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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148105
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20231005BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231005BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231005BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20231005BHJP
   B65H 29/58 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J5/30 Z
B41J29/38 201
H04N1/00 567L
H04N1/00 567R
B41J21/00 Z
B65H29/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055965
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100129997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 米藏
(72)【発明者】
【氏名】山本 武徳
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
3F053
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061HH05
2C061HJ06
2C187AC08
2C187AD14
2C187AE01
2C187AE07
2C187AF01
2C187BF04
2C187BF14
2C187BG03
2C187DC02
2C187DC03
3F053BA02
3F053BA03
3F053BA14
3F053BA18
3F053BA29
3F053LA01
3F053LB03
5C062AA05
5C062AB08
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB35
5C062AB40
5C062AB46
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC09
5C062AC15
5C062AC30
(57)【要約】
【課題】
記録媒体を逆順で排出する必要がある場合に、印刷に要する時間を短くするとともに、画像メモリーの消費量を少なくする。
【解決手段】
制御部19は、通信部23を介して、逆順及びフェイスアップの組合せ、及び、正順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して正順でのRIP処理を実行させる。制御部19はまた、通信部23を介して、正順及びフェイスアップの組合せ、及び、逆順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して逆順でのRIP処理を実行させる。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの指示が入力される入力部と、
PDLデータが示す印刷データをラスタライズしてラスターイメージを頁ごとに生成するRIP処理を実行する画像処理部と、
画像を記録媒体に形成する画像形成部と、
前記画像が形成された前記記録媒体を反転させる反転機構を備え、前記記録媒体を排出する排出装置と、
前記画像形成部に対し、前記ラスターイメージの生成順に従って、前記ラスターイメージが示す画像を頁ごとに前記記録媒体に形成させるとともに、前記排出装置に対し、前記入力部を介して受付けた排出面を示す指示に応じて、前記記録媒体を反転させることなく排出させるか、又は、前記記録媒体を前記反転機構により反転させて排出させる制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記入力部を介して、前記画像が形成された記録媒体の並び順及び前記排出面の組合せとして、逆順及びフェイスアップの組合せ、及び、正順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示す第1指示を受付けた場合に、前記画像処理部に対し、前記印刷データに対して正順でのRIP処理を実行させ、
前記入力部を介して、前記並び順及び前記排出面の組合せとして、正順及びフェイスアップの組合せ、及び、逆順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示す第2指示を受付けた場合に、前記画像処理部に対し、前記印刷データに対して逆順でのRIP処理を実行させる、画像形成システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記画像処理部に前記正順でのRIP処理を実行させた場合であって、前記入力部を介して両面印刷を示す指示を受付けている場合、前記画像形成部に対し、奇数番目に生成された前記画像を前記記録媒体の第一面に形成させるとともに、偶数番目に生成された前記画像を前記記録媒体の第二面に形成させ、
前記画像処理部に前記逆順でのRIP処理を実行させた場合であって、前記入力部を介して前記両面印刷を示す指示を受付けている場合、前記画像形成部に対し、偶数番目に生成された前記画像を前記記録媒体の第一面に形成させるとともに、奇数番目に生成された前記画像を前記記録媒体の第二面に形成させる、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記入力部を介して前記第2指示及び前記両面印刷を示す指示を受付けた場合であって、前記印刷データが奇数頁を示す場合には、前記画像処理部に対し、先頭に空白頁を挿入する挿入処理とともに、前記逆順でのRIP処理を実行させる、請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記入力部を介して、両面印刷を示す指示及び前記フェイスアップを示す指示を受付けている場合、前記排出装置に対し、前記記録媒体を前記反転機構により反転させて排出させ、
前記入力部を介して、両面印刷を示す指示及び前記フェイスダウンを示す指示を受付けている場合、前記排出装置に対し、前記記録媒体を前記反転機構により反転させることなく排出させる、請求項2又は請求項3に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関し、特に、画像が形成された記録紙の並び順及び排出面を調整するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像が形成された記録紙の並び順及び排出面等を調整するための技術が知られている。例えば、特許文献1及び特許文献2は、フェイスダウン排紙が設定されている場合において、片面印刷を行なう場合には記録紙の第一面に全頁の画像を昇順で印刷し、両面印刷を行なう場合には記録紙の第一面に偶数頁の画像を降順で印刷するとともに第二面に奇数頁の画像を降順で印刷する技術を開示している。
【0003】
特許文献3は、出力時の排紙順及び排出面を指定可能な印刷システムを開示している。特許文献4は、原稿及び記録紙のセット方向、並びに綴じ位置に基づいて、正順印刷及びフェイスダウン排出の組合せ、並びに逆順印刷及びフェイスアップ排出の組合せのうちのいずれかを選択する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-212957号公報
【特許文献2】特開2015-42497号公報
【特許文献3】特開2016-112748号公報
【特許文献4】特開2019-51700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した特許文献1乃至特許文献4が開示する一般的な技術では、記録紙を逆順で排出する必要がある場合には、印刷データに対して正順にRIP処理を行ない、最終頁のRIP処理が完了したタイミングで最終頁から順に印刷を開始する。その結果、全頁のRIP処理が完了するまでは印刷を開始できないため、印刷に要する時間が長くなるという問題がある。また、全頁のラスターイメージが画像メモリーに記憶されてから印刷を開始するため、画像メモリーの消費量が多くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、記録媒体を逆順で排出する必要がある場合に、印刷に要する時間を短くするとともに、画像メモリーの消費量を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像形成システムは、ユーザーの指示が入力される入力部と、PDLデータが示す印刷データをラスタライズしてラスターイメージを頁ごとに生成するRIP処理を実行する画像処理部と、画像を記録媒体に形成する画像形成部と、画像が形成された記録媒体を反転させる反転機構を備え、記録媒体を排出する排出装置と、画像形成部に対し、ラスターイメージの生成順に従って、ラスターイメージが示す画像を頁ごとに記録媒体に形成させるとともに、排出装置に対し、入力部を介して受付けた排出面を示す指示に応じて、記録媒体を反転させることなく排出させるか、又は、記録媒体を反転機構により反転させて排出させる制御部と、を備える。制御部は、入力部を介して、画像が形成された記録媒体の並び順及び排出面の組合せとして、逆順及びフェイスアップの組合せ、及び、正順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示す第1指示を受付けた場合に、画像処理部に対し、印刷データに対して正順でのRIP処理を実行させ、入力部を介して、並び順及び排出面の組合せとして、正順及びフェイスアップの組合せ、及び、逆順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示す第2指示を受付けた場合に、画像処理部に対し、印刷データに対して逆順でのRIP処理を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録媒体を逆順で排出する必要がある場合には、印刷データに対して逆順でのRIP処理が実行される。したがって、記録媒体を逆順で排出する必要がある場合であっても、全頁のRIP処理の完了を待つことなく、生成された頁から順に印刷を開始できる。その結果、全頁のRIP処理が完了するまで印刷開始を待機する場合と比較して、印刷に要する時間が短くなる。また、印刷を完了した頁から順にラスターイメージを画像メモリーから削除する場合には、全頁のラスターイメージを画像メモリーに記憶させてから印刷を開始する場合と比較して、画像メモリーの消費量が少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成システムを構成する画像形成装置及び排出装置の構造を示す断面図である。
図2】画像形成装置及び排出装置の内部構成を示すブロック図である。
図3A】RIP順序調整処理を示すフローチャートである。
図3B】RIP順序調整処理を示すフローチャートである。
図3C】RIP順序調整処理を示すフローチャートである。
図4】RIP順序調整処理の内容を示す図である。
図5A】記録紙の排出状態の一例を示す図である。
図5B】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5C】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5D】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5E】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5F】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5G】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
図5H】記録紙の排出状態の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム100を構成する画像形成装置10及び排出装置50の構造を示す断面図である。図2は、画像形成装置10及び排出装置50の内部構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置10と、画像形成装置10に接続されている排出装置50とを含む。画像形成装置10は、画像を記録媒体としての記録紙Pに形成する。排出装置50は、画像形成装置10から搬送されてくる記録紙Pを反転させる反転機構を備える。排出装置50は、当該記録紙Pを排出する。
【0012】
[画像形成装置10の構成]
図1に示すように、画像形成装置10は、インクジェット方式の記録装置である。画像形成装置10は、画像読取部11、画像形成部12、搬送ユニット13、給紙部14、搬送機構15、表示部16、及び操作部17を備える。
【0013】
画像読取部11は、原稿トレイ1に載置されている原稿を搬送する原稿搬送部2と、原稿搬送部2によって搬送されてくる原稿、又は、プラテンガラス3に載置されている原稿を光学的に読取るスキャナー4とを含むADF(Auto Document Feeder)である。画像読取部11は、スキャナー4の光照射部により原稿を照射し、その反射光をCCD(Charge-Coupled Device)センサーで受光することによって、原稿を読取って、原稿画像を示す画像データを生成する。
【0014】
画像形成部12は、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各色に対応するラインヘッド5Y,5M,5C,5Kを備える。画像形成部12は、画像読取部11によって生成された画像データ等に基づいて、ラインヘッド5Y,5M,5C,5Kのそれぞれから各色のインク滴を、搬送ユニット13によって搬送されてくる記録紙Pの上面に吐出してカラー画像を形成する。
【0015】
搬送ユニット13は、駆動ローラー6A、従動ローラー6B、テンションローラー6C、搬送ベルト7、及び吸着ローラー8を備える。駆動ローラー6Aは、駆動モーターに接続されており、駆動モーターの駆動により反時計回りに回転する。搬送ベルト7は、駆動ローラー6A、従動ローラー6B、及びテンションローラー6Cに架け渡されている無端状のベルトである。
【0016】
搬送ベルト7は、駆動ローラー6Aの回転に従動して反時計回りに回転する。従動ローラー6B及びテンションローラー6Cは、搬送ベルト7の回転に従動して反時計回りに回転する。吸着ローラー8は、搬送ベルト7に接触した状態で従動ローラー6Bに対向配置されている。吸着ローラー8は、搬送ベルト7を帯電させることで、給紙部14から給紙された記録紙Pを搬送ベルト7に静電的に吸着させる。
【0017】
給紙部14は、給紙カセット9A及び手差しトレイ9Bを備える。給紙部14は、給紙モーターの駆動により回転するピックアップローラーによって、給紙カセット9A又は手差しトレイ9Bに収容されている記録紙Pを一枚ずつ引出して搬送路T1に給紙する。
【0018】
搬送機構15は、排出ローラー対31と、給紙部14から搬送ユニット13を介して排出ローラー対31まで形成されている搬送路T1と、排出ローラー対31から搬送ユニット13まで形成されている搬送路T2と、搬送路T1及び搬送路T2に設けられている複数の搬送ローラー対と、搬送路T1及び搬送路T2の分岐点に設けられている分岐ガイド32と、搬送モーターと、アクチュエーターとを備える。
【0019】
搬送機構15は、搬送モーターの駆動により搬送ローラー対及び排出ローラー対31を回転させることで、記録紙Pを搬送路T1又は搬送路T2に沿って搬送する。分岐ガイド32は、アクチュエーターの駆動により位置が切替えられることにより、搬送路T1に沿って搬送されてくる記録紙Pを排出ローラー対31に導くか、又は、排出装置50から搬送されてくる記録紙Pを搬送路T2に導く。
【0020】
表示部16は、液晶ディスプレイ又は有機EL(Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイ等によって構成されている表示装置である。表示部16は、画像形成装置10によって実行可能な各機能についての各種の画面を表示する。
【0021】
操作部17は、画像形成装置10によって実行可能な各処理についての実行開始を指示するためのスタートキー等の複数のハードキーを含む。操作部17はまた、表示部16に重ねて配置されているタッチパネルを含む。操作部17には、画像形成装置10によって実行可能な各処理についてのユーザーの指示等の各種の情報が入力される。
【0022】
図2に示すように、画像形成装置10はさらに、制御ユニット18、記憶部20、画像処理部21、画像メモリー22、通信部23、及び、インターフェイス部24を備える。制御ユニット18は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。
【0023】
制御ユニット18は、画像読取部11、画像形成部12、搬送ユニット13、給紙部14、搬送機構15、表示部16、操作部17、記憶部20、画像処理部21、画像メモリー22、通信部23、及びインターフェイス部24と電気的に接続されている。
【0024】
制御ユニット18は、上記プロセッサーがROM又は記憶部20に記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御部19として機能する。なお、制御部19は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、ロジック回路により構成されていてもよい。制御部19は、画像形成装置10の各部の動作を制御する。
【0025】
記憶部20は、SSD(Solid State Drive)、又は、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置である。記憶部20は、各種のデータとともに、画像形成装置10の一般的な動作を実現するための各種制御プログラムを記憶する。記憶部20は、各種制御プログラムの1つとして、本実施形態に係るRIP順序調整処理を実行するための調整プログラムを記憶する。
【0026】
画像処理部21は、画像読取部11によって生成された画像データ等に対して、必要に応じて画像処理を実行する。画像処理部21はまた、ラスターイメージプロセッサーを含む。画像処理部21は、ページ記述言語によって記述されているPDL(Page Description Language)データが示す印刷データをラスタライズして、ラスターイメージを頁ごとに生成するRIP処理を実行する。画像処理部21は、生成したラスターイメージを頁ごとに画像メモリー22に保存する。
【0027】
通信部23は、LAN(Local Area Network)ボード等の通信モジュールを含む。画像形成装置10は、通信部23を介して、ネットワークを介して接続されているPC25等の外部装置とデータ通信を行なう。通信部23は、特許請求の範囲における入力部の一例である。
【0028】
インターフェイス部24には、排出装置50が接続される。インターフェイス部24は、排出装置50と電気的に接続するための複数の端子を含む。
【0029】
画像形成装置10の各部には電源が接続されており、当該電源から電力が供給されることによって、画像形成装置10の各部が動作する。
【0030】
本実施形態において、画像形成装置10の制御部19は、上記調整プログラムにしたがって動作することによって、通信部23を介して、画像が形成された記録紙Pの並び順及び排出面の組合せとして、逆順及びフェイスアップの組合せ、及び、正順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して正順でのRIP処理を実行させる。制御部19はまた、通信部23を介して、正順及びフェイスアップの組合せ、及び、逆順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して逆順でのRIP処理を実行させるRIP順序調整処理を実行する。
【0031】
[排出装置50の構成]
図1に示すように、排出装置50は、画像形成装置10側の第1側面に搬入口51Aが形成され、第1側面とは反対側の第2側面に排出口51Bが形成されている筐体を含む。筐体の第2側面における排出口51Bの下方には、排出トレイ60が設けられている。
【0032】
排出装置50は、当該筐体の内部に、排出ローラー対61、搬送ユニット51、分岐ガイド55、搬送路T3乃至T6、複数の搬送ローラー対56、回転ドラム57A,57B、及び、センサー58A,58Bを備える。ここで、搬送路T4乃至T6、分岐ガイド55、搬送路T4乃至T6上の搬送ローラー対56、回転ドラム57A,57B、及び、センサー58Bは、上記した反転機構を構成する。
【0033】
排出ローラー対61は、駆動部62のモーターの駆動により回転することで、記録紙Pを排出口51Bから排出トレイ60に排出する。
【0034】
搬送ユニット51は、駆動ローラー52A、従動ローラー52B、及び搬送ベルト53を備える。駆動ローラー52Aは、駆動部62のモーターの駆動により回転する。搬送ベルト53は、駆動ローラー52A及び従動ローラー52Bに架け渡されている無端状のベルトである。搬送ベルト53は、駆動ローラー52Aの回転に従動して回転する。従動ローラー52Bは、搬送ベルト53の回転に従動して回転する。
【0035】
分岐ガイド55は、搬送路T3及び搬送路T4の分岐点に設けられている。分岐ガイド55は、駆動部62のアクチュエーターの駆動により位置が切替えられることにより、搬送ユニット51によって搬送されてくる記録紙Pを搬送路T3又は搬送路T4に導く。
【0036】
搬送路T3は、従動ローラー52Bから排出ローラー対61に向かって延びるように形成されている。搬送路T4は、従動ローラー52Bから回転ドラム57Aの下方に向かって延びるように形成されている。搬送路T5は、回転ドラム57Aの上方から回転ドラム57Bの上方に向かって延びるように形成されている。搬送路T6は、回転ドラム57Bの上方から排出ローラー対61に向かって延びるように形成されている。
【0037】
複数の搬送ローラー対56は、搬送路T3乃至T6に設けられている。複数の搬送ローラー対56は、駆動部62のモーターの駆動により回転する。
【0038】
回転ドラム57A,57Bは、搬送ユニット51の下方に、回転ドラム57A,57Bの軸線と駆動ローラー52Aの軸線とが平行になるように、並んで設けられている。回転ドラム57A,57Bは、駆動部62のモーターの駆動により回転する。
【0039】
センサー58Aは、搬送路T4の回転ドラム57A側の端部近傍に設けられている。センサー58Bは、搬送路T5の回転ドラム57A側の端部近傍に設けられている。センサー58A,58Bは、回転ドラム57A上の予め定められた位置における記録紙Pの有無を検出する。センサー58A,58Bとしては、特に限定されないが、反射型のフォトセンサー又は透過型のフォトセンサー等が用いられる。センサー58A,58Bは、記録紙Pを検出しているときにはON信号を出力し、記録紙Pを検出していないときにはOFF信号を出力する。
【0040】
図2に示すように、排出装置50はさらに、制御ユニット70、駆動部62、記憶部63、及び、インターフェイス部64を備える。制御ユニット70は、プロセッサー、RAM、及びROM等を含む。プロセッサーは、例えば、CPU、MPU、又はASIC等である。制御ユニット70は、駆動部62、記憶部63、インターフェイス部64、及び、センサー58A,58Bと電気的に接続されている。
【0041】
制御ユニット70は、上記プロセッサーがROM又は記憶部63に記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御部65として機能する。なお、制御部65は、上記制御プログラムに基づく動作によらず、ロジック回路により構成されていてもよい。制御部65は、排出装置50の各部の動作を制御する。
【0042】
駆動部62は、駆動ローラー52A、搬送ローラー対56、回転ドラム57A,57B、及び排出ローラー対61のそれぞれと接続されている複数のモーターを含む。駆動部62は、各モーターを駆動することによって、駆動ローラー52A、搬送ローラー対56、回転ドラム57A,57B、及び排出ローラー対61のそれぞれを回転させる。駆動部62はまた、分岐ガイド55と接続されているアクチュエーターを含む。駆動部62は、アクチュエーターを駆動することによって、分岐ガイド55の位置を切替える。
【0043】
記憶部63は、SSD(Solid State Drive)、又は、HDD(Hard Disk Drive)等の大容量の記憶装置である。記憶部63は、各種のデータとともに、排出装置50の一般的な動作を実現するための各種制御プログラムを記憶する。
【0044】
インターフェイス部64には、画像形成装置10が接続される。インターフェイス部64は、画像形成装置10と電気的に接続するための複数の端子を含む。
【0045】
排出装置50の各部には電源が接続されており、当該電源から電力が供給されることによって、排出装置50の各部が動作する。
【0046】
[動作]
まず、図1及び図2を参照して、片面印刷処理、両面印刷処理、反転無排出処理、及び、反転有排出処理の実行時における画像形成システム100の動作について説明する。なお、以下の説明において、画像形成部12は、画像処理部21によって生成されたラスターイメージが示す画像を、記録紙Pに形成するものとする。
【0047】
[片面印刷処理時の動作]
片面印刷処理を実行する場合、画像形成装置10の制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって搬送されてくる記録紙Pの上面(この場合、第一面)に、画像処理部21によるラスターイメージの生成順に従って、ラスターイメージが示す画像を形成させる。
【0048】
ここで、制御部19は、複数頁のラスターイメージが生成される場合、画像形成部12等に対し、全頁のラスターイメージの生成の完了を待つことなく、生成された頁から順にラスターイメージが示す画像を形成させる。制御部19はまた、画像形成が完了した頁から順に、ラスターイメージを画像メモリー22から消去する。
【0049】
制御部19は、搬送機構15の搬送モーターを駆動して、搬送路T1上の搬送ローラー対を予め定められた方向に回転させるとともに、搬送機構15のアクチュエーターを駆動して、記録紙Pが排出ローラー対31に案内されるように分岐ガイド32の位置を動かす。このようにして、制御部19は、搬送機構15に対し、上面(第一面)に画像が形成された記録紙Pを搬送路T1に沿って搬送させる。制御部19は、搬送されてくる記録紙Pを、排出ローラー対31によって排出装置50に向けて排出させる。
【0050】
このとき、制御部19は、記録紙Pを反転させることなく排出させるための反転無排出処理の実行を要求するための第1信号、又は、記録紙Pを反転して排出させるための反転有排出処理の実行を要求するための第2信号を、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して送信する。
【0051】
[両面印刷処理時の動作]
両面印刷処理を実行する場合、画像形成装置10の制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって搬送されてくる記録紙Pの上面(この場合、第一面)に、画像処理部21によるラスターイメージの生成順に従って、例えば第1番目のラスターイメージが示す画像を形成させる。制御部19は、搬送機構15に対し、上面(第一面)に画像が形成された記録紙Pを搬送路T1に沿って排出装置50に向けて搬送させるとともに、排出ローラー対31によって排出装置50に向けて排出させる。このとき、制御部19は、記録紙Pの戻しを要求するための第3信号を、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して送信する。
【0052】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第3信号を受信すると、駆動部62のモーターを駆動して、駆動ローラー52A、及び搬送路T4上の搬送ローラー対56を予め定められた方向に回転させるとともに、回転ドラム57Aを反時計回りに回転させる。制御部65はまた、駆動部62のアクチュエーターを駆動して、記録紙Pが搬送路T4に案内されるように分岐ガイド55の位置を動かす。
【0053】
これによって、搬入口51Aを介して画像形成装置10から搬送されてくる記録紙Pは、搬送ベルト53上を従動ローラー52Bに向けて搬送されるとともに、分岐ガイド55によって搬送路T4に案内される。搬送路T4に案内された記録紙Pは、搬送路T4上の搬送ローラー対56によって搬送路T4上を搬送され、回転ドラム57Aに巻き取られる。
【0054】
制御部65は、センサー58Aが回転ドラム57Aに巻き取られた記録紙Pの後端を検知すると、駆動部62のモーターを制御して、駆動ローラー52A、及び搬送路T4上の搬送ローラー対56を予め定められた方向とは逆方向に回転させるとともに、回転ドラム57Aを時計回りに回転させる。これによって、回転ドラム57Aに巻き取られた記録紙Pは、搬送路T4上の搬送ローラー対56によって搬送路T4上を搬送ユニット51に向かって搬送され、分岐ガイド55によって搬送ユニット51に案内される。搬送ユニット51に案内された記録紙Pは、搬送ベルト53上を搬入口51Aに向けて搬送されるとともに、搬入口51Aを介して画像形成装置10に向けて排出される。
【0055】
画像形成装置10の制御部19は、第3信号を送信すると、搬送機構15の搬送モーターを駆動して、搬送路T2上の搬送ローラー対を予め定められた方向に回転させるとともに、搬送機構15のアクチュエーターを駆動して、記録紙Pが搬送路T2に案内されるように分岐ガイド32の位置を動かす。これによって、排出装置50から搬送されてくる記録紙Pは、分岐ガイド32によって搬送路T2に案内され、搬送路T2に沿って搬送ユニット13に向けて搬送される。これによって、記録紙Pの上下面が反転された状態で、搬送ユニット13に搬送される。
【0056】
制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって搬送されてくる記録紙Pの上面(この場合、第二面)に、画像処理部21によるラスターイメージの生成順に従って、第2番目のラスターイメージが示す画像を形成させる。制御部19は、搬送機構15に対し、上面(第二面)に画像が形成された記録紙Pを搬送路T1に沿って搬送させるとともに、排出ローラー対31によって排出装置50に向けて排出させる。このとき、制御部19は、第1信号又は第2信号を、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して送信する。
【0057】
[反転無排出処理時の動作]
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第1信号を受信すると、駆動部62のモーター及びアクチュエーターを駆動して、駆動ローラー52A、搬送路T3上の搬送ローラー対56、及び排出ローラー対61を予め定められた方向に回転させるとともに、記録紙Pが搬送路T3に案内されるように分岐ガイド55の位置を動かす。
【0058】
これによって、搬入口51Aを介して画像形成装置10から搬送されてくる記録紙Pは、搬送ベルト53上を従動ローラー52Bに向けて搬送され、分岐ガイド55によって搬送路T3に案内される。搬送路T3に案内された記録紙Pは、搬送路T3上の搬送ローラー対56によって搬送路T3上を搬送され、排出ローラー対61によって排出口51Bを介して排出トレイ60に排出される。
【0059】
[反転有排出処理時の動作]
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第2信号を受信すると、駆動部62のモーターを駆動して、駆動ローラー52A及び搬送路T4上の搬送ローラー対56を予め定められた方向に回転させるとともに、回転ドラム57Aを反時計回りに回転させる。制御部65はまた、駆動部62のアクチュエーターを駆動して、記録紙Pが搬送路T4に案内されるように分岐ガイド55の位置を動かす。
【0060】
これによって、搬入口51Aを介して画像形成装置10から搬送されてくる記録紙Pは、搬送ベルト53上を従動ローラー52Bに向けて搬送されるとともに、分岐ガイド55によって搬送路T4に案内される。搬送路T4に案内された記録紙Pは、搬送路T4上の搬送ローラー対56によって搬送路T4上を搬送され、回転ドラム57Aに巻き取られる。
【0061】
制御部65は、センサー58Bが回転ドラム57A上の記録紙Pの後端を検知すると、駆動部62のモーターを制御して、搬送路T5,T6上の搬送ローラー対56、及び排出ローラー対61を予め定められた方向に回転させるとともに、回転ドラム57A,57Bを時計回りに回転させる。これによって、回転ドラム57Aに巻き取られた記録紙Pは、搬送路T5上の搬送ローラー対56によって搬送路T5上を回転ドラム57Bに向かって搬送され、回転ドラム57Bに巻き取られる。回転ドラム57Bに巻き取られた記録紙Pは、搬送路T6上の搬送ローラー対56によって搬送路T6上を搬送され、上下面が反転された状態で、排出ローラー対61によって排出口51Bを介して排出トレイ60に排出される。
【0062】
[RIP順序調整処理時の動作]
図3A乃至図3Cは、RIP順序調整処理を示すフローチャートである。図4は、RIP順序調整処理の内容を示す図である。図5A乃至図5Eは、排出トレイ60に排出された記録紙の排出状態を示す図である。以下、図3A乃至図5E等を参照して、RIP順序調整処理の実行時における画像形成システム100の動作について説明する。
【0063】
なお、以下の説明において、片面印刷時には、記録紙Pとして普通紙が用いられ、両面印刷時には、第一面のみが光沢面である片面光沢紙が記録紙Pとして用いられるものとする。また、図5A乃至図5Eにおいて、画像が形成されていない第二面には、ハッチングを付している。
【0064】
ユーザーは、PC25を用いて、第1頁乃至第5頁の画像を示す例えばPDF(Portable Document Format)形式の画像データを指定するとともに、印刷設定として、片面印刷及び両面印刷のうちのいずれかと、記録紙Pの並び順を示す正順及び逆順のうちのいずれかと、排出面を示すフェイスダウン及びフェイスアップのうちのいずれかと、を指定して、印刷指示を入力したものとする。
【0065】
PC25の制御部は、印刷指示を受付けると、PC25の記憶部に記憶されているプリンタードライバーを用いて、指定された画像データ及び印刷設定等を示すPDLデータを生成し、PC25の通信部を介して、生成されたPDLデータを画像形成装置10に送信する。
【0066】
画像形成装置10の制御部19は、通信部23を介して上記PDLデータを受付けると、図3A乃至図3Cに示すRIP順序調整処理の実行を開始する。RIP順序調整処理において、制御部19はまず、PDLデータが片面印刷を示すか否かを判定する(ステップS10)。
【0067】
(1)片面印刷が指定されている場合
制御部19は、PDLデータが片面印刷を示すと判定した場合(ステップS10にてYES)、PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せに基づいて、真偽が一致するか否かを判定する(ステップS11)。ここで、制御部19は、並び順について、正順を「真」とし、逆順を「偽」として予め設定しているものとする。制御部19はまた、排出面について、フェイスダウンを「真」とし、フェイスアップを「偽」として予め設定しているものとする。
【0068】
(1-1)逆順及びフェイスアップの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「偽」である逆順及び「偽」であるフェイスアップである場合、制御部19は、真偽が一致すると判定し(ステップS11にてYES)、画像処理部21に対し、図4のテーブル40に示すように、PDLデータが示す印刷データに対して、正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)でのRIP処理の実行を開始させる(ステップS12)。
【0069】
ステップS12の処理後、制御部19は、画像形成部12等に対し、片面印刷処理の実行を開始させる(ステップS13)。この場合、片面印刷処理において、制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって順次搬送されてくる記録紙Pの上面(この場合、第一面)に、ラスターイメージの生成順(この場合、第1頁乃至第5頁の順)に従って、ラスターイメージが示す画像を形成させる。
【0070】
ステップS13の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すか否かを判定する(ステップS14)。この場合、制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すと判定し(ステップS14にてYES)、反転無排出処理の実行を要求するための第1信号を、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して送信する(ステップS15)。ステップS15の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0071】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて、画像形成装置10から送信されてくる第1信号を受信すると、上記した反転無排出処理を実行する。これによって、図5Aに示すように、先頭(フェイスアップの場合、最上面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が逆順(この場合、第5頁から第1頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、画像が上方に向くフェイスアップの状態で排出トレイ60に排出される。
【0072】
(1-2)正順及びフェイスダウンの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「真」である正順及び「真」であるフェイスダウンである場合、制御部19は、真偽が一致すると判定し(ステップS11にてYES)、上記と同様にして、ステップS12及びステップS13の処理を実行する。
【0073】
ステップS13の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスダウンを示すと判定し(ステップS14にてNO)、反転有排出処理の実行を要求するための第2信号を、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して送信する(ステップS16)。ステップS16の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0074】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて、画像形成装置10から送信されてくる第2信号を受信すると、上記した反転有排出処理を実行する。これによって、図5Bに示すように、先頭(フェイスダウンの場合、最下面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、画像が下方に向くフェイスダウンの状態で排出トレイ60に排出される。
【0075】
(1-3)正順及びフェイスアップの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「真」である正順及び「偽」であるフェイスアップである場合、制御部19は、真偽が一致しないと判定し(ステップS11にてNO)、画像処理部21に対し、テーブル40に示すように、PDLデータが示す印刷データに対して、逆順(この場合、第5頁から第1頁までの順)でのRIP処理の実行を開始させる(ステップS17)。
【0076】
ステップS17の処理後、制御部19は、ステップS13の処理を実行する。この場合、片面印刷処理において、制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって順次搬送されてくる記録紙Pの上面(この場合、第一面)に、ラスターイメージの生成順(この場合、第5頁乃至第1頁の順)に従って、ラスターイメージが示す画像を形成させる。
【0077】
ステップS13の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すと判定し(ステップS14にてYES)、ステップS15の処理を実行する。ステップS15の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0078】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第1信号を受信すると、上記した反転無排出処理を実行する。これによって、図5Cに示すように、先頭頁(フェイスアップの場合、最上面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、フェイスアップの状態で排出トレイ60に排出される。
【0079】
(1-4)逆順及びフェイスダウンの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「偽」である逆順及び「真」であるフェイスダウンである場合、制御部19は、真偽が一致しないと判定し(ステップS11にてNO)、上記と同様にして、ステップS17及びステップS13の処理を実行する。
【0080】
ステップS13の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスダウンを示すと判定し(ステップS14にてNO)、ステップS16の処理を実行する。ステップS16の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0081】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第2信号を受信すると、上記した反転有排出処理を実行する。これによって、図5Dに示すように、先頭頁(フェイスダウンの場合、最下面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が逆順(この場合、第5頁から第1頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、画像が下方に向くフェイスダウンの状態で排出トレイ60に排出される。
【0082】
(2)両面印刷が指定されている場合
制御部19は、PDLデータが両面印刷を示すと判定した場合(ステップS10にてNO)、PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せに基づいて、真偽が一致するか否かを判定する(ステップS18)。
【0083】
(2-1)逆順及びフェイスアップの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「偽」である逆順及び「偽」であるフェイスアップである場合、制御部19は、真偽が一致すると判定し(ステップS18にてYES)、画像処理部21に対し、テーブル40に示すように、PDLデータが示す印刷データに対して、正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)でのRIP処理の実行を開始させる(ステップS19)。
【0084】
ステップS19の処理後、制御部19は、画像形成部12等に対し、第1両面印刷処理の実行を開始させる(ステップS20)。第1両面印刷処理において、制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって順次搬送されてくる記録紙Pの第一面に、奇数番目に生成されたラスターイメージが示す画像を形成させ、第二面に、偶数番目に生成されたラスターイメージが示す画像を形成させる。
【0085】
この場合、テーブル40に示すように、第1枚目乃至第3枚目の記録紙Pのそれぞれの第一面には、奇数番目に生成された画像(この場合、第1頁、第3頁、及び第5頁の画像)がこの順に形成され、第二面には、偶数番目に生成された画像(この場合、第2頁及び第4頁)の画像がこの順に形成される。なお、第3枚目の記録紙Pの第二面は、白紙となる。
【0086】
ステップS20の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すか否かを判定する(ステップS21)。制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すと判定すると(ステップS21にてYES)、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して第2信号を送信する(ステップS22)。ステップS22の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0087】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第2信号を受信すると、上記した反転有排出処理を実行する。これによって、図5Eに示すように、先頭頁(フェイスアップの場合、最上面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が逆順(この場合、第5頁から第1頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、奇数頁の画像が形成されている第一面が上方に向くフェイスアップの状態で排出トレイ60に排出される。
【0088】
(2-2)正順及びフェイスダウンの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「真」である正順及び「真」であるフェイスダウンである場合、制御部19は、真偽が一致すると判定し(ステップS18にてYES)、上記と同様にして、ステップS19及びステップS20の処理を実行する。
【0089】
ステップS20の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスダウンを示すと判定すると(ステップS21にてNO)、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して第1信号を送信する(ステップS23)。ステップS23の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0090】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第1信号を受信すると、上記した反転無排出処理を実行する。これによって、図5Fに示すように、先頭頁(フェイスダウンの場合、最下面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)となっている複数の記録紙Pが、奇数頁の画像が形成されている第一面が下方に向くフェイスダウンの状態で排出トレイ60に排出される。
【0091】
(2-3)正順及びフェイスアップの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「真」である正順及び「偽」であるフェイスアップである場合、制御部19は、真偽が一致しないと判定し(ステップS18にてNO)、画像処理部21に対し、テーブル40に示すように、PDLデータが示す印刷データに対して、逆順でのRIP処理の実行を開始させる(ステップS24)。
【0092】
このとき、印刷データが偶数頁を示す場合には、制御部19は、画像処理部21に対し、逆順でのRIP処理のみを実行させる。印刷データが奇数頁を示す場合には、制御部19は、画像処理部21に対し、先頭に空白頁を挿入する挿入処理とともに、逆順でのRIP処理を実行させる。この場合、印刷データは奇数頁である5頁を示すので、制御部19は、画像処理部21に対し、テーブル40に示すように、空白頁を第1番目に生成した後、第5頁から第1頁までの順で、ラスターイメージを生成する。
【0093】
ステップS24の処理後、制御部19は、画像形成部12等に対し、第2両面印刷処理の実行を開始させる(ステップS25)。第2両面印刷処理において、制御部19は、画像形成部12等に対し、搬送ユニット13によって順次搬送されてくる記録紙Pの第一面に、偶数番目に生成されたラスターイメージが示す画像を形成させ、第二面に、奇数番目に生成されたラスターイメージが示す画像を形成させる。
【0094】
この場合、テーブル40に示すように、第1枚目乃至第3枚目の記録紙Pのそれぞれの第一面には、偶数番目に生成された画像(この場合、第5頁、第3頁、及び第1頁の画像)がこの順に形成され、第二面には、奇数番目に生成された画像(この場合、白紙、第4頁及び第2頁)の画像がこの順に形成される。
【0095】
ステップS25の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すか否かを判定する(ステップS26)。制御部19は、PDLデータがフェイスアップを示すと判定すると(ステップS26にてYES)、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して第2信号を送信する(ステップS27)。ステップS27の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0096】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第2信号を受信すると、上記した反転有排出処理を実行する。これによって、図5Gに示すように、先頭頁(フェイスアップの場合、最上面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が正順(この場合、第1頁から第5頁までの順)となっている3枚の記録紙Pが、奇数頁の画像が形成されている第一面が上方に向くフェイスアップの状態で排出トレイ60に排出される。
【0097】
(2-4)逆順及びフェイスダウンの組合せが指定されている場合
PDLデータが示す並び順及び排出面の組合せが、「偽」である逆順及び「真」であるフェイスダウンである場合、制御部19は、真偽が一致しないと判定し(ステップS18にてNO)、上記と同様にして、ステップS24及びステップS25の処理を実行する。
【0098】
ステップS25の処理後、制御部19は、PDLデータがフェイスダウンを示すと判定すると(ステップS26にてNO)、インターフェイス部24を通じて排出装置50に対して第1信号を送信する(ステップS28)。ステップS28の処理後、制御部19は、RIP順序調整処理を終了する。
【0099】
排出装置50の制御部65は、インターフェイス部64を通じて第1信号を受信すると、上記した反転無排出処理を実行する。これによって、図5Hに示すように、先頭頁(フェイスダウンの場合、最下面の頁を先頭とする。)からの記録紙Pの頁の並び順が略逆順(この場合、第5頁、第3頁、第4頁、第1頁、第2頁の順)となっている3枚の記録紙Pが、奇数頁の画像が形成されている第一面が下方に向くフェイスダウンの状態で排出トレイ60に排出される。
【0100】
このように、両面印刷を行なう場合であって、逆順及びフェイスダウンの組合せが指定された場合には、記録紙Pの頁の並び順が完全な逆順にはならないものの、他の組合せが指定された場合と同様に、奇数頁の画像が、記録紙Pの第一面(すなわち、光沢面)に形成される。
【0101】
上記実施形態によれば、制御部19は、通信部23を介して、逆順及びフェイスアップの組合せ、及び、正順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して正順でのRIP処理を実行させる。制御部19はまた、通信部23を介して、正順及びフェイスアップの組合せ、及び、逆順及びフェイスダウンの組合せのうちのいずれかを示すPDLデータを受付けた場合に、画像処理部21に対し、PDLデータが示す印刷データに対して逆順でのRIP処理を実行させる。
【0102】
このように、記録紙Pを逆順で排出する必要がある場合には、印刷データに対して逆順でのRIP処理が実行される。したがって、記録紙を逆順で排出する必要がある場合であっても、全頁のRIP処理の完了を待つことなく、生成された頁から順に印刷を開始できる。その結果、全頁のRIP処理が完了するまで印刷開始を待機する場合と比較して、印刷に要する時間が短くなる。また、印刷を完了した頁から順にラスターイメージを画像メモリーから削除する場合には、全頁のラスターイメージを画像メモリーに記憶させてから印刷を開始する場合と比較して、画像メモリーの消費量が少なくなる。
【0103】
また上記実施形態によれば、制御部19は、画像処理部21に正順でのRIP処理を実行させた場合であって、通信部23を介して両面印刷を示す指示を受付けている場合、画像形成部21に対し、奇数番目に生成された画像を記録紙Pの第一面に形成させるとともに、偶数番目に生成された画像を記録紙Pの第二面に形成させる。制御部19はまた、画像処理部21に逆順でのRIP処理を実行させた場合であって、通信部23を介して両面印刷を示す指示を受付けている場合、画像形成部21に対し、偶数番目に生成された画像を記録紙Pの第一面に形成させるとともに、奇数番目に生成された画像を記録紙Pの第二面に形成させる。
【0104】
これによって、RIP処理の順序に関わらず、第一面に形成される画像と第二面に形成される画像とを同一にできる。すなわち、第一面に形成すべき画像を第一面に正確に形成させ、第二面に形成すべき画像を第二面に正確に形成できる。したがって、プレプリント紙、片面光沢紙、又は片面塗工紙等の第一面と第二面との態様が異なる記録紙Pを用いる場合であっても、統一した仕上がりを実現できる。
【0105】
また上記実施形態によれば、制御部19は、通信部23を介して、真偽が一致しない並び順及び排出面の組合せ、及び、両面印刷を示すPDLデータを受付けた場合であって、印刷データが奇数頁を示す場合には、画像処理部21に対し、先頭に空白頁を挿入する挿入処理とともに、逆順でのRIP処理を実行させる。
【0106】
これによって、印刷データが奇数頁を示す場合であっても、並び順及び排出面の組合せに関わらず、統一した仕上がりを確実に実現できる。
【0107】
また上記実施形態によれば、制御部19は、通信部23を介して、両面印刷を示す指示及びフェイスアップを示す指示を受付けている場合、排出装置50に対し、上記した反転有排出処理を実行させる。制御部19はまた、通信部23を介して、両面印刷を示す指示及びフェイスダウンを示す指示を受付けている場合、排出装置50に対し、上記した反転無排出処理を実行させる。
【0108】
これによって、ユーザーは、両面印刷を行なう場合においても、所望する記録紙の並び順及び排出面の組合せが反映された印刷物を確実に取得できる。
【0109】
(その他の変形例)
上記実施形態では、画像形成部12等は、記録紙Pに画像を形成したが、本発明はそのような実施形態に限定されない。画像形成部12等は、記録紙Pに限らず、他の記録媒体に画像を記録してもよい。他の記録媒体としては、例えば、OHP(Overhead Projector)記録紙を例示できる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、画像形成装置10としてカラー複合機を用いているが、これは一例に過ぎず、モノクロ複合機、コピー機、又はファクシミリ装置等の他の画像形成装置が用いられてもよい。また、インクジェット方式の記録装置に限らず、画像形成装置10として、レーザー方式の画像形成装置が用いられてもよい。
【0111】
また、図1乃至図5Hを用いて示した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0112】
100 画像形成システム
10 画像形成装置
12 画像形成部
19 制御部
21 画像処理部
23 通信部
50 排出装置
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H