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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147844
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】手摺装置及び作業機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 15/00 20060101AFI20231005BHJP
   B66C 23/62 20060101ALI20231005BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B66C15/00 K
B66C23/62
E02F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055572
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】503032946
【氏名又は名称】住友重機械建機クレーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 芳昌
(72)【発明者】
【氏名】千葉 範行
【テーマコード(参考)】
3F204
3F205
【Fターム(参考)】
3F204AA04
3F204CA05
3F204FD09
3F204FD10
3F205AA05
(57)【要約】
【課題】格納可能且つ起立可能な柵が設けられる足場よりも下段からその柵を容易に操作できる手摺装置及び作業機械を提供する。
【解決手段】手摺装置10は、作業機械100に設けられる上段足場107に設けられる。手摺装置10は、上段足場107から起立した起立状態から、上段足場107に向けて倒伏した格納状態に格納可能であり、格納状態から起立状態に起立可能な柵20と、柵20を起立状態及び格納状態の少なくとも一方にするために操作される操作部60と、を備える。柵20は、上段足場107から起立可能に設けられた複数の支柱22と、支柱22に対して回動可能に連結され、支柱22の間に架け渡される複数のハンドレール23,24と、を有する。操作部60は、複数のハンドレール23,24のうち、柵20が起立状態となった場合の最下段のハンドレール23,24よりも下に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械に設けられる足場に設けられる手摺装置であって、
前記足場から起立した起立状態から、前記足場に向けて倒伏した格納状態に格納可能であり、前記格納状態から前記起立状態に起立可能な柵と、
前記柵を起立状態及び格納状態の少なくとも一方にするために操作される操作部と、を備え、
前記柵は、
前記足場から起立可能に設けられた複数の支柱と、
前記支柱に対して回動可能に連結され、前記支柱の間に架け渡される複数のハンドレールと、を有し、
前記操作部は、前記複数のハンドレールのうち、前記柵が前記起立状態となった場合の最下段のハンドレールよりも下に位置する
手摺装置。
【請求項2】
前記柵は、前記ハンドレールの長手方向に倒伏させることで格納状態となる
請求項1に記載の手摺装置。
【請求項3】
前記操作部は、前記柵に取り付けられ、前記柵から前記足場の外側へ張り出している
請求項1又は2に記載の手摺装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記足場の縁の内側に配置され、前記格納状態において前記足場の前記縁の外側にはみ出ない
請求項3に記載の手摺装置。
【請求項5】
前記操作部が、前記支柱に設けられる
請求項1から4のいずれかに記載の手摺装置。
【請求項6】
前記柵を前記起立状態または前記格納状態にロックする固定具を更に備える
請求項5に記載の手摺装置。
【請求項7】
前記固定具は、前記支柱に対して着脱され、前記支柱から前記足場の外側へ取り外し可能であるとともに、前記足場の外側から前記支柱に対して取り付け可能である
請求項6に記載の手摺装置。
【請求項8】
前記操作部は、前記最下段のハンドレールの下方から上方にまたがって配置されている
請求項1から7の何れか1項に記載の手摺装置。
【請求項9】
作業機械に設けられる足場に設けられる手摺装置であって、
前記足場から上方に突出した起立状態と、前記足場の下に格納された格納状態との間で昇降可能な柵
を備える手摺装置。
【請求項10】
前記足場が、機器が収容されるハウスの上面に設けられ、
前記格納状態の前記柵が前記ハウス内に収容される
請求項9に記載の手摺装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の手摺装置を備える作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手摺装置及び作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業機械に設けられた手摺装置が開示されている。この手摺装置は、通路のサイドの縁に沿って設けられた平行リンク型の柵を有し、その柵は後方に格納可能且つ前方に起立可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-202834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、通路から階段を降りた下段の上の作業者が柵を起立させるためには、その作業者が腕を上に伸ばして作業する必要があるため、その作業が難しい。
【0005】
本発明は、格納可能且つ起立可能な柵をより容易に操作できる手摺装置及び作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、作業機械に設けられる足場に設けられる手摺装置であって、
前記足場から起立した起立状態から、前記足場に向けて倒伏した格納状態に格納可能であり、前記格納状態から前記起立状態に起立可能な柵と、
前記柵を起立状態及び格納状態の少なくとも一方にするために操作される操作部と、を備え、
前記柵は、
前記足場から起立可能に設けられた複数の支柱と、
前記支柱に対して回動可能に連結され、前記支柱の間に架け渡される複数のハンドレールと、を有し、
前記操作部は、前記複数のハンドレールのうち、前記柵が前記起立状態となった場合の最下段のハンドレールよりも下に位置する。
【0007】
本発明は、作業機械に設けられる足場に設けられる手摺装置であって、
前記足場から上方に突出した起立状態と、前記足場の下に格納された格納状態との間で昇降可能な柵
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、柵が設けられる足場よりも下段からその柵の起立、格納又は昇降の操作を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】クレーンの側面図である。
図2】クレーンの側面図である。
図3】手摺装置の斜視図である。
図4】手摺装置の斜視図である。
図5図3に示すA部の拡大図である。
図6図3に示すA部の拡大図である。
図7図3に示すB部の拡大図である。
図8図3に示すB部の拡大図である。
図9】変更例の手摺装置の斜視図である。
図10】変更例の手摺装置の斜視図である。
図11】変更例の手摺装置の斜視図である。
図12】変更例の手摺装置の斜視図である。
図13】変更例の手摺装置の斜視図である。
図14】変更例の手摺装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、各実施形態について詳細に説明する。
【0011】
<1. 作業機械及びその足場の概要>
図1及び図2に示すように、作業機械100は、自走式のクレーンであり、より具体的にはクローラクレーンである。
【0012】
作業機械100は、下部走行体101、上部旋回体102、キャブ103、ブーム(図示略)、対のハウス105、対の下段足場106、対の上段足場107及び対の手摺装置10を備える。なお、片方のハウス105が図1及び図2に図示され、このハウス105の裏側にもう片方のハウス105が隠れているため、図1及び図2ではもう片方のハウス105の図示が省略される。下段足場106、上段足場107及び手摺装置10についても同様である。
【0013】
下部走行体101は、自走可能なクローラである。
上部旋回体102は、下部走行体101の上に搭載されているとともに、下部走行体101に対して旋回する。上部旋回体102の旋回軸は上下方向を定義し、その旋回軸に沿った軸方向が上下方向に対して平行である。
【0014】
キャブ103は、上部旋回体102の前部に搭載されている。
ブームの下端がキャブ103の側方において上部旋回体102の前部に連結されており、ブームがその下端の起伏軸の回りに起伏する。ブームの起伏軸は左右方向を定義し、その起伏軸に沿った軸方向が左右方向に対して平行である。左右方向を幅方向ということもある。また、上部旋回体102における前後方向とは、下部走行体101の前進方向及び後進方向によって定義されるものではなく、上部旋回体102の旋回軸及びブームの起伏軸に対して直交する方向をいう。図1及び図2の側面図では、上部旋回体102を横から見て、キャブ103からハウス105への向きが後方であり、ハウス105からキャブ103への方向が前方である。また、ブームが倒れた状態において、上部旋回体102の旋回体からブームの先端への向きが前方である。
【0015】
対のハウス105は、左右方向に互いに間隔を置いて、キャブ103の後方において上部旋回体102に搭載されている。ハウス105には、原動機、油圧機器及び電装品等が収容されている。
【0016】
対の下段足場106は、対のハウス105の幅方向における脇にそれぞれ配置されるとともに、上部旋回体102に取り付けられている。ここで、右のハウス105の幅方向における脇とはそのハウス105の右脇をいい、左のハウス105の幅方向における脇とはそのハウス105の左脇をいう。
【0017】
下段足場106の幅方向における外側の縁には、手摺り付きの柵が立てた状態に設けられているが、その柵の図示を省略することによって、図中のハウス105と下段足場106を識別しやすくする。ここで、右の下段足場106の幅方向における外側の縁とは、右の下段足場106の右縁をいい、左の下段足場106の幅方向における外側の縁とは、左の下段足場の左縁をいう。
【0018】
上下方向における下段足場106の位置はハウス105の下端の位置に相当し、下段足場106上の作業者の手が下段足場106からハウス105内に届く。作業者は、下段足場106上において前後に通行することができる。
【0019】
対の上段足場107は、対のハウス105の上面にそれぞれ設けられている。上段足場107は、ハウス105の屋根又はそれに敷設された床板である。各ハウス105には昇降用の階段又は梯子が設けられており、作業者が階段又は梯子の上り下りにより下段足場106と上段足場107との間を行き来することができる。
【0020】
<2. 手摺装置>
図3図8に示すように、手摺装置10は、上段足場107に乗った作業者の転落防止に利用される。手摺装置10は、柵20、付勢部40、固定具50及び操作部60を備える。
【0021】
<2-1. 柵>
柵20は、上段足場107上に取り付けられているとともに、上段足場107の幅方向における外側の縁よりも内側の位置においてその外側の縁に沿って設けられている。ここで、右の上段足場107の幅方向における外側の縁とは、右の上段足場107の右縁をいい、左の上段足場107の幅方向における外側の縁とは、左の上段足場107の左縁をいう。
【0022】
柵20は、展開可能且つ折り畳み可能な平行リンク機構となっている。具体的に、柵20は、後方に折り畳まれるよう格納可能であるとともに、前方に展開するよう起立可能である。起立状態の柵20は、上段足場107の幅方向における外側の縁に沿って、上段足場107の上に起立している。格納状態の柵20は、上段足場107の幅方向における外側の縁に沿って、上段足場107の上に横たわっている。
【0023】
柵20は、ベース21、複数の支柱22及びハンドレール23,24を有する。
【0024】
ベース21は、上段足場107上に取り付けられている。ベース21は、上段足場107の幅方向における外側の縁よりも内側において、その外側の縁に沿って設けられている。ベース21には、複数のブラケット21aが前後方向に間隔を置いて設けられている。
【0025】
支柱22の下端が連結ピンによってブラケット21aにそれぞれ連結され、支柱22がその下端の連結ピンの回りに前後方向に起伏する。支柱22の下端の連結ピンの軸方向は左右方向及び幅方向に対して平行であり、支柱22が後方に倒れ、前方に起き上がる。これら支柱22は互いに平行である。
【0026】
ハンドレール23,24のうち最上段のハンドレール23は連結ピンによって支柱22の上端に回動可能に連結されているとともに、前後方向にこれら上端間に架け渡されている。ハンドレール23と支柱22の上端を連結する各連結ピンの軸方向は左右方向に平行である。
【0027】
ハンドレール23,24のうち最下段のハンドレール24は連結ピンによって支柱22に回動可能に連結されているとともに、前後方向にこれら支柱22間に架け渡されている。ハンドレール24が支柱22に連結される位置は、支柱22の上端と下端の間であり、より具体的には支柱22の中間部である。ハンドレール24と支柱22の上端を連結する各連結ピンの軸方向は、左右方向に平行である。
【0028】
支柱22が後方に倒れると、ハンドレール23,24は互いに平行な状態を保って下降する。支柱22が前方に起き上がると、ハンドレール23,24は互いに平行な状態を保って上昇する。
【0029】
ベース21、支柱22及びハンドレール23,24はいずれも上段足場107の幅方向における外側の縁から外方に張り出しておらず、その外側の縁よりも内側にある。
【0030】
柵20が起立した状態では、作業者が上段足場107上で作業を行う際に、作業者の転落が柵20によって防止される。また、作業者は、身体に命綱を固定し、その命綱をフック等によりハンドレール23又はハンドレール24に摺動可能に繋げると、上段足場107上で安全に作業を行える。
【0031】
<2-2. 付勢部>
付勢部40は、複数の支柱22のうち何れか1つの下端に設けられている。付勢部40は、その支柱22とブラケット21aを連結する連結ピンに巻回されたトーションスプリングである。付勢部40は、ブラケット21a内に収容されている。付勢部40は、支柱22を前方に起こし上げる方向に支柱22を付勢する。つまり、付勢部40は、柵20を前方に起立する方向に柵20を付勢する。
【0032】
なお、トーションスプリングの代わりにエアダンパー又はオイルダンパーが付勢部40として用いられ、そのエアダンパー又はオイルダンパーが柵20を前方に起立する方向に柵20を付勢してもよい。この場合、エアダンパー又はオイルダンパーの設けられる位置は、支柱22の下端に限るものではない。
【0033】
<2-3. 固定具>
固定具50は、付勢部40が取り付けられる支柱22とは非共通の支柱22の下端及びブラケット21aに対して着脱可能である。固定具50は、その支柱22の下端とブラケット21aを相互に固定する。以下、固定具50による固定について詳細に説明する。
【0034】
支柱22には1対の第1挿入穴22cが形成され、ブラケット21aに1対の第2挿入穴21c及び1対の第3挿入穴21dが形成されている。支柱22が起立した状態では、第1挿入穴22cが第2挿入穴21cに重なり、固定ピンからなる固定具50が第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cの両方に差し込まれる。これにより、支柱22の下端とブラケット21aが互いに固定され、支柱22が起立状態に保たれる。ここで、固定具50を第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cの両方に差し込む向きは、幅方向内向きであり、固定具50を第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cの両方から引き抜く向きは、幅方向外向きである。
【0035】
支柱22が倒れた状態では、第1挿入穴22cが第3挿入穴21dに重なり、固定ピンからなる固定具50が第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dの両方に差し込まれる。これにより、支柱22の下端がブラケット21aにロックされ、支柱22が倒れた状態に保たれる。ここで、固定具50を第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dの両方に差し込む向きは、幅方向内向きであり、固定具50を第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dの両方から引き抜く向きは、幅方向外向きである。
【0036】
拘束具55が支柱22の下端に取り付けられると、固定具50が拘束具55によって支柱22の下端及びブラケット21aに拘束されて、固定具50の引き抜きが防止される。
【0037】
<2-4. 操作部>
操作部60は、柵20の格納及び起立のために、作業者によって把持されて操作されるハンドルである。操作部60は、固定具50が取り付けられる支柱22と共通の支柱22に取り付けられている。操作部60と支柱22の連結箇所について説明すると、コ字型に曲がった棒状の操作部60の上端は支柱22の上端に固定的に連結され、操作部60の下端は支柱22の下端に固定的に連結されている。そのため、柵20が起立状態であり、支柱22が起立状態である場合には、操作部60がハンドレール23,24のうち最下段のハンドレール24と交差するよう上下方向に延び、操作部60の一部が最下段のハンドレール24よりも下に位置し、操作部60の残りの一部が最下段のハンドレール24よりも上に位置する。
【0038】
操作部60は、柵20、特に支柱22から幅方向外方に張り出している。しかし、操作部60は、上段足場107の幅方向における外側の縁から外方にはみ出ず、その外側の縁よりも内側にある。つまり、右の手摺装置10の場合、操作部60が右の上段足場107の右縁よりも左側にあり、左の手摺装置10の場合、操作部60が左の上段足場107の左縁よりも右側にある。
【0039】
操作部60は、支柱22に沿って設けられている。そのため、操作部60は、支柱22と一緒に起伏する。
【0040】
<3. 柵の起立方法>
作業者が下段足場106の上に乗る。
次に、作業者が下段足場106から固定具50及び拘束具55に手を伸ばして、拘束具55を取り外す。
次に、作業者が固定具50を第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dから幅方向外向きに引き抜くと、支柱22の下端とブラケット21aの相互ロックが解除される。
次に、作業者が操作部60を掴んで、操作部60を上に押し上げる。そうすると、支柱22が前に起き上がり、柵20が起立される。この際、付勢部40が支柱22を前方に起こし上げる方向に支柱22を付勢するので、作業者は支柱の起こし上げを付勢部40によって補助される。
次に、作業者が固定具50を支柱22の下端の第1挿入穴22c及びブラケット21aの第2挿入穴21cに幅方向内向きに差し込むと、支柱22の下端とブラケット21aが相互に固定される。
次に、作業者が拘束具55を支柱22の下端に取り付けて、拘束具55によって固定具50を支柱22の下端及びブラケット21aに拘束する。
【0041】
<4. 柵の格納方法>
作業者が下段足場106の上に乗る。
次に、作業者が下段足場106から固定具50に手を伸ばして、拘束具55を取り外す。
次に、作業者が固定具50を第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cから幅方向外向きに引き抜くと、支柱22の下端とブラケット21aの相互ロックが解除される。
次に、作業者が操作部60を掴んで、付勢部40の荷重に抗して操作部60を引き下げる。そうすると、支柱22が後ろに倒れ、柵20が折りたたまれる。
次に、作業者が固定具50を支柱22の下端の第1挿入穴22c及びブラケット21aの第3挿入穴21dに幅方向内向きに差し込むと、支柱22の下端とブラケット21aが相互に固定される。
次に、作業者が拘束具55を支柱22の下端に取り付けて、拘束具55によって固定具50を支柱22の下端及びブラケット21aに拘束する。
【0042】
<5. 有利な効果>
以上に説明したように、ハンドルである操作部60が柵20に設けられており、その操作部60が最下段のハンドレール24に対して交差し、起立状態の柵20が起立状態である場合に操作部60の一部が最下段のハンドレール24よりも下方に位置する。そのため、下段足場106上の作業者は操作部60に手が届き、操作部60を操作して柵20の起立及び格納を容易に行える。
【0043】
また、柵20は、上段足場107の幅方向における外側の縁に沿った前後方向に格納可能且つ起立可能である。そのため、作業者が下段足場106上から操作部60を操作して柵20の起立及び格納を容易に行える。
【0044】
また、操作部60が柵20、特に支柱22から幅方向外方に張り出している。そのため、作業者は操作部60に手が届きやすく、下段足場106上から操作部60を操作して柵20の起立及び格納を容易に行える。
【0045】
また、操作部60は、上段足場107の幅方向における外側の縁から外方にはみ出ず、その外側の縁よりも内側にある。そのため、操作部60が邪魔にならない。特に、手摺装置10がハウス105に組み付けられた状態で、作業機械100から取り外されたハウス105を貨物自動車で輸送する際に、操作部60が法定上の車幅制限に影響しない。
【0046】
また、操作部60と固定具50は共通の支柱22に取り付けられる。そのため、作業者が操作部60を操作して柵20の起立又は格納を行った後、移動することなく固定具50により支柱22をロックすることができる。
【0047】
また、固定具50を第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cの両方に差し込む向きは、幅方向内向きであり、固定具50を第1挿入穴22c及び第2挿入穴21cの両方から引き抜く向きは、幅方向外向きである。同様に、固定具50を第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dの両方に差し込む向きは、幅方向内向きであり、固定具50を第1挿入穴22c及び第3挿入穴21dの両方から引き抜く向きは、幅方向外向きである。作業者は、下段足場106の上から固定具50の着脱を容易に行える。
【0048】
また、柵20が起立状態である場合に、操作部60の一部が最下段のハンドレール24よりも上方に位置する。そのため、柵20の起立に際して、操作部60に与える荷重が小さくしても、柵20を起立状態にもっていくことができる。
【0049】
<6. 操作部の変更例1>
以上の説明では、操作部60の上端が支柱22の上端に固定され、操作部60の下端が支柱22の下端に固定されている。
【0050】
それに対して、図9及び図10に示すように、操作部60Aの上端がボールジョイント、フック、連結リング又は回転軸等によって支柱22の上端に連結されることによって、操作部60Aはその上端を支点として揺動可能に設けられている。操作部60Aの下端は支柱22の下端に対して着脱可能である。支柱22が起立状態である場合には、操作部60の一部が最下段のハンドレール24よりも下に位置し、操作部60の残りの一部が最下段のハンドレール24よりも上に位置する。
【0051】
操作部60Aの下端が支柱22の下端に装着された状態では、操作部60Aは、柵20、特に支柱22から幅方向外方に張り出している。しかし、操作部60Aは、上段足場107の幅方向における外側の縁から外方にはみ出ず、その外側の縁よりも内側にある。
【0052】
柵20の起立に際しては、下段足場106上の作業者が操作部60Aの下端を支柱22の下端から外す。操作部60Aの下端が支柱22の下端から外れた状態では、操作部60Aがその自重により垂れ下がった状態になり得る。作業者は、支柱22の下端から外れた操作部60Aの下端を掴んで、操作部60Aを押し上げる。この際、支柱22の傾斜角が変化すると、操作部60Aがその上端を支点として揺動するため、操作部60Aを滑らかに押し上げることができる。操作部60Aが押し上げられると、支柱22が前に起き上がり、柵20が起立される。
【0053】
一方、柵20の格納に際しては、下段足場106上の作業者が操作部60Aの下端を支柱22の下端から外し、操作部60Aの下端を掴んで、操作部60Aを引き下げる。この際、支柱22の傾斜角が変化すると、操作部60Aがその上端を支点として揺動するため、操作部60Aを滑らかに引き下げることができる。操作部60Aが引き下げられると、支柱22が後ろに倒れ、柵20が折り畳まれる。
【0054】
なお、操作部60Aが揺動可能に設けられている棒であるため、その操作部60Aは揺動棒といえる。また、操作部60Aが柵20の格納及び起立のために作業者によって把持されるため、その操作部60Aはハンドルといえる。
【0055】
<7. 操作部の変更例2>
以上の説明では、操作部60の上端が支柱22に取り付けられている。
【0056】
それに対して、図11及び図12に示すように、U字型の操作部60Bがハンドレール23,24のうち最下段のハンドレール24に取り付けられて固定されている。操作部60Bは、最下段のハンドレール24から下方に張り出している。そのため、支柱22が起立状態である場合には、操作部60Bの全体が最下段のハンドレール24よりも下に位置する。
【0057】
また、操作部60Bは、上段足場107の幅方向における外側の縁から外方に張り出しておらず、その外側の縁よりも内側にある。
【0058】
柵20の起立に際しては、下段足場106上の作業者が操作部60Bを掴んで、操作部60Bを押し上げる。これにより、支柱22が前に起き上がり、柵20が起立される。
【0059】
一方、柵20の格納に際しては、下段足場106上の作業者が操作部60Bを掴んで、操作部60Bを引き下げる。これにより、支柱22が後ろに倒れ、柵20が折り畳まれる。
【0060】
なお、操作部60Bが柵20の格納及び起立のために作業者によって把持されるため、その操作部60Bはハンドルといえる。しかし、操作部60Bの前後方向の長さがハンドレール24よりも短く、上段足場107上の作業者が操作部60Bを伝いに前後方向に移動するということができないため、操作部60Bはハンドレールに相当しない。
【0061】
<8. 操作部の変更例3>
以上の説明では、柵20を格納・起立するための操作部60は、作業者によって握られて操作されるハンドルである。
【0062】
それに対して、柵20を格納・起立するための操作部は、作業者によって操作される電動工具のスイッチ、手動ウインチのハンドル又は足踏みペダル式伝動機構の足踏みペダルであってもよい。
【0063】
この場合、伝動機構が支柱22の下端に設けられている。
【0064】
・ 電動工具
電動工具とは、回転動力を発生させる電動機を有するものであり、例えばインパクトドライバー又は電動ドリルドライバーのことをいう。
【0065】
操作部が電動工具のスイッチである場合、電動工具が伝動機構に対して着脱可能である。電動工具が伝動機構に連結された状態では、電動工具のスイッチは起立状態の柵20の最下段のハンドレール24よりも下に位置する。
【0066】
柵20の起立の際には、下段足場106上の作業者が電動工具を伝動機構に連結し、電動工具のスイッチを操作して電動工具を作動させる。そうすると、電動工具の回転運動が伝動機構によって支柱22の起立運動に変換され、柵20が起立される。
【0067】
柵20の格納の際には、下段足場106上の作業者が電動工具を伝動機構に連結し、電動工具のスイッチを操作して電動工具を逆方向に作動させる。そうすると、電動工具の回転運動が伝動機構によって支柱22の倒伏運動に変換され、柵20が折り畳まれる。
【0068】
・ 手動ウインチ
操作部が手動ウインチのハンドルである場合、手動ウインチが巻掛け伝動機構を介して支柱22の下端の伝動機構に連結されている。手動ウインチのハンドルは、起立状態の柵20の最下段のハンドレール24よりも下に位置し、より具体的にはハウス105の外面に取り付けられている。
【0069】
柵20の起立の際には、下段足場106上の作業者が手動ウインチのハンドルを一方に回転させると、手動ウインチの回転運動が巻掛け伝動機構及び伝動機構によって支柱22の起立運動に変換され、柵20が起立される。柵20の格納の際には、下段足場106上の作業者が手動ウインチのハンドルを他方に回転させると、手動ウインチの回転運動が巻掛け伝動機構及び伝動機構によって支柱22の倒伏運動に変換され、柵20が折り畳まれる。
【0070】
・ 足踏みペダル式伝動機構
操作部が足踏みペダル式伝動機構の足踏みペダルである場合、足踏みペダル式伝動機構の伝動機構部が足踏みペダルと支柱22の下端の伝動機構との間に連結されている。足踏みペダルは、起立状態の柵20の最下段のハンドレール24よりも下に位置し、より具体的にはハウス105内の床面又は下段足場106上に設けられている。
【0071】
柵20の起立の際には、足踏みペダル式伝動機構の伝達運動方向を一方の方向に設定した上で、下段足場106上の作業者が足踏みペダル式伝動機構の足踏みペダルを踏み込むと、足踏みペダルの運動が足踏みペダル式伝動機構の伝動機構部及び伝動機構によって支柱22の起立運動に変換され、柵20が起立される。柵20の格納の際には、足踏みペダル式伝動機構の伝達運動方向を他方の方向に設定した上で、下段足場106上の作業者が足踏みペダル式伝動機構の足踏みペダルを踏み込むと、足踏みペダルの運動が足踏みペダル式伝動機構の伝動機構部及び伝動機構によって支柱22の倒伏運動に変換され、柵20が折り畳まれる。
【0072】
<9. 操作部の変更例4>
以上の説明では、柵20を格納・起立するための操作部60は、作業者によって握られて操作されるハンドルである。
【0073】
それに対して、操作部は、作業者によって握られて引張操作されるロープであってもよい。この場合、ロープを支柱22に連結し、その支柱22より前方に滑車を設け、ロープを滑車に掛け、下段足場106上の作業者がロープを引っ張ると、支柱22が起立して、柵20が起立される。なお、作業者によって握られるロープの位置は、起立状態の柵20の最下段のハンドレール24よりも下方である。
【0074】
<10. 操作部の変更例5>
以上の説明では、柵20を格納・起立するための操作部60は、作業者によって握られて操作されるハンドルである。
【0075】
それに対して、操作部は、作業者によって操作される手動式油圧シリンダのハンドルであってもよい。この場合、手動式油圧シリンダを支柱22に連結し、下段足場106上の作業者が操作部(手動式油圧シリンダのハンドル等)を操作すると、手動式油圧シリンダの圧力によって支柱22が起立して、柵20が起立される。なお、作業者によって握られる手動式油圧シリンダのハンドルの位置は、起立状態の柵20の最下段のハンドレール24よりも下方である。
【0076】
<11. その他の変更例>
以上の説明では、作業者が操作部60を操作することによって柵20の格納・起立を行う。
【0077】
それに対して、作業機械100のブームを支持するためのガントリーの動力を利用して、柵20の格納・起立を行ってもよい。ガントリーのことをAフレームと称呼することもある。
【0078】
また、作業機械100に設けられたキャットウォークを広げる際の荷重を利用して、柵20を起立させてもよい。
【0079】
<12. 作業機械の変形例>
上記実施形態では、手摺装置10が設けられる作業機械100がタワー型のクローラクレーンであるが、手摺装置10が設けられる作業機械は、クローラクレーン以外の作業機械であってもよい。例えば、作業機械は、ホイールクレーン、トラッククレーン、港湾クレーン、天井クレーン、門型クレーン、アンローダ、固定式クレーン、ショベル、ブルドーザ、ホイールローダ、ダンプトラック、モーターグレーダ、フォークリフト、ドリルジャンボ、自走式破砕機又は自走式土質改良機であってもよい。
【0080】
<13. 柵の変形例1>
上記実施形態では、柵20が、後方に折り畳まれるよう格納可能であるとともに、前方に展開するよう起立可能である。しかしながら、柵20の格納・起立をする方向は、前後方向に限らず、例えば左右方向(幅方向)であってもよい。
【0081】
<14. 柵の変更例2>
以上の説明では、柵20が後方に格納可能であるとともに、前方に起立可能である。
【0082】
それに対して、図13及び図14に示すように、起立した柵20に相当するサイズの柵配列体20Aが複数の柵21Aから構成され、これら柵21Aが昇降可能に設けられてもよい。
【0083】
これら複数の柵21Aは、上段足場107の幅方向における外側の縁よりも内側の位置においてその外側の縁に沿って配列されている。
【0084】
柵21Aは、上段足場107に取り付けられて、上段足場107に対して相対的に昇降可能に設けられている。具体的には、柵21Aは、上段足場107を上下に貫通するように設けられた装着穴105Aに装着されて、その装着穴105Aによって上下方向に案内される。装着穴105Aは上段足場107の上からハウス105内に通じている。
【0085】
下段足場106上の作業者が柵21Aを押し上げると、柵21Aが装着穴105Aから上方に突出して、柵21Aが上段足場107の幅方向における外側の縁に沿って、上段足場107の上に起立した起立状態になる。そして、作業者がロック機構により柵21Aの下端を上段足場107にロックすると、柵21Aの起立状態が保持される。
【0086】
一方、作業者がロック機構のロックを解除すると、柵21Aがその自重によって下降して、装着穴105Aに引き込んだ引き込み状態になる。引き込み状態では、柵21Aがハウス105に収容される。
【0087】
起立した柵20に相当するサイズの柵配列体20Aが複数の柵21Aに分かれているため、作業者が柵21Aを1体ずつ昇降させることができる。各柵21Aは柵配列体20A及び柵20全体よりも軽量であるため、各柵21Aの昇降作業の負担が小さく、各柵21Aを容易に昇降させることができる。
【符号の説明】
【0088】
10 手摺装置
20 柵
21A 柵
22 支柱
23 最上段のハンドレール
24 最下段のハンドレール
60 操作部
60A 操作部
60B 操作部
100 作業機械
105 ハウス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14