(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001480
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】パチンコ玉殺菌装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20221226BHJP
【FI】
A63F7/02 351Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021102239
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】510314884
【氏名又は名称】株式会社動力
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 竜宏
(72)【発明者】
【氏名】神原 崇之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 正輝
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA92
(57)【要約】
【課題】紫外線ランプを適切に保護した状態でパチンコ玉を殺菌することができるパチンコ玉殺菌装置を提供すること。
【解決手段】パチンコ玉殺菌装置は、供給樋110内のパチンコ玉102に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプ10と、紫外線ランプ10が取り付けられる取付部22、及び紫外線ランプ10を下方にのみ開口させる形に覆う覆い部21を備えるケース20と、ケース20を供給樋110及び/又は供給樋110の周辺部品に固定する固定部30と、ケース20の開口に被せられてパチンコ玉102が紫外線ランプ10に接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタ40と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球補給用の供給樋を流れるパチンコ玉を紫外線の照射により殺菌するパチンコ玉殺菌装置であって、
前記供給樋内の前記パチンコ玉に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプと、
前記紫外線ランプが取り付けられる取付部、及び前記紫外線ランプを下方にのみ開口させる形に覆う覆い部を備えるケースと、
前記ケースを前記供給樋及び/又は前記供給樋の周辺部品に固定する固定部と、
前記ケースの開口に被せられて前記パチンコ玉が前記紫外線ランプに接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタと、を有するパチンコ玉殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記供給樋が、横断面U字状の供給路を成す構成とされ、
前記ケースが、前記供給樋の横断面U字の上縁部間に跨る形にセットされて前記供給路を高さ方向の全域に亘って前記パチンコ玉の流れ方向の双方向に開口させるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記ケースが、前記供給樋の前記上縁部から内側に張り出す庇部に上方から重ね合わせ状にセットされる座面部を有し、
前記固定部が、前記座面部と前記庇部とをそれぞれ高さ方向に挟み込み状に締め付けるクランプから成るパチンコ玉殺菌装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記ケースが、前記供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての張出部を有し、前記固定部により前記供給樋に固定されるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記プロテクタが、網目状の面状部材から成り、前記ケースと前記供給樋との間に挟持されて位置固定されるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記プロテクタが、前記供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての折り曲げ部を有し、前記供給樋の両側部間に上方から跨る形に被せられるパチンコ玉殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉殺菌装置に関する。詳しくは、球補給用の供給樋を流れるパチンコ玉を紫外線の照射により殺菌するパチンコ玉殺菌装置である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パチンコ玉に紫外線を照射して殺菌を行うパチンコ玉殺菌装置が開示されている。パチンコ玉殺菌装置は、パチンコ台の上方に配置される供給樋の上部に設けられる紫外線ランプと、紫外線ランプを囲うケースと、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のパチンコ玉殺菌装置において、紫外線ランプは、パチンコ玉に極力近づけられることで、殺菌効果を高めたり樋の外部への紫外線の漏出を防止したりするように構成される。しかし、上記紫外線ランプは、むきだしの状態でパチンコ玉に近づけられている。このため、パチンコ玉の飛び跳ねが生じた際に紫外線ランプに接触して破損させる恐れがある。そこで、本発明は、紫外線ランプを適切に保護した状態でパチンコ玉を殺菌することができるパチンコ玉殺菌装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のパチンコ玉殺菌装置は次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、球補給用の供給樋を流れるパチンコ玉を紫外線の照射により殺菌するパチンコ玉殺菌装置である。パチンコ玉殺菌装置は、供給樋内のパチンコ玉に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプと、紫外線ランプが取り付けられる取付部、及び紫外線ランプを下方にのみ開口させる形に覆う覆い部を備えるケースと、ケースを供給樋及び/又は供給樋の周辺部品に固定する固定部と、ケースの開口に被せられてパチンコ玉が紫外線ランプに接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタと、を有する。
【0007】
上記構成によれば、ケースが紫外線ランプを下方のみ開口させる形に覆うことで、パチンコ玉殺菌装置の周囲に紫外線が照射されることを抑制しつつ、紫外線ランプの下方にあるパチンコ玉に適切に紫外線を照射することができる。また、プロテクタによりパチンコ玉に照射される紫外線を妨げることなく、パチンコ玉と紫外線ランプとの接触を防いで紫外線ランプを保護することができる。
【0008】
また、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、更に次のように構成されていても良い。供給樋が、横断面U字状の供給路を成す構成とされる。ケースが、供給樋の横断面U字の上縁部間に跨る形にセットされて供給路を高さ方向の全域に亘ってパチンコ玉の流れ方向の双方向に開口させる。
【0009】
上記構成によれば、紫外線ランプにより供給樋内のパチンコ玉に向かって上方から照射された紫外線は、供給樋やパチンコ玉により上向きに反射されつつ供給樋の開口から外部に照射される。これにより、供給樋の周囲の空気も殺菌することができる。
【0010】
また、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、更に次のように構成されていても良い。ケースが、供給樋の上縁部から内側に張り出す庇部に上方から重ね合わせ状にセットされる座面部を有する。固定部が、座面部と庇部とをそれぞれ高さ方向に挟み込み状に締め付けるクランプから成る。
【0011】
上記構成によれば、供給樋内を流れるパチンコ玉の動きを妨げることなく、ケースを供給樋の上縁部に合理的に固定することができる。
【0012】
また、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、更に次のように構成されていても良い。ケースが、供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての張出部を有し、固定部により供給樋に固定される。
【0013】
上記構成によれば、張出部が、ケースが供給樋にセットされる際に、供給樋に対する幅方向の位置決め部として機能する。これにより、ケースの組み付け性を高めることができる。
【0014】
また、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、更に次のように構成されていても良い。プロテクタが、網目状の面状部材から成り、ケースと供給樋との間に挟持されて位置固定される。
【0015】
上記構成によれば、ケースの供給樋への組み付けにより、プロテクタの位置を合理的に固定することができる。
【0016】
また、本発明のパチンコ玉殺菌装置は、更に次のように構成されていても良い。プロテクタが、供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての折り曲げ部を有し、供給樋の両側部間に上方から跨る形に被せられる。
【0017】
上記構成によれば、折り曲げ部が、プロテクタが供給樋に被せられる際に、供給樋に対する幅方向の位置決め部として機能する。これにより、プロテクタの組み付け性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1の実施形態に係るパチンコ玉殺菌装置が適用されたパチンコ場の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1-7を用いて説明する。以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0020】
<第1の実施形態>
始めに、本発明の第1の実施形態に係るパチンコ玉殺菌装置1について説明する。本実施形態に係るパチンコ玉殺菌装置1は、
図1に示すように、パチンコ台101に供給されるパチンコ玉102に紫外線を照射して殺菌する装置である。パチンコ場100内には、複数のパチンコ台101が並べられて一つの島103を形成している。島103の各パチンコ台101で使用されたパチンコ玉102は、パチンコ台101下部の流路104を流れた後、パチンコ場100内に設置されたリフト105によってパチンコ場100内上部のタンク106に持ち上げられて貯留される。そして、貯留されたパチンコ玉102は、タンク106から各パチンコ台101に向かって斜め下がりに延び出す供給樋110を通って、各パチンコ台101へと供給される。ここで、パチンコ台101は、本発明の「周辺部品」に相当する。
【0021】
供給樋110は、
図1に示すように、パチンコ台101の上部を通るように設けられる。供給樋110は、ステンレス製であり、
図3及び
図7に示すように、横断面略U字状の供給路を成す構成とされる。供給樋110は、パチンコ玉102が流れる前後方向に長い底板部111と、パチンコ玉102が底板部111から左右に落下することを防ぐように底板部111の左右端部からそれぞれ上方に立ち上がる各立壁部112と、を有する。また、供給樋110は、各立壁部112の各上縁部113から内側に向かって張り出す各庇部114を有する。
図7に示すように、各庇部114は、内側に張り出すと共に斜め下がりに張り出すようになっている。
【0022】
また、供給樋110は、
図2に示すように、その前後方向の所々に底板部111と立壁部112とに跨る複数の排出口115を有する。それぞれの排出口115は、連通路(不図示)を介して各パチンコ台101(
図1参照)と連結されており、供給樋110を流れるパチンコ玉102は各排出口115から連通路(不図示)を通って、各パチンコ台101に供給されるようになっている。なお、供給樋110を流れるパチンコ玉102は、各図において図の明瞭化のためにまばら状に描写されているが、実際には底板部111上を高さ方向の重なりなく敷き詰められるように設けられる。このため、パチンコ玉102は、多くの場合、底板部111上で停滞しており、各パチンコ台101がパチンコ玉102を必要とした際にのみ各排出口115から供給されて底板部111上を流れるようになっている。
【0023】
パチンコ玉殺菌装置1は、上記供給樋110を流れるパチンコ玉102に上方から紫外線を照射するように構成される。具体的には、パチンコ玉殺菌装置1は、
図2に示すように、供給樋110の上縁部113間に跨る形にセットされる箱状のケース20と、ケース20の内部に取り付けられる紫外線ランプ10と、セットされたケース20を供給樋110に固定する固定部30を有する。ケース20は下方にのみ開口する構成とされ、ケース20が供給樋110にセットされることで、紫外線ランプ10は供給樋110内のパチンコ玉102に向かって上方から紫外線を照射する。また、ケース20により、紫外線ランプ10からパチンコ玉殺菌装置1の周囲に紫外線が直接照射されることを抑制できる。また、パチンコ玉殺菌装置1は、紫外線ランプ10に電力を供給する電源プラグ50と、紫外線ランプ10の点灯及び消灯を切り替える電源スイッチ60と、を有する。
【0024】
パチンコ玉102に照射された紫外線は、パチンコ玉102の表面に付着した細菌を殺菌し、ウイルスを不活化する。また、パチンコ玉102に当たらず供給樋110に照射された紫外線は、底板部111に反射されることでパチンコ玉102に下方から照射され、パチンコ玉102の底板部111との接地面近傍を殺菌することができる。
【0025】
パチンコ玉殺菌装置1は、
図1に示すように、供給樋110の流れ方向の上流側に設けられる。これにより、パチンコ玉殺菌装置1は、供給樋110を流れる各パチンコ玉102に合理的に紫外線を照射することができる。上述したように、各パチンコ玉102は、供給樋110上を停滞しつつゆっくりと流れるため、1つのパチンコ玉殺菌装置1でも照射時間を十分に確保できるようになっている。また、パチンコ玉殺菌装置1は、
図2に示すように、供給樋110の排出口115に前後方向に跨るように設けられる。これにより、排出口115の近傍を流れるパチンコ玉102を確実に殺菌することができる。
【0026】
ケース20は、供給樋110の上縁部113間に跨る形にセットされることで、
図2及び
図6に示すように、供給樋110の供給路を高さ方向の全域に亘ってパチンコ玉102の流れ方向の双方向、すなわち前後方向に開口させる(開口部116)。これにより、紫外線ランプ10から照射された紫外線が、開口部116を通って供給樋110内のケース20から前後方向に外れた領域にも照射される。このため、紫外線ランプ10の直下に位置するパチンコ玉102だけでなくより広い範囲のパチンコ玉102を殺菌することができる。
【0027】
更に、供給樋110内のケース20から前後方向に外れた領域に照射された紫外線は、上記領域の底板部111又はパチンコ玉102により上向きに反射されて供給樋110の上部の空間に向けて照射される。これにより、供給樋110よりも上部にある周囲の空気を殺菌することができる。また、上記のように、紫外線は、開口部116からケース20の外部に出ても供給樋110内に照射されるようになっており、供給樋110から下方に向かっては照射されない。このため、供給樋110の下方にいる利用客に向かって紫外線が照射される恐れはない。
【0028】
また、パチンコ玉殺菌装置1は、
図3に示すように、供給樋110の各立壁部112の上縁部113間に跨って上方から被せられる網目状かつ面状のプロテクタ40を有する。供給樋110に被せられたプロテクタ40は、更にその上方からケース20が供給樋110にセットされることで、ケース20の下方の開口に入れ込まれる形でケース20と供給樋110との間に挟持されて位置固定される。挟持されたプロテクタ40は、
図6に示すように、パチンコ玉102と紫外線ランプ10との間を網目状に遮蔽する。このため、プロテクタ40は、紫外線を透過させつつ、パチンコ玉102が紫外線ランプ10に接触することを防止できる。ここで、立壁部112は、本発明の「側部」に相当する。
【0029】
<紫外線ランプ10>
以下に、パチンコ玉殺菌装置1の各構成について詳しく説明する。紫外線ランプ10は、
図3に示すように、1本の放電管から成るランプ本体11と、ランプ本体11を電気回路(不図示)と電気的に接続させるためのコネクタ12と、を有する。紫外線ランプ10は、空気中の種々の細菌を殺菌し、新型コロナウイルス(COVID-19)等のウイルスを不活化する紫外線(例えば、波長が100~280nmのUV-C紫外線)を発するものである。
【0030】
<ケース20>
ケース20は、
図3及び
図5-6に示すように、紫外線ランプ10を覆う覆い部21と、覆い部21の内側面に紫外線ランプ10を取り付けるための取付部22と、を有する。覆い部21は、前後方向に長尺となる箱状部材である。覆い部21は、下方が開口しており、上面部21A、前面部21B、後面部21C及び側面部21Dを有する。また、覆い部21は、
図6に示すように、その内部の空間の上部領域に紫外線ランプ10を作動させるための電気回路(不図示)を収容する収容部21Eを有する。覆い部21は、取付部22によりその内部の空間の下部領域に紫外線ランプ10を1本装備可能となっている。
【0031】
取付部22は、覆い部21の収容部21Eから下方に延び出して、紫外線ランプ10のコネクタ12が接続されるソケット22Aと、接続された紫外線ランプ10の先端を下方から支持するように、覆い部21の後面部21Cの内側面に設けられる支持部22Bと、を有する。紫外線ランプ10は、取付部22への取付により、そのランプ本体11が前後方向に延びるように覆い部21に取り付けられる。このため、紫外線ランプ10がパチンコ玉102の流れ方向(前後方向)に沿って延びるように設けられる。これにより、パチンコ玉102に対する照射時間をより確保しやすくなり、より適切にパチンコ玉102を殺菌することができる。
【0032】
覆い部21は、ステンレス製であり、紫外線ランプ10から照射された紫外線を反射することができる。このため、紫外線ランプ10から下方以外に照射された紫外線は、覆い部21によりパチンコ玉102に向かうように反射される。これにより、パチンコ玉102への紫外線の照射効率を高めることができる。また、覆い部21は、紫外線ランプ10から照射された可視光線を透過させないようになっており、覆い部21の内部を外部から見えなくさせ見栄えを良くすることができる。
【0033】
覆い部21は、
図6に示すように、前面部21B及び後面部21Cの下端から前後方向の外側に延び出す各座面部21Fを有する。各座面部21Fは、
図5に示すように、覆い部21の左右方向の全域に亘って延びるように構成される。このため、各座面部21Fは、
図7に示すように、供給樋110の上縁部113間に跨って、各上縁部113及び各庇部114に上方から重ね合わせられる。各座面部21Fにより、ケース20は、供給樋110の上縁部113間に跨って載置される形にセット可能とされる。また、各座面部21Fは、
図3及び
図5に示すように、前出の固定部30を装着するための装着孔21Hを左右方向に2つ並んで有する。
【0034】
覆い部21は、その左右方向の幅が供給樋110の左右方向の幅と略同一とされる。このため、ケース20が供給樋110にセットされた際に、覆い部21の左右方向の張り出しを極力小さくすることができる。これにより、ケース20を供給樋110の周囲に位置するパチンコ台101等の周辺部品に干渉させることなくセットすることができる。
【0035】
また、覆い部21は、
図3に示すように、各側面部21Dの下端からそれぞれ下方に張り出す張出部21Gを有する。各張出部21Gは、
図2及び
図7に示すように、供給樋110の各立壁部112の外側面に左右方向の外側から被せられる構成とされる。このため、張出部21Gが、ケース20が供給樋110にセットされる際に、供給樋110の外側面に宛がわれて左右方向の位置決めを容易にさせる位置決め部として機能する。これにより、張出部21Gは、ケース20の組み付け性を向上させることができる。また、張出部21Gは、
図2に示すように、供給樋110の立壁部112の上部領域のみを外側から覆う張り出し長さとされており、各排出口115は覆わないようになっている。これにより、排出口115の位置に関係なくケース20を供給樋110にセットすることができる。
【0036】
<固定部30>
固定部30は、
図7に示すように、互いに重ね合わされた覆い部21の座面部21Fと供給樋110の庇部114とを高さ方向に挟み込んで締め付けるクランプ30から成る。クランプ30は、
図3及び
図7に示すように、板状の座金31と、該座金31を装着孔21Hを介して座面部21Fの下方に組み付けるネジ32及びナット33と、を有する。
【0037】
座金31は、その一端が上方に傾斜するように撥ね上げられた撥ね上げ部31Aを有する。ケース20を供給樋110に固定する際には、
図7に示すように、上記撥ね上げ部31Aが供給樋110の庇部114の下方に差し込まれた状態でナット33を締め付ける。これにより、クランプ30は、上方に傾斜する撥ね上げ部31Aと下方に傾斜する庇部114とが互いに強く噛み合った状態で、座金31とナット33とにより座面部21Fと庇部114とを高さ方向に挟み込むようになっている。このため、クランプ30は、ケース20を供給樋110に強固に固定することができる。また、クランプ30により、底板部111を流れるパチンコ玉102の動きを妨げないように、ケース20を供給樋110の庇部114に合理的に組み付けることができる。
【0038】
<プロテクタ40>
プロテクタ40は、
図3に示すように、供給樋110の上縁部113間に跨って上方から被せられる天板面部41と、天板面部41の左右方向の両縁部からそれぞれ下方に折り曲げられた折り曲げ部42を有する。各折り曲げ部42は、
図7に示すように、供給樋110の各立壁部112の外側面に左右方向の外側から被せられる構成とされる。このため、折り曲げ部42が、プロテクタ40が供給樋110に被せられる際に、供給樋110の外側面に宛がわれて左右方向の位置決めを容易にさせる位置決め部として機能する。これにより、折り曲げ部42は、プロテクタ40の組み付け性を向上させることができる。
【0039】
天板面部41は、
図6に示すように、その前後方向の長さが、覆い部21の前面部21B及び後面部21C間の長さよりもわずかに短くなるように構成される。また、各折り曲げ部42間の幅は、
図7に示すように、供給樋110の左右方向の幅よりも長く、覆い部21の両側面部21D間の幅よりも短くなるように構成される。これにより、プロテクタ40は、供給樋110の上縁部113間に跨って被せられ、かつ覆い部21の下方の開口に入れ込まれる形に挟持される。プロテクタ40は、前後方向の移動を覆い部21の前面部21B及び後面部21Cにより規制され、左右方向の移動を折り曲げ部42の立壁部112又は側面部21Dへの係止により規制されて位置固定される。
【0040】
<まとめ>
以上をまとめると、第1の実施形態に係るパチンコ玉殺菌装置1は、次のような構成とされている。なお、以下において、括弧書きで示す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0041】
すなわち、パチンコ玉殺菌装置(1)は、球補給用の供給樋(110)を流れるパチンコ玉(102)を紫外線の照射により殺菌する。供給樋(110)内のパチンコ玉(102)に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプ(10)と、紫外線ランプ(10)が取り付けられる取付部(22)、及び紫外線ランプ(10)を下方にのみ開口させる形に覆う覆い部(21)を備えるケース(20)と、ケース(20)を供給樋(110)及び/又は供給樋(110)の周辺部品(101)に固定する固定部(30)と、ケース(20)の開口に被せられてパチンコ玉(102)が紫外線ランプ(10)に接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタ(40)と、を有する。
【0042】
このような構成となっていることにより、ケース(20)が紫外線ランプ(10)を下方のみ開口させる形に覆うことで、パチンコ玉殺菌装置(1)の周囲に紫外線が照射されることを抑制しつつ、紫外線ランプ(10)の下方にあるパチンコ玉(102)に適切に紫外線を照射することができる。また、プロテクタ(40)によりパチンコ玉(102)に照射される紫外線を妨げることなく、パチンコ玉(102)と紫外線ランプ(10)との接触を防いで紫外線ランプ(10)を保護することができる。
【0043】
また、供給樋(110)が、横断面U字状の供給路を成す構成とされる。ケース(20)が、供給樋(110)の横断面U字の上縁部(113)間に跨る形にセットされて供給路を高さ方向の全域に亘ってパチンコ玉(102)の流れ方向の双方向に開口させる。
【0044】
このような構成となっていることにより、紫外線ランプ(10)により供給樋(110)内のパチンコ玉(102)に向かって上方から照射された紫外線は、供給樋(110)やパチンコ玉(102)により上向きに反射されつつ供給樋(110)の開口から外部に照射される。これにより、供給樋(110)の周囲の空気も殺菌することができる。
【0045】
また、ケース(20)が、供給樋(110)の上縁部(113)から内側に張り出す庇部(114)に上方から重ね合わせ状にセットされる座面部(21F)を有する。固定部(30)が、座面部(21F)と庇部(114)とをそれぞれ高さ方向に挟み込み状に締め付けるクランプ(30)から成る。
【0046】
このような構成となっていることにより、供給樋(110)内を流れるパチンコ玉(102)の動きを妨げることなく、ケース(20)を供給樋(110)の上縁部(113)に合理的に固定することができる。
【0047】
また、ケース(20)が、供給樋(110)の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての張出部(21G)を有し、固定部(30)により供給樋(110)に固定される。
【0048】
このような構成となっていることにより、張出部(21G)が、ケース(20)が供給樋(110)にセットされる際に、供給樋(110)に対する幅方向の位置決め部として機能する。これにより、ケース(20)の組み付け性を高めることができる。
【0049】
また、プロテクタ(40)が、網目状の面状部材から成り、ケース(20)と供給樋(110)との間に挟持されて位置固定される。
【0050】
このような構成となっていることにより、ケース(20)の供給樋(110)への組み付けにより、プロテクタ(40)の位置を合理的に固定することができる。
【0051】
また、プロテクタ(40)が、供給樋(110)の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての折り曲げ部(42)を有し、供給樋(110)の両側部(112)間に上方から跨る形に被せられる。
【0052】
このような構成となっていることにより、折り曲げ部(42)が、プロテクタ(40)が供給樋(110)に被せられる際に、供給樋(110)に対する幅方向の位置決め部として機能する。これにより、プロテクタ(40)の組み付け性を高めることができる。
【0053】
<その他の実施形態>
以上、本発明を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他に各種の形態で実施することができるものである。
【0054】
1.パチンコ玉殺菌装置は、手動で切り替える電源スイッチとは別に供給樋への接地を検知するリミットスイッチを備え、電源スイッチとリミットスイッチが同時に作動した状態でのみ紫外線ランプが点灯する構成とされても良い。この場合、リミットスイッチは、例えば覆い部の座面部に設けられて、クランプのネジの締め込みにより押圧されて作動するものが好ましい。これにより、ケースを供給樋から外した状態では紫外線ランプが点灯しないため、ケースをセットする際や紫外線ランプの交換時に誤って紫外線が照射されることを防止できる。また、パチンコ玉殺菌装置は、1つの供給樋に対して流れ方向に複数設けられる構成であっても良い。
【0055】
2.紫外線ランプは、細菌を殺菌するか、ウイルスを不活化するか、いずれかのみに効果を発揮するものとしてもよい。紫外線ランプは、放電管内の放電現象により紫外線を発するものでもよいし、発光ダイオード(LED)により紫外線を発するものでもよい。紫外線ランプは、ケースに2本以上装備されるものであっても良い。
【0056】
3.ケースは、供給樋ではなく、パチンコ台等の周辺部品に固定される構成であっても良いし、どちらにも固定される構成であっても良い。ケースは、供給樋から浮いた状態に固定されるものであっても良い。ケースの横断面の幅は、供給樋の横断面の幅より大きくても小さくても良い。ケースは、供給樋の上縁部の他、立壁部や底板部に固定されるものであっても良い。ケースの座面部は、前面部及び後面部から延び出すものの他、側面部から延び出すものであっても良いし、各面部の下端ではなく途中から延び出すもののであっても良い。ケースは、幅方向の一方にのみ張出部を有しても良いし、張出部を有しない構成であっても良い。
【0057】
4.プロテクタは、ケースの開口に被せられて紫外線を透過可能であれば、ケースと一体的に構成されるものでも良い。例えば、ケースの下面を成す網目状の面状部材であっても良いし、紫外線ランプを下方から囲う箱状に形成されたものであっても良いし、ケースにヒンジで開閉可能に連結しても良い。プロテクタは、幅方向の一方にのみ折り曲げ部を有しても良いし、折り曲げ部を有しない構成であっても良い。プロテクタは、紫外線を透過可能なものであれば、網目状の面状部材の他、樹脂やガラスから成るフィルタであっても良い。プロテクタは、供給樋又はケースの開口に固定されるものであっても良い。
【0058】
5.固定部は、クランプの他、例えば張出部から更に下方に延び出して供給樋の底板部に下方から係止されるように内側に折り曲げられる係止部を有するものであっても良い。固定部は、ケースの左右方向の一方のみ固定する構成でも良いし、前後方向の一方のみ固定する構成であっても良い。
【0059】
6.供給樋は、パチンコ台の上部に配設されるものの他、パチンコ台の背部に配設されるものであっても良い。その場合でも、パチンコ玉殺菌装置は、ケースの横断面の幅は供給樋と略同一となっているため、パチンコ台に干渉することなく設けることができる。また、供給樋は、パチンコ台の下部に設けられるものであっても良い。供給樋は、上方から紫外線を照射可能なものであれば、横断面U字状の他、例えばV字状やお椀状であっても良い。供給樋の庇部は、上縁部から内側に水平に張り出すものであっても良い。また、庇部は、幅方向の一方にのみ設けられても良い。
【符号の説明】
【0060】
1 パチンコ玉殺菌装置
10 紫外線ランプ
11 ランプ本体
12 コネクタ
20 ケース
21 覆い部
21A 上面部
21B 前面部
21C 後面部
21D 側面部
21E 収容部
21F 座面部
21G 張出部
21H 装着孔
22 取付部
22A ソケット
22B 支持部
30 固定部(クランプ)
31 座金
31A 撥ね上げ部
32 ネジ
33 ナット
40 プロテクタ
41 天板面部
42 折り曲げ部
50 電源プラグ
60 電源スイッチ
100 パチンコ場
101 パチンコ台(周辺部品)
102 パチンコ玉
103 島
104 流路
105 リフト
106 タンク
110 供給樋
111 底板部
112 立壁部(側部)
113 上縁部
114 庇部
115 排出口
116 開口部
【手続補正書】
【提出日】2022-06-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球補給用の供給樋を流れるパチンコ玉を紫外線の照射により殺菌するパチンコ玉殺菌装置であって、
前記供給樋内の前記パチンコ玉に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプと、
前記紫外線ランプが取り付けられる取付部、及び前記紫外線ランプを下方にのみ開口させる形に覆う覆い部を備えるケースと、
前記ケースを前記供給樋及び/又は前記供給樋の周辺部品に固定する固定部と、
前記ケースの開口に被せられて前記パチンコ玉が前記紫外線ランプに接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタと、を有し、
前記プロテクタが、網目状の面状部材から成り、前記ケースと前記供給樋との間に挟持されて位置固定されるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記供給樋が、横断面U字状の供給路を成す構成とされ、
前記ケースが、前記供給樋の横断面U字の上縁部間に跨る形にセットされて前記供給路を高さ方向の全域に亘って前記パチンコ玉の流れ方向の双方向に開口させるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記ケースが、前記供給樋の前記上縁部から内側に張り出す庇部に上方から重ね合わせ状にセットされる座面部を有し、
前記固定部が、前記座面部と前記庇部とをそれぞれ高さ方向に挟み込み状に締め付けるクランプから成るパチンコ玉殺菌装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記ケースが、前記供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての張出部を有し、前記固定部により前記供給樋に固定されるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載のパチンコ玉殺菌装置であって、
前記プロテクタが、前記供給樋の少なくとも一方の外側に上方から張り出す幅方向の位置決め部としての折り曲げ部を有し、前記供給樋の両側部間に上方から跨る形に被せられるパチンコ玉殺菌装置。
【請求項6】
球補給用の供給樋を流れるパチンコ玉を紫外線の照射により殺菌するパチンコ玉殺菌装置であって、
前記供給樋内の前記パチンコ玉に向かって上方から紫外線を照射する紫外線ランプと、
前記紫外線ランプが取り付けられる取付部、及び前記紫外線ランプを下方にのみ開口させる形に覆う覆い部を備えるケースと、
前記ケースを前記供給樋及び/又は前記供給樋の周辺部品に固定する固定部と、
前記ケースの開口に被せられて前記パチンコ玉が前記紫外線ランプに接触することを防止する紫外線を透過可能なプロテクタと、を有し、
前記供給樋が、横断面U字状の供給路を成す構成とされ、
前記ケースが、前記供給樋の横断面U字の上縁部間に跨る形にセットされて前記供給路を高さ方向の全域に亘って前記パチンコ玉の流れ方向の双方向に開口させるパチンコ玉殺菌装置。