(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148052
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】位置検出機能付きソレノイド装置
(51)【国際特許分類】
H01F 7/122 20060101AFI20231005BHJP
F16K 37/00 20060101ALI20231005BHJP
F16K 31/06 20060101ALI20231005BHJP
H01F 7/16 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01F7/122 C
F16K37/00 D
F16K31/06 320A
H01F7/16 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055881
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】592056908
【氏名又は名称】浜名湖電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦
(72)【発明者】
【氏名】安齋 孝
【テーマコード(参考)】
3H065
3H106
5E048
【Fターム(参考)】
3H065AA01
3H065BA02
3H065BB11
3H106DB02
3H106DB12
3H106DB22
3H106DB32
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106FB07
5E048AA10
5E048AB01
5E048AC05
5E048AD02
(57)【要約】
【課題】第1位置、第2位置、及び中間位置に位置していることを検知する。
【解決手段】コイル通電時に磁気回路を構成するステータコアと、コイル通電時に磁気回路を構成し第1位置、第2位置及び中間位置に変移するムービングコアと、ムービングコアを第1位置に保持する第1永久磁石と、ムービングコアを第2位置に保持する第2永久磁石とを有するソレノイドを備える。バルブが第1位置及び第2位置のいずれかに位置する際に、第1永久磁石及び第2永久磁石のいずれかの磁束を検出する第1磁気センサと、第1磁気センサが検知する位置と中間位置とで、第1永久磁石及び第2永久磁石のいずれかの磁束を検出する第2磁気センサも備える。第1位置及び第2位置に保持される際にはコイルに通電せず、中間位置に保持される際には通電する。第1磁気センサが第1位置若しくは第2位置を検知し、第2磁気センサが第1センサ検知位置と中間位置を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により励磁するコイルと、このコイルの通電時に磁気回路を構成する磁性材製のステータコアと、前記コイルの通電時に磁気回路を構成し第1位置、第2位置及び前記第1位置と前記第2位置との間である中間位置に変移する磁性材製のムービングコアと、このムービングコアを前記第1位置に保持する第1永久磁石と、前記ムービングコアを前記第2位置に保持する第2永久磁石とを有するソレノイドと、
前記ムービングコアが前記第1位置及び前記第2位置のいずれかに位置する際に、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石の少なくともいずれかの磁束を検出する第1磁気センサと、
前記第1磁気センサが検知する位置と前記中間位置とで、前記第1永久磁石及び前記第2永久磁石の少なくともいずれかの磁束を検出する第2磁気センサとを備え、
前記ムービングコアが前記第1位置及び前記第2位置に保持される際には前記コイルに通電せず、前記ムービングコアが前記中間位置に保持される際には前記コイルに通電される
ことを特徴とする位置検出機能付きソレノイド装置。
【請求項2】
前記ソレノイドは、前記第1位置で前記第1永久磁石と対向して前記第1永久磁石の吸引力を受ける磁性材製の第1部材と、前記第2位置で前記第2永久磁石と対向して前記第2永久磁石の吸引力を受ける磁性材製の第2部材とを更に備える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付きソレノイド装置。
【請求項3】
前記コイルは、前記ムービングコアを前記第1位置から前記第2位置に向かう方向に変移させる際には、前記コイルに第1方向の通電をし、前記ムービングコアを前記第2位置から前記第1位置に向かう方向に変移させる際には、前記コイルに前記第1方向とは逆方向となる第2方向の通電をし、
前記中間位置は、前記コイルに前記第1方向の通電を行うタイミングと第2方向の通電を行うタイミングとをデューティ比制御することで、保持している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置検出機能付きソレノイド装置。
【請求項4】
流体が流入する流入通路と、流体が流出する流出通路と、この流出通路と前記流入通路との間に配置される弁座とを有するバルブハウジングと、
前記第2位置で前記弁座と当接して流体流れを閉じ、前記第1位置で前記弁座から離脱して流体を最大流量流し、前記中間位置で最大流量より少ない流体を流すバルブとを更に備える
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の位置検出機能付きソレノイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、第1位置、第2位置及び中間位置を検出することができる位置検出機能を備えるソレノイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、永久磁石を用いて位置を保持する自己保持型のソレノイド装置が説明されている。また、特許文献1ではリードスイッチを用いて永久磁石との距離を検知している。しかし、特許文献1はバルブの開閉のみを行い、中間位置にバルブを保持することができず、その為、バルブが中間位置にあることを検出することもできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、第1位置や第2位置のみでなく、中間位置も保持できるようにし、かつ、第1位置、第2位置、及び中間位置に位置していることを検知することができる位置検知機能を備えるソレノイド装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1は、通電により励磁するコイルと、このコイルの通電時に磁気回路を構成する磁性材製のステータコアと、コイルの通電時に磁気回路を構成し第1位置、第2位置及び第1位置と第2位置との間である中間位置に変移する磁性材製のムービングコアと、このムービングコアを第1位置に保持する第1永久磁石と、ムービングコアを第2位置に保持する第2永久磁石とを有するソレノイドを備えている。
【0006】
また、本開示の第1は、ムービングコアが第1位置及び第2位置のいずれかに位置する際に、第1永久磁石及び第2永久磁石のいずれかの磁束を検出する第1磁気センサと、この第1磁気センサが検知する位置と中間位置との双方で、第1永久磁石及び第2永久磁石のいずれかの磁束を検出する第2磁気センサとを備えている。そして、ムービングコアが第1位置及び第2位置に保持される際にはコイルに通電せず、ムービングコアが中間位置に保持される際にはコイルに通電する。
【0007】
本開示の第1によれば、第1磁気センサが第1永久磁石及び第2永久磁石のいずれかの磁束を検出することで、バルブが第1位置及び第2位置のいずれかに位置しているかを検知することができる。また、第2磁気センサが第1磁気センサが検知する位置と中間位置との双方を検知することで、ムービングコアが中間位置に保持されていることを検出することができる。本開示の第1では、検出結果に基づきムービングコアの位置を判断することができる。
【0008】
本開示の第2では、ソレノイドは、第1位置で第1永久磁石と対向して第1永久磁石の吸引力を受ける磁性材製の第1部材と、第2位置で第2永久磁石と対向して第2永久磁石の吸引力を受ける磁性材製の第2部材とを更に備えている。第1部材及び第2部材を配置することで、第1位置及び第2位置をより確実に保持することができる。
【0009】
本開示の第3では、コイルは、ムービングコアを第1位置から第2位置に向かう方向に変移させる際には、コイルに第1方向の通電をし、ムービングコアを第2位置から第1位置に向かう方向に変移させる際には、コイルに第1方向とは逆方向となる第2方向の通電をする。そして、中間位置は、コイルに第1方向の通電を行うタイミングと第2方向の通電を行うタイミングとをデューティ比制御することで、保持している。本開示の第3では、デューティ比を用いることで、中間位置を保持し、かつ、第2磁気センサが中間位置でコイルの磁束を検知することができるようにしている。
【0010】
本開示の第4は、流体が流入する流入通路と流体が流出する流出通路とこの流出通路と流入通路との間に配置される弁座とを有するバルブハウジングと、第2位置で弁座と当接して流体流れを閉じ、第1位置で弁座から離脱して流体を最大流量流し、中間位置で最大流量より少ない流体を流すバルブとを更に備えている。本開示の第4では、位置検知装置によりバルブハウジングを流れる流体の流量を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ソレノイド装置が第1位置にある状態を示す断面図である。
【
図2】ソレノイド装置が第2位置にある状態を示す断面図である。
【
図3】ソレノイド装置が第1位置から第2位置に移動する際の磁束を示す断面図である。
【
図4】ソレノイド装置が第2位置から第1位置に移動する際の磁束を示す断面図である。
【
図5】ソレノイド装置の磁力とストロークとの関係を説明する図である。
【
図6】ソレノイド装置が中間位置にある状態を示す断面図である。
【
図7】永久磁石の位置と磁気センサの検知状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の実施形態は、
図1に示すソレノイド装置100であり、コイル110を備えている。コイル110は、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂製のコイルボビンの周囲にエナメル被覆された銅線が多数回巻装されている。コイル110の内周にはステータコア120が配置される。なお、ステータコア120は磁性材で、例えば炭素鋼が用いられる。
【0013】
また、コイル110の外周はポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂製の外郭130によって覆われている。外郭130は、コネクタ131と一体に形成されている。コネクタ131内には一対の端子136が埋込成形されており、一対の端子136はコイル110のプラス側及びマイナス側にそれぞれ接続している。なお、符号134で示す端子は、第1磁気センサ135の磁気端子であり、符号133で示す端子は、第2磁気センサ137の磁気端子である。
【0014】
コイル110の内側に配置されているステータコア120は円筒形状をしており、円筒形状の内部にムービングコア140を配置している。従って、ムービングコア140はステータコア120内を移動可能である。なお、ムービングコア140は冷間圧延鋼板(SPCE)等の磁性材製である。ムービングコア140の一面141(
図1の上端面)には、円盤状の第1永久磁石151が接合されている。また、ムービングコア140の他面142(
図1の下端面)には、リング状の第2永久磁石152が接合されている。
【0015】
第1永久磁石151のムービングコア140の一面141に向かう磁極と、第2永久磁石152のムービングコア140の他面142に向かう磁極とは同一極性となっている。
図1及び
図2の例では、第1永久磁石151は上面がS極で、下面(ムービングコア140の一面141に向かう面)がN極となっている。一方、第2永久磁石152は上面(ムービングコア140の他面142に向かう面)がN極で、下面がS極となっている。
【0016】
コイル110の外周から第1永久磁石151と対向する部位にかけて、ヨーク125が配置されている。ヨーク125も鉄等の磁性材製である。従って、第1永久磁石151はヨーク125に磁力で吸引可能である。本開示において、ヨーク125のうち、第1永久磁石151と対向する部位が第1部材153となる。
【0017】
ステータコア120の円筒形状部の底部も、
図2に示すように第2永久磁石152と対向しており、第2永久磁石152はステータコア120に磁力で吸引可能である。本開示において、ステータコア120のうち、第2永久磁石152と対向する円筒形状部の底部が第2部材154となる。
【0018】
ステータコア120の円筒形状部の中間部分は、薄肉に形成されている。従って、この中間部分よりムービングコア140の一面141側に第1磁気絞り部121が形成される。逆に中間部分よりムービングコア140の他面142側に第2磁気絞り部122が形成される。ムービングコア140と第1永久磁石151及び第2永久磁石152は、ステータコア120の円筒形状部内で保持されている。
【0019】
以上の構成によって、ソレノイド装置100は構成される。このソレノイド装置100はバルブ部200と結合する。バルブ部200は、バルブハウジング210により形成されている。バルブハウジング210は非磁性材料製であり、例えば、アルミニウム合金が用いられる。
【0020】
バルブハウジング210には、用途に応じ様々な流体が流入する流入通路222が形成されている。一例として、車両用空調装置に用いられるヒートポンプシステムで冷媒の流れを第2位置と第1位置に切り替えると共に、その中間位置で所定流量流すようにすることも可能である。バルブハウジング210には弁室225が形成されており、弁室225は流入通路222と連通している。バルブハウジング210には、流入した流体を流出させる流出通路228が形成されている。そしてこの弁室225に対向して、流出通路228と連通するリング状の弁座229が形成されている。弁座229と対向する弁室225に弁体214が配置される。
【0021】
弁体214は、弁本体部217を有している。そして、弁体214はムービングコア140と一体に移動する。弁本体部217の中心部には軸方向に貫通する貫通穴215が形成されている。弁体214の下端で、弁座229と対向する部位にはエチレンプロピレンEPDM等のゴム材料製のシート218が配置され、シート218はワッシャ216で弁本体部217に保持されている。従って、弁体214の下方は円盤形状をしており、弁体214が弁座229に着座した状態では、シート218により弁座229はシールされる。これにより、弁体214と弁座229との間の流体の流れは遮断される。
【0022】
以上のように構成された、バルブ部200とソレノイド装置100とは、バルブハウジング210の上部にソレノイド装置100のステータコア120が載置される。そして、非磁性材料製のバルブハウジング210と樹脂製の外郭130とがねじ締め等により接合している。
【0023】
次に、本開示のソレノイド装置100の作動を説明する。
図1のように第1永久磁石151が第1部材153に吸引している状態を第1位置とし、
図2のように第2永久磁石152が第2部材154に吸引している状態を第2位置とする。まず、この第1位置と第2位置の保持に関して説明する。
【0024】
ムービングコア140が第1位置を保持する状態は、コイル110には通電されず、専ら第1永久磁石151の磁気吸引力で維持される。この第1位置では弁体214が弁座229から離脱する全開位置となる。そのため、流入通路222から弁室225に流入した流体は、弁座229より流出通路228へ最大流量流れる。これにより、流体が全量流出する状態を、コイル110に通電することなく維持することができる。
【0025】
ムービングコア140が第2位置を保持する状態も同様である。即ち、コイル110には通電されず、専ら第2永久磁石152の磁気吸引力で第2部材に接する状態が維持される。この第2位置では、弁体214は弁座229に着座している。そのため、弁体214の全閉位置となり、流入通路222から弁室225に流入した流体は、弁体214と弁座229とによって遮断され、流出通路228には流れない。これにより、流体の遮断状態を、コイル110に通電することなく維持することができる。
【0026】
第1位置から第2位置に移動させる際には、
図3のように、コイル110に第1方向の通電をして、ステータコア120の第2磁気絞り部122と第2永久磁石152及びムービングコア140との間の漏洩磁束で、ムービングコア140を吸引する。その際の磁束の向きは、第1永久磁石151では互いに反発する方向となる。逆に、第2永久磁石152では互いに吸引する方向となる。従って、ムービングコア140の移動に必要な磁力を第1永久磁石151と第2永久磁石152とで補うことができる。換言すれば、ムービングコア140の移動に必要なコイル110の体格を小型化することが可能である。
【0027】
第2位置に移動すれば、上述の通り、コイル110への通電は終了し、第2永久磁石152によって、第2位置の状態が保持される。そして、ムービングコア140を第2位置から第1位置に向かう方向に移動させる際には、コイル110に通電をして、ステータコア120の第1磁気絞り部121と第1永久磁石151及びムービングコア140との間の漏洩磁束で、ムービングコア140を吸引する。その際のコイル110への通電方向は、第1方向とは逆方向となる第2方向の通電とする。その為、磁束の向きは、
図4に示すように、第1永久磁石151では互いに吸引する方向となり、第2永久磁石152では互いに反発する方向となる。従って、このムービングコア140を第2位置から第1位置に向かう方向に移動させる際でも、ムービングコア140の移動に必要な磁力を第1永久磁石151と第2永久磁石152とで補うことができる。
なお、貫通穴215はパイロット流路となる穴で、ムービングコア140が第2位置から第1位置に移動して弁体214が変位する際に流体が流れる。これにより、弁体214の上下での流体の圧力差がなくなり、スプリング219の付勢力により弁体は上方(第2位置から第1位置)へスムーズに移動することができる。
【0028】
図3及び
図4は磁気回路を模式的に示しており、ムービングコア140も弁体214と連結する部位を省略している。ただ、
図3及び
図4に示すように、第1部材153をヨーク125とは別部材とすることは可能である。同様に、第2部材154もステータコア120と別部材とすることも可能である。ステータコア120を上方部が閉じた円筒形状とする場合には、ステータコア120で第1部材153を形成することも可能である。
【0029】
図5は以上のムービングコア140の位置と、コイル110の通電状態を説明する説明図である。
図5でD点はムービングコア140が第1位置で保持されている状態を示す。この状態での吸引力は、第1永久磁石151が第1部材153に吸引する磁力である。第1位置から第2位置への移動はF線で示す。この状態では、コイル110に第1方向の電圧が印加される。
図5では第1方向を―で表している。第2位置に到達した状態がG点である。このG点の状態では、コイル110の励磁力で第2位置を維持している。
【0030】
第2位置でコイル110への第1方向の印加を終了した際の状態はH点である。G点の後は第2永久磁石152の吸引力で第2位置のストロークがH点で維持される。第2位置から第1位置への移動はB線で示す。B線の状態では、コイル110に第2方向の電圧が印加される。
図5では第2方向を+で表している。第1位置に到達した状態がC点である。このC点の状態はG点と逆で、コイル110の励磁力で第1位置を維持している。そして、第1位置でコイル110への第2方向の印加を終了した際の状態がD点で、その後は第1永久磁石151の吸引力で当初のD点が維持される。
【0031】
次に、第1位置(
図1)と第2位置(
図2)との中間である中間位置を説明する。
図6はムービングコア140が中間位置にある状態を示している。中間位置はコイル110に第1方向の通電を行う状態と第2方向の通電を行う状態を、100ヘルツ程度の周期で、かつ、50%のデューティ比で繰り返しことにより得られる。上述の第1位置と第2位置がコイル110への通電を行わない状態で維持していたのに対し、中間位置はコイル110への通電を第1方向と第2方向とに切り替え制御することで行う。即ち、ムービングコア140が中間位置に保持される状態ではコイル110に通電されており、コイル110は第1方向の励磁と第2方向の励磁とを繰り返している。
【0032】
次に、ムービングコア140の位置検出を説明する。上述の通り、ムービングコア140が第1位置に維持されている状態でも、第2位置に維持されている状態でも、コイル110には通電されていない。従って、コイル110の通電によって第1位置であるのか、第2位置であるのかを判別することは、メモリ等を使用しなければ困難である。本例では、ムービングコア140の位置検出を第1磁気センサ135と第2磁気センサ137とで行っている。
【0033】
第1磁気センサ135は第1永久磁石151が第1位置にある際に、第1永久磁石151の磁力を検出する位置に配置されている。また、第1磁気センサ135はコイル110の磁界からは磁気的に遮断されている。より具体的には、コイル110の磁界はムービングコア140とヨーク125とを流れ、樹脂製の外郭130に漏れることは無いか、磁気が漏れても微小である。それに対し、
図3に示すように、第1永久磁石151の磁気はコイル110の磁界とは別に外郭130側に漏れてくる。第1磁気センサ135はこの第1永久磁石151の漏れ出た磁束を検知する。
【0034】
第1磁気センサ135は磁力を検出した際に信号を出力するリードスイッチ、磁気ピックアップセンサ若しくはホールセンサである。本例ではリードスイッチを用いている。従って、第1磁気センサ135からの信号が検知されればムービングコア140及び弁体214が第1位置にあることが確認できる。換言すれば、第1磁気センサ135からの信号が検知されなければムービングコア140及び弁体214は第2位置か中間位置にあることとなる。
【0035】
第2磁気センサ137の配置位置は第1永久磁石151が第1位置にある状態と中間位置にある状態の双方で、第1永久磁石151の磁力を検出する位置に配置されている。上述のように、外郭130へ漏れ出る第1永久磁石151の磁気は
図3で示す第1位置で多い。逆に、
図4で示す第2位置では、第1永久磁石151の磁気は外郭130側に殆ど漏れ出ていない。この外郭130側に漏れ出る第1永久磁石151の磁気を模式的に
図7に示す。
図7では、第1永久磁石151の磁気の及ぶ範囲を分かりやすくするため、第1永久磁石151を固定して、第1磁気センサ135と第2磁気センサ137が、第1位置、中間位置及び第2位置で変移するように描いている。
図7においてAで示す領域は第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137が磁気を検知して「オン」信号を出力する領域である。領域Aの周囲にはホールドエリアBがあり、ホールドエリアBの外方は、第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137が磁気を検知しなくなり、出力が「オフ」となる領域Cとなる。
【0036】
第2磁気センサ137の配置される位置は、第1位置と中間位置とで第1永久磁石151の領域Aに含まれる位置である。そして、第1磁気センサ135と同様、第2磁気センサ137もコイル110の磁界からは磁気的に遮断されている。第2磁気センサ137も磁力を検出した際に信号を出力するリードスイッチ、磁気ピックアップセンサ若しくはホールセンサで、本例ではリードスイッチを用いている。従って、
図7では第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137はリードスイッチで記載されている。第2磁気センサ137からの信号が検知されればムービングコア140及び弁体214が第1位置か中間位置のいずれかにあることが確認できる。即ち、第2磁気センサ137からの信号が検知されればムービングコア140及び弁体214が中間位置にある可能性があることとなる。
【0037】
第1磁気センサ135と第2磁気センサ137とを用いることで、ソレノイド装置100(ムービングコア140)の位置検出が可能となり、位置検出機能付きソレノイド装置が提供できる。第1磁気センサ135は第1位置で第1永久磁石151の磁力を検出する。その為、ムービングコア140及び弁体214が第1位置に保持されている状態では、第1磁気センサ135が磁気検出「オン」となる。この第1位置は、第2磁気センサ137も第1永久磁石151の磁気を検出して「オン」となる。
【0038】
逆に、ムービングコア140及び弁体214が第2位置に保持されている状態では、第1磁気センサ135が第1永久磁石151の磁気を検出せず「オフ」となり、第2磁気センサ137も磁気を検出しない「オフ」となる。そして、ムービングコア140及び弁体214が中間位置にある状態では、第1磁気センサ135は第1永久磁石151の磁気を検出せず「オフ」となるが、第2磁気センサ137は第1永久磁石151の磁気を検出して「オン」となる。
【0039】
弁体214の位置は、流体の流れから確認できるので、流体流れと上記の第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137からの信号とに乖離があれば、ソレノイド装置100の異常が検出できる。のみならず、ソレノイド装置100がどの位置にあるのかの推測もできる。例えば、第1位置にある際には第1磁気センサ135は本来第1永久磁石151の磁気を検知して「オン」であるはずであるが、これが「オフ」信号を出しているとする。その際、第2磁気センサ137が「オン」であれば中間位置にあり、第2磁気センサ137が「オフ」であれば第2位置に固着していると推測できる。その場合には、コイル110に第1方向の通電をして、ムービングコア140及び弁体214を第1位置に戻すことができる。
【0040】
第2位置にあるときは、第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137は共に第1永久磁石151の磁気を検知せず「オフ」信号であるはずである。にも拘わらず、第1磁気センサ135及び第2磁気センサ137が共に「オン」信号であれば、第1位置に固着していると推測できる。その場合には、上記とは逆にコイル110に第2方向の通電をして、ムービングコア140及び弁体214を第2位置に戻すことができる。
【0041】
中間位置にある時に、第1磁気センサ135が「オン」信号を出力しても、第1位置に固着していると推測できるので、コイル110に第2方向の通電をして、ムービングコア140及び弁体214を第1位置から引き戻す。逆に、中間位置にある時に、第1磁気センサ135が「オフ」信号を出力すれば、第2位置に固着していると推測できるので、コイル110に第1方向の通電をして、ムービングコア140及び弁体214を第2位置から引き戻すようにする。
【0042】
以上説明したように、第1位置と第2位置は、その状態が第1永久磁石151や第2永久磁石152により保持されている。その為、ムービングコア140本来第1位置のあるべき状態で第2位置に変移してしまう恐れはある。同様に、コイル110への通電をデューティ比制御して中間位置にあるはずであるのに、第1位置か第2位置に固着してしまう恐れもありうる。このように、外部からの振動等の影響を受けてムービングコア140が本来意図している位置とは違う位置に移動することが考えられる。その際には、再度コイル110に本来存在すべき位置にムービングコア140を移動させる信号を送信する。
【0043】
なお、上述の例は本開示の望ましい態様であるが、本開示は種々の態様を含んでいる。例えば、上述の例では、バルブハウジング210を単体で構成したが、アッパボディとロアボディとに分けても良い。その場合2部材は、溶着、ボルト固定や、クリップ止め等の固定方法を用いて固定する。また、バルブハウジング210を3部材以上で構成してもよい。
【0044】
上述の例では、弁体214の形状を弁座229と当接離脱する平板状としたが、弁体214が弁座229内に嵌り込むような形状としてもよい。弁体214と弁座229間の距離に応じて、弁体214と弁座229との間の距離に応じて流体の流量が可変できるようにしても良い。その場合には、デューティ比は50%に固定することなく、デューティ比に応じて流量を制御することができる。本開示の中間位置は第1位置と第2位置との間であればよい。
【0045】
また、第1磁気センサ135や第2磁気センサ137の配置位置は、第1永久磁石151が第1位置にある際に、第1永久磁石151の磁力を検出する位置に限定されない。第1永久磁石151が第2位置にある際に、第1永久磁石151の磁力を検出する位置に配置しても良い。同様に、第2永久磁石152が第1位置にある際に、第2永久磁石152の磁力を検出する位置に配置しても良く、第2永久磁石152が第2位置にある際に、第2永久磁石152の磁力を検出する位置に配置しても良い。いずれにせよ、第1永久磁石151及び第2永久磁石152のいずれかの磁力を検知することで、第1位置か中間位置か第2位置かの判断を行うことができればよい。
【0046】
また、上述の例では、ソレノイド装置100を、弁座229の開閉を行うバルブとして用いたが、各種のアクチュエータに用いても良い。アクチュエータは、第1位置、第2位置及び中間位置に駆動できるものであれば、広く利用することができる。ソレノイド装置100を多様な用途に用いても、本開示によれば、位置を正しく検知することができる。
【0047】
また、上述した素材は一例であり、記載した素材に限られるものではない。この明細書および図面等における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。
【符号の説明】
【0048】
100 ソレノイド装置
110 コイル
135 第1磁気センサ
137 第2磁気センサ
140 ムービングコア
151 第1永久磁石
152 第2永久磁石
214 弁体