(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148035
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】延焼防止シート、延焼防止シートの製造方法およびバッテリー
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20231005BHJP
B32B 7/12 20060101ALI20231005BHJP
B32B 25/14 20060101ALI20231005BHJP
C09K 21/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B32B27/00 B
B32B7/12
B32B25/14
C09K21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055857
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】傳刀 賢二
【テーマコード(参考)】
4F100
4H028
【Fターム(参考)】
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AK52C
4F100AK52D
4F100AN02
4F100AN02C
4F100AR00A
4F100AR00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA08
4F100CA01
4F100CA01C
4F100CA13
4F100CA13C
4F100CB00
4F100CB00B
4F100CB00D
4F100DC15
4F100DC15B
4F100DC15D
4F100DG11
4F100DG11A
4F100DG11E
4F100DJ01
4F100DJ01C
4F100GB41
4F100GB51
4F100JJ02
4F100JJ02A
4F100JJ02E
4F100JL11
4F100JL11B
4F100JL11D
4H028BA03
(57)【要約】
【課題】
複数の熱源同士の間の伝熱を低減し、優れた延焼防止性能を有する延焼防止シート、延焼防止シートの製造方法およびバッテリーを提供する。
【解決手段】
本発明は、複数の熱源同士の間に少なくとも配置され、熱源が過熱状態の際に他の熱源への伝熱を抑制して延焼を防止可能な延焼防止シート1であって、ゴム状弾性体からなるゴムシート2と、ゴムシート2の両面に積層され、隣り合う複数の熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シート3と、ゴムシート2と断熱シート3との間に介在し、ゴムシート2の両面に断熱シート3を接着する接着層5と、を備え、接着層5は、ゴムシート2の平面視にてライン状に備えられる延焼防止シート1、延焼防止シートの製造方法およびバッテリーに関する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の熱源同士の間に少なくとも配置され、前記熱源が過熱状態の際に他の熱源への伝熱を抑制して延焼を防止可能な延焼防止シートであって、
ゴム状弾性体からなるゴムシートと、
前記ゴムシートの両面に積層され、隣り合う複数の前記熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シートと、
前記ゴムシートと前記断熱シートとの間に介在し、前記ゴムシートの両面に前記断熱シートを接着する接着層と、
を備え、
前記接着層は、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に備えられることを特徴とする延焼防止シート。
【請求項2】
前記接着層は、
前記ゴムシートの一方の面に前記断熱シートを接着する第1接着層と、
前記ゴムシートの他方の面に前記断熱シートを接着する第2接着層と、
から構成され、
前記第1接着層および前記第2接着層は、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に備えられ、
前記第2接着層は、前記ゴムシートの前記一方の面から前記他方の面に向かう厚さ方向において、前記第1接着層と異なる位置に備えられることを特徴とする請求項1に記載の延焼防止シート。
【請求項3】
前記ゴムシートは、多孔体から主に構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の延焼防止シート。
【請求項4】
前記ゴムシートは、シリコーンゴムの発泡シートであることを特徴とする請求項3に記載の延焼防止シート。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の延焼防止シートの製造方法であって、
ゴム状弾性体からなるゴムシートの両面に、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して接着層を形成する接着層形成工程と、
隣り合う複数の前記熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シートを前記接着層上に積層し、前記接着層を介して前記ゴムシートと前記断熱シートとを貼り合わせる積層工程と、
を含む延焼防止シートの製造方法。
【請求項6】
バッテリーセルを複数備えると共に、請求項1から4のいずれか1項に記載の延焼防止シートを、バッテリーセル同士の間およびバッテリーセルと筐体との間の少なくとも一方に備えるバッテリー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、延焼防止シート、延焼防止シートの製造方法およびバッテリーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車の普及が進行してきている。しかしながら、電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置等の課題がある。
【0003】
上記自動車用バッテリー等の各種バッテリーは、内部短絡等が原因によりバッテリーが熱暴走し、発火や発煙等が生じる虞がある。近年、自動車用バッテリーとして、筐体内に複数のバッテリーセルを並べて装着したものが知られている。このような複数のバッテリーセルが並べて装着されたバッテリーにおいて、1つのバッテリーセルから発火や発煙等が生じた場合、周囲のバッテリーセルに熱が伝わることにより、さらに大きな発火、発煙、爆発等の不具合が生じる虞がある。このような不具合による被害を最小限に抑えるため、異常高温になったバッテリーセルの熱を周囲のバッテリーセルに伝え難くする方法が検討されている。例えば、複数のバッテリーセル同士の間に耐火材や断熱層等の延焼防止シートを設ける方法が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来から公知の延焼防止シートは、相応の特性を発揮できるものの、さらなる断熱性能の向上が求められている。すなわち、複数のバッテリーセル間の熱伝導をさらに低減し、延焼防止機能に優れた延焼防止シートが求められている。上記要請は、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源にも通じる要請である。また、本発明は、環境に配慮した電気自動車に搭載される二次電池に利用可能であり、「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」という本出願人の持続可能な開発目標の達成にも資する。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の熱源同士の間の伝熱を低減し、優れた延焼防止性能を有する延焼防止シート、延焼防止シートの製造方法およびバッテリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る延焼防止シートは、複数の熱源同士の間に少なくとも配置され、前記熱源が過熱状態の際に他の熱源への伝熱を抑制して延焼を防止可能な延焼防止シートであって、ゴム状弾性体からなるゴムシートと、前記ゴムシートの両面に積層され、隣り合う複数の前記熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シートと、前記ゴムシートと前記断熱シートとの間に介在し、前記ゴムシートの両面に前記断熱シートを接着する接着層と、を備え、前記接着層は、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に備えられる。
(2)別の実施形態に係る延焼防止シートにおいて、好ましくは、前記接着層は、前記ゴムシートの一方の面に前記断熱シートを接着する第1接着層と、前記ゴムシートの他方の面に前記断熱シートを接着する第2接着層と、から構成され、前記第1接着層および前記第2接着層は、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に備えられ、前記第2接着層は、前記ゴムシートの前記一方の面から前記他方の面に向かう厚さ方向において、前記第1接着層と異なる位置に備えられても良い。
(3)別の実施形態に係る延焼防止シートにおいて、好ましくは、前記ゴムシートは、多孔体から主に構成されても良い。
(4)別の実施形態に係る延焼防止シートにおいて、好ましくは、前記ゴムシートは、シリコーンゴムの発泡シートであっても良い。
(5)上記目的を達成するための一実施形態に係る延焼防止シートの製造方法は、上述のいずれかの延焼防止シートの製造方法であって、ゴム状弾性体からなるゴムシートの両面に、前記ゴムシートの平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して接着層を形成する接着層形成工程と、隣り合う複数の前記熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シートを前記接着層上に積層し、前記接着層を介して前記ゴムシートと前記断熱シートとを貼り合わせる積層工程と、を含む。
(6)上記目的を達成するための一実施形態に係るバッテリーは、バッテリーセルを複数備えると共に、上述のいずれかの延焼防止シートを、バッテリーセル同士の間およびバッテリーセルと筐体との間の少なくとも一方に備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の熱源同士の間の伝熱を低減し、優れた延焼防止性能を有する延焼防止シート、延焼防止シートの製造方法およびバッテリーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートの斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の延焼防止シートの斜視図、X-Z平面における一部拡大断面図、およびX-Y平面における断面図をそれぞれ示す。
【
図3】
図3は、
図1の延焼防止シートの変形例の斜視図、X-Z平面における一部拡大断面図、およびX-Y平面における断面図をそれぞれ示す。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートの製造方法の主な工程のフローの一例を示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートを備えるバッテリーの縦断面図を示す。
【
図6】
図6は、熱連鎖試験の試験装置の写真およびその一部Dの拡大写真をそれぞれ示す。
【
図7】
図7は、熱連鎖試験結果のグラフであり、底面側の温度の時間変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
1.延焼防止シート
図1は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートの斜視図を示す。
図2は、
図1の延焼防止シートの斜視図、X-Z平面における一部拡大断面図、およびX-Y平面における断面図をそれぞれ示す。本実施形態では、延焼防止シートの平面に平行な面を、互いに直交するX軸およびY軸を含むX-Y平面とし、X-Y平面に垂直な軸(すなわち、延焼防止シートの厚さ方向の軸)をZ軸と定義する。
図2において、X-Y平面における断面図は、延焼防止シートの厚さをシート面(X-Y平面)に平行に切ったときの面を意味する。X-Z平面における断面図は、延焼防止シートをX-Z平面によりシートの厚さ方向に平行に切ったときの面を意味する。
【0012】
この実施形態に係る延焼防止シート1は、例えば、バッテリー内部の複数のバッテリーセル等の複数の熱源同士の間に少なくとも配置され、熱源が過熱状態の際に他の熱源への伝熱を抑制して延焼を防止可能なシートである。延焼防止シート1は、ゴム状弾性体からなるゴムシート2と、ゴムシート2の両面に積層され、隣り合う複数の熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シート3と、ゴムシート2と断熱シート3との間に介在し、ゴムシート2の両面に断熱シート3を接着する接着層5と、を備える。接着層5は、ゴムシート2の平面視にてライン状に備えられる(
図2を参照)。次に、延焼防止シート1の各構成要素について説明する。
【0013】
(1)ゴムシート
ゴムシート2は、ゴム状弾性体からなるシートである。「ゴム状弾性体」という文言に代えて「弾性体」あるいは「クッション部材」という文言を使用しても良い。ゴムシート2は、複数の熱源同士の間にあってクッション性を発揮させて熱源と断熱シート3との密着性を高める機能と、断熱シート3に加わる荷重によって断熱シート3が破損しないようにする保護部材としても機能とを有する。ゴムシート2は、主に多孔体から構成され、好ましくは多孔性のゴムシートである。ここで、「主に」とは、50%を超える体積を占めることを意味する。以後の「主に」の意味も同様である。ゴムシート2は、多孔体のみ、多孔体が90%、または多孔体が80~51%を占めるシートでも良い。多孔性のゴムシートは、その内部に気泡を有するスポンジ状の部材である。スポンジの孔内の空気は、優れた断熱性を有している。このため、スポンジ状の部材は、延焼防止シート1の低熱伝導性に寄与する。ゴムとしては、例えば、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマーの他、ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマーあるいはそれらの複合物等を含むように構成される。ゴムの中では比較的耐熱性の高いシリコーンゴムをより好適に用いることができる。ゴムシート2は、最も好ましくは、シリコーンゴムの発泡シートである。ゴムシート2は、より延焼防止性能を高めるために、ハロゲン化合物、リン化合物、白金、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウム等の無機化合物を含有していても良い。ゴムシート2の厚さは、特に制約はないが、好ましくは1~20mm、より好ましくは2~8mmである。
【0014】
(2)断熱シート
断熱シート3は、複数の熱源同士の間の延焼を有効に防止する機能を有する。断熱シート3は、耐熱性および難燃性に優れたシートであることが好ましく、ゴムシート2より耐熱性が高く、難燃性の高い材料で構成されていることがより好ましい。断熱シート3は、その構成材料を問わないが、例えば、不織布、グラスウール、ロックウール、セルロースファイバー等の繊維系断熱材、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム等のポリオレフィンフォーム、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、アクリルフォーム、シリコーンフォーム等のプラスチック系断熱材、エアロゲル等のナノ多孔体等が挙げられる。また、断熱シート3は、シート状繊維塊を担持体として、シリカエアロゲルを含侵担持させたシリカエアロゲルシートであっても良い。シート状繊維塊としては、ガラス繊維; シリカ繊維、アルミナ繊維、チタニア繊維、炭化ケイ素繊維等のセラミックファイバー; 金属繊維; ロックウール、バサルト繊維等の人造鉱物繊維; 炭素繊維; ウイスカー等を抄造法にて紙状またはボード状にするか、適宜バインダーを添加してシート状に成形した不織布、マット、フェルト等のシート状成形物を用いることができる。これらのうち、シリカエアロゲルの断熱効果を有効に得るためには、シリカエアロゲルの耐熱温度(750℃程度)でも担持体としての形状を保持できる担持体がより好ましい。シリカエアロゲルの空孔率は、60%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。シリカエアロゲルは、単にシート状繊維塊中に含侵され分散しているだけでも良いし、バインダー等を用いてシート状繊維塊の構成繊維状に担持されるようにしても良い。また、断熱シート3は、シリカエアロゲル以外に、ステアタイト(MgO・SiO2)、ジルコニア(ZrO2)、コージライト(2MgO・2Al2O3・5SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、又はムライト(3Al2O3・2SiO2)の内の1又は2以上を備えたシートであっても良い。
【0015】
断熱シート3は、導電性に優れるか否かは問わない。断熱シート3は、湾曲性(若しくは屈曲性)に優れるシートであるのが好ましく、その厚さに制約はないが、0.02~3.0mmが好ましく、0.1~2.0mmがより好ましい。断熱シート3の厚さは、好ましくは、ゴムシート2の厚さに比べて小さい。ただし、断熱シート3は、シートの強度、可撓性および耐熱性を総合的に考慮して、その厚さが決定されるのが好ましい。
【0016】
(3)接着層
接着層5は、ゴムシート2と断熱シート3とを接着する接着剤またはその硬化物を含む層である。接着剤としては、ゴムシート2と断熱シート3とを接着可能であれば特に制約されないが、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、メラミン系接着剤、ポリエステル系接着剤、シリコーン系接着剤等を用いることができる。これらの中でも、耐熱性およびゴム弾性に優れるシリコーン系接着剤を用いることが好ましい。この実施形態において、接着層5は、硬化性シリコーン系接着剤を硬化して形成される層であり、自己接着シリコーンゴムの硬化体と称することもできる。このような接着層5の材料となる接着剤は、無溶剤のシリコーン系接着剤の一種であり、高い接着力を有するとともに、硬化後には熱安定性、耐候性、良好な耐水性、優れた可塑性を有する。
【0017】
接着層5は、好ましくは、ゴムシート2の一方の面に断熱シート3を接着する第1接着層5aと、ゴムシート2の他方の面に断熱シート3を接着する第2接着層5bと、から構成される。第1接着層5aおよび第2接着層5bは、好ましくは、ゴムシート2の平面視にて複数本のライン状に備えられる(
図2のX-Y平面における断面図を参照)。より具体的には、第1接着層5aは、ゴムシート2の一方の面上に、平面視にてライン状に塗布された接着剤が硬化して形成された層である。また、第2接着層5bは、ゴムシート2の他方の面上に、平面視にてライン状に塗布された接着剤が硬化して形成された層である。すなわち、第1接着層5aおよび第2接着層5bは、好ましくは、ゴムシート2と断熱シート3とに挟まれた空間において複数のライン状の空隙10を有する。第2接着層5bは、好ましくは、ゴムシート2の一方の面から他方の面に向かう厚さ方向(
図2のZ軸方向)において、第1接着層5aと異なる位置に備えられる(
図2のX-Z平面における一部拡大断面図を参照)。すなわち、第2接着層5bは、Z方向において第1接着層5aとずれた位置に配置されている。このような構成により、延焼防止シート1の圧縮荷重を減少させることができる。
【0018】
なお、第1接着層5aおよび第2接着層5bにおいて、隣り合う任意の2本のラインの間隔は、特に制約されないが、隣接する熱源により延焼防止シート1が圧縮された場合にゴムシート2が空隙10に入り込んで空隙10を埋没しない程度の大きさであることが好ましい。このような格子の間隔としては、1mm~20mmが好ましく、3mm~8mmがより好ましい。また、上述の2本のラインの間隔は、等間隔に限定されない。例えば、ライン同士の間隔が場所によって異なっていても良い。また、第1接着層5aおよび第2接着層5bのライン形状は、ゴムシート2の長手方向および短手方向に沿うのではなく、例えば、ゴムシート2の長手方向および短手方向に対して傾斜した斜めのライン形状であっても良い。また、第1接着層5aと第2接着層5bは、互いに同じ方向に向かうライン状に形成された層ではなく、異なる方向に向かう層でも良い。例えば、第2接着層5bは、第1接着層5aに対して90度回転させて形成されていても良い。その場合、延焼防止シート1の厚さ方向の透過平面視において、第1接着層5aと第2接着層5bによる格子状の接着層となる。
【0019】
このように構成された延焼防止シート1によれば、ゴムシート2と断熱シート3とを接着する接着層5(第1接着層5aおよび第2接着層5b)がゴムシート2の平面視にて複数のライン状に備えられるため、ゴムシート2と断熱シート3との間にライン状の空隙10が形成される。空隙10に存在する空気は断熱層を形成する。よって、延焼防止シート1は、複数の熱源同士の間の伝熱を低減することができ、延焼防止性能を向上させることができる。
【0020】
2.延焼防止シートの変形例
図3は、
図1の延焼防止シートの変形例の斜視図、X-Z平面における一部拡大断面図、およびX-Y平面における断面図をそれぞれ示す。
図3において、X-Y平面における断面図は、延焼防止シートの厚さをシート面(X-Y平面)に平行に切ったときの面を意味する。X-Z平面における断面図は、延焼防止シートをX-Z平面によりシートの厚さ方向に平行に切ったときの面を意味する。
【0021】
図3に示す変形例に係る延焼防止シート1は、
図1に示す延焼防止シート1と共通したゴムシート2と断熱シート3とを備える。当該変形例に係る延焼防止シート1が
図1に示す延焼防止シート1と異なる点は、ライン状の接着層5に加え、接着層5と交差する接着層6を備えている点である。以下、
図1に示す延焼防止シート1と異なる点について主に説明する。
【0022】
接着層
接着層5,6は、ゴムシート2と断熱シート3とを接着する接着剤またはその硬化物を含む層である。接着層6は、上述した接着層5と同様の接着剤により構成される。接着層6は、好ましくは、ゴムシート2の一方の面に断熱シート3を接着する第1接着層6aと、ゴムシート2の他方の面に断熱シート3を接着する第2接着層6bと、から構成される。第1接着層5a,6aは、好ましくは、ゴムシート2の平面視にて格子状に備えられる。同様に、第2接着層5b,6bも、また、好ましくは、ゴムシート2の平面視にて格子状に備えられる(
図3のX-Y平面における断面図を参照)。より具体的には、第1接着層5a,6aは、ゴムシート2の一方の面上に、平面視にて格子状に塗布された接着剤が硬化して形成された層である。また、第2接着層5b,6bは、ゴムシート2の他方の面上に、平面視にて格子状に塗布された接着剤が硬化して形成された層である。第1接着層5a,6aは、ゴムシート2と断熱シート3とに挟まれた空間において、好ましくは複数の格子状の空隙10を有する。第2接着層5b,6bは、好ましくは、ゴムシート2の一方の面から他方の面に向かう厚さ方向(
図3のZ軸方向)において、第1接着層5a,6aと異なる位置に備えられる(
図3のX-Z平面における一部拡大断面図を参照)。第2接着層5bは、Z方向において第1接着層5aとずれた位置に配置されている。第2接着層6bも、また、Z方向において第1接着層6aとずれた位置に配置されている。このような構成により、延焼防止シート1の圧縮荷重を減少させることができる。
【0023】
なお、第1接着層5a,6aおよび第2接着層5b,6bによりそれぞれ形成される格子の大きさは、特に制約されないが、隣接する熱源により延焼防止シート1が圧縮された場合にゴムシート2が空隙10に入り込んで空隙10を埋没しない程度の大きさであることが好ましい。このような格子の大きさとしては、縦横の長さを、ともに、1mm~20mmが好ましく、3mm~8mmとした大きさにするのがより好ましい。また、隣り合う第1接着層5a同士、隣り合う第1接着層6a同士、隣り合う第2接着層5b同士、および隣り合う第2接着層6b同士の各間隔は、等間隔に限定されない。例えば、当該間隔が場所によって異なっていても良い。また、第1接着層5a,6aは、ゴムシート2の長手方向および短手方向に沿うのではなく、例えば、ゴムシート2の長手方向および短手方向に対して傾斜した斜めのライン形状であっても良い。同様に、第2接着層5b,6bも、また、ゴムシート2の長手方向および短手方向に沿うのではなく、例えば、ゴムシート2の長手方向および短手方向に対して傾斜した斜めのライン形状であっても良い。また、第1接着層5a,6aにて構成される格子に対して、第2接着層5b,6bにて構成される格子を回転させるようにしても良い。例えば、第2接着層5b,6bの格子は、第1接着層5a,6aの格子に対して45度回転させるように形成されても良い。て形成されていても良い。
【0024】
このように構成された延焼防止シート1によれば、ゴムシート2と断熱シート3とを接着する接着層5(第1接着層5aおよび第2接着層5b)と、接着層6(第1接着層6aおよび第2接着層6b)とが、それぞれ、ゴムシート2の平面視にて格子状に備えられるため、ゴムシート2と断熱シート3との間に格子状の空隙10が形成される。空隙10に存在する空気は断熱層を形成する。よって、延焼防止シート1は、複数の熱源同士の間の伝熱を低減することができ、延焼防止性能を向上させることができる。
【0025】
3.延焼防止シートの製造方法
次に、本発明の実施形態に係る延焼防止シートの好適な製造方法の一例を説明する。
【0026】
図4は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートの製造方法の主な工程のフローの一例を示す。
【0027】
この実施形態に係る延焼防止シートの製造方法は、先に説明した延焼防止シート1を製造する方法である。延焼防止シート1の製造方法は、接着層がライン状、および格子状に形成された各種延焼防止シート1に共通する。当該製造方法は、接着層形成工程(S110)と、積層工程(S120)と、を含む。また、延焼防止シート1の製造方法は、好ましくは、ゴムシート作製工程(S100)を含む。以下、各工程について説明する。
【0028】
(1)ゴムシート作製工程(S100)
ゴムシート作製工程は、ゴム状弾性体からなるゴムシート2を作製する工程である。より具体的には、まず、ゴムシート2の材料であるシリコーンゴム、架橋剤および着色剤等をミキシングロール等の混練機を用いて混練し、シート状に分出しする。次に、シート状の成形物を加熱処理により硬化させ、ゴムシート2を作製する。なお、延焼防止シートの製造方法において、例えば、購入等の手段によりゴムシート2を作製せずとも準備できる場合は、ゴムシート作製工程(S100)を省略しても良い。
【0029】
(2)接着層形成工程(S110)
接着層形成工程は、ゴム状弾性体からなるゴムシート2の両面に、ゴムシート2の平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して接着層5、または接着層5,6を形成する工程である。この実施形態において、接着剤は、好ましくは、未硬化状態(若しくは半硬化状態)の硬化性シリコーン系接着剤である。すなわち、この実施形態において、接着層形成工程は、ゴムシート2の両面に、ゴムシート2の平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して未硬化状態の接着層を形成する工程である。より具体的には、接着層形成工程は、まず、ゴムシート2の一方の面に、平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して未硬化状態の第1接着層を形成する。このとき、未硬化状態の第1接着層は、ライン状または格子状に配置された空隙10を備える。次に、ゴムシート2の他方の面に、平面視にてライン状または格子状に接着剤を塗布して未硬化状態の第2接着層を形成する。このとき、第2接着層も、また、ライン状または格子状に配置された空隙10を備える。また、第2接着層は、好ましくは、ゴムシート2の一方の面から他方の面に向かう厚さ方向において、第1接着層と異なる位置に備えられる。
【0030】
(3)積層工程(S120)
積層工程は、隣り合う複数の熱源の間の伝熱を低減可能な断熱シート3を、接着層5、または接着層5,6上に積層し、これら接着層を介してゴムシート2と断熱シート3とを貼り合わせる工程である。そして、接着層5、または接着層5,6を硬化させて、延焼防止シート1を製造することができる。硬化は、好ましくは、空気中にて室温に放置して、若しくは空気中にて加熱して行われる。ただし、硬化方法は、室温放置や加熱に制約されず、紫外線または電子線の照射、さらには別の方法によって行われても良い。
【0031】
なお、延焼防止シートの製造方法は、ゴムシート2の片面ずつ、接着層形成工程(S110)および積層工程(S120)を行っても良い。より具体的には、ゴムシート2の一方の面に第1接着層を形成し、第1接着層上に断熱シート3を積層してゴムシート2の一方の面に断熱シート3を貼り合わせても良い。次に、ゴムシート2の他方の面に第2接着層を形成し、第2接着層上に断熱シート3を積層してゴムシート2の他方の面に断熱シート3を貼り合わせ、第1接着層および第2接着層を硬化させて延焼防止シート1を製造しても良い。
【0032】
4.バッテリー
次に、本発明の実施形態に係る延焼防止シートを備えるバッテリーについて説明する。
【0033】
図5は、本発明の実施形態に係る延焼防止シートを備えるバッテリーの縦断面図を示す。
【0034】
ここで、「縦断面図」は、バッテリーの筐体内部のバッテリーセルの長さ方向(すなわち、高さ方向)にバッテリーを切断した断面を意味する。また、
図5において、バッテリーは、12個のバッテリーセルを備えているが、バッテリーセルの数は特に限定されない。
【0035】
図5に例示するバッテリー40は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル30(熱源の一例)を備える。バッテリー40は、一方に開口する有底型の筐体41を備える。筐体41は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリー40は、筐体41内にバッテリーセル30を複数備える。バッテリーセル30は、筐体41の内部44に配置される。バッテリーセル30の上方には、電極が突出して設けられている。複数のバッテリーセル30は、好ましくは、筐体41内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体41の底部42には、冷却剤45の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ43が備えられている。冷却剤45は、冷却媒体あるいは冷却材と称しても良い。前述の延焼防止シート1は、バッテリーセル30同士の間およびバッテリーセル30と筐体41との間の少なくとも一方に備えられる。この実施形態に係るバッテリー40は、バッテリーセル30とバッテリーセル30との間、およびバッテリーセル30と筐体41との間の両方に、延焼防止シート1を挟んでいる。
【0036】
バッテリー40において、延焼防止シート1は、好ましくは、その最も広い面がバッテリーセル30の最も広い側面に接するように配置される。
図5に例示するバッテリー40では、筐体41の内部44の側面とバッテリーセル30との間、および隣接するバッテリーセル30同士の間に、それぞれ1つの延焼防止シート1が配置されている。ただし、バッテリー40において、延焼防止シート1は、少なくとも隣接する2つのバッテリーセル30の間に配置されていれば、すべての隣接するバッテリーセル30の間に配置されていなくとも良い。また、延焼防止シート1は、筐体41の内部44の側面とバッテリーセル30との間に配置されていなくとも良い。また、バッテリー40において、隣接するバッテリーセル30同士の間に、複数の延焼防止シート1が配置されていても良い。
【0037】
この実施形態では、延焼防止シート1は、バッテリーセル30の最も広い面(側面)と略同一の大きさであるが、当該側面より大きく、または小さくとも良い。ただし、延焼防止性能を高めるためには、延焼防止シート1は、バッテリーセル30の側面と同一若しくは当該側面より大きいのが好ましい。
【0038】
このように、延焼防止シート1は、バッテリー40内部の複数のバッテリーセル30同士の間に配置されることにより、バッテリーセル30が過熱状態の際であっても他のバッテリーセル30への伝熱を抑制することができる。また、延焼防止シート1は、接着層5,6に接着剤よりも低熱伝導性のフィラーを含有させることにより、複数のバッテリーセル30同士の間の伝熱をさらに低減することができ、延焼防止性能を向上させることができる。
【0039】
<その他の実施形態>
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0040】
例えば、上述の延焼防止シート1は、略直方体形状のシートであるが、これに制約されず、例えば、楕円、円、三角形、多角形状等であっても良い。延焼防止シート1の形状は、熱源の形状や用途等に応じて、適宜設計されることが好ましい。
【0041】
また、延焼防止シート1において、第2接着層5b(または第2接着層6b)は、ゴムシート2の一方の面から他方の面に向かう厚さ方向において、第1接着層5a(または第1接着層6a)と異なる位置に備えられていなくとも良い。
【0042】
また、熱源は、バッテリーセル30のみならず、回路基板や電子機器本体等の熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源としては、キャパシタおよびICチップ等の電子であっても良い。
【実施例0043】
次に、本発明の実施例を、比較例と比較しながら説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0044】
1.接着層の主な原料
延焼防止シートの接着層の構成材料となる接着剤として、シリコーン接着剤を用いた。シリコーン接着剤には、信越化学工業(株)製のKE-2090-50AおよびKE-2090-50Bを用いた。
【0045】
2.ゴムシート
延焼防止シートの構成材料となるゴムシートには、次のように作製したシリコーンスポンジを用いた。まず、硬化性シリコーンゴム組成物(信越化学工業(株)製の品番:KE-9710U)100質量部と、有機過酸化物架橋剤(信越化学工業(株)製の品番:C-1A)0.3質量部と、有機過酸化物架橋剤(信越化学工業(株)製の品番:C-3)2.0質量部と、付加反応型架橋剤(信越化学工業(株)製の品番:C-25A)2.0質量部とを用意し、そこに発泡剤1.0質量部および着色剤1.0質量部を加えて、ミキシングロールを用いてこれらを混錬した。ここで、1質量部は1gに相当する。以後の実施例の記載においても同様である。混錬した混合物をミキシングロールでシート状に分出ししながら、シート状成形物の一方の面にポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを貼り付けた。次に、分出ししたシート状成形物をミキシングロールから剥がし、他方の面にも上記PETフィルムを貼り付けた。このシート状成形物を195℃に昇温した恒温槽に静置し、5分間一次加硫させた。その後、当該シート状成形物を恒温槽から取り出して両面に貼り付けられたPETフィルムを剥がし、200℃で4時間二次加硫させることにより、厚さ5mmのシリコーンスポンジを作製した。
【0046】
3.断熱シート
延焼防止シートの構成材料となる断熱シートは、阿波製紙(株)製の断熱シート(品番:I-80F、厚さ0.8mm)を用いた。
【0047】
4.評価方法
(熱連鎖試験)
図6は、熱連鎖試験の試験装置の写真およびその一部Dの拡大写真をそれぞれ示す。
【0048】
延焼防止シートの熱連鎖試験は、
図6に示す試験装置を用いて次のように行った。
異常発熱バッテリーセルを模した熱源金属板21を600℃に昇温する。
次に、異常発熱時を模した熱源金属板21と隣接するバッテリーセルを模した金属板22間に、サンプルSを設置する。
次に、熱源金属板21とサンプルSの断熱シートとが接触するように、エアシリンダで30kPaにて熱源金属板21を押す。
次に、断熱シート底面側の金属板22の温度プロファイルを15分間記録する。金属板22の最大到達温度は、熱源金属板21のt
1の位置と金属板22のt
2の位置に熱電対を設けることにより測定した。
【0049】
5.延焼防止シートのサンプルの製造
<実施例>
(1)実施例1
シリコーン接着剤(品番:KE-2090-50A)50質量部とシリコーン接着剤(品番:KE-2090-50B)50質量部とを混錬した接着剤を、金属パテおよび/またはシリンジを用いて、シリコーンスポンジの両面に、平面視にてライン状(
図2を参照)に塗布した(この塗布方法を「ライン」と称する。)。隣り合うラインの間隔は5mm、ラインの幅は1mmとした。次に、ライン状に複数本塗布された接着剤の上にそれぞれ断熱シートを積層し、170℃の恒温槽で5分間加硫し、直径50mmの円形状の延焼防止シートのサンプルを作製した。サンプルは、上記評価方法にて評価した。
【0050】
(2)実施例2
接着剤の塗布形態以外を実施例1と同条件とした。具体的には、実施例1で用いた接着剤をシリコーンスポンジの両面に、平面視にて格子状(
図3を参照)に塗布した(この塗布方法を「グリッド」と称する。)。格子の縦および横の長さは5mm、格子を構成するラインの幅は1mmとした。次に、格子状に塗布された接着剤の上にそれぞれ断熱シートを積層し、実施例1と同条件で延焼防止シートのサンプルを作製した。サンプルは、上記評価方法にて評価した。
【0051】
<比較例>
比較例1
接着剤の塗布形態以外を実施例1と同条件とした。実施例1で用いた接着剤をシリコーンスポンジの両面の全領域に塗布した(この塗布方法を「ノーマル」と称する。)。次に、全面塗布状態の接着剤の上にそれぞれ断熱シートを積層し、170℃の恒温槽で5分間加硫し、直径50mmの円形状の延焼防止シートのサンプルを作製した。このサンプルは、シリコーンスポンジの全面に接着剤が塗布されており、接着層に空隙を備えない延焼防止シートである。サンプルは、上記評価方法にて評価した。
【0052】
6.結果・考察
次に、実施例1,2および比較例1の各試験片を600℃の熱源に接触させた熱連鎖試験の結果を示す。
【0053】
表1は、各接着剤パターンでの温度と熱伝導率を示す。
図7は、熱連鎖試験結果のグラフであり、底面側の温度の時間変化を示す。
【0054】
【0055】
表1および
図7から明らかなように、熱連鎖試験での900秒後の温度の差は最大で5.2(℃)、熱伝導率では0.028(W/m・K)であることが分かった。接着剤の塗布パターンは、熱伝導率が小さい順に、ラインパターン→グリッドパターン→ノーマルパターンとなった。これは、ラインパターンが断熱シートとシリコーンスポンジとの間に空隙を最も有していたこと、および熱源からの伝熱経路が少なかったことが低熱伝導率に繋がったと考えられる。
本発明に係る延焼防止シートは、例えば、自動車用バッテリー、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリー等の各種バッテリーや、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品等の各種電子機器に利用可能である。
1・・・延焼防止シート、2・・・ゴムシート、3・・・断熱シート、5,6・・・接着層、5a,6a・・・第1接着層、5b,6b・・・第2接着層、10・・・空隙、30・・・バッテリーセル(熱源の一例)。