(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147867
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】液体注入具及び美容器具
(51)【国際特許分類】
A61M 37/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61M37/00 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055609
(22)【出願日】2022-03-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年12月24日に公開されたウェブサイトにおいて、第10回 国際化粧品展 -COSME TOKYO-(主催者:RX Japan株式会社)のカタログで発表。https://www.cosme-week.jp/ja-jp/search/2022/tokyo/directory/directory-details.org-ba5c7421-51dd-4f22-bd2b-29436b579217.html#/ (2)令和4年1月12日から令和4年1月14日にかけて開催された第10回 国際化粧品展 -COSME TOKYO-(主催者:RX Japan株式会社)において、令和4年1月12日口頭で発表。 (3)令和4年1月12日に公開された商品「Seleia」のウェブサイトにて公開。 (4)令和4年2月17日に発行された美ST 4月号(株式会社光文社)の第59頁において発表。 (5)ウェブサイト(https://www.instagram.com/p/CbT6-1JpNTS/)において、令和4年3月20日に発表。 (6)ウェブサイト(https://be-story.jp/article/102978)において、令和4年3月27日に発表。
(71)【出願人】
【識別番号】514277260
【氏名又は名称】シンクランド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】橋本 義浩
(72)【発明者】
【氏名】日隈 薫
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA71
4C267BB09
4C267BB10
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB25
4C267CC01
(57)【要約】
【課題】マイクロニードルを採用し、皮膚の所望の位置に容易に液体を浸透させることが可能な新規な液体注入具を提供する。
【解決手段】液体を収容する内部空間を有する軸部と、内部空間に連通する貫通孔を有するマイクロニードル部と、貫通孔から液体を吐出させる吐出部と、を有し、マイクロニードル部は、筒状の側壁部と、側壁部に接続された底部と、を有する本体部と、底部に設けられ、貫通孔を有する複数の第1マイクロニードルと、底部に設けられ、第1マイクロニードルよりも小さい複数の第2マイクロニードルと、を有し、軸部は、筒状の軸部本体と、軸部本体の一端に設けられた筒状のアダプタと、アダプタの内部に挿入され軸部本体と連通する内管と、を有し、内管の外表面には内管の周方向に連続する凸状部を有し、アダプタは、本体部に嵌合し、凸状部は、アダプタを介して本体部を外側に向けて加圧する液体注入具。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容する内部空間を有する軸部と、
前記内部空間に連通する貫通孔を有するマイクロニードル部と、
前記貫通孔から前記液体を吐出させる吐出部と、を有し、
前記マイクロニードル部は、筒状の側壁部と、前記側壁部に接続された底部と、を有する本体部と、
前記底部に設けられ、前記貫通孔を有する複数の第1マイクロニードルと、
前記底部に設けられ、前記第1マイクロニードルよりも小さい複数の第2マイクロニードルと、を有し、
前記軸部は、筒状の軸部本体と、
前記軸部本体の一端に設けられた筒状のアダプタと、
前記アダプタの内部に挿入され前記軸部本体と連通する内管と、を有し、
前記内管の外表面には前記内管の周方向に連続する凸状部を有し、
前記アダプタは、前記本体部に嵌合し、
前記凸状部は、前記アダプタを介して前記本体部を外側に向けて加圧する液体注入具。
【請求項2】
前記アダプタの外表面には、凸部を有し、
前記本体部の内表面は、前記アダプタが嵌合した姿勢において前記凸部と接する位置に前記凸部が相補的に嵌合する溝を有さない請求項1に記載の液体注入具。
【請求項3】
前記内管の外表面には、前記内管の軸方向の異なる位置に前記凸状部を2つ有し、
前記アダプタの外表面の前記凸部は、前記内管の軸方向において2つの前記凸状部の間に位置する請求項2に記載の液体注入具。
【請求項4】
前記底部の外面の周縁は、前記底部の周方向に連続する凸曲面である請求項1から3のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項5】
2つの前記第1マイクロニードルの間には、少なくとも1つの前記第2マイクロニードルが設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項6】
前記マイクロニードル部は、前記軸部の中心軸に沿った視野において、1つの前記第1マイクロニードルと、前記第1マイクロニードルと隣り合う3以上の前記第2マイクロニードルと、で構成されるマイクロニードル群を有し、
前記マイクロニードル群において、3以上の前記第2マイクロニードルは、前記第1マイクロニードルの周囲を取り囲む請求項1から5のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項7】
前記マイクロニードル群において、前記第1マイクロニードルから3以上の前記第2マイクロニードルまでのそれぞれの距離が等しい請求項6に記載の液体注入具。
【請求項8】
前記マイクロニードル部は、前記軸部の中心軸に沿った視野において、前記中心軸と同心に設定された複数の領域を有し、
前記複数の第1マイクロニードルは、2つの前記領域に挟まれた円環状領域において周方向に配置されている請求項1から7のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項9】
前記複数の第1マイクロニードルは、周方向において等角度間隔に設けられている請求項8に記載の液体注入具。
【請求項10】
2つの前記第1マイクロニードルの間の距離が1.0mm以上10mm以下である請求項1から9のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項11】
前記貫通孔の直径が50μm以上300μm以下である請求項1から10のいずれか1項に記載の液体注入具。
【請求項12】
前記マイクロニードル部は、前記本体部を介して前記軸部と着脱自在に設けられている請求項11に記載の液体注入具。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の液体注入具と、
前記内部空間に収容された前記液体と、を有する美容器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体注入具及び美容器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、「マイクロニードル」と呼ばれる微細な針を用い、経皮的に薬剤等を投与する器具が知られている。マイクロニードルは、直径や長さが1mm未満(μmオーダー)の針である。
【0003】
上述のような器具として、生体内で溶解する高分子と、投与対象の機能性材料とを含有するマイクロニードルを有するマイクロニードルシート貼付剤が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の貼付剤は、皮膚に穿刺されたマイクロニードルが生体内で溶解することで、マイクロニードルを構成する機能性材料を皮膚内に投与することができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の貼付剤は、マイクロニードルが生体内で溶解するまでの間、長時間皮膚に貼り付けておく必要がある。そのため、貼り付けた箇所の皮膚がかぶれるおそれがあった。
【0005】
この課題に対し、発明者らは、マイクロニードルを有する液体塗布具を開発している(特許文献2参照)。特許文献2に記載の液体塗布具では、スイッチ機構に連動して定量の液体を吐出可能であり、所望の位置に簡単な操作で液体を浸透させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-94414号公報
【特許文献2】国際公開第2021/177318号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2に記載の液体塗布具では、微小突起(マイクロニードル)を有する吐出部を介して、液体を吐出している。皮膚の所望の位置に液体を浸透させるという目的に照らした場合、マイクロニードルの周辺の構成には未だ改善の余地がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、マイクロニードルを採用し、皮膚の所望の位置に容易に液体を浸透させることが可能な新規な液体注入具を提供することを目的とする。また、このような液体注入具を備えた美容器具を提供することを合わせて目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
微小な構造体であるマイクロニードルは、通常使用時に加わる力を超えた力が加わると破損しやすい。例えば、液体注入具の組み立て時に、マイクロニードルを有する部材に強い力が加わると、マイクロニードルが破損してしまうことがあった。そのため、上述の新規な液体注入具においては、マイクロニードルを有する部材の破損が抑制された構成が求められる。
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、以下の態様を包含する。
【0011】
[1]液体を収容する内部空間を有する軸部と、前記内部空間に連通する貫通孔を有するマイクロニードル部と、前記貫通孔から前記液体を吐出させる吐出部と、を有し、前記マイクロニードル部は、筒状の側壁部と、前記側壁部に接続された底部と、を有する本体部と、前記底部に設けられ、前記貫通孔を有する複数の第1マイクロニードルと、前記底部に設けられ、前記第1マイクロニードルよりも小さい複数の第2マイクロニードルと、を有し、前記軸部は、筒状の軸部本体と、前記軸部本体の一端に設けられた筒状のアダプタと、前記アダプタの内部に挿入され前記軸部本体と連通する内管と、を有し、前記内管の外表面には前記内管の周方向に連続する凸状部を有し、前記アダプタは、前記本体部に嵌合し、前記凸状部は、前記アダプタを介して前記本体部を外側に向けて加圧する液体注入具。
【0012】
[2]前記アダプタの外表面には、凸部を有し、前記本体部の内表面は、前記アダプタが嵌合した姿勢において前記凸部と接する位置に前記凸部が相補的に嵌合する溝を有さない[1]に記載の液体注入具。
【0013】
[3]前記内管の外表面には、前記内管の軸方向の異なる位置に前記凸状部を2つ有し、前記アダプタの外表面の前記凸部は、前記内管の軸方向において2つの前記凸状部の間に位置する[2]に記載の液体注入具。
【0014】
[4]前記底部の外面の周縁は、前記底部の周方向に連続する凸曲面である[1]から[3]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0015】
[5]2つの前記第1マイクロニードルの間には、少なくとも1つの前記第2マイクロニードルが設けられている[1]から[4]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0016】
[6]前記マイクロニードル部は、前記軸部の中心軸に沿った視野において、1つの前記第1マイクロニードルと、前記第1マイクロニードルと隣り合う3以上の前記第2マイクロニードルと、で構成されるマイクロニードル群を有し、前記マイクロニードル群において、3以上の前記第2マイクロニードルは、前記第1マイクロニードルの周囲を取り囲む[1]から[5]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0017】
[7]前記マイクロニードル群において、前記第1マイクロニードルから3以上の前記第2マイクロニードルまでのそれぞれの距離が等しい[6]に記載の液体注入具。
【0018】
[8]前記マイクロニードル部は、前記軸部の中心軸に沿った視野において、前記中心軸と同心に設定された複数の領域を有し、前記複数の第1マイクロニードルは、2つの前記領域に挟まれた円環状領域において周方向に配置されている[1]から[7]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0019】
[9]前記複数の第1マイクロニードルは、周方向において等角度間隔に設けられている[8]に記載の液体注入具。
【0020】
[10]2つの前記第1マイクロニードルの間の距離が1.0mm以上10mm以下である[1]から[9]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0021】
[11]前記貫通孔の直径が50μm以上300μm以下である[1]から[10]のいずれか1項に記載の液体注入具。
【0022】
[12]前記マイクロニードル部は、前記本体部を介して前記軸部と着脱自在に設けられている[11]に記載の液体注入具。
【0023】
[13][1]から[12]のいずれか1項に記載の液体注入具と、前記内部空間に収容された前記液体と、を有する美容器具。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、マイクロニードルを採用し、皮膚の所望の位置に容易に液体を浸透させることが可能な新規な液体注入具を提供することができる。また、このような液体注入具を備えた美容器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本実施形態の液体注入具1の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、マイクロニードル部20の概略断面図である。
【
図3】
図3は、マイクロニードル部20の示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、液体注入具1の先端の一部構成を示す説明図である。
【
図5】
図5は、マイクロニードル部20のマイクロニードルを説明する概略断面図である。
【
図6】
図6は、軸部の中心軸Cに沿った視野におけるマイクロニードル部20の概略図である。
【
図7】
図7は、軸部の中心軸Cに沿った視野におけるマイクロニードル部20の概略図である。
【
図8】
図8は、中心軸Cに沿った仮想平面における液体注入具1の概略断面図である。
【
図9】
図9は、液体注入具1の先端部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[液体注入具]
以下、
図1~
図9を参照しながら、本実施形態に係る液体注入具について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0027】
図1は、本実施形態の液体注入具1の概略斜視図である。液体注入具1は、軸部10と、マイクロニードル部20と、吐出部30と、を有している。液体注入具1は、肌(皮膚)の所望の位置に液体Lを注入するために用いる。
【0028】
軸部10は、筒状の軸部本体11を有する。軸部本体11は、筒状の第1部材111と、第1部材111よりも小径の筒状の第2部材112とが連通して一体となった部材である。軸部10は、液体Lを収容する内部空間ISを有する。
図1では、軸部10を円筒状の部材として示しているが、これに限らず、楕円筒状であってもよく、角筒状であってもよい。また、軸部10は、一部において周方向に凹部(くびれ)を有するなど、外径が変化をしてもよい。
【0029】
軸部10は、高分子を材料としてもよく、金属を材料としてもよい。また、軸部10は、一部が光透過性を有していてもよい。軸部10において、内部空間ISに対応する位置が光透過性を有していると、収容されている液体Lの残量が確認しやすく好ましい。
【0030】
液体Lは、軸部10の内部に直接収容してもよく、液体Lを収容したカートリッジ(不図示)を軸部10の内部に収容してもよい。前者の場合、内部空間ISは軸部10の内部に直接設定される。後者の場合、内部空間ISは、カートリッジにおいて液体Lを収容する空間を指す。
【0031】
マイクロニードル部20は、軸部10の第1の端部(第2部材112側の端部)に設けられている。マイクロニードル部20は、内部空間ISに連通する貫通孔(
図2参照)を有し、貫通孔を介して内部空間ISに収容している液体Lを吐出する。マイクロニードル部20の構成については、後に詳述する。
【0032】
吐出部30は、マイクロニードル部20の貫通孔から液体Lを吐出させる機能を有する。吐出部30は、軸部10の第2の端部(第1部材111側の端部)に設けられたボタン31と、内部空間ISに収容されたピストン32と、ピストン32に接続されたシャフト33とを有している。その他、吐出部30は、軸部10に収容された定量移動部(不図示)を有する。
【0033】
吐出部30は、使用者がボタン31を押下することで、押下回数ごとにシャフト33をピストン32側に一定量移動させる。ピストン32はシャフト33に押し出され、内部空間ISをマイクロニードル部20の側に移動する。このとき、吐出部30は、不図示の定量移動部により、押下回数ごとに一定量だけピストン32を移動させる。これにより、吐出部30は、使用者がボタン31を押下することによりピストン32を移動させ、ピストン32により内部空間ISに収容された液体Lをマイクロニードル部20の貫通孔から押し出す(吐出する)。
【0034】
ピストン32は、円筒状の本体321と、本体321のマイクロニードル部20側に設けられた凸部322とを有する。凸部322は、本体321よりも小径であり、マイクロニードル部20側に外径が漸減する円錐台状である。
【0035】
ピストン32は、弾性材料を形成材料とすると好ましい。ピストン32は、少なくとも、内部空間ISに面する軸部10の内壁に接する部分が弾性材料で構成されているとよい。弾性材料としては、公知の合成ゴムを使用することができる。
【0036】
定量移動部は、例えば、公知のノック式のメカニカルペンシルと同様に、ボタン31を押下することによりシャフト33を一定量前進させる構成を採用することができる。
図1では、ボタン31が軸部10の第2の端部に設けられることとしたが、これに限らず、軸部10の側面に設けられる構成(いわゆるサイドノック式)であってもよい。
【0037】
その他、吐出部30は、公知の回転式(スクリュー式)のメカニカルペンシルと同様に、ボタン31を軸部10の周方向に回転させることで、シャフト33を繰り出す定量移動部を採用してもよい。
【0038】
さらに、吐出部30は、液体Lを定量で吐出させることなく、ボタン31の押し込み量により、使用者が液体Lの吐出量を調製可能としてもよい。
【0039】
その他、液体注入具1は、マイクロニードル部20を保護する保護キャップ50を有する。
【0040】
図2は、液体注入具1の先端の詳細構成を示す概略断面図である。
図3は、マイクロニードル部20の示す概略断面図である。
図2,3は、中心軸Cを含む仮想面で液体注入具1を切断したときの断面を示す。
【0041】
軸部10は、軸部本体11と、内管12と、アダプタ13とを有する。
【0042】
内管12は、軸部本体11の第2部材112の内部に収容された管状の部材であり、第1部材111の内部空間である内部空間IS1と連通している。内管12は、主管121と、主管121の端部に設けられ主管121よりも大径の側管122とが連通している。側管122の外面には、周方向にフランジ123が設けられている。側管122の内部は主管121側に向けて内径が漸減している。
【0043】
内管12は、フランジ123側から第2部材112に収容される。軸部本体11において、第1部材111と第2部材112との接続部11xは、フランジ123の外径よりも小径となっている。そのため、内管12は、フランジ123が接続部11xに突き当たる。
【0044】
アダプタ13は、内管12を軸部本体11に固定するとともに、マイクロニードル部20を軸部10に固定する筒状の部材である。アダプタ13は、筒状のアダプタ本体131と、アダプタ本体131の外面において周方向に設けられたフランジ132とを有する。
【0045】
アダプタ本体131の外径は、第2部材112の内径と同等であり、第2部材112に挿入されている。アダプタ本体131の外面であって第2部材112の内面に面する箇所には、周方向に溝131xが形成され、溝131xにはOリング138が設けられている。
【0046】
アダプタ本体131の内径は、内管12の主管121の外径と同等又は主管121の外径よりも大きい。アダプタ本体131の内部には、内管12が挿入されている。
【0047】
アダプタ13は、第2部材112に内管12を収容した状態で、第2部材112に挿入される。アダプタ13は、第2部材112の内部において、第2部材112と内管12との間に挿入され、フランジ123に突き当たる。アダプタ13は、第2部材112の内部においてOリング138で固定されることにより、アダプタ13と軸部本体11との間にフランジ123を挟み込んだ状態で、内管12を固定する。
【0048】
アダプタ13及び内管12の内部は、内部空間IS1と連通する内部空間IS2である。
【0049】
また、アダプタ本体131の先端側には、マイクロニードル部20の本体部25(後述)が嵌合する。アダプタ本体131の外面であって本体部25の内面25x(側壁部251の内面251x)に面する箇所には、周方向に溝131yが形成され、溝131yにはOリング139が設けられている。これにより、マイクロニードル部20は、軸部10と着脱自在に設けられている。マイクロニードル部20が着脱可能であることにより、マイクロニードル部20が汚染した場合に交換が容易となる。
【0050】
アダプタ13の先端側(マイクロニードル部20側)において、アダプタ13の内部は、主管121が挿入された内部13a、内部13aと連通し内部13aよりも小径の頸部13b、頸部13bと連続し内径が漸増する開口部13cとが連続している。開口部13cと、本体部25の内面25x(底部252の内面252x)とで囲まれた空間は、内部空間IS3である。
【0051】
内管12及びアダプタ13は、樹脂を材料とする。内管12及びアダプタ13の材料としては、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。また、上述の材料は例示であり、例示した各材料と同等のヤング率を示す熱可塑性樹脂であれば、同様に使用可能と判断できる。
【0052】
マイクロニードル部20は、貫通孔211を有する複数の第1マイクロニードル21と、第1マイクロニードル21よりも小さい複数の第2マイクロニードル22と、第1マイクロニードル21及び第2マイクロニードル22が設けられる本体部25と、を有する。
【0053】
以下の説明では、「第1マイクロニードル」を単に「第1ニードル」、「第2マイクロニードル」を単に「第2ニードル」と称する。
【0054】
マイクロニードル部20においては、2つの第1ニードル21の間には、少なくとも1つの第2ニードル22が設けられている。
図2のマイクロニードル部20では、2つの第1ニードル21の間に、2つの第2ニードル22が設けられている。
【0055】
本体部25は、筒状の側壁部251と、側壁部251に接続された底部252と、を有する。本体部25において、側壁部251と底部252との間は面取りされ曲面となっている。詳しくは、底部252の外面の周縁は、底部252の周方向に連続する凸曲面25aである。凸曲面25aの曲率半径は、0.1mm以上5.0mm以下であると好ましい。凸曲面25aの曲率半径が上記範囲である液体注入具1は、使用時にマイクロニードル部20が肌(皮膚)にあたったとき、肌への刺激が小さく使用感がよい。
【0056】
曲率半径は、マイクロニードル部20を切断して
図3と同様の断面を形成し、断面を撮像して得られる拡大写真から測定することができる。
【0057】
複数の第1ニードル21及び複数の第2ニードル22は、底部252に設けられている。第1ニードル21が有する貫通孔211は、第1ニードル21及び底部252を貫通して、内部空間IS(内部空間IS3)に連通している。
【0058】
図3に示す断面において、側壁部251の内面251xと底部252の内面252xとのなす角θは、90°であることが好ましい。角θは、製造誤差による90°からのずれを許容する。
【0059】
また、側壁部251の厚さTは、均一であってもよいが、底部252側よりも底部252と反対側(端部251a側)の方が厚いと好ましい。側壁部251の端部251a側が厚く形成されていることにより、組み立て時のマイクロニードル部20の破損を抑制できる。
【0060】
側壁部251の端部251aにおいては、内面側が面取りされ、周方向に連続する傾斜面251bとなっている。これにより、マイクロニードル部20をアダプタ13に挿入しやすい。
【0061】
マイクロニードル部20は、樹脂を材料とする。マイクロニードル部20の材料としては、内管12及びアダプタ13の材料として例示した、PS、PP、ABS、PVC、PC、PE、PLA、PGA等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの材料のなかでは、ポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンを材料とするマイクロニードル部20は、応力に対して適度に弾性変形しやすく、組み立て時にマイクロニードル部20をアダプタ13に嵌合させる際に破損しにくい。
【0062】
図4は、液体注入具1の先端の一部構成を示す説明図である。マイクロニードル部20の本体部25において、底部252の内面252xとアダプタ本体の先端131aとが液密に接し、内部空間IS3を形成している。
【0063】
一方、側壁部251の端部251aは、アダプタ13のフランジ132に面し、且つフランジ132から離間している。側壁部251の端部251aとフランジ132との間には隙間Gが形成されている。これにより、組み立て時に内部空間IS3が液密となるまでマイクロニードル部20をアダプタ13に押し込むことができる。
【0064】
さらに、組み立て時及び使用時に、マイクロニードル部20を軸部10側に向けて押圧し、その際の応力でマイクロニードル部20が弾性変形したとしても、マイクロニードル部20の変形が隙間Gの離間距離を超えない限りマイクロニードル部20がフランジ132に衝突しない。そのため、マイクロニードル部20を軸部10側に向けて押圧した際のマイクロニードル部20の破損を抑制することができる。
【0065】
また、内管12(主管121)の先端部の外表面には、主管121の延びる方向に並んで凸状部125,126が設けられている。主管121の先端部において、相対的に主管121の先端に近い方を凸状部126とする。凸状部125、126は、主管121が挿入されるアダプタ本体131の内部13aと液密に接している。
【0066】
アダプタ本体131において、主管121の挿入時に凸状部125、126と接する位置には、凸状部125、126が嵌合する溝を有すること無く、内部13aは一様な連続面となっている。
【0067】
主管121の外径DAは、アダプタ本体131の内部13aの内径DCと同等である(DA≒DC)。一方、主管121の凸状部125,126を含む外径DBは、内部13aの内径DCよりも大きい。例えば、外径DAを2.5mm~15mmとする場合、外径DBは、外径DAに対し0.05mm~0.3mm程度大きい。また、内径DCは、外径DAに対し-0.3mm~+0.3mmとするとよい。
【0068】
また、アダプタ本体131の先端部の外表面には、凸部135が設けられている。凸部135は、アダプタ本体131の周方向に連続した凸状部であってもよく、周方向に離散的に設けられた複数の凸部であってもよい。
【0069】
マイクロニードル部20において、アダプタ本体131の挿入時に凸部135と接する位置(側壁部251の内面251x)には、凸部135が嵌合する溝を有さない。内面252xは一様な連続面となっている。
【0070】
凸部135は、中心軸Cの方向において凸状部125と凸状部126との間に設けられている。中心軸Cの方向において、凸状部125と凸状部126との間の距離は、0mm~10mmである。また、凸状部125と凸部135との間の距離HA及び凸状部126と凸部135との間の距離HBは、いずれも0mm~5mmであるとよい。
【0071】
このような主管121をアダプタ本体131に挿入すると、凸状部125,126は弾性変形しながら内部13aと液密に接する。また、凸状部125,126は、アダプタ本体131を外部に向かって押し広げる方向に加圧する(加圧1)。
【0072】
また、アダプタ本体131をマイクロニードル部20に挿入すると、凸部135は弾性変形しながらマイクロニードル部20を外部に向かって押し広げる方向に加圧する(加圧2)。
【0073】
これら加圧1,2により、マイクロニードル部20はアダプタ13に好適に固定される。また、マイクロニードル部20の交換が容易となる。
【0074】
ここで、アダプタ本体131に凸部135を設け、マイクロニードル部20の内面252xに凸部135が嵌合する溝(凹部)を設ける構成とした場合、マイクロニードル部20をアダプタ13の先端に固定しやすい。一方、内側に溝を有するマイクロニードル部20を成形する際、金型からマイクロニードル部20を取り外しにくく、マイクロニードルが破損しやすい。
【0075】
対して、液状注入具1では、内面252xに凸部135が嵌合する溝を設ける代わりに、主管121に凸状部125,126を設け、アダプタ本体131を外部に向かって押し広げる方向に加圧している。これにより、製造時のマイクロニードル部20の破損を抑制すると共に、アダプタ13に容易に固定することができる。
【0076】
図5は、マイクロニードル部20のマイクロニードルを説明する概略断面図である。
図5に示すように、第1ニードル21及び第2ニードル22はいずれも、底部252から遠ざかる方向に外径が漸減する錐台状である。本実施形態の第1ニードル21及び第2ニードル22はいずれも円錐台状の外形を呈する。
【0077】
第1ニードル21は、高さH1が10μm以上2000μm以下、頂面の外径D11が100μm以上500μm以下、底部252側の下端の外径D12が200μm以上1000μm以下である。
【0078】
第2ニードル22は、高さH2が10μm以上2000μm以下、頂面の外径D21が40μm以上400μm以下、底部252側の下端の外径D22が80μm以上800μm以下である。
【0079】
第1ニードル21の高さH1と第2ニードル22の高さH2とは、異なっていてもよいが、同じであると好ましい。なお、高さH1と高さH2とが「同じ」とする場合、成形誤差を許容する。
【0080】
貫通孔211は、筒状の第1貫通孔211aと、錘台状の第2貫通孔211bとが連通した形状を呈する。本実施形態の貫通孔211では、第1貫通孔211aは円筒状であり、第2貫通孔211bは円錐台状である。すなわち、貫通孔211は、内部空間IS側から外に向かって内径が漸減する構成となっている。
【0081】
図5では、貫通孔211の中心軸と、円錐台状の第1ニードル21の中心軸とを一致させて示しているが、貫通孔211が第1ニードル21の上面に開口していれば、貫通孔211の中心軸は、第1ニードル21の中心軸とずれていても(オフセットしていても)よい。
【0082】
第1貫通孔211aの内径(直径)ID1は、30μm以上300μm以下であると好ましい。また、第2貫通孔211bの内径(直径)ID2は、200μm以上2000μm以下であると好ましい。内径ID1が30μm以上であると、粘度の高い液体Lであっても遅延なく吐出させることができる。
【0083】
マイクロニードル部20が有する複数の第1ニードル21は、いずれも同じ構成である。同様に、マイクロニードル部20が有する複数の第2ニードル22は、いずれも同じ構成である。
【0084】
図6,7は、軸部(不図示)の中心軸Cに沿った視野におけるマイクロニードル部20の概略図である。
【0085】
図6の視野において、マイクロニードル部20は、1つの第1ニードル21と、第1ニードル21と隣り合う3以上の第2ニードル22と、で構成されるマイクロニードル群Gを有している。
図6においては、マイクロニードル群Gは、1つの第1ニードル21と、5又は6の第2ニードル22と、を有する。以下の説明では、マイクロニードル群Gを単に「ニードル群G」と称する。
【0086】
マイクロニードル部20では、8つのニードル群Gが、中心軸Cの周りに周方向に配列している。すなわち、マイクロニードル部20は、8つの第1ニードル21を有する。隣り合うニードル群G同士では、1又は2つの第2ニードル22を共有している。
【0087】
マイクロニードル部20は、第1ニードル21を含まないマイクロニードル群Gxを有していてもよい。
図6では、中心軸Cの周囲にマイクロニードル群Gxが配置されている。
【0088】
ニードル群Gにおいて、3以上の第2ニードル22は、第1ニードル21の周囲を取り囲んでいる。ニードル群Gにおいては、複数の第2ニードル22は、第1ニードル21を中心として、周方向に等角度間隔で配置している。
【0089】
また、ニードル群Gにおいては、第1ニードル21から3以上の第2ニードル22までのそれぞれの距離が等しい。例えば、
図6に示すニードル群GAにおいて、第1ニードル21から第2ニードル22までの距離L1,L2,L3は、全て等しい。
【0090】
マイクロニードル部20において、8つのニードル群Gは全て同様に、第1ニードル21の周囲を3以上の第2ニードル22が取り囲み、第1ニードル21から3以上の第2ニードル22までのそれぞれの距離が等しい。
【0091】
なお、ニードル群Gにおける第1ニードル21、第2ニードル22の配置は一例であり、種々変更が可能である。
【0092】
図7の視野において、マイクロニードル部20は、中心軸Cと同心に設定された複数の領域AR1,AR2,AR3を有する。
図7においては、中心軸Cを含む最内の領域をAR1とし、中心軸Cから遠ざかる方向に円環状の領域AR2,AR3が設定されている。
【0093】
8つの第1ニードル21は、2つの領域AR1,AR3に挟まれた円環状領域(領域AR2)に含まれ、領域AR2において周方向に配置されている。また、8つの第1ニードル21は、周方向において等角度間隔に設けられている。すなわち、
図7に示す角度θ1~θ8が等しい。
【0094】
領域AR2においては、周方向に隣り合う2つの第1ニードルの間の距離Wは、1.0mm以上10mm以下である。
【0095】
図8,9は、上述した液体注入具1の使用方法を示す説明図である。
図8は、中心軸Cに沿った仮想平面における液体注入具1の概略断面図である。
図9は、液体注入具1の先端部分の概略断面図である。説明を容易にするために、
図8においては、
図2で示した構成を略記している。
【0096】
図8に示すように、液体注入具1を用いる際、使用者は、吐出部30が備えるボタン31(
図1参照)を押下する。これにより、吐出部30のシャフト33がピストン32を一定量押し出す。ピストンの32の移動距離に応じて、マイクロニードル部20の第1ニードル21が有する貫通孔から液体Lが吐出される。
【0097】
上述のように、液体注入具1の軸部10は、筒状の第1部材111と、第1部材111よりも小径の筒状の第2部材112とが連通して一体となった筒状の部材である。ピストン32の本体321は、内部空間ISのうち内部空間IS1に嵌合している。また、ピストン32の凸部322は、内部空間ISのうち内部空間IS2の一部(上述の内管12の端部)に嵌合可能な大きさである。そのため、ピストン32が内部空間IS1の端部にまで押し進められた際には、凸部322が内部空間IS2に嵌合し、内部空間IS2内の液体Lも吐出させることができる。
【0098】
図9に示すように、使用者は、液体注入具1のマイクロニードル部20を皮膚Sに押し当てて用いる。マイクロニードル部20が皮膚Sに押し当てられると、第1ニードル21及び第2ニードル22が皮膚Sに押し当てられることになる。
【0099】
このとき、第2ニードル22は、皮膚Sに食い込み、マイクロニードル部20の皮膚Sの表面方向へのずれを抑制する「滑り止め」として機能する。第2ニードル22は、第1ニードル21よりも小さいことから、第1ニードル21から皮膚Sに加えられる圧力F1よりも高い圧力F2で皮膚Sを押下する。そのため、マイクロニードル部20は、例えばマイクロニードル部が同じ大きさのマイクロニードルのみを有する構成である場合と比べ、皮膚Sの表面における位置ずれを抑制しやすい。
【0100】
使用者は、この状態で液体注入具1の吐出部(不図示)のボタンを押下することで、液体注入具1を押し当てた所望の位置に、第1ニードル21の貫通孔211から液体Lを吐出し、液体Lを角質中、皮内又は皮下に注入することができる。液体Lは、マイクロニードルである第1ニードル21の先端から吐出されることで、皮膚Sに対して浸透しやすい。
【0101】
このとき、液体注入具1では、上述のように第2ニードル22によって位置ずれを抑制しているため、所望の位置に安定して液体Lを吐出しやすい。
【0102】
また、第1ニードル21は、第2ニードル22よりも大きいことから、第2ニードル22に貫通孔を設ける場合よりも広い径の貫通孔211を設けることが可能である。そのため、マイクロニードル部20は、貫通孔211から好適に液体Lを吐出可能である。
【0103】
このように、液体注入具1は、マイクロニードル部20が大きさの異なる2種のマイクロニードルを有することにより、好適に所望の位置に液体Lを吐出し角質中、皮内又は皮下に注入することが可能である。
【0104】
また、マイクロニードル部20は、
図5~7を用いて上述したような構成を有する。具体的には、マイクロニードル群G(
図6参照)において、3以上の第2ニードル22が、第1ニードル21の周囲を取り囲む構成であり、第1ニードル21から3以上の第2ニードル22までのそれぞれの距離が等しいことから、第1ニードル21の位置ずれを更に抑制しやすい。
【0105】
また、マイクロニードル部20において、第1ニードル21が円環状領域AR2に等角度間隔で設けられていることから、マイクロニードル部20の外面に対して偏りなく液体Lを吐出させやすい。
【0106】
このような液体注入具1では、吐出する液体Lとして、例えば液状の化粧品、薬液を採用することができる。「液体」としては、溶液であってもよく、分散液であってもよく、コロイド液であってもよい。液体注入具1は、上述した構成を採用し、吐出する液体Lの粘度に応じて、第1ニードル21の貫通孔211の内径を、好適に液体Lを吐出可能な大きさに調整することができる。
【0107】
[美容機器]
本実施形態の美容機器は、上記液体注入具1と、内部空間ISに収容された液体Lと、を有する。美容機器は、液体Lとして美容液を収容する。
【0108】
このような美容機器において使用可能な美容液としては、角質に注入することで皮膚に対する張り、潤い、つや等の美容効果が見込まれる成分を含むものが好ましい。このような美容液としては、例えば、ヒアルロン酸、コラーゲン、エラスチン、セラミド、アミノ酸、ビタミンC誘導体、グリチルリチン酸、ナイアシンアミドが挙げられる。また、美容液として、多能性幹細胞及び体性幹細胞、並びにこれらの細胞より抽出された物質(エクソソーム等)、並びにこれらの細胞の培養上清液を用いることも可能である。
【0109】
このような美容機器では、液体注入具1のマイクロニードル部20を押し当てた箇所において、第1ニードル21の先端が角質中に達し、第1ニードル21の貫通孔211を介して美容液(液体L)が角質中に直接注入される。美容機器(液体注入具1)を皮膚から離すと、第1ニードル21により皮膚に開けられた微小な穴は、皮膚の弾性により自然に塞がる。これにより、角質に注入された美容液は、角質中に閉じ込められ皮膚に浸透する。
【0110】
このように、本実施形態の美容機器を用いると、美容液を角質中の所望の位置に容易に注入し、浸透させることができる。
【0111】
以上のような構成の液体注入具1によれば、マイクロニードルを採用し、皮膚の所望の位置に容易に液体を浸透させることが可能となる。
【0112】
以上のような構成の美容機器によれば、液体注入具1を有することにより、皮膚の所望の位置に容易に液体(美容液)を浸透させることが可能となる。
【0113】
なお、本実施形態の液体注入具1は、軸部10に設けられた吐出部30により軸部10内でピストン32マイクロニードル部20の方に移動させ、内部空間ISに収容された液体Lを押し出す構成としたが、これに限らない。内部空間ISに収容された液体Lをマイクロニードル部20から吐出させることができ、本発明の効果を阻害しない構成であれば、公知の構成を採用することができる。
【0114】
例えば、液体注入具として、ポンプ機能を有する吐出部を軸部10の先端側(マイクロニードル部側)に有し、先端を皮膚に押しつけることで、吐出部のポンプ機能により液体Lを吐出する構成を採用してもよい。このような構成の液体注入具において、先端にマイクロニードル部を設けることで、マイクロニードル部を皮膚に押しつける動作と液体Lを吐出する操作とが一致し、皮膚の所望の位置に容易に液体を浸透させることが可能となる。
【0115】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計、仕様等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0116】
1…液体注入具、10…軸部、11…軸部本体、13…アダプタ、13a…内部、20…マイクロニードル部、21…第1マイクロニードル、22…第2マイクロニードル、25…本体部、25a…凸曲面、25x,251x,252x…内面、30…吐出部、123,132…フランジ、131…アダプタ本体、131a…先端、211…貫通孔、251…側壁部、251a…端部、252…底部、321…本体、AR1~3…領域、C…中心軸、DA…径、G,GA…ニードル群、G,Gx…マイクロニードル群、ID1,ID2…内径(直径)、IS,IS1,IS2,IS3…内部空間、L…液体、W…距離、S…皮膚、θ1~θ8…角度