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  • 特開-排気口構造体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148148
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】排気口構造体
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
F24F7/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056024
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】北村 知也
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【テーマコード(参考)】
3L058
【Fターム(参考)】
3L058BB04
3L058BC06
(57)【要約】
【課題】メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を提供する。
【解決手段】屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、開口径Lcよりも外径Lbが小さく且つ開口Waの開口軸Pに沿う方向視で環状部材10の内径部位10cと重畳する外径フランジ部22と屋内側に排気用配管Piを連通接続可能な接続部23とを有するパイプフード20と、排気用配管Piが接続部23に取り付けられていない非接続状態のパイプフード20を開口Waに配置した配置姿勢において、環状部材10とパイプフード20との間にシール部材S1を介在させた状態で、環状部材10の内径部位10cに対してパイプフード20の外径フランジ部22を着脱する着脱部材No2とを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体であって、
屋外側から前記開口の周りの外壁面に取り付け可能であって、内径部位が前記開口の開口径よりも小さく外径部位が前記開口径よりも大きい環状部材と、
屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、前記開口径よりも外径が小さく且つ前記開口の開口軸方向視で前記環状部材の前記内径部位と重畳する外径フランジ部と、前記屋内側に前記排気用配管を連通接続可能な接続部とを有するパイプフードと、
前記排気用配管が前記接続部に取り付けられていない非接続状態の前記パイプフードを前記開口に配置した配置姿勢において、前記環状部材と前記パイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で、前記環状部材の前記内径部位に対して前記パイプフードの前記外径フランジ部を着脱する着脱部材とを備えている排気口構造体。
【請求項2】
前記パイプフードの前記接続部と前記排気用配管との接続状態において、前記接続部と前記排気用配管との間に充填される熱可塑性シーリング剤から成る固定部材を備える請求項1に記載の排気口構造体。
【請求項3】
前記パイプフードの前記接続部と前記排気用配管との接続状態において、前記接続部と前記排気用配管とを螺合接続する螺合固定部を有する請求項1に記載の排気口構造体。
【請求項4】
前記接続部の筒軸心方向において、前記接続部の長さは、前記パイプフードの前記外径フランジ部より前記屋外側に設けられるフード部の長さよりも短い請求項1~3の何れか一項に記載の排気口構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、室内から室外への排気(湿分を含む)を行う排気流路の出口に設けられる排気口構造体として、建物の外壁に設けられた開口に対し、建物の屋外から外壁にパイプフード等を固定する構造が一般的であった(特許文献1を参照)。具体的には、パイプフードが、屋外側で雨水等の内部への侵入を防止するフード部と開口の口径よりも大径の外径フランジ部と屋内側へ延びる接続部とを有する構成において、外径フランジ部が、外壁の外部から螺子等により固定されていた。このような排気口構造体では、例えば、建物の屋外からパイプフード等を外壁へビス等で固定すると共に、外壁とパイプフードとの間にシーリング剤を塗布することで気密性を確保する構造をとっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-309557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した構成の場合、設置後のメンテナンス時やパイプフードや排気等が通流する配管を取り替える際には、屋外側から作業する必要があり、特に、建物の2階以上等の高所設置の場合、足場を設置して作業をする必要があり、屋内側から作業できる構成が望まれていた。特に、衣類乾燥機における排気を行う排気流路では、パイプフード等に埃等が堆積し易く、長期に使用した場合に詰まり等が生じる虞があり、メンテナンス等を定期的に行う必要があるため、屋内側から作業できる構成とすることが好ましい。
しかしながら、メンテナンス時等に屋内側からパイプフード等を取り付ける場合、外壁に形成された開口に対し、パイプフード及び配管を配置した状態でパイプフードを固定する必要があるため、屋内側からパイプフードを固定することは、開口内での作業スペースが狭いこと等から難しかった。また、屋内側からパイプフードの固定が難しいことから、気密性及び防水性を適切に確保しながら、設置を行うことも難しい状況であった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための排気口構造体は、
建物の外壁に形成された開口に設けられ、排気を排気用配管を介して屋内から屋外へ排出する排気口構造体であって、その特徴構成は、
屋外側から前記開口の周りの外壁面に取り付け可能であって、内径部位が前記開口の開口径よりも小さく外径部位が前記開口径よりも大きい環状部材と、
屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、前記開口径よりも外径が小さく且つ前記開口の開口軸方向視で前記環状部材の前記内径部位と重畳する外径フランジ部と、前記屋内側に前記排気用配管を連通接続可能な接続部とを有するパイプフードと、
前記排気用配管が前記接続部に取り付けられていない非接続状態の前記パイプフードを前記開口に配置した配置姿勢において、前記環状部材と前記パイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で、前記環状部材の前記内径部位に対して前記パイプフードの前記外径フランジ部を着脱する着脱部材とを備えている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、パイプフードは接続部を備えており、当該接続部を介して排気用配管を着脱自在に構成されているから、接続部から排気用配管を取り外したパイプフードのみを屋内側から開口に挿入できるから、開口が比較的狭い場合であっても、排気用配管が取り付けられていないスペースを利用して、ドライバ等の治具を用いることにより、パイプフードの外径フランジ部を環状部材の内径部位に対して、着脱部材により装着することができる。
更に、当該着脱部材による装着は、環状部材とパイプフードとの間にシール部材を介在させた状態で実行できるから、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながらの着脱を実現できる。
以上より、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体を実現できる。
【0008】
排気口構造体の更なる特徴構成は、
前記パイプフードの前記接続部と前記排気用配管との接続状態において、前記接続部と前記排気用配管との間に充填される熱可塑性シーリング剤から成る固定部材を備える点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、パイプフードの接続部と排気用配管とを接続して固定する固定部材として、熱可塑性シーリング剤を用いるから、外壁の外側に設けられる環状部材に着脱部材によりパイプフードを装着した後に、接続部の内周面又は外周面に加熱して軟化した熱可塑性シーリング剤を塗布し、パイプフードの接続部に排気用配管を連通接続することで、その後の自然冷却後には、硬化した熱可塑性シーリング剤によりパイプフードと排気用配管とを良好に接続固定できる。
即ち、当該構成によれば、比較的口径の狭い開口を介してパイプフードを環状部材に装着する場合でも、当該パイプフードを装着後に、パイプフードに対して容易に排気用配管を接続固定することができる。また、当該構成によれば、熱可塑性シーリング剤を加熱すれば、パイプフードの接続部から排気用配管を容易に取り外すことができる。
【0010】
排気口構造体の更なる特徴構成は、
前記パイプフードの前記接続部と前記排気用配管との接続状態において、前記接続部と前記排気用配管とを螺合接続する螺合固定部を有する点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、パイプフードの接続部と排気用配管との接続状態において、接続部と排気用配管とを螺合接続する螺合固定部を有するから、外壁の外側に設けられる環状部材に着脱部材によりパイプフードを装着した後に、螺合固定部によりパイプフードの接続部に対して排気用配管を管軸周りで回転することで螺合接続することで、パイプフードと排気用配管とを良好に接続固定できる。
即ち、当該構成によれば、比較的口径の狭い開口を介してパイプフードを屋内から環状部材に装着する場合でも、当該パイプフードを装着後に、パイプフードに対して容易に排気用配管を接続固定することができる。
【0012】
排気口構造体の更なる特徴構成は、
前記接続部の筒軸心方向において、前記接続部の長さは、前記パイプフードの前記外径フランジ部より前記屋外側に設けられるフード部の長さよりも短い点にある。
【0013】
上記特徴構成の如く、接続部の筒軸心方向において、パイプフードの接続部の長さを十分に短くすることで、パイプフードが開口に配置されている状態においても、環状部材の内径部位及びパイプフードの外径フランジ部へのアクセスを容易にして、作業容易性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】外壁へ装着する前の実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
図2】外壁へ装着した後の実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
図3】別実施形態に係る排気口構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係る排気口構造体100は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能なものに関する。
以下、図面に基づいて排気口構造体100の実施形態を説明する。
【0016】
図1又は図2に示すように、排気口構造体100は、建物の外壁Wに形成された開口Waに設けられ、排気を排気用配管Piを介して屋内(図1、2で、外壁Wの右側)から屋外(図1、2で、外壁Wの左側)へ排出するものである。
当該排気口構造体100は、屋外側から開口Waの周りの外壁面Wbに取り付け可能であって、内径部位10cの内径Laが開口Waの開口径Lcよりも小さく外径部位10bの外径Ldが開口径Lcよりも大きい環状部材10と、屋内側から排気を屋外側へ排出できると共に、開口Waの開口径Lcよりも外径Lbが小さく且つ開口Waの開口軸Pに沿う方向視で環状部材10の内径部位10cと重畳する外径フランジ部22と、屋内側に円筒状の排気用配管Piを連通接続可能な円筒状の接続部23とを有するパイプフード20と、排気用配管Piが接続部23に取り付けられていない非接続状態(図1に示す状態)のパイプフード20を開口Waに配置した配置姿勢において、環状部材10とパイプフード20との間(換言すると内径部位10cと外径フランジ部22との間)にシール部材S1を介在させた状態で、環状部材10の内径部位10cに対してパイプフード20の外径フランジ部22を着脱する着脱部材とを備えている。
【0017】
当該排気口構造体100は、特にメンテナンス時等において、屋外側からの作業を必要とせず、屋内側からのみの操作にて着脱操作を実施できるものであり、特に、2階以上の高所に開口Waが形成される場合に有効な技術である。ただし、環状部材10については、予め外壁Wに装着しておく必要がある。
図1、2に示すように、環状部材10は、開口軸Pに沿う方向視で、中心部が円形に開口した円環状であり、その外径部位10bが第1螺子No1により外壁Wの屋外側の面Wbに対して螺合固定されている。環状部材10の内径部位10cの内側には第1円孔10aが形成されており、当該第1円孔10aには、図2に示す配置姿勢において、パイプフード20のフード部21が、屋内側から屋外側へ挿通された状態で配置される。
【0018】
パイプフード20は、図2に示す配置姿勢において、上述した外径フランジ部22を挟んで、屋内側から屋外側へ延びて鉛直方向で上方側を覆うフード部21を有すると共に、接続部23が屋外側から屋内側へ向けて延設されている。尚、当該接続部23は、開口軸Pに沿う方向で、排気用配管Piとその一部が重畳すると共に両者の間に後述する固定部材S2等を充填する形態で、排気用配管Piと固定される。
【0019】
パイプフード20及び排気用配管Piを開口Waに配置する配置姿勢においては、パイプフード20及び排気用配管Piと開口Waとの間の隙間が小さく、十分な作業スペースを取りにくい。
そこで、当該第1実施形態に係る排気口構造体100では、まずもって、接続部23の筒軸心(開口軸Pと同軸)に沿う方向において、パイプフード20の接続部23の長さL2は、パイプフード20の外径フランジ部22より屋外側に設けられるフード部21の長さL1よりも短く構成している。これにより、パイプフード20の接続部23から排気用配管Piを取り外した非接続状態において、開口Waの内部の作業空間を十分に確保する。
【0020】
そして、当該非接続状態において、上述した着脱部材としての第2螺子No2の雄螺子部Onを、外径フランジ部22に形成された挿通孔22aに屋内側から挿通した状態で、環状部材10の内径部位10cに螺合する形態で、パイプフード20を環状部材10に装着固定する。
着脱部材によりパイプフード20を環状部材10へ装着固定した後、パイプフード20の接続部23と排気用配管Piとを、開口軸Pに沿う方向で重畳させると共に両者の間に熱可塑性シーリング剤から成る固定部材S2を充填させる形で、接続固定する。
【0021】
ここで、外壁Wの屋内側には、内壁螺子部Ni1にて固定される化粧板30が設けられており、当該化粧板30には、排気用配管Piを挿通する第2円孔30aが設けられ、排気用配管Piの屋内側は、第2円孔30aに支持される。
これまで説明してきた構成を採用することにより、外壁Wに環状部材10を取り付けた状態で、屋内側からパイプフード20等を良好に取り換えることができる。
【0022】
〔別実施形態〕
上記実施形態では、パイプフード20の接続部23と排気用配管Piとは、熱可塑性シーリング剤から成る固定部材S2にて接続固定したが、図3に示すように、接続部23と排気用配管Piとを螺合接続する螺合固定部にて固定しても構わない。
当該螺合固定部は、例えば、図3に示すように、円筒形状の接続部23の外周面にねじ切られた雄螺子23aと、排気用配管Piの内周面にねじ切られた雌螺子Piaとから構成することができる。
尚、接続部23と排気用配管Piとは、一方が内径側で他方が外径側とすることができ、内径側に雄螺子がねじ切られ、外径側に雌螺子がねじ切られる構成を好適に採用できる。
【0023】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の排気口構造体は、メンテナンス時等において、屋内側から気密性・防水性を適切に確保しながら容易に着脱可能な排気口構造体として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0025】
10 :環状部材
10b :外径部位
10c :内径部位
20 :パイプフード
22 :外径フランジ部
22a :挿通孔
23 :接続部
100 :排気口構造体
La :内径
Lb :外径
Lc :開口径
Ld :外径
Pi :排気用配管
S1 :シール部材
S2 :固定部材
W :外壁
Wa :開口
図1
図2
図3