(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148043
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】情報提供方法、情報提供装置、及び表示方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/01 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055866
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 孝尚
(72)【発明者】
【氏名】小菅 文夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 和紀
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181DD03
5H181DD04
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】移動体の走行区間に占める情報欠損区間の割合を下げて、情報の信頼性を高めることができる。
【解決手段】本開示にかかる情報提供方法は、衛星測位システムから位置情報を取得しつつ走行路を走行した複数の移動体に関する所定間隔の情報を記録するサーバ装置から、情報を取得して処理する情報処理装置における情報提供方法であって、複数の移動体のうち処理対象の移動体についての位置情報および位置情報に紐づく速度情報を含む情報を取得し、取得した情報における所定距離以上の欠損区間のうち情報欠損として扱う区間を算出して、情報と共に情報表示端末に表示させるために出力し、情報欠損として扱う区間は、移動体が欠損区間に至る前の最後の位置情報に紐づく速度情報と、移動体が欠損区間から脱した後の最初の位置情報に紐づく速度情報とに基づいて算出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星測位システムから位置情報を取得しつつ走行路を走行した複数の移動体に関する所定間隔の情報を記録するサーバ装置から、前記情報を取得して処理する情報処理装置における情報提供方法であって、
前記複数の移動体のうち処理対象の移動体についての前記位置情報および前記位置情報に紐づく速度情報を含む前記情報を取得し、
取得した前記情報における所定距離以上の欠損区間のうち情報欠損として扱う区間を算出して、前記情報と共に情報表示端末に表示させるために出力し、
前記情報欠損として扱う区間は、前記移動体が前記欠損区間に至る前の最後の位置情報に紐づく速度情報と、前記移動体が前記欠損区間から脱した後の最初の位置情報に紐づく速度情報とに基づいて算出される、
情報提供方法。
【請求項2】
出力される前記情報には、前記情報欠損として扱われていない区間であって、前記所定間隔よりも長い間、前記位置情報を有さない区間が含まれる、
請求項1に記載の情報提供方法。
【請求項3】
前記最後の情報に含まれる前記移動体の第1の位置と、前記最初の情報に含まれる前記移動体の第2の位置との間の直線距離、及び前記移動体が前記第1の位置から前記第2の位置に至るまでに要した時間に基づいて、前記欠損区間における前記移動体の第1の速度を算出し、
前記第1の位置における前記移動体の速度情報、及び前記第2の位置における前記移動体の速度情報に基づいて、前記欠損区間における前記移動体の第2の速度を算出し、
前記第1の速度と前記第2の速度との差が第1の値以内であった場合に、前記欠損区間を前記情報欠損として扱わない、
請求項1または請求項2に記載の情報提供方法。
【請求項4】
前記第1の速度と前記第2の速度との差が±20%以内であった場合に、前記欠損区間を前記情報欠損として扱わない、
請求項3に記載の情報提供方法。
【請求項5】
前記第1の位置における前記移動体の速度V1、前記移動体が前記第1の位置を走行していた時刻t1、及び前記第1の位置を示す第1の位置情報、並びに前記第2の位置における前記移動体の速度V2、前記移動体が前記第2の位置を走行していた時刻t2、及び前記第2の位置を示す第2の位置情報を取得し、
前記第1の位置情報および前記第2の位置情報から、前記第1の位置と前記第2の位置との間の直線距離Lを算出し、
前記第1の速度として、以下の式(1)から速度V3を算出し、
前記第2の速度として、以下の式(2)から速度V4を算出する、
V3=L/(t2-t1)・・・(1)
V4=(V1+V2)/2・・・(2)
請求項3または請求項4に記載の情報提供方法。
【請求項6】
以下の式(3)から前記第1の速度と前記第2の速度との差ΔVを算出する、
ΔV=100×(V3-V4)/V3・・・(3)
請求項5に記載の情報提供方法。
【請求項7】
前記第1の位置における前記移動体の速度情報と、前記第2の位置における前記移動体の速度情報とから求められる速度差が第2の値以上であった場合には、前記第1及び第2の速度、並びに前記第1及び第2の速度の差を算出することなく、前記欠損区間を前記情報欠損として扱う、
請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の情報提供方法。
【請求項8】
衛星測位システムから位置情報を取得しつつ走行路を走行した複数の移動体に関する所定間隔の情報を記録するサーバ装置から、前記情報を取得して処理する情報処理装置であって、
前記複数の移動体のうち処理対象の移動体についての前記位置情報および前記位置情報に紐づく速度情報を含む前記情報を取得し、
取得した前記情報における所定距離以上の欠損区間のうち情報欠損として扱う区間を算出して、前記情報と共に情報表示端末に表示させるために出力し、
前記情報欠損として扱う区間は、前記移動体が前記欠損区間に至る前の最後の位置情報に紐づく速度情報と、前記移動体が前記欠損区間から脱した後の最初の位置情報に紐づく速度情報とに基づいて算出される、
情報提供装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の情報提供方法を実行する情報処理装置に接続された情報表示端末における表示方法であって、
前記処理対象の移動体についての前記位置情報および前記位置情報に紐づく速度情報を含む前記情報、並びに前記情報における所定距離以上の欠損区間のうち情報欠損として扱う区間の情報を前記情報処理装置から取得し、
前記処理対象の移動体の走行経路を地図上にマッピングして表示すると共に前記情報欠損として扱う区間に関する情報を表示する、
表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報提供方法、情報提供装置、及び表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星測位システムから位置情報を取得しつつ走行路を走行する移動体に関する情報を取得して、その移動体の運行管理等に利用する技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トンネル内等を走行中、移動体は位置情報を取得することができず、その区間における移動体の情報が欠損してしまう場合がある。このような情報欠損区間が、全体の走行区間に占める割合が大きい場合、運行管理の信頼性が損なわれてしまう。
【0005】
本開示は、移動体の走行区間に占める情報欠損区間の割合を下げて、情報の信頼性を高めることができる情報提供方法、情報提供装置、及び表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる情報提供方法は、衛星測位システムから位置情報を取得しつつ走行路を走行した複数の移動体に関する所定間隔の情報を記録するサーバ装置から、前記情報を取得して処理する情報処理装置における情報提供方法であって、前記複数の移動体のうち処理対象の移動体についての前記位置情報および前記位置情報に紐づく速度情報を含む前記情報を取得し、取得した前記情報における所定距離以上の欠損区間のうち情報欠損として扱う区間を算出して、前記情報と共に情報表示端末に表示させるために出力し、前記情報欠損として扱う区間は、前記移動体が前記欠損区間に至る前の最後の位置情報に紐づく速度情報と、前記移動体が前記欠損区間から脱した後の最初の位置情報に紐づく速度情報とに基づいて算出される。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる情報提供方法、情報提供装置、及び表示方法によれば、移動体の走行区間に占める情報欠損区間の割合を下げて、情報の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる運行管理システムの概要を説明する模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる情報提供サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかる情報提供サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる中央サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる中央サーバの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる運行管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる運行管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる情報提供サーバの機能の一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる運行管理装置に表示される運行情報の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる情報提供サーバによる情報提供処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる情報提供サーバによる判定処理の手順の一例を示すフロー図である。
【
図12】
図12は、実施形態の変形例にかかる情報提供サーバによる情報提供処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる情報提供方法、情報提供装置、及び表示方法の実施形態について説明する。
【0010】
(運行管理システムの構成例)
図1は、実施形態にかかる運行管理システム1の概要を説明する模式図である。
図1に示すように、実施形態の運行管理システム1は、情報提供サーバ10、中央サーバ20、車載器30、及び運行管理装置40を備える。運行管理システム1に、後述する路側機RM(
図8参照)を含めてもよい。
【0011】
情報提供装置としての情報提供サーバ10は、情報提供事業者が所有するサーバ等である。情報提供事業者は、例えば運送業者等のユーザに、ユーザが管理する車両に関する情報を提供する。情報提供サーバ10は、国土交通省等の道路管理者が所有する中央サーバ20から、ユーザが管理する車両の情報を取得して、所定の処理を施したうえで、ユーザが所有する運行管理装置40へと出力する。
【0012】
サーバ装置としての中央サーバ20は、道路管理者が所有するサーバ等である。道路管理者は、自身が管理する高速道路等の走行路上を走行する複数の車両から、それらの車両に関する情報を取得する。これらの複数の車両には、上記ユーザが管理する車両も含まれる。
【0013】
ユーザが管理する車両には車載器30が搭載されている。車載器30は、例えばETC(Electronic Toll Collection)2.0等のサービスに準拠して、車載器30が搭載された車両の位置情報および速度情報、並びにそれらの情報が生成された時刻等の情報を所定間隔で蓄積する。道路管理者の中央サーバ20は、走行路の所定のポイントで車載器30からの情報を収集して記録する。
【0014】
情報表示端末としての運行管理装置40は、運送業者等のユーザが所有するPC(Personal Conputer)等である。運行管理装置40は、ユーザが管理する車両について、情報提供事業者の情報提供サーバ10から取得した情報に所定の処理を施したうえでモニタ等に表示するなどして、ユーザに対して情報を提示する。
【0015】
これらの構成間で行われる処理の概要について説明すると、まず、情報提供事業者のサービスを受けようとするユーザが、自身が管理する車両に搭載された車載器30の情報を情報提供サーバ10に送信する。情報提供サーバ10は、受信した車載器30の情報を情報提供サーバ10内に登録する(ステップS1)。
【0016】
ユーザの管理する車両が運送等の業務を開始すると、走行路上の所定ポイントで車載器30からの情報が中央サーバ20にアップロードされる(ステップS2)。なお、車載器30から収集される情報をプローブ情報とも呼ぶことがある。
【0017】
情報提供サーバ10は、登録情報に基づいて、車載器30からアップロードされた情報を中央サーバ20からダウンロードする(ステップS3)。また、情報提供サーバ10は、中央サーバ20からダウンロードした情報に欠損判定処理等の所定の処理を施す(ステップS4)。ステップS4の処理の詳細については後述する。
【0018】
運行管理装置40は、情報提供サーバ10に対して情報提供リクエストを送信する(ステップS5)。情報提供サーバ10は、欠損判定処理後の情報を運行管理装置40に提供する(ステップS6)。ただし、情報提供サーバ10は、車両に関する情報の処理後、あるいは、あらかじめ定められた所定のタイミング等で、情報提供リクエストを受信することなく運行管理装置40に情報を出力してもよい。
【0019】
(情報提供サーバの構成例)
次に、
図2及び
図3を用いて、情報提供サーバ10のハードウェア構成および機能構成の例について説明する。
【0020】
図2は、実施形態にかかる情報提供サーバ10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、情報提供サーバ10は、例えばCPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、及びRAM(Random Access Memory)13を備えたコンピュータ等の情報処理装置として構成されている。
【0021】
より詳細には、情報提供サーバ10は、CPU11、ROM12、RAM13、通信インターフェース(I/F:Interface)14、入出力I/F15、及び記憶装置16を備える。これらのCPU11、ROM12、RAM13、通信I/F14、入出力I/F15、及び記憶装置16は、互いに内部バスで接続されている。また、入出力I/F15には入力装置17、及び出力装置18がバス接続されている。ただし、情報提供サーバ10が、入力装置17及び出力装置18等を内蔵していてもよい。
【0022】
CPU11は、情報提供サーバ10の全体を制御する。ROM12は、情報提供サーバ10における保存領域として機能する。ROM12に記憶された情報は、情報提供サーバ10の電源が切られても保持される。RAM13は、一次記憶装置として機能し、CPU11の作業領域となる。
【0023】
CPU11が、ROM12等に格納された情報提供プログラムをRAM13に展開して実行することで、情報提供サーバ10の機能が実現される。
【0024】
通信I/F14は、例えばインターネット等のネットワークに接続可能に構成される。通信I/F14により、上述の中央サーバ20及び運行管理装置40等と、情報提供サーバ10との各種情報の授受が行われる。
【0025】
入出力I/F15は、入力装置17及び出力装置18等の外部機器と接続される。入出力I/F15により、入力装置17及び出力装置18等の外部機器と、情報提供サーバ10との各種情報の授受が行われる。
【0026】
記憶装置16は、HDD(Hard Disk Drive)、SDD(Solid State Drive)等であり、CPU11の補助記憶装置として機能する。
【0027】
入力装置17は、情報提供事業者が情報提供サーバ10に対して行う各種入力を受け付ける。入力装置17は、例えばキーボード、マウス、マイクロフォン、その他の装置である。
【0028】
出力装置18は、情報提供サーバ10から情報提供事業者に各種情報を提示する。出力装置18は、例えばモニタ、プリンタ、スピーカ、その他の装置である。出力装置18が入力装置17と一体に構成されたタッチ式パネル等であってもよい。
【0029】
図3は、実施形態にかかる情報提供サーバ10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報提供サーバ10は、例えば取得部101、判定部102、出力部103、入出力部104、及び記憶部105を備えている。
【0030】
取得部101は、インターネット等のネットワークを介して、運行管理装置40から車載器30の登録情報を取得する。また、取得部101は、インターネット等のネットワークを介して、中央サーバ20が記録した車載器30のプローブ情報を中央サーバ20から取得する。取得部101は、例えば情報提供プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する通信I/F14により実現される。
【0031】
判定部102は、中央サーバ20から取得した車載器30のプローブ情報に対し、欠損区間を情報欠損として扱うか否かの判定を行う。車載器30のプローブ情報には、車両がトンネル内、高層ビル群等を走行時に、プローブ情報が欠損した欠損区間が生じる場合がある。判定部102は、このような欠損区間が、例えばトンネル等によるものであることが推測される場合には、情報欠損として扱わない判定を行う。判定部102は、例えば情報提供プログラムを実行中のCPU11により実現される。
【0032】
出力部103は、インターネット等のネットワークを介して、判定部102による判定処理がなされた情報を運行管理装置40へと出力する。出力部103は、例えば情報提供プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する通信I/F14により実現される。
【0033】
入出力部104は、バスを介して、入力装置17及び出力装置18等の外部機器と各種情報の授受を行う。入出力部104は、例えば情報提供プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作する入出力I/F15により実現される。
【0034】
記憶部105には、情報提供サーバ10で行われる処理に必要な各種パラメータ、及び情報提供サーバ10で実行される情報提供プログラム等が格納されている。また、記憶部105には、ユーザから登録があった車載器30の登録情報、中央サーバ20から取得した車両に関する情報、及び判定部102による処理後の情報等が格納されている。記憶部105は、例えば情報提供プログラムを実行中のCPU11の制御下で動作するROM12、RAM13、及び記憶装置16等により実現される。
【0035】
(中央サーバの構成例)
次に、
図4及び
図5を用いて、中央サーバ20のハードウェア構成および機能構成の例について説明する。
【0036】
図4は、実施形態にかかる中央サーバ20のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4に示すように、中央サーバ20は、例えばCPU21、ROM22、及びRAM23を備えたコンピュータとして構成されている。
【0037】
より詳細には、中央サーバ20は、CPU21、ROM22、RAM23、及び通信I/F24、及び記憶装置26を備える。これらのCPU21、ROM22、RAM23、及び通信I/F24、及び記憶装置26は、互いに内部バスで接続されている。ただし、情報提供サーバ10に、入出力I/F等を介して入力装置および出力装置等が接続されていてもよい。
【0038】
CPU21は、中央サーバ20の全体を制御する。ROM22は、中央サーバ20における保存領域として機能する。ROM22に記憶された情報は、中央サーバ20の電源が切られても保持される。RAM23は、一次記憶装置として機能し、CPU21の作業領域となる。
【0039】
CPU21が、ROM22等に格納された情報集計プログラムをRAM23に展開して実行することで、中央サーバ20の機能が実現される。
【0040】
通信I/F24は、例えば道路管理者の専用ネットワーク、またはインターネット等のネットワークに接続可能に構成される。通信I/F24により、上述の情報提供サーバ10等と、中央サーバ20との各種情報の授受が行われる。
【0041】
記憶装置26は、HDD、SDD等であり、CPU21の補助記憶装置として機能する。
【0042】
図5は、実施形態にかかる中央サーバ20の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、中央サーバ20は、例えば取得部201、集計部202、出力部203、及び記憶部205を備えている。
【0043】
取得部201は、道路管理者の専用ネットワーク、またはインターネット等のネットワークを介して、走行路の所定ポイントに設置された路側機RM(
図8参照)から車載器30に蓄積された情報を取得する。取得部201は、例えば情報集計プログラムを実行中のCPU21の制御下で動作する通信I/F24により実現される。
【0044】
集計部202は、複数の車両の車載器30から取得された情報を集計し、渋滞対策、安全対策、及び物流支援等に利用可能なように加工を施す。集計部202は、例えば情報集計プログラムを実行中のCPU21により実現される。
【0045】
出力部203は、インターネット等のネットワークを介して、例えば未加工のプローブ情報を情報提供サーバ10へと出力する。出力部203は、例えば情報集計プログラムを実行中のCPU21の制御下で動作する通信I/F24により実現される。
【0046】
記憶部205には、中央サーバ20で行われる処理に必要な各種パラメータ、及び中央サーバ20で実行される情報集計プログラム等が格納されている。また、記憶部205には、車載器30から取得した複数の車両に関する未加工の情報、及び集計部202による集計後の情報等が格納されている。記憶部205は、例えば情報集計プログラムを実行中のCPU21の制御下で動作するROM22、RAM23、及び記憶装置26等により実現される。
【0047】
(運行管理装置の構成例)
次に、
図6及び
図7を用いて、運行管理装置40のハードウェア構成および機能構成の例について説明する。
【0048】
図6は、実施形態にかかる運行管理装置40のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図6に示すように、運行管理装置40は、例えばCPU41、ROM42、及びRAM43を備えたコンピュータとして構成されている。
【0049】
より詳細には、運行管理装置40は、CPU41、ROM42、RAM43、通信I/F44、入出力I/F45、及び記憶装置46を備える。これらのCPU41、ROM42、RAM43、通信I/F44、入出力I/F45、及び記憶装置46は、互いに内部バスで接続されている。また、入出力I/F45には入力装置47、及び出力装置48がバス接続されている。
【0050】
CPU41は、運行管理装置40の全体を制御する。ROM42は、運行管理装置40における保存領域として機能する。ROM42に記憶された情報は、運行管理装置40の電源が切られても保持される。RAM43は、一次記憶装置として機能し、CPU41の作業領域となる。
【0051】
CPU41が、ROM42等に格納された運行管理プログラムをRAM43に展開して実行することで、運行管理装置40の機能が実現される。
【0052】
通信I/F44は、例えばインターネット等のネットワークに接続可能に構成される。通信I/F44により、上述の情報提供サーバ10等と、運行管理装置40との各種情報の授受が行われる。
【0053】
記憶装置46は、HDD、SDD等であり、CPU41の補助記憶装置として機能する。
【0054】
入出力I/F45は、入力装置47及び出力装置48等の外部機器と接続される。入出力I/F15により、入力装置47及び出力装置48等の外部機器と、運行管理装置40との各種情報の授受が行われる。
【0055】
記憶装置46は、HDD、SDD等であり、CPU41の補助記憶装置として機能する。
【0056】
入力装置47は、運送業者等のユーザが運行管理装置40に対して行う各種入力を受け付ける。入力装置47は、例えばキーボード、マウス、マイクロフォン、その他の装置である。
【0057】
出力装置48は、運行管理装置40からユーザに各種情報を提示する。出力装置48は、例えばモニタ、プリンタ、スピーカ、その他の装置である。出力装置48が入力装置47と一体に構成されたタッチ式パネル等であってもよい。
【0058】
図7は、実施形態にかかる運行管理装置40の機能構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、運行管理装置40は、例えば取得部401、加工部402、出力部403、入出力部404、及び記憶部405を備えている。
【0059】
取得部401は、インターネット等のネットワークを介して、上述の情報提供サーバ10から処理済みの情報を取得する。取得部401は、例えば運行管理プログラムを実行中のCPU41の制御下で動作する通信I/F44により実現される。
【0060】
加工部402は、情報提供サーバ10から取得した処理済みの情報に対して、ユーザが管理する車両の運行管理等に利用可能なように加工を施す。具体的には、加工部402は、例えば管理対象の車両の走行経路を地図上にマッピングして表示可能な運行情報に加工する。加工部402は、例えば運行管理プログラムを実行中のCPU41により実現される。
【0061】
出力部403は、インターネット等のネットワークを介して、加工部402により加工された運行情報をネットワーク上にあるユーザの他のPC等に出力する。ユーザが所有する他のPCは、例えば運送業者等のユーザの他のサイト、運行管理部門とは異なる他の部門が有するPC等であってよい。出力部403は、例えば運行管理プログラムを実行中のCPU41の制御下で動作する通信I/F44により実現される。
【0062】
入出力部404は、バスを介して、入力装置47及び出力装置48等の外部機器と各種情報の授受を行う。これにより、例えば出力装置48であるモニタ上に加工済みの運行情報等が表示される。入出力部404は、例えば運行管理プログラムを実行中のCPU41の制御下で動作する入出力I/F45により実現される。
【0063】
記憶部405には、運行管理装置40で行われる処理に必要な各種パラメータ、及び運行管理装置40で実行される運行管理プログラム等が格納されている。また、記憶部405には、情報提供事業者の情報提供サーバ10に登録申請した車載器30の申請情報、情報提供サーバ10から取得した処理済みの情報、及び加工部402による加工後の運行情報等が格納されている。記憶部405は、例えば運行管理プログラムを実行中のCPU41の制御下で動作するROM42、RAM43、及び記憶装置46等により実現される。
【0064】
(情報提供サーバの機能例)
次に、
図8を用いて、情報提供サーバ10の機能の詳細について説明する。
図8は、実施形態にかかる情報提供サーバ10の機能の一例を示す説明図である。
【0065】
図8に示すように、国土交通省等の道路管理者が管理する高速道路等の走行路には、所定の間隔で路側機RMが設けられている。複数の車両VH(VHx,VHy・・・)は、そのような走行路上を、衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)から位置情報を取得しつつ走行する。
【0066】
衛星測位システムとは、人工衛星50から地上へ向けて送信される信号に基づいて、車両VHの現在位置および現在時刻を特定し、カーナビゲーション等に利用するシステムである。
【0067】
複数の移動体としての車両VHx,VHy・・・は、中央サーバ20による記録の対象となる車両であって、それぞれ車載器30(30x,30y・・・)を備えている。車載器30(30x、30y・・・)は、GNSS受信機51(51x,51y・・・)を内蔵している。なお、GNSS受信機を内蔵していない車載器は、GNSS受信機を内蔵しているカーナビゲーション装置と連携することにより、カーナビゲーション装置からプローブ情報を取得する。カーナビテーション装置からプローブ情報を取得する車載器の場合、カーナビゲーション装置が自律航法システムによりプローブ情報を補間するため、前述したプローブ情報の欠損は生じない。
【0068】
また、複数の車両VHx,VHy・・・には、例えば上述の情報提供サーバ10の処理対象となる車両VHxが含まれる。処理対象の車両VHxは、運送業務に用いるトラック等の自動車に限らず、バイク、その他の移動体であってよい。なお、少なくとも処理対象となる車両VHxは、自律的に自車の位置を特定可能な自律航法システムを有さないものとする。
【0069】
路側機RMは、例えば5.8GHz帯を用いた狭域通信(Dedicated Short Range Communications)等により、路側機RMの設置ポイントを通過する複数の車両VHx,VHy・・・に搭載された車載器30と双方向通信を行う。
【0070】
これにより、車載器30は、上述の中央サーバ20が集計した道路交通情報等を取得することができる。また、路側機RMは、車載器30に蓄積された車両VHの位置情報および速度情報、並びにそれらの情報が生成された時刻等の情報を取得する。
【0071】
車両VHが走行路を走行中、車載器30には、例えば200m等の所定間隔ごとに、位置情報、速度情報、車両VHの前後左右における加速度情報およびヨー角速度情報、並びにそれらの情報の生成時刻等の情報が蓄積される。車載器30における所定間隔ごとの情報の記録地点を測位点などとも呼ぶことがある。
【0072】
複数の車両VHx,VHy・・・の車載器30から路側機RMが収集した情報は、例えば道路管理者の専用ネットワーク等を介して、中央サーバ20によって取得され記録される。情報提供サーバ10は、中央サーバ20が取得した複数の車両VHx,VHy・・・の情報のうち、処理対象の車両VHxの情報をインターネット等のネットワークNTを介して取得する。また、情報提供サーバ10は、取得した情報に所定の処理を施し、インターネット等のネットワークNTを介してユーザの運行管理装置40に送信する。
【0073】
ここで、
図8において、測位開始地点B及び測位終了地点G等を含む複数のマル印のポイントは、車載器30による情報の記録が行われた測位点である。また、
図8の地図上において幾つかの測位点に付されたコメントは、それらの測位点における実際の状況を示している。情報提供サーバ10が、これらの状況に応じてどのような処理を行うかについて以下に説明する。
【0074】
例えば、
図8の例では、処理対象の車両VHxが、出発地点Aから到着地点Hまでの走行路を走行したものとする。車両VHxの走行経路上、測位開始地点Bは、車載器30による情報の記録が開始された地点である。また、測位終了地点Gは、車載器30による情報の記録が終了した地点である。
【0075】
これらの測位点における情報は、車両VHxが路側機RMの設置ポイントを通過するたびごとに路側機RMによって収集され、中央サーバ20に記録される。
【0076】
しかし、トンネル入り口地点Cにおける情報生成を最後に、トンネル出口地点Dにおける情報生成までの間、車両VHxの情報が生成されなかったものとする。トンネル内を走行中、車両VHは衛星測位システムから位置情報等を得られず、この間、車載器30に情報が蓄積されない場合があるためである。なお、情報提供サーバ10は、車両VHxが走行した経路の地図情報等を有しておらず、この時点においては、地点C,D間にトンネルがあることの判定はできない。
【0077】
また、トンネルを脱した後の地点E付近において、車載器30の情報蓄積量が所定量を超え、地点E以降の所定区間における車載器30内の情報が消去されてしまったものとする。車載器30は、情報蓄積量が所定量を超えるとオーバーフローを起こしてしまい、それまでに蓄積された情報のうち、古い情報から順に新しい情報に上書きされる。
【0078】
このような情報のオーバーフローは、例えば車両VHが、路側機RMが設置されていない走行路上を長距離に亘って走行することによって生じうる。車載器30が、例えばETC2.0に準拠するものであれば、走行距離にして約80km、急ブレーキ、急加速等の挙動数にして31事象程度の情報を蓄積可能である。
【0079】
以上のように、
図8の例では、衛星測位システムからの情報取得不良、及び情報蓄積量のオーバーフローによって、処理対象の車両VHxに関する情報には、それぞれ欠損区間MSS1,MSS2が生じている。欠損区間MSS1の長さは数百mであり、欠損区間MSS2の長さは数kmを超えているものとする。つまり、L1≒数百m、L2>数kmである。
【0080】
また、測位終了地点Gの手前において、車両VHxの位置情報が、それまでの走行路から大きく外れた地点Fに飛んでいる。このような現象は、例えば位置飛び等と呼ばれ、車両VHが高いビルの傍ら、または高架下等を走行するなど、ごく短い区間のみ衛星測位システムからの位置情報が精度よく得られなかった場合等に生じうる。
図8の例では、地点Fは、地点Fの前後の位置情報から300m以上離れた位置を示すものとする。つまり、L3≧300m、かつ、L4≧300mである。
【0081】
情報提供サーバ10の判定部102は、車両VHxに関して得られた
図8に示すような情報から、欠損区間MSS1,MSS2、及び位置飛び地点F等を抽出し、これらについての判定を行う。
【0082】
地点Fは、前後の位置情報から例えば300m以上離れているなど、大きく外れた位置情報を有しており、また、このような大きく外れた位置情報を示しているのが、例えば地点F等のごく限られた区間のみである。このことから、地点Fが示す情報が位置飛びによるものであることを容易に判定することができる。判定部102は、地点Fに紐づけて、衛星測位システムからの情報取得不良があったことを示す情報を付与する。
【0083】
また、判定部102は、欠損区間MSS1,MSS2が、例えば200m等の車載器30の情報蓄積間隔よりも長い区間であることから、何らかの情報欠損が生じていると判定する。また、判定部102は、これらの欠損区間MSS1,MSS2が、トンネル区間等であって、衛星測位システムからの情報取得不良によって生じたものか否かを判定する。
【0084】
まず、欠損区間MSS1の判定について、以下に述べる。判定部102は、欠損区間MSS1における速度V3と速度V4とを求め、これらの速度V3,V4の差ΔVを算出し、差ΔVが所定値内か否かによって欠損区間MSS1を情報欠損が起きた区間として扱うか否かの判定を行う。
【0085】
第1の速度としての速度V3は、欠損区間MSS1の直線距離、及び車両VHxが欠損区間MSS1の走行に要した時間から求めた車両VHxの平均速度である。
【0086】
具体的には、判定部102は、車両VHxが欠損区間MSS1に至る前に最後に生成された、地点Cにおける位置情報が示す位置PS1と、車両VHxが欠損区間MSS1から脱した後に最初に生成された、地点Dにおける位置情報が示す位置PS2とから、位置PS1と位置PS2との間の直線距離L1を求める。
【0087】
また、判定部102は、車両VHxが位置PS1を走行していた時刻t1と、車両VHxが位置PS2を走行していた時刻t2と、上記の位置PS1と位置PS2との間の直線距離L1と、に基づいて、以下の式(1)によって、欠損区間MSS1における車両VHxの速度V3を求める。
【0088】
V3=L1/(t2-t1)・・・(1)
【0089】
第2の速度としての速度V4は、欠損区間MSS1に至る直前および欠損区間MSS1を脱した直後の車両VHxの速度の平均速度である。
【0090】
具体的には、判定部102は、地点Cにおける位置情報に紐づく速度情報から、位置PS1における車両VHxの速度V1を抽出し、また、地点Dにおける位置情報に紐づく速度情報から、位置PS2における車両VHxの速度V2を抽出する。そして、判定部102は、これらの速度V1,V2に基づいて、以下の式(2)によって、欠損区間MSS1における車両VHxの速度V4を求める。
【0091】
V4=(V1+V2)/2・・・(2)
【0092】
一般的に、トンネルは、安全性および建設コストの観点から、極力直線状の形状となるよう設計されている。したがって、実際のトンネル長は、位置PS1と位置PS2との間の直線距離L1から大きく乖離してはいないとの推測が可能である。また、欠損区間MSS1を走行中、車両VHxの速度にあまり変化がなかったものと仮定すれば、式(1)から求めた速度V3と、式(2)から求めた速度V4とに大きな差は生じないものと推測することが可能である。
【0093】
また、トンネルの長さは一般的には数百m程度であり、長いものでも数km未満である。この点からも、トンネルを略直線状であり、また、車両VHxが略定速でトンネル内を走行したものとの前提が成立し易いと考えられる。
【0094】
判定部102は、速度V3,V4の差ΔVを以下の式(3)によって求める。
【0095】
ΔV=100×(V3-V4)/V3・・・(3)
【0096】
判定部102は、上記の式(3)から求めた速度V3,V4の差ΔVが例えば±20%以内であった場合には、欠損区間MSS1を情報欠損が起きた区間として扱わない判定をする。
【0097】
判定部102は、欠損区間MSS2についても、上述の欠損区間MSS1と同様に判定を行う。すなわち、判定部102は、欠損区間MSS2の直線距離、及び車両VHxが欠損区間MSS2の走行に要した時間から、式(1)に基づく平均速度を求める。また、判定部102は、欠損区間MSS2に至る直前および欠損区間MSS2を脱した直後の車両VHxの速度から、式(2)に基づく平均速度を求める。また、判定部102は、式(3)に基づいて、これらの平均速度の差を算出する。
【0098】
ここで、欠損区間MSS2のように、情報蓄積量のオーバーフロー等によるものである場合、欠損区間の長さは例えば数km、ときに数十kmに及ぶ場合がある。この区間が略直線状であり、また、この区間中、車両VHxが略同じ速度で走行していたとの前提は成立し難いと考えられる。よって、式(1),(2)から求めた平均速度の差は所定値から外れることとなり、判定部102は、欠損区間MSS2を情報欠損が起きた区間として扱う判定をする。判定部102は、欠損区間MSS2に紐づけて、何らかの情報欠損が起きたことを示す情報を付与する。
【0099】
以上のように、中央サーバ20から取得され、判定部102による上記判定が行われた情報は、ユーザの運行管理装置40に送信される。運行管理装置40の加工部402(
図7参照)は、情報提供サーバ10から取得した情報を加工して、例えば管理対象の車両VHxの走行経路を地図上にマッピングした運行情報を生成する。
図9に、運行管理装置40の加工部402が生成し、入出力部404であるモニタ上に表示された運行情報40Mの一例を示す。
【0100】
図9は、実施形態にかかる運行管理装置40に表示される運行情報40Mの一例を示す模式図である。
【0101】
図9に示すように、運行情報40Mでは、上述の測位開始地点B及び測位終了地点Gを含む複数の測位点が、地
図41m上にマッピングされている。複数の測位点の1つである地点P1は、上述の
図8の測位開始地点Bに相当する地点である。また、地点P2は上述のトンネル入り口地点Cに相当し、地点P2はトンネル出口地点Dに相当する。
【0102】
また、運行情報40Mには、これらの測位点を結んで、車両VHxの走行経路11tが示されている。信頼性に足るマッピング処理が行われた場合、走行経路11tは、地
図41m上の所定の走行路41rに概ね沿うように延びる。
【0103】
また、上述の欠損区間MSS1に相当する地点P2から地点P3までの地
図41m上の区間には、例えばトンネル41tが示されている。信頼性に足る判定結果が得られていれば、これらの地点P2から地点P3までを結ぶ走行経路11tも、地
図41m上のトンネル41tを含む走行路41rから大きく乖離することなく延びる。
【0104】
また、運行情報40Mにおいて、例えば地
図41m上の所定の測位点を選択すると、その測位点における情報11dを表示させることができる。測位点における情報には、例えばその測位点の緯度/経度等の位置情報、車両VHxがその測位点を通過したときの時刻、及び速度等が含まれる。これらの情報に加え、測位開始地点、測位終了地点など、測位点に関する説明11eが表示されてもよい。
【0105】
なお、元々、欠損区間MSS1であった地点P2から地点P3までを結ぶ区間の走行経路11tには、測位点、及び測位点に付随する車両VHxに関する情報は含まれていない。また、地点P2から地点P3までを結ぶ区間の走行経路11tの長さは、例えば他の区間の走行経路11t上の互いに隣接する測位点間の距離より長い。
【0106】
このように、情報提供サーバ10の判定部102による判定処理後の情報には、情報欠損として扱われていない区間であって、例えば200mごとの、車載器30に情報が蓄積される所定間隔よりも長い間、位置情報を有さない区間が含まれうる。
【0107】
また、上述の欠損区間MSS2に相当し、情報欠損が起きた区間と判定された区間の任意の地点P4を選択すると、情報欠損区間であることの説明11eが表示されてもよい。また、これに加えて、あるいは替えて、情報欠損が起きた区間と判定された区間が、通常の走行経路11tと区別可能な態様で表示されてもよい。この場合、車両VHの走行経路11tが、破線、異なる線幅、または色彩等を用いて表示されるなどの例が挙げられる。
【0108】
また、上述の地点Fに相当する測位点P5を選択すると、例えば測位点P5が位置飛びによる誤った情報を保有していることの説明11eが表示される。
【0109】
また、運行情報40Mには、車両VHxの走行経路11tの全長、つまり、車両VHxの全走行距離、全走行距離中の欠損距離、全走行距離中に占める欠損距離の率である欠損率等の車両VHxに関する総合的な情報11cが示される。
【0110】
情報提供サーバ10の判定部102によって、一部の欠損区間を情報欠損区間として扱わない判定を行うことで、全走行距離中の欠損率が低減される。
【0111】
(情報提供サーバによる情報提供方法)
次に、
図10及び
図11を用いて、実施形態の情報提供サーバ10による情報提供方法の例について説明する。
図10は、実施形態にかかる情報提供サーバ10による情報提供処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0112】
図10に示すように、情報提供サーバ10の取得部101は、運行管理装置40からユーザの車両VHxに搭載された車載器30の情報を取得して、記憶部105に登録する(ステップS110)。また、取得部101は、車載器30の登録情報に基づいて、登録のある車載器30のプローブ情報を中央サーバ20からダウンロードする(ステップS120)。
【0113】
判定部102は、取得した情報に含まれる全ての測位点について、隣接する測位点同士の距離を算出する(ステップS130)。また、判定部102は、所定の測位点同士の距離が、例えば200m等の所定値以上であるか否かを判定する(ステップS140)。
【0114】
所定の測位点同士の距離が所定値以上であった場合には(ステップS140:Yes)、判定部102は、その区間を欠損区間であると判定し、その欠損区間を情報欠損が起きた区間として扱うか否かの判定を行う(ステップS150)。所定の測位点同士の距離が所定値未満であった場合には(ステップS140:No)、判定部102は、その区間において情報欠損が起きていないものと判定する(ステップS160)。
【0115】
また、判定部102は、全ての区間についてステップS140~S160の処理が終了したか否かを判定する(ステップS170)。未判定の区間がある場合には(ステップS170:No)、判定部102は、ステップS140~S160の処理を繰り返す。
【0116】
全ての区間についての処理が終了していた場合には(ステップS170:Yes)、判定済みの情報を運行管理装置40に出力する(ステップS180)。
【0117】
以上により、実施形態の情報提供サーバ10による情報提供処理が終了する。
【0118】
図11は、実施形態にかかる情報提供サーバ10による判定処理の手順の一例を示すフロー図である。
図11の処理は、上述の
図10のステップS150の処理の詳細のフローである。
【0119】
図11に示すように、判定部102は、所定の測位点同士の距離が所定値以上であった欠損区間について、上述の式(1)により、欠損区間の直線距離L、及び車両VHxが欠損区間の走行に要した時間(t2-t1)に基づく速度V3を算出する(ステップS151)。
【0120】
また、判定部102は、その欠損区間について、上述の式(2)により、欠損区間に至る直前および欠損区間を脱した直後の車両VHxの速度V1,V2を平均した速度V4を算出する(ステップS152)。
【0121】
なお、ステップS151,S152の処理順は入れ替え可能である。つまり、判定部102は、ステップS152の処理後にステップS151の処理を行ってもよい。
【0122】
判定部102は、上述の式(3)により、速度V3と速度V4との差ΔVを算出する(ステップS153)。また、判定部102は、差ΔVが所定値以内か否かを判定する(ステップS154)。上述の通り、第1の値としての所定値は例えば±20%などとすることができる。
【0123】
差ΔVが所定値の範囲を超えていた場合(ステップS154:No)、判定部102は、運行管理装置40に出力する情報において、判定対象の区間を情報欠損区間として扱う判定を行う(ステップS155)。差ΔVが所定値内であった場合(ステップS154:Yes)、判定部102は、運行管理装置40に出力する情報において、判定対象の区間を情報欠損区間として扱わない判定を行う(ステップS156)。
【0124】
以上により、実施形態の情報提供サーバ10による判定処理が終了する。
【0125】
(比較例)
運送業者等のユーザが所有する車両等について、道路管理者のサーバからプローブ情報を取得して、ユーザに提供するサービスが行われる場合がある。このとき、例えば自律航法システムを有さず、専らGNSSからの情報に基づいて車両の位置を特定する場合、トンネル内等のGNSSからの情報が得にくい区間では、車両の位置を特定できずに情報欠損扱いとなってしまう。しかし、全走行距離中の欠損率が高いと、情報の精度が落ち、運行情報の信頼性が低下してしまう。
【0126】
例えば上述の特許文献1の技術では、トンネルを含む走行地図と、そのトンネル内を走行する他の車両の走行速度情報とを用い、GNSSからの情報が受信できなかった走行区間についても車両位置の推定を試みる。しかしながら、特許文献1の技術では、車両が走行する区域の地図データ、及び車両周辺を走行する他の車両の情報が必要であり、複雑なシステムと煩雑な推定処理とを要する実施困難な構成となっている。
【0127】
実施形態の情報提供サーバ10によれば、中央サーバ20から取得した処理対象の車両VHxに関する情報における所定距離以上の欠損区間のうち、情報欠損として扱う区間を算出し、その情報と共に運行管理装置40に表示させるために出力する。
【0128】
このように、所定距離以上の欠損区間の全てを情報欠損として扱うのではなく、所定条件を満たす欠損区間を情報欠損として取り扱わないようにすることで、車両VHxの走行区間に占める情報欠損区間の割合を下げることができる。これにより、ユーザに提供される情報の信頼性を高めることができる。
【0129】
実施形態の情報提供サーバ10によれば、車両VHxの位置PS1,PS2間の直線距離L、及び車両VHxが位置PS1から位置PS2に至るまでに要した時間(t2-t1)に基づいて算出した速度V3と、位置PS1,PS2における車両VHxのそれぞれの速度V1,V2に基づいて算出した速度V4との差ΔVが所定値以内であった場合、欠損区間を情報欠損として扱わない。
【0130】
これにより、所定の欠損区間について、例えばGNSSから取得した情報のみを用いて、その欠損区間がトンネル区間等にあたっており、情報欠損ではないと見做してもよいか否かを精度よく判定することができる。
【0131】
なお、上述の実施形態では、運行管理装置40の加工部402が、車両VHxの走行経路が地図上にマッピングされた運行情報に加工することとした。しかし、情報の加工の態様は上記の例に限られない。情報提供サーバ10から提供された情報は、地図以外の図形または文字情報に加工されてもよい。また、運行管理装置40は、ユーザが管理する複数の車両の情報を統計的に処理して表示させてもよい。
【0132】
また、上述の実施形態では、運行管理装置40の加工部402が情報を加工することとした。しかし、加工部402による一部または全部の加工処理が情報提供サーバ10におより行われてもよい。
【0133】
(変形例)
次に、
図12を用いて、実施形態の変形例の情報提供サーバについて説明する。変形例の情報提供サーバは、上述の速度V3,V4に基づいて、所定の測位点同士の距離が所定値以上であった欠損区間について判定処理を行うか否かを決定する点が上述の実施形態とは異なる。
【0134】
図12は、実施形態の変形例にかかる情報提供サーバによる情報提供処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0135】
図12に示すように、変形例の情報提供サーバにおいても上述の実施形態の
図10に示したステップS110~S180の処理が行われる。変形例の情報提供サーバにおいては、これらの処理に加えて、ステップS141,S142,S143の処理が行われる。
【0136】
ステップS140の処理後、変形例の判定部は、所定の測位点同士の距離が所定値以上であった欠損区間について(ステップS140:Yes)、以下の式(4)により、位置PS1,PS2における速度V1,V2の速度差の比率Vdを求める。
【0137】
Vd=|V3-V4|/V3・・・(4)
【0138】
第2の値としての上記比率Vdが所定値以上であった場合、速度V1,V2の速度差が大きいため、その欠損区間における車両VHxの速度にあまり変化がなかったものと仮定することは困難である。したがって、たとえその欠損区間がトンネル区間等にあたっていたとしても、速度V3,V4の差ΔVが所定値を超えてしまう可能性があり、その欠損区間に関する判定を精度良く行うことが困難な場合がある。
【0139】
したがって、変形例の判定部は、速度V1,V2の速度差の比率Vdが所定値以上か否かを判定し(ステップS142)、比率Vdが所定値未満であれば(ステップS142:No)、その欠損区間を情報欠損として扱うか否かの判定を行う(ステップS150)。比率Vdが所定値以上であれば(ステップS142:Yes)、運行管理装置40に出力する情報において、その欠損区間を情報欠損区間として扱う判定を行う(ステップS143)。
【0140】
その後、上述の実施形態と同様、ステップS170,S180の処理が行われる。
【0141】
以上により、変形例の情報提供サーバによる判定処理が終了する。
【0142】
変形例の情報提供サーバによれば、位置PS1,PS2における車両VHxのそれぞれの速度V1,V2から求められる速度差が所定値以上であった場合には、速度V3,V4、及び速度V3,V4の差ΔVを算出することなく、その欠損区間を情報欠損として扱う。
【0143】
このように、情報欠損として取り扱うか否かの判定精度が得られにくい欠損区間についての判定を行わないことにより、情報提供サーバにおける処理の効率を高めることができる。また、結果的に情報提供サーバの判定精度を高めることができる。
【0144】
変形例の情報提供サーバによれば、その他、実施形態の情報提供サーバ10と同様の効果を奏する。
【0145】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 運行管理システム
10 情報提供サーバ
20 中央サーバ
30 車載器
40 運行管理装置
40M 運行情報
101 取得部
102 判定部
103 出力部
104 入出力部
105 記憶部
RM 路側機
VH 車両