(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148177
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】着脱自在かつら
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A41G3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056071
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】521461867
【氏名又は名称】株式会社エフオーゼー
(74)【代理人】
【識別番号】100078949
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 勝美
(72)【発明者】
【氏名】保知 宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 光浩
(57)【要約】
【課題】装着安定性、見映え良好、装着不体裁のないかつら。
【解決手段】頭部Hに沿った三次元形状に形成され、植毛部3が展開状態において長方形状に形成された植毛中央部4及びその長辺4aの両側に対設される植毛側面部7とからなり、ともに同一の収縮性のある極薄素材からなる。植毛部の表面側の全面にヘア材15が植え付けられ、植毛中央部は後端部5が外後頭隆起Rの直下まで被覆され、前端部6が生え際Fまで被覆される。植毛側面部は馬蹄形状に形成され、端縁が植毛中央部の長辺に連結され、連結端縁8が凹弧状になって植毛部の三次元形状が形成される。頭部全面に面接触して大なる静止摩擦を得、後端部が外後頭隆起の直下に固定されるから、全体が頭部にしっかりと被着され安定する。後端部が自毛により十分に隠されるから、体裁が良く、見映えも良好となる。装着の際の変形により前端部は伸長され、生え際にぴったりと密着され、前端部が目立たない。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植毛部と該植毛部の裏面側に積層される裏面部とからなり、頭部に沿った三次元形状に形成される被着型のかつらであって、
植毛部は展開状態において長方形状に形成された植毛中央部及び該植毛中央部の長辺の両側に対設される植毛側面部とからなり、ともに同一の収縮性のある極薄素材からなり表面側の全面にヘア材が植え付けられ、
上記植毛中央部は後端部が外後頭隆起の直下まで被覆されるとともに、前端部が生え際まで被覆されるように形成され、
上記植毛側面部は馬蹄形状に形成され、端縁が上記植毛中央部の長辺に連結され、連結端縁が凹弧状になって植毛部の三次元形状が形成されることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項2】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、後端部にワイヤ材からなる密着部材が設けられることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛部は通気性及び発汗性のあるネット地からなることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3いずれか記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記裏面部は通気性及び発汗性のある収縮性素材からなり、上記植毛部の裏面全面に設けられることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項5】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛側面部の反連結端縁側の中途部に三角形状のもみあげ部が突設されることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項6】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記裏面部の周縁部にはさらに高収縮性素材からなる他の密着部材が設けられることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項7】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部の前端部には裏面部が積層されないことを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項8】
請求項5記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記もみあげ部に形状記憶カーボンからなる他の密着部材が積層されることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項9】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部が肌色等の薄色系素材からなることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項10】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部が黒色等の濃色系素材からなることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項11】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、生え際に密着される前端部が突弧状に形成されることを特徴とする着脱自在かつら。
【請求項12】
請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、後頭部に密着される後端部が突弧状に形成されることを特徴とする着脱自在かつら。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はかつらに関し、さらに詳しくは帽子のように被着する着脱自在かつらに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のかつらは、係止ピン、装着ベルト、両面テープ、接着剤等により頭部に装着することが多かった。
【0003】
係止ピンによる装着の場合、かつらが揺れ動いたり、ずれたりして安定しないことがある。
【0004】
ベルトによる装着の場合は、ベルトにて後頭部やもみあげ部等に装着するのであるが、この場合装着ベルトが外部から見えてしまうことがあり、甚だ不体裁であった。また、ベルトを締めると、装着の違和感が大となる難があった。
【0005】
いずれの場合も、従来は装着中にピンやベルトによる係止が外れることがあり、この場合不安定となるだけでなく、お辞儀をしたりすると落下することがあった。このようなことは、かつらユーザにとって心理的ストレスとなり、劣等感となってしまう。
【0006】
そこで、装着面に両面テープや接着剤を着けて頭部に貼付するという商品が開発された。かかるタイプのかつらは上記欠点の解消には有益であったが、医療用の接着剤を使用しても皮膚の荒れや接着剤の劣化による離脱をすることがあった。
【0007】
また従来のかつらは面状に形成されていたのでボリューム感を出すため、大量のヘア材を植毛していた。このため、大量のヘア材の存在によりかつらの重量が重く、蒸れ易いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願発明は上記背景に鑑み、装着が安定し、見映えが良好で、装着の不体裁がない着脱自在かつらを供することを目的とする。
また本願発明は軽量で装着中の蒸れを防止するかつらを供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題解決のため、本願発明による着脱自在かつらは、植毛部と該植毛部の裏面側に積層される裏面部とからなり、頭部に沿った三次元形状に形成される被着型のかつらであって、植毛部は展開状態において長方形状に形成された植毛中央部及び該植毛中央部の長辺の両側に対設される植毛側面部とからなり、ともに同一の収縮性のある極薄素材からなり表面側の全面にヘア材が植え付けられ、上記植毛中央部は後端部が外後頭隆起の直下まで被覆されるとともに、前端部が生え際まで被覆されるように形成され、上記植毛側面部は馬蹄形状に形成され、端縁が上記植毛中央部の長辺に連結され、連結端縁が凹弧状になって植毛部の三次元形状が形成されることを特徴とする。
また、請求項2の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、後端部にワイヤ材からなる密着部材が設けられることを特徴とする。
また、請求項3の着脱自在かつらは、請求項1又は請求項2記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛部は通気性及び発汗性のあるネット地からなることを特徴とする。
また、請求項4の着脱自在かつらは、請求項1乃至請求項3いずれか記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記裏面部は通気性及び発汗性のある収縮性素材からなり、上記植毛部の裏面全面に設けられることを特徴とする。
また、請求項5の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛側面部の反連結端縁側の中途部に三角形状のもみあげ部が突設されることを特徴とする。
また、請求項6の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記裏面部の周縁部にはさらに高収縮性素材からなる他の密着部材が設けられることを特徴とする。
また、請求項7の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部の前端部には裏面部が積層されないことを特徴とする。
また、請求項8の着脱自在かつらは、請求項5記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記もみあげ部に形状記憶カーボンからなる他の密着部材が積層されることを特徴とする。
また、請求項9の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部が肌色等の薄色系素材からなることを特徴とする。
また、請求項10の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、上記植毛中央部が黒色等の濃色系素材からなることを特徴とする。
また、請求項11の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、生え際に密着される前端部が突弧状に形成されることを特徴とする。
また、請求項12の着脱自在かつらは、請求項1記載の上記の着脱自在かつらにおいて、後頭部に密着される後端部が突弧状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願発明による着脱自在かつらは、植毛部を構成する植毛中央部の後端部が外後頭隆起の直下まで被覆されるとともに、前端部が生え際まで被覆され、かつ植毛側面部が馬蹄形状に形成され、端縁が上記植毛中央部の長辺に連結され、連結端縁が凹弧状になって植毛部の三次元形状が形成されてなるから、ヘア材が植え付けられた植毛部が頭部全体をすっぽり被覆し、頭部全面に面接触して大なる静止摩擦を得る。
【0012】
植毛部の後端部は頭部の外後頭隆起の直下に固定されるから、かつら全体が頭部にしっかりと被着・固定される。
【0013】
しかも植毛中央部と植毛側面部はともに同一の収縮性のある極薄素材からなるから、頭部へ装着される際、かつら全体が伸長される。よって、ユーザの頭部の形状に多少の差があっても、かつら全体が頭部の形状に沿って変形するため、ユーザの頭部の形状にぴったりと合致する。また、装着の際の変形により前端部は伸長され、さらに伸長された各部の戻り応力とくに生え際の戻り応力により生え際部分の前端部が、生え際にぴったりと密着されるから、生え際に装着された前端部が目立たない。
【0014】
本願発明による着脱自在かつらは、後端部が外後頭隆起に固定され、かつ面接触により頭部にしっかりと固定されるから、装着中揺れ動いたりずれたりすることがなく、安定した使用感を得られる。また、外後頭隆起に固定される後端部は自毛により十分に隠されるから、体裁が良く、装着の安定性のあることと相俟って、かつらであることを忘れさせる程、見映えが良好となる。さらに、装着安定性があるため、装着中のまま頭を掻くことが可能となる。従来は、頭を掻きたい場合、頭とかつらの間に手を突込んで掻いていたので、ユーザにとっては朗報である。
【0015】
本願発明による着脱自在かつらは三次元形状に形成されボリューム感が出るため、植え付けられるヘア材を人間の毛髪量と同等にすることができ、その分軽量化が可能となる。この点、従来のかつらは人間の毛髪量の約3~4倍に植毛していたから重かった。また、植え付けられるヘア材を人間の毛髪量と同等にすることができるため、装着中の蒸れを防止するのに貢献する。
【0016】
頭部にぴったりとフィットする反面、帽子感覚で着脱自在となるため、ユーザが精神的に気軽に着用することができる。これは無毛症のような疾病者には朗報である。また、植毛部及び裏面部ともに極薄素材からなるため、非装着時にはバッグやポケットに入れて携帯可能であるので、突然装着して現れることによりサプライズ効果があり、場を演出することができる。よって健常者には楽しいおしゃれな商品を供する効果となる。
【0017】
さらには、着脱自在かつら裏面部には印刷することが可能である。お辞儀をしたときや、風の強いとき等に離脱することがあるから、無毛症、頭髪の薄い者、ハゲのある者等は、かつらの装着自体を敬遠する傾向があるところ、このようなユーザを勇気付けるため、裏面部に元気付けのことばや写真、イラストなどを印刷することができ、効果的である。
【0018】
請求項2記載のように後端部にワイヤ材からなる密着部材が設けられる場合は、頭部の外後頭隆起への固定は一層強化されるから、上記した効果が一層向上する。
請求項3記載のように上記植毛部が通気性及び発汗性のあるネット地からなる場合、又は請求項4記載のように上記裏面部が通気性及び発汗性のある素材からなり、上記植毛部の裏面全面に設けられる場合は、装着中の蒸れが一層防止されるから、長時間の装着に好適となる。
請求項5記載のように上記植毛側面部の反連結端縁側の中途部に三角形状のもみあげ部が突設される場合、請求項8記載のように上記もみあげ部に形状記憶カーボンからなる他の密着部材が積層される場合、又は請求項12記載のように後頭部に密着される後端部が突弧状に形成される場合は、密着性が一層強化されるから、上記効果が一層向上する。
請求項6記載のように上記裏面部の周縁部にはさらに高収縮性素材からなる他の密着部材が設けられる場合は、密着性が一層強化されるから、上記効果が一層向上する。
請求項7記載のように上記植毛中央部の前端部に裏面部が積層されない場合、あるいは請求項11記載のように生え際に密着される前端部が突弧状に形成される場合は、生え際の密着性が一層強化されるから、上記効果が一層向上する。
請求項9記載のように上記植毛中央部が肌色等の薄色系素材からなる場合、あるいは請求項10記載のように上記植毛中央部が黒色等の濃色系素材からなる場合は、自然な色彩感となり、装着が一層目立たないという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本願発明による着脱自在かつらの一実施の形態を示し、裏返した状態の裏面図である。
【
図3】(A)は
図1のヘア材を省略した装着状態の斜視図、(B)はヘア材を省略しない(A)のB部拡大断面図、(C)はヘア材を省略しない(A)のC部拡大断面図、(D)はヘア材を省略しない(A)のD部拡大断面図である。
【
図4】
図1のヘア材を省略した装着状態の背面図である。
【
図6】本願発明による着脱自在かつらが装着される人体の頭部を表わす図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に本願発明による着脱自在かつら1を図面に示す実施の形態に基づいてさらに詳しく説明する。着脱自在かつら1は植毛部3、裏面部12及びヘア材15からなる。植毛部3は、縫製前の展開状態において、長方形の植毛中央部4及び該植毛中央部4の長辺の両側に対設される植毛側面部7とからなり、ともに同一の極薄の収縮性素材からなる。植毛中央部4及び植毛側面部7は、いずれも本実施側では200μm厚のパワーネットと呼ばれる通気性及び発汗性のある収縮性ネット地からなる。該ネット地の表面側、即ち、植毛中央部4及び植毛側面部7の表面側全面にはポリエステル繊維からなるヘア材15が植え付けられる。ヘア材15の植え付けは平面状の植毛中央部4及び植毛側面部7に機械植毛される。機械植毛されたヘア材15は、逆毛が立つが如く直立状態で植え付けられるため、人間の毛髪量と同等での植え付けでもボリューム感が出る。
【0021】
上記植毛中央部4は後端部5が頭部Hの外後頭隆起Rの直下まで被覆され、前端部6が生え際Fまで被覆される。上記植毛側面部7は馬蹄形状に形成され、対向する端縁が植毛中央部4の長辺4aに連結・縫合される。
【0022】
この連結は、植毛中央部4及び植毛側面部7がいずれも極薄手の収縮性素材のネット地からなるため、縫合されると形成される連結端縁8が両側から内側に凹弧状になり、植毛部3の三次元形状が形成される。即ち、上記連結端縁8は、連結される植毛中央部4の長辺4aに沿って縫合され、各前端縁8aが上記前端部6の各前隅部6aに、各後端縁8bが上記後端部5の各後隅部5bに縫合される。
【0023】
後端部5には装着時の密着度を向上せしめるため、形状が記憶された形状記憶ワイヤ材からなる密着部材9が設けられる。この密着部材9は、断面が長方形であり、その短辺面が後頭部に当接密着される。
生え際Fに密着される上記前端部6には裏面部12が積層されない。
【0024】
裏面部12の周縁部にはさらに高収縮性素材からなる周縁部密着部材11が設けられる。即ち、該周縁部密着部材11は上記連結端縁8の前端縁8aから後端縁8bまでに位置する裏面部12の周縁部に積層固着される。該周縁部密着部材11の素材は、本実施例では、パワーネットを用いている。
【0025】
裏面部12は通気性及び発汗性のある極薄収縮性素材からなる。本実施例では水泳着に用いられる素材にて裏面部12を構成する。また、本実施例の場合、植毛部3が三次元形状に形成される際、裏面部12が植毛部3とともに縫合されるので、裏面部12も植毛部3とともに三次元形状に形成される。裏面部12には文字、イラスト、写真等を書き込んだり、印刷することができる。本実施例では使用を勇気づける言葉やイラストが裏面部12に印刷されている(図示では省略)。
【0026】
植毛中央部4と植毛側面部7との連結により植毛部3が三次元形状に形成されると、前端部6は突弧状にわん曲形成され、後端部5も突弧状にわん曲される。同様に、裏面部12の後端部も突弧状にわん曲される。
【0027】
10はもみあげ部であり、植毛側面部7と同一の極薄の収縮性素材からなり、上記植毛側面部7の反連結端縁8側の中途部に三角形状に突設される。該もみあげ部10には、ネット地からなる極薄収縮性素材の植毛側面部7と上記裏面部12との間に、形状が記憶された形状記憶カーボンからなるもみあげ部密着部材13が積層される。即ち、もみあげ部10は、植毛側面部7、もみあげ部密着部材13、裏面部12の3層構造からなる。
【0028】
ここで各部の厚さについてみると、植毛部3の厚さは200μm、裏面部12の厚さは200μm、もみあげ部密着部材13の厚さは200μmである。
【0029】
本実施の形態による着脱自在かつら1においては、着脱自在かつら1が三次元形状に形成されているため、使用の際、ただ帽子を被るように頭部Hに装着するだけで足り、係止ピンなどを使用していないため、装着後の調整操作は不要である。
【0030】
この装着は、植毛部3及び裏面部12が三次元形状に形成されてなるから、頭部に裏面部12全面が大なる静止摩擦をもって面接触する。また、後端部5が外後頭隆起Rの直下まで被覆されて突弧状に形成されているため、装着に際し、後端部5は後頭部の外後頭隆起Rの直下に密着固定される。また、装着に際しては、後端部5に密着部材9及び周縁部密着部材11が設けられており、植毛中央部4及び植毛側面部7が頭部Hの形状に沿って変形されるため、裏面部12が頭部Hにしっかりと密着固定される。よって装着された着脱自在かつら1が安定する。実験したところでは、ユーザの誰もがお辞儀のとき外れたり落下したりすることがなかったので、使用の際の心理的なストレスや劣等感から解放されていた。
【0031】
また、この変形の際、植毛中央部4及び植毛側面部7が頭部Hの形状に沿って変形され、さらに伸長された各部の戻り応力とくに生え際の戻り応力により生え際部分の前端部6が伸長されるため、生え際Fに位置し突弧状に形成される前端部6は生え際Fにぴったりと密着するのである。
【0032】
植毛部3及び裏面部12が三次元形状が形成されてなり、機械植毛されたヘア材15が植毛部3に植え付けられているため、植毛されたヘア材15が直立状態となるので、ボリューム感が出る。ヘア材15の植毛量は人間の毛髪量と同等であるから、軽量化が可能となる。
【0033】
このように装着された着脱自在かつら1は、頭部Hに密着固定されるため、装着中揺れ動いたりずれたりすることがなく、安定する。また前端部6は、装着・固定の際の変形により、より薄く伸長されるから、生え際Fへの装着部分が目立たない。また、外後頭隆起Rに固定される後端部5は自毛により十分に隠されるから、体裁が良く、装着の安定性のあることと相俟って、かつらであることを忘れさせる程、見映えが良好となる。さらに、装着安定性があるため、装着中のまま頭を掻くことができる。
【0034】
さらに、水泳着素材からなる裏面部12は頭部Hに密着され、植毛部3及び裏面部12即ち着脱自在かつら1と頭部Hとの間に空気層が形成されないから、蒸れや暑さの因とならず、蒸れや暑さから解放される。この点、従来はかつらの裏面と頭部との間に空気層が形成されたため、蒸れや暑さの原因となっていた。
【0035】
着脱自在かつら1を外す場合は、後頭部から脱ぐ。着脱自在かつら1は形止ピンや形止ベルトを用いていないため、帽子を脱ぐが如く、頭部Hから外後頭隆起Rからのロックを外し、着脱自在かつら1を離脱するだけで足りる。このように着脱自在かつら1の着脱はきわめて簡単であり、かつ、装着安定性が著大であるため、ユーザは心理的ストレスなく使用することができる。これにより、将来のようにハゲ、無毛などのマイナス面を隠蔽するだけでなく、おしゃれ用や演出用等、かつらの積極的な使用もすることができる。
【0036】
裏面部12にはユーザを勇気付けるため、元気付けのことばや写真、イラストなどが印刷されているため、無毛症、頭髪の薄い者、ハゲのある者等ユーザに使用インセンティブを与えることができる。
【0037】
植毛部3、裏面部12のかつら全体が水泳着で用いられる極薄収縮性素材からなるから、装着中の蒸れが防止され、長時間装着することができる。
【0038】
裏面部12があるため、植毛部3に植え付けられるヘア材15の結び目が直接頭部に当たらない。よって、ユーザはチクチク感がなく、快適に装着することができる。
【0039】
さらに前端部6は肌色等の薄色系素材からなり、もみあげ部10が黒色に着色されているため、装着が一層目立たない。
【0040】
本願発明は上記実施の形態に制限されない。例えば、裏面部12は発汗性及び通気性のある収縮性素材であれば足り、必ずしも植毛部3と同一の素材でなくともよく、例えば植毛部3で用いたネット地から構成してもよい。
【0041】
また植毛部3の厚さは200μmより薄手のものだけでなく、それより厚手のものでもよい。無毛症等の場合は薄手のものが適し、おしゃれ用の場合は400μm位の厚手のものでも適用可である。
【0042】
着脱自在かつら1のサイズはユーザの人種、性別、年齢等に合わせて変更することが可能である。また、既製品とする場合、Mサイズだけでなく、Sサイズ、Lサイズとして製作することができる。
【0043】
ヘア材15の素材は種々用いることが可能であり、アクリル繊維、ポリアミド系合成高分子化合物(商品名:ナイロン)からなる繊維の他、人毛でもよい。
【0044】
植毛中央部4の色彩は薄色系素材だけでなく、黒色等の濃色系素材であってもよい。
【0045】
さらに、ニーズによってはもみあげ部10の形成を不要とする場合がある。
【符号の説明】
【0046】
1 着脱自在かつら
3 植毛部
4 植毛中央部
4a 長辺
5 後端部
6 前端部
6a 前隅部
6b 後隅部
7 植毛側面部
8 連結端縁
8a 前端縁
8b 後端縁
9 密着部材
10 もみあげ部
11 周縁部密着部材
12 裏面部
13 もみあげ部密着部材
15 ヘア材
H 頭部
F 生え際
R 外後頭隆起