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特開2023-147965糸条巻取助力部材および糸条巻取装置
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  • 特開-糸条巻取助力部材および糸条巻取装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023147965
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】糸条巻取助力部材および糸条巻取装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 65/00 20060101AFI20231005BHJP
   D01D 7/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65H65/00 D
D01D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055772
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】卯滝 舜
(72)【発明者】
【氏名】西 勝
(72)【発明者】
【氏名】堀井 一希
【テーマコード(参考)】
4L045
【Fターム(参考)】
4L045AA05
4L045BA03
4L045DA09
4L045DC01
4L045DC03
4L045DC23
(57)【要約】
【課題】多品種生産需要が高まる中、広範囲な繊度および広範囲な速度にも対応した糸条巻き取り装置において、高い切り替え成功率を保有する糸把持機構を提供する。
【解決手段】糸条巻き取り装置のボビンホルダにおいて回転自在に装着される環状部材であって、糸条導入用の切り欠け部を2個以上6個以下有し、該切り欠け部はボビンと密着された状態においてボビンと切り欠け部1傾斜面頂点の隙間幅が糸径に対して1.3~3.0倍となるように設けられ、かつ、該切り欠け部の第1傾斜面の角度が15~25°であることを特徴とする糸条切り替え助力部材。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糸条巻き取り装置のボビンホルダにおいて回転自在に装着される環状部材であって、糸条導入用の切り欠け部を2個以上6個以下有し、該切り欠け部はボビンと密着された状態においてボビンと切り欠け部1傾斜面頂点の隙間幅が糸径に対して1.3~3.0倍となるように設けられ、かつ、該切り欠け部の第1傾斜面の角度が15~25°であることを特徴とする糸条切り替え助力部材。
【請求項2】
切り欠け部が2段階の異なる角度を有し、第2傾斜面の角度が20~60°であることを特徴とする請求項1に記載の糸条切り替え助力部材。
【請求項3】
総繊度が100~4000dtex、単糸数が10~300本の糸条に用いられる請求項1または2に記載の糸条切り替え助力部材。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の糸条切り替え助力部材を備えた糸条巻き取り装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化学繊維の製造工程において、糸条を巻き取る糸条巻取装置に装着された空ボビンに糸条を巻き付ける際に用いる糸把持機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
化学繊維の製造工程では糸条を高速で綾振りしながらボビンを回転させて均一に巻き取る巻取装置が従来から使用されており、巻き取られた糸が満巻になったボビン(満ボビン)から空ボビンへ切り替える際は、生産性向上の点から糸条の供給を一度も停止させることなく自動的に切り替える手法が用いられている。従来、満ボビンから空ボビンに切り替える際、糸条を刃で切断するために、糸条を一旦把持する必要があり、主な糸条把持機構・装置として、ボビンに切り欠け部を設けて糸条を該切り欠け部に案内し掛け止めする手法やボビンとの間に把持部材を用いる手法等のターレット機構により巻き取りボビンの交換を行う構成のもの、また、切り替え前に糸条を吸引捕捉するための吸引装置を有する切り替え装置など、種々のものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、糸教把持片の外周面と環状体の内周面の表面粗さが中心線平均粗さ(Ra)=0.2以下とすることで、切り替え成功率を飛躍的に向上させる技術が記載されている。
【0004】
特許文献2では、巻取ボビンと環状部材が回転自在に装着され、回転時の遠心力の作用により環状部材の内周面に密着せしめられる状態に取り付けられた糸把持片と環状部材に糸導入切り欠け部を設けることで良好な切り替え成功率が得られる技術が記載されている。
【0005】
特許文献3では、トラバース装置に綾振りされながら糸条を回転して巻き取るボビンにおいてボビンの回転に従って掛け止めるためのスリットをボビン端面に設け、そのスリットの寸法を規定することで、ボビン端面の加工のみで簡単に切り替えが行える技術が記載されている。
【0006】
特許文献4では、巻取ボビンを回転駆動するための巻取軸を有するユニットに加えて巻取軸の上流から搬送される糸を吸引捕捉する吸引口を設け、補捉中に満ボビンを空ボビンに入れ替えて、空ボビンを装着後に空ボビンに接触する巻付位置まで案内される構成をとる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-201064号公報
【特許文献2】特開昭58-162464号公報
【特許文献3】特開2015-54776号公報
【特許文献4】特開2010-52930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1は糸教把持片と環状体表面粗さに着目した技術であって、環状部材の切り欠け部についての詳細な開示はなく、例えば太い糸は糸条を把持するスペースがなく受け渡しがしにくかったり、一方で細い糸は糸条に自由度を与えてしまい把持力が弱くなる結果、切り替え成功率が悪化する課題があった。
【0009】
特許文献2も同様に、環状部材の切り欠け部は糸条の把持性を考慮していない結果、十分な切り替え成功率が得られない課題があった。
【0010】
すなわち、特許文献1や2の技術では、多品種生産需要が高まる中、広範囲な繊度に対応できていない。
【0011】
特許文献3ではボビン側にスリットを設ける構造としている。しかし、高次工程で内層を使用する場合には、一方のボビンの糸端面ともう一方のボビンの糸端面を結び連続で使用するが、移行している糸条がボビンのスリットに引っ掛かり切れてしまうなど、移行性が悪化することから高次工程の生産効率が悪化するという課題があった。加えてボビンの加工性や耐久性も考慮するとボビンの材質が制限されてしまい、コストが高いという課題があった。
【0012】
特許文献4は吸引捕捉に圧縮空気を使用するため用役費がかかることやボビンを交換中に吸引した糸は工程屑として発生してしまうことから生産性が悪化する等の課題があった。また空ボビンの糸把持部に吸引しながら糸を案内するが、案内中の張力制御が困難であることから、切り替え失敗が起きやすい等の問題があった。
【0013】
本発明は、上述した従来技術では改善できなかった課題に対して鋭意検討した結果、達成したものである。すなわち本発明は糸条を綾振りしながら回転してボビンに巻き取る糸条巻き取り装置において、満ボビンから空ボビンへ切り替える際、高い切り替え成功率を維持しながら広範囲の繊度を巻き取ることができる部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を有する。すなわち、糸条巻き取り装置のボビンホルダにおいて回転自在に装着される環状部材であって、糸条導入用の切り欠け部を2個以上6個以下有し、該切り欠け部はボビンと密着された状態においてボビンと切り欠け部1傾斜面頂点の隙間幅が糸径に対して1.3~3.0倍となるように設けられ、かつ、該切り欠け部の第1傾斜面の角度が15~25°である糸条切り替え助力部材、および当該糸条切り替え助力部材を備えた糸条巻き取り装置である。
【0015】
さらに、切り欠け部が2段階の異なる角度を有し、第2傾斜面の角度が20~60°であることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明を用いて巻き取る糸条についいては、総繊度が100~4000dtex、単糸数が10~300本であることが好ましい条件として挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の糸条切り替え助力部材は、糸条を満ボビンから空ボビンへ切り替える際に、より強固に糸条を把持し高い切り替え成功率を得ることができる。また広範囲な総繊度および高張力で巻き取る装置においても安定して切り替えを行うことができる。
【0018】
本発明は、広範囲な繊度かつ単糸数の多いポリエステル繊維を、糸切れすることなく高い切り替え成功率を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の糸把持機構を備えた糸条巻き取り装置の一例の正面概略図である。
図2】本発明の糸条切り替え助力部材の一例を示す正面図である。
図3】本発明の糸条切り替え助力部材の一例を示す側面図である(図2において右(または左)からみた側面図である。)。
図4】本発明の糸条切り替え助力部材の一例を示す側面図である(図2において上(または下)からみた側面図である。)。
図5】ボビンと本発明の糸条切り替え助力部材(環状部材)がボビンホルダに装着された状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、糸条巻き取り装置での糸条切り替えのために用いられる糸条切り替え助力部材であって、糸条巻き取り装置のボビンホルダ部において回転自在に装着される環状部材である。
【0021】
次に本発明の実施形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明にかかる糸把持機構を備えた糸条巻き取り装置の一例の主要部を示す正面図である。図1において、1は糸条であり、2は糸条を巻き取るボビンとボビンを支持するボビンホルダである。ボビンはボビンホルダに脱着可能に保持されておりボビンホルダの回転にしたがってボビンも同速度で回転する機構を本装置は有している。また7はボビンに隣接して装着されている本発明に係る糸把持機構を備えた環状部材であり、ボビンと同様に圧着されており、ボビンホルダの回転に従って同速度で回転する機構を有している。ボビンホルダは1000~5000m/minで回転され糸はボビンに巻き取られる。本装置はボビンをセットする軸を2つ有している2軸ターレット機構であり、片軸で糸条を巻き取るボビンが満巻になると、ターレット状に自動で回転して、空ボビンがセットされているもう片軸が巻き取り位置に移動し、空ボビンと環状部材の間把持部に糸条が把持された後、刃で糸条を切断することでもう方軸にセットされたボビンに巻き取られる装置である。
【0023】
図2図3図4は本発明の糸条切り替え助力部材の一例を示す正面図、切り欠け斜面を横から見た側面図および切り欠け斜面を上から見た側面図であり、図示されるように環状部材である。環状部材7は切欠部9、10を有する。また、環状部材において、耐久性に支障がない限りたとえばボビンとの密着性を緩和するために環状部材側面に溝8などをいれてもよい。溝を入れることでボビンとの間に空気が入り密着性が緩和するため、ボビンの取りだし性が向上する。
【0024】
図5はボビン11と環状部材7がボビンホルダ2(または4)に装着された状態の側面図であり、環状部材と密着しているボビンはボビンホルダに同心円的に装着され、ボビンと環状部材が一体となって回転するように構成される。この環状部材は切り欠け部がボビン側に面して設置されることで、ボビンと環状部材との間に糸条を導入できる隙間が発生し、糸条の導入および把持することができる。
【0025】
本発明における環状部材の外径はボビンへの密着性に支障がない限り特に限定されないが、ボビン外径B1に対して環状部材の外径R1は±10%の範囲であることが好ましく、ボビン内径B2に対して環状部材の内径R2は±10%の範囲であることが好ましい。かかるような条件を満足する場合には、機械的要因で糸条を受け渡す位置が微小にずれても、問題なく高い切り替え成功率を維持できる。
【0026】
本発明における環状部材の材質は耐久性が担保される限り特に限定されないが、合成樹脂が好ましく、なかでもガラス繊維強化ナイロン樹脂が好ましい。これらの材質であれば、繰り返し使用できる耐久性の高い糸把持機構が得られるとともに、付け替えもしやすく高いハンドリング性を得ることができる。
【0027】
本発明における環状部材にある糸条導入切り欠け部の数は2個以上6個以下であることが必要であり、2個以上6個以下で備えることにより糸条を安定して導入できる。糸条の導入切り欠け部の数が1個の場合は糸条を導入する機会が減り、切り替え成功率は大きく低減する。また7個以上の場合には環状部材の耐久性が著しく低減し振動などによる位置ズレを伴うため切り替え失敗が発生しやすくなる。また切り欠け部は等間隔に設けることが好ましく、かかる条件を満足することで対称性が得られ振動を最小限に抑え安定した回転速度を得ることができる。例えば、図2および3は糸条の切り欠け部を2個、等間隔に設けた態様である。
【0028】
本発明における糸条切り欠け部によって生じたボビンと第1傾斜面頂点13の隙間幅12は、環状部材とボビンが密着された状態において、ボビンに巻き取る糸条の糸径に対して1.3倍以上3.0倍以下であることが必要であり、かかる範囲とすることで、糸条は安定してボビンと環状部材の隙間内に入ることができる。ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12が糸径に対して1.3倍未満の場合は糸条が隙間に入りにくく導入失敗が多発する。またボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12が糸径に対して3.0倍より大きい場合は糸条が隙間への導入以降も糸条の自由度が高いため例えば張力が低い条件などでは糸が弛みやすく隙間から外れ切り替え失敗が発生する。またボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅は0.10mm以上0.50mm以下の範囲であることが好ましく、かかる範囲にすることで、広範囲な糸径に対しても一定以上の把持力をかけることができるため安定した切り替え成功率を得ることができる。
【0029】
本発明において、糸条を導入する環状部材切り欠け部は少なくとも一段階の傾斜面(第1傾斜面)があればよいが、図2にも示されるように、二段階の傾斜面を有することが好ましい。二段階の傾斜面を有することで2段階目の傾斜面は1段階目の傾斜面の糸条把持部への誘導を担うことで切り替え成功率が向上する。
【0030】
糸条が把持される環状部材切り欠け部の第1傾斜面10の角度αは15°以上25°以下であることが必要であり、係る範囲とすることで糸条を把持部で強固に把持できることで、把持力が向上する。第1傾斜面10の角度αが15°未満の場合、ボビンと環状部材の隙間と糸条の受け渡し位置が精密に調整されない限り強固に把持することが困難となる。また環状部材の傾斜面10の角度αが25°以上の場合、環状部材と糸条との把持力が十分に確保できず、切り替え失敗が発生する。
【0031】
糸条を導入する環状部材切り欠け部の第2傾斜面9の角度βは20~60°であることが好ましく30~50°とすることがより好ましい。糸条を導入する切り欠け部の第2傾斜面9の角度βをかかる範囲とすることで、糸条が案内から外れずに把持部へと案内される。
【0032】
本発明における環状部材の表面性状は、環状部材の外周面、内周面および側面のいずれにおいても、中心線からの平均表面粗さ(Ra)が0.01以上0.40以下とするのが好ましい。かかる条件を満足することで、環状部材との間で擦過が生じた場合も単糸切れを発生することなく環状部材とボビンの隙間で安定的に糸条が把持され、空ボビンに切り替えることができる。
【0033】
本発明の糸条切り替え助力部材は、公知の糸条巻き取り装置において使用することができる。
【0034】
本発明に好適に用いられる繊維としては、特に限定されないが広範囲な速度範囲と張力範囲で巻き取ることが可能な合繊繊維であるポリエステル、ナイロン、ビニロン繊維が好ましい。さらに、添加物として酸化防止剤、制電剤、可塑剤、紫外線吸収剤、着色剤等を適宜添加してもよい。
【0035】
本発明で好適に用いられる繊維の総繊度は100dtex以上4000dtex以下であることが好ましい。総繊度がかかる範囲であれば、目的の環状部材の切り欠けの加工性を担保することができる。すなわち、本発明の糸条切り替え助力部材を用いることによって、従来技術よりも広い繊度範囲において高い切り替え成功率を得ることができる。
【0036】
本発明で好適に用いられる繊維の単糸数は10本以上300本以下とすることが好ましい。かかる範囲とすることで、製糸工程中の交絡付与時に糸条の集束性を担保できるため、切り替え時の張力変動において収束した糸条の分裂が抑えられ切り替え成功率は向上する。
【実施例0037】
以下本発明を実施例により詳細に説明する。
【0038】
以下の製造例において、各実施例・比較例に記載の糸条切り替え助力部材(環状部材)を使用して、切り替え成功率を評価した。
切り替え成功率(%)=切り替え成功数(回)/切り替え回数(回)×100
なお評価については、500回切り替えを行った際、切り替え成功した数が495回以上を合格とし、それ未満を不合格とした。
【0039】
[製造例]
固有粘度が1.30のポリエチレンテレフタレ-トチップを、エクストル-ダ-型の紡糸機を用いて300℃の温度で連続的に供給し溶融した。溶融ポリマは290℃の配管を通って計量ポンプによって900g/minで吐出した後、290℃の紡糸パック中で20μmの不織布フィルタ-でろ過した後、丸型単孔が144個設けられた口金から紡出した。
【0040】
紡出した糸条は口金直下に設けられた、筒内雰囲気温度が300℃である加熱筒を通過させた後、チムニ-を用いて40℃の冷風を30m/分の速度で吹き付け糸条を冷却固化した。次に冷却後、給油ロ-ルにより繊維油剤を付与し、得られた糸条を505m/minの速度を有する1GR(75℃)で巻き取り、連続して延伸工程を供した。引き続き1GRを通過させた糸条を一旦巻き取ることなく、表面温度が101℃、速度が535m/minの2GR、110℃で速度1818m/minの3GR、225℃で速度2651m/minの4GRおよび非加熱で速度2700m/minである5GRに連続して供することによる延伸を実施した。糸条の集束性付与処理は2GR-3GR間、交絡処理は5GR-巻取装置間で施し、それぞれ0.4MPa、0.5MPaの高圧空気を噴射することにより、処理を施したのちに、総繊度1670dtex、単糸数144本のポリエステル繊維を糸条巻き取り装置にて巻き取り1200秒で9kg巻き取ったあと、ボビン表面速度が2700m/minの空ボビンに切り替えた。
【0041】
[実施例1]
図5に示すとおり、糸条巻き取り装置におけるスピンドルにボビンおよび環状部材を装着した。ボビンの外径89mm、環状部材の材質はガラス繊維強化ナイロン樹脂であり、内径73mm、外径90mm、糸条の切り欠け部の数は2個、切り欠け部の幅は糸径d=0.15mmに対して0.3mm、深さを5mm、第1傾斜角度を20°、第2傾斜角度を45°として取り付け切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は99.8%と良好であった。
【0042】
[実施例2]
第2傾斜角度を15°としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果、切り替え成功率は99.4%であった
[比較例1]
糸条把持部の第1傾斜角度を10°としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は98.2%であった。
【0043】
[比較例2]
糸条把持部の第1傾斜角度を45°としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は95.0%であった。
【0044】
[実施例3]
ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12を糸径に対して1.3倍(1.3d)としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は99.6%であった。
【0045】
[実施例4]
ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12を糸径に対して3.0倍(3d)としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は99.4%であった。
【0046】
[比較例3]
ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12を糸径に対して1.0倍(d)としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は98.6%であった。
【0047】
[比較例4]
ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅12を単糸径に対して5.0倍(5d)としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は98.2%であった。
【0048】
[比較例5]
切り欠け数を1か所としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は95.0%であった。
【0049】
[比較例6]
切り欠け数を7か所としたこと以外、実施例1と同様の切り替え性を評価した。その結果切り替え成功率は98.2%であった。
【0050】
【表1】
【符号の説明】
【0051】
1:糸条
2:空ボビンが装着されたボビンホルダ
3:干渉防止板
4:巻き取り中のボビンが装着されたボビンホルダ
5:切り替え時に糸条を切断する刃
6:ピックアップ
7:環状部材
8:溝
9:糸条導入用切り欠け部(第2傾斜面)
10:糸条把持用切り欠け部(第1傾斜面)
11:ボビン
12:ボビンと第1傾斜面頂点の隙間幅
13:第1傾斜面頂点
21:糸条巻き取り装置
B1:ボビン外径
B2:ボビン内径
R1:環状部材外径
R2:環状部材内径
α:第1傾斜面10の角度
β:第2傾斜面9の角度
図1
図2
図3
図4
図5