(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148147
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】排気口構造体
(51)【国際特許分類】
F24F 7/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F24F7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056023
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北村 知也
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BB04
3L058BC06
(57)【要約】
【課題】内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を提供する。
【解決手段】屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、開口径Lcよりも外径Lbが小さく且つ開口Waの開口軸Pの方向視で環状部材10の内径部位10cと重畳する外径フランジ部22を有するパイプフード20と、開口Waにパイプフード20及び当該パイプフード20に連通接続する排気用配管Piを配置した配置姿勢において、環状部材10とパイプフード20との間にシール部材Sを介在させた状態で、環状部材10の内径部位10cに対してパイプフード20の外径フランジ部22を着脱自在に固定可能な取付固定機構を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体であって、
屋外側から前記開口の周りの外壁面に取り付け可能であって、内径部位が前記開口の開口径よりも小さく外径部位が前記開口径よりも大きい環状部材と、
屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、前記開口径よりも外径が小さく且つ前記開口の開口軸方向視で前記環状部材の前記内径部位と重畳する外径フランジ部を有するパイプフードと、
前記開口に前記パイプフード及び当該パイプフードに連通接続する前記排気用配管を配置した配置姿勢において、前記環状部材と前記パイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で、前記環状部材の前記内径部位に対して前記パイプフードの前記外径フランジ部を着脱自在に固定可能な取付固定機構を備えている排気口構造体。
【請求項2】
前記取付固定機構は、
一端側が前記外壁の屋内側に支持されると共に、他端側に前記パイプフードの前記外径フランジ部に形成された挿通孔を介して、前記環状部材の前記内径部位と螺合により固定される螺子先端部を有する長尺状固定部材であり、
前記長尺状固定部材の前記他端側には、前記螺子先端部の前記内径部位との固定状態において、前記パイプフードの前記外径フランジ部と当接する当接部が設けられている請求項1に記載の排気口構造体。
【請求項3】
前記取付固定機構は、
前記環状部材の前記内径部位と前記パイプフードの前記外径フランジ部との間に介在される前記シール部材としての熱可塑性シーリング剤と、外径環状部位が前記外壁の屋内側に固定されると共に内径環状部位が前記パイプフード又は前記排気用配管の室内側の外周を挟持して固定する室内化粧部材とから構成されている請求項1に記載の排気口構造体。
【請求項4】
前記取付固定機構は、
前記環状部材への前記パイプフードの装着姿勢において、前記環状部材の前記内径部位に固定され当該内径部位から前記パイプフードへ向けて延びると共に弾性変形自在な延設基部と、当該延設基部の延設方向に交差する交差方向へ突出して前記パイプフードの前記外径フランジ部に係止可能な爪部とを有する係止部材を、前記内径部位の周方向で間隔を隔てて複数備えて成る請求項1に記載の排気口構造体。
【請求項5】
前記取付固定機構は、
前記環状部材の前記内径部位から前記パイプフードへ向けて延びる延設基部の延設方向に交差する交差方向へ付勢され、且つ前記パイプフードを前記環状部材へ近接する側へ移動させたときに前記外径フランジ部と当接して引退姿勢となると共に前記パイプフードの前記外径フランジ部が前記環状部材の前記内径部位に当接しているときに前記外径フランジ部と当接する突出姿勢を維持するラッチを、前記内径部位の周方向で間隔を隔てて複数備えて成る請求項1に記載の排気口構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内から室外への排気(湿分を含む)を行う排気流路の出口に設けられる排気口構造体として、建物の外壁に設けられた開口に対し、建物の屋外から外壁にパイプフード等を固定する構造が一般的であった(特許文献1を参照)。具体的には、パイプフードが、屋外側で雨水等の内部への侵入を防止するフード部と開口の口径よりも大径の外径フランジ部と屋内側へ延びる接続部とを有する構成において、外径フランジ部が、外壁の外部から螺子等により固定されていた。このような排気口構造体では、例えば、建物の屋外からパイプフード等を外壁へビス等で固定すると共に、外壁とパイプフードとの間にシーリング剤を塗布することで気密性を確保する構造をとっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した構成の場合、設置後のメンテナンス時やパイプフードや排気等が通流する配管を取り替える際には、屋外側から作業する必要があり、特に、建物の2階以上等の高所設置の場合、足場を設置して作業をする必要があり、屋内側から作業できる構成が望まれていた。特に、衣類乾燥機における排気を行う排気流路では、パイプフード等に埃等が堆積し易く、長期に使用した場合に詰まり等が生じる虞があり、メンテナンス等を定期的に行う必要があるため、屋内側から作業できる構成とすることが好ましい。
しかしながら、メンテナンス時等に屋内側からパイプフード等を取り付ける場合、外壁に形成された開口に対し、パイプフード及び配管を配置した状態でパイプフードを固定する必要があるため、屋内側からパイプフードを固定することは、開口内での作業スペースが狭いこと尚から難しかった。また、屋内側からパイプフードの固定が難しいことから、気密性及び防水性を適切に確保しながら、設置を行うことも難しい状況であった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための排気口構造体は、
建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体であって、その特徴構成は、
屋外側から前記開口の周りの外壁面に取り付け可能であって、内径部位が前記開口の開口径よりも小さく外径部位が前記開口径よりも大きい環状部材と、
屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、前記開口径よりも外径が小さく且つ前記開口の開口軸方向視で前記環状部材の前記内径部位と重畳する外径フランジ部を有するパイプフードと、
前記開口に前記パイプフード及び当該パイプフードに連通接続する前記排気用配管を配置した配置姿勢において、前記環状部材と前記パイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で、前記環状部材の前記内径部位に対して前記パイプフードの前記外径フランジ部を着脱自在に固定可能な取付固定機構を備えている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、開口にパイプフード及び当該パイプフードに連通接続する排気用配管を配置した配置姿勢において、環状部材の内径部位に対してパイプフードの外径フランジ部を着脱自在に固定可能な取付固定機構を備えているから、当該取付固定機構により、パイプフード及び排気用配管を開口に配置した配置姿勢であって、開口のスペースが狭い場合であっても、パイプフードを外壁外側の環状部材に対して屋内側から位置決め固定することができる。
更に、取付固定部材によるパイプフードの位置決め固定は、環状部材とパイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で実行できるから、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながらの着脱を実現できる。
以上より、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を実現できる。
尚、本発明において、パイプフードと排気用配管は一体であるものも含むものとする。
【0008】
排気口構造体の更なる特徴構成は、前記取付固定機構は、
一端側が前記外壁の屋内側に支持されると共に、他端側に前記パイプフードの前記外径フランジ部に形成された挿通孔を介して、前記環状部材の前記内径部位と螺合により固定される螺子先端部を有する長尺状固定部材であり、
前記長尺状固定部材の前記他端側には、前記螺子先端部の前記内径部位との固定状態において、前記パイプフードの前記外径フランジ部と当接する当接部が設けられている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、まずもって、取付固定機構は、一端側が外壁の屋内側に支持されると共に、他端側にパイプフードの外径フランジ部に形成された挿通孔を介して、環状部材の内径部位と螺合により固定される螺子先端部を有する長尺状固定部材であるから、パイプフード及び排気用配管を開口に配置した配置姿勢であって、開口のスペースが狭い場合であっても、当該狭いスペースに長尺状固定部材を挿通する形態で、長尺状固定部材の先端の螺子先端部を環状部材の内径部位に螺合することができる。
更に、長尺状固定部材の他端側には、螺子先端部の内径部位との固定状態において、パイプフードの外径フランジ部と当接する当接部が設けられているから、押圧部によりパイプフードの外径フランジ部を環状部材の内径部位へ押圧する形態で、パイプフードを外壁の外側に設けられる環状部材の内径部位へ適切に固定することができる。
【0010】
排気口構造体の更なる特徴構成は、前記取付固定機構は、
前記環状部材の前記内径部位と前記パイプフードの前記外径フランジ部との間に介在される前記シール部材としての熱可塑性シーリング剤と、外径環状部位が前記外壁の屋内側に固定されると共に内径環状部位が前記パイプフード又は前記排気用配管の室内側の外周を挟持して固定する室内化粧部材とから構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、外壁内部に形成される排気流路の終端としてのパイプフードは、加熱されて柔軟性を持った熱可塑性シーリング剤が自然冷却により硬化することで固定でき、外壁内部に形成される排気流路の基端としての排気用配管は、その外周を外壁の室内側で内径環状部位により挟持固定できるから、パイプフード及び排気用配管を開口に配置した配置姿勢であって、開口のスペースが狭い場合であっても、当該狭いスペースで作業をすることなく、パイプフード及び排気用配管を良好に固定できる。
【0012】
排気口構造体の更なる特徴構成は、前記取付固定機構は、
前記環状部材への前記パイプフードの装着姿勢において、前記環状部材の前記内径部位に固定され当該内径部位から前記パイプフードへ向けて延びると共に弾性変形自在な延設基部と、当該延設基部の延設方向に交差する交差方向へ突出して前記パイプフードの前記外径フランジ部に係止可能な爪部とを有する係止部材とを、前記内径部位の周方向で間隔を隔てて複数備えて成る点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、パイプフードと排気用配管を開口の開口軸に沿って挿入することで、パイプフードの外径フランジ部の周方向における複数箇所を、係止部材の爪部により係止することができるから、パイプフード及び排気用配管を開口に配置した配置姿勢であって、開口のスペースが狭い場合であっても、当該狭いスペースで作業をすることなく、パイプフード及び排気用配管を良好に固定できる。
【0014】
排気口構造体の更なる特徴構成は、前記取付固定機構は、
前記環状部材の前記内径部位から前記パイプフードへ向けて延びる延設基部の延設方向に交差する交差方向へ付勢され、且つ前記パイプフードを前記環状部材へ近接する側へ移動させたときに前記外径フランジ部と接触して引退姿勢となると共に前記パイプフードの前記外径フランジ部が前記環状部材の前記内径部位に当接しているときに前記外径フランジ部と当接する突出姿勢を維持するラッチを、前記内径部位の周方向で間隔を隔てて複数備えて成る点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、パイプフードと排気用配管を開口の開口軸に沿って挿入することで、ラッチが引退姿勢を介して突出姿勢となり、パイプフードの外径フランジ部の周方向における複数箇所に当接して係止するから、パイプフード及び排気用配管を開口に設置するときに、開口のスペースが狭い場合であっても、当該狭いスペースで作業をすることなく、パイプフード及び排気用配管を良好に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】外壁へ装着する前の第1実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【
図2】外壁へ装着した後の第1実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【
図3】第2実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【
図4】第3実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【
図5】第4実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る排気口構造体100は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能なものに関する。
以下、図面に基づいて排気口構造体100の実施形態を説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1又は
図2に示すように、排気口構造体100は、建物の外壁Wに形成された開口Waに設けられ、排気を排気用配管Piを介して屋内(
図1、2で、外壁Wの右側)から屋外(
図1、2で、外壁Wの左側)へ排出するものである。
当該排気口構造体100は、屋外側から開口Waの周りの外壁面Wbに取り付け可能であって、内径部位10cの内径Laが開口Waの開口径Lcよりも小さく外径部位10bの外径Ldが開口径Lcよりも大きい環状部材10と、屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、開口Waの開口径Lcよりも外径Lbが小さく且つ開口Waの開口軸Pに沿う方向視で環状部材10の内径部位10cと重畳する外径フランジ部22を有するパイプフード20と、開口Waにパイプフード20及び当該パイプフード20に連通接続する円筒状の排気用配管Piを配置した配置姿勢(
図2に示す姿勢)において、環状部材10とパイプフード20との間(内径部位10cと外径フランジ部22との間)にシール部材Sを介在させた状態で、環状部材10の内径部位10cに対してパイプフード20の外径フランジ部22を着脱自在に固定可能な取付固定機構を備えている。
【0019】
当該排気口構造体100は、特にメンテナンス時等において、屋外側からの作業を必要とせず、屋内側からのみの操作にて着脱操作を実施できるものであり、特に、2階以上の高所に開口Waが形成される場合に有効な技術である。ただし、環状部材10については、予め外壁Wに装着しておく必要がある。
図1、2に示すように、環状部材10は、開口軸Pに沿う方向視で中心部が円形に開口した円環状であり、その外径部位10bが第1螺子No1により外壁Wの屋外側の面Wbに対して螺合固定されている。更に、環状部材10には、屋内側に雄螺子部位Onが形成されると共に内径部位10cに対して軸心周りでの回転が禁止された状態で固定される第2螺子No2が設けられている。環状部材10の内径部位10cの内側には第1円孔10aが形成されており、当該第1円孔10aには、
図2に示す配置姿勢において、パイプフード20のフード部21が、屋内側から屋外側へ挿通された状態で配置される。
【0020】
パイプフード20は、
図2に示す配置姿勢において、上述した外径フランジ部22を挟んで、屋内側から屋外側へ延びて鉛直方向で上方側を覆うフード部21と、屋外側から屋内側へ延びて排気用配管Piが接続固定される円筒状の接続部23が設けられている。尚、当該接続部23は、開口軸Pに沿う方向で、排気用配管Piとその一部が重畳すると共に両者の間にシール材(図示せず)等を充填する形態で、排気用配管Piと固定される。
また、外径フランジ部22には、環状部材10に設けられる第2螺子No2の雄螺子部位Onを挿通可能な挿通孔22aが設けられている。
【0021】
上述したパイプフード20及び排気用配管Piを開口Waに配置する配置姿勢においては、パイプフード20及び排気用配管Piと開口Waとの間の隙間が小さく、十分な作業スペースを取りにくい。
そこで、当該第1実施形態に係る排気口構造体100では、取付固定機構として、一端側が外壁Wの屋内側に支持されると共に、他端側にパイプフード20の外径フランジ部22に形成された挿通孔22aを介して、環状部材10の内径部位10cに固定される第2螺子No2の雄螺子部位Onに螺合する螺子先端部Tを有する長尺状固定部材Jを備える。説明を追加すると、長尺状固定部材Jの螺子先端部Tは、内周に雌螺子が切られた雌螺子部位Mnを有し、当該雌螺子部位Mnに第2螺子No2の雄螺子部位Onが螺合可能に構成されている。当該長尺状固定部材Jは、
図1、2に示すように、開口軸Pの軸心周りで、間隔を隔てて複数(当該実施形態では2つ)設けられている。ちなみに、当該長尺状固定部材Jは、開口軸Pの軸心周りで、等間隔に設けられることが好ましい。
【0022】
長尺状固定部材Jの他端側端部には、雌螺子部位Mnに第2螺子No2の雄螺子部位Onが螺合して締め付けた固定状態にあるときに、パイプフード20の外径フランジ部22と当接する当接部Taが設けられている。当該構成により、雌螺子部位Mnに第2螺子No2の雄螺子部位Onの螺合により、パイプフード20が環状部材10へ装着され、螺合を解除することにより、パイプフード20が環状部材10から脱離される。
【0023】
長尺状固定部材Jの一端側には、ドライバ等の治具により軸回りで回転操作可能な螺子頭Ni2が形成されており、当該螺子頭Ni2を回転操作することで、雌螺子部位Mnに第2螺子No2の雄螺子部位Onを螺合させる。
当該長尺状固定部材Jは、外壁Wの屋内側に内壁螺子部Ni1にて固定される化粧板30を挿通する形で設けられている。即ち、当該構成においては、作業者は、開口Waの狭い空間で作業することなく、外壁Wの屋内側から、長尺状固定部材Jの螺子頭Ni2を操作するのみで、パイプフード20の外壁Wの屋外側に設けられる環状部材10に対する着脱を実現できる。
尚、化粧板30には、排気用配管Piを挿通する第2円孔30aが設けられており、排気用配管Piの一端側を支持する。
これまで説明してきた構成を採用することにより、外壁Wに環状部材10を取り付けた状態で、屋内側からパイプフード20等を良好に取り換えることができる。
【0024】
〔第2実施形態〕
当該第2実施形態に係る排気口構造体100は、第1実施形態に比して取付固定機構の構成のみが異なる。以下の説明では、取付固定機構に係る構成に重点をおいて説明し、第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を割愛することがある。
【0025】
図3に示すように、当該第2実施形態に係る排気口構造体100においては、取付固定機構は、環状部材10の内径部位10cとパイプフード20の外径フランジ部22との間に介在されるシール部材Sとしての熱可塑性シーリング剤と、外径環状部位BPdが外壁Wの屋内側に固定されると共に内径環状部位BPaがパイプフード20又は排気用配管Pi(当該第2実施形態では排気用配管Pi)の室内側の外周を挟持して固定する室内化粧部材BPとから構成されている。
即ち、当該第2実施形態においては、パイプフード20の屋外側は、外径フランジ部22に加熱され塗布された熱可塑性シーリング剤(シール部材S)が、環状部材10の内径部位10cに付着し、自然冷却されて硬化することにより固定される。
一方、パイプフード20の屋内側は、室内化粧部材BPにより固定される。当該室内化粧部材BPは、まず、円環状の内径環状部位BPaを排気用配管Piの外周に沿って配設した状態で、当該内径環状部位BPaの環周方向の一端及び他端から開口軸Pの軸径方向へ延設される一対の鍔部BPcを、ボルトBにより締め付ける形態で、内径環状部位BPaにて排気用配管Piの外周を挟持する。
更に、室内化粧部材BPの円環状の外径環状部位BPdが、化粧板30の板面に対して第3螺子Ni3により固定されることで、パイプフード20及び排気用配管Piの屋内側が固定されることになる。
即ち、当該第2実施形態に係る排気口構造体100においては、第1実施形態で示した長尺状固定部材Jに係る構成は設けられない。
【0026】
〔第3実施形態〕
当該第3実施形態に係る排気口構造体100は、第2実施形態に比して取付固定機構の構成のみが異なる。以下の説明では、取付固定機構に係る構成に重点をおいて説明し、第2実施形態と同一の構成については、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を割愛することがある。
尚、当該第3実施形態に係る排気口構造体100では、パイプフード20及び排気用配管Piの屋内側については、第2実施形態と同様に室内化粧部材BPにて固定されている。また、当該第3実施形態でも、取付固定機構としての長尺状固定部材Jは設けられない。
【0027】
図4に示すように、当該第3実施形態に係る排気口構造体100においては、取付固定機構は、環状部材10へのパイプフード20の装着姿勢において、環状部材10の内径部位10cに固定され当該内径部位10cからパイプフード20の外径フランジ部22(屋内側)へ向けて延びると共に弾性変形自在な延設基部Na2と、当該延設基部Na2の延設方向(
図4で開口軸Pに沿う方向)に交差する交差方向(
図4で開口軸Pの軸径方向)へ突出してパイプフード20の外径フランジ部22に係止可能な爪部Na3とを有する係止部材Naを、内径部位10cの周方向で間隔を隔てて複数(当該第3実施形態では2つ)備えている。ちなみに、係止部材Naは、内径部位10cの周方向において等間隔で設けられることが好ましい。
説明を追加すると、延設基部Na2には、環状部材10の内径部位10cに当接する当接部Na1が設けられ、当該当接部Na1は、第2螺子No2の雄螺子部NO2aが環状部材10の内径部位10cに螺合する形で、内径部位10cに固定される。
【0028】
尚、当接部Na1には、屋内側から屋外側にかけて凹欠する凹欠部Na4が形成され、当該凹欠部Na4に、第2螺子No2の頭部が位置する形で、第2螺子No2が配置される。
当該構成を採用することにより、当接部Na1とパイプフード20の外径フランジ部22との間にシール部材Sを介在させることで、両者の間の気密性を保っている。
【0029】
〔第4実施形態〕
当該第4実施形態に係る排気口構造体100は、第2実施形態に比して取付固定機構の構成のみが異なる。以下の説明では、取付固定機構に係る構成に重点をおいて説明し、第2実施形態と同一の構成については、第2実施形態と同一の符号を付してその説明を割愛することがある。
尚、当該第4実施形態に係る排気口構造体100では、パイプフード20及び排気用配管Piの屋内側については、第2実施形態と同様に室内化粧部材BPにて固定されている。また、当該第4実施形態でも、第1実施形態で示した取付固定機構としての長尺状固定部材Jは設けられない。
【0030】
図5に示すように、当該第4実施形態に係る排気口構造体100においては、取付固定機構は、環状部材10の内径部位10cからパイプフード20へ向けて延びる延設基部10eの延設方向(
図5で開口軸Pに沿う方向)に交差する交差方向(
図5で開口軸Pの軸径方向)へ付勢され、且つパイプフード20を環状部材10へ近接する側へ移動させたときに外径フランジ部22と接触して引退姿勢となると共にパイプフード20の外径フランジ部22が環状部材10の内径部位10cに当接しているときに外径フランジ部22と当接する突出姿勢(
図5に示す姿勢)を維持するラッチR2を、内径部位10cの周方向で間隔を隔てて複数(当該第4実施形態では2つ)備えて成る。取付固定機構としての複数のラッチR2は、開口軸Pの周りで等間隔に設けられることが好ましい。
説明を追加すると、ラッチR2は、延設基部10eに埋め込まれると共に、軸径方向で内側に付勢バネR4により付勢されて設けられており、
図5に示す突出姿勢において引退自在に係止されている。また、ラッチR2は、屋内側が曲面である共に屋外側が平面である。
【0031】
〔別実施形態〕
上述の実施形態では、パイプフード20と排気用配管Piは、別体である構成を示したが、一体であっても構わない。
【0032】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の排気口構造体は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
10 :環状部材
10b :外径部位
10c :内径部位
10e :延設基部
20 :パイプフード
22 :外径フランジ部
100 :排気口構造体
BP :室内化粧部材
BPa :内径環状部位
BPd :外径環状部位
J :長尺状固定部材
La :内径
Lb :外径
Lc :開口径
Ld :外径
Mn :雌螺子部位
NO2a :雄螺子部
Na :係止部材
Na2 :延設基部
Na3 :爪部
No2 :第2螺子
On :雄螺子部位
P :開口軸
Pi :排気用配管
R2 :ラッチ
R4 :付勢バネ
S :シール部材
T :螺子先端部
Ta :押圧部
W :外壁
Wa :開口