(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147958
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】自動工具交換機能付き加工装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/155 20060101AFI20231005BHJP
B23Q 17/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B23Q3/155 F
B23Q17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055750
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永井 達士
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸彦
【テーマコード(参考)】
3C002
3C029
【Fターム(参考)】
3C002HH01
3C002HH06
3C002KK04
3C029EE05
(57)【要約】
【課題】スピンドルからドリルが排出されるか否かを、速やかに検知することができる、自動工具交換機能を有するドリル加工装置を提供する。
【解決手段】スピンドル6が保持する加工ツール7を排出ポスト10に載置した後、加工ツール7とスピンドル6とが非接触となったか否かを検出する非接触検出部63と、前記非接触検出部63の検出結果に基づいて、前記加工ツール7が前記スピンドル6から排出されるか否か判断する排出状況判断部201とを有し、前記スピンドル6が加工ツール7の保持部であるコレットチャック81を開放する動作をしたときに、前記非接触検出部63が前記加工ツール7と前記スピンドル6との非接触状態を検出しなかった場合、前記排出状況判断部が、前記加工ツール7が前記スピンドル6から排出されないと判断し、工具交換動作を停止するよう制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持部を備え該保持部において加工ツールを保持するスピンドルと、該スピンドルから取り外される前記加工ツールを載置する排出用ツールポストと、前記スピンドルが保持する前記加工ツールを交換するよう動作制御する制御部とを有する加工装置において、
前記スピンドルが前記加工ツールを保持した状態で、前記加工ツールを前記排出用ツールポストへ移動した後、前記加工ツールと前記スピンドルとが非接触状態になったか否かを検出する非接触検出部と、
前記非接触検出部の検出結果に基づいて、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されるか否かを判断する排出状況判断部と、を有し、
前記非接触検出部が、前記スピンドルの保持部を開放する動作をしたときに前記加工ツールと前記スピンドルとの非接触状態を検出しなかった場合、前記排出状況判断部が、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断し、
前記排出状況判断部が、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断した場合、前記制御部が前記加工ツールを交換する動作を停止するよう制御する
ことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記非接触検出部が、前記スピンドルが前記加工ツールを保持した状態で、前記加工ツールを前記排出用ツールポストに移動した後における、前記加工ツールと前記スピンドルとが非接触となったときのアースとの間のキャパシタンスの変化を検出して、両者が非接触状態になったか否かを検出する
ことを特徴とする請求項1に記載した加工装置。
【請求項3】
保持部を備え該保持部において加工ツールを保持するスピンドルと、該スピンドルから取り外される前記加工ツールを載置する排出用ツールポストと、前記スピンドルが保持する前記加工ツールを交換するよう動作制御する制御部とを有する加工装置の制御方法において、
前記スピンドルが前記加工ツールを保持した状態で、前記加工ツールを前記排出用ツールポストへ移動した後、前記加工ツールと前記スピンドルとが非接触状態になったか否かを検出する非接触検出ステップと、
前記非接触検出ステップの検出結果に基づいて、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されるか否かを判断する排出状況判断ステップと、を備え、
前記非接触検出ステップにおいて、前記スピンドルの保持部を開放する動作をしたときに前記加工ツールと前記スピンドルとの非接触状態を検出しなかった場合、前記排出状況判断ステップにおいて、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断し、
前記排出状況判断ステップにおいて、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断した場合、前記制御部が前記加工ツールを交換する動作を停止するよう制御する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項4】
前記非接触検出ステップにおいて、前記スピンドルが前記加工ツールを保持した状態で、前記加工ツールを前記排出用ツールポストに移動した後における、前記加工ツールと前記スピンドルとが非接触となったときのアースとの間のキャパシタンスの変化を検出して、両者が非接触状態になったか否かを検出する
ことを特徴とする請求項3に記載した制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばプリント基板に穴明けを行うためのドリルを自動で交換する機能を有する、基板穴開け装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板穴明け装置には、スピンドルに保持したドリルを、自動で交換する機能を有するものがある。このような装置において、スピンドルからドリルを排出する動作をした場合であっても、スピンドルとドリルとが焼き付きなどにより固着してしまい、正常に排出されない場合がある。かかる場合、ドリルを保持した状態のスピンドルに新たなドリルを装着することになり、ドリル同士が衝突し、ドリル、ツールポスト、スピンドル等を破損するおそれがある。
【0003】
そこで従来、特許文献1や2のように、発光器と検出センサを用いて、スピンドルからのドリルの排出不良を検出し、ドリルの衝突を回避していた。
図1は、従来の基板穴開け装置の概略構成図である。ここで、
図1を用いて、発光器等を利用したドリルの排出不良検出方法を説明する。
【0004】
図1において、ベースとなる装置基台1上には、被加工物となるプリント基板3が載置されX方向に駆動される加工テーブル2がある。装置基台1に据え付けられた門型コラム4には、Y方向に駆動されるクロススライド5が搭載されている。このクロススライド5には、Z方向に駆動されるスピンドル6が搭載されており、スピンドル6はドリル7を保持している。12はスピンドル6に取付けられ、スピンドル6と共にZ方向に移動するサブチャックである。なお、加工テーブル2、クロススライド5、スピンドル6は図示を省略する駆動機構を備え、全体制御部20により駆動制御される。9、10、11はそれぞれ供給用ツールポスト、排出用ツールポスト、新しいドリルと古いドリルが区別して収納されるドリルカセットで、それぞれ加工テーブル2の上に設置されている。なお、サブチャック12は、先端にドリルを保持することができ、ドリルカセット11とツールポスト9又は10との間で、ドリルを移動させるものである。16はオペレータに各種の情報を伝える役目をする表示部である。20は装置各部の制御を行う全体制御部であり、例えばプログラム制御の処理装置によって実現されるものである。
【0005】
門型コラム4の前面両端部には、レーザを発光する発光器13、発光器13からのレーザを感知するセンサ14が、図示のように設置されている。発光器13によって作られる光線15はY方向に向き、そのX座標はスピンドル6が保持するドリル7のX座標と一致するようになっている。光線15は、スピンドル6よりも下方を通過するようになっており、スピンドル6を下降させた場合、スピンドル6にドリル7が保持されていればドリル7のシャンク部が光線15を遮るようになっている。
【0006】
スピンドル6が保持するドリル7を交換するときには、スピンドル6とテーブル2とを相対移動させて、ドリル7を排出用ツールポスト10へ排出した後、供給用ツールポスト9に準備されている新しいドリル7を装着するが、排出用ツールポスト10へドリル7を排出した後、正常に排出されているか否かを確認するために、スピンドル6を所定の検査位置(光線15を遮るものがない位置)へ移動させて下降し、発光器13から光線15を発する。センサ14が光線15を感知すれば、スピンドル6はドリル7を保持していないことになるので、続けて新しいドリル7を装着する。一方、センサ14が光線15を感知しなければ、スピンドル6がドリル7を保持している(ドリル7が正常に排出されなかった)ことになるので、工具交換動作を停止し、表示部16を通じてオペレータへ異常を通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2016-120563号公報
【特許文献2】特開2016-117151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記従来のドリル加工装置は、使用し続けるうちに光線15の光軸位置がずれることがあり、光軸位置を調整する間装置の稼働を停止しなければならないという問題があった。また、従来のドリル加工装置は、検査用に光軸を遮らないスペースを設ける必要があるため、テーブル上の交換用部品の配置に制限があった。さらに、ドリル排出動作の後、スピンドルを所定の検査位置へ移動することが必要となるが、加工効率を上げるために、移動動作を省略することへの要求があった。
【0009】
そこで本発明は、自動工具交換動作におけるスピンドルからのドリル排出不良を、発光器によらずに検知することができ、無駄な移動動作を省略し、加工効率を向上させることができる、ドリル加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本願に係る発明は、保持部を備え該保持部において加工ツールを保持するスピンドルと、該スピンドルから取り外される前記加工ツールを載置する排出用ツールポストと、前記スピンドルが保持する前記加工ツールを交換するよう動作制御する制御部とを有する加工装置において、前記スピンドルが前記加工ツールを保持した状態で、前記加工ツールを前記排出用ツールポストへ移動した後、前記加工ツールと前記スピンドルとが非接触状態になったか否かを検出する非接触検出部と、前記非接触検出部の検出結果に基づいて、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されるか否かを判断する排出状況判断部と、を有し、前記非接触検出部が、前記スピンドルの保持部を開放する動作をしたときに前記加工ツールと前記スピンドルとの非接触状態を検出しなかった場合、前記排出状況判断部が、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断し、前記排出状況判断部が、前記加工ツールが前記スピンドルから排出されないと判断した場合、前記制御部が加工ツールを交換する動作を停止するよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、スピンドルからのドリルの排出不良を、排出動作後直ちに検知することができ、ドリルやスピンドルの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】本発明の一実施例となる、ドリル加工装置の概略構成図である。
【
図3】本発明の一実施例となる、ドリル加工装置の排出用ツールポストを詳しく説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例となる、ドリル加工装置のスピンドル先端の断面図である。
【
図5】本発明の一実施例となる、ドリル加工装置のスピンドルを詳しく説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施例となる、ドリル加工装置の共振検出部を説明するための概略図である。
【
図7】本発明の一実施例となる、ドリル交換動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の代表的な実施形態について、図を用いて説明する。なお、各図において、
図1と同じものまたは同一機能のものは、同一の符号を付して説明を省略する。また、従来例として説明した構成と同一の構成については、説明を省略する。
【0014】
図2は本発明の一実施例となるドリル加工装置の概略構成図である。本発明の一実施例となるドリル加工装置は、
図2に示すとおりに構成される。
【0015】
図3は
図2における排出用ツールポスト10を詳しく説明する図である。101は円形の貫通孔が形成された円形のスリーブである。貫通孔の上方部分の径は若干小さく、下方部分の径は若干大きく形成されている。貫通孔の内部には、挿入されたドリル7を支持するホルダ102が、貫通孔内で上下動できるように設けられている。ホルダ102の上面にはドリル7を挿入するための挿入孔104が設けられている。なお、ホルダ102は、ばね103により上方に弾性的に付勢される。スリーブ101、ホルダ102及びばね103はいずれも導電性を有する材料からなる。
【0016】
図4は
図2におけるスピンドル6の先端の断面図であり、(A)はコレットチャックを閉めた状態を示し、(B)はコレットチャックを開放した状態を示す。スピンドル6は、ドリル7を回転するロータシャフト61を有し、その先端に、ドリル7を保持する保持部であるコレットチャック81と、コレットチャック81を図の上方に弾性的に付勢するばね82とが配置されている。コレットチャック81のドリル7側には、回転の軸線О方向に図示を省略する複数のスリットが形成され、径方向に縮径可能である。そしてドリル7は、ばね82によりコレットチャック81の外周に形成されたテーパ面81aがロータシャフト61の内面に形成されたテーパ面61aに付勢されることにより発生する径方向の力により、保持されている。なお、
図4(A)に示すように、コレットチャック81によりドリル7が保持されている状態では、両者は接触している。
【0017】
スピンドル6からドリル7を取り外す際には、図示を省略するシリンダを動作させることにより、シリンダに接続されたピストンロッド83を下降し、コレットチャック81をばね82に抗して図の下方に移動させる。コレットチャック81のテーパ面81aがロータシャフト61のテーパ面61aから離れるとコレットチャック81が開き、コレットチャック81のドリル7への保持力をなくすことができる。なお、コレットチャック81を開いた状態では、
図4(B)に示すように、コレットチャック81とドリル7との間には隙間が形成され、焼き付きなどにより固着していなければ、両者は非接触の状態となる。
【0018】
図5は
図2及び
図4におけるスピンドル6を詳しく説明するための図である。スピンドル6は、
図5に示すように、モータを内蔵する構造となっており、ロータシャフト61がモータの回転子となっている。62はロータシャフト61と静電結合させるために固定子側にロータシャフト61に近接して取付けられた電極で、アースとの間で検出されるキャパシタの端子でもある。63は電極62に接続された共振検出部で、全体制御部20に検出信号Sを送信する。
【0019】
図6は、
図2及び
図5における共振検出部63を詳しく説明するための図であり、
図5と同一の構成には同一の番号を付している。
図6において、64は電極62とアースとの間で検出されるキャパシタで、そのキャパシタンスは、スピンドル6に保持された状態のドリル7が排出用ツールポスト10に載置された後(つまり、スピンドル6に保持された状態のドリル7と排出用ツールポスト10とが接触状態になった後)、スピンドル6とドリル7とが接触した状態と接触していない状態とでは大きく変動し、前者では小さく、後者では大きくなる。
【0020】
65は二次側が電極62と接続されたトランスで、その二次側がキャパシタ64と接続された状態となっている。66はスピンドル6に保持されたドリル7と排出用ツールポスト10とが接触した状態において、スピンドル6とドリル7とが非接触の状態でのキャパシタ64が並列共振を起こす周波数の交流を発振させる発振回路、67はキャパシタ64に並列共振が起きてトランス65の一次側からみたインピーダンスが上がって一次側の両端電圧が下がったことを検出し、検出信号Sを発信する共振検出回路である。従って、スピンドル6に保持された状態のドリル7が排出ポスト10上に載置された後において、スピンドル6とドリル7とが接触しなくなったとき(スピンドル6とドリル7とが固着していないとき)に、検出信号Sが全体制御装置20へ出力される。
【0021】
図2に戻り、全体制御部20は、排出状況判断部201を備える。排出状況判断部201は、非接触検出部としての共振検出部63から出力される検出信号Sに基づいて、スピンドル6からドリル7が正常に排出されるか否かを判断する。すなわち、排出状況判断部201は、全体制御部20が所定のタイミングで検出信号Sを受信した場合には正常排出と判断し、受信しない場合には排出不良と判断する。具体的には、スピンドル6に保持された状態のドリル7が排出ポスト10上に載置された後において、コレットチャック81を開放する動作をしたタイミングで検出信号Sを受信した場合には正常排出と判断し、受信しない場合には排出不良と判断する。全体制御部20は、排出状況判断部201が正常排出と判断した場合には、工具交換動作を継続するよう制御し、排出不良と判断した場合には、工具交換動作を停止するよう制御する。
【0022】
全体制御部20は、ここで説明する以外の制御機能を有し、図示されていないブロックにも接続されている。全体制御部20は、例えばプログラム制御の処理装置を中心にして構成され、その中の各構成要素や接続線は、論理的なのものも含むものとする。また各構成要素の一部は全体制御部20と別個に設けられていてもよい。さらに、本実施例において全体制御部20と別個に設けられている各構成要素の一部は、全体制御部20に含んでもよい。
【0023】
次に、
図7を用いて、本実施例における工具交換動作を、排出動作を中心に説明する。ドリル加工装置は、全体制御部20の制御の下に、以下の動作を行う。まず、ドリル7を保持したスピンドル6を移動させて、排出用ツールポスト10の上方へ位置させる(
図7(A))。次いで、ドリル7が排出用ツールポスト10に載置される位置まで、スピンドル6を下降させる(
図7(B))。なお、この状態において、ドリル7と排出用ツールポスト10(ホルダ102)は接触している。
【0024】
そして、図示を省略するシリンダを動作させ、コレットチャック81を開放する(
図7(C))。ここで、コレットチャック81を開放すると、コレットチャック81とドリル7との間には隙間が形成され、両者が固着していなければ、コレットチャック81を開放したタイミングで、共振検出部63から検出信号Sが発信される。全体制御部20の排出状況判断部201は、このタイミングで検出信号Sを受信した場合、正常排出(スピンドル6からドリル7が正常に排出される)と判断する。
【0025】
排出状況判断部201が正常排出と判断した場合、全体制御部20は工具交換動作を継続し、コレットチャック81からドリル7が抜けきる高さまでスピンドル6を上昇させて、ドリル7を排出する(
図7(D))。その後、この状態でスピンドル6を移動させ、供給用ツールポスト9の上方に位置させる。供給用ツールポスト9には、予め準備した新たなドリル7が載置されており、コレットチャック81の内部に当該新たなドリル7が入り込むように、スピンドル6を下降させる。そしてコレットチャック81を閉じ、スピンドル6に新たなドリル7保持させる。
【0026】
一方、ドリル7とコレットチャック81とが固着している場合には、
図7(B)からコレットチャック81を開放する動作をしても、コレットチャック81とドリル7とが接触したままとなる(
図7(E))。
図7(E)のタイミング(コレットチャック81を開放したタイミング)で、共振検出回路63から検出信号Sは発信されないので、排出状況判断部201は、排出不良(排出が正常に行われない)と判断する。排出状況判断部201が排出不良と判断すると、全体制御部20は表示部16に排出不良の警告を表示し、工具交換動作を停止する。
【0027】
本実施例はドリル加工装置を例に説明したが、本発明はこれに限らず、工具交換用のポストを介してスピンドルに保持した加工ツールを自動交換する加工装置であれば、適用することができる。
【0028】
本実施例において、スピンドル6に保持された状態のドリル7が排出用ツールポスト10上に載置された後において、スピンドル6とドリル7とが接触しなくなったときに、共振検出部(非接触検出部)63が検出信号Sを発信し、この発信タイミングに基づいて排出状況を判断した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、共振検出部63が、スピンドル6に保持された状態のドリル7が排出用ツールポスト10上に載置されているときに共振検出信号Sを発信するようにし、その後スピンドル6とドリル7とが非接触の状態となって共振検出信号Sが停止するタイミングに基づいて、排出状況を判断してもよい。つまり、発振回路66を、スピンドル6に保持されたドリル7と排出用ツールポスト10とが接触した状態でのキャパシタ64が並列共振を起こす周波数の交流を発信するものとし、スピンドル6が保持するドリル7を排出用ツールポスト10上に載置し、検出信号Sが発信されるようになった後、スピンドル6とドリル7とが接触しなくなると検出信号Sが停止するようにし、この停止タイミングに基づいて、排出状況を判断してもよい。
【0029】
以上のように、本発明によれば、スピンドルが保持した状態のドリルを排出用ツールポストへ載置した後、スピンドルによるドリルの保持を開放したときに正常に排出されるか否かを判断することができる。そのため、ドリルの有無を検査するためにスピンドルを検査位置へ移動させる動作が必要なくなり、工具交換時間を短縮し、加工効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0030】
1:装置基台、2:加工テーブル(X方向)、3:プリント基板、4:門型コラム、5:クロススライド(Y方向)、6:スピンドル(Z方向)、61:ロータシャフト
61a:テーパ面、62:電極、63:共振検出部(非接触検出部)、64:キャパシタ、65:トランス、66:発振回路、67:共振検出回路、7:ドリル、81:コレットチャック(保持部)、81a:テーパ面、82:ばね、83:ピストンロッド、9:供給用ツールポスト、10:排出用ツールポスト、101:スリーブ、102:ホルダ、103:ばね、104:貫通孔、11:ドリルカセット、12:サブチャック、13:発光器、14:センサ、15:光軸、16:表示部、20:全体制御部、201:排出状況判断部、S:検出信号