(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148124
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/91 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01N21/91 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022055994
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】大森 丈史
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹生 昇平
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA61
2G051AB07
2G051BA05
2G051BB02
2G051CA04
2G051CA06
2G051CC09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】探傷液の色味が薄いと、欠陥を検査できる程度の画像コントラストを得ることができない。
【解決手段】検査装置10の照明部16は、Y方向に延びた長方形状を有し、蛍光探傷液を欠陥に染みこませたセンサ素子12の表面22にY方向に沿ったライン状の紫外光24を照射する。検査装置10の撮像部18は、紫外光24が照射された蛍光探傷液から放射される蛍光28の波長帯の感度を有し、センサ素子12の表面22を撮像する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延びたセンサ素子の表面に形成された微細な欠陥を検査するための検査装置であって、
前記所定方向に延びた長方形状を有し、蛍光探傷液を前記欠陥に染み込ませた前記センサ素子の表面に前記所定方向に沿ったライン状の紫外光を照射する照明部と、
前記紫外光が照射された前記蛍光探傷液から放射される蛍光の波長帯の感度を有し、前記センサ素子の表面を撮像する撮像部と、
を備える、検査装置。
【請求項2】
請求項1記載の検査装置において、
前記撮像部は、前記紫外光が照射される前記センサ素子の表面に、前記撮像部の光軸が直交するように配置され、
前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記照明部から照射される前記紫外光の光軸が、前記センサ素子の表面に対して所定角度だけ傾斜するように配置されている、検査装置。
【請求項3】
請求項2記載の検査装置において、
前記照明部を2つ備え、
2つの前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部を挟むように、前記撮像部と離間して配置されている、検査装置。
【請求項4】
請求項3記載の検査装置において、
2つの前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部と前記撮像部の光軸とを挟んで対称に配置されている、検査装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記紫外光の光軸は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部の光軸に対して、40°~50°の範囲内で傾斜している、検査装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部の光軸から前記光軸と直交する方向に50mm~90mmの距離だけ離れて位置する、検査装置。
【請求項7】
請求項2~6のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記照明部は、前記センサ素子の表面から前記撮像部の光軸に沿った方向に45mm~90mmの距離だけ離れて位置する、検査装置。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか1項に記載の検査装置において、
前記撮像部は、テレセントリックレンズを有し、前記テレセントリックレンズを介して、前記センサ素子の表面を撮像する、検査装置。
【請求項9】
請求項8記載の検査装置において、
前記テレセントリックレンズは、前記センサ素子の表面から前記撮像部の光軸に沿った方向に100mm~300mmの距離だけ離れて位置する、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センサ素子の検査装置が開示されている。この検査装置は、センサ素子の製造工程において、センサ素子の表面に形成された微細な欠陥を検査する。具体的には、探傷液を塗布又は浸漬によってセンサ素子の表面に付着させる。センサの表面に付着された探傷液は、欠陥に染み込む。次に、センサ素子の表面を洗浄する。次に、センサ素子を乾燥させる。次に、作業者がセンサ素子の表面を目視し、探傷液が染み込んでいる箇所を確認することにより、欠陥を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の検査は、作業者が全て手作業で行っている。そのため、人的なコストがかかる。また、タクトタイムが長くなる。これに対して、上記の検査を自動化する場合、センサ素子の表面をカメラで撮像し、撮像した画像を確認することで、欠陥を検査することが考えられる。しかしながら、探傷液の色味が薄いと、欠陥を検査できる程度の画像コントラストを得ることができない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、所定方向に延びたセンサ素子の表面に形成された微細な欠陥を検査するための検査装置であって、前記検査装置は、前記所定方向に延びた長方形状を有し、蛍光探傷液を前記欠陥に染み込ませた前記センサ素子の表面に前記所定方向に沿ったライン状の紫外光を照射する照明部と、前記紫外光が照射された前記蛍光探傷液から放射される蛍光の波長帯の感度を有し、前記センサ素子の表面を撮像する撮像部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、センサ素子の表面に対して、所定方向に紫外光をムラなく照射することができる。これにより、欠陥に染み込んだ蛍光探傷液から、より強度(輝度)の高い蛍光を放射させることができる。また、撮像部が蛍光の波長帯に対して感度を有することで、コントラストの高い画像を取得することができる。この結果、センサ素子の表面の画像に写り込んでいる蛍光探傷液のコントラストを向上させることができる。これにより、センサ素子の表面に形成された微細な欠陥を容易に検査することができる。また、微細な欠陥の存在を見逃すことを防止することができる。従って、本発明では、センサ素子の表面に形成された微細な欠陥の検査を自動化することができる。この結果、人的コストを低減することができると共に、タクトタイムを短縮することができる。具体的には、手作業で行う場合と比較して、タクトタイムを1/3程度に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、照明部及びセンサ素子の斜視図である。
【
図3】
図3Aは、比較例の画像を示す図であり、
図3Bは、実施例の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本実施形態に係る検査装置10の構成図である。
図2は、検査装置10の斜視図である。検査装置10は、工場でのセンサ素子12の製造工程において、センサ素子12を検査するための装置である。具体的には、検査装置10は、製造されたセンサ素子12について、センサ素子12の表面14に形成された微細な欠陥(不図示)を検査するための装置である。
【0010】
図2に示すように、センサ素子12は、長尺な形状を有する。以下の説明では、センサ素子12の長手方向(所定方向)をY方向とする。センサ素子12の短手方向をX方向とする。X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
【0011】
センサ素子12は、被測定ガス中の所定のガス濃度を測定するガスセンサ素子である。センサ素子12は、セラミックスを用いたガスセンサ素子である。センサ素子12は、以下のように製造される。先ず、所定のパターンが印刷された複数のセラミックグリーンシートを用意する。次に、複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する。次に、積層体を焼成することで、センサ素子12を形成する。
【0012】
センサ素子12の製造時には、稀に、センサ素子12の表面14に微細な欠陥が形成される場合がある。微細な欠陥は、例えば、異物の混入、積層不良等に起因してセンサ素子12の表面14に形成される欠陥である。
【0013】
従って、工場では、製造されたセンサ素子12について、欠陥の存在しないセンサ素子12(良品)と、欠陥が存在するセンサ素子12(不良品)とに選別する必要がある。検査装置10は、このような微細な欠陥に対する検査を自動で行うための装置である。
【0014】
センサ素子12の検査を行う場合、センサ素子12は、蛍光探傷液(不図示)に予め浸漬される。検査装置10は、蛍光探傷液からセンサ素子12を引き上げた後、センサ素子12のうち、蛍光探傷液が染み込まれた箇所を検出することで、欠陥を検査する。
【0015】
図1に示すように、検査装置10は、2つの照明部16と、撮像部18と、コンピュータ20とを備える。
【0016】
図2に示すように、2つの照明部16の各々は、一方向に延びる長方形状の光源である。2つの照明部16の各々は、センサ素子12の表面14のうち、例えば、上側の表面22と向かい合うように配置されている。以下の説明では、便宜上、センサ素子12の上側の表面22を「センサ素子12の表面22」と呼称する。
【0017】
2つの照明部16の各々は、センサ素子12から離間した状態で、Y方向に沿って配置されている。すなわち、2つの照明部16は、センサ素子12と平行に配置されている。2つの照明部16の各々は、ライン状の紫外光24をセンサ素子12の表面22に照射する。
【0018】
図1に示すように、撮像部18は、センサ素子12から離間した状態で、センサ素子12の表面22と向かい合うように配置されている。撮像部18は、センサ素子12の表面22を撮像するカメラである。撮像部18は、撮像したセンサ素子12の表面22の画像をコンピュータ20に出力する。
【0019】
撮像部18は、該撮像部18の光軸26がセンサ素子12の表面14と直交するように配置されている。すなわち、撮像部18の光軸26は、Z方向と平行である。
【0020】
欠陥に染み込んだ蛍光探傷液は、2つの照明部16の各々から紫外光24が照射されたときに、蛍光28を放射する。蛍光28は、例えば、緑色の光である。撮像部18は、蛍光28の波長帯に対して感度を有する。
【0021】
2つの照明部16は、Y方向と直交する平面(
図1に示すX-Z平面)において、撮像部18を挟むように、撮像部18から離間して配置されている。具体的には、2つの照明部16は、この平面において、撮像部18と、該撮像部18の光軸26とを挟んで、対称に配置されている。2つの照明部16は、この平面において、撮像部18の光軸26からX方向に50mm~90mmの距離Lxだけ離れるように位置する。距離Lxは、X方向に沿った光軸26と照明部16の基端部との距離である。
【0022】
また、2つの照明部16は、センサ素子12の表面14から撮像部18の光軸26に沿ったZ方向に45mm~90mmの距離Lz1だけ離れて位置する。距離Lz1は、Z方向に沿ったセンサ素子12の表面14と照明部16の先端部との距離である。
【0023】
また、2つの照明部16の各々は、この平面において、紫外光24の光軸30が撮像部18の光軸26に対して角度θだけ傾斜するように配置されている。すなわち、2つの照明部16の各々は、紫外光24の光軸30がセンサ素子12の表面22に対して、φ(φ=90°-θ)の角度(所定角度)だけ傾斜するように配置されている。2つの照明部16の各々は、センサ素子12の表面22に対して斜め方向からライン状の紫外光24を照射する。なお、角度θ及び角度φは、40°~50°の範囲内に設定される。θ=φ=45°であることがより好ましい。
【0024】
図1に示すように、撮像部18の光軸26と、2つの照明部16の各々から照射される紫外光24の光軸30との交点32は、センサ素子12の表面22に設定される。この交点32は、
図1に示すX-Z平面において、センサ素子12の表面22の中央部に設けられる。なお、交点32は、センサ素子12の表面22のうち、任意の位置に設けられてもよい。
【0025】
上記のように、センサ素子12の表面22に対して斜め方向からライン状の紫外光24が照射されるので、蛍光探傷液から放射される蛍光28は、撮像部18の光軸26と平行にならない場合がある。すなわち、蛍光28は、指向性を有する場合がある。そこで、撮像部18は、テレセントリックレンズ34を有する。テレセントリックレンズ34は、該テレセントリックレンズ34に到達した蛍光28を、撮像部18の光軸26と平行な光に変換する。撮像部18は、テレセントリックレンズ34を介して、センサ素子12の表面22を撮像する。
【0026】
テレセントリックレンズ34は、センサ素子12の表面14から撮像部18の光軸26に沿ったZ方向に100mm~300mmの距離Lz2だけ離れるように位置する。距離Lz2は、Z方向に沿ったセンサ素子12の表面14とテレセントリックレンズ34の先端部(下端部)との距離である。
【0027】
コンピュータ20は、2つの照明部16及び撮像部18を制御する制御装置である。また、コンピュータ20は、撮像部18から入力される画像に対して所定の処理を行う処理装置である。処理後の画像は、ディスプレイ(不図示)に表示される。
【0028】
次に、検査装置10を用いたセンサ素子12の検査方法について説明する。
【0029】
先ず、製造されたセンサ素子12の表面14に対して、蛍光探傷液を塗布又は浸漬によって付着させる。センサの表面14に微細な欠陥が形成されている場合、センサの表面14に付着された蛍光探傷液は、欠陥に染み込む。次に、センサ素子12の表面14を水等で洗浄する。これにより、センサ素子12の表面14に付着した蛍光探傷液が除去される。次に、センサ素子12を乾燥させることにより、洗浄に使用した水等を除去する。
【0030】
次に、検査装置10を用いて、センサ素子12の表面14に形成された微細な欠陥を検査する。
【0031】
この検査では、先ず、
図1及び
図2に示すように、センサ素子12、撮像部18及び2つの照明部16を配置する。
【0032】
次に、コンピュータ20は、撮像部18を制御することで、撮像部18によるセンサ素子12の表面22の撮像を開始させる。
【0033】
また、コンピュータ20は、2つの照明部16を制御することで、2つの照明部16からの紫外光24の照射を開始させる。これにより、2つの照明部16の各々からセンサ素子12の表面22に向けて、ライン状の紫外光24が照射される。欠陥に染み込んだ蛍光探傷液は、照射された紫外光24のエネルギを吸収し、蛍光28を放射する。
【0034】
撮像部18は、テレセントリックレンズ34を介して、センサ素子12の表面22を連続的又は間欠的に撮像する。撮像部18は、蛍光探傷液から放射された蛍光28を含むセンサ素子12の表面22を撮像する。撮像部18は、撮像したセンサ素子12の表面22の画像をコンピュータ20に出力する。
【0035】
コンピュータ20は、撮像部18から入力された画像に対して所定の処理を行う。コンピュータ20は、処理後の画像をディスプレイに表示させる。
【0036】
図3A及び
図3Bは、センサ素子12(
図1及び
図2参照)の表面22の画像を示す。
図3Aは、比較例の画像である。比較例の画像は、染色探傷液が染み込んだ欠陥を有するセンサ素子12の表面22の画像である。
図3Bは、蛍光探傷液が染み込んだ欠陥を有するセンサ素子12の表面22の画像である。すなわち、
図3Bは、検査装置10を用いて得られた画像(実施例の画像)である。
【0037】
図3Aに示す比較例の画像のうち、左下側の部分には、染色探傷液が染み込んでいる箇所(欠陥)が写り込んでいる。しかしながら、比較例の画像では、染色探傷液が染み込んでいる箇所と、当該箇所以外の部分との明度差が小さい。具体的には、
図3Aに示す比較例の画像において、染色探傷液が染み込んでいる箇所(欠陥部)の明度は、130である。当該箇所以外の部分(非欠陥部)の明度は、160である。従って、比較例の画像の明度差は、30となる(160-130=30)。すなわち、染色探傷液が染み込んでいる箇所と、当該箇所以外の部分とのコントラストが低い。これは、染色探傷液の色味が薄いからである。そのため、比較例の画像を確認しても、染色探傷液が染み込んでいる箇所を特定することが困難である。
【0038】
これに対して、
図3Bに示す実施例の画像でも、左下側の部分には、染色探傷液が染み込んでいる箇所(欠陥)が写り込んでいる。実施例の画像では、蛍光探傷液が染み込んでいる箇所(欠陥)の明度が高くなると共に、当該箇所以外の部分の明度が低くなる。具体的には、
図3Bに示す実施例の画像において、染色探傷液が染み込んでいる箇所(欠陥部)の明度は、240である。当該箇所以外の部分(非欠陥部)の明度は、50である。従って、実施例の画像の明度差は、190となる(240-50=190)。この結果、実施例の画像は、比較例の画像と比較して、明度差が6倍程度向上している。これにより、蛍光探傷液が染み込んでいる箇所と、当該箇所以外の部分とのコントラストが高くなる。
【0039】
このように、本実施形態では、蛍光探傷液を使用すると共に、検査装置10の構成を工夫することで、画像のコントラストを改善することができる。この結果、蛍光探傷液が染み込んでいる箇所を容易に特定することができる。従って、実施例の画像では、欠陥の検査を容易に行うことができる。
【0040】
上記の検査によって、欠陥の存在しないセンサ素子12は、良品と判定される。また、欠陥が存在するセンサ素子12は、不良品と判定される。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を取り得る。
【0042】
上記の実施形態から把握し得る発明について、以下に記載する。
【0043】
本発明の態様は、所定方向に延びたセンサ素子(12)の表面(14、22)に形成された微細な欠陥を検査するための検査装置(10)であって、前記検査装置は、前記所定方向に延びた長方形状を有し、蛍光探傷液を前記欠陥に染み込ませた前記センサ素子の表面に前記所定方向に沿ったライン状の紫外光(24)を照射する照明部(16)と、前記紫外光が照射された前記蛍光探傷液から放射される蛍光(28)の波長帯の感度を有し、前記センサ素子の表面を撮像する撮像部(18)と、を備える。
【0044】
本発明によれば、センサ素子の表面に対して、所定方向に紫外光をムラなく照射することができる。これにより、微細な欠陥に染み込んだ蛍光探傷液から、より強度(輝度)の高い蛍光を放射させることができる。また、撮像部が蛍光の波長帯に対して感度を有することで、コントラストの高い画像を取得することができる。この結果、センサ素子の表面の画像に写り込んでいる蛍光探傷液の箇所が明瞭となる。このように、画像のコントラストが向上するので、微細な欠陥を検査するために十分なコントラストを有する画像を取得することができる。これにより、微細な欠陥を容易に検査することができると共に、微細な欠陥の存在を見逃すことを防止することができる。従って、本発明では、センサ素子の表面に形成された微細な欠陥の検査を自動化することができる。この結果、人的コストを低減することができると共に、タクトタイムを短縮することができる。具体的には、手作業で行う場合と比較して、タクトタイムを1/3程度に短縮することができる。
【0045】
本発明の態様において、前記撮像部は、前記紫外光が照射される前記センサ素子の表面に、前記撮像部の光軸(26)が直交するように配置され、前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記照明部から照射される前記紫外光の光軸(30)が、前記センサ素子の表面に対して所定角度(90°-θ、φ)だけ傾斜するように配置されている。
【0046】
これにより、照明部とセンサの表面との間のワーキングディスタンスを大きくすることが可能となる。この結果、センサ素子の表面に対して、所定方向と直交する方向に紫外光をムラなく照射することができる。また、蛍光の指向性を抑えることができる。これにより、センサ素子の表面の画像のコントラストをさらに向上させることができる。また、照明部が画像に写り込むことを防止することができる。
【0047】
本発明の態様において、前記検査装置は、前記照明部を2つ備え、2つの前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部を挟むように、前記撮像部と離間して配置されている。
【0048】
これにより、センサ素子の表面に対して、より多くの紫外光を照射することができる。この結果、画像に対する蛍光の指向性を排除して、画像のコントラストを一層向上させることができる。また、2つの照明部が画像に写り込むことを防止することができる。
【0049】
本発明の態様において、2つの前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部と前記撮像部の光軸とを挟んで対称に配置されている。
【0050】
これにより、画像に対する蛍光の指向性が一層排除され、よりコントラストの高い画像を取得することができる。
【0051】
本発明の態様において、前記紫外光の光軸は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部の光軸に対して、40°~50°の範囲内で傾斜している。
【0052】
これにより、センサ素子の表面に対して紫外光をムラなく照射することができると共に、蛍光の指向性を抑えることができる。また、照明部が画像に写り込むことを確実に防止することができる。
【0053】
本発明の態様において、前記照明部は、前記所定方向と直交する方向において、前記撮像部の光軸から前記光軸と直交する方向に50mm~90mmの距離(Lx)だけ離れて位置する。
【0054】
これにより、センサ素子の表面に対して、紫外光をムラなく照射することができると共に、蛍光の指向性を抑えることができる。また、照明部が画像に写り込むことをより確実に防止することができる。
【0055】
本発明の態様において、前記照明部は、前記センサ素子の表面から前記撮像部の光軸に沿った方向に45mm~90mmの距離(Lz1)だけ離れて位置する。
【0056】
この場合でも、照明部とセンサの表面との間のワーキングディスタンスを大きくしつつ、センサ素子の表面に対して紫外光をムラなく照射することができる。
【0057】
本発明の態様において、前記撮像部は、テレセントリックレンズ(34)を有し、前記テレセントリックレンズを介して、前記センサ素子の表面を撮像する。
【0058】
これにより、テレセントリックレンズに到達した蛍光は、該テレセントリックレンズによって撮像部の光軸と平行な光に変換される。この結果、画像に対する蛍光の指向性の影響が排除されるので、画像のコントラストを一層向上させることができる。
【0059】
本発明の態様において、前記テレセントリックレンズは、前記センサ素子の表面から前記撮像部の光軸に沿った方向に100mm~300mmの距離(Lz2)だけ離れて位置する。
【0060】
これにより、テレセントリックレンズとセンサ素子の表面との間のワーキングディスタンスを大きくしつつ、画像に対する蛍光の指向性の影響を排除することができる。
【符号の説明】
【0061】
10…検査装置
12…センサ素子
14、22…表面
16…照明部
18…撮像部
24…紫外光
28…蛍光