(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148178
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】ガスシールド装置及びガスシールド方法
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20231005BHJP
B05B 1/04 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F9/00 L
F24F9/00 E
F24F9/00 F
B05B1/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056072
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 由尚
(72)【発明者】
【氏名】川野 貴司
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033BA01
4F033CA05
4F033DA01
4F033EA01
4F033GA00
4F033LA02
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】対象の空間の圧力を効率よく維持できるガスシールド装置及びガスシールド方法を提供することにある。
【解決手段】開口を有する第1区画と、開口で第1区画と接続され、第1区画よりも高い圧力の第2区画とを有する構造体の開口をガスシールドするガスシールド装置であって、開口の一辺の全域に配置され、開口の一辺から、開口の対応する辺に向けて、開口の全面を覆う板状の噴流を形成するノズルと、ノズルに噴射する流体を供給するガス供給部と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する第1区画と、前記開口で前記第1区画と接続され、前記第1区画よりも高い圧力の第2区画とを有する構造体の前記開口をガスシールドするガスシールド装置であって、
前記開口の一辺の全域に配置され、前記開口の一辺から、前記開口の対応する辺に向けて、前記開口の全面を覆う板状の噴流を形成するノズルと、
前記ノズルに噴射する流体を供給するガス供給部と、を含むガスシールド装置。
【請求項2】
前記ノズルは、内部に整流機構を有し、出口に向かうに従って、流路面積が小さくなる請求項1に記載のガスシールド装置。
【請求項3】
前記ガス供給部は、前記第1区画の流体を前記ノズルに供給する請求項1または請求項2に記載のガスシールド装置。
【請求項4】
前記ガス供給部は、前記開口の、前記ノズルが配置されている辺と対向する辺に配置され、周囲の流体を吸引する回収機構を備える請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガスシールド装置。
【請求項5】
前記ガス供給部は、前記回収機構と前記ガス供給部を接続し、吸引した流体を前記ガス供給部に供給する循環路と、を備える請求項4に記載のガスシールド装置。
【請求項6】
前記回収機構は、前記コレクタが配置された開口の辺の、前記第2区画側の面に配置され、前記開口よりも突出したスクープを備える請求項5に記載のガスシールド装置。
【請求項7】
前記回収機構は、前記第1区画側の面に配置される請求項4または請求項5に記載のガスシールド装置。
【請求項8】
前記ノズルは、前記コレクタが配置された開口の辺の、前記第1区画側の面に配置される請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のガスシールド装置。
【請求項9】
前記ノズルは、前記開口の表面と平行な方向にガスを噴射する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のガスシールド装置。
【請求項10】
前記ノズルは、前記開口の表面と平行な方向に対して前記開口から離れる側に所定角度傾斜した向きにガスを噴射する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のガスシールド装置。
【請求項11】
開口を有する第1区画と、前記開口で前記第1区画と接続され、前記第1区画よりも高い圧力の第2区画とを有する構造体の前記開口をガスシールドするガスシールド方法であって、
前記開口の一辺の全域に配置されたノズルに噴射する流体を供給し、
前記ノズルから流体を噴射し、前記開口の一辺から、前記開口の対応する辺に向けて、前記開口の全面を覆う板状の噴流を形成するガスシールド方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスシールド装置及びガスシールド方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば工場では、工程ごとに雰囲気の条件が異なる。例えば、他の空間から、対象の空間への流体の混入を防止するために、対象の空間に流体を供給して、他の空間よりも内部圧力を高くする陽圧管理が知られている。例えば、特許文献1には、飲料充填装置において、空間に加熱した気体を供給することで、空間を陽圧化する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、対象の空間の陽圧を維持するためには、対象の空間に差圧を維持するための流体を供給し続ける必要がある。特許文献1には、一部にエアカーテンを形成することが記載されているが、他の空間が接続された状態となる。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、対象の空間の圧力を効率よく維持できるガスシールド装置及びガスシールド方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るガスシールド装置は、開口を有する第1区画と、前記開口で前記第1区画と接続され、前記第1区画よりも高い圧力の第2区画とを有する構造体の前記開口をガスシールドするガスシールド装置であって、前記開口の一辺の全域に配置され、前記開口の一辺から、前記開口の対応する辺に向けて、前記開口の全面を覆う板状の噴流を形成するノズルと、前記ノズルに噴射する流体を供給するガス供給部と、を含む。
【0007】
本開示に係るガスシールド方法は、開口を有する第1区画と、前記開口で前記第1区画と接続され、前記第1区画よりも高い圧力の第2区画とを有する構造体の前記開口をガスシールドするガスシールド方法であって、前記開口の一辺の全域に配置されたノズルに噴射する流体を供給し、前記ノズルから流体を噴射し、前記開口の一辺から、前記開口の対応する辺に向けて、前記開口の全面を覆う板状の噴流を形成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、対象の空間の圧力を効率よく維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るガスシールド装置を備える区画ユニットの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、ガスシールド装置と開口との関係を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、ノズルの概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図4は、ガスシールド装置が形成するガスシールドを説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
【
図6】
図6は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図6に示すガスシールド装置と開口との関係を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、ガスシールド装置の断面斜視図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
【
図10】
図10は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0011】
図1は、本実施形態に係るガスシールド装置を備える区画ユニットの概略構成を示す模式図である。
図1に示す区画ユニット10は、第1区画12と、第2区画14と、を有する。第1区画12と、第2区画14とは、開口16で接続される。区画ユニット10は、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続され、かつ、第1区画12と第2区画14とが異なる圧力で管理される。本実施形態の区画ユニット10は、例えば、製造工場の区画であり、製造対象の物品が、第1区画12と第2区画14とを開口16を介して移動する。なお、区画ユニット10は、第1区画12と第2区画14とが開口16を介して接続され、それぞれの区画の圧力の管理値に差があればよい。
【0012】
第1区画12は、負圧で管理される区画である。第1区画12は、流体の流通可能な部分として、開口16と、開口30とが形成され、吸引管32が接続される。第1区画12は、流体が流通可能な部分以外は、壁面となる。開口16については後述する。開口30は、開口16とは別の壁面に形成される。開口30は、第1区画12よりも高い圧力、例えば大気圧の他の空間と接続される。開口30は、外部からの空気が第1区画12へ流入するガス流れ60が形成される。
【0013】
吸引管32は、第1区画12と接続される。吸引管32には、吸引機構34が配置される。吸引機34は、送風機等であり、吸引管32を介して第1区画12の空気を吸引するガス流れ64を形成する。第1区画12は、吸引機構34で、内部の空気が吸引されることで、内部の圧力が負圧となる。
【0014】
第2区画14は、陽圧で管理される区画である。第2区画14は、流体の流通可能な部分として、開口16とが形成され、給気管40が接続される。第2区画14は、流体が流通可能な部分以外は、壁面となる。開口16については後述する。
【0015】
給気管40は、第2区画14と接続される。給気管40には、給気機構42が配置される。給気機構42は、送風機等であり、給気管40を介して第2区画14に空気を供給するガス流れ62を形成する。第2区画14は、給気機構42で、内部に空気が供給されることで、内部の圧力が陽圧となる。
【0016】
開口16は、第1区画12と第2区画14とを接続する。本実施形態の開口16は、開口面に直交する方向に所定の長さを備える管路である。区画ユニット10は、第1区画12と第2区画14とが壁で仕切られた構造で、壁に形成された穴を開口16としてもよい。本実施形態の開口16は、開口面が長方形となる。なお、開口16の形状はこれに限定されない。
【0017】
図1に加え、
図2から
図4を用いて、ガスシールド装置について説明する。
図2は、ガスシールド装置と開口との関係を示す斜視図である。
図3は、ノズルの概略構成を示す断面図である。
図4は、ガスシールド装置が形成するガスシールドを説明するための説明図である。
【0018】
ガスシールド装置20は、開口16に配置される。ガスシールド装置20は、第2区画14から第1区画12への気体の流入を抑制するガスシールドを開口16に形成する。ガスシールド装置20は、ノズル50と、ガス供給部51と、を含む。ノズル50は、第1区画12の開口16が形成された壁面に配置される。ノズル50は、先端から空気を吹き出し、ガスシールド噴流66を形成する構造であり、開口16の一辺16aの全域に配置される。ノズル50は、開口16の配置されている一辺16aから、対向する開口16の一辺16bに向けて空気を噴射する向き、つまり、ガスシールド噴流66を噴出する向きに配置される。
【0019】
ノズル50は、
図3に示すように、ノズル基部70とノズル先端部72とが一体の構造となる。ノズル50は、内部に整流機構76、78、80が配置される。ノズル基部70は、開口16の一辺16aに沿った箱形状であり、ガス供給部51の給気管62が接続される。ノズル基部70は、ガスシールド噴流66の方向の厚みが一定であり、内部に整流機構76、78が配置される。ノズル基部70は、噴射するガスを、一辺16aに沿った方向に平均化させるヘッダとなる。
【0020】
ノズル先端部72は、ノズル基部70と接続される。ノズル先端部72は、ノズル基部70から離れるにしたがって、ガスシールド噴流66に直交する面の断面積が減少する絞り形状である。ノズル先端部72は、開口16が形成される壁面側とは反対側の面が徐々に開口16が形成される壁面に近づくように、断面積が減少する。ノズル先端部72は、ノズル基部70との接続部と反対側の端部が、吹き出し口74となる。吹き出し口74は、一辺16aに沿って伸びる細長い開口である。吹き出し口74には、整流機構80が配置される。ノズル先端部72を通過するガスは、絞り形状で縮流され、吹き出し口74に沿った、一辺16aに沿った方向に長く、一辺16aに直交する方向が短い、細長い空気流を噴射する。なお、ノズル50は、本実施形態の縮流形状に限定されない。ノズル50は、ガスシールド噴流66が形成できればよく、縮流する部分がなくてもよい。また、ノズル50は、複数のノズルを、一辺16aに並べて配置して、一辺16aの全域からガスシールド噴流66を噴射する形状としてもよい。
【0021】
整流機構76、78、80は、一辺16aに沿った方向に平均化させ、かつ、流体の流れ方向を、ガスシールド噴流66に沿った方向に整流する機構である。整流機構76は、ノズル基部70に配置される。
【0022】
整流機構76は、ガスシールド噴流66に沿った方向及び一辺16aに沿った方向に延在する板が、板の表面に直交する方向に所定間隔離間して複数配置される構造である。ノズル基部70に流入したガスは、板の隙間を通って、ノズル先端部72側に移動する。ガスは、整流機構76を通過することで、一辺16aに沿った方向に平均化され、かつ、流体の流れ方向を、ガスシールド噴流66に沿った方向に整流される。
【0023】
整流機構78は、ノズル基部70の、整流機構76よりも下流側(ノズル先端部72側)に配置された、メッシュ状の構造物である。ノズル基部70に流入し、整流機構76を通過したガスは、整流機構78のメッシュの孔を通過して、ノズル先端部72側に移動する。ガスは、整流機構78を通過することで、一辺16aに沿った方向に平均化され、かつ、流体の流れ方向を、ガスシールド噴流66に沿った方向に整流される。
【0024】
整流機構80は、吹き出し口74に配置された、メッシュ状の構造物である。ノズル基部70に流入し、整流機構76、78を通過したガスは、ノズル先端部72で縮流され、整流機構80のメッシュの孔を通過して、噴射される。ガスは、整流機構80を通過することで、一辺16aに沿った方向に平均化され、かつ、流体の流れ方向を、ガスシールド噴流66に沿った方向に整流される。
【0025】
ガス供給部51は、ノズル50に噴射するガスを供給する。ガス供給部51は、給気管52と、送風機構54と、を有する、給気管52は、一方の端部がノズル50のノズル基部70に接続され、他方の端部が、第1区画12の外に解放される。送風機構54は、給気管52に配置され、ノズル50に空気を供給するガス流れを給気管52に形成する。
【0026】
ガスシールド装置20は、ガス供給部51の送風機構54で供給されたガスを、ノズル50の吹き出し口74から噴き出すことで、ガスシールド噴流66を形成する。ガスシールド噴流66は、
図4に示すように、ノズル50の吹き出し口74から同じ方向に向けて噴射されることで、板状の噴流となる。ガスシールド噴流66は、上述したように、ノズル50が配置されている開口16の一辺16aから、対向する一辺16bに向けて噴出する。これにより、
図2に示すように、ガスシールド噴流66は、開口16の全面と重なる噴流となる。
【0027】
これにより、ガスシールド噴流66は、開口16の全面を塞いだ形状となり、開口16を介して第2区画14から第1区画12に流入するガス流れ68を小さくすることができる。
【0028】
区画ユニット10は、ガスシールド装置20を設け、開口16にガスシールド噴流66を形成し、第2区画14から漏れるガス流れ68を小さくできることで、給気管40から供給するガス流れ62を少なくすることができる。これにより、第2区画14の陽圧管理をより効率よく行うことができる。
【0029】
ノズル先端部72を開口16が形成される壁面側とは反対側の面が徐々に開口16が形成される壁面に近づくように、断面積が減少する形状とすることで、吹き出し口74を開口16に近づけることができ、また、吹き出し口74から噴出するガスシールド噴流66を開口16に沿った噴流とすることができる。
【0030】
ノズル50は、整流機構76、78、80を配置することで、ガスシールド噴流66をより板状の噴流とすることができ、開口16でのガスの流通を低減することができる。
【0031】
なお、本実施形態の第2区画14は、さらに開口を備えていてもよい。第2区画14は、開口のそれぞれにガスシールド装置20を配置することで、開口16と同様の状態とすることができる。
【0032】
図5は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
図5に示す区画ユニット10aのうち、区画ユニット10と実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。区画ユニット10aは、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続される点は、区画ユニット10と同様である。
【0033】
区画ユニット10aに配置されるガスシールド装置20aは、ノズル50aと、ガス供給部51aを有する。ノズル50aは、ノズル50と同様の構成である。ガス供給部51aは、給気管52aと、送風機構54aと、を有する。給気管52aと、送風機構54aとは、第1区画12の内部に配置される。給気管52aは、一方の端部がノズル50に接続され、他方の端部が第1区画12の内部に配置される。送風機構54aは、給気管52aに接続される。
【0034】
区画ユニット10aは、ガスシールド装置20aのノズル50から噴射するガスを、第1区画12から吸引したガスとすることで、ガスシールド装置20aで、吸引するガスと噴射するガスで、第1区画12内のガス量が変動することを抑制できる。これにより、区画ユニット10aは、吸引管32で第1区画12から排出するガスの量を低減することができる。つまり、ガス流れ60で流入した空気と、ガス流れ68で流入する空気を、ガス流れ64で排出することで、第1区画12の負圧を維持することができる。これにより、各部で吸引、掃気する空気の量を少なくすることができ、区画ユニット10aの圧力の管理をより少ないエネルギーで実行することができる。また、第1区画12と第2区画14に流入するガス量を少なくできることで、流入するガスに対する処理の負荷も低減できる。
【0035】
図6は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
図7は、
図6に示すガスシールド装置と開口との関係を示す斜視図である。
図6、
図7に示す区画ユニット10bのうち、区画ユニット10aと実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。区画ユニット10bは、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続される点は、区画ユニット10と同様である。
【0036】
区画ユニット10bに配置されるガスシールド装置20bは、ノズル50と、ガス供給部101を有する。ガス供給部101は、コレクタ(回収機構)102と、循環路104と、送風機構106と、を含む。
【0037】
コレクタ102は、ノズル50と対面する位置、つまり、開口16のノズル50が配置される辺と対向する辺に配置される。コレクタ102は、周囲の空気を吸引する。コレクタ102は、開口16の配置される辺の全域に、空気を吸引する開口が配置される。本実施形態のコレクタ102は、開口16が形成さえる面の第1区画12側の壁面に配置される。
【0038】
循環路104は、コレクタ102とノズル50とを接続する配管である。循環路104は、開口16と重ならない位置に配置される。本実施形態の循環路104は、開口16が形成される壁面に固定される。送風機構106は、循環経路104に配置され、コレクタ102からノズル50に向けたガス流れを形成する。
【0039】
ガスシールド装置20bは、コレクタ102を設けることで、ノズル50から噴射されたガスシールド噴流66を含む開口16の辺16bの近傍の空気を吸引することができる
。これにより、辺16bの近傍でのガスシールド噴流66の拡散を抑制することができ、ガスシールドの効果を高くでき、開口16のガス流れ68を寄り低減することができる。
【0040】
また、循環路104でノズル50とコレクタ102を接続することで、ノズル50から噴射するガスシールド噴流66と、コレクタ102の吸引を1つの送風機構106で実現することができる。
【0041】
図8は、ガスシールド装置の断面斜視図である。
図8に示すガスシールド装置は、
図6及び
図7に示すガスシールド装置の各部に加え、スクープ110を備える。スクープ110は、コレクタ102が配置されている開口16の辺の第2区画14側の面に配置される板状の部材である。スクープ110は、開口16の辺に沿って延在し、一部が開口16に突出している。スクープ110は、開口16に突出する先端の形状を、円弧状、楕円、くさび形状等、種々の形状とすることができる。
【0042】
図8に示すガスシールド装置は、スクープ110を設けることで、ガスシールド噴流66を、コレクタ102側に案内することができ、ガスシールド噴流66が第2区画14側に流入することを抑制できる。これにより、噴流の力が減少する。コレクタ102側の端部のガスシールド噴流66がコレクタ102側以外の領域に拡散することを抑制できる。
【0043】
図9は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
図9に示す区画ユニット10cのうち、区画ユニット10aと実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。区画ユニット10cは、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続される点は、区画ユニット10と同様である。
【0044】
区画ユニット10cに配置されるガスシールド装置20cは、ノズル50と、ガス供給部101cを有する。ガス供給部101cは、コレクタ(回収機構)102と、循環路104と、送風機構106と、を含む。ガス供給部101cは、コレクタ102の配置位置以外、ガス供給部101と同様の構成である。ガス供給部101cは、コレクタ102が第2区画14の壁面に配置される。循環路104は、コレクタ102とノズル50とを接続する。
【0045】
コレクタ102を、第2区画14に配置することで、ノズル50から噴射されるガスシールド噴流66に加え、ノズル50からコレクタ102に向かう気流の膜も形成することができる。これにより、開口16を遮断する空気の膜をより厚くすることができ、ガス流れ68で流れるガスをより低減することができる。なお、
図9に示す配置の場合、コレクタ102で吸引したガスに加え、第1区画12のガスをノズル50に供給してもよい。例えば、循環路104に、第1区画12を吸引する送風機構106と配管を設け、第1区画12から吸引する空気のエゼクタ効果で、コレクタ102からガスを吸引してもよい。
【0046】
図10は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
図10に示す区画ユニット10dのうち、区画ユニット10aと実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。区画ユニット10dは、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続される点は、区画ユニット10と同様である。
【0047】
区画ユニット10dに配置されるガスシールド装置20dは、ノズル50と、ガス供給部101dを有する。ガス供給部101dは、コレクタ(回収機構)102と、循環路104と、送風機構106と、を含む。ガスシールド装置20dは、各部が、開口16の第2区画14側の壁面に配置される。
【0048】
ガスシールド装置20は、ノズル50と、ガス供給部101dと、を第2区画14、つまり、圧力が高い側の区画の壁面に配置しても、開口16にガスシールド噴流66を形成することで、ガス流れ68で開口16を通過して第1区画12に流入するガスを低減することができる。
【0049】
図11は、他の実施形態に係るガスシールド装置概略構成を示す模式図である。
図11に示す区画ユニット10eのうち、区画ユニット10と実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。区画ユニット10eは、第1区画12と第2区画14とが開口16で接続される点は、区画ユニット10と同様である。
【0050】
区画ユニット10eに配置されるガスシールド装置20eは、ノズル50と、ガス供給部51を有する。ガスシールド装置20eのノズル50は、開口16の開口面に平行な方向から、開口16から離れる方向に角度θ傾斜する。つまり、ノズル50は、開口16に沿った方向で、かつ、開口16から角度θ傾いた方向に、ガスシールド噴流66を噴射する。ここで、角度θは、10°以下とすることが好ましい。
【0051】
ガスシールド装置20eは、ノズル50を角度θ傾けることで、ガスシールド噴流66が開口16を介して、第2区画14に流入することを抑制できる。なお、本実施形態では、角度θを0より大きくしたが、上記実施形態のように、角度θを0とすることで、開口16に沿ったガスシールド噴流66を形成することができ、開口16のシールド性能を高くすることができる。
【0052】
本開示のガスシールド装置20では、シールドガス噴流66を形成する方向は、特に限定されず、鉛直方向、水平方向、斜め方向の任意の向きとすることができる。ガスシールド装置20は、開口16に、開閉可能な扉をさらに設けてもよい。この場合、扉が開いている状態で、ガスシールド装置20を稼働させることで、ガス流れ68を低減することができる。
【0053】
本開示の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 区画ユニット
12 第1区画
14 第2区画
16 開口
20 ガスシールド装置
30 開口
32 吸引管
34 吸引機構
40 給気管
42 給気機構
50 ノズル
51 ガス供給部
52 給気管
54 送風機構
60、62、64、68 ガス流れ
66 ガスシールド噴流
70 ノズル基部
72 ノズル先端部
74 吹き出し口
76、78、80 整流機構