何れかの位置で前記第1センサによって前記搬送物が検知された後、前記第1センサによって検知された前記搬送物が前記早送りゾーンに乗り移るタイミングと、前記第1定速ゾーンでの搬送速度のずれや蛇行量とに基づいて、前記第1定速ゾーンから前記早送りゾーンに各列の前記搬送物が乗り移るタイミングで、前記早送りゾーンの搬送速度が上昇するように、前記早送りゾーンの搬送速度を上昇させるタイミングが定められるように構成された、請求項1に記載された連続焼成炉。
【請求項3】
前記早送りゾーンでは、位置を揃えて並べられた前記複数の搬送物が一斉に速度が上昇して搬送される、請求項2に記載された連続焼成炉。
【請求項4】
前記制御装置によって、
前記早送りゾーンの搬送速度が上昇した後で前記搬送物が前記早送りゾーンを搬送されている間、前記第1定速ゾーンの前記搬送物が前記早送りゾーンに到達しないように、前記第1定速ゾーンの前記搬送物における予め定められた蛇行調整分に相当する時間を加算して、前記第1定速ゾーンを搬送される前記搬送物の間隔が設定されている、
請求項1から3までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項5】
前記第1定速ゾーンの上流側に、前記第1定速ゾーンに前記搬送物を供給する供給機構を有し、
前記制御装置は、
前記供給機構を制御し、予め定められたタイミングで、前記第1定速ゾーンに前記搬送物が供給されるように構成された、請求項4に記載された連続焼成炉。
【請求項6】
前記搬送空間には、
前記早送りゾーンに連続して前記早送りゾーンの下流側に設けられ、前記複数の搬送ローラが予め定められた第2速度で回転し、かつ、複数の搬送物が予め定められた間隔で搬送される第2定速ゾーンがさらに設定されており、
前記搬送空間は、
前記早送りゾーンと前記第2定速ゾーンとの境界から前記早送りゾーン側の予め定められた位置で前記搬送物を検知するように構成された第2センサを有し、
前記制御装置は、
前記第2センサによって前記搬送物の先頭が検知されたタイミングに基づいて、前記早送りゾーンの搬送速度を遅くし始め、かつ、前記第2定速ゾーンの搬送速度に合わせて前記搬送物を前記早送りゾーンから前記第2定速ゾーンに移すように構成された、請求項1から5までの何れか一項に記載された連続焼成炉。
【請求項7】
前記第1定速ゾーンの搬送速度と前記第2定速ゾーンの搬送速度とが、異なる速度である、請求項6に記載された連続焼成炉。
【請求項8】
前記炉体の入口に処理物を供給するための置換室を備え、
前記制御装置は、
搬送される搬送物の前記搬送方向に沿った大きさをX1とし、
前記第1定速ゾーンの搬送速度をV1とし、
前記早送りゾーンの搬送時間をΔThとし、
前記第1定速ゾーンにおける蛇行調整分に相当する時間をΔTzとし、
ΔTm=(X1/V1)+ΔTh+ΔTzの式に基づいて、
前記置換室から前記炉体に搬送物を送る時間間隔ΔTmが定められるように構成された、
請求項1から7までの何れか一項に記載された連続焼成炉。