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特開2023-147916光信号選択装置および光信号選択装置の制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147916
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光信号選択装置および光信号選択装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G02F1/01 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055694
(22)【出願日】2022-03-30
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」委託研究開発、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】516059813
【氏名又は名称】エピフォトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 昌史
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102BA05
2K102BA08
2K102BA16
2K102BA26
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD02
2K102CA10
2K102DA06
2K102DB08
2K102DC05
2K102DC08
2K102DD02
2K102EB02
2K102EB08
2K102EB10
2K102EB16
2K102EB29
(57)【要約】
【課題】温度変化の影響を除去すること。
【解決手段】光信号選択装置は、複数の光ファイバが所定の方向に沿って配列され、光信号の入出力を行うファイバーコリメータアレイと、複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を所定の角度で回折させて、第1光ファイバと第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合する光変調器と、光変調器を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、光変調器が配置される光学基板の温度変化に応じた揺動パターン画像を前記光変調器に表示させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光ファイバが所定の方向に沿って配列され、光信号の入出力を行うファイバーコリメータアレイと、
前記複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を所定の角度で回折させて、前記第1光ファイバと前記第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合する光変調器と、
前記光変調器を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記光変調器が配置される光学基板の温度変化に応じた揺動パターン画像を前記光変調器に表示させる、
光信号選択装置。
【請求項2】
前記光学基板は、前記光変調器が配置される第1基板と、前記第1基板上に配置され、光学系が配置される前記第1基板とは線膨張係数が異なる第2基板とを含む、
請求項1に記載の光信号選択装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1基板および前記第2基板の温度変化に応じて周期的に変化する前記揺動パターン画像を前記光変調器に表示させる、
請求項2に記載の光信号選択装置。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1基板および前記第2基板の温度変化に応じた前記ファイバーコリメータアレイのポート間結合の結合係数カーブの変化に基づいて、前記揺動パターン画像の中心値を算出する、
請求項2または3に記載の光信号選択装置。
【請求項5】
前記第2基板は、セラミック基板である、
請求項2から4のいずれか1項に記載の光信号選択装置。
【請求項6】
前記第1基板は、コバール基板、インバー基板、およびスーパーインバー基板のいずれかである、
請求項2から5のいずれか1項に記載の光信号選択装置。
【請求項7】
前記第1基板は、シャーシ基板上に配置され、
前記第1基板および前記シャーシ基板は、1か所が固定部で固定された構造を有する、
請求項2から6のいずれか1項に記載の光信号選択装置。
【請求項8】
前記第1基板は、外周が少なくとも2か所において前記シャーシ基板とバネ性部材で固定されている、
請求項7に記載の光信号選択装置。
【請求項9】
前記バネ性部材は、前記固定部から放射状に設けられている、
請求項8に記載の光信号選択装置。
【請求項10】
前記ファイバーコリメータアレイからの前記光信号を折り返して前記光変調器に出力する折り返し構造を有する、
請求項1から9のいずれか1項に記載の光信号選択装置。
【請求項11】
複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を、光変調器を制御して所定の角度で回折させて、前記第1光ファイバと前記第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合させるステップと、
前記光変調器が配置される光学基板の温度変化に応じた揺動パターン画像を前記光変調器に表示させるステップと、
を含む、光信号選択装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光信号選択装置および光信号選択装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光波長分割多重方式(WDM:Wavelength Division Multiplexing)を用いた、高速で大容量の情報通信技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、空間位相変調素子にパターンを設定することで、アッテネーション機能(減衰機能)を実現する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-156647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、光信号選択装置や利得等価装置に使用される空間位相変調素子のビーム偏向方向や減衰量の調整は、位相空間変調素子に描画される画像を画素数単位で調整することで行われている。しかしながら、使用環境の温度が変化することにより、光学系を構成する各構成部品が歪んでしまい、位相空間変調素子への光信号の到達位置が変化してしまう可能性がある。温度変化による部品の変形の影響を除去するように位相空間変調素子を制御することのできる技術が望まれている。
【0006】
本開示は、温度変化の影響を除去することのできる信号選択装置および光信号選択装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光信号選択装置は、複数の光ファイバが所定の方向に沿って配列され、光信号の入出力を行うファイバーコリメータアレイと、前記複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を所定の角度で回折させて、前記第1光ファイバと前記第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合する光変調器と、前記光変調器を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記光変調器が配置される光学基板の温度変化に応じた揺動パターン画像を前記光変調器に表示させる。
【0008】
本開示に係る光信号選択装置の制御方法は、複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を、光変調器を制御して所定の角度で回折させて、前記第1光ファイバと前記第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合させるステップと、前記光変調器が配置される第1基板と、前記第1基板上に配置され、光学系が配置される前記第1基板とは線膨張係数が異なる第2基板との温度変化に応じた揺動パターン画像を前記光変調器に表示させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、温度変化の影響を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る光信号選択装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る光変調器の構成例を説明するための図である。
図3図3は、実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る光信号選択装置の光路を説明するための図である。
図5図5は、実施形態に係る光信号選択装置の部品配置例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る光信号選択装置の全体の構成例を説明するための図である。
図7図7は、ポジ型液晶を用いた平行配向液晶セルを用いた時の液晶の複屈折特性の温度変化を説明するための図である。
図8A図8Aは、実施形態に係る基本的な描画パターンを示す。
図8B図8Bは、実施形態に係る放物面収差補正を行うための描画パターンを説明するための図である。
図8C図8Cは、図8A図8Bとの組み合わせの補正を説明するための図である。
図9A図9Aは、実施形態に係るレンズの焦点距離の変化と補正を説明するための図である。
図9B図9Bは、実施形態に係るレンズの焦点距離の変化と補正を説明するための図である。
図9C図9Cは、実施形態に係るレンズの焦点距離の変化と補正を説明するための図である。
図10A図10Aは、実施形態に係るTangential面の光等価回路を示す図である。
図10B図10Bは、実施形態に係るSagittal面の光等価回路を示す図である。
図11A図11Aは、実施形態に係る光変調器の変調面の模式図である。
図11B図11Bは、実施形態に係る位相変調パターンの一例を示す図である。
図12A図12Aは、実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明するための図である。
図12B図12Bは、実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明するための図である。
図12C図12Cは、実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明するための図である。
図12D図12Dは、実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明するための図である。
図13図13は、実施形態に係る位相傾き曲線の温度変化を説明するための図である。
図14A図14Aは、実施形態に係る光学系基板の模式図である。
図14B図14Bは、実施形態に係る光学系基板の模式図である。
図14C図14Cは、実施形態に係る光学系基板の模式図である。
図15A図15Aは、実施形態に係るバイメタルモデルを説明するための図である。
図15B図15Bは、実施形態に係るバイメタルモデルを説明するための図である。
図15C図15Cは、実施形態に係るバイメタルモデルを説明するための図である。
図16図16は、実施形態に係る解析を行った光学系構造のモデルを示す。
図17A図17Aは、実施形態に係る光学系構造を昇温した場合の高さ方向の変位利用の概要を示す図である。
図17B図17Bは、実施形態に係る光学系構造を昇温した場合の高さ方向の変位利用の概要を示す図である。
図18A図18Aは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。
図18B図18Bは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。
図19A図19Aは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。
図19B図19Bは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。
図20A図20Aは、実施形態に係る金属基板の材料の違いによる変位の解析結果を示す図である。
図20B図20Bは、実施形態に係る金属基板の材料の違いによる変位の解析結果を示す図である。
図20C図20Cは、実施形態に係る金属基板の材料の違いによる変位の解析結果を示す図である。
図20D図20Dは、実施形態に係る金属基板の材料の違いによる変位の解析結果を示す図である。
図21A図21Aは、開示に係る金属基板のシャーシへの固定方法を説明するための図である。
図21B図21Bは、開示に係る金属基板のシャーシへの固定方法を説明するための図である。
図22図22は、実施形態に係る光モニタシステムの構成例を示す図である。
図23A図23Aは、補正パラメータを計算するための誤差信号を発生するのに用いる揺動走査方法について説明するための図である。
図23B図23Bは、実施形態に係る光変調器のCHスロットの光強度極大値の分布を説明するための図である。
図23C図23Cは、施形態に係る揺動走査方法を説明するための図である。
図24A図24Aは、実施形態に係るポート間結合方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図24B図24Bは、実施形態に係るポート間結合方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図24C図24Cは、実施形態に係るポート間結合方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図25A図25Aは、実施形態に係る周波数軸方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図25B図25Bは、実施形態に係る周波数軸方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図25C図25Cは、実施形態に係る周波数軸方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。
図26図26は、実施形態に係る揺動走査に用いる同期検波法を説明するための図である。
図27A図27Aは、実施形態に係るモニタシステムからの出力信号を説明するための図である。
図27B図27Bは、実施形態に係るモニタシステムからの出力信号を説明するための図である。
図28図28は、実施形態に係る揺動走査に用いる揺動振幅と結合係数カーブの微分波形との関係を説明するための図である。
図29図29は、実施形態に係る揺動走査に用いる揺動振幅波形とポート間結合方向の結合係数カーブの温度変化との関係を説明するための図である。
図30図30は、実施形態に係る揺動走査に用いる揺動振幅波形と周波数(波長)軸Chスロット中心座標の結合係数カーブの温度変化との関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本開示に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とし、X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とし、水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。また、X軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθX方向とし、Y軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθY方向とし、Z軸を中心とする回転方向又は傾斜方向をθZ方向とする。また、以下の説明においては、X軸及びY軸を含む平面を適宜、XY平面、と称し、X軸及びZ軸を含む平面を適宜、XZ平面、と称し、Y軸及びZ軸を含む平面を適宜、YZ平面、と称する。YZ平面は、水平面と平行である。XY平面とXZ平面とYZ平面とは直交する。
【0013】
[実施形態]
(光信号選択装置)
図1を用いて、実施形態に係る光信号選択装置の構成例について説明する。図1は、実施形態に係る光信号選択装置の構成例を示す図である。
【0014】
本開示に係る光信号選択装置1は、WSS(Wavelength Selective Switch)の一種である。光信号選択装置1は、ROADM(Reconfigurable Optical Add/drop multiplexer)の構成部品の1つである。光信号選択装置1は、光通信ネットワークにおいて、回折格子などの波長分離機能と、ミラーや光変調器などを用いた経路切り替え機能といった物理的機能を有する。光信号選択装置1は、信号同士のレベルを同じにするための減衰機能、経路切り替え時の迷光を防ぐヒットレス機能を含む。
【0015】
図1は、光信号選択装置1の側面図を示す。図1に示すように、光信号選択装置1は、ファイバーコリメータアレイ10と、ビーム幅変換器12と、光分散素子14と、レンズ16と、偏光分離素子18と、光変調器20と、を含む。制御装置22は、光変調器20を制御するように構成されている。なお、レンズ16は、光学素子の配置によって、球面ミラーを使用する。
【0016】
ファイバーコリメータアレイ10と、ビーム幅変換器12と、光分散素子14と、レンズ16と、偏光分離素子18とは、金属基板30上に形成されたセラミック基板32に配置されている。セラミック基板32は、例えば、Al(酸化アルミニウム)、AlN(窒化アルミニウム)、およびSiC(炭化ケイ素)などの熱伝導率が相対的に高く、かつ線膨張係数の小さい材料で形成されていることが好ましい。光変調器20は、金属基板30上に配置されている。後述するが、金属基板30は、コバール、インバー、スーパーインバーなどの低線膨張係数を持つ合金で形成された基板であることが好ましい。
【0017】
光信号選択装置1の組み立て方法について説明する。まず、セラミック基板32上の所定位置に、ビーム幅変換器12、光分散素子14、および偏光分離素子18をパッシブアライメント法で接着固定する。パッシブアライメント法は、実際に光を通さずに所定の位置に接着剤で固定する方法をいう。
【0018】
次に、ファイバーコリメータアレイ10と、レンズ16とをセラミック基板32上に、アクティブアライメント法で接着固定する。光変調器20は、金属基板30上に、アクティブアライメント法で接着固定する。アクティブアライメント法は、実際に光路に光を通した状態で、入力と出力との結合状態をモニタしながら調整し固定する方法をいう。
【0019】
光信号選択装置においては、ファイバーコリメータアレイ10と、ビーム幅変換器12と、光分散素子14と、レンズ16と、偏光分離素子18と、光変調器20の順に並んでいる。
【0020】
ファイバーコリメータアレイ10は、X軸に沿って、複数の光ファイバを備える。複数の光ファイバは、光選択装置1の入出力ポートである。図1に示す例では、入力ポートP1と、出力ポートP2と、出力ポートP3と、出力ポートP4とを含むものとして説明するが、これは例示であり、本開示はこれに限定されない。入力ポートP1からは、光信号がビーム幅変換器12に向けて出力される。出力ポートP2から出力ポートP4のいずれかまたは複数の出力ポートに、光変調器20でビーム偏向し所定の波長を選択した光信号が入力される。
【0021】
ビーム幅変換器12は、ファイバーコリメータアレイ10から受けた光信号のY-Z面のビーム幅を変更する。ビーム幅変換器12は、ファイバーコリメータアレイ10から受けた光信号のビーム幅をYZ面内で拡大して光分散素子14に出力する。ビーム幅変換器12は、例えば、アナモルフィックプリズムまたはシリンドリカルレンズなどから構成されている。
【0022】
光分散素子14は、例えば、回折格子で構成されている。光分散素子14は、例えば、ガラス基板上に形成した透過型回折格子で構成されている。光分散素子14は、ビーム幅変換器12から受けた光信号をYZ面内に分光するように構成されている。
【0023】
レンズ16は、光分散素子14と、偏光分離素子18との間に配置されている。レンズ16の前側の焦点位置は、光分散素子14の位置である。光分散素子14を複数枚の回折格子から構成する場合は、複数枚を一枚に置き換えた等価回折格子を仮定し、その位置を光分散素子14の位置と考える。レンズ16の後側の焦点位置は、光変調器20の位置である。レンズ16は、光分散素子14から受け分光された各光信号を、光変調器20の表面に各光信号の主光線が垂直になるように照射する。レンズ16は、例えば、単一のレンズや球面ミラーであってよい。
【0024】
偏光分離素子18は、レンズ16と、光変調器20との間に配置されている。偏光分離素子18は、レンズ16から入射した光信号の偏波を2つの直交する直線偏光に分離し、2つの偏光に所定の変位を付与する装置である。偏光分離素子18は、図示しない2つの偏波分離素子とその間に配置するλ/2板からなる偏波回転素子および2つ目の偏波分離素子を出射した片側の偏波のうちのP偏光出射側にのみ設けたP偏光をS偏光に変換する2つ目のλ/2板からなる偏波回転素子とを含む。偏波分離素子は、レンズ16から入射した光信号を互いに直交する2つの直線偏波(P偏光およびS偏光)に分離してP偏光だけを変位する。一つ目の偏波回転素子は、分離されたP偏光をS偏光に、S偏光をP偏光に変換する。2つ目の偏波分離素子は変換されたP偏光だけを変位する。さらに2つ目のP偏光出射側にのみ設けた2つ目の偏波回転素子はP偏光をS偏光に変換し、2つのS偏光が光変調器20側の面において、X方向に並んで配置される。
【0025】
光変調器20は、複数の光変調素子を備える。光変調器20は、例えば、屈折率を変化させることのできる2次元配列された複数の位相変調素子を備える。光変調器20は、例えば、位相変調素子として液晶素子を用いた反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)で構成することができる。光変調器20は、ファイバーコリメータアレイ10の複数の光ファイバのうち、第1光ファイバから入力された光信号を所定の角度で回折させて、第1光ファイバと第1光ファイバとは異なる第2光ファイバとの経路を結合するように構成されている。本実施形態では、光変調器20は、図2に示すように第1光変調部20-1と、第2光変調部20-2と、を含む。図2は、実施形態に係る光変調器の構成例を説明するための図である。図2に示すように、光変調器20は、第1光変調部20-1と、第2光変調部20-2と、を有する。第1光変調部20-1は、偏光分離素子18で上側に変位された上偏波側の光信号を回折させて反射するように構成されている。第2光変調部20-2は、偏光分離素子18で下側に変位された下偏波側の光信号を回折させて反射するように構成されている。
【0026】
制御装置22は、光変調器20に描画する描画パターンを調整可能に構成されている。制御装置22は、光変調器20の第1光変調部20-1と、第2光変調部20-2とに描画する描画パターンを調整可能に構成されている。制御装置22は、入力ポートP1から出力ポートP2、出力ポートP3、および出力ポートP4への切り替えは、描画パターンとして光変調器20にビーム偏向パターンとなるホログラム(Computer Generated Hologram:CGH)パターンを書き込むことで行う。後述するが、本実施形態では、制御装置22は、各構成部品の温度変化に応じた揺動パターンを光変調器20に描画する。
【0027】
図1では省略するが、光信号選択装置1は、金属基板30およびセラミック基板32の温度を常時測定する温度センサを備えていてもよい。温度センサは、金属基板30およびセラミック基板32の温度の検出結果を制御装置22に出力してもよい。この場合、制御装置22は、温度センサの検出結果に基づいて、光変調器20の描画パターンを調整することができる。
【0028】
図3を用いて、実施形態に係る制御装置の構成例について説明する。図3は、実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0029】
図3に示すように、制御装置22は、通信部40と、記憶部42と、制御部44と、を有する。制御装置22は、例えば、光変調器20を構成する複数の位相変調素子のそれぞれに電圧を印加して、描画パターンを描画するように構成されている。
【0030】
通信部40は、制御装置22と、外部の装置との間の通信を行う。通信部40は、例えば、制御装置22に対する各種の操作を受け付ける入力装置の間で、各種の情報の送受信を行う。
【0031】
記憶部42は、制御部44の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、オンボードフラッシュメモリ(On-Board Flash Memory)などの補助記憶装置または、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。
【0032】
制御部44は、光信号選択装置1の各部の動作を制御する。制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、またはGPU(Graphics Processing Unit)等によって、記憶部42に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。制御部44は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。制御部44は、ハードウェアと、ソフトウェアとの組み合わせで実現されてもよい。
【0033】
図4は、実施形態に係る光信号選択装置の光路を説明するための図である。図4は、光信号選択装置1を上面からみた図を示している。ファイバーコリメータアレイ10において、ファイバーコリメータは同じ列に配列しているため上面からは各ポートPは重なって見える。図1において、入力ポートP1から入射した光は、波長に応じて矢印の方向で模式的に示すように光分散素子14により所定の角度にYZ平面で角度変換される。図4に示すように、光信号が波長λ1、波長λ2、および波長λ3の場合では、光変調器20の異なる位置に入射する。光分散素子14は、XZ平面では角度変換しない。光分散素子14を出射した各波長の光信号は、図1に示すXZ平面内においてレンズ16により位置-角度変換され光変調器20の所定の画素位置に照射される。光変調器20を反射した各波長の光信号は所定角度で、光変調器20で角度変換された後、レンズ16で角度-位置変換され出力ポートP2から出力ポートP4のいずれかの出力ポートに接続されたシングルモードファイバに接続する。
【0034】
図5を用いて、実施形態に係る光信号選択装置の部品配置例について説明する。図5は、実施形態に係る光信号選択装置の部品配置例を示す図である。
【0035】
図5に示す例は、光信号選択装置1を上面から見た時の部品配置例を示す。図5に示すように、本実施形態では、光信号選択装置1を小型化するための折り返し配置の構造を有する。レンズ16と、偏光分離素子18とは、本開示のポート間の結合効率に影響を与える光学系要素36を構成している。図5に示す例では、光信号Lの折り返しを、光分散素子14と、レンズ16で行うものとして説明するが、本開示はこれに限定されない。なお、図5では、レンズ16として球面ミラーを使用する。例えば、本開示では、光信号Lを折り返す折り返しミラーと、透過型の球面レンズなどを追加した構成で、折り返し光学系を構成してもよい。
【0036】
図6を用いて、実施形態に係る光信号選択装置の全体の構成例について説明する。図6は、実施形態に係る光信号選択装置の全体の構成例を説明するための図である。
【0037】
図6に示すように、モジュール50は、空間光学系52と、ダストカバー54と、制御基板56と、変換基板58と、金属シャーシ60と、を備える。
【0038】
空間光学系52には、図5で示した折り返し配置の光信号選択装置1が配置されている。ダストカバー54は、空間光学系52へのゴミの侵入や空気の流入および流出を制限する。ダストカバー54は、例えば、ハーメチックシールにより空間光学系52を気密封止している。なお、本開示においては、ダストカバー54は、必ずしもハーメチックシールの必要はない。しかしながら、例えば、周波数(波長)制御に高精度が要求される用途では、ダストカバー54をハーメチックシール構造として、空間光学系52の内部圧力を一定に保つ構造が望ましい。
【0039】
例えば、ダストカバー54は、光変調器20に配線引き出し用に取り付けたフレキシブル基板を介して電気配線を取り出し可能な構造を有する。さらに、変換基板58を介して光変調器20を制御するための制御基板56(図1に示す制御装置22に対応)に接続する。空間光学系52および制御基板56はSUS等からなる金属シャーシ60に固定する。図示しないが、金属シャーシ60をさらに筐体となる金属ケース内に固定することでモジュール50を構成する。
【0040】
図7は、ポジ型液晶を用いた平行配向液晶セルを用いた時の液晶の複屈折特性の温度変化を説明するための図である。図7の横軸は印加電圧、縦軸はリターデーション(Δnd)を示す。図7は、液晶をネマティック液晶とした時のグラフを示す。図7で示すように、点線201は、温度が低いとき(例えば、20℃)の同一の電圧変化範囲に対するリターデーションの変化量を示す。実線202は、温度が高いとき(例えば、80℃)の同一の電圧変化範囲に対するリターデーションの変化量を示す。点線201および実線202に示すように、温度が高くなるとリターデーションの変化量は、小さくなることがわかる。なお、図7は、平行配向セルの例だが、ネガ型液晶を用いた垂直配向セルの場合には、低電圧印加時にリターデーションが小さく、高電圧印加時にリターデーションが大きくなる。このように電圧に対するリターデーションの変化は垂直配向セルの場合には、平行配向セルの場合と逆向きの変化となるが、リターデーションの変化幅はポジ型液晶と同様に高温側で狭くなる。
【0041】
次に、本開示に係る光変調器20に書き込む描画パターンの概要について説明する。図8Aは、実施形態に係る基本的な描画パターンを示す。図8Aは、横軸xが画素数[pix(ピクセル)]を示し、縦軸yが位相遅れ[rad(ラジアン)]を示す。このとき、光変調器20に書き込む描画パラメータとして位相傾き(収差論で言うTilt(チルト))をb、DC成分(収差論で言うPiston(ピストン))をc、およびx軸との交点位置をPmとすると基のTiltおよびPistonの収差補正のための位相曲線203は、以下の式(1)で表すことができる。
【0042】
【数1】
【0043】
なお、実施形態に係る光変調器20を反射し往復する最大位相変調量は、2π(使用する波長λの1λのときの位相量を2πとする)である。そのため、制御装置22は、基のビーム偏向用位相曲線を光変調器20に書き込む際には、図8Aに示す、ノコギリ波状の曲線204で示すように位相曲線203を2πで割った剰余項とし、2πの主領域での折り畳みを行う。
【0044】
図8Bは、実施形態に係る放物面(球面)収差補正を行うための描画パターンを説明するための図である。図8Bは、横軸xが画素数[pix]を示し、縦軸yが位相遅れ[rad]を示す。放物面収差補正(後述のように一方向だけの補正が主なため形状としてはシリンドリカルレンズと等価)のための位相曲線205は、放物線頂点の曲率をa、放物線の頂点座標をPcとすると、以下の式(2)で表すことができる。
【0045】
【数2】
【0046】
光変調器20に描画パターンを書き込む際は、最大位相変調量2πの制約がある場合、制御装置22は、曲線206に示すように、位相曲線205を2πで割った剰余項とし、2πの主領域での折り畳みを行う。
【0047】
図8Cは、図8A図8Bとの組み合わせの補正を説明するための図である。図8Cは、横軸xが画素数[pix.]を示し、縦軸yが位相遅れ[rad]を示す。図8Cの位相曲線207は、DC成分(Piston)、一次の位相傾き(Tilt)および放物面収差補正を合わせた補正を示す位相曲線である。位相曲線207を光変調器20上に書き込む際には、制御装置22は、式(1)と式(2)の和である以下の式(3)で計算し位相曲線207を2πで割った剰余項とし、2πの主領域での折り畳みを行った曲線208を書き込む。
【0048】
【数3】
【0049】
本実施形態では、制御装置22が使用する光変調器20に描画パターンを描画するための描画パラメータとして、a、b、c、Pc、およびPmを選んでいる。ここで、物理的に制御可能な光変調器20の独立な位相変調のパラメータは、次の3つであることが重要なポイントである。
【0050】
1.DC成分(可変調範囲0から2π)δ:フォーカス位置を微調整するためのパラメータ
2.Tilt係数β:反射ビームの偏向方向を制御するためのパラメータ
3.放物面頂点の曲率α:レンズパワーまたは球面収差補正項
【0051】
そこで、式(3)の描画パラメータと上記の1から3の物理的な位相変調パラメータとの関係を比較する。δ、β、およびα用いることで、以下の式(4)を得ることができる。
【0052】
【数4】
【0053】
位相変調パラメータは、3つの基底関数x、x、x(パラメータδ、β、α)の張る3次元基底関数空間で一意に記述できる。一方、式(3)を展開すると、以下の式(5)が得られる。
【0054】
【数5】
【0055】
式(4)と式(5)を比較することで、式(6)、式(7)、式(8)が得られる。
【0056】
【数6】
【0057】
【数7】
【0058】
【数8】
【0059】
なお、δは、光変調器20で制御可能な2πの主値の範囲で考えると、ビーム操作(光信号の操作)にほとんど影響しないため0としても良い。したがって、式(6)から(8)より、例えば、放物面頂点の頂点座標Pcを変えることは、制御装置22が、ビーム偏向に影響する位相変調パラメータβ(Tilt係数)を操作することと等価になることがわかる。したがって、放物面の頂点座標Pcをシフトさせる操作と、傾き係数bを変える操作とは、物理的な波面操作である位相変調パラメータβから見ると、等価なTilt補正の操作であるといえる。
【0060】
本実施形態において、図5に示す光分散素子14からレンズ16への入射角は、分散角によって波長ごとに異なるが、分散角を0°とおいた幾何学的な角度で考えると、例えば、12.6°の斜め入射となっている。そこで、図9Aから図9Cを用いてレンズ16に斜め入射するときの垂直入射ビームと比較した際のレンズ16の焦点距離の変化とその補正(非点収差補正)について説明する。図9Aから図9Cは、実施形態に係るレンズ16の焦点距離の変化と補正を説明するための図である。
【0061】
ここで、図9Bは、図5を下から見た位置関係となっている。図9Bは、斜め入射の入射面上から見た状態なので、Tangential(タンジェンシャル)面(XZ平面)である。垂直入射時のレンズ16の焦点距離をfとすると斜め入射時のTangential面で見た焦点距離ftは、入射角をθとして以下の式(9)で表される。
【0062】
【数9】
【0063】
一方、図9Cに示すように、入射面に垂直な面は、Sagittal(サジタル)面(YZ平面)となり、図5を側面から見た状態を示す。この時、レンズ16の入射光と出射光は、Sagittal面から見るとレンズ16に対し垂直入射になり、側面から見たときの焦点距離は、fであるが、実際の光路で考えると、斜め入射している分だけ焦点距離は長くなる。そのため、その焦点距離をfsと置くと以下の式(10)で表すことができる。
【0064】
【数10】
【0065】
光信号選択装置1に用いる光学系において、光分散素子14の分散方向に周波数ごとに分離された個々のガウシアンビームは、レンズ16によりフーリエ面となる光変調器20を焦点面とするスポットを結ぶ。したがって、周波数分解能をできるだけ上げるためには、光変調器20の周波数軸に沿った面上に微小なビームスポットを形成する必要がある。
【0066】
図10Aは、実施形態に係るTangential面の光等価回路を示す図である。図10Bは、実施形態に係るSagittal面の光等価回路を示す図である。図4に示す、光学系においてファイバーコリメータアレイ10は、シングルモードファイバからの出射光をコリメートしビーム幅変換器12でビーム幅を拡大して平行光L2を出力とする。平行光L2は、光変調器20に微小スポットを形成するために、レンズ16の手前側の前述したビーム幅変換器12でビーム拡大される。その後、平行光L2は、レンズ16の実効的な前側焦点位置に配置した光分散素子14で光周波数ごとに角度フーリエ変換されレンズ16のフーリエ面に配置した光変調器の変調面の所定の位置に周波数ごとに分けられスポットを結ぶ。
【0067】
したがって、図10Aに示すように、レンズ16のTangential面に対する実効的な後側焦点位置に光変調器20を配置することで、ガウシアンビームのビームウェストがTangential面で見ると光変調器20の面に配列する。このため、ファイバーコリメータアレイ10のシングルモードファイバの出射端と、光変調器20の面とは共役の関係となる。その結果、光変調器20で反射された反射光L3は、レンズ16で逆フーリエ変換され、光分散素子14とビーム幅変換器12とを逆に進み、ファイバーコリメータアレイ10のシングルモードファイバに最も効率良く結合できる。
【0068】
一方、図10Bに示すように、レンズ16のSagittal面については、ファイバーコリメータアレイ10を出射した平行光L2は、レンズ16でTangential面に対する後側焦点面に配置された光変調器20でそのまま反射される。この際、図10Bに示すように、光変調器20は、レンズ16のTangential面に対する実効的な後側焦点位置に配置されているため、Sagittal面では実効的な焦点位置をftからfsに延ばす必要がある。そのため、光変調器20には負のレンズパワーを持つような凹レンズとして機能する屈折率分布を持つ描画パターンを重畳させることで、ファイバーコリメータアレイ10のシングルモードファイバに結合するビームの結合効率を最大化する必要がある。
【0069】
次に、本開示の光変調器20の変調面の座標および作用について説明する。図11Aは、実施形態に係る光変調器20の変調面の模式図である。図11Aは、図1に示す光信号選択装置1を左側正面から見た様子を示す。変調面の画素のローカル座標では左上を原点(0,0)ととり、縦軸をx軸、横軸をy軸とする。x軸はビーム偏向軸であり、y軸は周波数軸である。x軸およびy軸の単位は光変調器20の画素数である。なお、ここでは、光変調器20の画素は、縦横比が等しい正方画素とする。
【0070】
図4に示すファイバーコリメータアレイ10から出射したコリメート光は、ビーム幅変換器12で光変調器20の変調面のビームスポットを絞るためビーム幅を拡大される。光分散素子14で周波数ごとに角度分離された各周波数成分を含むガウシアンビームは、レンズ16のフーリエ面に配置された光変調器20の変調面に周波数ごとにビームスポットを結ぶ。その際、光変調器20の変調面の前に設置された偏光分離素子18で直交する2つの偏光に分離され、図示しない図11Aの第1光変調部20-1または、第2光変調部20-2の直前に配置された1/2波長板で片方の偏光の偏光方向を90°回転する。そして、制御装置22は、偏光分離された両方の偏光の向きを、光変調器20の変調時の結晶軸の向きに揃えた後に、それぞれ独立した第1光変調部20-1および第2光変調部20-2で位相変調を行う。
【0071】
一方、図1に示す側面図では、ファイバーコリメータアレイ10から出射したコリメート光は、ビームの拡大はなく、そのままレンズ16に入射するため、光変調器20上のビームスポットはあまり絞られない状態で光変調器20の変調面に入射する。そのため、光変調器20上の変調面に照射される各周波数毎のビームスポット形状は、図11AのCHk上のビームスポット62およびビームスポット64に示すように縦長の長円形状のガウシアン分布のビームになる。
【0072】
図5に示す折り返し配置を採用する場合、高周波数側が図11AのCH1側に照射され、低周波側になるに従い、CHn側に順次配列するようにする。その際、制御装置22は、CHスロットごとに所定の帯域制限幅を決め、ビーム偏向して所定の出力ポートに高効率に結合するように位相変調パターンを書き込む。
【0073】
図11Bは、実施形態に係る位相変調パターンの一例を示す図である。図11Bに示すように、制御装置22は、所定のTiltと非点収差補正のための放物面曲率を重畳した式(4)で表すことのできる位相変調パターンを2πの主領域で折り畳んだ位相変調パターン210を光変調器20の変調面にCHスロットの帯状に書込む。なお、ここでは説明を簡単にするために、各CHスロット内の位相変調パターンは光変調器20のビーム偏向軸方向にだけ位相変調量が変化する1次元変調パターンで説明したが、本開示はこれに限定されない。本実施形態では、制御装置22は、必要に応じてCHスロット内にx-y両方向に位相変調量分布を持つ2次元位相変調パターンからなるホログラムを書き込んでも良い。
【0074】
次に実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明する。図12Aと、図12Bと、図12Cと、図12Dとは、実施形態に係る筐体の温度変化に対する補償方法を説明するための図である。本開示の実施形態を説明する前に、比較例に係る描画パラメータの変化を説明する。比較例では、恒温槽で筐体全体の温度を変化させる実験を行った時の入出力ポートの挿入損失を最小化するときの最適な描画パラメータの変化を説明する。以下では、光変調器20の駆動条件は温度によらず一定とした。
【0075】
図12Aは、筐体温度を5℃から50℃まで変化させたときに、描画パラメータの式(3)のb(傾き係数)を調整し入出力の挿入損失が一番小さくなるときの値をプロットした図である。本実験では、温度を変化させても傾き係数補正をすることで挿入損失は、初期値の-6.2dBから-0.1dBの範囲内に抑えることが可能であった。図12Aは、横軸が温度[℃]を示し、縦軸がb[rad/pix]を示している。
【0076】
図12Aにおいて、Tilt+は、図12Dに示すように光変調器20で入射ビーム66を下方向に出射ビーム68として偏向させることを表し、Tilt-は、上方向に出射ビーム68として偏向させることを表す。図12Aにおいて、波形220、第1光変調部20-1の温度変化に対する補正係数の変化量を示し、波形221は、第2光変調部20-2の温度変化に対する補正係数の変化量を示す。本実験においては、30℃の時に初期調整を行なったので、Tilt補正量は0となっている。図12Aからわかるように、制御装置22Aは、初期値より高温にするとTilt+側の補正が必要であり、低温にするに従い、Tilt-の補正量を大きくする必要がある。
【0077】
図12Bは、筐体は室温として、光変調器20を取り付けたプレート近傍だけ局所加熱した場合の補正係数の温度変化を示す。波形222は、第1光変調部20-1の温度変化に対する補正係数の変化量を示し、波形223は、第2光変調部20-2の温度変化に対する補正係数の変化量を示す。図12A図12Bとの比較から同じ温度変化領域で比較すると筐体全体の温度を変えたほうが光変調器20単体の温度変化よりも補正係数の温度依存性が大きいことがわかった。このことから、筐体を一定温度に保つ温度制御機構を設けない場合に、制御装置22によるTilt補正(傾き係数補正)で挿入損失の劣化を緩和することは可能であるが、支配的要因である筐体起因の温度依存性を把握し補正する必要があることがわかった。なお、図12Bから光変調器20単体の加熱実験での傾き係数補正の温度依存性は、負の傾きを持つことがわかる。
【0078】
図12Cは、筐体温度を5℃から50℃まで変化させたときに、描画パラメータの式(3)のPc(放物線の頂点座標)を調整し入出力の挿入損失が一番小さくなるときの値をプロットした図である。本実験では、温度を変化させてもPcの補正をすることで挿入損失は、初期値の-6.2dBから-0.1dBの範囲内に抑えることが可能であった。図12Cは、横軸が温度[℃]を示し、縦軸がPc[pix]を示している。なお、式(7)に示すように、放物線の頂点の曲率aが正の場合(凹レンズ型の屈折率分布)、Pcを小さくすることは傾き係数βを大きくすること、すなわちTilt+方向にビーム偏向することと等価である。したがって、図12Aで示すように描画パラメータの位相傾きbを大きくすることまたは図12Cに示すように曲率描画パラメータの放物線の頂点座標Pcを小さくすることでTilt+方向に傾き係数βを制御することが等価的に可能である。
【0079】
図13は、実施形態に係る位相傾き曲線の温度変化を説明するための図である。今回の実験のように光変調器20の駆動条件を温度によらず一定とした場合、図7で示した液晶の温度依存性からは、図13(a)に示すように、同一の駆動条件で同じ傾き係数(初期状態の0から2πまでの画素数(幅)を基準とし1ピッチとする)を光変調器20書込み比較した場合、温度が高くなると位相傾き曲線230から位相傾き曲線232のように単位画素あたりの位相変化量である実効的な傾き係数が小さくなるはずである。
【0080】
したがって、図13(b)に示すように、高次回析光234の発生は考えられるが、温度を高くした状態で初期状態と同じ位相傾き曲線の傾きを得るには、ピッチを短くすることが考えられる。すなわち、最適な傾き係数は正の方向に変化するはずであるが、図12Bでは逆の傾向となっている。このため、光変調器20単体の実験においても、液晶の温度依存性以外の液晶の固定構造の温度依存性など他の要因が、液晶材料起因の温度依存性より光変調器20の特性の温度依存性に影響が大きいと推測される。
【0081】
ここで、今回実験に用いた金属基板とシャーシの構造から簡易化した変形モデルを用いて、光変調器20に書き込む傾き係数補正により筐体の環境温度変化による挿入損失劣化が補償または緩和できる理由について説明する。
【0082】
図14Aと、図14Bと、図14Cとは、実施形態に係る光学系基板の模式図である。図14Aから図14Cに示すバイメタルモデル70では、光変調器20以外の光学系を搭載するセラミック基板32はアルミナ基板32A、光変調器20を搭載する金属基板30はアルミ基板30Aであるものとして説明する。図14Aから図14Cでは省略するが、アルミ基板30Aと、アルミナ基板32Aとは、後述するように、押さえ金具と周囲の部分接着により微小変形可能に固定されている。一方、アルミ基板30Aと、シャーシとなるステンレス基板34は、長手方向が100mm、短手方向が77mmの間隔で形成した長方形位置にボルト35により固定されている。ステンレス基板34は、例えば、SUS304で形成されている。
【0083】
このとき、アルミとSUS304との線膨張係数差により生じるバイメタル効果により、図5において光学系要素36で示した部分の側面が変形することを説明する。ここでは、便宜的にバイメタル効果によって誘起される2種類のバイメタルモデルにより、光変調器20の変調面で生じる初期状態からの変化を説明する。
【0084】
第1のバイメタルモデルは、金属基板の変形によって生じる光変調器20の変調面の傾きの発生を説明するものである。図14Bは、実施形態に係る低温にした場合の基板の変形を説明するための図である。初期状態の図14Aより低温にした時には、図14Bのように線膨張係数の大きなアルミの収縮量がSUS304の収縮量より大きいため矢印71に示すように上方に変形する。図14Cは、実施形態に係る実施形態に係る高温にした場合の基板の変形を説明するための図である。初期状態の図14Aより高温にした時に図14Cのように線膨張係数の大きなアルミの収縮量がSUS304の収縮量より大きいため矢印72に示すようにした下方に変形する。この変形方向は、光変調器20の変調面の傾きを誘起するが、図10Aの実験結果と変化の方向は符合している。
【0085】
図15Aと、図15Bと、図15Cは、実施形態に係る第2のバイメタルモデルを説明するための図である。バイメタルモデル70A、アルミ基板30Aの変形によって生じる、光変調器20の変調面の変位の発生を説明するものである。
【0086】
図15Bは、実施形態に係る低温にした場合の基板の変形を説明するための図である。図15Aより低温時には、図15Bのように光変調器20の変調面に照射されるビーム位置が、初期位置74から下側位置76にシフトする。図15Cは、実施形態に係る高温にした場合の基板の変形を説明するための図である。図15Aより高温時には、図15Cに示すように、光変調器20の変調面に照射されるビーム位置が、初期位置74から上側位置78にシフトする。この変形による放物面頂点の補正方向は、図12Cに示す実験結果と変化の方向は符合している。
【0087】
図14Aから図14Cおよび図15Aから図15Cの2つのバイメタルモデルを用いた考察から、積層した基板同士の線膨張係数の差による変形は、制御装置22の制御による描画パラメータである傾き係数bおよび放物面の頂点座標Pcにより補正できることがわかった。さらに、式(7)から傾き係数bおよび放物面の頂点座標Pcのシフトは、どちらも光変調器20の位相補正パラメータのTilt係数βを制御することと等価であることがわかっている。そのため、筐体の変形に起因するファイバーコリメータアレイ10のポート位置方向の所定位置からのずれによる挿入損失の温度依存性は、光変調器20の位相補正パラメータのTilt係数β(または等価な描画パラメータの傾き係数bおよび放物面頂点の頂点座標Pcシフト)の制御で補償および緩和することが可能なことがわかった。
【0088】
次に、制御装置22が光変調器20の位相補正パラメータ(または等価な描画パラメータ)による温度補償におけるホログラム計算量を削減するために有効な、筐体の構造について説明する。図14Aから図14Cおよび図15Aから図15Cでは、光学系基板構造を簡易化したバイメタルモデルで定性的な説明を行なった。以下では、有限要素法(FEM)と簡略化した光学系基板およびシャーシ構造を用いて定量的な評価(静的な熱応力解析)を行なった結果を示す。
【0089】
図16は、実施形態に係る解析を行った光学系構造のモデルを示す。解析ソルバーとして、Nastranを用いた。計算時間とメモリ使用量をできるだけ削減するため、個別の光学素子を除き、必要最低限の構造部材である、アルミ基板90、アルミナ基板92、ステンレス(SUS304)のステンレスシャーシ94をモデルとして用いた。アルミ基板90、アルミナ基板92、およびステンレスシャーシ94は、図14Aから図14Cおよび図15Aから図15Cに示す、アルミ基板30A、アルミナ基板32A、およびステンレス基板34に相当する。アルミ基板90のサイズは約150mm×110mm、厚さ5mm、アルミナ基板92は、約115mm×85mm、厚さ5mm、ステンレスシャーシ94は、厚さ1.5mmとした。図16において、位置96は、光変調器20の搭載位置を示す。位置98は、レンズ16の搭載位置を示す。
【0090】
図17Aおよび図17Bは、実施形態に係る光学系構造を昇温した場合の高さ方向の変位量の概要を示す図である。図17Aおよび図17Bは、初期状態25℃から50℃に昇温した時の光学系の高さ方向の変位量(x方向)の概要示す。
【0091】
図17Aは、アルミ基板90およびアルミナ基板92をステンレスシャーシ94に固定点101、102、103、104の4か所で4点固定した場合の解析結果を示す。図17Bは、アルミ基板90およびアルミナ基板92をステンレスシャーシ94に固定点101で1点固定した解析結果を示す。
【0092】
図17Aに示す例では、変位点の最大値と最小値の絶対値が139μmで、図17Bに示す例では、変位点の最大値と最初値の絶対値が241μmである。すなわち、図17Aに示す例は、図17Bに示す例に比べて変位量は、100μmほど小さい。
【0093】
図18Aおよび図18Bは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。図18Aおよび図18Bは、それぞれ、図17Aおよび図17Bを右側面から見た解析結果である。図18Aでは、レンズ16を搭載するアルミナ基板92の左側および光変調器20を搭載するアルミ基板90の右側の両方が下側に変位している様子がわかる。図18Bでは、レンズ16側(左側)の変位量は小さく、変形は、固定点のない光変調器20側に寄っていることがわかった。この側面から見た変位が光変調器20の変調面に与える影響としては、図14Aから図14Cおよび図15Aから図15Cで示したバイメタルモデル70および70Aで説明した光変調器20の変調面のTiltとビーム位置のシフトであるが、両方とも光変調器20の位相補正パラメータのTilt係数βの制御で補正可能である。
【0094】
図19Aおよび図19Bは、実施形態に係る変位の解析結果を示す図である。図19Aおよび図19Bは、それぞれ、図17Aおよび図17Bを光変調器20の搭載面から見た解析結果である。図19Aに示すように、4点固定モデルでは、光変調器20の取付部に、矢印110の方向に捩じれが見られる。一方、図19Bに示すように、1点固定モデルは、最大変位量は、図19Aに示す例よりも大きいが捩れは見られないことがわかった。図19Bに示す例の方がθZ方向の捩じれ成分が小さくホログラム計算のパラメータを減らすことができるため、本構造を用いた解析結果から、1点固定の方が制御装置22による筐体の変形による挿入損失の温度依存性を補正するビーム偏向補正には適していると考えられる。
【0095】
図20Aから図20Dは、実施形態に係る金属基板の材料の違いによる変位の解析結果を示す図である。図20Aから図20Dは、固定点が1点である場合の変位を示している。
【0096】
図20Aは、金属基板がアルミ基板90である場合の最大変位量を示す。図20Aに示す例では、最大変位量は241μmである。図20Bは、金属基板がコバール基板である場合の最大変位量を示す。図20Bに示す例では、最大変位量は145μmと、図20Aに示す場合と比べて小さくなっている。図20Cは、金属基板がインバー基板である場合の最大変位量を示す。図20Cに示す例では、最大変位量は123μmと、図20Aおよび図20Bに示す場合と比べて小さくなっている。図20Dは、金属基板がスーパーインバー基板である場合の最大変位量を示す。図20Dに示す例では、最大変位量は120μmと、図20Aから図20Cに示す場合と比べて小さくなっている。
【0097】
図21Aおよび図21Bは、本開示に係る金属基板のシャーシへの固定方法を説明するための図である。
【0098】
図21Aは、本開示の光学基板部の構造を示す。光学基板部は、金属基板120と、アルミナ基板122と、SUSフレーム基板124と、を備える。金属基板120と、アルミナ基板122と、SUSフレーム基板124とは、それぞれ、図16に示すアルミ基板90と、アルミナ基板92と、ステンレスシャーシ94に相当する構造である。図16で示すアルミ基板の代わりに線膨張係数の小さいコバール、インバー、スーパーインバーなどの金属基板120上にアルミナ基板122の周囲を上方から押さえ金具130と弾性のある接着剤で固定する。
【0099】
金属基板120は、レンズ16の搭載側の固定部128の1箇所をSUSフレーム基板124にネジ止め固定する。金属基板120の固定箇所は、図5の光学系要素36の下部に位置に相当する端部であれば良い。レンズ16の搭載側で金属基板120をネジ止めするのは、レンズ16がアルミナ基板122上に搭載されているのに対して、光変調器20は、金属基板120上に直接搭載するため、取り付け時にネジの締結で発生する取付部の周囲の変形の影響をできるだけ緩和するためである。また、熱応力の発生を緩和するため、固定部128以外の金属基板120の周囲は、ネジ止め箇所から金属基板の周囲の放射状の位置に少なくとも2箇所(図21Aでは6箇所)をばね性を有する押さえ金具130を用いてSUSフレーム基板124上に固定する。
【0100】
図21Bは、実施形態に係る押さえ金具の構成例を示す図である。図21Bに示すように、押さえ金具130は、穴部130aと、穴部130b、ばね部130cとを有する。穴部130aは、押さえ金具130と、金属基板120とを、ネジ止めするための穴部である。穴部130bは、押さえ金具130と、SUSフレーム基板124とをネジ止めするための穴部である。ばね部130cは、ばね性を有する。図21Aに示す矢印141および矢印142は、金属基板120が摺動可能な方向を示す。すなわち、押さえ金具130を用いることで、金属基板120は、SUSフレーム基板124を摺動可能となり、バイメタル効果を緩和し、平面度を維持することができる。
【0101】
本開示では、図21Aおよび図21Bに示す構造を採用することで初期状態から筐体温度の上昇・下降時に生じる金属基板120よびシャーシ132の膨張・収縮が生じた際に金属基板120を摺動可能とし、熱応力の発生を緩和する。そのため、図5で示すポート間結合効率に影響する光学系要素36が、固定点を軸として単純な変形をする機構を実現できる。具体的には、本開示では、温度変化などに伴う金属基板120等の変形は、厳密には3次以上の高次成分を含む関数を含む実験モデルで近似されるが、描画パラメータの計算量を減らすために変位、傾き、および放物面の2次まで線形結合の曲面で実用的に近似することができる。
【0102】
次に、実施形態に係る光分散素子の温度依存性について説明する。本開示では、図1等に示すように、光分散素子14は、応力緩和された状態で設置されるアルミナ基板32A上に配置されている。したがって、温度変化に起因するアルミナ基板32Aの変形による位置や角度の変化は受けにくいが、光分散素子14自体は、初期状態からの温度変化により膨張または収縮する。さらに、光分散素子14を含む空間光学系をハーメチックシールしない構造の場合、光学系内の気体の種類や気圧によって決まる屈折率も温度に依存して変化する。加えて、光分散素子が透過型構造を有する場合は、材料の屈折率が温度依存を持つ。その影響は、図4に示す、光分散素子14による分散角度および範囲の変化となって現れる。したがって、本開示では、温度制御をおこなうために、光変調器20の変調面では、図11Aで示すCHスロットおよびその帯域制限幅を筐体温度等の環境変化に応じて変化させる。具体的には所定の位置へCHスロット中心座標をシフトさせることや、所定の帯域幅になるようにCHスロット幅を変えるため、本開示の光信号選択装置1では調整・制御するための変形量や設定環境変化に応じた光モニタとモニタ出力結果を用いたフィードバックシステムを搭載する。
【0103】
次に、実施形態に係る光信号選択装置1の光学基板の固定方法を有する、光信号選択装置1のモジュールの筐体の変形量や設置環境の温度や圧力変化による挿入損失補償のための光モニタシステムおよびモニタ出力を用いたフィードバック制御方法について説明する。
【0104】
図22は、実施形態に係る光モニタシステムの構成例を示す図である。図22は、本開示の筐体の変形、温度や気圧が変化した場合にビーム偏向、光変調器20のCHスロット位置および幅を制御するのに用いるポート間結合係数評価・フィードバックシステムの構成図である。
【0105】
光信号選択装置1の信号波長選択に使用するファイバーコリメータアレイ10に接続する信号ポート群150の一部をモニタ用ポート群152として使用する。モニタ用ポート群152には基準周波数発生用LD(Laser Diode)および同期検波用モニタPD(Photo Diode)を接続する。
【0106】
次に、結合係数モニタ用システム(以下、モニタシステム300)について説明を行う。基準周波数発生用LDは、周波数安定度が高く、なおかつ波長選択の可能なチューナブルLDアレイ(TLDA)を使用することが望ましい。TLDAは、モニタシステム100から出力強度が安定するように電源を供給する。同期検波用モニタPDは、例えばInGaAs(インジウムガリウムヒ素)で構成された所定の波長に感度を持ち、高速応答できることが望ましい。同期検出用モニタPDの出力端子は、モニタシステム300のモニタ入力端子に接続されている。モニタシステム300には、同期検出用モニタPDの出力を同期検波するための後述するモニタ用パターン揺動同期信号(以下、揺動同期信号S10と記す)も入力する。モニタシステム300は、同期検出用モニタPDの出力と揺動同期信号S10の同期検波、乗算処理または比較演算によりモニタ用調整誤差信号(以下、誤差信号S11と記す)の演算処理を行う。そして、光変調器20の駆動・制御システムである制御装置22で描画パラメータを演算できるようにデジタル信号としてフィードバックを行う。演算した描画パラメータを基に制御装置22は、駆動信号S13を発生し、光変調器20に印加する。
【0107】
TLDAの出力は、信号ポートで使用しない周波数(波長)をあらかじめ選択するか、例えば、Cバンド・Lバンド用の光信号選択装置の場合、可能であれば当該バンド近傍の信号周波数(CH1からCHn)に隣接する外側の周波数(CH0およびCHn+1)を選択する。また、TLDAは、モニタ期間中は、CW(Continuous Wave)モード、すなわち一定出力でモニタ用光信号(以下、モニタ信号と記す)をファイバーコリメータアレイ10の所定のモニタ用入力ポートに供給する。モニタ信号は、空間光学系で分散素子により所定の角度変換を行い、レンズ16であらかじめ決められたモニタ信号用の周波数軸上のモニタ用CHスロット部に照射され、光変調器20で所定のモニタ出力ポートに結合するようにビーム偏向されるがその時後述する揺動変調がモニタ用光信号に光変調器20を用いて重畳され、同期検波用モニタPDが接続された所定のモニタ用出力ポートに光結合する。
【0108】
図23Aは、補正パラメータを計算するための誤差信号を発生するのに用いる揺動走査方法について説明するための図である。図23Aは、信号光(CH1からCH96:CおよびLバンドを50GHz間隔で設定)とモニタ用信号光(CH0およびCH97)が、光変調器20の変調面に照射される様子の模式図である。
【0109】
照射ビーム151の形状は、CH0およびCH97のみ図示するが、相似の形状のビームが光変調器20の変調面の各CHに照射され得る。照射ビーム151は、楕円形および非対称ガウシアンビームであり得る。光変調器20の変調面には、信号光が偏光分離素子18で第1光変調部20-1および第2光変調部20-2に分離して照射される。第1光変調部20-1および第2光変調部20-2のどちらかの領域の前に1/2波長板を設け、片側の偏光を90回転し、両方の領域の入射直線偏光が、光変調器20の変調時の結晶軸に平行にする。
【0110】
図23Bは、実施形態に係る光変調器のCHスロットの光強度極大値の分布を説明するための図である。図23Bに示すように、照射ビーム151の各CHスロットの光強度極大値は、空間光学系の特性と光変調器20の変調面の設置公差に依存する傾きなどにより、例えば、直線161、162、163に示す一次近似直線や、曲線164、165に示す二次近似曲線、または双方の和や差で表されるような分布や更に高次の関数で記載される分布を周波数軸方向に持つ場合がある。本実施形態では、あらかじめ、光強度極大値の初期分布を記録し、各CHスロットの原点として、後述する誤差信号の原点として利用する。また、光分散素子14と、空間光学系の組み合わせにより例えば50GHz間隔とするときの光変調器20の変調面のCHスロットの幅は周波数位置によって異なることが多いが、これも初期分布を記録し、各CHスロットの中央値を原点とし、後述する誤差信号の原点として利用する。
【0111】
図23Cは、実施形態に係る揺動走査方法を説明するための図である。初めに説明を簡略化するため、モニタ信号は、信号バンドCH1からCH96の高周波側CH1に隣接するCH0の第1光変調部20-1側に照射されたビームを例に説明する。図23Cにおいて、矢印181は、光変調器20上のポート軸の揺動パターンの方向を示し、矢印182は、周波軸の揺動パターンの方向を示す。
【0112】
初めにポート切り替え方向(傾き方向)の初期状態では、図23Cに示すようにモニタ用入力ポートとモニタ用出力ポートの結合係数が極大値になるように描画パラメータの放物面の頂点の曲率a、傾き係数bおよび放物面の頂点座標Pcは、あらかじめ設定されていると仮定する。この時、照射ビーム151のスポットは、図23Cの位置にあると仮定する。
【0113】
温度変化等により筐体に歪みが生じた場合、光変調器20上の照射ビーム151のスポットの位置は上下に移動したり、また照射ビーム151のスポットの波面が初期状態から変化したりする。このため、図23Cに示す、ガウス分布で示される結合効率カーブ192の極大点からずれてしまうためポート間結合効率が低下する。そのため、温度変化等による筐体歪みが発生した状態の照射ビーム151のスポットの位置および波面の傾きを、描画パラメータを変えることでずれの生じたビームに対する新たな結合効率カーブ192の極大点になるように調整する。なお、照射ビーム151の曲率が変化する場合もあるが、傾きの変化が支配的である。また、結合効率カーブ191および結合効率カーブ192は、ガウス分布であるものとして記載しているが、これに限定されない。
【0114】
このとき、図14Aから図14C図15Aから図15C、および式(6)から式(8)で示したように結合係数を調整するために必要な光変調器20の位相変調パラメータは、Tilt係数βだけである。そのため、制御装置22は、βが所定の値になるように描画パラメータの放物面の頂点の曲率a、傾き係数bおよび放物面の頂点座標Pcを所定のβになるように調整する。
【0115】
周波数軸方向については、光分散素子14特性の温度変化や、更に気密封止をしない構造では空間光学系部分の気圧の変化でCHスロットの最適位置が初期状態からずれる。そのときポート間結合係数と同様に、図23Cの横軸に示したように照射ビーム151のスポットが光変調器20の所定のCHスロットの中央部分からずれを生じるため、結合効率カーブ191の極大点から外れることになる。したがって、新たなビームスポット位置が極大値になるようにCHスロット位置および必要に応じてCHスロット幅の描画パラメータを調整する。
【0116】
次に、リアルタイムに極大値を求めるための揺動走査法とその揺動パターンについて説明する。図24Aと、図24Bと、図24Cとは、実施形態に係るポート間結合方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。図24Aから図24Cにおいて、矢印181は、揺動方向を示す。モニタ信号は、実際の通信には用いないため、極大値近傍のビームの揺動やCHスロットの揺動を行なって、モニタPD出力が変動しても光信号選択装置1の動作には影響しない。そのため、本開示の光信号選択装置1では、図24Aから図24Cに示すように、モニタ信号の光強度は一定のCW光として、光変調器20のモニタ領域の描画パターン301をポート間結合方向についてはビームを揺動するため位相変調パラメータβに揺動変調をかける。図23Aでは、描画パターン301は、初期位置に描画されている。図24Bでは、描画パターン301は、初期位置の上部に描画されている。図24Cでは、描画パターン301は、初期位置の下部に描画されている。例えば、本実施形態では、制御装置22は、図24Aから図24Cに示す揺動パターン画像およびその中間の補間画像を所定の周期で光変調器20の変調面に描画させる。
【0117】
図25Aと、図25Bと、図25Cとは、実施形態に係る周波数軸方向に揺動変調をかける方法を説明するための図である。図25Aから図25Cにおいて、矢印182は、揺動方向を示す。本実施形態では、周波数軸方向については、図25Aから図25Cに示すようにCHスロットのマスクパターン位置に揺動変調をかける。図25Aは、マスクパターン311の初期位置を示す。図25Bでは、マスクパターン311は、初期位置から左側に移動している。図25Cでは、マスクパターン311は、初期位置から右側に移動している。本実施形態では、制御装置22は、図25Aから図25Cに示すようにマスクパターン311を所定の周期で揺動させる。
【0118】
制御装置22は、例えば、図示しない温度センサで図1に示す金属基板30およびセラミック基板32の温度を検出できる場合には、金属基板30およびセラミック基板32の温度変化に基づいて、揺動パターン画像を調整してもよい。
【0119】
なお、上記の説明では、説明の簡易化のため一つの中心を持つ揺動パターンを例として示したが、後述するように結合係数のピーク検出に用いる場合は、揺動パターンの中心の値を結合係数カーブに合わせて走査する必要がある。
【0120】
次に、本実施形態に係る揺動走査に用いる同期検波法について説明する。図26は、実施形態に係る揺動走査に用いる同期検波法を説明するための図である。図26は、乗算器310を使用した同期検波法を示す。同期検波法としては、アナログ方式でもデジタル方式でも適用可能であるが、演算で処理できるためデジタル方式が望ましい。制御装置22からの揺動同期信号S10とPDからの揺動パターン変調信号により同期信号の周波数で強度変調の重畳されたモニタ信号S12をモニタシステム内の乗算器310で乗算を行う。その出力をLPF(ローパスフィルタ)320に通すことで、位相検波が可能となる。乗算器310は、以下の式(11)の演算を行う。
【0121】
【数11】
【0122】
式(11)の左辺は、振幅Aのモニタ信号S12と揺動同期信号S10を掛けた状態を表す。その結果を整理すると右辺のようにまとめられる。この右辺から第2項だけに変調信号が入っているため、第1項のDC成分だけを取り出せば同期信号とモニタ信号の位相差を知ることができる。DC成分は位相差が0の時は0となる。
【0123】
図27Aと、図27Bとは、実施形態に係るモニタシステムからの出力信号を説明するための図である。図27Aに示すように、振幅x0を持つ揺動信号411、412、413を所定の結合係数カーブを持つポートに揺動パターンの中心の値をずらしながら結合するようにする。ここでx軸は、ポート間結合の場合は、光変調器20で反射した光がレンズ16で角度-位置変調される時の極大値に対する相対的な高さのずれ量を示す。周波数軸の場合は、CHスロットのy軸の中心値を極大値からのずれ量として相対的に表したものである。なお、図27Aでは、変調の様子を理解するのを容易にするため、入力信号に変調波が重畳されているように表現しているが、この変調量はビームシフト量やCHスロット変位の変調幅である。入力光信号の強度自体は、CWである。
【0124】
ポート間結合方向では光変調器20の変調面で揺動するのは、結合係数(振幅x0)を微小変化させるビームTilt量であり、光変調器20の描画パターンにより制御することに注意する。そのときPD出力には、揺動パターンと結合係数カーブ421との相対関係で決まる波形431、432、433で示す出力光を得ることができる。同期信号を入力信号と同相とした場合、結合係数カーブ421の左側では、出力は同相となるため、出力はAとなり、ピークを過ぎた右側では、出力は逆相となるので-Aとなる。したがって、式(11)で示す位相検波を用いた場合、結合係数カーブの左側から右側に移る際に符号が変わるため符号検出でピークを検出できる。
【0125】
別の方法として、図27Bに示すように、結合係数カーブ441を微分すると微分波形442となる。したがって、微分波形442を求めて例えば、ピーク近傍の直線に対して0点を求めることででもピーク検出が可能である。
【0126】
ここで、再度図27Aについて考えると、揺動信号411、412、413を入力する場所に依存し、出力波形の変化分の実効値が変化することがわかる。さらに符号として同期信号と同相(結合係数カーブのピークの左側)の場合は、+符号とし、逆相(結合係数カーブのピークの右側)の場合は-符号とする。図28は、実施形態に係る検波波形から求めた微分波形を示す図である。
【0127】
図28は、揺動パターンと結合係数カーブ421との相対関係で決まる波形431、432、433で示したPD出力AC波形の振幅(または実効値)と入力波形とを比較した場合の位相の符号から求めた微分波形451、微分波形452、微分波形453と、微分波形454とを示す。微分波形451、微分波形452、微分波形453、および微分波形454の順にピーク検出モニタに用いる振幅x0の揺動信号411、412、413などの入力揺動パターンの振幅が大きいほど出力に現れるPDモニタの出力振幅(または実効値)およびその変化量は大きくなる。適正な入力揺動パターンの振幅は実験によって所定の値に決めることが望ましいが、このPD出力AC波形の振幅(または実効値)および(入力波形と比較した場合の)位相の符号から求めた微分波形は、結合係数カーブの微分波形を求めることと等価なため、この方法で微分波形のゼロクロス点を求めることでピーク値を検出することも可能である。
【0128】
さらに、ピーク近傍の周波数は図27Aの波形432で示すように同期信号の倍になるため周波数検出によってもピーク検出は可能である。このピーク値を与えるx座標値と揺動パターンの初期中央座標値の差をモニタシステムの誤差信号として使用できる。
【0129】
(揺動パターン設定方法)
次に、本実施形態に係る揺動パターンの設定方法を具体的に説明する。図27Bに示すように、結合係数カーブ441の微分波形442のゼロクロス点が、結合係数カーブ441のピークを与える。そのため、揺動パターンは、温度変化などの外乱があったときに、常に結合係数カーブ441のピーク位置のピークサーチをするために揺動パターンの走査範囲461を変化させる必要がある。
【0130】
図27Aを参照する。揺動信号411がAの位置にあったとすると、波形431に示すように、出力波形は揺動信号411と同相の信号となる。このとき、制御装置22は、揺動パターンの揺動中心をAからBの方向(プラス方向)に少しずつ走査しながら出力波形をモニタする。このとき、波形432のように出力波形が入力された揺動信号の周波数の倍の周波数成分を持つか、または、出力波形のAC成分の振幅(または、実効値)が0に近い点が求めるピーク位置となる。したがって、制御装置22は、結合係数カーブ441のピーク位置を与える揺動中心の座標に基づいて、光変調器20へ描画する描画パターンの計算を行う。
【0131】
次に、揺動信号413がCの位置にあったとする。すると、波形433に示すように、出力波形は揺動信号413と逆相の信号となる。このとき、制御装置22は、揺動パターンの揺動中心をCからBの方向(マイナス方向)に少しずつ走査しながら出力波形をモニタする。この時、波形432のように出力波形が入力された揺動信号の周波数の倍の周波数成分を持つか、または、出力波形のAC成分の振幅(または、実効値)が0に近い点が求めるピーク位置となる。したがって、制御装置22は、結合係数カーブ441のピーク位置を与える揺動中心の座標に基づいて、光変調器20へ描画する描画パターンの計算を行う。
【0132】
すなわち、制御装置22は、プラス方向およびマイナス方向のどちらから結合係数カーブのピーク値に近づける場合も、出力波形が入力された揺動信号と同相から逆相(または逆相から同相)になるまで揺動パターンの揺動中心を走査する。そして、制御装置22は、揺動パターンの符号の変わり目を微分波形(図27B参照)の大きさおよび符号の変化(正から負、または負から正)から0点を検出しピーク値を与える位置を求める。
【0133】
次に、筐体の温度変化に対するTilt補正(ポート間結合方向)について説明する。
【0134】
Tilt補正は、式(7)で示すように、描画パラメータbおよび放物線の頂点座標Pcにより制御することができる。図29は、Tilt補正を説明するための図である。図29は、横軸が描画パラメータbおよび放物線の頂点座標Pcを含む係数βを示し、縦軸が結合係数を示すグラフである。
【0135】
図29は、結合係数カーブ501と、結合係数カーブ502と、を示す。結合係数カーブ501は、初期状態の結合係数カーブを示す。結合係数カーブ502は、図12Aで示した特性を持つ筐体において、温度が上昇した状態の結合係数カーブを示す。
【0136】
結合係数カーブ502に示すように、温度が上昇すると、結合係数カーブがプラス方向に変化する。そのため、高温では、初期状態の揺動信号511の位置は、結合係数カーブの左側(傾きがプラス)の位置にずれるため、高温時の揺動信号512のβ座標をβ+の側にシフトしながらピークサーチをおこなう。逆に初期状態より低温になった場合は、結合係数カーブは初期状態より左側(マイナス方向)に変化する。そのため、低温では、初期状態の揺動信号511の位置は、結合係数カーブの右側(傾きがマイナス)の位置にずれるため、低温時の揺動信号のβ座標をβ-の側にシフトしながらピークサーチをおこなう。
【0137】
周波数軸方向のCHスロットの中心画素の温度依存性は、モニタする周波数(波長)および光分散素子14の種類によって分散素子基板の熱膨張係数や屈折率変化、周囲の気圧による変化が異なる。そのため、図27Aおよび図27Bを用いて説明した方法でピークサーチをおこなうが、光分散素子14が、例えば、C,Lバンド用光信号選択装置のバンド中央に対して低周波数(長波長)側信号で温度に対して低周波数(長波長)側にシフトする特性の場合は、図30に示すように温度が上昇すると結合係数カーブが点線のカーブ(+方向)のように長波長側に変化する。図30は、横軸がCH(波長)を示し、縦軸が結合係数を示す。
【0138】
図30は、結合係数カーブ503と、結合係数カーブ504と、を示す。結合係数カーブ503は、初期状態の結合係数カーブを示す。結合係数カーブ504は、筐体の温度が上昇した状態の結合係数カーブを示す。
【0139】
結合係数カーブ504に示すように、温度が上昇すると、結合係数カーブがプラス方向に変化する。そのため、高温では、初期状態の揺動信号513の位置は、結合係数カーブの左側(傾きがプラス)の位置にずれるため、高温時の揺動信号514のCHスロット中心座標をCH+の側にシフトしながらピークサーチをおこなう。逆に初期状態より低温になった場合は、結合係数カーブは初期状態より左側(マイナス方向)に変化する。そのため、低温では、初期状態の揺動信号513の位置は、結合係数カーブの右側(傾きがマイナス)の位置にずれるため、低温時の揺動信号のCHスロット中心座標をCH-の側にシフトしながらピークサーチをおこなう。
【0140】
図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。なお、この分散・統合による構成は動的に行われてもよい。
【0141】
以上、本開示の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本開示が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0142】
1 光信号選択装置
10 ファイバーコリメータアレイ
12 ビーム幅変換器
14 光分散素子
16 レンズ
18 偏光分離素子
20 光変調器
22 制御装置
30,120 金属基板
30A,90 アルミ基板
32 セラミック基板
32A,92,122 アルミナ基板
34 ステンレス基板
36 光学系要素
40 通信部
42 記憶部
44 制御部
50 モジュール
52 空間光学系
54 ダストカバー
56 制御基板
58 変換基板
60 金属シャーシ
94 ステンレスシャーシ
124 SUSフレーム基板
300 モニタシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図22
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図26
図27A
図27B
図28
図29
図30