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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148074
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】両頭平面研削用ホイール
(51)【国際特許分類】
   B24D 7/02 20060101AFI20231005BHJP
   B24D 3/28 20060101ALI20231005BHJP
   B24D 3/34 20060101ALI20231005BHJP
   B24D 3/06 20060101ALI20231005BHJP
   B24B 7/17 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B24D7/02 B
B24D3/28
B24D3/34 Z
B24D3/06 B
B24B7/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055921
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004293
【氏名又は名称】株式会社ノリタケカンパニーリミテド
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】平野 和也
(72)【発明者】
【氏名】野村 玲一
(72)【発明者】
【氏名】金谷 航葵
【テーマコード(参考)】
3C043
3C063
【Fターム(参考)】
3C043BC06
3C043CC04
3C043CC11
3C043DD02
3C063AA02
3C063AB05
3C063BA02
3C063BA31
3C063BC02
3C063BC03
(57)【要約】
【課題】インフィード方式の両頭平面研削加工において、工作物(ワーク)の暴れ(振動)を抑え、従来よりも工作物の厚みのバラつきを小さく抑えることが可能な、両頭平面研削用ホイールを提供する。
【解決手段】工作物の両面をインフィード方式で同時に平面研削する両頭平面研削用ホイール100は、台金と、前記台金に固着された環状の砥粒層20を有し、砥粒層20が、第1の環状領域22と、第1の環状領域22の外周面に積層され、第1の環状領域22に比べて曲げ弾性率が低い第2の環状領域24を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の両面をインフィード方式で同時に平面研削する両頭平面研削用ホイールであって、
台金と、前記台金に固着された環状の砥粒層を有し、
前記砥粒層が、第1の環状領域と、前記第1の環状領域の外周面に積層され、前記第1の環状領域に比べて曲げ弾性率が低い第2の環状領域を有することを特徴とする両頭平面研削用ホイール。
【請求項2】
前記第2の環状領域の曲げ弾性率が、5GPa以上、30GPa以下である、請求項1に記載の両頭平面研削用ホイール。
【請求項3】
前記第2の環状領域の幅が、5mm以上、15mm以下である、請求項1または2に記載の両頭平面研削用ホイール。
【請求項4】
前記第1の環状領域が、砥粒をメタルボンドで結合させたメタルボンド層、または、砥粒をビトリファイドボンドで結合させたビトリファイドボンド層であり、
前記第2の環状領域が、砥粒をレジンボンドで結合させたレジンボンド層である、請求項1または2に記載の両頭平面研削用ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両頭平面研削用ホイールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
両頭平面研削では、一般的に、砥石として、円盤状の台金の一方の回転面に砥粒を含む砥粒層を設けたホイールが用いられ、2つのホイールの砥粒層を対向するように配置し、2つのホイールの間に工作物(ワーク)を通すことで両面を同時に研削する。この両頭平面研削には、スルーフィード方式とインフィード方式がある。スルーフィード方式は、対向したホイールに傾斜をつけ、ホイール間隔が広い側から狭い側へワークを送ることで加工する方式であり、ホイールの位置は固定されている。インフィード方式は、ホイール同士は平行に対向し、ホイール間の距離を変化させることでワークを加工するものである。インフィード方式では、加工開始時はワークの厚みよりホイール間距離が広く、ホイール間の距離を変化させワークにホイールを切り込ませながらワークを揺動することで加工を行い、加工終了時はワークの狙い寸法までホイール間距離が小さくなる。
【0003】
両頭平面研削用のホイール(研削砥石)として、特許文献1には、工作物の両面をスルーフィード方式で同時に平面研削する両頭平面研削に用いられる研削砥石であって、円筒状の砥石層が同心状に複数積層形成されてなるディスク砥石の形態とされて、このディスク砥石の平坦な円形状砥石面が、外径側から順次連続して同心状に配された円環状の粗研削領域、精研削領域および工作物の研削精度に影響を及ぼさない、相対的に粒度が小さい砥粒と柔らかめの結合剤により構成されているガイド領域からなる複数の研削領域を備えてなる両頭平面研削用研削砥石が開示されている。
【0004】
また、砥粒層が2層構造のホイールとして、特許文献2には、所要の間隔を存して所要角度傾斜した砥石面を設け、各傾斜砥石面の間の空間に炭化珪素を充填材とする樹脂物質を充填したスパイラル形消音砥石が開示されている。特許文献2では、スパイラル状に配したセグメントチップ間を樹脂で埋めることで、研削音および面粗さの低減を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許6445894号公報
【特許文献2】実開昭55-120464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
両頭平面研削は、加工面積が大きく、面加工である。そのため、一般的な平面研削等と比べると砥粒を食い込ませにくい傾向があり、高能率な加工のためには、砥粒がボンドに沈み込まないように高弾性率なメタルボンドが利用されている。しかしながら、メタルボンドは高弾性率であることから、ワークが暴れたときに衝撃を吸収できず、レジンボンドに比べてワーク精度が劣る問題があった。
【0007】
また、上記の通り、両頭平面研削のインフィード方式では、一対の両頭平面研削ホイール間にキャリアで保持されたワークが入り、ホイールが切り込みながらワークを揺動する。ワークの揺動では砥粒層の平面度を保つため、砥粒層全体を均一に摩耗させる必要があり、ワークの一部を砥粒層の外へオーバーハングする必要がある。オーバーハング時にはホイール間からワークの一部がはみ出した状態となり、ワークの保持が弱くなるためワークが暴れ(振動して)、ワーク精度が悪化しやすい問題があった。また、ワークが暴れると砥粒層表面をたたき、砥粒層の摩耗を促進させることで短寿命になるおそれがあった。
【0008】
特許文献1に記載のホイール(砥石)は、スルーフィード方式の加工に用いられるものである。この砥石を、インフィード方式に用いた場合は、高精度の加工が難しかった。
【0009】
また、特許文献2に記載のホイール(砥石)は、スパイラル状に配置されたメタルボンド層(セグメントチップ)にのみ超砥粒を含み、レジンボンド層(セグメントチップ間に充填される樹脂)には超砥粒を含まない。超砥粒を含まないレジンボンド層は、メタルボンド層より摩耗が多くなるため、直接ワークに接触して研削作用を示すことはなく、メタルボンド層でのみ研削加工される。その結果、研削音の低減はできるが、この砥石を、インフィード方式の両頭平面研削に用いた場合には、ワーク自身の暴れ(振動)を抑制することが難しく、十分なワーク精度を得ることが困難であった。
【0010】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、インフィード方式の両頭平面研削加工において、工作物(ワーク)の暴れ(振動)を抑え、従来よりも工作物の厚みのバラつきを小さく抑えることが可能な、両頭平面研削用ホイールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0012】
本発明にかかる両頭平面研削用ホイールは、工作物の両面をインフィード方式で同時に平面研削する両頭平面研削用ホイールであって、台金と、前記台金に固着された環状の砥粒層とを有し、前記砥粒層が、第1の環状領域と、前記第1の環状領域の外周面に積層され、前記第1の環状領域に比べて曲げ弾性率が低い第2の環状領域とを有することを特徴とする。
【0013】
このように、ホイールの砥粒層が、第1の環状領域と、前記第1の環状領域の外周面に積層され、前記第1の環状領域に比べて曲げ弾性率が低い第2の環状領域とを有することで、インフィード方式での両頭平面研削加工時に、ワークの揺動端で発生するワークの暴れ(振動)を、砥粒層の外周側に設けられた曲げ弾性率の低い第2の環状領域により緩和しつつ、第1の環状領域で高能率加工を行うことができる。また、砥粒層は砥粒を含む層であり、第1の環状領域および第2の環状領域はともに砥粒を含む。第2の環状領域が砥粒を含むことで第2の環状領域も摩耗しにくく、ワークの揺動端で発生するワークの暴れ(振動)を安定して緩和することができる。これにより、インフィード方式による両頭平面研削での加工時にワークの暴れによるワーク精度の悪化やホイールの短寿命を抑制できる。
【0014】
また、第2の環状領域の曲げ弾性率が、5GPa以上、30GPa以下であることが好ましい。第2の環状領域がこのような曲げ弾性率であるホイールを両頭平面研削に用いることで、ワークをより平行度の高いものに加工することができる。
【0015】
また、第2の環状領域の幅が5mm以上、15mm以下であることが好ましい。第2の環状領域がこのような幅であるホイールを両頭平面研削に用いることで、ワークをより平行度の高いものに加工することができ、加工性能の低下も抑制できる。
【0016】
また、第1の環状領域が、砥粒をメタルボンドで結合させたメタルボンド層、または、砥粒をビトリファイドボンドで結合させたビトリファイドボンド層であり、第2の環状領域が、砥粒をレジンボンドで結合させたレジンボンド層であることが好ましい。このような構成とすることで、第1の環状領域と第2の環状領域の曲げ弾性率を所望の大きさに制御しやすい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インフィード方式の両頭平面研削加工において、工作物(ワーク)の暴れ(振動)を抑え、従来よりも工作物の厚みのバラつきを小さく抑えることが可能な、両頭平面研削用ホイールが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかる両頭平面研削用ホイール100の平面図である。
図2】本発明にかかる両頭平面研削用ホイール100の正面図である。
図3】本発明にかかる両頭平面研削用ホイール100の底面図である。
図4図1のAA線の断面図である。
図5】両頭平面研削用ホイール100の研削時の状態を説明するための図である。
図6】従来の両頭平面研削用ホイールの研削時の状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施の形態の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。また、図1~6で共通する要素には同符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0020】
[実施の形態1]
図1は本発明にかかる両頭平面研削用ホイール100の平面図、図2は正面図、図3は底面図、図4図1のAA線の断面図である。図1図4に示すように、両頭平面研削用ホイール100は、台金10と、第1の環状領域22および第2の環状領域24を有する環状の砥粒層20を有する。
【0021】
(台金10)
図2図3に示すように、台金10は、円盤状であり、円の中心を貫通する取付穴12を有する。台金10は、砥粒層20を保持できる材質で形成されており、たとえば、鉄製やアルミニウム製などの金属製である。寸法は、外径(D)が250~1000mmや250~950mmである。
【0022】
(砥粒層20)
図1図2図4に示すように、砥粒層20は、台金10と同一の軸心Cを有する環状の層であり、台金10の上面(回転面)10sに固着されており、砥粒層20の軸心C方向の上面が研削面20sを構成する。
【0023】
また、砥粒層20は、第1の環状領域22と、第1の環状領域22の外周面22oに積層される第2の環状領域24を有する。第1の環状領域22と第2の環状領域24の厚さは同じであり、第1の環状領域22の軸心C方向の上面22sおよび第2の環状領域24の軸心C方向の上面24sは同一の平面をなし、研削面20sを構成している。
【0024】
(第1の環状領域22)
第1の環状領域22は、砥粒とメタルボンドを混ぜて焼成し成形された、砥粒とメタルボンドを含むメタルボンド層である。砥粒はメタルボンドで結合され、メタルボンド層中に分散している。第1の環状領域22は、メタルボンドを40体積%以上含有する組織であるが、第2の環状領域24に対して曲げ弾性率を高いものとできれば、これに限定されるものではない。メタルボンドは、Cu、Sn、Co、Fe、W、Niやその合金等を用いることができる。第1の環状領域22中の砥粒は、ダイヤモンドおよび/または立方晶窒化ホウ素である。第1の環状領域22において、砥粒の粒度は、#80~400であり、集中度は25~125である。このような粒度、集中度とすることで、両頭平面研削に適したものとできる。
【0025】
第1の環状領域22の曲げ弾性率は、20~80GPaや、35~80GPaなどとすることができる。なお、第1の環状領域22の曲げ弾性率は、第1の環状領域22と同じ構成の試験片をJIS Z 2248:2014に準拠した3点曲げ試験によって測定された値である。
【0026】
(第2の環状領域24)
第2の環状領域24は、砥粒とレジンボンドを混ぜて焼成し成形された、砥粒とレジンボンドを含むレジンボンド層であり、緩衝層として機能する。砥粒はレジンボンドで結合され、レジンボンド層中に分散している。第2の環状領域24は、レジンボンドを30体積%以上含有する組織であるが、第1の環状領域22に対して曲げ弾性率を低いものとできれば、これに限定されるものではない。レジンボンドは、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、イミド樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。第2の環状領域24中の砥粒は、ダイヤモンドおよび/または立方晶窒化ホウ素である。第2の環状領域24において、砥粒の粒度は#80~400であり、集中度は25~125である。このような粒度、集中度とすることで、両頭平面研削に適した砥石とできる。
【0027】
第2の環状領域24は、第1の環状領域22よりも低い曲げ弾性率を有する。第2の環状領域24の曲げ弾性率は、2~30GPaであり、5~30GPaが好ましい。なお、本願において、第2の環状領域の曲げ弾性率は、第2の環状領域24と同じ構成の試験片をJIS K 7171:2016に準拠した3点曲げ試験によって測定された値である。第2の環状領域24の曲げ弾性率が低すぎると、加工性能が低下する傾向がある。また、第2の環状領域24の曲げ弾性が高すぎると、工作物の暴れやばたつきを緩和する効果が得られにくくなる。
【0028】
砥粒層20の厚さは1~10mmであり、砥粒層20の幅W(図4参照)は、30~475mmである。第1の環状領域22の幅W1は、15~472mmであり、15~470mmが好ましい。第2の環状領域24の幅W2は、3~20mmであり、例えば、5~15mmが好ましい。
【0029】
なお、第1の環状領域22中の砥粒と第2の環状領域24の中の砥粒は、同一であっても、異なるものであってもよいが、同一であることが好ましい。第1の環状領域22中の砥粒と第2の環状領域24中の砥粒の粒度や集中度も、同一であっても、異なるものであってもよいが、同一または近い粒度および集中度であることが好ましい。
【0030】
また、所望の弾性率とするために、第1の環状領域22および第2の環状領域24はそれぞれ独立に、フィラーを含んでもよい。フィラーとしては、グラファイトなどの炭素材料、アルミナ、酸化クロムなどの金属酸化物、炭化ケイ素などを用いることができる。
【0031】
ホイール100は、例えば、台金10、第1の環状領域22および第2の環状領域24を、ホットプレスにて一体成形させ直付けすることで得られる。また、接着剤の厚みを薄く(50~200μm程度)して、接着剤により台金10、第1の環状領域22および第2の環状領域24を接着させてもよい。接着剤の厚みが十分に薄ければ、直付けの場合と同等の性質を発揮できる。
【0032】
(両頭平面研削用ホイールを用いた研削方法)
ホイール100は、工作物(ワーク)にホイールを切り込ませるとともにワークを揺動させるインフィード方式での両頭平面研削に用いられる。また、ホイール100は一対で用いられるものであり、一対のホイール100、100の研削面20s、20sを平行に対向するように両頭平面研削盤の回転軸に取り付けて用いることができる。
【0033】
具体的には、図5に示すように、平行に配置された一対のホイール100、100の間に、キャリア(図示せず)に保持したワーク30を挿入し、回転するホイール100を切り込ませながらワーク30を揺動させる。ホイール100を用いることで、ワーク30がホイール100、100の間を挿入されるときにワーク30の揺動端で発生するワーク30の暴れを第2の環状領域24によって緩和することができ、得られるワーク30の精度が改善する。また、ホイール100の砥粒層20の平面度を保つため、ワーク30の一部が砥粒層20の外へオーバーハングする(はみ出す)ようにワーク30を往復運動させ、研削することができる。この場合も、研削中にワーク30がホイール100、100の間を出入りするときのワーク30の揺動端で発生する暴れを緩和することができる。
【0034】
一方、台金10上にメタルボンド層22のみを端部まで固着させた従来のホイール110では、図6に示すように、ワーク30がホイール110、110の間を出入りするときにワーク30の揺動端で発生する暴れによって、ワーク30の精度が低下しやすい。
【0035】
なお、上記説明した両頭平面研削用ホイール100は、本発明に係る両頭平面研削用ホイールを例示するものであり、本発明に係る両頭平面研削用ホイールは前記の両頭平面研削用ホイール100に限定されない。
例えば、両頭平面研削用ホイール100は、第1の環状領域22が、砥粒とメタルボンドを含むメタルボンド層であるが、メタルボンド層に代えて、砥粒とビトリファイドボンドを含むビトリファイドボンド層としてもよい。この場合、砥粒はメタルボンド層と同様のものを用いることができ、ビトリファイドボンドとしては、ホウ珪酸ガラス、結晶化ガラス、石英ガラス等のガラス質を用いることができ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用して用いてもよい。また、ビトリファイドボンド層は、メタルボンド層と同様にフィラーを含んでもよい。
【実施例0036】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1-1~実施例1-5]
図1図4に示す構造の両頭平面研削用ホイールを両頭平面研削盤に取り付けて研削試験を行い、ワーク平行度および電流値(切れ味)を評価した。
【0038】
(1)ホイールの第1の環状領域、第2の環状領域および台金の構成
・第1の環状領域:合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度N、集中度50、ブロンズ系メタルボンド、弾性率50GPa
・第2の環状領域:合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度P、集中度50、フェノール系レジンボンド、弾性率25GPa
・台金:アルミニウム
【0039】
(2)ホイールの寸法
・D:305mm
・W:75mm
・W2:3~20mm(表2参照)
【0040】
(3)加工条件
下記表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
(4)ワーク平行度(μm)
研削後のワーク平行度(μm)は、マイクロメーターを用いて測定した。
【0043】
(5)電流値(切れ味)
ホイールを取り付けた両頭平面研削盤のモーターの電流値を切れ味の指標とした。電流値は、数値が大きい程、切れ味(加工性能)が低下していることを表す。
【0044】
[比較例1]
第2の環状領域を設けずに、砥粒層をメタルボンド層(合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度N、集中度50、ブロンズ系メタルボンド、弾性率50GPa)で形成したBM1層ホイール(D:305mm、W:75mm)を用いて、実施例1-1~実施例1-5と同様にして、研削試験を行った。
【0045】
表2に、実施例1-1~実施例1-5、比較例1のワーク平行度と電流値の結果を示す。
【0046】
【表2】
【0047】
比較例1のホイール(BM1層ホイール)を用いた場合は、ワーク平行度が10μmであった。これに対し、第2の環状領域を設けた実施例1-1~実施例1-5のホイールではワークの平行度が改善した。第2の環状領域の幅を5mm以上とすることで、ワークの平行度がさらに改善した。
【0048】
[実施例2-1]
(1)ホイールの第1の環状領域、第2の環状領域および台金の構成
・第1の環状領域:合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度N、集中度50、ブロンズ系メタルボンド、弾性率45GPa
・第2の環状領域:合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度P、集中度50、ポリイミド系レジンボンド、弾性率2GPa
・台金:アルミニウム
【0049】
(2)ホイールの寸法
・D:305mm
・W:75mm
・W2:10mm
【0050】
[実施例2-2~実施例2-5]
第2の環状領域のレジンボンドの種類を変更し、フェノール系レジンボンドとフィラーを用いた以外は実施例2-1と同様にして、実施例2-2~実施例2-5のホイールとした。また、実施例2-2~実施例2-5は、フィラーの量を調整し、弾性率が5~30GPa(表3参照)となるようにした。
【0051】
[比較例2]
第2の環状領域を設けずに、砥粒層をメタルボンド層(合成ダイヤモンド砥粒(粒度#140)、結合度N、集中度50、ブロンズ系メタルボンド、弾性率45GPa)で形成したBM1層ホイール(D:305mm、W:75mm)を用いた。
【0052】
実施例2-1~実施例2-5、比較例2のホイールを用いて、実施例1と同様に研削試験を行い、ワーク平行度および電流値(切れ味)を評価した。表3に、実施例2-1~実施例2-5、比較例2のワーク平行度と電流値の結果を示す。
【0053】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る両頭平面研削用ホイールは、両頭平面研削で加工作業を行う産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 台金
10s、22s、24s 上面
12 取付穴
20 砥粒層
20s 研削面
22 第1の環状領域
22o 外周面
24 第2の環状領域
30 ワーク
100 ホイール
図1
図2
図3
図4
図5
図6