(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147827
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】除湿機
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20231005BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B01D53/26 100
F24F1/02 371B
F24F13/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055553
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】加藤 行勢
(72)【発明者】
【氏名】西方 敬太
【テーマコード(参考)】
3L050
4D052
【Fターム(参考)】
3L050BE04
4D052AA08
4D052BA04
4D052BB02
4D052BB03
4D052BB06
4D052FA08
4D052GA01
4D052GA03
4D052GB00
4D052GB08
(57)【要約】
【課題】ドレンタンクの位置によって電極が検知する水位の値にバラつきが生じ、正しく満水が検知できずにドレンタンクから水が溢れてしまう恐れがあった。
【解決手段】測定用電極100は、タンク室52の奥面52aに設け、上部参照用電極101は、タンク室52の側面52bの奥に、ドレンタンク15の上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設け、上部参照用電極101を用いて、ドレンタンク15の有無を検出可能とした。これによりドレンタンク15の位置が所望の位置に装着されたか推定できるため、ドレンタンク15の位置によって電極が検知する水位の値にバラつきが生じ、正しく満水が検知できずにドレンタンク15から水が溢れてしまう恐れがない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生したドレン水を溜める引き出し式のドレンタンクと、
前記ドレンタンクを格納し、タンク挿入方向の奥側の奥面と、タンク挿入方向の側側の側面と、を有するタンク室と、
前記ドレンタンクと前記タンク室との少なくとも一部に設けた前記ドレンタンクの挿入方向の奥側に前記ドレンタンクを押し込んだ際に前記ドレンタンクの挿入方向の位置を規制する突当部と、
前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検知する静電容量方式の測定用電極と、
前記ドレンタンク内のドレン水の満水を検知する静電容量方式の上部参照用電極と、
を備えた除湿機において、
前記測定用電極は、前記奥面に設け、
前記上部参照用電極は、前記側面の奥に、前記ドレンタンクの上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設け、
前記上部参照用電極を用いて、前記ドレンタンクの有無を検出可能としたことを特徴とする除湿機。
【請求項2】
前記測定用電極の検出する静電容量の値と前記上部参照用電極の検出する静電容量の値と、を予め設けられた前記ドレンタンクの位置に対応する前記測定用電極と前記上部参照用電極との静電容量の値と比較する事で、前記ドレンタンクの位置情報を推定する事を特徴とする請求項1に記載の除湿機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿機に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿機には、発生したドレン水を溜めるドレンタンクが設けられている。このドレンタンクには、満水を検知するための満水検知機構が設けられている。満水が検知されると、除湿機は圧縮機の運転を停止し、ユーザに満水を通知する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除湿機においては、満水検知および圧縮機の運転の停止が遅れることにより、ドレンタンクに溜められた水が溢れる事態が生じないように設計されている。すなわち、筐体の公差や組み付け時の誤差に基づく満水検知機構の検知のバラツキを考慮して、ドレンタンクの貯水量に余裕を持たせて満水位置が設計されている。
【0005】
ここで、満水検知機構に静電容量方式のセンサなどを用いた場合においては、タンク室に格納される引き出し式のドレンタンクが設けられたもので、タンク室のドレンタンクの引き出し方向の奥面に測定用電極を設け、該測定用電極の上方に上部参照用電極を設けた構成では、ドレンタンクが所望の位置まで押し込まれているか判断する事が難しく、ドレンタンクの位置によって測定用電極と上部参照用電極とが検知する水位の値にバラつきが生じ、正しく満水が検知できないとドレンタンクから水が溢れてしまう恐れがあった。また、ドレンタンクの位置を検出するための別のセンサを設けると部品点数が増えてしまう課題があった。
【0006】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ドレンタンクの満水検知とドレンタンクの有無の検知を好適に行う除湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1では、発生したドレン水を溜める引き出し式のドレンタンクと、前記ドレンタンクを格納し、タンク挿入方向の奥側の奥面と、タンク挿入方向の側側の側面と、を有するタンク室と、前記ドレンタンクと前記タンク室との少なくとも一部に設けた前記ドレンタンクの挿入方向の奥側に前記ドレンタンクを押し込んだ際に前記ドレンタンクの挿入方向の位置を規制する突当部と、前記ドレンタンク内のドレン水の水位を検知する静電容量方式の測定用電極と、前記ドレンタンク内のドレン水の満水を検知する静電容量方式の上部参照用電極と、を備えた除湿機において、前記測定用電極は、前記奥面に設け、前記上部参照用電極は、前記側面の奥に、ドレンタンクの上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設け、前記上部参照用電極を用いて、前記ドレンタンクの有無を検出可能としたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2では、前記測定用電極の検出する静電容量の値と前記上部参照用電極の検出する静電容量の値と、は予め設けられたドレンタンクの位置に対応する前記測定用電極と前記上部参照用電極との静電容量の値と比較される事で、前記ドレンタンクの位置情報を推定する事を特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、上部参照用電極を用いて、満水とドレンタンクの有無が検出されるため、ドレンタンクに溜められた水が溢れる事態を防ぐ事ができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】除湿機の機能構成を示す概略的な機能ブロック図。
【
図6】ドレンタンクがタンク室にスライドにより装着される際の測定用電極と上部参照用電極とが検出する静電容量の変化を表すタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る除湿機の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。本実施形態においては、本発明の除湿機を、蒸気圧縮式冷凍サイクルを利用し空気中に含まれる水分を結露させて除湿する除湿機に適用して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態における除湿機1の外観斜視図である。
図2は、除湿機1の分解斜視図である。
図3は、除湿機1の縦断面図である。
図4は、除湿機1の機能構成を示す概略的な機能ブロック図である。
【0013】
除湿機1は、除湿機1の外観を構成する右枠2と、左枠3と、化粧板4と、ベース5とを有している。右枠2と左枠3とが嵌まり合った上端部分は、取手10を形成する。右枠2は、複数のスリットを有する吸込口11を有している。吸込口11は、外側表面12側にフィルタ13と、フィルタケース14とを有している。フィルタ13は、樹脂製の網や不織布などからなり、吸入空気に混入する塵埃や臭い成分などを取り除く。フィルタケース14は、フィルタ13を吸込口11に取り付ける。また、右枠2は、ドレンタンク15が着脱されるタンク挿入口16を吸込口11下部に有している。
【0014】
左枠3は、複数のスリットを有する吹出口20を上部に有している。吹出口20は、乾燥空気の吹出方向を斜め上方向から水平方向に制御可能な風向板21を有している。風向板21は、風向板モータ22により駆動される。
【0015】
化粧板4は、上方に操作部25を有している。操作部25は、
図2に示すように、化粧板4の上面26と、操作部ケース27と、操作ユニット28とで構成されている。操作部25は、例えば、運転スイッチ、タイマースイッチ、運転モード選択スイッチなどのスイッチ類29と、運転ランプなどのランプ類30とを有している。
【0016】
除湿機1は、主な内部部品として、シロッコファン31と、ファンモータ32と、冷凍装置と、ドレンタンク15と、コントロールユニット34と、水位検知機構としての測定用電極100と、満水検知機構としての上部参照用電極101とを有している。
【0017】
シロッコファン31は、ファンモータ32の回転軸と同軸状に回転中心が固定されている。シロッコファン31は、吸込口11から空気を吸い込み、吹出口20から吹き出す風路を形成する。シロッコファン31およびファンモータ32は、ファンケース36に取り付けられている。
【0018】
冷凍装置は、冷媒が流れる順に、圧縮機40と、凝縮器41と、減圧装置42と、蒸発器43と、アキュムレータ44とを有している。冷媒は、蒸発器43を流れる際に蒸発器43の外側を通過する空気から熱を奪い蒸発する。これにより、蒸発器43の表面は露点温度以下に冷却され、そこを通過する空気中の水分が蒸発器43の表面に結露する。この原理により、除湿機1が空気中から水分を除去して除湿する。
【0019】
圧縮機40は、ベース5上に固定されており、配管45を介して蒸発器43および凝縮器41に接続されている。蒸発器43および凝縮器41は、第1熱交換器48と第2熱交換器49とでそれぞれ構成されている。第1熱交換器48と第2熱交換器49とは、それぞれフィンチューブ型の熱交換器であり、同一風路内に上流側から第1熱交換器48、第2熱交換器49の順に配置されている。蒸発器43および凝縮器41は、ファンケース36におけるシロッコファン31が固定された面と逆の面にドレンパン50を介して固定されている。ドレンパン50は、蒸発器43で発生した結露水を受け、排水口51からドレンタンク15へ結露水を導く。
【0020】
以上の構成により、吸込口11から吸込まれた空気は、フィルタ13で塵埃や臭い成分などが取り除かれた後、蒸発器43で水分が除去され、さらに凝縮器41を通過し、シロッコファン31によって吹出口20から吹き出される。
【0021】
ドレンタンク(タンク)15は、ドレンパン50の排水口51から排水される、発生したドレン水を溜める。ドレンタンク15は、タンク挿入口16を介してファンケース36に対して水平方向のスライドにより着脱される。ドレンタンク15は、ファンケース36により形成されたタンク室52(
図3)に装着される。
【0022】
ドレンタンク15は、タンク蓋53を有し、排水口51からの結露水はタンク蓋53よりドレンタンク15内に落下する。
【0023】
図4に示すコントロールユニット34(制御部)は、スイッチ類29からの指示に基づいてファンモータ32や圧縮機40などを電気的に制御することにより、除湿機1の動作を制御する。また、本実施形態におけるコントロールユニット34は、測定用電極100の検出結果に基づいてドレンタンク15に溜まったドレン水の水位を推定する。推定された水位はランプ類30を用いた水位表示に用いられる。また、本実施形態におけるコントロールユニット34は、上部参照用電極101の検出結果に基づいてドレンタンク15の満水を検知した場合、満水通知するようになっている(詳細は後述)。
【0024】
コントロールユニット34は、記憶部70およびタイマ71を有している。記憶部70は、スイッチ類29より受け付けた指示に基づいて実行される、ファンモータ32や圧縮機40、ランプ類30の動作プログラムなどを記憶する。タイマ71は、除湿機1のタイマ運転などのための計時を行う。温度センサ75および湿度センサ76は、除湿機1の周囲温度および湿度を計測し、コントロールユニット34は必要に応じて得られた値を制御に使用する。温度センサ75および湿度センサ76は、例えば吸込口11付近に設けられる。報知部78は、コントロールユニット34の指示に基づいてユーザに状況を知らせるためのアラームを報知する。
【0025】
ここで、
図5は、ドレンタンク15とタンク室52とを上方から見た図である。
タンク室52は、ドレンタンク15をスライドにより装着する際の奥の面に測定用電極100が設けられている。また、タンク室52は、ドレンタンク15をスライドにより装着する際の側面52bの奥に上部参照用電極101が設けられている。この測定用電極100と上部参照用電極101は、ドレンタンク15の位置とドレンタンク15に溜まったドレン水の水位とに応じて変化する静電容量を検出可能となっている。測定用電極100と上部参照用電極101と、は、ドレンタンク15との距離が小さく、より近い距離に配置されるほど、静電容量を検出する際の感度を高くする事が可能となっている。上部参照用電極101とドレンタンク15の側面と、の間には、第1の距離Aが設けられる。この第1の距離Aは、ドレンタンク15をスライドにより装着する際にスムーズにスライドさせると共に、スライドの際にドレンタンク15の側面と上部参照用電極101の接触を防ぐために設けられ、上部参照用電極101の接触による損傷を防止している。ドレンタンク15は、ドレンタンク15をスライドにより装着する際の奥の面に、タンク室52と接触して、ドレンタンク15の位置を規制する突当部103を有する。この、突当部103は、ドレンタンク15の位置を規制することで、ドレンタンク15の奥の面と測定用電極100との距離を第1の距離Aよりも小さい第2の距離Bにする事ができる。それと共に、突当部103は、ドレンタンク15の奥の面と測定用電極100との接触による損傷を防止している。
【0026】
さらに、測定用電極100はドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に長い長方形で、測定用電極100の下端はドレンタンク15にドレン水が無い空の状態の水位に対応する高さに設けられている。また、測定用電極100の上端は、満水の水位に対応する高さに設けられている。また、測定用電極100の横方向の長さは、水位に応じて可変する静電容量を誤差なく読み込める感度が得られる程度の長さで、縦方向よりも短く設けられている。ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位に応じて変化する静電容量はアナログ的に変化する特性を有する。さらに、奥面52aに配置された測定用電極100はドレンタンク15がスライドされる方向に面して配置されるので、ドレンタンク15と測定用電極100との距離に応じて変化する静電容量はアナログ的に変化する特性を有する。上部参照用電極101は、ドレンタンク15の上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設けられている。さらに、上部参照用電極101は、小型の正方形で、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に測定用電極100より短い。これにより、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位に応じて変化する静電容量はドレン水の水位が満水時の水位よりも低い場合はほとんど変化しない。一方で、ドレン水の水位が満水時の水位に到達した際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する特性を有する。さらに、側面52bの奥に配置された上部参照用電極101はドレンタンク15がスライドされる方向としての横方向に測定用電極100より短い。また、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離に応じて変化する静電容量は、ドレンタンク15が所望の位置よりも手前に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が大きい場合はほとんど変化しない。一方で、ドレンタンク15が所望の位置に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が十分に小さくなった際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する特性を有する。
【0027】
図6は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより装着される際の測定用電極100と上部参照用電極101とが検出する静電容量の変化を表すタイムチャートである。
【0028】
ここで、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより装着される際の測定用電極100が検出する静電容量の変化を説明する。T0は、ドレンタンク15がタンク室52に装着されていない状態で、測定用電極100が検知する静電容量の値は、タンクが無い場合の最も小さい第1の値を示す。
【0029】
T1は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置よりも手前側に装着される。この際、測定用電極100にドレンタンク15が接近し、測定用電極100の検出する静電容量は、測定用電極100とドレンタンク15との距離に応じて第1の値よりも増加する。しかし、ドレンタンク15の押し込みが不十分でドレンタンク15が所望の位置よりも手前側に装着されるので、ドレンタンク15が所望の位置に装着される場合よりも、ドレンタンク15と測定用電極100との距離は大きくなる。これにより、測定用電極100の検出する静電容量は、測定用電極100とドレンタンク15との距離に応じて第1の値以上で、第3の値未満の範囲内で可変する第2の値を示す。
【0030】
T2は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置に装着される。これにより、測定用電極100の検出する静電容量は、第2の値よりも大きい第3の値を示す。
【0031】
T3は、ドレンタンク15が所望の位置に装着された後で、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が増加する。これにより、測定用電極100の検出する静電容量は、ドレン水の水位に応じて第3の値以上で、第5の値未満の範囲内で可変する第4の値を示す。
【0032】
T4は、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が増加し、満水の水位に到達する。これにより、測定用電極100の検出する静電容量は、第4の値よりも大きい満水時の水位としての第5の値を示す。
【0033】
続いて、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより装着される際の上部参照用電極101が検出する静電容量の変化を説明する。T0は、ドレンタンク15がタンク室52に装着されていない状態で、上部参照用電極101が検知する静電容量の値は、タンクが無い場合の第6の値を示す。
【0034】
T1は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置よりも手前側に装着される。この際、上部参照用電極101にドレンタンク15が接近する。しかし、ドレンタンク15の押し込みが不十分でドレンタンク15が所望の位置よりも手前側に装着されるので、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離は、上部参照用電極101の検出する静電容量が大きく変化する距離には至らない。これにより上部参照用電極101が検知する静電容量の値は、タンクが無い場合と同じく第6の値を示す。
【0035】
T2は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置に装着される。これにより、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離は、上部参照用電極101の検出する静電容量が大きく変化する距離まで小さくなるため、上部参照用電極101の検出する静電容量は、第6の値よりも大きい第7の値を示す。
【0036】
T3は、ドレンタンク15が所望の位置に装着された後で、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が増加する。これにより、上部参照用電極101とドレン水の水位の距離は小さくなるが、上部参照用電極101の検出する静電容量が大きく変化する距離には至らず、上部参照用電極101の検出する静電容量は、第7の値を示す。
【0037】
T4は、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が増加し、満水の水位に到達する。これにより、上部参照用電極101とドレン水の水位の距離は十分に小さくなり、上部参照用電極101の検出する静電容量が大きく変化する距離に到達し、上部参照用電極101の検出する静電容量は、第7の値よりも大きい第8の値を示す。
【0038】
次に、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより装着される際の測定用電極100が検出する静電容量と上部参照用電極101が検出する静電容量との変化に応じたタンクの位置情報とドレン水の水位情報とを推定する方法を説明する。T0は、測定用電極100が検出する静電容量は第1の値を示す。また、上部参照用電極101が検出する静電容量は、第6の値を示す。これにより、タンクの位置情報はタンク無と推定され、水位情報は満水でないと推定される。この時、タンクの位置情報からドレンタンク15がタンク室52の所望の位置に装着されていないと判断されるため、ドレン水を発生する運転は行われない。
【0039】
T1は、測定用電極100が検出する静電容量は第2の値を示す。また、上部参照用電極101が検出する静電容量は、第6の値を示す。これにより、タンクの位置情報は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置よりも手前側に装着される、押込不十分として推定される。水位情報は満水でないと推定される。この時、タンクの位置情報からドレンタンク15がタンク室52の所望の位置に装着されていないと判断されるため、ドレン水を発生する運転は行われない。
【0040】
T2は、測定用電極100が検出する静電容量は第3の値を示す。また、上部参照用電極101が検出する静電容量は、第7の値を示す。これにより、タンクの位置情報は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置に装着される、タンク有と推定される。水位情報は満水でないと推定される。この時、タンクの位置情報からドレンタンク15がタンク室52の所望の位置に装着されていると判断され、水位情報から、満水でないと判断されるため、ドレン水を発生する運転を行う事ができる。
【0041】
T3は、ドレン水を発生する運転が行われ、測定用電極100が検出する静電容量は第4の値を示す。また、上部参照用電極101が検出する静電容量は、第7の値を示す。これにより、タンクの位置情報は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置に装着される、タンク有と推定される。水位情報は測定用電極100が検出する静電容量に応じた、現在の水位と推定される。この時、タンクの位置情報からドレンタンク15がタンク室52の所望の位置に装着されていると判断され、水位情報から、満水でないと判断されるため、ドレン水を発生する運転を継続する事ができる。
【0042】
T4は、ドレン水を発生する運転が行われ、ドレンタンク15内の水位が測定用電極100の上端に達すると測定用電極100が検出する静電容量は第5の値を示す。また、上部参照用電極101が検出する静電容量は、第8の値を示す。これにより、タンクの位置情報は、ドレンタンク15がタンク室52にスライドにより所望の位置に装着される、タンク有と推定される。この時、タンクの位置情報からドレンタンク15がタンク室52の所望の位置に装着されていると判断されるが、水位情報から、満水と判断されるため、ドレン水を発生する運転は停止される。以上のことにより、タンクの位置情報と水位情報とから、ドレン水の水漏れが生じる恐れが無いと判断される場合のみドレン水を発生する運転が行われるため、ドレン水の水漏れが生じる恐れが無い。
【0043】
次に、測定用電極100と上部参照用電極101との各電極の配置される位置による効果を説明する。測定用電極100と上部参照用電極101と、は、ドレンタンク15との距離が小さく、より近い距離に配置されるほど、静電容量を検出する際の感度を高くする事が可能となっている。タンク室52とドレンタンク15と、の間には、第1の距離Aが設けられる。この第1の距離Aは、ドレンタンク15をスライドにより装着する際にスムーズにスライドさせると共に、スライドの際にドレンタンク15の側面と上部参照用電極101の接触を防ぐために設けられ、上部参照用電極101の接触による損傷を防止している。ドレンタンク15は、ドレンタンク15をスライドにより装着する際の奥の面に、タンク室52と接触して、ドレンタンク15の位置を規制する突当部103を有する。この、突当部103は、ドレンタンク15の位置を規制することで、ドレンタンク15の奥の面と測定用電極100との距離を第1の距離Aよりも小さい第2の距離Bにする事ができる。それと共に、突当部103は、ドレンタンク15の奥の面と測定用電極100との接触による損傷を防止している。
【0044】
さらに、測定用電極100はドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に長い長方形で、測定用電極100の下端はドレンタンク15にドレン水が無い空の状態の水位に対応する高さに設けられている。また、測定用電極100の上端は、満水の水位に対応する高さに設けられている。また、測定用電極100の横方向の長さは、水位に応じて可変する静電容量を誤差なく読み込める感度が得られる程度の長さで、縦方向よりも短く設けられている。ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位に応じて変化する静電容量はアナログ的に変化する特性を有する。さらに、奥面52aに配置された測定用電極100はドレンタンク15がスライドされる方向に面して配置されるので、ドレンタンク15と測定用電極100との距離に応じて変化する静電容量はアナログ的に変化する特性を有する。上部参照用電極101は、ドレンタンク15の上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設けられている。さらに、上部参照用電極101は、小型の正方形で、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に測定用電極100より短い。これにより、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位に応じて変化する静電容量はドレン水の水位が満水時の水位よりも低い場合はほとんど変化しない。一方で、ドレン水の水位が満水時の水位に到達した際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する特性を有する。さらに、側面52bの奥に配置された上部参照用電極101はドレンタンク15がスライドされる方向としての横方向に測定用電極100より短い。また、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離に応じて変化する静電容量は、ドレンタンク15が所望の位置よりも手前に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が大きい場合はほとんど変化しない。一方で、ドレンタンク15が所望の位置に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が十分に小さくなった際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する特性を有する。
【0045】
このことから、測定用電極100は、電極とドレンタンク15の距離を第1の距離Aよりも小さい第2の距離Bにする事ができる奥面52aに設けられる。このため、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位に応じて変化する静電容量がアナログ的に変化する際に、誤差なく静電容量を読み込むことが可能となる。
【0046】
また、上部参照用電極101は、ドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に短く、ドレンタンク15の上側の縁よりも低く設けられたドレン水の満水の水位に対応する高さに設けられる。これにより、上部参照用電極101が検出する静電容量は、ドレン水の水位が満水時の水位に到達した際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する。このため、電極とドレンタンク15の距離は第1の距離Aであっても、誤差なく静電容量を読み込むことが可能となる。さらに、側面52bの奥に配置された上部参照用電極101はドレンタンク15がスライドされる方向としての横方向に短い。また、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離に応じて変化する静電容量は、ドレンタンク15が所望の位置よりも手前に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が大きい場合はほとんど変化しない。一方で、ドレンタンク15が所望の位置に装着され、ドレンタンク15と上部参照用電極101との距離が十分に小さくなった際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する特性を有する。これにより、上部参照用電極101が検出する静電容量は、ドレンタンク15が所望の位置に装着された際に大きく変化し、測定用電極100の特性と比較してデジタル的に変化する。このため、電極とドレンタンク15の距離は第1の距離Aであっても、誤差なく静電容量を読み込むことが可能となる。
【0047】
この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0048】
尚、本実施形態では、測定用電極100はドレンタンク15に溜まったドレン水の水位が変化する方向としての縦方向に長い長方形で、測定用電極100の下端はドレンタンク15にドレン水が無い空の状態の水位に対応する高さに設けられている。これに対し、測定用電極100の下端は所望の水位を検知可能な範囲で、本実施形態に対して高い位置に設けても良い。また、測定用電極100の上端は所望の水位を検知可能な範囲で、本実施形態に対して高い位置に設けても、低い位置に設けても良い。その際、
図6を用いて説明した、T3からT4にかけて測定用電極100が検出する静電容量は、変化するタイミングや値が本実施形態に対して変化する。しかし、タンクの位置情報と、水位情報から推定される満水かの情報と、は本実施形態と同様に推定可能であり、同様の効果がえられる。
【符号の説明】
【0049】
1 除湿機
15 ドレンタンク
52 タンク室
52a 奥面
52b 側面
100 測定用電極
101 上部参照用電極
103 突当部