(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148109
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】貼付治療器
(51)【国際特許分類】
A61H 39/04 20060101AFI20231005BHJP
A61N 2/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61H39/04 N
A61H39/04 B
A61H39/04 Y
A61N2/08 A
A61N2/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055972
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】504090455
【氏名又は名称】株式会社ストーンマーケット
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰二郎
【テーマコード(参考)】
4C101
4C106
【Fターム(参考)】
4C101BA01
4C101BA08
4C101BC02
4C101BD07
4C101BD16
4C101EB12
4C106AA01
4C106BB13
4C106CC02
4C106DD01
4C106EE07
(57)【要約】
【課題】指圧効果が得られる粒状物が脱落しにくい貼付治療器を提供する。
【解決手段】貼付治療器10は、円形状のウレタン製シートにより形成された基材シート21の裏面に粘着層22が設けられた可撓性の粘着シート20と、粘着シート20に粘着層22により貼り付けられた球状の粒状物30とを備えている。そして、粘着層22に接する粒状物30の球面31には、粘着層22が弾性変形して進入可能な空間である貫通孔33による開口部が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの裏面に粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、
前記粘着シートに前記粘着層により貼り付けられた球状の粒状物とを備え、
前記粘着層に接する前記粒状物の球面には、前記粘着層が弾性変形して進入可能な空間が形成された貼付治療器。
【請求項2】
基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、
前記粘着シートに前記粘着層により貼り付けられた球状の粒状物と、
前記粒状物を前記粘着シートに接着する接着剤とを備え、
前記粒状物の球面に、前記接着剤が進入可能な空間が形成された貼付治療器。
【請求項3】
前記空間は、前記粒状物を貫通する貫通孔の開口部により形成された請求項1または2記載の貼付治療器。
【請求項4】
前記粒状物は、前記貫通孔の開口部が前記粘着層に向けて配置された請求項3記載の貼付治療器。
【請求項5】
前記粘着シートには、前記粒状物の周囲にリング状の永久磁石が設けられ、
前記永久磁石は、厚みが前記粒状物の直径より薄い請求項1から4のいずれかの項に記載の貼付治療器。
【請求項6】
前記粘着シートのおもて面に装飾体が配置された請求項1から5のいずれかの項に記載の貼付治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、粘着層により粘着シートに貼り付けられた球状の粒状物とを備えた貼付治療器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートに球状の粒状物が貼り付けられた貼付治療器として、特許文献1,2に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の生理学的活性シートは、皮膚に対して粘着性を有する柔軟シートと、遠赤外線放射性又は/及びマイナスイオン発生の粒子と、最も外側の外面には非粘着性の外面非粘着シートが重ね合わせてあり、粒子は柔軟シートの皮膚粘着面に配列してあり、皮膚粘着面が凹凸形状になっている。
【0004】
この活性シートでは、粒子は直径約1.0mm~5.0mm程度がよいことが記載され、粒子の例としては、トルマリン系鉱石、ジルコニウム又はケイ素系のセラミックス、あるいは天然に存在する戸室石等が挙げられている。
そして、このような構成により、特許文献1では、皮膚から浸透する遠赤外線効果等に加えて粒子がつぼを刺激するのでその相乗効果により、優れた生理学的活性を有すると記載されている。
【0005】
また、特許文献2に記載の皮接具は、1個のリング状永久磁石と、永久磁石のリング内部に内接する金属ゲルマニウム(金属Ge)と、永久磁石のN極面上に設けたPtメッキ層および接着用絆創膏とからなるものである。金属Geは接触皮膚面方向に対して突出する構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008-148773号公報
【特許文献2】特開2000-140133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の生理学的活性シートでは、粒子が直径約1.0mm~5.0mm程度であり、外面非粘着シートのほか、柔軟シートが必要であり、粒子を保持するために全体的に分厚くなってしまう。
【0008】
また、特許文献2に記載の皮接具は、金属Geが接触皮膚面方向に対して突出する構造であるため、指圧効果が期待できる。しかし、接着用絆創膏に配置する際に向きを注意して貼り付けなければならない。
金属Geが球状の粒状物であれば向きを気にせず配置することができるが、接着用絆創膏に接触する面積が減少してしまうため、接着用絆創膏から脱落してしまうおそれがある。
【0009】
そこで本発明は、指圧効果が得られる粒状物が脱落しにくい貼付治療器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の貼付治療器は、基材シートの裏面に粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、前記粘着シートに前記粘着層により貼り付けられた球状の粒状物とを備え、前記粘着層に接する前記粒状物の球面には、前記粘着層が弾性変形して進入可能な空間が形成されたことを特徴としたものである。
【0011】
本発明の貼付治療器によれば、粘着層に球状の粒状物が貼り付けられるときに、粘着層に接する粒状物の球面に、粘着層が弾性変形して進入可能な空間が形成されているため、粘着層が空間の縁部に付着して、粘着層との接触面積が増加する。従って、より強固に粘着層が粒状物に接着するので、粘着シートに粒状物を固定することができる。
【0012】
また、本発明の貼付治療器は、基材シートに粘着層が設けられた可撓性の粘着シートと、前記粘着シートに前記粘着層により貼り付けられた球状の粒状物と、前記粒状物を前記粘着シートに接着する接着剤とを備え、前記粒状物の球面に、前記接着剤が進入可能な空間が形成されたことを特徴としたものである。
【0013】
本発明の貼付治療器によれば、粘着層に球状の粒状物が貼り付けられ、粒状物を粘着シートに接着剤により接着するときに、粒状物の球面に、接着剤が弾性変形して進入可能な空間が形成されているため、接着剤が空間の縁部に付着して、接着剤との接触面積が増加する。従って、より強固に粘着層および接着剤が粒状物に接着するので、粘着シートに粒状物を固定することができる。
【0014】
前記空間は、前記粒状物を貫通する貫通孔の開口部により形成されたものとすることができる。
空間を貫通孔とすることで、貫通孔の開口縁部に粘着層や接着剤を付着させることができる。また、貫通孔に紐状部材や棒状部材などの線状部材を通して粘着シートの希望する位置に粒状物を線状部材に沿って移動させることで希望の位置に容易に粒状物を配置することができる。
【0015】
前記粒状物は、前記貫通孔の開口部が前記粘着層に向けて配置されたものとすることができる。
貫通孔の開口部が粘着層に向けられていることにより、粒状物を粘着層に貼り付けると、粘着層が弾性変形して貫通孔の開口縁部に粘着層を付着させることができる。また、接着剤を貫通孔の開口縁部に粘着層を付着させることができる。
【0016】
前記粘着シートには、前記粒状物の周囲にリング状の永久磁石が設けられ、前記永久磁石は、厚みが前記粒状物の直径より薄いものとすることができる。永久磁石が設けられていることで磁力による効果を得ることができる。また、永久磁石は、厚みが粒状物の直径より薄いため、永久磁石から粒状物が突出するので、粒状物の指圧効果を維持することができる。
【0017】
前記粘着シートのおもて面に装飾体が配置されたものとすることができる。粘着シートのおもて面に装飾体が配置されていると意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、より強固に粘着層や接着剤が粒状物に接着するので、粘着シートに粒状物を固定することができるので、指圧効果が得られる粒状物が脱落しにくいものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る貼付治療器を示す図であり、(A)は、貼付治療器の貼り付け側から見た図、(B)は(A)に示す貼付治療器のA-A線断面図である。
【
図2】
図1に示す永久磁石の磁極を説明するための図である。
【
図3】
図1に示す永久磁石の製造方法を説明するための図であり、(A)は粘着シートを準備した状態を示す断面図、(B)は(A)に示す粘着シートに永久磁石を配置した状態の断面図、(C)は(B)に示す永久磁石に粒状物の貫通孔に紐状部材を通して垂下させた状態の断面図、(D)は(C)に示す永久磁石に粒状物を配置した状態の断面図である。
【
図4】
図1に示す粘着シートに粒状物を貼り付けた状態を説明するための一部拡大図である。
【
図5】
図1に示す貼付治療器の粘着シートのおもて面に装飾体を載せた状態の図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係る貼付治療器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る貼付治療器を図面に基づいて説明する。
図1に示す貼付治療器10は、患部に貼り付けると指圧効果が得られるものである。また貼付治療器10は、磁力による血行を促進する効果が得られるものである。
【0021】
貼付治療器10は、基材シート21の裏面に粘着層22が設けられた可撓性の粘着シート20と、粘着シート20に粘着層22により貼り付けられた球状の粒状物30とを備えている。また、貼付治療器10の粘着シート20には、粘着層22によりリング状の永久磁石40が貼り付けられている。
なお、貼付治療器10では、皮膚に貼り付けられることで皮膚に接触する粘着シート20の領域であって、永久磁石40の外側の領域には、粘着層を保護するための剥離シート(保護シート)が覆われているが、
図1から
図6では省略している。
【0022】
粘着シート20の基材シート21は、例えば、円形状のウレタン製シートにより形成されている。基材シート21は、おもて面に意匠性を高めるための絵柄、模様やマークなどを印刷することができる。また、基材シート21は、透明としたり、肌色としたりすることができる。粘着層22は、基材シート21に、接着剤が塗布または噴霧されることにより形成されている。
【0023】
粒状物30は、天然石、人工石や金属とすることができる。天然石や人工石とした場合には、水晶、トルマリン、ヘマタイト、ラジウム、ガーネットが使用できる。また、金属とした場合には、チタン、ゲルマニウムが使用できる。
粒状物30には、粘着層22に接する粒状物30の球面31には空間32が形成されている。この空間32は、粒状物30を直径方向に貫通する貫通孔33の開口部により形成されている。
【0024】
永久磁石40は、内部空間が粒状物を収容する収容空間43となる。永久磁石40は、直径方向が断面矩形状に形成されていることで、粘着シート20への接着面41および皮膚への接触面42がドーナツ状平面に形成されている。永久磁石40は、
図2に示すように、円周方向に沿ってN極とS極とが交互に磁化されている。永久磁石40は、厚みtが粒状物30の直径Rbより薄く形成されている。
【0025】
本実施の形態1では、粘着シート20は、直径Rsが約20mmで、基材シート21の厚みが約50μm、粘着層22の厚みが約30μmに形成されている。
粒状物30の直径Rbが約2mmに形成されている。
永久磁石40は、外径Roが約4.5mm、内径Riが約2.3mm、厚みtが約1.5mmに形成されている。
【0026】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る貼付治療器の製造方法について図面に基づいて説明する。
図3(A)に示すように粘着シート20を準備する。次に、
図3(B)に示すように粘着シート20に永久磁石40を載置して押し付け、永久磁石40を粘着層22に貼り付ける。次に、
図3(C)に示すように永久磁石40の上方から永久磁石40の収容空間43に向かって紐状部材Sを垂下させる。紐状部材Sの下端は、収容空間43に向かって垂下していれば、粘着層22に着いていても、着いていなくてもよい。そして、紐状部材Sを貫通孔33に通した粒状物30を紐状部材Sに沿って移動させることで、粒状物30を希望とする配置位置となる永久磁石40の収容空間43に配置することができる。
【0027】
この永久磁石40の収容空間43へは、指で粒状物30を掴んだり、ピンセットなどの手動工具より掴んだりして配置することも可能である。
しかし、永久磁石40の収容空間43の直径(内径Ri)が約2.3mmであり、粒状物30の直径Rbが約2mmであるため、永久磁石40の内径Riは微小であり、クリアランスはわずかな隙間である。
【0028】
従って、紐状部材Sを垂下させ、貫通孔33に紐状部材Sを通し、粒状物30を紐状部材Sに沿って移動させる、例えば落下させることで、粒状物30を希望とする位置に容易に配置することができる。また、貫通孔33の開口部を粘着層22に向けて配置することができる。
【0029】
なお、本実施の形態1では、紐状部材Sを貫通孔33に通し、紐状部材Sに沿って粒状物30を移動、例えば、落下させて所定の位置に配置していたが、紐状部材Sは針金状の棒状部材とすることができる。このように治具としては、紐状部材や棒状部材などの線状部材とすることができる。
【0030】
図3(D)に示すように、粒状物30が収容空間43に配置できると、粒状物30を粘着シート20の方へ押し込み、より強固に接着させる。このとき、
図4に示すように、粘着シート20の粘着層22は、粒状物30が押し付けられることで弾性変形して粒状物30の貫通孔33における内部の空間32へ進入することで、粘着層22が貫通孔33の縁部に付着する。
【0031】
従って、接触面積が増加し、アンカー効果により、より強固に粘着層22が粒状物30に接着するので、粘着シート20に粒状物30を固定することができる。よって、粘着層22を極端に厚くしなくても、粒状物30が粘着シート20から脱落し難くすることができる。
【0032】
本実施の形態1では、粒状物30が水晶により形成されている。水晶は、身体のリズムを整え安定した精神状態が保て、筋肉の緊張からおこる肩こりや腰痛などを改善すると言われている。また、永久磁石40から粒状物30が突出しているので、貼付治療器10を皮膚に貼り付けると、粒状物30が皮膚を押圧するため、指圧効果が期待できる。
【0033】
また、粘着シート20には、粒状物30の周囲に永久磁石40が設けられているので、永久磁石40からの磁力が血行を促進させることで肩こり等が緩和することが期待できる。
【0034】
図1に示す貼付治療器10は、
図5に示すように、例えば、粘着シート20のおもて面に、装飾体50を搭載することができる。この装飾体50は、光に反射して輝くようにカットされた、水晶、ガラスやアクリル樹脂により形成されたラインストーンと称されるものとすることができる。装飾体50は接着剤により粘着シート20のおもて面に貼り付けることができる。例えば、接着剤が熱可塑性樹脂により形成されていれば、装飾体50の底面を加熱して接着剤を軟化させ、粘着シート20のおもて面に載せて放置すると接着剤が硬化することで、装飾体50を粘着シート20に固着させることができる。
【0035】
このように粘着シート20のおもて面に装飾体50が配置されていることで、貼付治療器10の意匠性を高めることができる。
【0036】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る貼付治療器11を図面に基づいて説明する。なお、
図6においては、
図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、貼付治療器11は、粘着シート20に粒状物30を貼り付ける際に、粘着シート20の粘着層22だけでなく、接着剤60により接着している。
このとき接着剤60に埋まる、接着剤が進入する空間32である貫通孔33に、開口部から接着剤60が進入して固着するため、より強固に粒状物30を粘着シート20に接着することができる。
【0037】
また、粒状物30は球状に形成されているため、粒状物30の直径方向に形成された貫通孔33は両方の端部に形成された開口のいずれかが粘着シート20側を向く。従って、接着剤60を塗布すると、粘着シート20側を向いた貫通孔33の開口部に接着剤60を進入させることができる。
【0038】
また、粒状物30の周囲には永久磁石40が囲っているため、接着剤60を塗布する際に、粒状物30の半分までの高さまで接着剤を塗布すれば、確実に貫通孔33の開口部に接着剤60を進入させることができる。
【0039】
なお、実施の形態2に係る貼付治療器11は、粘着シート20に対して貫通孔33が傾斜する方向となるように、粒状物30が配置されているが、
図3(C)に示すように紐状部材Sにより粒状物30を移動させて配置することで、貫通孔33の開口部を粘着シート20に向けることができる。
また、実施の形態2に係る貼付治療器11にも、実施の形態1と同様に装飾体50を貼り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、患部に貼り付け指圧効果を得ることで血行を促進する貼付治療器に好適である。
【符号の説明】
【0041】
10,11 貼付治療器
20 粘着シート
21 基材シート
22 粘着層
30 粒状物
31 球面
32 空間
33 貫通孔
40 永久磁石
41 接着面
42 接触面
43 収容空間
50 装飾体
60 接着剤
Rs 直径
Ro 外径
Ri 内径
Rb 直径
t 厚み
S 紐状部材