(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148162
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】配線基板、電子装置及び電子モジュール
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231005BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20231005BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H05K1/02 B
H01L23/12 Q
H01L23/12 E
H01L23/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056049
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】澤 晋一郎
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338BB25
5E338CC01
5E338CC06
5E338CD12
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】より広帯域化された配線基板、電子装置及び電子モジュールを提供する。
【解決手段】配線基板は、第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面とを有する積層体であり、第1面から第2面へ向かって順に位置する第1絶縁層、第2絶縁層及び第3絶縁層を含む絶縁基板と、少なくとも絶縁基板の第1絶縁層から第2面にかけて位置し、平面透視にて互いに隣り合う第1線路及び第2線路と、絶縁基板に位置し、第1線路及び第2線路を囲む接地膜導体とを備える。接地膜導体は、第1線路及び第2線路が交差する第1開口を有しかつ第2絶縁層に位置する第1接地膜導体と、第1線路及び第2線路が共に交差する第2開口を有しかつ第3絶縁層に位置する第2接地膜導体とを含み、第1開口よりも第2開口が大きく、平面透視において第1開口の中心点が第2開口の中心点と第2開口の縁との間に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有する積層体であり、前記第1面から前記第2面へ向かって順に位置する第1絶縁層、第2絶縁層及び第3絶縁層を含む絶縁基板と、
少なくとも前記絶縁基板の前記第1絶縁層から前記第2面にかけて位置し、平面透視にて互いに隣り合う第1線路及び第2線路と、
前記絶縁基板に位置し、前記第1線路及び前記第2線路を囲む接地膜導体と、
を備え、
前記接地膜導体は、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第1開口を有しかつ前記第2絶縁層に位置する第1接地膜導体と、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第2開口を有しかつ前記第3絶縁層に位置する第2接地膜導体と、
を含み、
前記第1開口よりも前記第2開口が大きく、
平面透視において前記第1開口の中心点が前記第2開口の中心点と前記第2開口の縁との間に位置する、
配線基板。
【請求項2】
前記接地膜導体は、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第3開口を有しかつ前記第1絶縁層に位置する第3接地膜導体を含み、
平面透視において、前記第3開口の中心点から前記第1開口の中心点までの長さが、前記第3開口の中心点から前記第2開口の中心点までの長さよりも小さい、
請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記接地膜導体は、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第3開口を有しかつ前記第1絶縁層に位置する第3接地膜導体を含み、
平面透視において、前記第3開口の中心点から前記第1開口の中心点までの長さが、前記第3開口の中心点から前記第2開口の中心点までの長さよりも大きい、
請求項1記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1線路は、
平面透視において前記第1開口の縁部から前記第1開口の幅方向における中央部へかけて延びる第1線路導体と、平面透視において前記第1開口の幅方向における中央部から前記第2開口の幅方向における中央部へ延びる第2線路導体とを含み、
前記第2線路は、
平面透視において前記第1開口の縁部から前記第1開口の幅方向における中央部へかけて延びる第3線路導体と、平面透視において前記第1開口の幅方向における中央部から前記第2開口の幅方向における中央部へ延びる第4線路導体とを含み、
前記第1線路導体と前記第2線路導体とが前記絶縁基板の厚み方向に離間し、
前記第3線路導体と前記第4線路導体とが前記絶縁基板の厚み方向に離間している、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1線路は、
前記第2面に位置する第1電極を含み、
前記第2線路は、
前記第2面に位置する第2電極を含み、
前記第1線路導体及び前記第3線路導体は、前記第2面よりも前記第1面の近くに位置し
前記第2線路導体及び前記第4線路導体は、前記第1面よりも前記第2面の近くに位置する請求項4記載の配線基板。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に搭載された電子素子と、
を備える電子装置。
【請求項7】
請求項6に記載の電子装置と、
前記電子装置を搭載したモジュール用基板と、
を備える電子モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板、電子装置及び電子モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一方の基板面から他方の基板面へ延びる信号線路を有する配線基板が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高周波信号を伝送する配線基板において伝送周波数の更なる広帯域化が求められることがある。本開示は、更なる広帯域化を実現できる配線基板、電子装置及び電子モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る配線基板は、
第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面とを有する積層体であり、前記第1面から前記第2面へ向かって順に位置する第1絶縁層、第2絶縁層及び第3絶縁層を含む絶縁基板と、
少なくとも前記絶縁基板の前記第1絶縁層から前記第2面にかけて位置し、平面透視にて互いに隣り合う第1線路及び第2線路と、
前記絶縁基板に位置し、前記第1線路及び前記第2線路を囲む接地膜導体と、
を備え、
前記接地膜導体は、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第1開口を有しかつ前記第2絶縁層に位置する第1接地膜導体と、
前記第1線路及び前記第2線路が交差する第2開口を有しかつ前記第3絶縁層に位置する第2接地膜導体と、
を含み、
前記第1開口よりも前記第2開口が大きく、
平面透視において前記第1開口の中心点が前記第2開口の中心点と前記第2開口の縁との間に位置する。
【0006】
本開示に係る電子装置は、
上記の配線基板と、
前記配線基板に搭載された電子素子と、
を備える。
【0007】
本開示に係る電子モジュールは、
上記の電子装置と、
前記電子装置を搭載したモジュール用基板と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、配線基板、電子装置及び電子モジュールの更なる広帯域化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本開示の実施形態1に係る配線基板を示す平面透視図である。
【
図1B】実施形態1の配線基板を示す縦断面図である。
【
図2】実施形態1の配線基板の要部を示す平面透視図(A)と開口間の距離を説明する図(B)である。
【
図3】
図2(A)の要部における第3層(A)、第4層(B)及び第5層~第10層(C)を示す横断面図である。
【
図4】
図2(A)の要部における第11層(A)、第12層(B)及び第13層(C)を示す横断面図である。
【
図5】
図2(A)の要部における第14層(A)を示す横断面図、並びに、裏面(B)を示す図である。
【
図6】
図3(B)のA-A線における縦断面図(A)、
図3(B)のB-B線における縦断面図(B)、
図5(A)のC-C線における縦断面図(C)である。
【
図7】実施形態1の変形例1(A)及び変形例2(B)の配線基板の要部を示す平面透視図である。
【
図8A】本開示の実施形態2に係る配線基板を示す平面透視図である。
【
図8B】実施形態2の配線基板を示す縦断面図である。
【
図9A】本開示の実施形態3に係る配線基板を示す平面透視図である。
【
図9B】実施形態3の配線基板を示す縦断面図である。
【
図10】本開示の実施形態に係る電子装置及び電子モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下、配線基板1の厚み方向において第1面S1側を「上方」、第2面S2側を「下方」として説明する。また、平面透視において、平行線路導体(H1、H2)が延びる方向における第3電極T3及び第4電極T4が位置する方を「左方」、第1電極T1及び第2電極T2が位置する方を「右方」として説明する。平面透視とは、上方から透視することを意味する。
【0011】
(実施形態1)
図1Aは、本開示の実施形態1に係る配線基板の平面透視図である。
図1Bは、実施形態1の配線基板の縦断面図である。
図1Bは、第1線路10に沿って切断した断面を示す。
図2は、実施形態1の配線基板の要部を示す平面透視図(A)と開口間の距離を説明する図(B)である。
図3は、
図2(A)の要部における第3層(A)、第4層(B)及び第5層~第10層(C)を示す横断面図である。
図4は、
図2(A)の要部における第11層(A)、第12層(B)及び第13層(C)を示す横断面図である。
図5は、
図2(A)の要部における第14層(A)を示す横断面図、並びに、裏面(B)を示す図である。
図5(B)は上方から透視した裏面を示す。
図6は、
図3(B)のA-A線における縦断面図(A)、
図3(B)のB-B線における縦断面図(B)、
図5(A)のC-C線における縦断面図(C)である。
【0012】
実施形態1に係る配線基板1は、第1面S1と第1面S1とは反対側に位置する第2面S2とを有する絶縁基板2と、絶縁基板2に位置するとともに互いに隣り合う第1線路10及び第2線路20とを備える。
【0013】
第1線路10及び第2線路20は、差動信号が伝送される一対の差動線路であり、広帯域の信号を伝送する線路であってもよい。上記の広帯域とは1GHz~60GHzの帯域であってもよい。
【0014】
配線基板1は、さらに、絶縁基板2に位置するとともに第1線路10及び第2線路20を囲む複数の接地膜導体31及び複数の接地ビア導体32を備えてもよい。複数の接地膜導体31及び複数の接地ビア導体32は、第1線路10及び第2線路20をまとめて囲む構成を有してもよいし、一部又は全部において第1線路10及び第2線路20を個別に囲む構成を有してもよい。
【0015】
絶縁基板2は、セラミックス又は樹脂などの絶縁性を有する基板であり、積層構造を有してもよい。絶縁基板2は、第1面S1から第2面S2へ向かって順に位置する第1絶縁層YT1、第2絶縁層YT2及び第3絶縁層YT3を含んでもよい。第1絶縁層YT1~第3絶縁層YT3は、第1面S1及び第2面S2が拡がる方向と平行に広がる層であってもよい。第1絶縁層YT1~第3絶縁層YT3は互いに連続していてもよいし、互いに離間した層であってもよい。第1絶縁層YT1の上面が第1面S1であってもよいし、第1面S1と第1絶縁層YT1とが離間していてもよい。第3絶縁層YT3の下面が第2面S2であってもよいし、第3絶縁層YT3と第2面S2とが離間していてもよい。
【0016】
絶縁基板2は、さらに複数の配線層(第1層y1~第15層y15)を有してもよい。第1層y1~第15層y15は、上下方向に当該順序で並ぶ。電極(第1電極T1~第4電極T4)、線路導体(第i線路導体Li~第4線路導体L4)、あるいは、複数の接地膜導体31は第1層y1~第15層y15のいずれかに位置してもよい。第1層y1は第1面S1側の表層であり、第15層y15は第2面S2側の表層である。複数の配線層は上下方向に並ぶ層である。
【0017】
第1絶縁層YT1~第3絶縁層YT3の各々は、上記の複数の配線層(第1層y1~第15層y15)のいずれかの間に連続して位置する絶縁層であってもよい。実施形態1においては、第1絶縁層YT1は、第1層y1と第4層y4との間の絶縁層を意味し、第2絶縁層YT2は、第4層y4と第11層y11との間の絶縁層を意味し、第3絶縁層YT3は、第11層y11と第15層y15との間の絶縁層を意味してもよい。
【0018】
<第1線路>
第1線路10は、絶縁基板2の第1面S1から第2面S2へかけて、順に、第3電極T3、第iビア導体Vi、第i線路導体Li、第1平行線路導体H1、第1線路導体L1、第1ビア導体V1、第2線路導体L2、第2ビア導体V2及び第1電極T1を有してもよい。第1電極T1は、絶縁基板2の第2面S2に位置してもよい。第3電極T3は、絶縁基板2の第1面S1に位置してもよい。
【0019】
図1Aに示すように、第1線路10において、第3電極T3、第i線路導体Li、第1平行線路導体H1、第1線路導体L1、第2線路導体L2及び第1電極T1は、平面透視において、順に連なって見えるように位置してもよい。第3電極T3、第i線路導体Li、第1平行線路導体H1、第1線路導体L1、第2線路導体L2及び第1電極T1は、平面透視において、左方から右方にかけて順に位置してもよいし、一部が右方から左方へ折り返す構成であってもよい。
【0020】
第i線路導体Li、第1平行線路導体H1及び第1線路導体L1は、同一の配線層に位置し、順に連なっていてもよい。第1線路導体L1と、第2線路導体L2とは、異なる配線層に位置し、上方から下方に当該順に位置してもよい。第i線路導体Li、第1平行線路導体H1、第1線路導体L1及び第2線路導体L2は、同一の線幅を有してもよい。
【0021】
図1Bに示すように、第3電極T3は第1層y1に位置してもよい。第i線路導体Li、第1平行線路導体H1及び第1線路導体L1は第4層y4に位置してもよい。第2線路導体L2は第13層y13に位置してもよい。第1電極T1は第15層y15に位置してもよい。
【0022】
第iビア導体Viは第3電極T3が位置する第1層y1から第i線路導体Liが位置する第4層y4にかけて位置してもよい。第1ビア導体V1は、第4層y4から第2線路導体L2が位置する第13層y13にかけて位置してもよい。第2ビア導体V2は、第13層y13から第1電極T1が位置する第15層y15(第2面S2の層)にかけて位置してもよい。
【0023】
第3電極T3は第iビア導体Viの上部と接続されてもよい。第iビア導体Viの下部は第i線路導体Liの左部と接続されてもよい。第i線路導体Liの右部は第1平行線路導体H1の左部と接続されてもよい。第1平行線路導体H1の右部は第1線路導体L1の左部と接続されてもよい。第1線路導体L1の右部は第1ビア導体V1の上部と接続されてもよい。第1ビア導体V1の下部は第2線路導体L2の左部と接続されてもよい。第2線路導体L2の右部は第2ビア導体V2の上部と接続されてもよい。第2ビア導体V2の下部は第1電極T1と接続されてもよい。上記上部と下部の接続位置はそれぞれ上端と下端に言い換えてもよい。上記左部と右部の接続位置はそれぞれ左端と右端に言い換えてもよい。
【0024】
<第2線路>
第2線路20は、絶縁基板2の第1面S1から第2面S2へかけて、順に、第4電極T4、第i+1ビア導体Vi+1、第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2、第3線路導体L3、第3ビア導体V3、第4線路導体L4、第4ビア導体V4及び第2電極T2を有してもよい。第2電極T2は、絶縁基板2の第2面S2に位置してもよい。第4電極T4は、絶縁基板2の第1面S1に位置してもよい。
【0025】
図1Aに示すように、第2線路20において、第4電極T4、第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2、第3線路導体L3、第4線路導体L4及び第2電極T2は、平面透視において、順に連なって見えるように位置してもよい。第4電極T4、第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2、第3線路導体L3、第4線路導体L4及び第2電極T2は、平面透視において、左方から右方にかけて順に位置してもよいし、一部が右方から左方へ折り返す構成であってもよい。
【0026】
第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2及び第3線路導体L3は、同一の配線層に位置し、順に連なっていてもよい。第3線路導体L3と、第4線路導体L4とは、異なる配線層に位置し、上方から下方に当該順に位置してもよい。第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2、第3線路導体L3及び第4線路導体L4は、同一の線幅を有してもよい。
【0027】
第4電極T4は第1層y1に位置してもよい。第i+1線路導体Li+1、第2平行線路導体H2及び第3線路導体L3は第4層y4に位置してもよい。第4線路導体L4は第13層y13に位置してもよい。第2電極T2は第15層y15に位置してもよい。
【0028】
第i+1ビア導体Vi+1は第4電極T4が位置する第1層y1から第i+1線路導体Li+1が位置する第4層y4にかけて位置してもよい。第3ビア導体V3は、第4層y4から第4線路導体L4が位置する第13層y13にかけて位置してもよい。第4ビア導体V4は、第13層y13から第2電極T2が位置する第15層y15(第2面S2の層)にかけて位置してもよい。
【0029】
第4電極T4は第i+1ビア導体Vi+1の上部と接続されてもよい。第i+1ビア導体Vi+1の下部は第i+1線路導体Li+1の左部と接続されてもよい。第i+1線路導体Li+1の右部は第2平行線路導体H2の左部と接続されてもよい。第2平行線路導体H2の右部は第3線路導体L3の左部と接続されてもよい。第3線路導体L3の右部は第3ビア導体V3の上部と接続されてもよい。第3ビア導体V3の下部は第4線路導体L4の左部と接続されてもよい。第4線路導体L4の右部は第4ビア導体V4の上部と接続されてもよい。第4ビア導体V4の下部は第2電極T2と接続されてもよい。上記上部と下部の接続位置はそれぞれ上端と下端に言い換えてもよい。上記左部と右部の接続位置はそれぞれ左端と右端に言い換えてもよい。
【0030】
<第1線路と第2線路>
第1線路10及び第2線路20において、第i線路導体Li、第i+1線路導体Li+1、第1平行線路導体H1、第2平行線路導体H2、第1線路導体L1及び第3線路導体L3は同一の配線層に位置してもよい。第2線路導体L2と第4線路導体L4とは同一の配線層に位置してもよい。
【0031】
第1線路10及び第2線路20において、第iビア導体Viと第i+1ビア導体Vi+1とは同一の配線層にかけて位置してもよい。第1ビア導体V1と第3ビア導体V3とは同一の配線層にかけて位置してもよい。第2ビア導体V2と第4ビア導体V4とは同一の配線層にかけて位置してもよい。
【0032】
第3電極T3と第4電極T4とは、前後方向(左右方向に直交しかつ第1面S1又は第2面S2に沿った方向)に並んでいてもよい。第1電極T1と第2電極T2とは前後方向に並んでいてもよい。第1電極T1及び第2電極T2の各面積は、第3電極T3及び第4電極T4の各面積よりも大きくてもよい。第1電極T1及び第2電極T2の間隔(第1電極T1の中央と第2電極T2の中央との距離)は、第3電極T3及び第4電極T4の間隔(第3電極T3の中央と第4電極T4の中央との距離)よりも長くてもよい。
【0033】
<接地膜導体>
複数の接地膜導体31は、絶縁基板2の表層を除いた全ての層(第2層y2~第14層y14)にそれぞれ位置してもよい。複数の接地膜導体31は、第3開口O3を有する1つ又は複数の第3接地膜導体31iと、帯状の開口Ohを有する1つ又は複数の接地膜導体31hと、後述する第1開口O1及び第2開口O2をそれぞれ有する複数の第1接地膜導体31a及び複数の第2接地膜導体31bとを含んでもよい。第3開口O3は、第iビア導体Viと第i+1ビア導体Vi+1とを囲んでもよい。帯状の開口Ohは、第i線路導体Li、第i+1線路導体Li+1、第1平行線路導体H1、第2平行線路導体H2、第1線路導体L1及び第3線路導体L3を囲んでもよい。
【0034】
第4層y4の接地膜導体31hの開口Ohは、第1平行線路導体H1及び第2平行線路導体H2に沿った帯形状の部分と、第3開口O3の形状部分と、第1開口O1の形状部分とが合体した形状を有してもよい。
【0035】
複数の接地ビア導体32は、少なくとも開口Oh、第1開口O1、第2開口O2及び第3開口O3を囲むように位置してもよい。複数の接地ビア導体32のうち隣り合う2つの接地ビア導体32は間隔を開けて位置してもよい。
【0036】
配線基板1は、さらに、第3電極T3を囲う第3接地電極Tg3と、第4電極T4を囲う第4接地電極Tg4とを有してもよい。第3接地電極Tg3及び第4接地電極Tg4は、絶縁基板2の第1面S1に位置し、接地ビア導体32を介して接地膜導体31に接続されてもよい。
【0037】
配線基板1は、さらに、第1電極T1及び第2電極T2を囲う複数の第1接地電極Tg1及び複数の第2接地電極Tg2を有してもよい。複数の第1接地電極Tg1及び複数の第2接地電極Tg2は、第2面S2に位置し、間隔を開けて第1電極T1及び第2電極T2の周囲に位置してもよい。
【0038】
複数の第1接地電極Tg1及び複数の第2接地電極Tg2の個々の面積は、第3接地電極Tg3及び第4接地電極Tg4の個々の面積よりも大きくてもよい。また、第1接地電極Tg1及び第2接地電極Tg2により囲まれる領域の面積は、第3接地電極Tg3及び第4接地電極Tg4により囲まれる領域の面積よりも大きくてもよい。当該構成により、第1面S1において緻密に配置された配線との接続が可能となり、第2面S2において大きな間隔で配置された配線との接続が可能となる。当該構成は、第1面S1の第3電極T3及び第4電極T4に電子素子が接続され、第2面S2の第1電極T1及び第2電極T2が他の配線基板の電極等と接続される構成において、配線接続が容易になる。
【0039】
上記構成の配線基板1によれば、絶縁基板2の第1面S1と第2面S2との間で広帯域の差動信号を伝送することができる。
【0040】
<第1線路及び第2線路の詳細>
第i線路導体Liと第i+1線路導体Li+1とは、左方から右方に向かって間隔が小さくなる部位を有してもよい。当該部位は一部にあってもよいし、全部が当該部位に相当してもよい。当該構成により、第3電極T3と第4電極T4との間隔を広げることができる。
【0041】
第1平行線路導体H1と第2平行線路導体H2とは、互いに平行であってもよい。第1平行線路導体H1と第2平行線路導体H2とは直線状であってもよいし、一部又は全部に曲がった部分が含まれてもよい。当該構成により、第2面S2の第1電極T1及び第2電極T2と、第1面S1の第3電極T3及び第4電極T4とを、任意な距離だけ第1面S1に沿った方向に離しやすい。
【0042】
第1線路導体L1と第3線路導体L3とは、左方から右方に向かって間隔が大きくなる部位を有してもよい。当該部位は一部にあってもよいし、全部が当該部位に相当してもよい。当該構成により、大きな面積を有する第1電極T1及び第2電極T2に対応して第1線路10と第2線路20との間隔を広げることができる。
【0043】
第2線路導体L2と第4線路導体L4とは、互いに平行であってもよい。あるいは、第2線路導体L2と第4線路導体L4とは、左方から右方に向かって間隔が大きくなる部位を有してもよいし、左方から右方に向かって間隔が小さくなる部位を有してもよい。間隔大きくなる部位又は間隔が小さくなる部位は一部にあってもよいし、全部が当該部位に相当してもよい。後に詳述するが、第2線路導体L2及び第4線路導体L4により、配線基板1の伝送特性を向上できる。
【0044】
第1ビア導体V1と第3ビア導体V3との間隔と、第2ビア導体V2と第4ビア導体V4との間隔とは、同一であってもよい。第2線路導体L2及び第4線路導体L4の間隔が左端と右端とで異なる場合には、第1ビア導体V1と第3ビア導体V3との間隔は、第2ビア導体V2と第4ビア導体V4との間隔よりも小さい又は大きくてもよい。
【0045】
なお、第2線路導体L2と第4線路導体L4とは、1つの配線層(第13層y13)に位置するが、1つの配線層に位置する形態に限られない。図示を省略するが、第2線路導体L2は、複数の配線層にわたって位置する構成であってもよい。例えば、第2線路導体L2を二つに分けた一方が第12層y12に位置し、もう一方が第13層y13に位置し、当該一方の一端ともう一方の一端とがビア導体により接続されていてもよい。当該構成は、
図1Bのような断面で見たときに階段状の形態を有するので、以下「階段状の形態」と呼ぶ。第4線路導体L4は、同様に階段状の形態を有してもよい。階段状の形態を有する場合、第2線路導体L2と第4線路導体L4とは鏡像対称の形態及び配置を有してもよい。第1線路導体L1及び第3線路導体L3についても、階段状の形態を有してもよく、加えて、鏡像対称の形態及び配置を有してもよい。
【0046】
<接地膜導体の開口の詳細>
以下において、開口の中心点と言ったときには、開口の面積を、前後方向(
図2(A)の紙面の上下方向)に二等分する線分と左右方向(
図2(A)の紙面の左右方向)に二等分する線分との交点を意味するものとする。
【0047】
第1絶縁層YT1(
図1B)の第3接地膜導体31iは、前述したように、第3開口O3(
図1A及び
図1B)を有してもよい。第3開口O3には、第iビア導体Vi(第1線路10の第1絶縁層YT1に位置する部位)と第i+1ビア導体Vi+1(第2線路20の第1絶縁層YT1に位置する部位)とが交差してもよい。任意な開口と任意な導体とが交差するとは、開口を挟んだ一方から他方へ導体が開口内を通っている構造を意味する。
【0048】
第2絶縁層YT2(
図1B)の第1接地膜導体31aは、前述したように、第1開口O1を有してもよい。
【0049】
第1開口O1には、第1ビア導体V1(第1線路10の第2絶縁層YT2に位置する部位)及び第3ビア導体V3(第2線路20の第2絶縁層YT2に位置する部位)が交差してもよい。平面透視において、第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3は、第1開口O1の幅方向における中央部に位置してもよい。幅方向とは左右方向(
図2(A)の紙面の左右方向)を意味する。中央部とは中心点及び中心点の近傍を意味する。
【0050】
第1開口O1は、第1ビア導体V1を囲む円と第3ビア導体V3を囲む円とが合体した形状、又は、上記2つの円を含む長孔状(角が丸められた長孔状)あるいは楕円状を有してもよい。上記の円は、多角形又は正多角形に代替されてもよい。第1開口O1は、第1線路10と第2線路20との間を二等分する面に対して対称な形状であってもよい。
【0051】
なお、第1開口O1は、上記の構成に限られない。第1接地膜導体31aは、第1ビア導体V1が交差しかつ第3ビア導体V3が交差しない1つの第1開口O1と、第1ビア導体V1が交差せずかつ第3ビア導体V3が交差するもう1つの第1開口O1とを有してもよい(
図9Aを参照)。すなわち、第1開口O1は、2つに分断されていてもよい。
【0052】
第3絶縁層YT3(
図1B)の第2接地膜導体31bは、前述したように、第2開口O2を有してもよい。
【0053】
第2開口O2には、第3絶縁層YT3において第1線路10及び第2線路20が交差してもよい。第2開口O2と交差する第1線路10及び第2線路20は、第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3の一部、第2線路導体L2及び第4線路導体L4、並びに、第2ビア導体V2及び第4ビア導体V4の一部を含む部位であってもよい。平面透視において、第2ビア導体V2及び第4ビア導体V4は、第2開口O2の幅方向における中央部に位置してもよい。
【0054】
第2開口O2は、平面視において、第1電極T1を囲む円と第2電極T2を囲む円とが合体した形状、又は、当該2つの円を含む長孔状(角が丸められた長孔状)あるいは楕円状を有してもよい。上記の円は、多角形又は正多角形に代替されてもよい。第2開口O2は、第1線路10と第2線路20との間を二等分する面に対して対称な形状であってもよい。
【0055】
第2開口O2は、第1開口O1よりも大きくてもよい。当該大きさの比較は、平面透視における面積の大きさの比較を意味する。加えて。第2開口O2の平面透視における最大幅は、第1開口O1の平面透視における最大幅よりも大きくてもよい。また、第2開口O2の平面透視における最小幅は、第1開口O1の平面透視における最小幅よりも大きくてもよい。最小幅とは2つの平行直線で対象を挟んだときに最小となる2つの平行直線間の長さを意味する。
【0056】
当該構成によれば、第1開口O1の前段の部位から、第1開口O1の部位を経て、第2開口O2の部位に至るまで、伝送路のインダクタンス成分及び容量成分が徐々に段階的に変化する。したがって、伝送路のインダクタンス成分及び容量成分の急激な変化が低減され、配線基板1の伝送特性が向上する。
【0057】
平面透視において、前記第1開口O1の中心点P1(
図2(A))は、第2開口O2の中心点P2と第2開口O2の縁E1との間に位置してもよい。
【0058】
当該構成によれば、第1開口O1に位置する第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3と、第1電極T1及び第2電極T2との距離を大きくすることができる。加えて、第1線路10及び第2線路20は、中心点P1、P2の差に対応して、第1開口O1及び第2開口O2の境界の周辺に、上下方向と異なる方向に延びる線路導体(第2線路導体L2及び第4線路導体L4)を含むことになる。当該線路導体(第2線路導体L2及び第4線路導体L4)は、伝送路の方向(第1開口O1及び第2開口O2で囲まれた領域が延びる方向:上下方向)と異なる方向(左右方向)に延びている。よって、第2線路導体L2及び第4線路導体L4は、伝送路のインダクタンス成分を増大させる作用を及ぼす。一方、面積の大きな第1電極T1及び第2電極T2の近傍では、容量成分が増大する。したがって、上記の増大したインダクタンス成分と第1電極T1及び第2電極T2の大きな容量成分とが合わさって、インピーダンスを整合させやすい。したがって、配線基板1の伝送特性を向上できる。
【0059】
図2(B)に示すように、平面透視において、第3開口O3の中心点Piから第1開口O1の中心点P1までの長さJ1は、第3開口O3の中心点Piから第2開口O2の中心点P2までの長さJ2よりも小さくてもよい。すなわち、平面透視において、第2開口O2の縁のうち中心点P1が近い方の縁E1は、第3電極T3及び第4電極T4に近い側の縁であってもよい。
【0060】
信号の伝送路においては特性が線路長に依存し、短い線路長の方が良好な特性が得られるといった状況が生じる場合がある。長さJ1が長さJ2よりも小さい構成を採用することで、設計段階で第1電極T1~第4電極T4の位置が決まっている場合でも、第1線路10及び第2線路20の線路長を短くすることができる。したがって、上記の状況に対応することができる。
【0061】
平面透視において、第1線路導体L1は、第1開口O1の縁部から第1開口O1の幅方向における中央部へかけて延在し、第2線路導体L2は、第1開口O1の幅方向における中央部から第2開口O2の幅方向における中央部へ延在してもよい。幅方向とは左右方向(
図2(A)の紙面の左右方向)を意味する。中央部とは中心点及び中心点の近傍を意味する。
【0062】
同様に、平面透視において、第3線路導体L3は、第1開口O1の縁部から第1開口O1の幅方向における中央部へかけて延在し、第4線路導体L4は、第1開口O1の幅方向における中央部から第2開口O2の幅方向における中央部へ延在してもよい。
【0063】
上記構成の第1線路導体L1~第4線路導体L4において、第1線路導体L1と第2線路導体L2とが絶縁基板2の厚み方向(上下方向)に離間し、第3線路導体L3と第4線路導体L4とが絶縁基板2の厚み方向(上下方向)に離間していてもよい。
【0064】
当該構成により、インダクタンス成分を増大させる第2線路導体L2及び第4線路導体L4が厚み方向において第1電極T1及び第2電極T2の近くに位置する。したがって、上記の増大したインダクタンス成分と第1電極T1及び第2電極T2の大きな容量成分とがより近くに位置し、インピーダンスをより整合させやすい。したがって、配線基板1の伝送特性をより向上できる。
【0065】
さらに、上記の構成によれば、小さい第1開口O1と大きい第2開口O2とが順に第2絶縁層YT2と第3絶縁層YT3とに位置するのに対応して、第1線路10及び第2線路20が第1開口O1と第2開口O2との幅方向における中央に近い領域に位置する。したがって、第1線路10及び第2線路20と周囲の接地導体との配置上の偏りを減らして、配線基板1の伝送特性を向上できる。
【0066】
第1線路導体L1及び第3線路導体L3は、第2面S2よりも第1面S1の近くに位置してもよい。第2線路導体L2及び第4線路導体L4は、第1面S1よりも第2面S2の近くに位置してもよい。
【0067】
当該構成によれば、インダクタンス成分を増大させる第2線路導体L2及び第4線路導体L4が厚み方向において第1電極T1及び第2電極T2により近く位置する。したがって、上記の増大したインダクタンス成分と第1電極T1及び第2電極T2の大きな容量成分とが更に近くに位置し、インピーダンスをより整合させやすい。したがって、配線基板1の伝送特性をより向上できる。
【0068】
(変形例1、2)
図7は、実施形態1の変形例1(A)及び変形例2(B)の配線基板の要部を示す平面透視図である。変形例1及び変形例2の配線基板1A、1Bは、第2線路導体L2及び第4線路導体L4の経路形状が実施形態1と異なり、他の構成要素は実施形態1と同様であってもよい。
【0069】
図7(A)の変形例1において、第2線路導体L2及び第4線路導体L4は、互いの間隔が小さい区間c1、c2を一部に含んでもよい。当該構成によれば、配線基板1Aの設計段階において、区間c1、c2の間隔を変化させることで、第2線路導体L2及び第4線路導体L4のインピーダンスを調整できる。したがって、第1電極T1及び第2電極T2の近傍における伝送路のインピーダンスをより整合させやすく、配線基板1Aの伝送特性をより向上できる。
【0070】
図7(B)の変形例2において、第2線路導体L2及び第4線路導体L4は、互いの間隔が大きい区間c3、c4を一部に含んでもよい。当該構成によれば、配線基板1Bの設計段階において、区間c3、c4の間隔を変化させることで、第2線路導体L2及び第4線路導体L4のインピーダンスを調整できる。したがって、第1電極T1及び第2電極T2の近傍における伝送路のインピーダンスをより整合させやすく、配線基板1Bの伝送特性をより向上できる。
【0071】
なお、変形例1及び変形例2において、区間c1、c2、c3、c4は互いに平行であってもよいし、左方から右方にかけて間隔が広がってもよいし、左右から右方にかけて間隔が狭まってもよい。区間c1、c2、c3、c4は直線状であってもよいし、曲った部分を含んでもよい。第2線路導体L2及び第4線路導体L4の曲がった部分は角を成す曲りであってもよいし、丸みを持った曲りであってもよい。第2線路導体L2と第4線路導体L4とは、鏡像対称であってもよい。
【0072】
図7(A)及び
図7(B)において、第2線路導体L2は1つの配線層(第13層y13)に位置する。しかし、第2線路導体L2は、前述した階段状の形態を有し、複数の配線層に位置してもよい。第4線路導体L4についても同様である。
【0073】
(実施形態2)
図8Aは、本開示の実施形態2に係る配線基板を示す平面透視図である。
図8Bは、実施形態2の配線基板を示す縦断面図である。
図8Bは、第1線路10に沿った断面を示す。
【0074】
実施形態2に係る配線基板1Cは、第1開口O1Cの平面透視における位置、並びに、第1線路10及び第2線路20の一部の経路が実施形態1と異なり、他の構成要素は実施形態1と同様であってもよい。
【0075】
第2絶縁層YT2の第1接地膜導体31aは、第1開口O1Cを有してもよい。第1開口O1Cは、実施形態1の第1開口O1と同様の大きさ、並びに、同様の形状を有してもよい。平面透視において、第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3は、第1開口O1Cの幅方向における中央部に位置してもよい。
【0076】
平面透視において、第1線路導体L1は、第1開口O1Cの縁部から第1開口O1Cの幅方向における中央部へかけて延在し、第2線路導体L2は、第1開口O1Cの幅方向における中央部から第2開口O2の幅方向における中央部へ延在してもよい。幅方向とは左右方向(
図8Aの紙面の左右方向)を意味する。中央部とは中心点及び中心点の近傍を意味する。
【0077】
同様に、平面透視において、第3線路導体L3は、第1開口O1Cの縁部から第1開口O1Cの幅方向における中央部へかけて延在し、第4線路導体L4は、第1開口O1Cの幅方向における中央部から第2開口O2の幅方向における中央部へ延在してもよい。
【0078】
平面透視において、第1開口O1Cの中心点P1C(
図8A)は、第2開口O2の中心点P2と第2開口O2の縁E2との間に位置してもよい。平面透視において、第3開口O3の中心点Piから第1開口O1Cの中心点P1Cまでの長さJ1Cは、第3開口O3の中心点Piから第2開口O2の中心点P2までの長さJ2よりも大きくてもよい。すなわち、縁E2は、平面透視において、第3電極T3及び第4電極T4から遠い側の縁であってもよい。
【0079】
当該構成により、次のような作用が得られる。すなわち、信号の伝送路においては特性が線路長に依存し、長い線路長の方が良好な特性が得られるといった状況が生じる場合がある。長さJ1Cが長さJ2よりも大きい構成を採用することで、設計段階で第1電極T1~第4電極T4の位置が決まっている場合に、第1線路10及び第2線路20の線路長を長くすることができる。したがって、上記の状況に対応することができる。
【0080】
(実施形態3)
図9Aは、本開示の実施形態3に係る配線基板を示す平面透視図である。
図9Bは、実施形態3の配線基板を示す縦断面図である。
図9Bは、第1線路10に沿った断面を示す。
【0081】
実施形態3に係る配線基板1Dは、平面透視における第1開口O1Da、O1Dbの形状、第1開口O1Da、O1Db、第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3の位置、並びに、第1線路10及び第2線路20の一部の経路が実施形態1と異なり、他の構成要素は実施形態1と同様であってもよい。
【0082】
第2絶縁層YT2の第1接地膜導体31aは、2つの第1開口O1Da、O1Dbを有してもよい。第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3は、2つの第1開口O1Da、O1Dbの中央部にそれぞれ位置してもよい。
【0083】
第1ビア導体V1と第3ビア導体V3との間隔は、第2ビア導体V2と第4ビア導体V4との間隔よりも大きくてもよい。第1開口O1Da、O1Dbは、伝送路のインピーダンスに対応する直径を有してもよい。したがって、第1ビア導体V1と第3ビア導体V3との間隔が上記直径より大きければ、
図9Aに示すように、第1接地膜導体31aは互いに分断された2つの第1開口O1Da、O1Dbを有してもよい。
【0084】
第1開口O1Da、O1Dbの中心点P1D(
図9A)は、第2開口O2の中心点P2と第2開口O2の縁E3との間に位置してもよい。縁E3は、平面透視において、第3電極T3及び第4電極T4に近い側の縁であり、中心点P1Dから第3開口O3の中心点Piまでの長さJ1Dは、中心点P2から第3開口O3の中心点Piまでの長さJ2よりも小さくてもよい。2つに分断された第1開口O1Da、O1Dbの中心点P1Dとは、一方の第1開口O1Daの中心点ともう一方の第1開口O1Dbの中心点とを結ぶ線分の中点と定義される。
【0085】
なお、実施形態3の変形例として、図示を省略するが、第1開口O1Da、O1Dbは、平面透視において第2開口O2と重なる範囲で様々な箇所に位置してもよい。そして、第1開口O1Da、O1Dbの位置に対応するように、第1ビア導体V1及び第3ビア導体V3の位置、第1線路導体L1及び第3線路導体L3の各一端の位置、第2線路導体L2及び第4線路導体L4の各一端の位置が定められていてもよい。第1ビア導体V1と第3ビア導体V3とが近い場合には、実施形態1、2のように、2つの第1開口O1Da、O1Dbが1つの開口に統合されてもよい。上記の各場合において、第1開口O1Da、O1Db、並びに、第1線路10及び第2線路20は、鏡像対称の形状及び配置を有してもよい。
【0086】
実施形態3及び上記変形例の構成によれば、設計段階において、第1開口O1Da、O1Db、並びに、第1ビア導体V1と第3ビア導体V3との配置及び間隔を異ならせることで、第1電極T1~第4電極T4の位置が決まっていても、第1線路10及び第2線路20の線路長を異ならせることができる。さらに、第2線路導体L2及び第4線路導体L4の経路及び線路長を異ならせて、当該部位のインピーダンスを調整することができる。したがって、実施形態3及び上記変形例の構成を採用することで、大きな面積を有する第1電極T1及び第2電極T2の周辺のインピーダンスを整合させやすく、配線基板1Dの伝送特性を向上できる。
【0087】
(電子装置及び電子モジュール)
図10は、本開示の実施形態に係る電子装置及び電子モジュールを示す図である。本実施形態に係る電子装置80は、配線基板1と当該配線基板1に搭載された電子素子82とを備える。配線基板1は、配線基板1A~1Dに代替されてもよい。電子素子82は、高周波信号が入力、出力あるいは入力及び出力される素子であり、配線基板1の第3電極T3及び第4電極T4に電気的に接続される。電子素子82は半導体素子であってもよい。上記の高周波信号は差動信号であってもよい。
【0088】
本実施形態に係る電子モジュール100は、モジュール用基板110と、当該モジュール用基板110に搭載された電子装置80とを備える。モジュール用基板110には、電子装置80に加えて、他の電子装置、電子素子、電気素子等が搭載されてもよい。モジュール用基板110は、電子装置80の搭載部に複数の電極111を有し、複数の電極111と、配線基板1の第1電極T1、第2電極T2、第1接地電極Tg1及び第2接地電極Tg2がそれぞれ導電性接合材113を介して接続されてもよい。
【0089】
本実施形態に係る電子装置80及び電子モジュール100は、広帯域化が図られた配線基板1(又は配線基板1A~1D)により、低い周波数から高い周波数にかけて良好な伝送特性を得ることができる。
【0090】
以上、本開示の各実施形態について説明した。しかし、本開示の配線基板、電子装置及び電子モジュールは、上記実施形態に限られるものでない。例えば、実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0091】
1、1A~1D 配線基板
2 絶縁基板
S1 第1面
S2 第2面
T1 第1電極
T2 第2電極
T3 第3電極
T4 第4電極
Tg1 第1接地電極
Tg2 第2接地電極
Tg3 第3接地電極
Tg4 第4接地電極
10 第1線路
Vi 第iビア導体
Li 第i線路導体
H1 第1平行線路導体
L1 第1線路導体
V1 第1ビア導体
L2 第2線路導体
V2 第2ビア導体
20 第2線路
Vi+1 第i+1ビア導体
Li+1 第i+1線路導体
H2 第2平行線路導体
L3 第3線路導体
V3 第3ビア導体
L4 第4線路導体
V4 第4ビア導体
YT1 第1絶縁層
YT2 第2絶縁層
YT3 第3絶縁層
y1~y15 第1層~第15層(配線層)
31、31h 接地膜導体
31a 第1接地膜導体
31b 第2接地膜導体
31i 第3接地膜導体
32 接地ビア導体
O1、O1C、O1Da、O1Db 第1開口
O2 第2開口
O3 第3開口
E1~E3 縁
P1、P1C、P1D、P2、Pi 中心点
J1、J1C、J1D、J2 長さ
c1~c4 区間
80 電子装置
82 電子素子
100 電子モジュール
110 モジュール用基板