(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147913
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】容器用紙材の供給方法及び供給システム
(51)【国際特許分類】
B31B 50/07 20170101AFI20231005BHJP
B65B 43/18 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B31B50/07
B65B43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055685
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】小川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 恒昭
(72)【発明者】
【氏名】遠山 高央
【テーマコード(参考)】
3E030
3E075
【Fターム(参考)】
3E030AA09
3E030BA03
3E030BA07
3E030BA08
3E030BB02
3E030FA05
3E075AA05
3E075AA22
3E075BA01
3E075BA31
3E075CA01
3E075DA05
3E075DA18
3E075DA23
3E075DA32
3E075FA03
3E075FA25
3E075GA01
(57)【要約】
【課題】収容部に積層された容器用紙材の両側端部に反りが生じている場合であっても、吸着パッドにより確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給する。
【解決手段】収容部11に積層された容器用紙材2を最底層から吸着パッド41により順次吸着させて製造ライン上に供給する上で、収容部11に積層された容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の上端部23及び/又は下端部24をフロントパッド34、38により押圧する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、
上記収容部に積層された容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部をフロントパッドにより押圧すること
を特徴とする容器用紙材の供給方法。
【請求項2】
上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部を上記フロントパッドにより押圧した後、上記サイドパッドを上記容器用紙材束の両側端部から離間した状態で表層側に駆動し、
更に上記サイドパッドにより内側に向けて押圧した状態で当該サイドパッドを底層側に駆動しつつ、上記フロントパッドにより押圧することを繰り返し実行すること
を特徴とする請求項1記載の容器用紙材の供給方法。
【請求項3】
紙面表側に反りが生じた容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動することにより、当該両側端部の反りを紙面裏側に向けて矯正すること
を特徴とする請求項1又は2記載の容器用紙材の供給方法。
【請求項4】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、
上記収容部に積層された上記容器用紙材束の上端部及び下端部を両脇から第1フロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の上端部及び下端部における上記第1フロントパッド間を第2フロントパッドにより押圧すること
を特徴とする容器用紙材の供給方法。
【請求項5】
上記容器用紙材束の上端部及び下端部を上記第2フロントパッドにより押圧した後、上記第1フロントパッドを上記容器用紙材束から離間した状態で表層側に駆動し、
更に上記第1フロントパッドにより上記容器用紙材束を押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記第2フロントパッドにより押圧することを繰り返し実行すること
を特徴とする請求項4記載の容器用紙材の供給方法。
【請求項6】
紙面裏側に反りが生じた容器用紙材束の両側端部を上記第1フロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動することにより、当該両側端部の反りを紙面表側に向けて矯正すること
を特徴とする請求項4又は5記載の容器用紙材の供給方法。
【請求項7】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、
上記収容部に積層された容器用紙材束の上端部及び下端部をフロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧すること
を特徴とする容器用紙材の供給方法。
【請求項8】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、
上記収容部に積層された容器用紙材束の両側端部を押圧した状態で底層側に駆動するサイドパッドと、
上記サイドパッドにより駆動された上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部を押圧するフロントパッドとを備えること
を特徴とする容器用紙材の供給システム。
【請求項9】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、
上記収容部に積層された上記容器用紙材束における上端部及び下端部を両脇から押圧した状態で底層側に駆動する第1フロントパッドと、
上記第1フロントパッドにより駆動された上記容器用紙材束の上端部及び下端部における上記第1フロントパッド間を押圧する第2フロントパッドとを備えること
を特徴とする容器用紙材の供給システム。
【請求項10】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、
上記収容部に積層された容器用紙材束の上端部及び下端部を押圧した状態で底層側に駆動するフロントパッドと、
上記容器用紙材束の両側端部を押圧するサイドパッドとを備えること
特徴とする容器用紙材の供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法及び供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙コップや紙製のトレー等を始めとする容器が利用されている。このような紙コップの胴部を構成する扇形の容器用紙材は、製造時には先ず特許文献1の開示技術に示すように、収容部に積層させた状態で収納される。収納されるこの容器用紙材は、案内レールにより案内されて最底層が係止爪を介して仮止めされる。そして、容器用紙材の最表層は、スプリングを介して押圧することで安定した積層状態を保持できるようにしている。このような積層状態にある容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させ、係止爪による仮止め力に抗して引き出し、製造ライン上に順次供給することになる。
【0003】
ところで、この紙コップの胴部を構成する扇形の容器用紙材は、特に近年において、装飾や宣伝等を目的として各種印刷が施される場合が多い。この印刷は、容器を構成する容器用紙材の表面に対して、シルクスクリーン印刷や、パッド印刷、オフセット印刷、熱乾印刷、インクジェット印刷、塗装等の方法により行われる。その結果、容器用紙材の表面のみに印刷の塗料が浸透し、裏面には特段塗料が浸透しないこととなり、容器用紙材の表裏で塗料の含有率が異なる結果、
図28に示すように容器用紙材7の両側端部71は、紙面表側に向けて反りが生じる。
【0004】
このような両側端部71に反りが生じた容器用紙材7を
図29に示すような収容部8に積層させた場合、容器用紙材7の側端部71と吸着パッド81との間に隙間が生じてしまう。その結果、容器用紙材7の側端部71を吸着パッド81により吸着させることが困難となり、これを製造ライン上に供給することができなくなる。
【0005】
このため、収容部8に積層された容器用紙材7の両側端部71に反りが生じている場合に、これを吸着パッド81により確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給する技術が従来より望まれていたが、未だ提案されていないのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、収容部に積層された容器用紙材の両側端部に反りが生じている場合であっても、吸着パッドにより確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することが可能な容器用紙材の供給方法及び供給システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した課題を解決するために、収容部に積層された容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束の上端部及び/又は下端部をフロントパッドにより押圧することで、容器用紙材の両側端部に生じた反りを矯正可能な容器用紙材の供給方法及び供給システムを発明した。
【0009】
第1発明に係る容器用紙材の供給方法は、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、上記収容部に積層された容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部をフロントパッドにより押圧することを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る容器用紙材の供給方法は、第1発明において、上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部を上記フロントパッドにより押圧した後、上記サイドパッドを上記容器用紙材束の両側端部から離間した状態で表層側に駆動し、更に上記サイドパッドにより内側に向けて押圧した状態で当該サイドパッドを底層側に駆動しつつ、上記フロントパッドにより押圧することを繰り返し実行することを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る容器用紙材の供給方法は、第1発明又は第2発明において、紙面表側に反りが生じた容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動することにより、当該両側端部の反りを紙面裏側に向けて矯正することを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る容器用紙材の供給方法は、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、上記収容部に積層された上記容器用紙材束の上端部及び下端部を両脇から第1フロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の上端部及び下端部における上記第1フロントパッド間を第2フロントパッドにより押圧することを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る容器用紙材の供給方法は、第4発明において、上記容器用紙材束の上端部及び下端部を上記第2フロントパッドにより押圧した後、上記第1フロントパッドを上記容器用紙材束から離間した状態で表層側に駆動し、更に上記第1フロントパッドにより上記容器用紙材束を押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記第2フロントパッドにより押圧することを繰り返し実行することを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る容器用紙材の供給方法は、第4発明又は第5発明において、紙面裏側に反りが生じた容器用紙材束の両側端部を上記第1フロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動することにより、当該両側端部の反りを紙面表側に向けて矯正することを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る容器用紙材の供給方法は、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給方法において、上記収容部に積層された容器用紙材束の上端部及び下端部をフロントパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、上記容器用紙材束の両側端部をサイドパッドにより押圧することを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る容器用紙材の供給システムは、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、上記収容部に積層された容器用紙材束の両側端部を押圧した状態で底層側に駆動するサイドパッドと、上記サイドパッドにより駆動された上記容器用紙材束の上端部及び/又は下端部を押圧するフロントパッドとを備えることを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る容器用紙材の供給システムは、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、上記収容部に積層された上記容器用紙材束における上端部及び下端部を両脇から押圧した状態で底層側に駆動する第1フロントパッドと、上記第1フロントパッドにより駆動された上記容器用紙材束の上端部及び下端部における上記第1フロントパッド間を押圧する第2フロントパッドとを備えることを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る容器用紙材の供給システムは、収容部に積層された容器用紙材を最底層から吸着パッドにより順次吸着させて製造ライン上に供給するための容器用紙材の供給システムにおいて、上記収容部に積層された容器用紙材束の上端部及び下端部を押圧した状態で底層側に駆動するフロントパッドと、上記容器用紙材束の両側端部を押圧するサイドパッドとを備えること特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述した構成からなる本発明によれば、収容部に積層された容器用紙材束の側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動させる。これにより、容器用紙材の側端部が底層側に向けて押し込まれる結果、紙面表側への反りを紙面裏側に向けて矯正することが可能となる。これに加えて、フロントパッドにより容器用紙材束に対して押圧力が負荷されることでその矯正状態を保持することができる。容器用紙材束に対してこのような動作が繰り返し施されることで、これを構成する容器用紙材2に生じている紙面表側への反りの戻りが殆ど生じなくなる。
【0020】
これにより、側端部に反りが生じていない容器用紙材に対して吸着パッドを近接させた場合、側端部と吸着パッドとの間に隙間が生じるのを防止することができる。その結果、側端部に反りが生じていない容器用紙材を吸着パッドにより確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することができる。このため、容器用紙材を吸着パッドにより吸着できないことで製造ラインへの容器用紙材の供給が滞り、製造ラインによる生産効率が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係る供給システムが適用される製造ラインの平面図である。
【
図2】
図2は、製造ラインにおいて製造される紙容器の例について説明するための図である。
【
図3】
図3は、本発明を適用した供給システムの斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明を適用した供給システムを構成する収容部の正面図である。
【
図5】
図5は、本発明を適用した供給システムの平面図である。
【
図6】
図6(a)は、ロータリーフィーダーを介して引張力を負荷する例を示す図であり、
図6(b)は、ロータリーフィーダーにより容器用紙材を係止爪による仮止め力に抗して引き出す例を示す図である。
【
図7】
図7は、フロントパッド、サイドパッドの各動作を通じて順方向の反りを矯正するタイムチャートである。
【
図8】
図8は、サイドパッドにより容器用紙材束の側端部を押圧する例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、サイドパッドにより容器用紙材束の側端部を押圧する例を示す正面図である。
【
図10】
図10は、サイドパッドにより容器用紙材束の側端部を押圧する例を示す平面図である。
【
図11】
図11は、サイドパッドが底層側に駆動することにより、これに押圧されている容器用紙材束を矯正する例を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、サイドパッドが底層側に駆動することにより、これに押圧されている容器用紙材束を矯正する例を示す平面図である。
【
図13】
図13は、容器用紙材束の側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束の上端部をフロントパッドにより押圧する例を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、容器用紙材束の側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束の上端部をフロントパッドにより押圧する例を示す正面図である。
【
図15】
図15は、容器用紙材束の側端部をサイドパッドにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束の上端部をフロントパッドにより押圧する例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、サイドパッドを容器用紙材束から離間させる例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、サイドパッドを容器用紙材束から離間させる例を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、サイドパッドを容器用紙材束から離間させる例を示す平面図である。
【
図19】
図19は、容器用紙材に逆方向に反りが発生している場合において、反りの矯正を行う構成について説明するための図である。
【
図20】
図20は、本発明を適用した供給システムにおいて逆方向の反りを矯正する構成する例を示す正面図である。
【
図21】
図21は、フロントパッドの各動作を通じて逆方向の反りを矯正するタイムチャートである。
【
図22】
図22は、フロントパッドを通じて逆方向の反りを矯正する動作について説明するための図である。
【
図23】
図23は、フロントパッドを通じて逆方向の反りを矯正する動作について説明するための他の図である。
【
図24】
図24は、容器用紙材束の下端部に対して近接離間自在とされたフロントパッドを更に設ける構成を示す図である。
【
図25】
図25は、フロントパッドを駆動させることで反りを矯正するタイムチャートである。
【
図26】
図26は、フロントパッドを駆動させることで反りを矯正する動作について説明するための図である。
【
図27】
図27は、フロントパッドを駆動させることで反りを矯正する動作について説明するための他の図である。
【
図28】
図28は、従来技術の問題点について説明するための図である。
【
図29】
図29は、容器用紙材において反りが発生している場合に吸着パッドにより吸着ができないケースについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を適用した容器用紙材の供給システムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0023】
図1は、本発明に係る供給システム1が適用される製造ライン10の平面図である。
【0024】
製造ライン10は、例えば
図2(a)に示すような紙容器5を製造するラインである。この紙容器5は、飲料やスナック菓子等が収容される紙製の容器であり、いわゆる紙コップである。紙容器5は、筒状に形成される胴部51と、胴部51の下端部側に設けられる底板52とを備える。胴部51は、上方に向かうにつれて拡径されて形成されるが、これに限らず、上下方向に拡径されることなく、円筒状等の筒状に形成されてもよい。この胴部51の表面には、装飾や宣伝等を目的として各種印刷Pが施されている。
【0025】
図2(b)は、胴部51を構成する容器用紙材2の展開図である。容器用紙材2は、外形が扇形状に形成され、一方の側端部21と他方の側端部22とが、直線状に形成され、上端部23と下端部24とが円弧状に形成される。なお、容器用紙材2は、これに限らず、その展開図の外形が矩形状等に形成されるものであってもよい。また、容器用紙材2を構成する紙容器5は、このような紙コップに適用されるもの以外に、他のいかなる紙製の容器に適用されるものであってもよいことは勿論である。
【0026】
容器用紙材2の紙面表側には、上述した印刷Pが施される。この印刷Pは、例えば、シルクスクリーン印刷や、パッド印刷、オフセット印刷、熱乾印刷、インクジェット印刷、塗装等の手段により施される。
【0027】
製造ライン10は、このような形状からなる容器用紙材2が供給され、これを紙容器の胴部に巻回して、円筒状のスリーブを備えた二重容器を成形するライン、もしくは、容器用紙材2を巻回して円筒状の胴部51を製造し、最後に底板52を自動的に嵌め込むラインである。製造ライン10は、容器用紙材2が最初に収容される収容部11と、収容部11に収容された容器用紙材2を一枚ずつ順次引き出し、製造ライン上に供給するロータリーフィーダー12とを備える。ロータリーフィーダー12により引き出された容器用紙材2は、後段の製造ライン10において、所望の形状の紙容器に成形される。
【0028】
本発明を適用した供給システム1は、この製造ライン10における収容部11と、ロータリーフィーダー12において適用されるものである。
【0029】
図3は、この供給システム1の斜視図であり、
図4は、供給システム1を構成する収容部11について
図3中ロータリーフィーダー12側から視認した正面図であり、
図5は、供給システム1について
図3中B方向から視認した平面図である。
【0030】
供給システム1を構成する収容部11は、案内レール31と、係止爪32と、サイドパッド33と、フロントパッド34と、サイドパッド33を駆動するための駆動部35と、フロントパッド34を駆動するための駆動部36とを備えている。
【0031】
案内レール31は、上述した容器用紙材2が供給される。案内レール31は容器用紙材2の外形に応じて複数本に亘り延設される。案内レール31は、ロータリーフィーダー12に対してより上方に設けられており、その結果、案内レール31の延長方向は、ロータリーフィーダー12に向けて下向きとなる。但し、この案内レール31の延長方向は、鉛直下向きに構成される場合以外に、斜め下向きで構成されていればよい。この案内レール31に囲まれた領域に容器用紙材2を上から投入すると、この下向きに延長された案内レール31に案内され、
図3に示すようにその延長された端部近傍に設けられた係止爪32により係止される状態となる。容器用紙材2を順次この案内レール31上に投入することで、この容器用紙材2は案内レール31に案内され、係止爪32により係止された最底層にある容器用紙材2aの上に順次積み上がり積層されて容器用紙材束20となる。
【0032】
容器用紙材2は、
図5に示すように紙面表側が積層された容器用紙材束20の表層側に配向し、また紙面裏側が容器用紙材2の底層側に配向するように投入する。容器用紙材2は、紙面表側のみに印刷Pの塗料が浸透し、紙面裏側には特段塗料が浸透しないこととなり、容器用紙材2の表裏で塗料の含有率が異なる結果、容器用紙材2の両側端部21、22側が、紙面表側に向けて反りが生じる場合がある。かかる場合には、この案内レール31に投入された容器用紙材2が積層されて得られる容器用紙材束20は、全体的には
図5に示すように両側端部21、22側が、紙面表側に向けて反っている状態となっている。
【0033】
サイドパッド33は、収容部11に積層された容器用紙材束20(容器用紙材2)の各側端部21、22を押圧し、これを底層側に向けて駆動するためのパッドである。この容器用紙材束20の各側端部21、22に接触させるサイドパッド33の先端は、例えばゴムや樹脂等を始めとする弾性体で構成されている。サイドパッド33の先端の立体形状はいかなるものであってもよいが、容器用紙材束20の各側端部21、22に接触させる部位については、押圧に伴う密着性を高める観点から平面で構成されていることが望ましい。またサイドパッド33による容器用紙材束20(容器用紙材2)の各側端部21、22の接触位置については特に限定するものではないが、
図4に示すように、下端部24よりも上端部23側を押圧可能とされていることが望ましい。これにより、サイドパッド33とフロントパッド34とを互いに近接させることができる。後述するように容器用紙材2の反りを矯正する上で、その矯正の保持をサイドパッド33又はフロントパッド34により行うことになるが、互いのパッドが近接していることで効果的に矯正の保持を行うことが可能となる。
【0034】
フロントパッド34は、収容部11に積層された容器用紙材束20(容器用紙材2)の上端部23を押圧するためのパッドである。この容器用紙材束20の上端部23に接触させるフロントパッド34の先端は、例えばゴムや樹脂等を始めとする弾性体で構成されている。フロントパッド34の先端の立体形状はいかなるものであってもよいが、容器用紙材束20の上端部23に接触させる部位については、押圧に伴う密着性を高める観点から平面で構成されていることが望ましい。フロントパッド34により押圧力が加わる容器用紙材束20を下側から支持するのは、容器用紙材束20の下側に位置する案内レール31、係止爪32、又は図示しない支持手段等を介して行うようにしてもよい。
【0035】
駆動部35は、サイドパッド33を駆動させるための機構であり、図示しないシリンダ等で構成されている。駆動部35による制御は、上述した制御部19から発信される制御信号に基づいて行われるものであってもよい。駆動部35は、容器用紙材束20(容器用紙材2)の各側端部21、22に対して、サイドパッド33を内側に向けて近接する方向に駆動自在に構成し、またサイドパッド33を外側に向けて離間する方向に駆動自在に構成している。これに加えて、駆動部35は、容器用紙材束20に対して、サイドパッド33を底層側、又は表層側に向けて駆動自在に構成している。
【0036】
駆動部36は、フロントパッド34を駆動させるための機構であり、図示しないシリンダ等で構成されている。駆動部36による制御は、上述した制御部19から発信される制御信号に基づいて行われるものであってもよい。駆動部36は、容器用紙材束20(容器用紙材2)の上端部23に対して、フロントパッド34を内側に向けて近接する方向に駆動自在に構成し、またフロントパッド34を外側に向けて離間する方向に駆動自在に構成している。
【0037】
ロータリーフィーダー12は、複数個からなる吸着パッド41を備えている。吸着パッド41は、吸引力を働かせるために空気を吸入するための図示しない吸入口が設けられている。この吸着パッド41に容器用紙材2を接触させると、その吸引力に基づいて容器用紙材2を吸着させて所望の場所に移動させるための各種操作を行うことができる。このような吸着パッド41が設けられたロータリーフィーダー12は、通常複数本設けられており、各ロータリーフィーダー12がローテーションで容器用紙材2を吸着させて移動させる操作を行うのが通常である。
【0038】
ロータリーフィーダー12は、このような吸着パッド41を介して、
図6(a)に示すように、収容部11に積層された容器用紙材2を最底層から順次吸着させる。最底層にある容器用紙材2aは、係止爪32により係止された状態となっているが、吸着パッド41により接触されるとこれに吸着されて、ロータリーフィーダー12を介して
図6(a)中矢印方向に向けて引張力が負荷される。その結果、ロータリーフィーダー12は、
図6(b)に示すように、容器用紙材2aを係止爪32による仮止め力に抗して容器用紙材2を引き出すことができる。ロータリーフィーダー12は、このようにして引き出した容器用紙材2aをグリッパーターレット13へと供給することができる。
【0039】
本発明を適用した供給システム1では、このようにして容器用紙材2を引き出して製造ライン上に供給する上で、容器用紙材2の両側端部21、22に生じている反りを以下に説明する動作に基づいて矯正する。
【0040】
図7は、吸着パッド41の接触動作、サイドパッド33による押圧動作、サイドパッド33による底層側への駆動動作、フロントパッド34による押圧動作の各タイムチャートを示している。
【0041】
吸着パッド41は、0.5秒間隔で容器用紙材2aに接触し、これを引き出して製造ラインへ供給することを繰り返し実行する。その間、このサイドパッド33、フロントパッド34は、10秒間を1タームとし、以下に説明する動作を繰り返し実行する。
【0042】
先ず0~0.5秒におけるタイミングT1において、サイドパッド33による押圧動作がONになる。このタイミングT1では、サイドパッド33による底層側への駆動動作、フロントパッド34による押圧動作はOFFとなっている。かかる場合には、
図8に示す斜視図、
図9(a)に示す正面図、
図10(a)に示す平面図に示すように、サイドパッド33は、収容部11に積層された容器用紙材束20の側端部21(22)に向けて駆動する。そして、
図9(b)、
図10(b)に示すように、サイドパッド33を容器用紙材束20の側端部21(22)に接触させ、これを押圧する。
【0043】
次に0.5~1秒におけるタイミングT2において、サイドパッド33における底層側に向けた駆動動作がONになる。このタイミングT2では、サイドパッド33による押圧動作がONのまま継続されている。このため、タイミングT2では、収容部11に積層された容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧した状態で底層側に駆動させる動作を行っていることとなる。
【0044】
かかる場合には、
図11に示す斜視図、
図12に示す平面図に示すように、サイドパッド33が底層側に駆動することにより、これに押圧されている容器用紙材束20を構成する各容器用紙材2の側端部21、22が底層側に向けて押し込まれる。その結果、
図12に示すように、容器用紙材束20の側端部21、22の紙面表側への反りが紙面裏側に向けて矯正されることとなる。
【0045】
次に1~1.5秒におけるタイミングT3において、フロントパッド34による押圧がONになる。このタイミングT3では、サイドパッド33による押圧動作と、サイドパッド33による底層側への駆動動作はONのまま継続されている。かかる場合には、
図13に示す斜視図、
図14に示す正面図、
図15に示す平面図に示すように、容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の上端部23がフロントパッド34により押圧されている状態となっている。
【0046】
つまり、サイドパッド33により、容器用紙材束20の側端部21、22の紙面表側への反りが紙面裏側に向けて矯正されている状態となっているが、更にフロントパッド34により容器用紙材束20の上端部23が押圧されることにより、その矯正状態がそのまま保持されることとなる。フロントパッド34により容器用紙材束20全体に上端部23側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の側端部21、22の反りが紙面表側へ戻らないように保持することが可能となる。
【0047】
次に1.5~10秒におけるタイミングT4において、サイドパッド33による押圧動作と、サイドパッド33による底層側への駆動動作とを共にOFFにすることで、サイドパッド33を
図16、17に示すように容器用紙材束20から離間させる。このとき、フロントパッド34による押圧をON状態に保持したままとする。タイミングT3において説明したように、フロントパッド34により容器用紙材束20全体に上端部23側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の側端部21、22の反りが紙面表側へ戻らないように保持されていることから、サイドパッド33を容器用紙材束20から離間させても、その矯正状態がそのまま保持されることとなる。
【0048】
このタイミングT4においては、
図16に示す斜視図、
図17に示す平面図に示すように、容器用紙材束20から離間させたサイドパッド33を表層側に駆動する。
【0049】
このタイミングT4が終了した後、10秒間のタームが終了し、次のタームのタイミングT1に移行する。このタイミングT4からタイミングT1に移行する際に、フロントパッド34による押圧をOFFとすると共に、サイドパッド33による押圧をONとする。タイミングT4においてサイドパッド33を表層側に駆動させてあり、元のポジションに戻していることから、タイミングT1に示す動作に即座に移行することができる。その後は、上述したタイミングT1~T4の動作を繰り返す。
【0050】
このように、本発明を適用した供給システム1によれば、タイミングT2~T3の動作を通じて、収容部11に積層された容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧した状態で底層側に駆動させる。これにより、容器用紙材2の側端部21、22が底層側に向けて押し込まれる結果、紙面表側への反りを紙面裏側に向けて矯正することが可能となる。これに加えて、タイミングT3~T4の動作を通じて、フロントパッド34により容器用紙材束20に対して押圧力が負荷されることでその矯正状態を保持することができる。容器用紙材束20に対してこのような動作が繰り返し施されることで、これを構成する容器用紙材2に生じている紙面表側への反りの戻りが殆ど生じなくなる。仮に一時的にフロントパッド34又はサイドパッド33により一時的に矯正しているのみで、フロントパッド34及びサイドパッド33を同時に離間した場合、一度矯正した反りが戻ってしまう場合がある。このため、上述した動作を繰り返し実行し続ける必要がある。
【0051】
これにより、
図6に示すように側端部21、22に反りが生じていない容器用紙材2aに対して吸着パッド41を近接させた場合、側端部21、22と吸着パッド41との間に隙間が生じるのを防止することができる。その結果、側端部21、22に反りが生じていない容器用紙材2aを吸着パッド41により確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することができる。このため、容器用紙材2aを吸着パッド41により吸着できないことで製造ラインへの容器用紙材2の供給が滞り、製造ラインによる生産効率が低下するのを防止することができる。
【0052】
容器用紙材2の紙厚が0.2mmであり、サイドパッド33の長さが45mmである場合、225枚の容器用紙材2を一気に押圧し、これを底層側に駆動させることができる。タイムチャートによれば、吸着パッド41により吸着されて製造ラインにより取り出される容器用紙材2の枚数は、1ターム(10秒)につき、20枚であることから、各容器用紙材2は製造ラインに供給されるまで、複数タームを経ることが分かる。各容器用紙材2は、製造ラインに供給されるまでに、複数回に亘りサイドパッド33による矯正動作が施されることとなる。
【0053】
なお、タイミングT2~タイミングT3におけるサイドパッド33による底層側への駆動操作における駆動長さ(ストローク長さ)は、特段限定されるものではないが、10mm程度であれば、容器用紙材2の側端部21、22に生じた反りを矯正する上で十分である。容器用紙材2に発生している反り量が10mm以下であれば、安定した吸着パッド41により吸着し、これを移動させることができる。このため、矯正により反り量を10mm以下までに抑えることが望ましい。仮に反り量が20mmであれば、駆動長さを10mmとすることにより、矯正後の反り量は10mmにすることができる。また時間的な動作間隔を短くするために、駆動長さを10mmとしている。
【0054】
なお、上述した
図7に示すタイムチャートは、一例であり、各タイミングT1~T4において行われる動作が実行されるのであれば、そのタイミングT1~T4の期間は、いかなるものであってもよい。
【0055】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば
図19に示すように逆方向に反りが発生している場合も同様に適用できる。この逆方向の反りは、側端部21、22が、紙面裏側に向けて反っている状態となっている。なお、ここでいう逆方向の反りは、紙面表側に向けて反っている順方向の反りを、収納時に紙面表側と紙面裏側を
図5に示すケースとは逆に収納する場合も含まれる。即ち、紙面表側に向けて反っている順方向の反りが生じた容器用紙材2、紙面表側が下(底層側)に、紙面裏側が上(表層側)に収納する場合も同様の方法により矯正することができる。
【0056】
このような逆方向の反りが発生している場合には、
図20に示すような収容部11を利用する。この収容部11では、サイドパッド33の構成は省略し、フロントパッド34が上下に配設された構成とされている。フロントパッド34は、略中心に位置するフロントパッド34bとその両側に位置するフロントパッド34aに分類される。即ち、フロントパッド34aが、両脇から上端部23、下端部24を押圧自在に構成しており、フロントパッド34bがフロントパッド34a間である、より中央側の上端部23、下端部24を押圧自在に構成している。
【0057】
逆方向の反りが発生している場合には、
図21に示すタイムチャートにおけるタイミングT1~タイミングT4の処理動作を実行する。先ずタイミングT1では、フロントパッド34aによる押圧を行う。タイミングT1では
図22(a)に示すようにフロントパッド34aを容器用紙材束20の上端部23、下端部24に接触させ、これを押圧する。
【0058】
次にタイミングT2において、
図22(b)に示すように、容器用紙材束20の上端部23、下端部24を押圧しているフロントパッド34aを底層側に駆動する。フロントパッド34aはより側端部21、22よりの上端部23、下端部24を押圧しつつ低層側へ駆動することから、容器用紙材束20の上端部23、下端部24の中央部の紙面表側への反りが紙面裏側に向けて矯正されることとなる。
【0059】
次にタイミングT3において、
図23(a)に示すように、容器用紙材束20の側端部21、22よりの上端部23、下端部24をフロントパッド34aにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の上端部23、下端部をフロントパッド34bにより押圧する。フロントパッド34bにより容器用紙材束20全体に上端部23、下端部24側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の上端部23、下端部24の中央部の反りが紙面表側へ戻らないように保持することが可能となる。
【0060】
次にタイミングT4において
図23(b)に示すように、容器用紙材束20からフロントパッド34aを離間させ、これを表層側へ駆動する。その間、フロントパッド34bにより容器用紙材束20に上端部23、下端部24側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の上端部23、下端部24の中央部の反りが紙面表側へ戻ろうとするのを抑制することができ、矯正状態がそのまま保持されることとなる。
【0061】
このタイミングT4が終了した後、10秒間のタームが終了し、次のタームのタイミングT1に移行する。このタイミングT4からタイミングT1に移行する際に、フロントパッド34bによる押圧をOFFとすると共に、フロントパッド34aによる押圧をONとする。タイミングT4においてフロントパッド34aを表層側に駆動させてあり、元のポジションに戻していることから、タイミングT1に示す動作に即座に移行することができる。その後は、上述したタイミングT1~T4の動作を繰り返す。
【0062】
このような動作を繰り返すことにより、容器用紙材2の上端部23、下端部24の中央部において逆方向の反りが発生した場合においても、紙面表側への反りの戻りが殆ど生じなくなる。これにより、上端部23、下端部24の中央部に反りが生じていない容器用紙材2aに対して吸着パッド41を近接させた場合、上端部23、下端部24の中央部と吸着パッド41との間に隙間が生じるのを防止することができる。その結果、上端部23、下端部24の中央部に反りが生じていない容器用紙材2aを吸着パッド41により確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することができる。
【0063】
なお、側端部21、22が、紙面裏側向けて反っている状態となる、いわゆる逆方向の反りが生じている場合には、容器用紙材束20の中央側における上端部23及び下端部24をフロントパッド34bにより押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の両側端側における上端部23及び下端部24をフロントパッド34aにより押圧することで実現できる。詳細な動作フローは、
図21に示すタイムチャートにおけるフロントパッド34aによる底層側への駆動を、フロントパッド34bによる底層側への駆動と読み替え、フロントパッド34bによる押圧をフロントパッド34aによる押圧と読み替えることにより、以下での説明を省略する。かかる場合も同様に、容器用紙材2aを吸着パッド41により確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することができる。
【0064】
なお順方向の反りを解消する動作において、収容部11は、上述した構成に限定されるものではなく、
図24に示すように、容器用紙材束20の下端部24に対して近接離間自在とされたフロントパッド38を更に設けるようにしてもよい。このフロントパッド38は、駆動部39により駆動されることで容器用紙材束20の下端部24を押圧可能としている。
【0065】
このため、上述したフロントパッド34による容器用紙材束20の上端部23のみを押圧する以外に、このフロントパッド38により容器用紙材束20の下端部24を同時に押圧するようにしてもよい。このフロントパッド38の押圧のタイミングは、フロントパッド34と同時とされる。
【0066】
また、順方向の反りを解消する動作においては、フロントパッド34の構成を省略し、フロントパッド38のみにより押圧を行うようにしてもよい。かかる場合には、フロントパッド34の代替として、フロントパッド38の押圧力が加わる容器用紙材束20を上側から支持するのは、案内レール31、係止爪32、又は図示しない支持手段等を介して行うようにしてもよい。
【0067】
このようなフロントパッド38による押圧によっても、上述した効果が得られることは勿論である。
【0068】
また順方向の反りを解消する動作において、サイドパッド33は、容器用紙材束20の側端部21、22におけるより上方を押圧することを前提としているが、これに限定されるものではない。
図24に示すように、容器用紙材束20の側端部21、22におけるより上方を押圧するサイドパッド33aに加え、より下方を押圧するサイドパッド33bを別途設けるようにしてもよい。サイドパッド33a、33bは、共通の上述した動作を行う。
【0069】
これにより、容器用紙材束20において反りが側端部21、22においても顕著に発生している場合に、このサイドパッド33bを介してこれを矯正することが可能となる。
【0070】
なお、サイドパッド33aの構成を省略し、サイドパッド33bのみにより押圧と駆動を行うようにしてもよいことは勿論である。
【0071】
上述した実施の形態では、容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の上端部23及び/又は下端部24をフロントパッドにより押圧する場合を例に挙げて説明をしたが、これに限定されるものではない。
【0072】
容器用紙材束20をフロントパッド34、38により押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド34により押圧する方法でも同様の作用効果を奏するものとなる。かかる場合には、
図24に示すフロントパッド34により、容器用紙材束20の上端部23を、またフロントパッド38により、容器用紙材束20の下端部24を押圧した状態で底層側に駆動させる動作を行う。
【0073】
かかる場合には、
図25に示すタイムチャートにおけるタイミングT1~タイミングT4の処理動作を実行する。先ずタイミングT1では、フロントパッド34、38による押圧を行う。タイミングT1では
図26(a)に示す側面図のようにフロントパッド34、38を容器用紙材束20の上端部23、下端部24にそれぞれ接触させ、これを押圧する。このとき、フロントパッド34、38の容器用紙材束20への接触位置は、より表層側とすることが望ましい。
【0074】
次にタイミングT2において、
図26(b)に示すように、容器用紙材束20の上端部23、下端部24を押圧しているフロントパッド34、38を底層側に駆動する。その結果、容器用紙材束20の上端部23、下端部24の紙面表側への反りが紙面裏側に向けて矯正されることとなる。
【0075】
次にタイミングT3において、
図27(a)に示すように、容器用紙材束20の上端部23、下端部24をフロントパッド34、38により押圧した状態で底層側に駆動しつつ、容器用紙材束20の側端部21、22をサイドパッド33により押圧する。サイドパッド33により容器用紙材束20全体に側端部21、22側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の反りが紙面表側へ戻らないように保持することが可能となる。
【0076】
次にタイミングT4において
図27(b)に示すように、容器用紙材束20からフロントパッド34、38を離間させ、これを表層側へ駆動する。その間、サイドパッド33により容器用紙材束20に側端部21、22側から押圧力が加わることにより、容器用紙材束20の反りが紙面表側へ戻ろうとするのを抑制することができ、矯正状態がそのまま保持されることとなる。
【0077】
このタイミングT4が終了した後、10秒間のタームが終了し、次のタームのタイミングT1に移行する。このタイミングT4からタイミングT1に移行する際に、サイドパッド33による押圧をOFFとすると共に、フロントパッド34、38による押圧をONとする。タイミングT4においてフロントパッド34、38を表層側に駆動させてあり、元のポジションに戻していることから、タイミングT1に示す動作に即座に移行することができる。その後は、上述したタイミングT1~T4の動作を繰り返す。
【0078】
このような動作を繰り返すことにより、容器用紙材2の側端部21、22において反りが発生した場合においても、紙面表側への反りの戻りが殆ど生じなくなる。これにより、容器用紙材2aを吸着パッド41により確実に吸着し、安定的に製造ライン上に供給することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 供給システム
2 容器用紙材
5 紙容器
10 製造ライン
11 収容部
12 ロータリーフィーダー
19 制御部
20 容器用紙材束
21、22 側端部
23 上端部
24 下端部
31 案内レール
32 係止爪
33 サイドパッド
34、38 フロントパッド
35、36、39 駆動部
41 吸着パッド
51 胴部
52 底板