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特開2023-148009ブリスターパック用積層体及びブリスターパック
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  • 特開-ブリスターパック用積層体及びブリスターパック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148009
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ブリスターパック用積層体及びブリスターパック
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20231005BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 15/08 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20231005BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B65D75/36
B32B15/08 F
B32B27/00 H
B32B27/40
B32B27/34
B32B27/30 101
B32B27/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055829
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-10-25
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】呉 基石
(72)【発明者】
【氏名】金子 千智
(72)【発明者】
【氏名】前田 諭志
【テーマコード(参考)】
3E067
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB16
3E067AB82
3E067AC01
3E067BA11A
3E067BA31A
3E067BB11A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067BB26A
3E067CA24
3E067EA06
3E067FB02
3E067FC01
3E086AB01
3E086AD07
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA15
3E086BA24
3E086BA33
3E086BB51
3E086CA07
3E086CA28
4F100AB01C
4F100AB10C
4F100AB33C
4F100AK01A
4F100AK01E
4F100AK15E
4F100AK41B
4F100AK41D
4F100AK46A
4F100AK48A
4F100AK51B
4F100AK51D
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100CA02B
4F100CA02D
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100EH462
4F100EH46B
4F100EH46D
4F100EJ37A
4F100GB15
4F100JA07B
4F100JK06
4F100JL01
4F100YY00B
(57)【要約】      (修正有)
【課題】優れたラミネート強度と成型性とを有し、且つ成型後の耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパック用積層体、並びに耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパックの提供。
【解決手段】上記課題は、少なくとも、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、内層側接着剤層(4)及び内層側樹脂フィルム層(5)が、この順に積層されている構成を備え、外層側接着剤層(2)が、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含む主剤(A)と、ポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gであるブリスターパック用積層体によって解決される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、内層側接着剤層(4)及び内層側樹脂フィルム層(5)が、この順に積層されている構成を備えたブリスターパック用積層体であって、
前記外層側接着剤層(2)が、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含む主剤(A)と、ポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、
前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gであることを特徴とするブリスターパック用積層体。
【請求項2】
前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ウレタン結合濃度が0.10~0.90mmol/gである、請求項1に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項3】
前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、水酸基価が0.5~20mgKOH/gである、請求項1又は2に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項4】
前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、重量平均分子量が5,000~30,000のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物である、請求項1~3いずれか1項に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項5】
前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、重量平均分子量が50,000~100,000である、請求項1~4いずれか1項に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項6】
前記外層側樹脂フィルム層(1)が、ポリアミドである、請求項1~5いずれか1項に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項7】
前記内層側樹脂フィルム層(5)が、ポリ塩化ビニルである、請求項1~6いずれか1項に記載のブリスターパック用積層体。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項に記載のブリスターパック用積層体に蓋材を備えたブリスターパック。
【請求項9】
前記蓋材が金属層を含む、請求項8に記載のブリスターパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成型加工をした上で、医薬品などの包装に使用されるブリスターパック用積層体、及び該ブリスターパック用積層体に蓋材を備えるブリスターパックに関し、外観が良好であり、且つ優れた接着強度、成型性及び外部応力耐性を有するブリスターパック用積層体及びブリスターパックに関する。
【背景技術】
【0002】
粒状の医薬錠剤や菓子等を包装する容器として、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、内層側接着剤層(4)及びヒートシール層(5)が、この順に外側から積層されている構成を備えたブリスターパック用積層体を、バキュームフォームなどで成型したブリスターパックが知られている。ブリスターパックには、気密性や防湿性などの内容物を保護する機能の他、より大きな内容物を包装するために、優れた成型性が求められる。
【0003】
特許文献1には、耐熱性樹脂層と金属薄層との間に、特定のポリエステルポリオール及び多官能イソシアネートを含む二液硬化型ポリエステルウレタン接着剤を用いた接着剤層を備える成形用包装材が開示され、医薬品の包装材として使用可能であることが記載されている。
特許文献2には、ポリエステルポリオール及びエポキシ化合物を含有する主剤と、イソシアネート化合物を含有する硬化剤と、を所定の比率で含む接着剤層を備えるブリスターパック用積層体が開示されている。
特許文献3には、ポリイソシアネート成分、特定の重量平均分子量を有するポリエステルポリウレタンポリオール成分及び特定のエポキシ当量を有するエポキシ成分を含有するラミネート接着剤層を備える包装材が開示され、医薬品の包装材として使用可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-024862号公報
【特許文献2】国際公開第2018/047672号
【特許文献3】特開2019-156925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、より大きく多種な内容物を包装するために、高さのある成型や複雑な成型の要求が増しており、より優れた成型性が求められている。また、内容物の保護の観点から、高温高湿環境下に長期間保管した場合に、各層間の接着強度が高く維持されることが求められている。また、内容物の保護の観点から、成型された部分が外的な力により変形させられた場合に、積層体中の金属箔の破断が起こらないことが求められている。
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の包装材は、主剤としてウレタン化されていないポリエステル樹脂を用いており、分子量も低いことから、ラミネート強度が十分ではなく、高温高湿環境下での長期保管において接着剤層が劣化し接着強度が維持できないという課題がある。また、成型部に外部応力をかけた際に、積層体中の金属箔が破断しやすいという課題がある。
特許文献3に記載の包装材は、ポリウレタンポリオールのエステル結合濃度が低いことから、ラミネート強度が十分ではなく、成型部に外部応力をかけた際に、積層体中の金属箔が破断しやすいという課題がある。
したがって本発明の目的は、優れたラミネート強度と成型性とを有し、且つ成型後の耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパック用積層体を提供することにある。また本発明の目的は、耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、少なくとも、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、内層側接着剤層(4)及び内層側樹脂フィルム層(5)が、この順に積層されている構成を備えたブリスターパック用積層体であって、前記外層側接着剤層(2)が、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含む主剤(A)と、ポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gであることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のウレタン結合濃度が0.10~0.90mmol/gであることを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の水酸基価が0.5~20mgKOH/gであることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の重量平均分子量が5,000~30,000のポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であることを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の重量平均分子量が50,000~100,000であることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記外層側樹脂フィルム層(1)が、ポリアミドであることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るブリスターパック用積層体は、前記内層側樹脂フィルム層(5)が、ポリ塩化ビニルであることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係るブリスターパックは、前記ブリスターパック用積層体に蓋材を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明の一態様に係るブリスターパックは、前記蓋材が金属層を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、優れたラミネート強度と成型性とを有し、且つ成型後の耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパック用積層体を提供することができる。また本発明により、耐湿熱性及び外部応力耐性に優れるブリスターパックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のブリスターパック用積層体の模式的断面図である。
図2】本発明のブリスターパックの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<ブリスターパック用積層体>
本発明のブリスターパック用積層体は、少なくとも、外層側樹脂フィルム層(1)、外層側接着剤層(2)、金属箔層(3)、内層側接着剤層(4)及び内層側樹脂フィルム層(5)が、この順に外側から積層されている構成を備えており、外層側接着剤層(2)が、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含む主剤(A)と、ポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成されたものであり、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gであるブリスターパックフィルムである。
以下、本発明について、好ましい形態を例に挙げて詳細に説明する。
【0020】
<外層側接着剤層(2)>
本発明における外層側接着剤層(2)は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含む主剤(A)と、ポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成される。
まず主剤に関して説明する。主剤及び硬化剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、公知の添加剤を含んでもよい。
【0021】
[水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)]
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gであることを特徴とする。水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)は、後述のポリエステルポリオールを含むポリオール中の水酸基と、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とを、水酸基を過剰にした条件でウレタン化反応させることで得ることができる。
【0022】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールは、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
上記カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸等の芳香環を有する二塩基酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の脂肪族の二塩基酸;若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。
上記水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のポリオール類;若しくはそれらの混合物が挙げられる。
上記カルボン酸成分及び水酸基成分は、各々1種を単独で用いてもよいが、2種以上を併用することが好ましい。
【0023】
上記カルボン酸成分は、全カルボン酸成分を基準として、脂肪族の二塩基酸を5~55モル%含むことが好ましい。脂肪族の二塩基酸の配合量が5モル%以上であると、溶剤溶解性が高まり、得られるポリエステルポリオール溶液が低粘度化する。これにより、ポリウレタン接着剤の塗工性が向上し、より外観に優れる包装材が得られる。55モル%以下であると、ポリエステルポリオールのガラス転移温度の調整が容易になり、接着力が一層向上する。同様の観点から、脂肪族の二塩基酸の配合量は、全カルボン酸成分を基準として、より好ましくは、25~50モル%である。
【0024】
ポリエステルポリオールのエステル結合濃度は、好ましくは9.40mmol/g~10.80mmol/g、より好ましくは9.40~10.30mmol/g、さらに好ましくは9.40~9.80mmol/gである。
ポリエステルポリオールのエステル結合濃度が9.40mmol/g以上であると、酢酸エチル等のエステル系溶剤への溶解性に優れ、ウレタン化に用いるイソシアネート量が限定されないため、良好な接着性を発揮でき好ましい。10.80mmol/g以下であると、エステル結合による分子間相互作用による高粘度化や溶剤溶解性の低下が抑制されるため好ましい。
【0025】
ポリエステルポリオールのエステル結合濃度は、以下の計算式で計算することができる。
式:ポリエステル結合濃度(mmol/g)=カルボン酸成分の仕込みモル量×カルボン酸官能基数の総和/(全仕込み量×固形収率)×1000
合成例1のポリエステルを例に挙げると、
イソフタル酸(官能基数2):148g=0.892mol、
テレフタル酸(官能基数2):296g=1.783mol、
アジピン酸(官能基数2):260g=1.780mol、
全仕込み量1000.05g、収率83.9%
となり、ポリエステル1のエステル結合濃度は、
(0.892×2+1.783×2+1.780×2)/(1000.5×0.839)×1000=10.63
と計算することができる。
【0026】
ポリエステルポリオールの重量平均分子量は、好ましくは5,000~30,000であり、より好ましくは15,000から25,000である。重量平均分子量が5,000以上であると、基材との接着性がより向上し加工性に優れる。重量平均分子量が30,000以下であると、ポリエステルポリオール末端の水酸基濃度が過度に低くなることを容易に防ぐことができ、後述するポリイソシアネートと反応させて水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を得る際に、反応の時間の長期化を容易に防ぐことができる。
【0027】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を構成するポリオールとしては、上記のポリエステルポリオールに加えて、従来公知のポリオールを併用することができる。併用可能なポリオールとしては、例えば、上述するポリエステルポリオール合成に使用可能な水酸基成分が挙げられ、ネオベンチルグリコールや1,4-ブタンジオールが好適に使用できる。
【0028】
(ポリイソシアネート)
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を構成するポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、3官能以上のポリイソシアネートの単量体、前記ジイソシアネートから誘導される各種誘導体が挙げられる。
【0029】
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-プチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエートが挙げられる。
【0030】
脂環式ジイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンが挙げられる。
【0031】
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネートが挙げられる。
【0032】
芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω、ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物が挙げられる。
【0033】
3官能以上のポリイソシアネート単量体としては、例えば、トリフェニルメタン-4,4’,4”-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン等のトリイソシアネート;4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネ-ト等のテトライソシアネートが挙げられる。
【0034】
前記ジイソシアネートから誘導される各種誘導体としては、前記ジイソシアネートと、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロ-ル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の分子量200未満の低分子ポリオール若しくはひまし油等との付加体(アダクト体);前記ジイソシアネートの三量体(トリマー、ヌレート体ともいう);ビウレット体;アロファネート体;の他、炭酸ガスと前記ジイソシアネートとから得られる2,4,6-オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート;等を用いることができる。
【0035】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を構成するポリイソシアネートとして好ましくは、芳香族イソシアネート、脂環式ジイソシアネートであり、成型性や高温高湿試験後の接着性の観点から、より好ましくは、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネートである。
【0036】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を得る際の、ポリオールとポリイソシアネートとの反応温度は、好ましくは50℃~200℃、より好ましくは80~150℃の温度範囲である。ウレタン化反応におけるポリオール中の水酸基に対するポリイソシアネートのイソシアネート基のモル比(イソシアネート基のモル数/水酸基のモル数)は、0.1~0.9で反応させることが好ましく、より好ましくは0.3~0.8である。
【0037】
本発明においては、外層側接着剤層を構成する水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のエステル結合濃度が9.20mmol/g~10.50mmol/gの範囲であることが重要であり、エステル結合濃度を所定範囲内に制御することで、接着剤の溶液の安定性とエステル結合による基材への親和性を制御し、優れた塗工性を発揮する。これにより、得られる積層体は、高温高湿・長期耐久性試験後においても層間の接着強度が低下せず、優れた成型性を有し、且つ層間の浮き等の外観不良が発生しない。さらには、成型された部分が外的な力により変形させられた場合に、積層体の破断が起こらない。
エステル結合濃度が9.20mmol/g未満であると、酢酸エチル等のエステル系溶剤への溶解性が低下し、塗工性が低下する。又は、エステル結合による基材への親和性が低下し接着強度が低下する。10.50mmol/gを超えると、エステル結合による分子間相互作用が高まり、高粘度化や溶剤溶解性が低下し、塗工欠陥によるエージング後の外観が低下する。
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のエステル結合濃度は、好ましくは9.20~10.10mmol/g、より好ましくは9.20~9.60mmol/gである。
【0038】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のエステル結合濃度は、以下の計算式で計算することができる。
計算式: エステル結合濃度(mmol/g)=ポリエステルポリオールのエステル結合濃度×ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネートとの合計質量に対するポリエステルポリオールの割合(質量%)
例えば、合成例(a)-1に示した水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のエステル結合濃度は、
エステル結合濃度=10.63×(100/102)=10.42 mmol/g
となる。
【0039】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のウレタン結合濃度は、0.10~0.90mmol/gの範囲であることが好ましく、より好ましくは0.15~0.60mmol/g、さらに好ましくは0.20~0.40mmol/gである。0.10mmol/g以上であると、優れた相溶性向上効果を得ることができ外観や接着性が向上するため好ましい。0.90mmol/g以下であるとウレタン結合濃度が過度になりすぎず適正な粘度となるため、塗工性や外観に優れるため好ましい。
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のウレタン結合濃度を制御することで、硬化剤であるポリイソシアネート成分(B)との相溶性を向上させることができ、架橋密度が高く、耐久性と外観とに優れる接着剤層を形成することができる。
【0040】
ウレタン結合濃度は、下記式1を用いて算出することができる。
式1:
ウレタン結合濃度(mmol/g)=[(ポリイソシアネートのNCO含有量(質量%)÷100)×(ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネートとの合計(質量%)に対するポリイソシアネート(質量%)の配合割合)÷42×1000]+[(ポリイソシアネート内部のウレタン結合数÷ポリイソシアネート分子量)×(ウレタン樹脂を構成するポリオールとポリイソシアネートとの合計(質量%)に対するポリイソシアネート(質量%)の配合割合)×1000]
【0041】
例えば、合成例(a)-1に示した水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のウレタン結合濃度は、トリレンジイソシアネートのNCO含有量が48.2質量%、ポリオールに対するポリイソシアネートの添加量は2質量%、内部のウレタン結合数はゼロであることから、
ウレタン結合濃度=0.482×(2/102)/42×1000
=0.23mmol/gとなる。
【0042】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の重量平均分子量は、好ましくは50,000~100,000、より好ましくは50,000~80,000である。
重量平均分子量が50,000以上であると、樹脂の伸長性がより高まり加工性が一層向上する。重量平均分子量が100,000以下であると、接着剤溶液の粘度が過度に高くなることを容易に防ぐことができ、外観不良が一層発生しにくくなる。また、重量平均分子量を50,000~80,000に制御することで、樹脂の伸長性と接着剤溶液の粘度の両立が一層しやすくなり、より好適に使用することができる。
【0043】
水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の水酸基価は、好ましくは0.5~20mgKOH/g、より好ましくは3~10mgKOH/gである。水酸基は後述するポリイソシアネート成分(B)との架橋反応に用いられ、架橋反応が進行することで、接着剤が高分子量化し、積層体としての耐熱性を高めることができる。上記水酸基価は、例えばJIS K 1557-1に準拠した方法で求めることができる。
【0044】
ポリウレタン接着剤の主剤(A)は、上記水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を含んでいればよく、さらにその他の成分として、以下のような成分を含有してもよい。その他の成分は、主剤(A)又はポリイソシアネート成分(B)を含む硬化剤のいずれに配合してもよいし、主剤(A)とポリイソシアネート(B)を含む硬化剤とを配合する際に添加してもよいが、主剤(A)に配合するのがより好ましい。
【0045】
(溶剤)
ポリウレタン接着剤は、ポリウレタン接着剤を基材に塗工する際、塗液を適度な粘度に調整するために、乾燥工程において基材への影響がない範囲内で溶剤が含まれてもよい。溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルブタノール等のアルコール類、水等が挙げられる。これら溶剤は単独で使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも酢酸エチルが好適に用いられる。
【0046】
(反応促進剤)
ポリウレタン接着剤は、ウレタン化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種又は2種以上の反応促進剤を使用できる。
【0047】
(シランカップリング剤)
ポリウレタン接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させるため、さらにシランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン等が挙げられる。
【0048】
シランカップリング剤の含有量は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の固形分100質量部に対し、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.5~3質量部である。上記範囲のシランカップリング剤を添加することによって金属箔に対する接着強度を一層向上できる。
【0049】
(エポキシ樹脂)
ポリウレタン接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させるため、さらにエポキシ樹脂を添加することができる。特にポリエステル骨格を含むポリウレタン樹脂(a)にエポキシ樹脂を添加した場合、耐湿熱時の加水分解で生じた酸と反応させることで耐湿熱性を一層向上させることができる。
【0050】
エポキシ樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
これらエポキシ樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。
【0051】
中でも、接着力及び耐湿熱性の観点から、重量平均分子量400~10,000のエポキシ樹脂が好ましい。エポキシ樹脂の配合量は、接着力及び耐湿熱性の観点から、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは5~50質量部であり、より好ましくは、20~40質量部である。5質量部以上とすることにより耐湿熱性をより効果的に向上でき、50質量部以下とすることにより、接着剤層の硬さを適度に軟らかくし、十分な接着性を容易に発現できる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは200~5,000g/eqであり、より好ましくは200~1,000である。200~5,000g/eqのエポキシ当量であるエポキシ樹脂を使用することにより、接着力とラミネート外観が両立させることができる。
【0052】
(リンの酸又はその誘導体)
ポリウレタン接着剤は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させるため、リン酸又はリン酸誘導体を含有することができる。リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸等のリン酸類、メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸等の縮合リン酸類が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、上記のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化されたもの等が挙げられる。これらのアルコールとしては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等の脂肪族アルコール、フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノール等の芳香族アルコール等が挙げられる。リン酸又はその誘導体は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。リン酸又はその誘導体の添加量は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.05~5質量部、さらに好ましくは0.05~1質量部である。
【0053】
ポリウレタン接着剤は、積層体のラミネート外観を向上させるため、さらにレベリング剤又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチン等が挙げられる。
【0054】
消泡剤としては、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物等の公知のものが挙げられる。
【0055】
ポリウレタン接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述以外の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒等が挙げられる。
【0056】
主剤(A)は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)に上述の添加剤を配合後の溶液においては、低温や高温においても外観での濁りや粘度変化が起きない保存安定性が求められる。外観での濁りの非相溶部位は成型時のクラックの起点になる場合がある。また粘度が変化した際は、塗工工程の調整が困難になってしまう場合がある。
【0057】
<ポリイソシアネート成分(B)>
ポリイソシアネート成分(B)は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(A)中の水酸基と架橋反応し、接着剤層の分子量を高め、エネルギー弾性を発現する内部凝集力を向上させる役割を担う。また、イソシアネート基は水と反応し凝集力の高いウレア結合を形成可能であることから、養生中に自己架橋反応させることで接着剤層の凝集力を高めることができる。
通常、架橋反応により生成するウレタン結合やウレア結合は、水素結合があり極性が高いため、樹脂との相溶性に劣り、外観不良や成型加工時に欠陥となる場合があるが、本願発明では、本願所定の水酸基とを有するポリウレタン樹脂(a)とポリイソシアネート成分(B)とを組み合わせて用いることで、相溶性に優れ、良好な外観且つ強靭な接着剤層を形成することができ、ブリスターパック用積層体として良好な物性を得ることができる。
【0058】
また、ポリイソシアネート成分(B)は、後述する基材表面との相互作用を向上させる働きがあり、特に、コロナ放電処理等の物理処理や酸改質等の化学処理がなされた基材を用いた場合、ポリイソシアネート成分(B)中の反応性官能基と基材表面の水酸基とが、化学反応することで、外層側接着剤層と基材との間に強固な相互作用を発現させることができる。
このように、ポリイソシアネート成分(B)を用いることにより、強固な外層側接着剤層を形成することが可能となり、急激な環境変化に伴う基材の伸縮運動を接着剤層が抑制し、接着強度を高レベルで維持することが可能となる。
【0059】
ポリイソシアネート化合物(B)としては、上述の水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を構成する(ポリイソシアネート)の項で挙げたものを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0060】
中でも、ポリイソシアネート化合物(B)として好ましくは、ジイソシアネートのヌレート体、ジイソシアネートにトリメチロールプロパンが付加したアダクト体、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)、イソシアネート残基を有するウレトジオン体、アロファネート体、若しくはこれらの複合体である。
ブリスターパック用途においては、優れた耐熱性、及び高い凝集力と加工性、を両立できる観点から、好ましくは芳香族イソシアネート、又はその誘導体である。
【0061】
また、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)を構成するポリイソシアネートと、ポリイソシアネート成分(B)とが同一であると、より相溶性が高まるため好ましい。すなわち、ポリイソシアネート成分(B)としてより好ましくは、トリレンジイソシアネート、又はトリレンジイソシアネートにトリメチロールプロパンが付加したアダクト体を含むものである。
【0062】
ポリイソシアネート成分(B)の含有量は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)の固形分質量を基準として、好ましくは10~40質量%、より好ましくは20~30質量%である。ポリイソシアネート成分(B)が10質量%以上であると、接着剤層の分子量を効率的に高めることができる。これにより、内部凝集力が向上し、高い接着強度が容易に得られる。40質量%以下であると、架橋反応により生成する極性の高いウレタン結合やウレア結合の量が適切に制御され、外観悪化や加工による変形時の欠陥の発生を容易に抑えることができる。
【0063】
<ブリスターパック用積層体の製造>
本発明の積層体の製造方法は特に制限されず、公知の方法により製造することができる。
例えば、外層側樹脂フィルム層(1)と金属箔層(3)とを、上述の外層側接着剤層(2)を形成するポリウレタン接着剤を用いて積層して、外層側樹脂フィルム層(1)/外層側接着剤層(2)/金属箔層(3)の構成を備える中間積層体を得た後、内層側接着剤を用いて中間積層体の金属箔層(3)面に内層側樹脂フィルム層(5)を積層して製造することができる(以下、製造方法1と称する)。
あるいは、内層側接着剤を用いて金属箔層(3)と内層側樹脂フィルム層(5)とを積層して、金属箔層(3)/内層側接着剤層(4)/内層側樹脂フィルム層(5)の構成を備える中間積層体を得た後、上述のポリウレタン接着剤を用いて、中間積層体の金属箔層(3)と外層側樹脂フィルム層(1)とを積層して製造することができる(以下、製造方法2と称する)。
【0064】
製造方法1の場合、上述のポリウレタン接着剤を、外層側樹脂フィルム層(1)又は金属箔層(3)のいずれか一方の基材の片面に塗布し、溶剤を揮散させた後、未硬化の外層側接着剤層に他方の基材を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温(例えば、25℃)~100℃未満でエージングし、外層側接着剤層を硬化するのが好ましい。エージング温度が100℃未満であると、外層側樹脂フィルム層(1)の熱収縮が起こらないため、成型に影響を及ぼす破断伸度や破断応力の低下や、フィルムカールによる成型生産性の低下を容易に防ぐことができる。
外層側接着剤の乾燥後塗布量は1~15g/m程度であることが好ましい。
【0065】
製造方法2の場合も同様に、上述のポリウレタン接着剤は、外層側樹脂フィルム層(1)若しくは中間積層体の金属箔層(3)面のいずれかに塗布すればよい。
【0066】
外層側接着剤層の形成方法としては、コンマコーター、ドライラミネーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター等を用いる方法が挙げられる。
【0067】
<外層側樹脂フィルム層(1)>
外層側樹脂フィルム層(1)は特に制限されないが、ポリアミド又はポリエステルからなる延伸フィルムを用いるのが好ましく、より好ましくはポリアミドである。また、カーボンブラックや酸化チタン等の顔料により着色されていてもよい。また、外層側樹脂フィルム層(1)の非ラミネート面は、傷つき防止や耐電解液性を目的としてコート剤やスリップ剤がコーティングされていてもよく、意匠性を目的として印刷インキがコーティングされていてもよい。また、外層側樹脂フィルム層(1)は、2層以上のフィルムがあらかじめ積層されていてもよい。外層側樹脂フィルム層(1)の厚みは特に制限されないが、好ましくは12~100μmである。
【0068】
<金属箔層(3)>
金属箔層(3)は特に制限されないが、好ましくはアルミニウム箔層である。金属箔層(3)の厚みは特に制限されないが、好ましくは20~80μmである。また、金属箔層(3)表面は、リン酸クロメート処理、クロム酸クロメート処理、3価クロム処理、リン酸亜鉛処理、リン酸ジルコニウム処理、酸化ジルコニウム処理、リン酸チタン処理、フッ酸処理、セリウム処理、ハイドロタルサイト処理等による公知の防腐処理が施されていてもよい。
【0069】
<内層側接着剤層(4)>
内層側接着剤層(4)を形成する接着剤は、ブリスターパック用積層体に求められる性能を満たすものであれば特に制限されず、例えば、AD-502/CAT-10L、AD-585/CAT-10L(東洋モートン(株)製)などが挙げられる。
また、内層側接着剤層(4)は、外層側接着剤層(2)と同様に、ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物であり、エステル結合濃度が9.20~10.50mmol/gである水酸基を有するポリウレタン樹脂を含む主剤と、ポリイソシアネート成分を含む硬化剤とを含有するポリウレタン接着剤から形成された層であってもよい。
内層側接着剤層(4)は、内層側接着剤を、グラビアコーター等を用いて金属箔層(3)に塗布して溶剤を乾燥させ、接着剤層に内層側樹脂フィルム層(5)を加熱加圧下に重ね合わせ、次いで常温若しくは加温下でエージングすることで、形成することができる。あるいは、内層側接着剤をTダイ押出し機で金属箔層(3)上に溶融押出しして接着剤層を形成し、前記接着剤層上に内層側樹脂フィルム層(5)を重ね、金属箔層(3)と内層側樹脂フィルム層(5)とを貼り合せることで内層側接着剤層(4)を形成することができる。
外層側接着剤層(2)及び内層側接着剤層(4)の両方がエージングを必要とする場合には、外層側樹脂フィルム層(1)、未硬化の外層側接着剤層、金属箔層(3)、未硬化の内層側接着剤層(4)及び内層側樹脂フィルム層(5)が、この順に外側から積層されている構成を備えた積層体を得た後に、まとめてエージングを行ってもよい。
【0070】
<内層側樹脂フィルム層(5)>
内層側樹脂フィルム層(5)は特に制限されないが、好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変成物及びアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムであり、特にポリ塩化ビニルが好適に用いられる。ヒートシール層の厚みは特に制限されないが、好ましくは20~150μmである。
【0071】
<ブリスターパック>
上述するブリスターパック用積層体に蓋材を具備することで、本発明のブリスターパックを得ることができる。具体的には、ブリスターパックは、積層体を成型加工することにより、外層側樹脂フィルム層(1)が凸面、内層側樹脂フィルム層(5)が凹面となるポケット部が形成され、該積層体の内層側樹脂フィルム層(5)と、蓋材とが、少なくとも部分的に接着している構造を備えるものである。そして、積層体と蓋材との間のポケット部に、内容物を収納することができる。
蓋材は、内容物保護の観点から、アルミニウム箔等の金属層を含むことが好ましい。
【実施例0072】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に断りの無い限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0073】
<酸価(AV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオール溶液)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により酸価(mgKOH/g)を求めた。
酸価(mgKOH/g)=(5.611×a×F)/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
【0074】
<水酸基価(OHV)の測定>
共栓三角フラスコ中に試料(ポリエステルポリオールや水酸基含有ウレタン樹脂(a)等)約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定し、次式により水酸基価(mgKOH/g)を求めた。
水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.05}/S]+D
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
F:0.5Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
【0075】
<数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)の測定>
平均分子量、分子量分布は、ショウデックス(登録商標)(昭和電工(株)製)、カラム:KF-805L、KF-803L、及びKF-802(いずれも商品名、昭和電工(株)製)を用いて、カラムの温度を40℃、溶離液としてTHF、流速を0.2ml/分、検出をRI、試料濃度を0.02質量%として測定した標準ポリスチレン換算の値を用いた。
【0076】
<ポリエステルポリオールの合成>
(ポリエステル1)
イソフタル酸148部、テレフタル酸296部、アジピン酸260部、エチレングリコール250部、ネオペンチルグリコール46部を仕込み、170~230℃で10時間エステル化反応を行った。所定量の水の留出後、テトライソブチルチタネート0.05部を添加し徐々に減圧し、1.3~2.6hPa、230~250℃で3時間エステル交換反応を行い、数平均分子量(Mn)9,200、重量平均分子量(Mw)19,000、分子量分布(Mw/Mn)2.07、水酸基価14.0mgKOH/g、酸価0.2mgKOH/gのポリエステルポリオールであるポリエステル1を、収率83.9%で得た。ポリエステル1のエステル結合濃度は10.63mmol/gであった。
過剰の水酸基成分がほぼ均等に留去したと仮定し、カルボン酸成分と水酸基成分との合計を200モル%とすると、得られたポリエステル1の組成は、イソフタル酸:テレフタル酸:アジピン酸:エチレングリコール:ネオペンチルグリコール=20:40:40:90:10(モル%)となる。
【0077】
(ポリエステル2~12)
得られるポリエステルポリオールの、カルボン酸成分と水酸基成分の仕込み量を表1に示すような配合比になるように、ポリエステル1と同様にしてカルボン酸成分と水酸基成分とを反応させ、ポリエステル2~12を得た。
【0078】
【表1】
【0079】
表1中の略号は以下の通りである。
PA:オルトフタル酸
IPA:イソフタル酸
TPA:テレフタル酸
SeA:セバシン酸
AdA:アジピン酸
EG:エチレングリコール
NPG:ネオペンチルグリコール
1,6-HD:1,6-ヘキサンジオール
MPO:2-メチル-1,3-プロパンジオール
DEG:ジエチレングリコール
【0080】
<水酸基含有ポリウレタン樹脂(a)の合成>
(ウレタン(a)-1)
得られたポリエステル1を100部と酢酸エチル40部とを1リットル4口フラスコに仕込み、80℃に昇温し、溶液が均一になるまで撹拌した。これにトリレンジイソシアネートを2.0部、ジブチル錫ジラウレート0.15部を添加し、4時間反応を行った。反応終了後、酢酸エチル113部を添加し、エステル結合濃度10.42mmol/g、ウレタン結合濃度0.23mmol/g、Mn23,500、Mw56,100、Tg4℃、水酸基価7.9mgKOH/g、不揮発分40%の水酸基を有するポリウレタン樹脂であるウレタン(a)-1溶液を得た。
【0081】
(ウレタン(a)-2~(a)-15、比較(a)-1)
表2に示す配合量に変更した以外は、ウレタン(a)-1と同様にして、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させ、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)であるウレタン(a)-2~(a)-15、比較(a)-1を得た。
【0082】
【表2】
【0083】
表2中の略号は以下の通りである。
NPG:ネオペンチルグリコール
TDI:トリレンジイソシアネート(コロネートT-80(商品名)、東ソー株式会社製、NCO含有量48.2%)
MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(ミリオネートMT(商品名)、東ソー株式会社製、NCO含有量33.5%)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(デスモジュール(登録商標)H(商品名)、コベストロ社製、NCO含有量49.9%)
IPDI:イソホロンジイソシアネート(デスモジュールI(商品名)、コベストロ社製、NCO含有量37.7%)
【0084】
<ブリスターパック用積層体の製造>
[実施例1]
ウレタン(a)-1溶液を250部(固形換算で100部)、添加剤としてグリシドプロピルトリメトキシシラン1.0部を仕込み、30分撹拌した後に、酢酸エチルで希釈して固形分濃度40%の主剤(A)を得た。そこに、コロネートL(商品名、東ソー株式会社製、固形分濃度75%、NCO含有量13.2%)を20部(固形換算で15部)仕込み、酢酸エチルで希釈して、固形分濃度30%の接着剤溶液を調製した。
ドライラミネーターを用いて、厚み25μmの延伸ポリアミド(ナイロン)フィルムの一方の面に、外層側接着剤層(2)用として上記接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、厚み45μmのアルミニウム箔を積層し中間積層体を得た。接着剤の乾燥後塗布量は4g/mとした。
次いで、ドライラミネーターを用いて、得られた中間積層体のアルミニウム箔の他方の面に、上記接着剤溶液を塗布し、溶剤を揮散させた後、厚み60μmの未延伸ポリ塩化ビニルフィルムを積層し積層体を得た。接着剤の乾燥後塗布量は4g/mとした。
次いで、60℃30%RH(相対湿度)の条件で各々7日間のエージングを行い、外層側及び内層側の接着剤層を硬化させて、外層側樹脂フィルム層(1)/外層側接着剤層(2)/金属箔層(3)/内層側接着剤層(4)/内層側樹脂フィルム層(5)の構成を備えるブリスターパック用積層体を得た。
【0085】
[実施例2~15、比較例1~2]
表3の配合量(部)に変更した以外は実施例1と同様の所作を行い、ブリスターパック用積層体を得た。
【0086】
<ブリスターパック用積層体の評価>
得られた積層体について、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
【0087】
[積層体の外観評価]
得られた積層体について、各々外観を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:白化や発泡が見られない(良好)
B:若干の白化はあるが、発泡は見られない(使用可能)
C:白化又は発泡が見られる(使用不可)
【0088】
[ラミネート強度(湿熱試験前)]
得られた積層体を、各々200mm×15mmの大きさに切断し、引張り試験機を用いてT型剥離試験を行い、延伸ポリアミドフィルムとアルミニウム箔との間の剥離強度(N/15mm巾)を測定した。測定は、20℃65%RHの環境下にて、荷重速度300mm/分で行い、5個の試験片の平均値により、以下の基準で評価した。
A:剥離強度の平均値が7N以上(良好)
B:剥離強度の平均値が4N以上、7N未満(使用可能)
C:剥離強度の平均値が4N未満(使用不可)
【0089】
[ラミネート強度(湿熱試験後)]
得られた積層体を、85℃85%RH雰囲気の恒温恒湿槽に入れ168時間静置した後、恒温恒湿槽から取り出し、20℃65%RHの環境下にて2時間静置した後、湿熱試験前と同様の所作を行い、5個の試験片の剥離強度(N/15mm巾)の平均値を求めた。湿熱試験前からの変化率を算出し、以下の基準で評価した。
A:剥離強度の変化率が10%未満(良好)
B:剥離強度の変化率が10%以上、20%未満(使用可能)
C:剥離強度の変化率が20%以上(使用不可)
【0090】
[成型性評価]
得られた積層体を80×80mmの大きさに切断し、ブランクとした。前記ブランクに対し、延伸ポリアミドフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて張り出し1段成型を行い、アルミニウム箔の破断や各層間の浮きが発生しない、最大の成型高さにより、以下の基準で成型性を評価した。
使用した金型のポンチ形状は、一辺30mmの正方形、コーナーRが2mm、ポンチ肩Rが1mmであり、使用した金型のダイス孔形状は、一片34mmの正方形、ダイス孔コーナーRが2mm、ダイス孔肩Rが1mmであり、ポンチとダイス孔とのクリアランスは片側2mmであり、前記クリアランスにより成型高さに応じた傾斜が発生する。
A:最大の成型高さが6mm以上(良好)
B:最大の成型高さが4mm以上、6mm未満(使用可能)
C:最大の成型高さが4mm未満(使用不可)
【0091】
[成型物の耐湿熱性]
得られた積層体を80×80mmの大きさに切断し、ブランクとした。前記ブランクに対し、延伸ポリアミドフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて成型高さ3mmにて張り出し1段成型を行い、成型物を得た。
次いで、成型物を85℃85%RH雰囲気下の恒温恒湿槽に入れ168時間静置した後、恒温恒湿槽から取り出し、浮きが発生していないかを目視で確認し、以下の基準で評価した。
使用した金型のポンチ形状は、一辺30mmの正方形、コーナーRが2mm、ポンチ肩Rが1mmであり、使用した金型のダイス孔形状は、一片34mmの正方形、ダイス孔コーナーRが2mm、ダイス孔肩Rが1mmである。
A:浮きの発生なし(良好)
B:4辺のうち1辺で浮きが発生(使用可能)
C:4辺のうち2辺以上で浮きが発生(使用不可)
【0092】
[成型物の外部からの力に対する耐性(外部応力耐性)]
得られた積層体を80×80mmの大きさに切断し、ブランクとした。前記ブランクに対し、延伸ポリアミドフィルムが外側になるようにして、成型高さフリーのストレート金型にて成型高さ3mmにて張り出し1段成型を行い、成型物を得た。10個の成型物について、成型部(コーナー部)を、指で押して変形させたのち、金属箔に破断が発生しているかを確認し、以下の基準で評価した。
A:10個中、金属箔の破断が1個以下(良好)
B:10個中、金属箔の破断が2又は3個(使用可能)
C:10個中、金属箔の破断が4個以上(使用不可)
【0093】
【表3】
【0094】
表3中の略号は以下の通りである。
SC-1:グリシドプロピルトリメトキシシラン
EP-1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER834、三菱ケミカル社製、エポキシ当量245g/eq、分子量約470)
EP-2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER1001、三菱ケミカル社製、エポキシ当量470g/eq、分子量約900)
NCO-1:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(商品名:コロネートL、東ソー株式会社製、不揮発分濃度75%、NCO含有量13.2%)
【0095】
表3の結果から、外層側接着剤層を形成する主剤として、所定のエステル結合濃度を有する水酸基含有ポリウレタン樹脂(a)を用いた本発明の積層体は、外観、ラミネート強度、成型性に優れていた。また、湿熱試験後のラミネート強度が維持され、成形物の湿熱耐性に優れていた。さらに、成形物は、成型部の外部応力耐性に優れており、積層体中のアルミ箔の破断が抑制されていた。
特に、実施例10は、水酸基を有するポリウレタン樹脂(a)のエステル結合濃度、ウレタン結合濃度、重量平均分子量が適切な範囲であるため、いずれの評価においても優れる結果が得られた。
一方、比較例1は、特開2019-156925号公報(特許文献3)の実施例に相当するが、ポリウレタンポリオールのエステル結合濃度が低く、ラミネート強度が低下した。また成型物の耐湿熱性及び外部応力耐性に劣っていた。
比較例2は、特開2015-024862号公報(特許文献1)の実施例に相当するが、ウレタン結合を有していないため、ラミネート強度が低下した。また成型性が不足しており、成型物の対湿熱性及び外部応力耐性に劣っていた。
【符号の説明】
【0096】
(1):外層側樹脂フィルム層
(2):外層側接着剤層
(3):金属箔層
(4):内層側接着剤層
(5):内層側樹脂フィルム層
(6):内容物
(7):蓋材
図1
図2