(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148072
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】暑熱ストレス緩和剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/125 20160101AFI20231005BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A23L33/125
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055918
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591014097
【氏名又は名称】サンエイ糖化株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(72)【発明者】
【氏名】末廣 大樹
(72)【発明者】
【氏名】深見 健
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018LE01
4B018MD01
4B018MD09
4B018MD10
4B018MD27
4B018MD28
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF08
4B117LC04
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK12
(57)【要約】
【課題】暑熱ストレス緩和剤を提供すること。
【解決手段】本発明に係る暑熱ストレス緩和剤は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む。上記塩類は、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄およびマルトビオン酸亜鉛から選択される少なくとも1つ以上であってもよい。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む暑熱ストレス緩和剤。
【請求項2】
前記塩類が、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄およびマルトビオン酸亜鉛から選択される少なくとも1つ以上である、請求項1記載の暑熱ストレス緩和剤。
【請求項3】
飲食品である、請求項1又は2記載の暑熱ストレス緩和剤。
【請求項4】
熱疲労軽減剤である、請求項1又は2記載の暑熱ストレス緩和剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暑熱ストレス緩和剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人間の生活活動に伴う温室効果ガス排出量の増大による地球温暖化を背景として、運動(スポーツ活動)時、労働時等や日常生活での熱中症の発生が頻繁に観察されている。熱中症とは「暑熱環境における身体適応の障害によって起こる状態の総称」と定義されており、その症状により熱失神、熱疲労、熱けいれん、熱射病に区分される。
【0003】
特に、身体が小さく熱容量が低く環境の温熱条件による影響を受けやすい乳幼児や、加齢による環境温度の感受性や体温調節機能が低下する高齢者など、いわゆる暑熱ストレスの影響を受けやすい熱中症弱者の熱中症の増加は社会問題となっており、有効で効果的な暑熱ストレス対策が求められている。
【0004】
これらの観点から、暑熱ストレスに起因する熱中症の予防対策として、こまめな水分摂取や塩分摂取による効率的な水分補給が推奨され、グリセリンと水の混合物や、高濃度のナトリウム等を含む飲料組成物が、提案されている(特許文献1及び2参照)。また、卵白を加水分解して得られる卵白ペプチドを含む飲料が暑熱ストレス下における深部体温の上昇抑制に効果的であるとの報告がある(特許文献3参照)。
【0005】
上記のように、暑熱ストレスに起因する熱中症の予防対策に関する開発提案はされつつあるが、さらなる開発が望まれているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-123686号公報
【特許文献2】特開2015-211652号公報
【特許文献3】特開2008-072968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、新規な暑熱ストレス緩和剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、マルトビオン酸やそれらの塩が、発汗を促進し、深部体温の上昇を抑制して、暑熱ストレスを緩和できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1) 4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む暑熱ストレス緩和剤。
【0010】
(2) 前記塩類が、マルトビオン酸カルシウム、マルトビオン酸マグネシウム、マルトビオン酸ナトリウム、マルトビオン酸カリウム、マルトビオン酸銅、マルトビオン酸鉄およびマルトビオン酸亜鉛から選択される少なくとも1つ以上である、(1)記載の暑熱ストレス緩和剤。
【0011】
(3) 飲食品である、(1)又は(2)記載の暑熱ストレス緩和剤。
【0012】
(4)熱疲労軽減剤である、(1)又は(2)記載の暑熱ストレス緩和剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、暑熱ストレスを緩和できる、暑熱ストレス緩和剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の暑熱ストレス緩和は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸及びその塩類からなる群から選択される少なくとも1つ以上のマルトビオン酸類を含む。
【0015】
本発明の暑熱ストレス緩和剤は、マルトビオン酸類を有効成分として含むため、後述する実施例に示されるように、暑熱ストレス環境下での発汗を有意に促進することができ、また、暑熱ストレス環境下での深部体温の上昇を有意に抑制することができる。また、発汗促進や深部体温の上昇抑制によって、熱疲労を軽減することができる。
したがって、本発明の暑熱ストレス緩和剤は、例えば、熱中症の発症やパフォーマンス低下の予防や改善のための、飲食品、飼料、医薬品等の経口組成物として使用できる。
本発明の暑熱ストレス緩和剤は、例えば、深部体温の上昇抑制剤、発汗促進剤や、熱疲労軽減剤として使用できる。
なお、本明細書において、暑熱ストレスとは、夏季や工場内等の高温環境下において、運動、労働や日常生活が、ヒトや家畜等の動物の身体に与える刺激(負荷)であり、暑熱ストレス環境下とは、暑熱ストレスに曝露されている状況である。
【0016】
4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸やその塩類による、発汗促進や深部体温上昇抑制のメカニズムは、次の機構であると考えられる。
【0017】
一般に、暑熱ストレスの緩和の有効な手段として、こまめな水分補給が挙げられるが、発汗時に水分とともに失われるナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウムなどのミネラルも同時に補給することが推奨されている。
特にミネラルの中でも、2価のカチオンであるカルシウムやマグネシウムは、生体内において体温調節機能の役割を担う一方で、腸管内において可溶化状態の維持がし辛く、吸収性に乏しいことが知られている。
【0018】
4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸やその塩類は、腸管内においてミネラルの可溶化状態を維持することで、体内へのカルシウムやマグネシウムなどの2価カチオンの効率的な吸収を促進する機能を持つ。このため、2価カチオンが持続的に体内に吸収されることで、体温調節に関わる神経伝達が正常な機能を維持して発汗が促され、深部体温の上昇が抑制されると考えられる。
【0019】
暑熱ストレス緩和剤が含むマルトビオン酸類は、4-O-α-D-グルコピラノシル-D-グルコン酸の一般式で表されるマルトビオン酸や、その塩類である。暑熱ストレス緩和剤は、マルトビオン酸及びその塩類の両方を含んでいてもよい。
塩の形態としては、カルシウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、カリウム塩、亜鉛塩、銅塩などが挙げられる。
暑熱ストレス緩和剤が含むマルトビオン酸類の形態に限定はなく、液体状でも、粉末状でもよく、液体状のマルトビオン酸類を賦形剤とともに粉末化し固形状としたものでもよい。
【0020】
マルトビオン酸類の含有量は、暑熱ストレス緩和剤の種類や形態などに応じて適宜設定できるが、例えば、暑熱ストレス緩和剤に対して、0.001質量%~100質量%、好ましくは0.01質量%~50質量%、より好ましくは0.05質量%~30質量%、特に好ましくは0.1質量%~30質量%である。例えば、暑熱ストレス緩和剤が錠剤等の固体の場合、マルトビオン酸類の含有量は、暑熱ストレス緩和剤(固体)に対して、好ましくは0.01質量%~50質量%、より好ましくは5質量%~30質量%である。また、暑熱ストレス緩和剤が清涼飲料水等の飲料の形態の場合、マルトビオン酸類の含有量は、暑熱ストレス緩和剤(飲料)に対して、好ましくは0.01質量%~30質量%、より好ましくは0.1質量%~5質量%である。
【0021】
本発明の暑熱ストレス緩和剤は、マルトビオン酸類のみを含むものでも、マルトビオン酸類とその他の成分とを含むものでもよい。
その他の成分としては、例えば、機能性成分、栄養補助成分、糖類、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、製造用剤が挙げられる。また、これら以外にも、種々の賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、水などの希釈剤、増量剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、添加物、調味料など、従来飲食品に含有される成分をその他の成分として用いることができる。その他の成分の含有量は、本発明の暑熱ストレス緩和剤の形態などに応じて適宜選択することができる。なお、暑熱ストレス緩和剤がマルトビオン酸類とは異なるその他の暑熱ストレス緩和成分をさらに含む場合は、マルトビオン酸類の含有量を減らしてもよい。
【0022】
本発明の暑熱ストレス緩和剤(例えば、飲食品、深部体温の上昇抑制剤、発汗促進剤、熱疲労軽減剤)の形態は特に限定されないが、例えば、経口用暑熱ストレス緩和剤とすることができる。経口用暑熱ストレス緩和剤の形態は特に限定されず、任意の形態とすることができる。例えば、経口摂取に適した形態、具体的には液体状、粉末状、粒状、顆粒状、錠状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、飴状、ペースト状、クリーム状、ハードカプセルやソフトカプセルのようなカプセル状、カプレット状、タブレット状、ゲル状、ゼリー状、グミ状、ウエハース状、ビスケット状、クッキー状、チュアブル状、シロップ状、スティック状などの各形態が挙げられる。
【0023】
本発明の暑熱ストレス緩和剤の使用方法は特に限定されないが、例えば、液状体の暑熱ストレス緩和剤である場合、そのまま、又は水などで希釈するなどして、飲むことにより経口摂取することができる。
また、暑熱ストレス緩和剤は、例えば、経口投与して用いられる。経口投与の対象は、例えば、ヒトや家畜等の動物である。
【0024】
暑熱ストレス緩和剤の摂取量は特に限定されず、摂取者(例えば、ヒトや家畜等の動物)の状態(例えば、年齢や、曝露する暑熱ストレスの程度)や摂取態様に応じて適宜設定され得るが、成人1日の摂取量は、例えば、マルトビオン酸類の質量換算で、摂取者の体重を基準として、5~400mg/kgであり、好ましくは10~200mg/kgであり、より好ましく20~100mg/kgである。
【0025】
本発明の暑熱ストレス緩和剤は、飲食品(健康志向の飲食品を含む、例えば、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等)であってもよく、飼料であってもよく、医薬用組成物(医薬品、医薬部外品等)であってもよい。
【実施例0026】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の課題を解決し得る限り、本発明は種々の態様をとることができる。
【0027】
<実施例1及び比較例1>清涼飲料水形態の暑熱ストレス緩和剤
(1)マルトビオン酸摂取による深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用の検証
マルトビオン酸を含有する被験試料またはプラセボ試料を被験者に摂取させ、暑熱ストレス環境下(室温30℃、湿度60%での運動負荷条件)での深部体温および発汗量を測定することで、マルトビオン酸の深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用を検証した。
【0028】
(2)被験試料の調製
ミネラルウォーター(サントリーフーズ株式会社製)、マルトースシロップ(サンエイ糖化株式会社製)、マルトビオン酸(サンエイ糖化株式会社製)を用い、表1に示す処方(配合量(g))で混合して、比較例1(プラセボ試料)及び実施例1(被験試料)の試料を調製した。
【0029】
【0030】
(3)マルトビオン酸摂取による深部体温上昇抑制作用の検証
健常成人男性9名(24歳~51歳)を被験者とし、同一素材の市販の長袖シャツ(グンゼ株式会社製)を着衣させた後、摂取する試料がプラセボ試料と被験試料のいずれかであるのかを被験者に知らせることなく、摂取させた。摂取後15分間安静にさせた後、室温30℃、相対湿度60%の環境下で、踏台昇降運動(高さ30cmの踏み台を1分間に20回昇降)による運動負荷を30分実施した。なお、試験はクロスオーバー単回投与の盲検試験とし、先にプラセボ試料を摂取された被験者には被験試料を、先に被験試料を摂取させた被験者にはプラセボ試料を摂取させ、同様に試験した。
【0031】
(4)評価項目および評価方法
評価指標は暑熱ストレス環境下(室温30℃、相対湿度60%での踏台昇降運動による運動負荷)の深部体温の変化および発汗量とした。深部体温は、非接触赤外線センサを使用した無線鼓膜温測定計(テクノネクスト株式会社、BL100)を用いて測定した。また、発汗量は、運動後の長袖シャツの重量から運動前の長袖シャツの重量を引くことにより算出した。
【0032】
(5)統計処理法
結果はすべて平均値±標準誤差で表し、2群間の有意差検定はstudent’s t-testにより、危険率5%にて有意差を判定した。
【0033】
(6)深部体温上昇温度の推移
試料摂取後の深部体温の上昇温度の推移を表2に示す。プラセボ試料(比較例1)と比べ、被験試料(実施例1)では運動負荷12分以降において深部体温上昇温度の有意な抑制が確認された。
【0034】
【0035】
(6)発汗量の比較
試料摂取後の発汗量の結果を表3に示す。比較例1と比べ、実施例1では発汗量の有意な増加が確認された。
【0036】
【0037】
<実施例2及び比較例2>清涼飲料水形態の暑熱ストレス緩和剤
(1)マルトビオン酸カルシウム摂取による深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用の検証
実施例1及び比較例1と同様の試験条件にてマルトビオン酸カルシウムの深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用を検証した。
【0038】
(2)被験試料の調製
ミネラルウォーター(サントリーフーズ株式会社製)、マルトース(林原株式会社製)、炭酸カルシウム(三共製粉株式会社製)マルトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会社製)を用い、表4に示す処方(配合量(g))で混合して、比較例2(プラセボ試料)及び実施例2(被験試料)の試料を調製した。
【0039】
【0040】
(3)マルトビオン酸カルシウム摂取試験
健常成人男性9名(24歳~51歳)を被験者とし、同一素材の市販の長袖シャツ(グンゼ株式会社製)を着衣させた後、摂取する試料がプラセボ試料と被験試料のいずれかであるのかを被験者に知らせることなく、摂取させた。摂取後15分間安静にさせた後、室温30℃、相対湿度60%の環境下で、踏台昇降運動(高さ30cmの踏み台を1分間に20回昇降)による運動負荷を30分実施した。なお、試験はクロスオーバー単回投与の盲検試験とし、先にプラセボ試料を摂取された被験者には被験試料を、先に被験試料を摂取させた被験者にはプラセボ試料を摂取させ、同様に試験した。
【0041】
(4)評価項目および評価方法
評価指標は暑熱ストレス環境下(室温30℃、相対湿度60%での踏台昇降運動による運動負荷)の深部体温の変化および発汗量とした。深部体温は、非接触赤外線センサを使用した無線鼓膜温測定計(テクノネクスト株式会社、BL100)を用いて測定した。また、発汗量は、運動後の長袖シャツの重量から運動前の長袖シャツの重量を引くことにより算出した。
【0042】
(5)統計処理法
結果はすべて平均値±標準誤差で表し、2群間の有意差検定はstudent’s t-testにより、危険率5%にて有意差を判定した。
【0043】
(6)深部体温上昇温度の推移
試料摂取後の深部体温の上昇温度の推移を表5に示す。比較例2と比べ、実施例2では運動負荷13分以降において深部体温上昇温度の有意な抑制が確認された。
【0044】
【0045】
(6)発汗量の比較
試料摂取後の発汗量の結果を表6に示す。比較例2と比べ、実施例2では発汗量の有意な増加が確認された。
【0046】
【0047】
また、表1~6に示すように、マルトビオン酸類を含む実施例1~2の試料は、深部体温上昇抑制作用や発汗促進作用を有するため、熱疲労を軽減できるといえる。
【0048】
<実施例3>錠剤形態の暑熱ストレス緩和剤
マルトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会社製)50質量部、全糖ぶどう糖(サンエイ糖化株式会社製、液状ぶどう糖を噴霧乾燥した白色の球状粉末)45質量部、クエン酸3質量部、ステアリン酸カルシウム1.5質量部、二酸化ケイ素0.5質量部を均一に混合し、定法に従って打錠し、一錠1000mgの錠剤形態の暑熱ストレス緩和剤を得た。得られた錠剤形態の暑熱ストレス緩和剤について、実施例2と同様にして、暑熱ストレス環境下(室温30℃、相対湿度60%での踏台昇降運動による運動負荷)の深部体温の変化および発汗量を測定したところ、深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用を発揮し、また、風味及び呈味ともに良好な暑熱ストレス緩和剤であった。また、マルトビオン酸カルシウムを含む実施例3の暑熱ストレス緩和剤は、深部体温上昇抑制作用や発汗促進作用を有するため、熱疲労を軽減できるといえる。
【0049】
<実施例4>清涼飲料水形態の暑熱ストレス緩和剤
マルトビオン酸カルシウム(サンエイ糖化株式会製)0.05質量部、砂糖10質量部、クエン酸0.15質量部、ミネラルウォーター89.8質量部を均一に溶解して、500mLの清涼飲料水形態の暑熱ストレス緩和剤を得た。得られた清涼飲料水形態の暑熱ストレス緩和剤について、実施例2と同様にして、暑熱ストレス環境下(室温30℃、相対湿度60%での踏台昇降運動による運動負荷)の深部体温の変化および発汗量を測定したところ、深部体温上昇抑制作用および発汗促進作用を発揮し、また、風味及び呈味ともに良好な暑熱ストレス緩和剤であった。また、マルトビオン酸カルシウムを含む実施例4の暑熱ストレス緩和剤は、深部体温上昇抑制作用や発汗促進作用を有するため、熱疲労を軽減できるといえる。
本発明の暑熱ストレス緩和剤は、発汗を促進でき、深部体温の上昇を抑制でき、例えば、暑熱ストレス環境下における、作業や運動時の熱中症の発症やパフォーマンスの低下予防や改善に有用である。