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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148103
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/02 20160101AFI20231005BHJP
【FI】
H02P29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055963
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】390000996
【氏名又は名称】株式会社ハイレックスコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】青山 宏文
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB08
5H501CC04
5H501DD06
5H501HA01
5H501HA05
5H501HA07
5H501KK07
5H501LL01
5H501LL22
5H501MM02
(57)【要約】
【課題】駆動装置を制御する制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置1は、駆動装置4を駆動する駆動部10と、駆動部10を制御する制御部20と、グランドライン69Aと接続されると共に、制御部20の接地端子21が接続される制御グランド部31、及びグランドライン69Aと互いに共通する部分を有しない状態で、グランドライン61Bと接続されると共に、駆動部10の接地端子14が接続される駆動グランド部32を有する基板30と、制御グランド部31と駆動グランド部32とに亘って設けられ、制御グランド部31と駆動グランド部32との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は制御グランド部31と駆動グランド部32との電位差を予め設定された値以下にする電位差維持状態となり、電流の電流値が所定の値より大きい場合は電流を遮断する遮断状態となる状態切替部40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置から供給される電力に基づいて、駆動装置を駆動する駆動部と、
前記電源装置から前記電力が供給され、前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部及び前記制御部が実装され、前記電源装置から前記制御部に電力供給を行う電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記制御部の接地端子が電気的に接続される制御グランド部、及び前記制御グランド部と分離して形成され、前記電源装置から前記制御部への電力供給に用いる前記電源ラインが有する前記グランドラインと互いに共通する部分を有しない状態で、前記電源装置から前記駆動部への電力供給に用いる電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記駆動部の接地端子が電気的に接続される駆動グランド部を有する基板と、
前記制御グランド部と前記駆動グランド部とに亘って設けられ、前記制御グランド部と前記駆動グランド部との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は前記制御グランド部と前記駆動グランド部との電位差を予め設定された値以下にする電位差維持状態となり、前記電流の電流値が前記所定の値より大きい場合は前記電流を遮断する遮断状態となる状態切替部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、車両のドアを開閉するモータである請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記状態切替部は、前記遮断状態になった場合において、前記電流の電流値が、前記所定の値以下となったときは、自動的に前記電位差維持状態に移行する請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記状態切替部は、前記電流の電流値に応じて導通状態が切り替わる電流制限素子と、当該電流制限素子と直列に接続された抵抗器とを有する請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、第1駆動装置及び第2駆動装置であって、
前記駆動部は、前記第1駆動装置を駆動する第1駆動部及び前記第2駆動装置を駆動する第2駆動部を備え、
前記駆動グランド部は、前記電源装置から前記第1駆動部に電力供給を行う電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記第1駆動部の接地端子が電気的に接続される第1駆動グランド部、及び前記電源装置から前記第1駆動部への電力供給に用いる前記電源ラインが有する前記グランドラインと互いに共通する部分を有しない状態で、前記電源装置から前記第2駆動部への電力供給に用いる電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記第2駆動部の接地端子が電気的に接続される第2駆動グランド部を備え、
前記状態切替部は、前記第1駆動グランド部、前記第2駆動グランド部、及び前記制御グランド部のうち、いずれか2つに亘って設けられる第1状態切替部と、前記第1駆動グランド部、前記第2駆動グランド部、及び前記制御グランド部のうち、前記いずれか2つとは異なる他の1つと前記いずれか2つのうちの一方とに亘って設けられる第2状態切替部と、を備える請求項1又は2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置を制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばモータ等の駆動装置を制御する制御装置が利用されている。このような制御装置にあっては、複数のスイッチング素子を有し、これらのスイッチング素子の開閉状態を切り替えて直流電源の出力の周波数を所定の周波数に変換する周波数変換部(例えば、インバータやブリッジ等)や、周波数変換部が有するスイッチング素子の開閉状態を制御する制御部を有して構成されているものがある。例えば高効率化の観点から、周波数変換部及び制御部の消費電流が低減されているが、機能上、周波数変換部の消費電流は制御部の消費電流に比べて著しく大きなものとなる。このため、周波数変換部の接地端子が接続されるグランドと制御部の接地端子が接続されるグランドとを共通にした共通グランドを形成すると、周波数変換部から直流電源へ戻るリターン電流に応じて共通グランドの電位が上昇し、これにより制御部の接地端子の電位が上昇することから制御部や周波数変換部が誤動作する可能性がある。そこで、このような誤動作を防止する技術が検討されてきた(例えば特許文献1及び2)。以下、この背景技術の説明では、特許文献1及び2における名称及び符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1には、車両に搭載される電源システム(100)が記載されている。この電源システム(100)は、12V系を出力する二次電池(E1)を有し、12V系の負荷(200)に電圧を供給する第1電源装置と、48V系を出力する二次電池(E2-E5)を有し、48V系の負荷(300)に電圧を供給する第2電源装置と、第2電源装置が有する二次電池(E2-E5)を管理する電池管理装置(10)と、を備えて構成され、第1電源装置、第2電源装置、及び電池管理装置(10)のグランド線が共通となっている。このグランド線は、第1電圧系側の回路において、接地された第1のシャーシアース(CE1)に接続され、第2電圧系側の回路において、接地された第2のシャーシアース(CE2)に接続される。また、グランド線には、PTCサーミスタ(T1)が設けられ、大電流が流れた場合に自己発熱に応じた抵抗値の上昇により電流を制限するように構成されている。
【0004】
特許文献2には、車両に搭載される電動パワーステアリング(100)が備える電子制御装置(200)が記載されている。この電子制御装置(200)は、バッテリ(220)と接続される第1電源コネクタ(208A)及び第1グランドコネクタ(210A)と、バッテリ(220)と接続される第2電源コネクタ(208B)及び第2グランドコネクタ(210B)と、第1電源コネクタ(208A)及び第1グランドコネクタ(210A)に接続され、電動モータ(180)を駆動する第1インバータ(204A)と、第2電源コネクタ(208B)及び第2グランドコネクタ(210B)に接続され、電動モータ(180)を駆動する第2インバータ(204B)と、第1電源コネクタ(208A)及び第1グランドコネクタ(210A)に接続され、第1インバータ(204A)を制御する第1制御回路(206A)と、第2電源コネクタ(208B)及び第2グランドコネクタ(210B)に接続され、第2インバータ(204B)を制御する第2制御回路(206B)と、を備えて構成され、第1インバータ(204A)のグランド、第2インバータ(204B)のグランド、第1グランドコネクタ(210A)及び第2グランドコネクタ(210B)のグランドが共通化され、第1グランドコネクタ(210A)と共通グランド(216)とを接続する第1電路(366A)に第1電路(366A)を流れる電流を制限する第1PTC素子(400A)が設けられ、第2グランドコネクタ(210B)と共通グランド(216)とを接続する第2電路(366B)に第2電路(366B)を流れる電流を制限する第2PTC素子(400B)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-187730号公報
【特許文献2】特開2020-48371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、互いに異なる第1電源装置の二次電池(E1)及び第2電源装置の二次電池(E2-E5)からの電力供給を監視して遮断する。このため、例えば第1電源装置を構成する降圧回路(13)と制御回路(12)とを独立して監視したり、第2電源装置を構成するDCDCコンバータ(20)と当該DCDCコンバータ(20)の制御回路とを独立して監視したりすることまで想定されていない。すなわち、特許文献1に記載の技術は、駆動回路を構成する駆動部と制御回路を構成する制御部とを別々に監視することまで想定されていない。
【0007】
特許文献2に記載の技術は、第1インバータ(204A)のグランド及び第1制御回路(206A)のグランドが接続された接続点(A)と第1グランドコネクタ(210A)との間に第1PTC素子(400A)が設けられ、第2インバータ(204B)のグランド及び第2制御回路(206B)のグランドが接続された接続点(B)と第2グランドコネクタ(210B)との間に第2PTC素子(400B)が設けられている。このため、常時、第1PTC素子(400A)及び第2PTC素子(400B)に電流が流れるため、第1インバータ(204A)及び第1制御回路(206A)の夫々の部品ばらつきを考慮して設定すると共に、第2インバータ(204B)及び第2制御回路(206B)の夫々の部品ばらつきを考慮して設定する必要がある。したがって、第1PTC素子(400A)及び第2PTC素子(400B)により制限する電流の電流値の設定を容易に行うことができない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動部と制御部とを別々に監視でき、電流制限を行う電流値の設定を容易に行うことが可能な制御装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る制御装置の特徴構成は、
電源装置から供給される電力に基づいて、駆動装置を駆動する駆動部と、
前記電源装置から前記電力が供給され、前記駆動部を制御する制御部と、
前記駆動部及び前記制御部が実装され、前記電源装置から前記制御部に電力供給を行う電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記制御部の接地端子が電気的に接続される制御グランド部、及び前記制御グランド部と分離して形成され、前記電源装置から前記制御部への電力供給に用いる前記電源ラインが有する前記グランドラインと互いに共通する部分を有しない状態で、前記電源装置から前記駆動部への電力供給に用いる電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記駆動部の接地端子が電気的に接続される駆動グランド部を有する基板と、
前記制御グランド部と前記駆動グランド部とに亘って設けられ、前記制御グランド部と前記駆動グランド部との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は前記制御グランド部と前記駆動グランド部との電位差を予め設定された値以下にする電位差維持状態となり、前記電流の電流値が前記所定の値より大きい場合は前記電流を遮断する遮断状態となる状態切替部と、
を備えている点にある。
【0010】
上記特徴構成によれば、制御グランド部と駆動グランド部との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は制御グランド部と駆動グランド部との電位差を、予め設定された値以下にして、各グランド部に電流(電源装置へのリターン電流)を流すことができ、また、制御グランド部と駆動グランド部との間を流れる電流の電流値が所定の値よりも大きくなる異常時(例えば断線時)は、状態切替部により、制御グランド部と駆動グランド部とを分離することができる。したがって、異常時において、制御グランド部及び駆動グランド部の一方から他方へ電流が流れることによる、制御部や駆動部を構成する部品や他の機能部が有する部品の劣化を防止できる。また、基板において、駆動部の接地端子が接続された駆動グランド部と制御部の接地端子が接続された制御グランド部とが、互いに分離した状態で構成されているので、駆動グランド部を流れる電流と制御グランド部を流れる電流とを別々に監視できる。したがって、駆動グランド部及び制御グランド部の夫々を流れる電流を制限する電流値の設定を容易に行うことが可能となる。
【0011】
本発明に係る制御装置の別の特徴構成は、前記駆動装置は、車両のドアを開閉するモータである点にある。
【0012】
上記特徴構成によれば、車両のドアを開閉するモータや、当該モータを駆動する駆動部にあたるブリッジ回路を接続する電源ケーブルが断線した場合であっても、モータやブリッジ回路に過電流が流れることを防止できる。したがって、モータやブリッジ回路を保護することが可能となる。
【0013】
本発明に係る制御装置の更に別の特徴構成は、前記状態切替部は、前記遮断状態になった場合において、前記電流の電流値が、前記所定の値以下となったときは、自動的に前記電位差維持状態に移行する点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、遮断状態となった原因がなくなった場合に、状態切替部により、自動的に、制御グランド部と駆動グランド部とを電気的に接続することができる。
【0015】
本発明に係る制御装置の更に別の特徴構成は、前記状態切替部は、前記電流の電流値に応じて導通状態が切り替わる電流制限素子と、当該電流制限素子と直列に接続された抵抗器とを有する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、例えば抵抗器の抵抗値を適切に設定することで、電源ケーブル等が断線していない状態においては、制御グランド部と駆動グランド部との間を流れる電流を、微小なものにする(略零にする)ことができる。したがって、断線が生じていない場合においても、制御部や駆動部を構成する部品や他の機能部の部品に、想定外の電流が流れることがないので、これらの部品の劣化を抑制し、寿命が短くなることを防止できる。
【0017】
本発明に係る制御装置の更に別の特徴構成は、
前記駆動装置は、第1駆動装置及び第2駆動装置であって、
前記駆動部は、前記第1駆動装置を駆動する第1駆動部及び前記第2駆動装置を駆動する第2駆動部を備え、
前記駆動グランド部は、前記電源装置から前記第1駆動部に電力供給を行う電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記第1駆動部の接地端子が電気的に接続される第1駆動グランド部、及び前記電源装置から前記第1駆動部への電力供給に用いる前記電源ラインが有する前記グランドラインと互いに共通する部分を有しない状態で、前記電源装置から前記第2駆動部への電力供給に用いる電源ラインが有するグランドラインと電気的に接続されると共に、前記第2駆動部の接地端子が電気的に接続される第2駆動グランド部を備え、
前記状態切替部は、前記第1駆動グランド部、前記第2駆動グランド部、及び前記制御グランド部のうち、いずれか2つに亘って設けられる第1状態切替部と、前記第1駆動グランド部、前記第2駆動グランド部、及び前記制御グランド部のうち、前記いずれか2つとは異なる他の1つと前記いずれか2つのうちの一方とに亘って設けられる第2状態切替部と、を備える点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、駆動部が第1駆動部及び第2駆動部の2つを含んでいる場合でも、第1駆動グランド部と第2駆動グランド部と制御グランド部との電位差を予め設定された値以下にし、仮に異常が生じた場合でも、第1駆動グランド部と第2駆動グランド部と制御グランド部とのいずれか一つから、他の2つ又は他の2つのうちの一方に対して電流が流れることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態の制御装置が制御する駆動装置を備えた車両を示す図である。
図2】第1の実施形態の制御装置の構成を示す図である。
図3】第2の実施形態の制御装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.第1の実施形態
本発明に係る制御装置は、例えばモータのような駆動装置を制御する。以下、本実施形態の制御装置1について説明する。
【0021】
図1は、制御装置1が搭載された車両100の斜視図である。制御装置1は、図1に示される車両100のドア2を開閉する駆動装置4を制御する。本実施形態では、ドア2は図1に示されるようにバックドア(テールゲート)が相当するが、ドア2は車両100の側方に設けられたスライドドアであってもよいし、ヒンジドアであってもよい。また、スライドドア及びヒンジドアは、車両100の左側及び右側の少なくともいずれか一方のものでよい。
【0022】
図2は、本実施形態の制御装置1の構成を示した図である。図2に示されるように、制御装置1は、駆動部10、制御部20、基板30、状態切替部40を備えて構成されている。
【0023】
駆動部10は、電源装置3から供給される電力に基づいて、駆動装置4を駆動する。電源装置3とは、例えば車両100に搭載されるバッテリである。バッテリの出力を所定の電圧値の電圧に変換して制御装置1に供給される場合には、電圧変換部が電源装置3に相当する。本実施形態では、電源装置3はバッテリであることから、電源装置3から供給される電力とは、バッテリから出力される電力にあたる。駆動装置4とは、ドア2を開閉するためのモータが相当する。ここで、図1に示されるように、車両100の後方から見て、ドア2の左端側には、ドア2を開閉可能に支持するダンパー5が設けられている。駆動装置4は、このダンパー5が内蔵される駆動機構を伸縮させる動力源にあたる。したがって、駆動部10は、バッテリから出力される電力に基づいて、ドア2を開閉するためのモータを駆動する。
【0024】
ここで、特に限定されるものではないが、ドア2を開閉するためのモータとしては、例えばブラシ付きDCモータが利用される。この場合には、駆動部10は、ブラシ付きDCモータへの通電に適したHブリッジ(Hブリッジ回路)が採用される。もちろん、駆動部10は、駆動装置4の構成に適したものでよく、例えば駆動装置4が三相モータであれば、駆動部10はインバータ(三相インバータ)を採用するとよい。
【0025】
図2の例では、駆動部10は本体部分(モールド部分)16から突出する5つの端子11,12,13,14,15を有する。本例では、駆動部10の3ピンにあたる端子13は、基板30に形成されたパターンP1により基板30に実装されたコネクタ63の端子63Aに接続される。また、駆動部10の4ピンにあたる端子14は、基板30に形成されたパターンP2及びパターンP3によりコネクタ63の端子63Bに接続される。コネクタ63の端子63A及び端子63Bは、夫々、コネクタ62を介して正ライン61A及び負ライン61Bの一方の端子に接続される。正ライン61A及び負ライン61Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の正端子3P及び負端子3Nに接続される。正ライン61A及び負ライン61Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン61に相当する。
【0026】
駆動部10の1ピンにあたる端子11は、基板30に形成されたパターンP4により基板30に実装されたコネクタ64の端子64Bに接続され、駆動部10の2ピンにあたる端子12は、基板30に形成されたパターンP5によりコネクタ64の端子64Cに接続される。コネクタ64の端子64B及び端子64Cは、夫々、コネクタ65を介してケーブル66B及びケーブル66Cの一方の端子に接続される。ケーブル66B及びケーブル66Cの他方の端子は、夫々、駆動装置4の端子4B及び端子4Cに接続される。また、本実施形態では、駆動装置4の端子4Aがケーブル66A及びコネクタ65を介してコネクタ64の端子64Aに接続される。
【0027】
制御部20は、電源装置3から電力が供給され、駆動部10を制御する。本実施形態では、電源装置3とは車両100に搭載されるバッテリであって、上述した駆動部10に電力を供給するバッテリと同じものである。制御部20は、駆動部10が有する複数のスイッチング素子(図示せず)の開閉状態を制御する制御信号を駆動部10に伝達して駆動部10を制御する。
【0028】
図2の例では、制御部20は本体部分(モールド部分)26から突出する5つの端子21,22,23,24,25を有する。本例では、制御部20の5ピンにあたる端子25と駆動部10の5ピンにあたる端子15とが基板30に形成されたパターンP6により接続され、このパターンP6を介して制御部20から駆動部10に制御信号が伝達される。
【0029】
本例では、制御部20の2ピンにあたる端子22は、基板30に形成されたパターンP7により基板30に実装されたコネクタ67の端子67Bに接続される。また、制御部20の1ピンにあたる端子21は、基板30に形成されたパターンP8及びパターンP9によりコネクタ67の端子67Aに接続される。コネクタ67の端子67A及び端子67Bは、夫々、コネクタ68を介して負ライン69A及び正ライン69Bの一方の端子に接続される。負ライン69A及び正ライン69Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の負端子3N及び正端子3Pに接続される。負ライン69A及び正ライン69Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン69に相当する。
【0030】
制御部20の3ピンにあたる端子23は、基板30に形成されたパターンP10により基板30に実装されたコネクタ67の端子67Cに接続される。コネクタ67の端子67Cは、夫々、コネクタ68及びケーブル70を介して、例えば上位システム(図示せず)に接続される。本例では、このケーブル70を介して上位システムから制御部20に、ドア2の開閉を行う操作指示情報が入力される。
【0031】
制御部20の4ピンにあたる端子24は、基板30に形成されたパターンP11によりコネクタ64の端子64Aに接続される。これにより、制御部20の端子24と駆動装置4の端子4Aとが接続され、駆動装置4から制御部20に運転中の情報(例えば駆動装置4の回転数を示す回転数情報、駆動装置4を流れる電流の電流値を示す電流値情報)が伝達される。
【0032】
基板30には、上述した駆動部10及び制御部20が実装される。駆動部10及び制御部20は、夫々、上述したように複数の端子を備えているが、これらの端子と基板30に形成されたランドとを半田付けにより実装するとよい。
【0033】
基板30は、制御グランド部31、及び駆動グランド部32を有する。制御グランド部31は、電源装置3から制御部20に電力供給を行う電源ライン69が有するグランドラインと電気的に接続されると共に、制御部20の接地端子が電気的に接続される。電源装置3から制御部20に電力供給を行う電源ライン69は、上記のように負ライン69A及び正ライン69Bを有する。電源ライン69が有するグランドラインとは、負ライン69Aが相当する。制御部20の接地端子とは、本例では制御部20の端子21である。したがって、制御グランド部31は、負ライン69A及び制御部20の端子21と同電位であるパターンP8及びパターンP9が含まれる。
【0034】
また、図2に示されるように、基板30には、パターンP8及びパターンP9から後述する状態切替部40に向かって分岐するパターンP11が形成されている。このパターンP11は、パターンP8及びパターンP9と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、制御グランド部31に含まれる。
【0035】
駆動グランド部32は、制御グランド部31と電気的に分離して形成される。制御グランド部31とは、本例ではパターンP8、パターンP9、及びパターンP11にあたる。駆動グランド部32は、これらのパターンP8、パターンP9、及びパターンP11と、直接、接続されない状態で形成される。直接、接続されない状態とは、パターンニングにより接続されていない状態をいい、本例では部品を介して接続されている状態は、直接、接続されない状態から除かれる。
【0036】
駆動グランド部32は、電源装置3から制御部20への電力供給に用いる電源ライン69が有するグランドラインと互いに共通する部分を有しない状態で、電源装置3から駆動部10への電力供給に用いる電源ライン61が有するグランドラインと電気的に接続されると共に、駆動部10の接地端子が電気的に接続される。電源装置3から制御部20への電力供給に用いる電源ライン69が有するグランドラインとは、電源ライン69の負ライン69Aである。互いに共通する部分を有しない状態とは、互いに直列接続された部分を有さない状態、すなわち互いに並列接続された状態であることを意味する。電源装置3から駆動部10への電力供給に用いる電源ライン61が有するグランドラインとは、負ライン61Bが相当する。駆動部10の接地端子とは、本例では駆動部10の端子14である。したがって、駆動グランド部32は、負ライン61B及び駆動部10の端子14と同電位であるパターンP2及びパターンP3が含まれる。
【0037】
また、図2に示されるように、基板30には、パターンP2及びパターンP3から後述する状態切替部40に向かって分岐するパターンP12が形成されている。このパターンP12は、パターンP2及びパターンP3と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、駆動グランド部32に含まれる。
【0038】
状態切替部40は、制御グランド部31と駆動グランド部32とに亘って設けられる。上述したように、本実施形態では、制御グランド部31は、パターンP8、パターンP9、及びパターンP11から構成され、駆動グランド部32は、パターンP2、パターンP3、及びパターンP12から構成される。また、制御グランド部31と駆動グランド部32とは、互いに分離して形成される。状態切替部40は、このように互いに分離して形成される制御グランド部31と駆動グランド部32とにおいて、一方の端部40Aが制御グランド部31に接続され、他方の端部40Bが駆動グランド部32に接続される。本実施形態では、一方の端部40AがパターンP11に接続され、他方の端部40BがパターンP12に接続される。
【0039】
状態切替部40は、電位差維持状態と遮断状態とに亘って状態が切り替わるように構成されている。電位差維持状態とは、制御グランド部31と駆動グランド部32との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は制御グランド部31と駆動グランド部32との電位差を予め設定された値以下にする状態である。制御グランド部31と駆動グランド部32との間を流れる電流とは、状態切替部40を介して、制御グランド部31及び駆動グランド部32の一方から他方に向かって流れる電流である。
【0040】
状態切替部40は、駆動部10の端子14から電源装置3の負端子3Nまでのインピーダンス、及び、制御部20の端子21から電源装置3の負端子3Nまでのインピーダンスよりも、高いインピーダンスを有するように構成される。これにより、定常状態(異常が生じていない状態)において、駆動部10の端子14から流れ出た電流が、状態切替部40をほとんど流れることなく、当該電流の大部分がパターンP2、パターンP3、負ライン61Bを介して、電源装置3の負端子3Nに流れ、制御部20の端子21から流れ出た電流が、状態切替部40をほとんど流れることなく、当該電流の大部分がパターンP8、パターンP9、負ライン69Aを介して、電源装置3の負端子3Nに流れる。したがって、状態切替部40には定常状態においてほとんど電流が流れず、制御グランド部31の電位と駆動グランド部32の電位とを互いに等しく(略等しく)して、制御グランド部31と駆動グランド部32との電位差を予め設定された値以下にするように機能する。
【0041】
遮断状態とは、制御グランド部31と駆動グランド部32との間を流れる電流の電流値が所定の値より大きい場合は当該電流を遮断する状態である。制御グランド部31と駆動グランド部32との間を流れる電流は、上述したように、状態切替部40を介して、制御グランド部31及び駆動グランド部32の一方から他方に向かって流れる電流である。所定の値とは、上述した定常状態において状態切替部40に流れる電流の電流値よりも、少なくとも大きい値である。このような所定の値は、例えば、定常状態から逸脱した場合、すなわち異常状態において状態切替部40に流れる電流の電流値に基づいて設定するとよい。
【0042】
具体的には、定常状態において状態切替部40に流れる電流の電流値よりも大きく、且つ、パターンP3、コネクタ63、コネクタ62、及び負ライン61Bの何れかにおいて断線した場合に、状態切替部40に流れる電流の電流値よりも小さい値であって、定常状態において状態切替部40に流れる電流の電流値よりも大きく、且つ、パターンP9、コネクタ67、コネクタ68、及び負ライン69Aの何れかにおいて断線した場合に、状態切替部40に流れる電流の電流値よりも小さい値で設定するとよい。
【0043】
このような状態切替部40は、流れる電流が大きくなる程、抵抗値を高くすることができる部品(過電流保護素子)を用いるとよい。具体的には、過大な電流が流れたときの自己発熱により抵抗値が高くなるPTCサーミスタを用いるとよい。PTCサーミスタを用いれば、過大な電流が流れた場合に抵抗値が高くなることで、状態切替部40が、当該状態切替部40を流れる電流が遮断されて遮断状態となり、この遮断状態になった場合において、電流の電流値が所定の値以下となって自己発熱が収まった場合には、自動的に電位差維持状態に移行することが可能となる。
【0044】
本実施形態では、状態切替部40は、PTCサーミスタのような電流の電流値に応じて導通状態が切り替わる電流制限素子41と、当該電流制限素子41と直列に接続された抵抗器42とを有する。この抵抗器42の抵抗値は、定常状態において制御グランド部31及び駆動グランド部32の一方から他方に向かって電流が流れず、且つ、制御グランド部31と駆動グランド部32との間の電位差を予め設定された値以下になるように設定するとよい。このような構成の場合、電流制限素子41の一方の端子41Aと抵抗器42の一方の端子42AとがパターンP13で接続され、電流制限素子41の他方の端子41Bが上述した状態切替部40の端部40Aに相当し、抵抗器42の他方の端子42Bが上述した状態切替部40の端部40Bに相当する。
【0045】
なお、本実施形態では、図2に示されるように、基板30には、駆動部10及び制御部20以外に、ユニット80が実装される。例えば、ユニット80は、ドア2のラッチ機構6(図1参照)をロック状態にしたり、解除状態にしたりするモータの駆動を制御する制御部であってもよい。
【0046】
図2の例では、ユニット80は本体部分(モールド部分)86から突出する5つの端子81,82,83,84,85を有する。本例では、ユニット80の1ピンにあたる端子81は、基板30に形成されたパターンP15により基板30に実装されたコネクタ71の端子71Aに接続される。また、ユニット80の2ピンにあたる端子82は、基板30に形成されたパターンP16によりコネクタ71の端子71Bに接続される。コネクタ71の端子71A及び端子71Bは、夫々、コネクタ72を介して正ライン73A及び負ライン73Bの一方の端子に接続される。正ライン73A及び負ライン73Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の正端子3P及び負端子3Nに接続される。正ライン73A及び負ライン73Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン73に相当する。
【0047】
ユニット80の3ピンにあたる端子83は、基板30に形成されたパターンP17によりコネクタ71の端子71Cに接続され、ユニット80の4ピンにあたる端子84は、基板30に形成されたパターンP18によりコネクタ71の端子71Dに接続される。コネクタ71の端子71C及び端子71Dは、夫々、コネクタ72を介してラッチ機構6のモータ(図示せず)に接続される。
【0048】
また、ユニット80の5ピンにあたる端子85は、基板30に形成されたパターンP19によりコネクタ71の端子71Eに接続される。コネクタ71の端子71Eは、コネクタ71及びコネクタ72を介して、例えば上位システム(図示せず)に接続される。これにより、上位システムからユニット80にラッチ機構6のロック指令や解除指令が入力される。
【0049】
図2の例では、パターンP16と、制御グランド部31及び駆動グランド部32との間に状態切替部40が設けられていないが、パターンP16と、制御グランド部31及び駆動グランド部32の少なくともいずれか一方との間に、状態切替部40を設けることも可能である。
【0050】
以上のように構成することで、定常状態においては、制御グランド部31及び駆動グランド部32の一方から他方に流れる電流の電流値を所定の値以下にしつつ、制御グランド部31と駆動グランド部32との電位差を予め設定された値以下にすることができる。一方、何らかの原因により、制御グランド部31及び駆動グランド部32の一方から他方に流れる電流の電流値が所定の値より大きくなった場合には、自動的に当該電流を遮断することが可能となる。
【0051】
2.第2の実施形態
次に、制御装置1の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、制御装置1が1つの駆動装置4を制御していたが、第2の実施形態では、制御装置1が2つの駆動装置4を制御する点で異なる。以下、主に第1の実施形態と異なる点を中心に、第2の実施形態の制御装置1について説明する。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同様である点については説明を省略する。
【0052】
図3は、本実施形態の制御装置1の構成を示した図である。図3に示されるように、本実施形態では、制御装置1が制御する駆動装置4として、第1駆動装置104及び第2駆動装置204が相当する。これにより、制御装置1は、駆動部10として、第1駆動装置104を駆動する第1駆動部110及び第2駆動装置204を駆動する第2駆動部210を備える。駆動装置4として、第1駆動装置104及び第2駆動装置204を設ける場合、車両100の後方から見て、ドア2の左端側及び右端側に、夫々、ドア2を開閉可能に支持するダンパー5を設け、第1駆動装置104を、ドア2の左端側のダンパー5が内蔵される駆動機構を伸縮させるモータとし、第2駆動装置204を、ドア2の右端側のダンパー5が内蔵される駆動機構を伸縮させるモータとするとよい。また、車両100のスライドドアに適用する場合には、例えば第1駆動装置104が車両100の左側のスライドドアを開閉する左モータとし、第2駆動装置204が車両100の右側のスライドドアを開閉する右モータとするとよい。
【0053】
第1駆動部110は、本体部分(モールド部分)116から突出する5つの端子111,112,113,114,115を有する。本例では、端子113は、パターンP101によりコネクタ163の端子163Aに接続される。また、端子114は、パターンP102及びパターンP103によりコネクタ163の端子163Bに接続される。コネクタ163の端子163A及び端子163Bは、夫々、コネクタ162を介して正ライン161A及び負ライン161Bの一方の端子に接続される。正ライン161A及び負ライン161Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の正端子3P及び負端子3Nに接続される。本例では正ライン161A及び負ライン161Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン161に相当する。
【0054】
第1駆動部110の端子111は、パターンP104によりコネクタ164の端子164Bに接続され、第1駆動部110の端子112は、パターンP105によりコネクタ164の端子164Cに接続される。コネクタ164の端子164B及び端子164Cは、夫々、コネクタ165を介してケーブル166B及びケーブル166Cの一方の端子に接続される。ケーブル166B及びケーブル166Cの他方の端子は、夫々、第1駆動装置104の端子104B及び端子104Cに接続される。また、本実施形態では、第1駆動装置104の端子104Aがケーブル166A及びコネクタ165を介してコネクタ164の端子164Aに接続される。
【0055】
第2駆動部210は、本体部分(モールド部分)216から突出する5つの端子211,212,213,214,215を有する。本例では、端子213は、パターンP201によりコネクタ263の端子263Bに接続される。また、端子212は、パターンP202及びパターンP203によりコネクタ263の端子263Aに接続される。コネクタ263の端子263A及び端子263Bは、夫々、コネクタ262を介して負ライン261A及び正ライン261Bの一方の端子に接続される。負ライン261A及び正ライン261Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の負端子3N及び正端子3Pに接続される。本例では負ライン261A及び正ライン261Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン261に相当する。
【0056】
第2駆動部210の端子215は、パターンP204によりコネクタ264の端子264Bに接続され、第2駆動部210の端子214は、パターンP205によりコネクタ264の端子264Aに接続される。コネクタ264の端子264A及び端子264Bは、夫々、コネクタ265を介してケーブル266A及びケーブル266Bの一方の端子に接続される。ケーブル266A及びケーブル266Bの他方の端子は、夫々、第2駆動装置204の端子204A及び端子204Bに接続される。また、本実施形態では、第2駆動装置204の端子204Cがケーブル266C及びコネクタ265を介してコネクタ264の端子264Cに接続される。
【0057】
制御部120は、本体部分(モールド部分)129から突出する8つの端子121,122,123,124,125,126,127,128を有する。本例では、制御部120の端子121と第1駆動部110の端子115とがパターンP106により接続され、このパターンP106を介して制御部120から第1駆動部110に制御信号が伝達される。また、制御部120の端子125と第2駆動部210の端子211とがパターンP206により接続され、このパターンP206を介して制御部120から第2駆動部210に制御信号が伝達される。
【0058】
本例では、制御部120の端子123は、パターンP107によりコネクタ167の端子167Bに接続される。また、制御部120の端子122は、パターンP108及びパターンP109によりコネクタ167の端子167Aに接続される。コネクタ167の端子167A及び端子167Bは、夫々、コネクタ168を介して負ライン169A及び正ライン169Bの一方の端子に接続される。負ライン169A及び正ライン169Bの夫々の他方の端子は、電源装置3の負端子3N及び正端子3Pに接続される。負ライン169A及び正ライン169Bは、電源装置3から制御装置1に電力を供給する電源ライン169に相当する。
【0059】
制御部120の端子124は、パターンP110によりコネクタ167の端子167Cに接続される。コネクタ167の端子167Cは、夫々、コネクタ168及びケーブル170を介して、例えば上位システム(図示せず)に接続される。本例では、このケーブル170を介して上位システムから制御部120に、ドア2の開閉を行う操作指示情報が入力される。
【0060】
制御部120の端子128は、パターンP120によりコネクタ164の端子164Aに接続される。これにより、制御部120の端子128と第1駆動装置104の端子104Aとが接続され、第1駆動装置104から制御部120に運転中の情報(例えば第1駆動装置104の回転数を示す回転数情報、第1駆動装置104を流れる電流の電流値を示す電流値情報)が伝達される。また、制御部120の端子127は、パターンP220によりコネクタ264の端子264Cに接続される。これにより、制御部120の端子127と第2駆動装置204の端子204Cとが接続され、第2駆動装置204から制御部120に運転中の情報(例えば第2駆動装置204の回転数を示す回転数情報、第2駆動装置204を流れる電流の電流値を示す電流値情報)が伝達される。なお、本実施形態では、制御部120の端子126はノンコネクション端子にあたり、半田付けに利用される。
【0061】
本実施形態においても、上述した第1駆動部110、第2駆動部210、及び制御部120は、半田付けにより基板130に実装される。
【0062】
本実施形態では、駆動グランド部32は、第1駆動グランド部132及び第2駆動グランド部232を備える。したがって、基板130は、制御グランド部131(第1の実施形態における「制御グランド部31」に対応)、第1駆動グランド部132、及び第2駆動グランド部232を有する。制御グランド部131は、電源装置3から制御部120に電力供給を行う電源ライン169が有する負ライン169Aと電気的に接続されると共に、制御部120の接地端子である端子122が電気的に接続される。したがって、制御グランド部131は、負ライン169A及び制御部120の端子122と同電位であるパターンP108及びパターンP109が含まれる。
【0063】
また、図3に示されるように、基板130には、パターンP108及びパターンP109から後述する第1状態切替部140に向かって分岐するパターンP111が形成されている。このパターンP111は、パターンP108及びパターンP109と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、制御グランド部131に含まれる。更に、本実施形態では、図3に示されるように、基板130には、パターンP108から、制御部120の本体部分129の下方を通り、後述する第2状態切替部240に向かって延出するパターンP211が形成されている。このパターンP211も、パターンP108と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、制御グランド部131に含まれる。本実施形態では、制御グランド部131は、第1駆動グランド部132、及び第2駆動グランド部232と互いに分離して形成される。
【0064】
第1駆動グランド部132は、電源装置3から第1駆動部110に電力供給を行う電源ライン161が有するグランドラインである負ライン161Bと電気的に接続されると共に、第1駆動部110の接地端子である端子114が電気的に接続される。したがって、第1駆動グランド部132は、負ライン161B及び第1駆動部110の端子114と同電位であるパターンP102及びパターンP103が含まれる。
【0065】
また、図3に示されるように、基板130には、パターンP102及びパターンP103から後述する第1状態切替部140に向かって分岐するパターンP112が形成されている。このパターンP112は、パターンP102及びパターンP103と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、第1駆動グランド部132に含まれる。
【0066】
第2駆動グランド部232は、電源装置3から第1駆動部110への電力供給に用いる電源ライン161が有するグランドラインである負ライン161Bと互いに共通する部分を有しない状態で、電源装置3から第2駆動部210への電力供給に用いる電源ライン261が有するグランドラインである負ライン261Aと電気的に接続されると共に、第2駆動部210の接地端子である端子212が電気的に接続される。したがって、第2駆動グランド部232は、負ライン261A及び第2駆動部210の端子212と同電位であるパターンP202及びパターンP203が含まれる。
【0067】
また、図3に示されるように、基板130には、パターンP202及びパターンP203から後述する第2状態切替部240に向かって分岐するパターンP212が形成されている。このパターンP212は、パターンP202及びパターンP203と同電位であって(すなわち、連続するパターンで形成されており)、第2駆動グランド部232に含まれる。
【0068】
本実施形態では、状態切替部40は、第1状態切替部140及び第2状態切替部240を備える。第1状態切替部140は、第1駆動グランド部132、第2駆動グランド部232、及び制御グランド部131のうち、いずれか2つに亘って設けられる。本実施形態では、第1状態切替部140は、第1駆動グランド部132と制御グランド部131とに亘って設けられる。上述したように、本実施形態では、制御グランド部131は、パターンP108、パターンP109、パターンP111、及びパターンP211から構成され、第1駆動グランド部132は、パターンP102、パターンP103、及びパターンP112から構成される。また、制御グランド部131と第1駆動グランド部132とは、互いに分離して形成される。第1状態切替部140は、このように互いに分離して形成される制御グランド部131と第1駆動グランド部132とにおいて、一方の端部140Aが制御グランド部131に接続され、他方の端部140Bが第1駆動グランド部132に接続される。本実施形態では、一方の端部140AがパターンP111に接続され、他方の端部140BがパターンP112に接続される。
【0069】
また、第2状態切替部240は、第1駆動グランド部132、第2駆動グランド部232、及び制御グランド部131のうち、いずれか2つとは異なる他の1つといずれか2つのうちの一方とに亘って設けられる。「第1駆動グランド部132、第2駆動グランド部232、及び制御グランド部131のうち、いずれか2つ」とは、第1駆動グランド部132、第2駆動グランド部232、及び制御グランド部131のうちの、第1状態切替部140が設けられた2つのグランド部である。本実施形態では、第1駆動グランド部132と制御グランド部131とが相当する。したがって、「第1駆動グランド部132、第2駆動グランド部232、及び制御グランド部131のうち、いずれか2つとは異なる他の1つ」とは、第2駆動グランド部232が相当する。また、「いずれか2つのうちの一方」とは、第1駆動グランド部132、及び制御グランド部131の一方が相当し、本実施形態では、制御グランド部131が相当する。したがって、本実施形態では、第2状態切替部240は、第2駆動グランド部232と制御グランド部131とに亘って設けられる。上述したように、本実施形態では、制御グランド部131は、パターンP108、パターンP109、パターンP111、及びパターンP211から構成され、第2駆動グランド部232は、パターンP202、パターンP203、及びパターンP212から構成される。また、制御グランド部131と第2駆動グランド部232とは、互いに分離して形成される。第2状態切替部240は、このように互いに分離して形成される制御グランド部131と第2駆動グランド部232とにおいて、一方の端部240Aが制御グランド部131に接続され、他方の端部240Bが第2駆動グランド部232に接続される。本実施形態では、一方の端部240AがパターンP211に接続され、他方の端部240BがパターンP212に接続される。
【0070】
第1状態切替部140は、電位差維持状態において、制御グランド部131と第1駆動グランド部132との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は制御グランド部131と第1駆動グランド部132との電位差を予め設定された値以下にし、遮断状態において、制御グランド部131と第1駆動グランド部132との間を流れる電流の電流値が所定の値より大きい場合は当該電流を遮断する。また、第2状態切替部240は、電位差維持状態において、制御グランド部131と第2駆動グランド部232との間を流れる電流の電流値が所定の値以下である場合は制御グランド部131と第2駆動グランド部232との電位差を予め設定された値以下にし、遮断状態において、制御グランド部131と第2駆動グランド部232との間を流れる電流の電流値が所定の値より大きい場合は当該電流を遮断する。
【0071】
図3の例では、第1状態切替部140は、PTCサーミスタのような電流制限素子141と抵抗器142とが直列に接続された状態で構成され、第2状態切替部240は、PTCサーミスタのような電流制限素子241と抵抗器242とが直列に接続された状態で構成される。
【0072】
更に本実施形態でも、図3に示されるように、基板130に、例えばドア2のラッチ機構6(図1参照)をロック状態にしたり、解除状態にしたりする制御部として機能するユニット80が実装される。ユニット80と電源装置3との接続については第1の実施形態と同様であるため、説明は省略する。
【0073】
なお、図3の例では、パターンP16と、制御グランド部131、第1駆動グランド部132、及び第2駆動グランド部232との間に状態切替部40が設けられていないが、パターンP16と、制御グランド部131、第1駆動グランド部132、及び第2駆動グランド部232の少なくともいずれか一つとの間に、状態切替部40を設けることも可能である。
【0074】
以上のように構成することで、定常状態においては、制御グランド部131、第1駆動グランド部132、及び第2駆動グランド部232の一方から他方に流れる電流の電流値を所定の値以下にしつつ、制御グランド部131と第1駆動グランド部132と第2駆動グランド部232との電位差を予め設定された値以下にすることができる。一方、何らかの原因により、制御グランド部131及び第1駆動グランド部132のうちの一方から他方に流れる電流の電流値が所定の値より大きくなった場合や、制御グランド部131及び第2駆動グランド部232のうちの一方から他方に流れる電流の電流値が所定の値より大きくなった場合には、当該電流値が大きくなった電流を自動的に遮断することが可能となる。
【0075】
3.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、駆動装置4は、車両100のドア2を開閉するモータであるとして説明したが、これは単なる例示であって、駆動装置4は車両100に搭載される他のモータであってもよいし、車両100以外に用いられるモータであってもよい。
【0076】
(2)上記実施形態では、状態切替部40としてPTCサーミスタを例に挙げたが、状態切替部40は、自動的に復帰するリセッタブルヒューズやポリスイッチであってもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、状態切替部40は、遮断状態になった場合において、電流の電流値が、所定の値以下となったときは、自動的に電位差維持状態に移行するとして説明したが、状態切替部40は、例えば、トランジスタやリレーなどを用いて構成し、電流の大きさに応じて閉状態と開状態とを切り換えるように構成してもよい。また、状態切替部40は、遮断状態になった場合において、電流の電流値が、所定の値以下となっても、自動的に電位差維持状態に移行しないように構成することも可能である。
【0078】
(4)上記実施形態では、状態切替部40は、電流制限素子41と抵抗器42とを有するとして説明したが、状態切替部40は電流制限素子41のみで構成することも可能である。
【0079】
(5)上記実施形態において、基板30(基板130を含む)に形成されたパターンについて説明したが、このパターンは一例であって変更することが可能である。また、例えば接地端子に接続されるパターンの幅をより太くすることも可能であるし、例えば各種情報の伝達に使用されるパターンの幅を細くすることも可能である。更に、図2図3で示した各部品が有する端子の配置は、単なる一例であって変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、駆動装置を制御する制御装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0081】
1:制御装置
2:ドア
3:電源装置
4:駆動装置
10:駆動部
14:端子(接地端子)
20:制御部
21:端子(接地端子)
30:基板
31:制御グランド部
32:駆動グランド部
40:状態切替部
41:電流制限素子
42:抵抗器
61:電源ライン
61B:負ライン(グランドライン)
69:電源ライン
69A:負ライン(グランドライン)
100:車両
104:第1駆動装置
110:第1駆動部
114:端子(接地端子)
132:第1駆動グランド部
140:第1状態切替部
161:電源ライン
161B:負ライン(グランドライン)
204:第2駆動装置
210:第2駆動部
212:端子(接地端子)
232:第2駆動グランド部
240:第2状態切替部
261:電源ライン
261A:負ライン(グランドライン)
図1
図2
図3