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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014811
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】パレットの載置構造
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/00 20060101AFI20230124BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
B60P1/00 H
B62D33/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021118974
(22)【出願日】2021-07-19
(71)【出願人】
【識別番号】501055145
【氏名又は名称】株式会社ZMP
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】谷口 恵恒
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 章
(57)【要約】
【課題】複数のパレットを整えて載置でき、フォークリフトによるパレットの載置作業を効率よく行い得るパレットの載置構造を提供する。
【解決手段】複数のパレット30を所定方向D2に並べて載置するパレット30の載置構造であり、ベース部43と、ベース部43の所定方向D2にスライド可能に支持されて複数のパレット30を載置可能なスライドプレート46と、スライドプレート46を所定方向D2にスライド駆動するプレート駆動部61と、プレート駆動部61の制御部62と、を備え、制御部62は、スライドプレート46上に載置されたパレット30を被当接物となる当接壁55a等に当接させてから停止するようにスライドプレート46を駆動する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトのフォークを開口部に挿入できるように複数のパレットを所定方向に並べて載置するパレットの載置構造であって、
ベース部と、
前記所定方向にスライド可能に前記ベース部に支持されて前記複数のパレットを載置可能なスライドプレートと、
前記スライドプレートを前記所定方向にスライド駆動するプレート駆動部と、
前記プレート駆動部の制御部と、を備え、
前記制御部は、前記スライドプレート上に載置された前記パレットを被当接物に当接させてから停止するように前記スライドプレートを駆動する、パレットの載置構造。
【請求項2】
前記被当接物は、前記所定方向に対して直交配置された当接壁であり、
前記制御部は、前記当接壁に当接した前記パレットを前記スライドプレートに対して摺動させるように該スライドプレートを駆動する、請求項1に記載のパレットの載置構造。
【請求項3】
前記被当接物は、前記スライドプレートに第1パレットが載置された後で載置される第2パレットであり、
前記制御部は、前記スライドプレート上方に配置された前記第2パレットに前記第1パレットを当接させてから該スライドプレートを停止させる、請求項1に記載のパレットの載置構造。
【請求項4】
前記スライドプレートは、前記所定方向にスライド自在に前記ベース部に支持されている、請求項1乃至3の何れかに記載のパレットの載置構造。
【請求項5】
貨物自動車における荷室に前記スライドプレートが設けられている、請求項1乃至4の何れかに記載のパレットの載置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のパレットを載置するためのパレットの載置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貨物自動車の荷室などに複数の貨物を収容する場合、貨物をパレットに載置し、フォークリフトにより荷室の側面側から、1個づつ並べて載置する作業が行われている。このような載置作業では、フォークリフトのフォークをパレットの開口部に挿入して上昇させ、荷室の側面側まで走行した後、フォークを下降させて荷室内の床面等の所定の位置に載置する。ところがフォークを差し込んでパレットを支持する位置や向きには作業性の点から自由度が大きいため、載置場所まで搬送した後、パレットを載置すべき所定の位置は目標からのズレが大きく発生し易く、複数のパレットを載置する場合、隣り合うパレット間の間隔や向きなどに大きなばらつきが生じ易かった。
【0003】
そのため荷下ろしの前にフォークリフトの位置や向きを精度よく調整することで、各パレットの載置位置を調整したり、載置途中や載置後にフォークリフトのフォークにより各パレットの固定位置をさらに調整したりすることが行われるが、熟練を要するなど、載置作業を効率よく行うことができなかった。
【0004】
貨物自動車の荷室に多数の貨物を効率よく載置するための工夫として、例えば下記特許文献1には、貨物自動車のコンテナ荷台と略同形の低面を有し貨物自動車のコンテナ荷台から引出し及び押込み可能な混載荷役パレットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-362561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では、汎用されているパレットを複数載置するものとは異なり特殊な構造のパレットを用いており、フォークリフトにより複数の汎用のパレットを所定位置に整えて載置するようなことはできなかった。
【0007】
そこで本発明では、所定位置に複数のパレットを整えて載置でき、フォークリフトによる複数のパレットの載置作業を効率よく行うことが可能なパレットの載置構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フォークリフトのフォークを開口部に挿入できるように複数のパレットを所定方向に並べて載置するパレットの載置構造において、ベース部と、ベース部に所定方向にスライド可能に支持されて複数のパレットを載置可能なスライドプレートと、スライドプレートを所定方向にスライド駆動するプレート駆動部と、プレート駆動部の制御部と、を備え、制御部は、スライドプレート上に載置されたパレットを被当接物に当接させてから停止するようにスライドプレートを駆動するように構成されている。
【0009】
上記構成において、被当接物を、好ましくは所定方向に対して直交配置された当接壁とし、制御部が当接壁に当接したパレットをスライドプレートに対して摺動させるようにスライドプレートを駆動する。
【0010】
上記構成において、被当接物を、好ましくはスライドプレートに第1パレットが載置された後で載置される第2パレットとし、制御部がスライドプレート上方に配置された第2パレットに第1パレットを当接させてからスライドプレートを停止させるよう構成する。
【0011】
本発明のパレットの載置構造は、さらにスライドプレートが所定方向にスライド自在にベース部に支持されていてもよい。
【0012】
本発明のパレットの載置構造では、貨物自動車における荷室にスライドプレートが設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明のパレットの載置構造によれば、複数のパレットを所定方向に並べて配置可能なスライドプレートが、プレート駆動部により所定方向にスライド駆動可能に構成され、スライドプレートを駆動させた際、スライドプレート上に載置されたパレットが被当接物に当接してから停止するように制御可能である。よって、パレットの配置を調整でき、複数のパレットをスライドプレート上に整えて載置することができ、フォークリフトを複雑に操作してパレットの配置を整えるような作業を簡素化でき、複数のパレットの載置作業を効率よく行うことができる。
【0014】
本発明において、被当接部を所定方向に対して直交配置された当接壁とし、プレート駆動部が当接壁に当接したパレットをスライドプレートに対して摺動可能に構成すれば、スライドプレート上に載置されたパレットを当接壁に当接させることで、容易にパレットの位置や向きを調整できる。よって、スライドプレート上にパレットを載置し、パレットの端部をスライドプレートよりも当接壁側に突出させて載置すれば、スライドプレートを所定方向に若干スライド駆動することで、パレットを当接壁に当接させてスライドプレートに対する位置や向きを整えることができる。
【0015】
本発明において、被当接物を、スライドプレートに第1パレットが載置された後で載置される第2パレットとし、制御部がスライドプレート上方に配置された第2パレットに第1パレットをスライドさせ当接させてからスライドプレートを停止させるものであれば、第1パレットをスライドプレートに載置した後でスライドプレート上に載置される第2パレットを第1パレットに近接又は当接して載置することができ、複数のパレット間の間隔を詰めることができる。
【0016】
本発明において、スライドプレートが所定方向にスライド自在にベース部に支持されていれば、スライドプレートをプレート駆動部から開放することでスライド自在に構成できる。そのためスライドプレート上に載置されたパレットの荷取作業で、フォークリフトを走行させてフォークをパレットの開口部に挿入する際、フォークが開口部の周囲付近に接触しても、スライドプレートによりパレットが所定方向に容易に変位できる。これによりパレットの開口部に対してフォークの位置や向きが多少ずれていてもフォークを開口部に容易に挿入でき、フォークリフトによるパレットの荷取作業の作業性が向上する。
【0017】
本発明において、貨物自動車における荷室にスライドプレートが設けられていれば、荷室に複数のパレットを載置する際、複数のパレットを整えて載置することができるので、荷室への載置作業が簡素化でき作業効率が向上し、併せて運搬時に安定した走行が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係るパレットの載置構造を装着した貨物自動車を示す概略側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る載置構造を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図3】上記載置構造の斜視図で、(a)はスライドプレートのスライド駆動前の状態を示し、(b)はスライドプレートのスライド駆動後の状態を示している。
図4図2(a)のB-B断面を示す部分斜視図である。
図5】(a)は図2(a)のC部を拡大した部分平面図、(b)はその側面図である。
図6】上記載置構造のプレート駆動部を説明する図で、(a)はスライドプレートの後端部の部分斜視図、(b)はスライドプレートの後端部に連結される駆動機構を有するベース部の部分斜視図である。
図7】上記載置構造の制御部の概略を示すブロック図である。
図8】上記載置構造におけるストッパを示し、(a)はストッパピンの斜視図、(b)はストッパクリップの斜視図、(c)はストッパによるベース部とスライドプレートとの固定状態を示す断面図である。
図9】(a)~(c)は上記載置構造において第1パレットを載置する動作説明図である。
図10】(a)~(c)は上記載置構造において第2パレットを載置する動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。この実施形態では、図1及び図2(a),(b)に示すような貨物自動車52の荷室57にパレット30の載置構造が組み込まれている。
貨物自動車52には、運転室53から後方に延びるシャーシ54上に貨物を積載するための荷室57が設けられる。荷室57はパネル55により外部と仕切られ、運転室53側となる前面側のパネル55が、後述するようにパレット30を当接して前方側へ加圧可能な強度の当接壁55aとなっている。この当接壁55aは貨物自動車52の前後方向D2に延びる中心線に対して直交するように配置される。側面側のパネル55全体は大きく開閉可能に設けられており、本実施形態では、荷室57の側面側から自動運転フォークリフト10により貨物を載せたパレット30が出し入れ可能である。
【0020】
図3(a),(b)及び図4に示すように、この実施形態の載置構造は、脚部44を有するベース部43と、上面に複数のパレット30を載置可能な載置面を有するスライドプレート46と、ベース部43にスライドプレート46を前後方向D2にスライド自在に支持するスライド支持部51と、スライドプレート46のスライドを規制するスライド規制部47と、スライドプレート46を前後方向D2にスライド駆動するプレート駆動部61と、プレート駆動部61の制御部62と、を備えている。
【0021】
ベース部43は、脚部44により荷室57に固定して設けたフレーム45からなり、平面視で荷室57より前後長が短く形成されている。前端部が荷室57の当接壁55aと間隔を空けて配置され、後端部にはプレート駆動部61の配置部位が設けられる。
【0022】
スライドプレート46は、前後方向D2に長い略長方形の板材により形成され、上面に前後方向D2に複数のパレット30を並べて載置可能な載置面を有する。下面には複数本の補強材46cが前後方向D2に固定され、スライド支持部51により下面側から略水平に支持されて前後方向D2にスライド自在に配置される。
【0023】
スライド支持部51は、図2(b)及び図4に示すように、ベース部43に回転自在に支持されて互いに略平行に配置された複数のロッド48を備え、複数のロッド48の転動面によりスライドプレート46を支持している。複数のロッド48の軸線Lが、左右方向D1、即ち、パレット30の開口部31に対するフォーク13の挿入方向となっている。各ロッド48はベース部43の横支柱43a内に配設された軸受49により両端で支持されることで回転自在に配置されている。
【0024】
横支柱43aはカバー部50により覆われている。カバー部50は枠状のベース部43の外側、上側、内側を覆う外面部50a、上面部50b、内面部50cを有する。上面部50bはスライドプレート46の上面と略同一面に配置されている。内面部50cはロッド48を除く位置を覆うとともにスライドプレート46のスライド時のガイドとなっている。
【0025】
スライド規制部47は、図5(a)、(b)に示すように、略四角形形状のベース部43の短手方向に配置された一対の横支柱43aに、スライドプレート46の長手方向における両端部46aが移動可能な凹部43bと、四隅付近にスライドプレート46と当接可能な凸部43cと、ベース部43の凸部43cに対応する四隅に設けられた切欠部46bと、を有する。このスライド規制部47は、スライドプレート46が所定量以上スライドした際、スライドプレート46の切欠部46bが横支柱43aの凸部43cに当接することで、スライドプレート46の過剰なスライドを規制することが可能である。
【0026】
プレート駆動部61は、図6(a)及び(b)に示すように、ベース部43の後端部46aに設けられた駆動部本体63と、スライドプレート46の後端部46aに設けられて駆動部本体63と連結される連結部64と、を備える。駆動部本体63は、ベース部43の後端部から後方に突出して装着されたギヤドモータ等からなる電動アクチュエータ65と、電動アクチュエータ65により揺動駆動される揺動レバー66と、を有する。電動アクチュエータ65は図示しないクラッチ機構等により揺動レバー66を揺動自在に切替可能に構成される。スライドプレート46の連結部64は、スライドプレート46の後端部46aにおける切欠部46b間に後方に設けられた延長部分に、駆動部本体63の揺動レバー66の突出部が摺動自在に挿通して連結された長孔形状の連結孔により構成される。
【0027】
このプレート駆動部61は、駆動部本体63の揺動レバー66がスライドプレート46の連結部64に連結した状態で、揺動レバー66が正逆方向に揺動駆動することで、前後方向D2にスライド可能に支持されているスライドプレート46が前後方向D2にスライドすることができる。またクラッチ機構等により電動アクチュエータ65に対して揺動レバー66を開放することで揺動自在にすると、スライドプレート46が前後方向D2にスライド自在となり、前後のスライド規制部47間の間をスライドプレート46が容易にスライドすることが可能となる。
【0028】
制御部62は、図7に示すように、スライドプレート46に対するパレット30の位置等を検知するパレット検知部67と、スライドプレート46に載置されたパレット30が他の部材に当接したことを検知する当接検知部68と、パレット検知部67及び当接検知部68の検知信号に基づいて電動アクチュエータ65の揺動を制御する揺動制御部62aと、電動アクチュエータ65と揺動レバー66との連結及び開放を選択可能な操作入力部69と、を備える。
【0029】
本実施形態のパレット検知部67は、パレット30がスライドプレート46上における載置面に近接した高さに配置されたことを検知する近接高さ検知部67aと、パレット30がスライドプレート46上に載置されことを検知する載置検知部67bと、を有する。近接高さ検知部67aは、例えばベース部43のフレーム45やフォークリフト10のフォーク13などに設けられた位置センサ等により構成してもよい。載置検知部67bは例えばベース部43に設けられた重量センサ等により構成してもよい。当接検知部68は、例えば電動アクチュエータ65の負荷変動により検知するように構成できる。即ち、パレット30が載置されたスライドプレート46を電動アクチュエータ65によりスライド駆動する間に、電動アクチュエータ65に供給される電力の不連続な変化により、パレット30が他の部材に当接したことを検知してもよい。
【0030】
なお本実施形態の載置構造には、図8(a)~(c)に示すように、ベース部43に対してスライドプレート46を移動不能に固定するためのストッパ56が設けられる。ストッパ56は、図8(c)に示すように、ベース部43の横支柱43aの貫通孔43dと、スライドプレート46の端部46aに設けられた切欠46dとに、図8(a)に示すストッパピン56aを貫通させて、図8(b)に示すストッパクリップ56bをストッパピン56aに嵌合させて抜け防止する構造である。ストッパ56は作業者が必要に応じて着脱可能であり、装着することで、スライドプレート46をベース部43に対して移動不能に強固に固定することができる。
【0031】
次に、上記載置構造を用いて、複数のパレット30を貨物自動車52の荷室57に荷積みを行う荷積作業について説明する。
荷積の際は、貨物を載置した状態で所定領域に配置されている複数のパレット30を、自動運転のフォークリフト10により、順次、図1及び図2に示す貨物自動車52の荷室57の位置まで自動で搬送する。複数のパレット30のうち最初に載置される第1パレット30aをフォークリフト10のフォーク13より支持し、荷室57の側方側からフォーク13を左右方向D1に向けた状態で、スライドプレート46の載置面上に載置する。
【0032】
その際、図9(a)に示すように、第1パレット30aの当接壁55a側の前端部をスライドプレート46の前端縁よりも当接壁55a側にはみ出した状態でスライドプレート46上に載置する。フォークリフト10のフォーク13に支持された第1パレット30aの位置や向きにずれがあったり、フォークリフト10が荷室57に対して斜めに接近したりすると、スライドプレート46上に載置された第1パレット30aがスライドプレート46の前後方向の中心線に対して傾斜して配置されることがある。
【0033】
制御部62では、第1パレット30aが載置されたことが載置検知部67bにより検知されると、電動アクチュエータ65を駆動し、揺動レバー66によりスライドプレート46を前後方向D2の当接壁55a側へスライドさせる。スライドプレート46のスライドにより、図9(b)に示すように、第1パレット30aが当接壁55aに当接し、当接検知部68により第1パレット30aが当接壁55aに当接したことが検知される。制御部62では、第1パレット30aが当接壁55aに当接した状態のまま、スライドプレート46に対して第1パレット30aを摺動させながら電動アクチュエータ65の駆動を所定期間継続する。
【0034】
すると第1パレット30aの前端部が当接壁55aに押し付けられ、スライドプレート46に対して摺動する。このときスライドプレート46の中心線に対して傾いて配置されていた第1パレットの場合、当接壁55aに対して前端部が斜めに配置されているため、前端部46aが当接して押し付けられてスライドプレート46に対して摺動することで、前端部全体が均等に当接壁55aに当接するように第1パレット30aをずらすことができ、スライドプレート46の中心線に対して第1パレット30aを直交する向きに揃えることができる。
【0035】
本実施形態の制御部62は、当接検知部68により第1パレット30aが当接壁55aに当接したことを検知した後、所定時間スライドプレート46の当接壁55a側へのスライド駆動を継続した後、その状態で、電動アクチュエータ65の駆動を停止する。その後図9(c)に示すように、プレート駆動部61は、電動アクチュエータ65を所定量逆方向に駆動させることで、スライドプレート46を当接壁55aから離間する方向に所定量移動させ、当接壁55aに当接させた第1パレット30aを当接壁55aから離間させてベース部43及び荷室57に対して予め設定された適正な位置に第1パレット30aを載置することができる。
【0036】
次いで、スライドプレート46上に第1パレット30aが載置された状態で、次の第2パレットをスライドプレート46の載置面に載置するには、第2パレット30bをフォークリフト10のフォーク13により支持して搬送し、第2パレット30bを荷室57の側方側からフォーク13を左右方向D1に向けた状態で、図10(a)に示すようにスライドプレート46の載置面上に載置する。このときフォーク13を下降させて第2パレット30bがスライドプレート46の載置面上方の近接位置に配置されたことを近接高さ検知部67aにより検知したとき、例えばその位置でフォーク13の下降を一端停止する。
【0037】
制御部62では、近接高さ検知部67aにより第2パレット30bが近接したことを検知したとき、スライドプレート46を前後方向D2の後方側へスライド駆動させるように電動アクチュエータ65を駆動する。そして、図10(b)に示すように、当接検知部68によりスライドプレート46上に載置されている第1パレット30aが第2パレット30bに当接したことが検知されたとき、電動アクチュエータ65の駆動を停止してスライドプレート46の後方側へのスライドを停止する。
【0038】
この状態でフォークリフト10のフォーク13を下降させることで、図10(c)に示すように、第2パレット30bを第1パレット30aの後端部に当接させた状態でスライドプレート46上に載置することができ、第1パレット30aと第2パレット30bとを前後方向D2に並べて載置できる。このとき各パレット30の開口部31を全て荷室57の左右方向に向けて配置されている。このような動作を複数回繰り返すことで、荷積みする全てのパレット30を荷室57に積み込むことができる。その後、貨物自動車52が走行する際にはストッパ56を装着してベース部43に対してスライドプレート46を移動不能に固定しておくのがよい。
【0039】
複数のパレット30を荷室57に載置した貨物自動車52により搬送後、荷卸作業を行う。荷卸作業にあたり、本実施形態では、予めストッパ56を取り外し、ベース部43に対してスライドプレート46を移動可能にしておく。また制御部62において操作入力部69の操作などにより、クラッチ機構等により電動アクチュエータ65に対して揺動レバー66を開放して揺動自在にすることで、ベース部43に対してスライドプレート46をスライド自在にしておく。
【0040】
そしてフォークリフト10を走行させ、フォーク13の高さ位置をパレット30の高さ位置に対応させて荷室57の側面側から接近させ、フォーク13をパレット30の開口部31に挿入する。その際、フォーク13の位置と開口部31の位置とが多少ずれていたりフォーク13の向きが開口部31の向きと多少ずれていて、そのまま車体11を前進させてフォーク13をパレット30の開口部31内に挿入すると、フォーク13がパレット30の開口部31の周囲に接触することがある。
【0041】
ところが本実施形態では、貨物及びパレット30を積載したスライドプレート46が多数のロッド48にスライド可能に支持されているため、フォーク13が開口部31の周囲に接触してフォーク13によりパレット30が押圧されると、スライドプレート46が挿入方向D1と交差する前後方向D2にスライドする。そのため、スライドプレート46がスライド可能な範囲であれば、そのまま車体11の前進を継続することでフォーク13全体をパレット30の開口部31内に挿入することができる。そして、フォーク13の挿入後は、上昇させて走行させることで、パレット30の荷取作業を行うことができる。
【0042】
次に、以上のような構成の本実施形態のパレットの載置構造についての作用効果について説明する。
本実施形態の載置構造によれば、複数のパレット30を所定方向である前後方向D2に並べて配置可能なスライドプレート46が、プレート駆動部61により前後方向D2にスライド駆動可能に構成され、スライドプレート46を駆動させた際、スライドプレート46上に載置されたパレット30が当接壁55aや他のパレット55等の被当接物に当接してから停止するように制御可能である。そのためパレット30の配置を調整することができ、複数のパレット30をスライドプレート46上に整えて載置することができる。これによりフォークリフト10を複雑に操作してパレット30の配置を整えるような作業を簡素化でき、複数のパレット30の載置作業を効率よく行うことができる。
【0043】
また本実施形態の載置構造のように、被当接部が前後方向D2に対して直交配置された当接壁55aであると、プレート駆動部61が当接壁55aに当接したパレット30をスライドプレート46に対して摺動可能であるので、スライドプレート46上に載置されたパレット30を当接壁55aに当接させることで、容易にパレット30の位置や向きを調整できる。従って、スライドプレート46上にパレット30を載置する際、パレット30の端部をスライドプレート46よりも当接壁55a側に突出させて載置すれば、スライドプレート46を前後方向D2にスライド駆動することで、パレット30を当接壁55aに当接させてスライドプレート46に対する位置や向きを整えることができる。特に、プレート駆動部61が当接壁55aに当接させたパレット30を当接壁55aから離間させてスライドプレート46を停止するように制御されるので、スライドプレート46の端部に載置されるパレット30を安定した位置に配置させることができる。
【0044】
さらに別の実施形態の載置構造に示すように、被当接物がスライドプレート46に第1パレット30aが載置された後で載置される第2パレット30bである場合は、制御部62がスライドプレート46上方に配置された第2パレット30bに第1パレット30aを当接させてからスライドプレート46を停止させるので、第1パレット30aをスライドプレート46に載置した後でスライドプレート46上に載置される第2パレット30bを第1パレット30aに近接して載置することができ、複数のパレット30間の間隔を詰めることができる。
【0045】
また本実施形態の載置構造によれば、スライドプレート46が前後方向D2にスライド自在にベース部43に支持されているので、スライドプレート46をプレート駆動部61から開放することでスライド自在に配置できる。従って、スライドプレート46上に載置されたパレット30の荷取作業で、フォークリフト10を走行させてフォーク13をパレット30の開口部31に挿入する際、フォーク13が開口部31の周囲に接触すると、スライドプレート46によりパレット30が前後方向D2に容易に変位できる。これによりパレット30の開口部31に対してフォーク13の位置や向きが多少ずれていてもフォーク13を開口部31に容易に挿入でき、フォークリフト10によるパレット30の荷取作業の作業性を向上できる。
【0046】
さらに本実施形態の載置構造によれば、貨物自動車における荷室にスライドプレート46が設けられていると、その荷室に複数のパレット30を載置する際、複数のパレット30を整えて載置することができる。従ってフォークリフト10により配置を整えて複数のパレット30を荷室に載置する作業を簡素化でき、貨物自動車52への載置作業の効率化が図れる。
【0047】
なお上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記実施形態では、スライドプレート46を前後方向D2にスライド駆動させるため、互いに略平行に多数配置された回転自在なロッド48によりスライドプレート46を支持し、プレート駆動部61において電動アクチュエータ65の揺動レバー66をスライドプレート46の連結部64の連結孔に連結することで、前後方向D2にスライド駆動させているが、これに限らず、例えば互いに略平行に多数配置されたロッド48の代わりに、それぞれ個々に駆動部が内蔵されていて、外周面を構成する筒体等が回転駆動可能なロッド状部材(例えば「パワーモーラ」、伊東電機株式会社製、商品名)などを用いることができる。その場合、プレート駆動部61をベース部43の後方に突出して設ける必要がなく、各ロッド48の位置にそれぞれ回転駆動可能なロッド状部材を配置すればよい。
上記実施形態では、貨物自動車52の荷室57に複数のパレット30を載置する例を説明したが、工場や倉庫内の荷棚であっても本発明を同様に適用することができる。その場合、荷棚の長手方向の一方の側面にはスライドプレート46に載置されたパレット30を当接させて押し付けることで、スライドプレート46の載置面に対してパレット30を摺動できる程度の剛性を有する当接壁55aを設けるのが好ましい。
さらに上記実施形態ではパレット検知部67や当接検知部68をベース部43やその周囲に設けたが、これらをフォークリフト10に設けた各種の検知部を利用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 フォークリフト
13 フォーク
30 パレット
30a 第1パレット
30b 第2パレット
31 開口部43 ベース部
43a 横支柱
43b 凹部
43c 凸部
43d 貫通孔
44 脚部
45 フレーム
46 スライドプレート
46a 端部
46b 切欠部
46c 補強材
46d 切欠
47 スライド規制部
48 ロッド
49 軸受
50 カバー部
50a 外面部
50b 上面部
50c 内面部
51 スライド支持部
52 貨物自動車
53 運転室
54 シャーシ
55 パネル
55a 当接壁
56 ストッパ
56a ストッパピン
56b ストッパクリップ
57 荷室
61 プレート駆動部
62 制御部
63 駆動部本体
64 連結部
65 電動アクチュエータ
66 揺動レバー
67 パレット検知部
67a 近接高さ検知部
67b 載置検知部
68 当接検知部
69 操作入力部
L ロッドの軸線
D1 左右方向
D2 前後方向
図1
図2
図3
図4
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図10