(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147865
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車両用外装材の補剛構造
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20231005BHJP
B60J 5/06 20060101ALI20231005BHJP
B32B 23/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60J5/00 P
B60J5/06 A
B32B23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055605
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬木 真琴
【テーマコード(参考)】
4F100
【Fターム(参考)】
4F100AJ04B
4F100AT00A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100DD03B
4F100GB32
4F100JB07B
4F100JL11C
(57)【要約】
【課題】各種の性能を兼ね備えた補強材にて車両の外装材を補剛することにある。
【解決手段】車両の外装をなす外装材(ドアアウタパネル8)と、外装材(8)に固定されている補強材20とを備えた車両用外装材の補剛構造において、補強材20は、セルロース系繊維を積層して形成されていると共に、補強材20の外形をなす基部21と、基部21から立ち上がる複数の中空柱状の凸状部22とを有し、凸状部22の天井をなす天井部位220と基部21のいずれか一方に、外装材(8)に固定される固定部30が設けられていると共に、一方とは異なる凸状部22の天井をなす天井部位220と基部21のいずれか他方に、補強材20の変形を規制する剛性部40が設けられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外装をなす外装材と、前記外装材に固定されている補強材とを備えた車両用外装材の補剛構造において、
前記補強材は、セルロース系繊維を積層して形成されていると共に、前記補強材の外形をなす基部と、前記基部から立ち上がる複数の中空柱状の凸状部とを有し、
前記凸状部の天井をなす天井部位と前記基部のいずれか一方に、前記外装材に固定される固定部が設けられていると共に、前記一方とは異なる前記凸状部の天井をなす天井部位と前記基部のいずれか他方に、前記補強材の変形を規制する剛性部が設けられている車両用外装材の補剛構造。
【請求項2】
前記剛性部は、板状の前記外装材の面方向に途切れなく連続して形成されている請求項1に記載の車両用外装材の補剛構造。
【請求項3】
前記剛性部としての補強構造部が、前記一方とは異なる前記凸状部の天井をなす天井部位と前記基部のいずれか他方に設けられている請求項2に記載の車両用外装材の補剛構造。
【請求項4】
前記補強構造部は、前記基部及び前記凸状部よりも耐水性に優れている請求項3に記載の車両用外装材の補剛構造。
【請求項5】
前記固定部は、前記凸状部と前記外装材間に設けられた接着層である請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用外装材の補剛構造。
【請求項6】
前記凸状部の天井をなす天井部位には、前記接着層が入り込んだ孔部が、前記外装材から離れる方向に延びるように形成されている請求項5に記載の車両用外装材の補剛構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外装をなす外装材と、外装材に固定されている補強材とを備えた車両用外装材の補剛構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の分野では、その外装をなす外装材を補強材によって補剛することがある。例えば車両の軽量化の観点から外装材を部分的に薄肉化した場合、その薄肉化した部分に補強材を固定しておく。しかし補強材として樹脂製の板材を用いた場合、その剛性確保の観点から板材の板厚を大きくしなければならず、外装材の重量増加の抑制には不向きの構成であった。さらに外装材の薄肉化した部分に板材を熱融着する場合、樹脂の熱収縮等によって外装材に歪みが生じるなどして、優れた外観の確保に手間取るおそれがある。
【0003】
ここで特許文献1に開示の技術では、車両の内装材に稠密な板材を固定している。この稠密な板材は、セルロース系繊維を積層してなるパルプモールド成形体で構成されている。そしてパルプモールド成形体は、適度な剛性と軽量性を兼ね備えており、各種の分野で使用されている。そこでパルプモールド成形体製の稠密な板材を外装材に固定して補剛することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし外装材用の補強材には、内装材用の補強材に比して高い剛性が求められている。このためパルプモールド成形体製の稠密な板材を用いた場合、その剛性確保の観点から板厚を樹脂板のように大きくする必要があり、重量増加を抑制し難いという問題があった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、各種の性能を兼ね備えた補強材にて車両の外装材を補剛することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段として、第1発明の車両用外装材の補剛構造は、車両の外装をなす外装材と、外装材に固定されている補強材とを備えている。この種の補剛構造では、剛性や軽量性などの各種性能を兼ね備えた補強材にて外装材を補剛できることが望ましい。そこで本発明の補強材は、セルロース系繊維を積層して形成されていると共に、補強材の外形をなす基部と、基部から立ち上がる複数の中空柱状の凸状部とを有している。そして凸状部の天井をなす天井部位と基部のいずれか一方に、外装材に固定される固定部が設けられていると共に、一方とは異なる凸状部の天井をなす天井部位と基部のいずれか他方に、補強材の変形を規制する剛性部が設けられている。本発明の補強材は、セルロース系繊維を積層して形成されていることから、剛性と軽量性に優れている。また補強材は、中空な凸状部を基部から立ち上がるように設けているため、稠密な板材に比して所望の軽量性を確保し易い構成となっている。そして凸状部と基部のいずれか一方側に設けられた固定部と、凸状部と基部側のいずれか他方に設けられた剛性部とを、外装材から離れる方向に離間させることで、補強材の剛性を確保できるようになる。
【0007】
第2発明の車両用外装材の補剛構造は、第1発明の車両用外装材の補剛構造において、剛性部は、板状の外装材の面方向に途切れなく連続して形成されている。本発明では、剛性部が外装材の面方向に延びるように形成されているため、外装材の面方向における補強材の引張強度をより確実に確保できるようになる。
【0008】
第3発明の車両用外装材の補剛構造は、第2発明の車両用外装材の補剛構造において、剛性部としての補強構造部が、一方とは異なる凸状部の天井をなす天井部位と基部のいずれか他方に設けられている。本発明では、基部又は天井部位に設けられた補強構造部にて、補強材の引張強度を更に確実に確保できるようになる。
【0009】
第4発明の車両用外装材の補剛構造は、第3発明の車両用外装材の補剛構造において、補強構造部は、基部及び凸状部よりも耐水性に優れている。本発明では、耐水性と剛性を備えた補強構造部によって、補強材の性能をより適切に確保できるようになる。
【0010】
第5発明の車両用外装材の補剛構造は、第1発明~第4発明のいずれかの車両用外装材の補剛構造において、固定部は、凸状部と外装材間に設けられた接着層である。本発明では、接着層からなる固定部によって、外装材と補強材とをより強固に固定しておくことができる。さらに本発明では、剛性部の剛性(引張強度等)を、外装材に対する固定部の接着強度とのバランスを考慮して設定できるようになる。
【0011】
第6発明の車両用外装材の補剛構造は、第5発明の車両用外装材の補剛構造において、凸状部の天井をなす天井部位には、接着層が入り込んだ孔部が、外装材から離れる方向に延びるように形成されている。本発明では、凸状部の孔部に入り込んだ接着層によって、外装材と補強材とを更に強固に固定しておくことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る第1発明によれば、各種の性能を兼ね備えた補強材にて車両の外装材を補剛することができる。また第2発明によれば、補強材の剛性をより確実に確保することができる。また第3発明によれば、補強材の剛性を更に確実に確保することができる。また第4発明によれば、補強材の耐水性と剛性をより確実に確保することができる。また第5発明によれば、補強材の取付け性と剛性をより適切に確保することができる。そして第6発明によれば、補強材の取付け性を更に確実に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】薄肉部を透視して示すドアアウタパネルの透視正面図である。
【
図4】凸状部を示す補強材の一部の概略斜視図である。
【
図5】凸状部を拡大して示す補強材の概略拡大斜視図である。
【
図7】荷重の加えられた薄肉部と補強材の概略横断面図である。
【
図9】変形例2の補強材の一部の概略横断面図である。
【
図10】変形例3の補強材の一部の概略縦断面図である。
【
図11】実施例と比較例の剛性測定試験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1~
図11を参照して説明する。各図には、便宜上、補強材が車両の外装材に配設された状態を基準として、車両及び補強材の前後方向と上下方向と左右方向を示す矢線を適宜図示する。
【0015】
[車両の構造]
車両外装材の補剛構造について説明する前に、先ず、
図1に示す車両の概要について説明する。この車両2では、その車両ボディの側面に、前部座席に対応するフロントドア開口部3と、後部座席に対応するリヤドア開口部4とが形成されている。また、前部座席と後部座席の設置された車室Rの車両上側には、車両2の天井部分を構成するルーフパネル5が配設されている。そしてフロントドア開口部3は、図示しないドアヒンジを中心に回動可能なフロントドア6により開閉可能に構成されている。またリヤドア開口部4は、車両前後方向にスライドするリヤドア7(詳細後述)により開閉可能に構成されている。
【0016】
ここで
図1に示すリヤドア7は、金属製で板状のドアアウタパネル8とドアインナパネル9とが互いの周縁部分で接合されることにより、中空閉断面状に形成されている。また、ドアアウタパネル8とドアインナパネル9との間には、複数のパイプ状のリインフォース(図示省略)が車両前後方向に延びるように配設されている。そしてドアアウタパネル8は、本発明の外装材に相当する部材であり、リヤドア7の外装部分を構成している。このドアアウタパネル8は、
図2に示すように正面視で概ね矩形に形成されており、その車両前後方向と車両上下方向とがドアアウタパネル8の面方向に相当する。
【0017】
[車両外装材の補剛構造]
そして車両外装材の補剛構造では、上記したドアアウタパネル8(外装材)が、
図2及び
図3に示す補強材20にて補剛されている。即ち、ドアアウタパネル8は、
図2に示す正面視で概ね矩形状に形成されたドア本体部80と、このドア本体部80の車両上部に設けられた窓枠部81とから構成されている。そしてドア本体部80には、軽量化の観点から薄肉部10が形成されている。この薄肉部10は、所定の車両上下方向の幅寸法をもって車両前後方向に延びるように形成されており、その他のドアアウタパネル8部分よりも厚み寸法(左右方向の寸法)が小さくされている。そしてドアアウタパネル8の薄肉部10は、
図3に示すように補強材20が固定されることで補剛されるのであるが、この種の補強材20には、剛性や軽量性等の各種性能が確保されていることが望ましい。そこで本実施形態では、後述する各種の性能を兼ね備えた補強材20にてドアアウタパネル8を補剛することとした。以下、ドアアウタパネル8用の補強材20の詳細を説明する。
【0018】
[補強材]
図3に示す補強材20は、車両前後方向に長い矩形状に形成されており、薄肉部10に嵌められるようになっている。そして補強材20には、補強材20の外形をなす基部21と、この基部21から立ち上がる複数の凸状部22とが設けられている(
図3等では、便宜上、一つの凸状部に符号22を付し、その他の凸状部に共通の符号(22)を付す)。そして補強材20には、
図4に示すように、凸状部22が車両前後方向に所定の間隔(
図4では等間隔)で並ぶ複数の列C1~C5が形成されている。この凸状部22の複数の列C1~C5は、車両上下方向に所定の間隔(
図4では等間隔)をあけて並列している。
【0019】
ここで
図3及び
図4に示す凸状部22(22)は概ね同一の基本構成を有しているため、一つの凸状部22を一例にその詳細を説明する。この凸状部22は、
図5に示すように概ね四角錐台状をなす中空柱状の部位であり、基部21からドアアウタパネル8の厚み方向(各図の左右方向)に突出している。そして凸状部22の天井をなす天井部位220は、平面視で四角形状の板状に形成されており、上記した薄肉部10に面接触できるように概ね平坦となっている。なお凸状部22では、天井部位220の底側(各図の右側)に基部21が配置されておらず解放状となっている。また凸状部22は、剛性確保の観点から縦断面視でハット形状に形成されている。即ち、凸状部22の対をなす周面部位同士(後側面部位221と前側面部位222、上側面部位223と下側面部位224)は、基部21に向かうにつれて次第に離れる向きに傾いている。
【0020】
そして
図3及び
図4に示す補強材20には、その外形をなすように基部21が形成されていると共に、この基部21が、隣り合う凸状部22の間に形成されている。即ち、車両上下方向に隣り合う凸状部22の列(例えばC1とC2)の間に、基部21が車両前後方向に直線的に延びるように形成されている。また、車両前後方向に隣り合う凸状部22(22)の間にも、基部21が車両上下方向に直線的に延びるように形成されている。このように補強材20の基部21は、車両前後方向と車両上下方向とに格子状に形成されることで、上記したドアアウタパネル8(外装材)の面方向に途切れなく連続している。
【0021】
[補強材の素材]
ここで
図3~
図5に示す補強材20は、剛性と軽量性確保の観点等から、複数のセルロース系繊維を積層状態で一体化した素材で構成されている。この種のセルロース系繊維として、植物繊維(天然繊維)や再生繊維や精製繊維や半合成繊維等の各種のセルロース系繊維を使用でき、原料調達の利便性やリサイクル性を考慮するとパルプから得られるセルロース系繊維を好適に使用することができる。そして、パルプから得られるセルロース系繊維を補強材20の素材とすることで、ライフサイクルアセスメント(LCA)に沿ったCO
2排出量の削減や環境負荷の低減に寄与することが可能となる。さらに補強材20の表面は、セルロース系繊維が密に交絡して一体化されることで適度な剛性と硬さを有しており、車室内外の音を適度に遮音及び吸音することが可能となっている。
【0022】
[補強材の形成手法]
また
図3~
図5に示す補強材20の形成手法は、用いるべき素材に応じて適宜設定可能である。例えば本実施形態では、成形型(図示省略)を用いたパルプモールド成形によって、セルロース系繊維を積層状態で一体化した素材で補強材20を形成している。この成形型は、補強材20の外形に倣った外形を有し、その適所に液体吸入口が形成されている。そしてパルプモールド成形においては、網材で覆われた成形型を、セルロース系繊維を含む液状の原液(詳細後述)に浸しておく。この状態で、液体吸入部から原液の液体を吸入することで、網材の上にセルロース系繊維を積層させていくことができる。そして所望の積層量のセルロース系繊維が網材上に積層されたのちに、成形型を原液から引き揚げ、積層したセルロース系繊維を乾燥させて一体化させる。
【0023】
ここでパルプモールド成形用の原液の形成手法は特に限定しないが、一般的な形成手法として、所定量(例えば固形分含量が0.5重量%以上となる量)のパルプを水に投入したのち、これらがスラリー状となるまで撹拌する手法を例示できる。そしてパルプとして、化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプ及び非木材パルプを1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、特にリサイクル性の観点などから古紙パルプを用いることが望ましい。この種の古紙パルプとして、離解古紙パルプ、離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプを例示でき、この古紙パルプの原材料は、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙や無選別古紙から得ることができる。また化学パルプとして、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹半晒クラフトパルプ(NSBKP)、広葉樹半晒クラフトパルプ(LSBKP)、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹亜硫酸パルプを例示できる。また機械パルプとして、ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)を例示できる。そして非木材パルプとして、ケナフ、麻、葦等の非木材繊維を原料とするパルプを例示できる。
【0024】
そして原液には、
図3~
図5に示す補強材20の性能向上に寄与する添加剤を添加しておくことができる。この種の添加剤として、サイズ剤、乾燥紙力剤や湿潤紙力剤等の紙力増強剤、PH調整剤、濾水性向上剤、消泡剤、嵩高剤、歩留剤、防菌剤、防カビ剤、填料、染料を例示できる。なかでも水の浸透を防いで耐水性向上に寄与するサイズ剤、乾燥状態時の破断強さ(強度性)向上に寄与する乾燥紙力剤、湿った時の強度性向上に寄与する湿潤紙力剤の少なくとも一種を原液に添加することが好ましい。そしてサイズ剤として、ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤を例示できる。また乾燥紙力剤として、アニオン性ポリアクリルアミド樹脂等のポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂を例示できる。また湿潤紙力剤として、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(又はその変性物)を例示できる。なお原液に対する各添加剤の添加量は、補強材20に所望の性能を付与できる限り特に限定しない。例えばサイズ剤は、0.5重量%~5重量%の範囲で添加することができ、1.0重量%以上添加することが望ましい。また乾燥紙力剤は、0.5重量%~5重量%の範囲で添加することができ、3.0重量%以上添加することが望ましい。また湿潤紙力剤は、2重量%~15重量%の範囲で添加することができ、4.0重量%以上添加することが望ましい。
【0025】
[補強材の特性]
図3~
図5に示す成形後の補強材20は、上記したように適度な剛性を有し、その剛性はヤング率によって規定することができる。ここでヤング率は、「JIS K 7113」に準拠した引張試験にて測定できる。そしてパルプモールド成形体からなる補強材20は、密度に相当する緊度(見掛け比重)が典型的に300kg/m
3~400kg/m
3の範囲であり、そのヤング率が0.2GPa~0.8GPaの範囲の優れた剛性を有することとなる。また基部21に圧縮処理を施すことにより、この基部21の引張強度を向上させることもできる。例えば基部21をプレス処理することで、その基部21の緊度を400kg/m
3よりも大きくすることができ、例えば450kg/m
3~800kg/m
3とすることができる。そして基部21の引張強度はプレス処理前で1MPa~6MPaであり、プレス処理後で2MPa~15MPaである。
【0026】
また成形後の補強材20は、セルロース系繊維の積層体で構成されているため、金属性のドアアウタパネル8に比して軽量である。そして補強材20の平均厚み寸法(乾燥後のセルロース系繊維の平均積層量)は、補強材20の適度な剛性を確保できる限り特に限定しないが、軽量性確保の観点から必要以上に大きくする必要はない。例えば補強材20の平均厚み寸法は、その剛性確保の観点から典型的に0.2mm~15mmの範囲に設定でき、所望の軽量性と剛性の確保の観点等から1.0mm~8.0mmの範囲に設定することもできる。そして適度な厚みを備えた補強材20は、そのセルロース系繊維の層が振動や熱に対する緩衝層として働くようになり、所定の制振性と断熱性を備えられるようになる。
【0027】
[補強材の配設手法(固定部と剛性部の形成)]
次に
図5及び
図6を参照して、ドアアウタパネル8の薄肉部10に対する補強材20の固定手法を説明する。先ず、補強材20の凸状部22(22)を薄肉部10に向けるように配置し、この凸状部22の天井部位220を薄肉部10に固定する。このとき補強材20の固定手法は特に限定しないが、液状の接着剤やシート状の接着材を使用することで、天井部位220と薄肉部10間に所定の接着強度(詳細後述)を備えた接着層15を形成することができる。そして本実施形態では、天井部位220と薄肉部10間の接着層15が、ドアアウタパネル8(外装材)に固定される固定部30に相当する。なお接着剤と接着材の接着成分として、加熱硬化型の接着成分、非加熱型硬化性の接着成分、制振性を備えた接着成分を例示できる。
【0028】
また
図6に示す薄肉部10に固定された補強材20では、その基部21が、ドアアウタパネル8から離れる方向(
図6の左右方向)に離間して配置されている。そこで基部21を、上記したように車両前後方向等に途切れなく連続して形成することで、この基部21の設けられた補強材20の車両前後方向等の引張強度(詳細後述)が確保されるようになる。即ち、本実施形態では、補強材20の基部21自体が補強材20の変形を規制する剛性部40に相当する。さらに補強材20では、剛性部40としての基部21が格子状に形成されて車両前後方向と車両上下方向とに途切れなく連続しているため、補強材20の引張強度が一層確保されるようになる。そして上記した構成では、固定部30と剛性部40とが離間して配置されることで、補強材20が剛性に優れるサンドイッチ構造を構成するようになり、ドアアウタパネル8の薄肉部10を適切に補剛することが可能となる。
【0029】
[固定部と剛性部の関係]
つづいて
図6に示す固定部30としての接着層15のせん断方向(
図6の左右方向と直交する方向)の接着強度と、剛性部40としての基部21の引張強度とについて説明する。この接着層15のせん断方向の接着強度と基部21の引張強度とは、補強材20に求められる性能を確保できる限り特に限定しないが、いずれか一方が極端に強くならないようにバランスを取ることが望ましい。即ち、接着層15のせん断方向の接着強度が極端に強い場合、ドアアウタパネル8に荷重が加えられた際に基部21に応力が集中して座屈変形又は破断し易くなる。また基部21の引張強度が極端に強い場合、ドアアウタパネル8に荷重が加えられた際に接着層15に応力が集中して剥離し易くなる。そこで接着層15のせん断方向の接着強度を10N/cm
2~100N/cm
2の範囲、より好ましくは40N/cm
2~80N/cm
2の範囲に設定する。また基部21の引張強度を1MPa~15MPaの範囲、より好ましくは2MPa~8MPaの範囲に設定する。こうして、接着層15のせん断方向の接着強度と基部21の引張強度を上記した範囲に設定することで、両強度のバランスをとることができる。なお接着層15のせん断方向の接着強度は、「JIS K 6850:1999」に準拠して測定することができる。
【0030】
また
図4~
図6を参照して、凸状部22(22)の天井部位220の総面積と基部21の総面積とは、補強材20に求められる性能を確保できる限り特に限定しないが、上記した接着強度と引張強度のバランスを考慮して設定することが望ましい。例えば天井部位220の総面積を1とした場合、基部21の面積を0.3~3の範囲、より好ましくは0.6~2.0の範囲に設定することで、上記した接着強度と引張強度のバランスを取りやすくなる。そして天井部位220に対する基部21の面積比が0.3未満であると、引張強度の確保の観点から基部21の厚み寸法を大きくしなければならず、重量増加の抑制に手間取るおそれがある。また天井部位220に対する基部21の面積比が3を超えると、接着強度の確保の観点から接着剤等の選定に手間取り、またコストアップになるおそれがある。
【0031】
[補強材の働き]
上記した車両外装材の補剛構造では、
図3~
図6に示すように、ドアアウタパネル8の薄肉部10に補強材20が固定されることで補剛されている。この補強材20は、基部21に対して中空な凸状部22(22)が複数形成されているため、適度な剛性を備え且つドアアウタパネル8に比して軽量である。そして補強材20は、上記したように剛性に優れるサンドイッチ構造を構成しているため、ドアアウタパネル8の薄肉部10を適切に補剛することが可能となっている。このため
図7に示すように、車幅方向外側からドアアウタパネル8に荷重Fが加えられた場合、このドアアウタパネル8の薄肉部10の撓み変形を補強材20にて極力抑制することができる。また補強材20は、セルロース系繊維製であることから、剛性や軽量性等の各種の性能(吸音性、遮音性、制振性及び断熱性等)に優れ、更にパルプ等を原料にできることから環境負荷の少ない(低LCAの)部材である。このため車両外装材の補剛構造では、各種性能をより適切に確保した補強材20を薄肉部10に固定することにより、この薄肉部10の設けられたドアアウタパネル8をより適切に補剛できるようになる。
【0032】
以上説明した通り、本実施形態の補強材20は、セルロース系繊維を積層して形成されていることから、剛性と軽量性に優れている。また補強材20は、中空な凸状部22を基部21から立ち上がるように設けているため、稠密な板材に比して所望の軽量性を確保し易い構成となっている。そして一方の凸状部22側に設けられた固定部30と、他方の基部21側に設けられた剛性部40とを、ドアアウタパネル8(外装材)から離れる方向に離間させることで、補強材20の剛性を確保できるようになる。このため本実施形態によれば、各種の性能を兼ね備えた補強材20にて車両2のドアアウタパネル8を補剛することができる。
【0033】
さらに本実施形態では、剛性部40がドアアウタパネル8の面方向に延びるように形成されているため、ドアアウタパネル8の面方向における補強材20の引張強度をより確実に確保できるようになる。そして本実施形態では、接着層15からなる固定部30によって、ドアアウタパネル8と補強材20とをより強固に固定しておくことができる。さらに本実施形態では、剛性部40の剛性(引張強度等)を、ドアアウタパネル8に対する固定部30の接着強度とのバランスを考慮して設定できるようになる。
【0034】
[変形例1]
ここで補強材の構成は、上記した構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば
図8に示す変形例1の補強材20Aでは、その基部21側に、剛性部40としての補強構造部41が設けられている点が実施形態と異なっている。この剛性部40としての補強構造部41は、基部21側において車両前後方向(及び車両上下方向)に途切れなく連続して設けられており、ドアアウタパネル8の面方向に延びている。そして補強構造部41は、基部21の外面(
図8の右面)に対して、後述する別部材としてのフィルム材や板材や網材や柱材(ワイヤ材を含む)等を一体化することで形成できる。また補強構造部41は、基部21の外面に液状樹脂を付与したのち固化してなる樹脂層で形成することもできる。
【0035】
ここで
図8に示す別部材としての補強構造部41として、繊維積層体、樹脂や金属の部材、厚手の紙材等の素材を例示でき、基部21と同等又はそれ以上の剛性を備える素材であることが望ましい。また繊維積層体は、補強材20Aで例示の繊維のほか、カーボンナノファイバなどのカーボン繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維、ボロン繊維、活性炭繊維などの高強度の繊維で形成することができる。そして補強構造部41は、接着や融着等の手法で基部21に一体化することができ、上記したパルプモールド成形の際に埋設状に一体化しておくこともできる。そして樹脂層としての補強構造部41も、基部21と同等又はそれ以上の剛性を備えることが望ましい。この種の樹脂として、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ABS(アクリロニトリルーブタジエンースチレン)樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を例示できる。
【0036】
また
図8に示す補強構造部41は、基部21よりも耐水性(撥水性)に優れていることが望ましい。そして補強構造部41自体が耐水性を備える場合のほか、補強構造部41に耐水処理を施すことで耐水性を向上させることもでき、例えば補強構造部41の表面に耐水性に優れる被覆層を形成することができる。この種の耐水性を備える補強構造部41又は被覆層の素材として、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂、シリコン樹脂を例示できる。
【0037】
そして
図8に示す変形例1の補強材20Aによれば、剛性部40としての補強構造部41によって、補強材20Aの剛性(基部21の引張強度)を更に確実に確保できる。また、耐水性と剛性を備えた補強構造部41によって、補強材20Aの性能をより適切に確保できるようになる。そして上記した構成では、補強材20Aの剛性を剛性部40としての補強構造部41で確保できることから、基部21の形状選択の自由度を高めることが可能となる。例えば基部21を車両前後方向(又は車両上下方向)に蛇行させたり、基部21を車両前後方向等に断続的に形成したりすることもできる。さらに凸状部22の底側を補強構造部41で覆うと共に、この凸状部22の適宜の位置に貫通孔(図示省略)を設けることもできる。こうして凸状部22(密閉空間)の内外を貫通孔で連通することで、ヘルムホルツの共鳴原理を利用した吸音が可能となり、補強材20Aの吸音性を更に確実に確保することができる。
【0038】
[変形例2]
また凸状部の構成も適宜変更可能である。例えば
図9に示す変形例2の補強材20Bでは、凸状部22Bの天井部位220に孔部22Hが形成されていると共に、この孔部22Hがドアアウタパネル8から離れる方向(
図9の左右方向)に延びている点が実施形態と異なる。即ち、凸状部22Bの天井部位220には、貫通孔としての孔部22Hが左右方向に延びるように形成されており、この孔部22Hに接着層15が入り込んで固着されている。上記した構成によれば、凸状部22Bの孔部22Hに入り込んだ接着層15が、ドアアウタパネル8に対する補強材20Bのせん断方向の移動を規制するアンカーとして働くようになる。これにより、凸状部22Bの孔部22Hに入り込んだ接着層15によって、ドアアウタパネル8と補強材20Bとを更に強固に固定しておくことができる。なお孔部22Hは、必ずしも天井部位220を貫通する必要はなく、天井部位220に設けられた非貫通孔や溝状の孔部であってもよい。また複数の凸状部を基部に設ける場合、凸状部の全部又は一部に孔部を複数又は単数設けることができる。
【0039】
[変形例3]
また基部の形状も適宜変更可能である。例えば
図10に示す変形例3の補強材20Cは、その基部21Cが車室側(図の右側)に凸の曲面形状に形成されている点が実施形態と異なる(なお
図10では、その紙面奥行き方向が車両前後方向に相当する)。本変形例では、剛性に優れる凸曲面状に形成された基部21Cによって、補強材20Cの剛性(引張強度)を一層適切に確保できるようになる。
【0040】
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。以下の[表1]には、各実施例及び各比較例の剛性(試験力10N~20Nの区間における試験力と変位の傾き)を示す。
【0041】
[実施例]
実施例1では、パルプモールド成形によって補強材を製造した。またパルプモールド成形では、所定量の古紙パルプを水に投入してスラリー状とした原液を使用した。そして補強材には、
図4に示すように、基部に対して複数の凸状部を概ね等間隔で形成した。また補強材の平均厚み寸法を2.0mmとし、重量を26gに設定した。また各凸状部の内部体積を9.68cm
3とした。また凸状部の天井部位の総面積を67.5cm
2に設定し、基部の総面積を90cm
2に設定した(天井部位の総面積を1とした場合に、基部の面積を1.33に設定した)。そして外装材に相当する鉄製の板(巾150mm、長さ200mm、厚み0.4mm、118g)に凸状部の天井部位を接着固定して、実施例1の試験片を作成した。このとき接着層の接着強度を60N/cm
2に設定し、基部の引張強度を6.0MPaに設定した。
【0042】
また実施例2では、実施例1と同様の手順で補強材を製造した。そして実施例2では、外装材を上下逆向きにして、上記した鉄製の板に基部を接着固定することにより、実施例2の試験片を作成した。
【0043】
[比較例]
比較例1の試験材として、鉄製の板(巾150mm、長さ200mm、厚み0.7mm、202g)の試験片を用意した。また比較例2の試験材として、鉄製の板(巾150mm、長さ200mm、厚み0.4mm、118g)の試験片を用意した。そして比較例3の試験材として、鉄製の板(巾150mm、長さ200mm、厚み0.4mm、118g)に稠密な板状のパルプモールド成形体を接着固定したものを用意した。この比較例3では、パルプモールド成形体の平均厚み寸法を3.0mm、重量を45gとした。
【0044】
[剛性測定試験]
各実施例及び各比較例の試験材の剛性を、圧縮試験機(島津製作所製、商品名AUTOGRAPH AG-X)を用いて測定した。試験方法は、「JIS K7171 ISO178」の3点曲げ試験方法に準じた方法を採用し、支点間距離を150mmとし、試験速度を10mm/minとした。そして、外装材に相当する鉄製の板側から荷重を加えて、各試験片の試験力(荷重)に対する変位量を測定した。
【0045】
【0046】
[結果及び考察]
図11及び[表1]を参照して、比較例2の試験片は、その剛性(試験力と変位の傾き)が比較例1の試験片よりも低く、試験力10N~20Nの区間では約1/5に低下した。また比較例3の試験片は、比較例2の試験片よりも高剛性であったが、さらに剛性を向上させるために板厚を大きくする必要があることがわかった。
【0047】
一方、
図11及び[表1]を参照して、実施例1と実施例2の試験片は、比較例2の試験片よりも高剛性であることがわかった。特に実施例1の試験片は、比較例1の試験片よりも高剛性であり、優れた剛性を備えていることがわかった。また実施例2の試験片は、試験力が10N~20Nの区間において、比較例3の試験片よりも高剛性であった。ここで10N~20Nの範囲の試験力は、洗車時等において外装材に加えられる外力(水の圧力や洗車ブラシから加わる力)に相当する。このため通常時において外装材に加えられる外力の範囲においては、実施例2の試験片が比較例3の試験片よりも剛性に優れていることがわかった。そして上記した結果は、固定部と剛性部とを離間させて、補強材にサンドイッチ構造を形成したためと考えられる。また、実施例1と実施例2の試験片は、中空な凸状部を基部から立ち上がるように設けているため、比較例3の試験片(稠密な板材)に比して所望の軽量性を確保し易い構成であった。そして実施例1及び2の試験片と比較例1~3の試験片との重量差から、実施例1及び2の構成によれば、その重量増加を抑制しつつ剛性を確保できることがわかった。以上の試験結果から、各種の性能を兼ね備えた実施例1及び実施例2の補強材にて車両の外装材を補剛できることが判明した。
【0048】
また実施例1及び実施例2では、試験力10N~20Nの区間において、基部の座屈変形や接着層の剥離は生じなかった。このことから実施例1及び実施例2では、接着層のせん断方向の接着強度と基部の引張強度とのバランスがとれていることがわかった。そして天井部位の総面積を1とした場合、基部の面積を0.3~3の範囲に設定することで、上記した接着強度と引張強度のバランスを取りやすくなることが容易に推察された。
【0049】
本実施形態の車両用外装材の補剛構造は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、補強材の構成を例示したが、補強材の構成を限定する趣旨ではない。例えば剛性部は、基部と凸状部のいずれか一方に設けることができる。即ち、凸状部の天井部位側に剛性部を設け且つ基部に固定部を設けることができる。この場合には、凸状部の天井部自体を剛性部としてもよく、剛性部としての補強構造部を天井部位に設けてもよい。また基部は、外装材の面方向の少なくとも一方向に連続していることが望ましく、例えば
図3に示す形態では車両前後方向と車両上下方向の少なくとも一方に連続していることが望ましい。また基部は、直線的に形成されている場合のほか、車両前後方向且つ上下方向に傾斜させて形成されていてもよい。また基部を平坦とした場合、この基部に車両前後方向等に延びるリブを凸設することもできる。そして剛性部(基部と凸状部のいずれか)には、耐水性のみに寄与する被覆層を設けておくこともできる。
【0050】
また複数の凸状部を形成する場合、各凸状部の形状をそれぞれ独立に設定することができる。この種の凸状部の形状として、四角錐台状や直方体状や立方体状などの形状、円筒状や円錐台状や中空円筒状などの形状、半球状等の各種の中空柱状の形状を採用できる。また凸状部は、外装材の面方向に延びるように形成することができる。例えば
図3に示す車両前後方向に延びる列の凸状部を全て繋げるようにして、一つの凸状部を車両前後方向に延びるように形成することもできる。
【0051】
また本実施形態では、外装材の構成を例示したが、外装材の構成を限定する趣旨ではない。例えば外装材として、車両の外装を構成する各種の部材を想定でき、リヤドアのほか、フロントドア、ルーフパネル、ルーフパネルを支持するピラー等の外装側のパネルや、車両の外観を構成する外装パネル(QTRパネル等)の各種の外装材を例示できる。また外装材は必ずしも板状である必要はない。また外装材では、その適宜の箇所を補強材で補剛することができ、当該補剛すべき箇所は必ずしも薄肉部である必要はない。そして実施形態と各変形例の構成は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0052】
2 車両
R 車室
3 フロントドア開口部
4 リヤドア開口部
5 ルーフパネル
6 フロントドア
7 リヤドア
8 ドアアウタパネル(本発明の外装材)
80 ドア本体部
81 窓枠部
9 ドアインナパネル
10 薄肉部
15 接着層
20 補強材
21 基部
22 凸状部
30 固定部
40 剛性部
220 天井部位
221 後側面部位
222 前側面部位
223 上側面部位
224 下側面部位
20A (変形例1の)補強材
41 補強構造部
20B (変形例2の)補強材
22H 孔部
20C (変形例3の)補強材
21C (変形例3の)基部