(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148191
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】車両内装用物品保持具
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20231005BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60R11/02 W
H04M1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056087
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 由佳
(72)【発明者】
【氏名】柴田 実
【テーマコード(参考)】
3D020
5K023
【Fターム(参考)】
3D020BA06
3D020BC01
3D020BD02
5K023AA07
5K023BB04
5K023BB11
5K023DD06
5K023KK04
(57)【要約】
【課題】保持する物品の挿入方向と幅方向の位置決めをすることができ、かつコストが抑えられた車両内装用物品保持具を提供することにある。
【解決手段】平面形状が矩形の物品5を保持することのできる車両内装用物品保持具であって、物品5を収容するためのケース10と、ケース10内において平面方向にスライド移動可能な保持部材20と、ケース10の内側に含まれる側壁12と、を備え、ケース10内に物品5を挿入したときに、物品5の挿入方向D1を向いた第1の側面51と挿入方向D1に沿った第2の側面52に保持部材20を押し当て、物品5の第2の側面52の反対側の第3の側面53を側壁12に押し付けることにより、物品5を保持することができる、車両内装用物品保持具1を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が矩形の物品を保持することのできる車両内装用物品保持具であって、
前記物品を収容するためのケースと、
前記ケース内において平面方向にスライド移動可能な保持部材と、
前記ケースの内側に含まれる側壁と、
を備え、
前記ケース内に前記物品を挿入したときに、前記物品の挿入方向を向いた第1の側面と前記挿入方向に沿った第2の側面に前記保持部材を押し当て、前記物品の前記第2の側面の反対側の第3の側面を前記側壁に押し付けることにより、前記物品を保持することができる、
車両内装用物品保持具。
【請求項2】
前記保持部材が、前記物品の挿入方向に対して傾斜した直線方向にスライド移動する、
請求項1に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項3】
前記保持部材がアームの一方の端部に固定され、前記アームの他方の端部に取り付けられた回転軸を中心とする円弧状の方向にスライド移動する、
請求項1に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項4】
前記物品を寝かせた状態で保持する平置き型の車両内装用物品保持具であって、
前記ケースが、前記側壁と連続する、保持された前記物品の前記第1の側面に対向する第2の側壁を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項5】
前記保持部材と前記第2の側壁との隙間を狭める落下抑制用部材を備えた、
請求項4に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項6】
前記ケースの底面が、前記側壁と前記第2の側壁によって形成される隅部に向かって下がる落下抑制用スロープを有する、
請求項4又は5に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項7】
前記ケースが、前記側壁の手前側に前記側壁と連続し、前記物品の挿入方向に対して傾斜した方向に沿って配置された、前記物品を前記ケースに挿入するときに前記物品を保持する位置に導くための第3の側壁を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項8】
前記側壁が、保持された前記物品の前記第3の側面に設けられた操作ボタンとの接触を避けるための窪みを有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
【請求項9】
保持された前記物品にワイヤレス給電を行うワイヤレス給電モジュールが前記ケースに取り付けられた、
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両内装用物品保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、左右一対で構成される保持アームと下部保持板によりスマートフォンを保持する自動車用スマートフォンホルダが知られている(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の自動車用スマートフォンホルダにスマートフォンを保持させるときは、幅広く開いた状態でロックされた左右一対の保持アームの間に前面側からスマートフォンを挿し入れ、スマートフォンの下辺を下部保持板に下方向に押し当てることによって、ロックが解除され保持アームの幅が狭まりスマートフォンの両側面を挟持固定する。すなわち、特許文献1に記載の自動車用スマートフォンホルダにおいては、下部保持板によりスマートフォンの挿入方向の位置決めを行い、左右一対の保持アームにより挿入方向に直交する幅方向の位置決めを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の自動車用スマートフォンホルダにおいては、スマートフォンの保持に用いられる左右一対の保持アームと下部保持板を連動させるために多くの部品からなる複雑な機構を要し、そのためにコストが嵩むという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、保持する物品の挿入方向と幅方向の位置決めをすることができ、かつコストが抑えられた車両内装用物品保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、下記[1]~[9]の車両内装用物品保持具を提供する。
【0008】
[1]平面形状が矩形の物品を保持することのできる車両内装用物品保持具であって、前記物品を収容するためのケースと、前記ケース内において平面方向にスライド移動可能な保持部材と、前記ケースの内側に含まれる側壁と、を備え、前記ケース内に前記物品を挿入したときに、前記物品の挿入方向を向いた第1の側面と前記挿入方向に沿った第2の側面に前記保持部材を押し当て、前記物品の前記第2の側面の反対側の第3の側面を前記側壁に押し付けることにより、前記物品を保持することができる、車両内装用物品保持具。
[2]前記保持部材が、前記物品の挿入方向に対して傾斜した直線方向にスライド移動する、上記[1]に記載の車両内装用物品保持具。
[3]前記保持部材がアームの一方の端部に固定され、前記アームの他方の端部に取り付けられた回転軸を中心とする円弧状の方向にスライド移動する、上記[1]に記載の車両内装用物品保持具。
[4]前記物品を寝かせた状態で保持する平置き型の車両内装用物品保持具であって、前記ケースが、前記側壁と連続する、保持された前記物品の前記第1の側面に対向する第2の側壁を含む、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
[5]前記保持部材と前記第2の側壁との隙間を狭める落下抑制用部材を備えた、上記[4]に記載の車両内装用物品保持具。
[6]前記ケースの底面が、前記側壁と前記第2の側壁によって形成される隅部に向かって下がる落下抑制用スロープを有する、上記[4]又は[5]に記載の車両内装用物品保持具。
[7]前記ケースが、前記側壁の手前側に前記側壁と連続し、前記物品の挿入方向に対して傾斜した方向に沿って配置された、前記物品を前記ケースに挿入するときに前記物品を保持する位置に導くための第3の側壁を有する、上記[1]~[6]のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
[8]前記側壁が、保持された前記物品の前記第3の側面に設けられた操作ボタンとの接触を避けるための窪みを有する、上記[1]~[7]のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
[9]保持された前記物品にワイヤレス給電を行うワイヤレス給電モジュールが前記ケースに取り付けられた、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の車両内装用物品保持具。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持する物品の挿入方向と幅方向の位置決めをすることができ、かつコストが抑えられた車両内装用物品保持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る車両内装用物品保持具の斜視図及び分解斜視図である。
【
図2】
図2は、車両内装用物品保持具において平面形状が矩形の物品を保持するときの保持部材の動きを表す模式図である。
【
図3】
図3は、ワイヤレス給電モジュールを備える車両内装用物品保持具を裏側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、保持部材の変形例を用いた場合の、平面形状が矩形の物品を保持するときの保持部材の動きを表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る車両内装用物品保持具1の斜視図及び分解斜視図である。
【0012】
車両内装用物品保持具1は、スマートフォンなどの平面形状が矩形の物品を保持することのできる車両内装用物品保持具である。ここで、上記の「平面形状が矩形の物品」とは、平面形状が完全に矩形である物品だけでなく、矩形の角が丸められた平面形状を有するものなども含む。また、上記の「平面形状が矩形の物品を保持することのできる」は、平面形状が矩形の物品のみを保持することができるという意味ではなく、車両内装用物品保持具1は平面形状が矩形でない物品を保持できてもよい。
【0013】
車両内装用物品保持具1は、車両室内、例えば、車両のインストルメントパネルに設けられたボックスの内部や、センターコンソールなどに設置される。車両内装用物品保持具1をインストルメントパネルやセンターコンソールなどの取り付け先に取り付けるためには、例えば、取り付け用の突起18を取り付け先に設けられた溝などにスナップフィットさせる。
【0014】
車両内装用物品保持具1は、物品を収容するためのケース10と、ケース10内において平面方向にスライド移動可能な保持部材20と、ケース10の内側に含まれる側壁12とを備える。車両内装用物品保持具1は、ケース10内に挿入した物品を保持部材20と側壁12との間に挟み込むことにより保持することができる。
【0015】
車両内装用物品保持具1は、物品を寝かせた状態で保持する平置き型の車両内装用物品保持具であり、ケース10は、その底面11に物品を平置きするトレー型のケースである。ここで、平置きとは、物品をその主面(最も面積の大きい面、例えばスマートフォンであれば表示画面を含む面)が水平に近くなる状態で置くことをいう。また、上記のケース10内における平面方向とは、底面11に平行又はほぼ平行な方向をいう。
【0016】
ケース10の手前側101には底面11上に側壁などの部材や突起がなく、車両内装用物品保持具1に収容する物品は、手前側101からケース10に挿入される。典型的には、車両内装用物品保持具1は、ケース10の手前側101が車両後方側を向くように車両に取り付けられる。
【0017】
ケース10は、バネ21を固定するためのバネ固定部15を含む。バネ21の一端はバネ固定部15に固定され、他端は保持部材20に固定されている。
図1(b)は、バネ固定部15、バネ21、及び保持部材20をケース10から分解した状態を示している。
【0018】
また、ケース10には、保持部材20の移動方向を決めるための直線状のガイドが設けられており、保持部材20は、そのガイドに沿って、ケース10の底面11上を物品5の挿入方向に対して傾斜した直線方向にスライド移動することができる。上記のガイドは、例えば、直線状の溝からなり、保持部材20に設けられた突起をガイドに嵌め込むことにより、直線状の移動が可能になる。また、ケース10には、保持部材20の上方、すなわち底面11から離れる方向へのずれを防ぐための、保持部材20の上方を覆うカバー17が含まれる。
【0019】
図2は、車両内装用物品保持具1において平面形状が矩形の物品5を保持するときの保持部材20の動きを表す模式図である。
図2においては、物品5の挿入方向をD1で表し、保持部材20のスライド移動する方向をD2で表している。
【0020】
物品5の挿入方向D1とは、ケース10の底面11に沿って手前側101から奥側に向かう方向であり、物品5を挿入方向D1に沿ってケース10に挿入することにより、車両内装用物品保持具1に保持させることができる。なお、図示される挿入方向D1は、想定される理想的な挿入方向であり、実際にはこの方向からある程度傾いた方向から物品を挿入する場合であっても問題なく物品5を保持することができる。
【0021】
側壁12は、ほぼ物品の挿入方向D1に沿うように設けられている。保持部材20は、ケース10の奥側に移動するときは側壁12から離れ、ケース10の手前側101に移動するときは側壁12に近づくように、方向D2に沿って移動する。
【0022】
ここで、物品5を保持する際の車両内装用物品保持具1の動作例を説明する。まず、物品5を手に持って挿入方向D1に沿ってケース10内に挿入すると、物品5が保持部材20に押し当てられ、保持部材20が方向D2に沿ってケース10の奥側に押し込まれる。そして、物品5から手を離すと、縮められたバネ21の復元力により、物品5の挿入方向D1を向いた第1の側面51と挿入方向D1に沿った第2の側面52に保持部材20が押し当てられる。そして、物品5の第2の側面52の反対側の第3の側面53が側壁12に押し付けられて、物品5は、保持部材20と側壁12に挟まれて保持される。
【0023】
なお、上記の「挿入方向D1を向いた第1の側面51」とは、第1の側面51の垂線が挿入方向D1に平行又は物品5を挿入可能な程度に平行に近いことを意味し、「挿入方向D1に沿った第2の側面52」とは、第2の側面52が挿入方向D1に平行又は物品5を挿入可能な程度に平行に近いことを意味している。通常、第1の側面51は物品5の平面視での短辺に沿った側面であり、第2の側面52及び第3の側面53は物品5の平面視での長辺に沿った側面である。
【0024】
このため、物品5の挿入方向D1の位置決めは保持部材20により行われ、挿入方向D1に垂直な幅方向の位置決めは保持部材20と側壁12によって行われる。このように、物品5の保持のために動作する部品は保持部材20のみであり、複数の部品を連動させる機構は車両内装用物品保持具1において用いられない。
【0025】
また、この物品5を保持する際の車両内装用物品保持具1の動作は、物品5のサイズによらず同様であり、物品5を保持したときの保持部材20の位置が物品5のサイズに応じて変わるのみである。すなわち、物品5のサイズがケース10に収まる範囲内にあれば、物品5がどのようなサイズを有する場合であっても、同様に物品5を保持部材20と側壁12で挟み込んで固定することができる。
【0026】
保持部材20は、典型的には、
図1(a)、(b)、
図2に示されるように、平面形状がL字型の部品である。この場合、L字の内側の第1の側面51と対向する側面201が第1の側面51に押し当てられ、L字の内側の第2の側面52と対向する側面202が第2の側面52に押し当てられる。
【0027】
ケース10は、
図1(a)、(b)、
図2に示されるように、側壁12と連続する、保持された物品5の第1の側面51に対向する側壁13を含むことが好ましい。側壁13を設けることにより、例えば、車両内装用物品保持具1で保持するための物品5やその他の物品がケース10上から奥側に落下することを抑制できる。
【0028】
さらに、車両内装用物品保持具1は、
図2に示されるように、保持部材20と側壁13との隙間を狭める落下抑制用部材22を備えていることが好ましい。落下抑制用部材22を用いることにより、物品5やその他の物品がケース10上から奥側に落下することをより効果的に抑制できる。
【0029】
また、ケース10の底面11が、
図1(a)、(b)に示されるように、側壁12と側壁13によって形成される隅部112に向かって下がる落下抑制用スロープ111を有することが好ましい。隅部112は、保持部材20と側壁13との隙間よりも低い位置にあるため、ケース10上の小さな物品が落下抑制用スロープ111上を滑る又は転がって隅部112に収まることにより、保持部材20と側壁13との隙間からの落下を避けることができる。
【0030】
ケース10は、
図1(a)、(b)、
図2に示されるように、物品5をケース10に挿入するときに物品5をケース10の奥側、すなわち物品5を保持する位置に導くための側壁14を有することが好ましい。側壁14は、側壁12の手前側に側壁12と連続しており、物品の挿入方向D1に対して傾斜した方向に沿って配置されている。側壁14は、ケース10の手前側101に向かって開くように配置されているため、ケース10の手前側101から挿入された物品5の先端が側壁14に接触すると、物品5は側壁14に沿ってケース10の幅方向の中央側に導かれる。
【0031】
側壁12は、
図1(a)、(b)、
図2に示されるように、保持された物品5の第3の側面53に設けられた操作ボタン54との接触を避けるための窪み121を有することが好ましい。側壁12に窪み121を設けることにより、物品5を保持した際に操作ボタン54が側壁12によって押され、意図しない操作が実行されることを防止できる。側壁12に窪み121を設ける場合、例えば、
図2に示されるように、側壁12の窪み121の手前側と奥側の2箇所で物品5を保持する。
【0032】
車両内装用物品保持具1は、物品5としてのスマートフォンなどの充電を行うためのワイヤレス給電機能を備えていてもよい。この場合、保持された物品5にワイヤレス給電を行うワイヤレス給電モジュール23がケース10に取り付けられる。
【0033】
図3は、ワイヤレス給電モジュール23を備える車両内装用物品保持具1を裏側から見た平面図である。ワイヤレス給電モジュール23は、ケース10の裏面16、すなわち底面11の裏側の面に設置される。
【0034】
ワイヤレス給電モジュール23は内部に給電用コイルを有する。ワイヤレス給電モジュール23を用いることにより、ワイヤレス給電モジュール23に含まれる給電用コイルと物品5に含まれる受電用コイルの間に生じる電磁誘導による給電を行うことができる。
【0035】
ワイヤレス給電モジュール23は、物品5のサイズがケース10内に収まる範囲内であれば、物品5がどのようなサイズを有する場合であっても、ワイヤレス給電モジュール23に含まれる給電用コイルと物品5に含まれる受電用コイルの平面方向の位置が給電できる程度に重なるように配置されている。
【0036】
車両内装用物品保持具1においては、上述のように、保持部材20と側壁12によって、物品5の挿入方向D1と幅方向の位置が決められるため、ケース10内の物品5の位置のずれによる給電効率の低下を抑えることができる。
【0037】
図4は、保持部材20の代わりにその変形例である保持部材30を用いた場合の、平面形状が矩形の物品5を保持するときの保持部材30の動きを表す模式図である。保持部材30は、アーム31を用いた回転移動を利用して物品5を保持する。保持部材30はアーム31の一方の端部に固定され、アーム31の他方の端部に取り付けられた回転軸32を中心とする円弧状の方向D3にスライド移動する。
【0038】
保持部材30は、保持部材20と同様に、バネ21を用いて動作させることができる。その場合、バネ21の一端はバネ固定部15に固定され、他端は保持部材30に固定される。
【0039】
ここで、物品5を保持する際の保持部材30を備えた車両内装用物品保持具1の動作例を説明する。まず、物品5を手に持って挿入方向D1に沿ってケース10内に挿入すると、物品5が保持部材30に押し当てられ、保持部材30が方向D3に沿ってケース10の奥側に押し込まれる。そして、物品5から手を離すと、縮められたバネ21の復元力により、物品5の挿入方向D1を向いた第1の側面51と挿入方向D1に沿った第2の側面52に保持部材30が押し当てられる。そして、物品5の第2の側面52の反対側の第3の側面53が側壁12に押し付けられて、物品5は、保持部材30と側壁12に挟まれて保持される。
【0040】
このため、物品5の挿入方向D1の位置決めは保持部材30により行われ、挿入方向D1に垂直な幅方向の位置決めは保持部材30と側壁12によって行われる。このように、物品5の保持のために動作する部品は保持部材30のみであり、複数の部品を連動させる機構は車両内装用物品保持具1において用いられない。
【0041】
また、この物品5を保持する際の車両内装用物品保持具1の動作は、物品5のサイズによらず同様であり、物品5を保持したときの保持部材30の位置が物品5のサイズに応じて変わるのみである。すなわち、物品5のサイズがケース10に収まる範囲内にあれば、物品5がどのようなサイズを有する場合であっても、同様に物品5を保持部材30と側壁12で挟み込んで固定することができる。
【0042】
保持部材30は、典型的には、
図4に示されるように、平面形状がL字型の部品である。この場合、L字の内側の第1の側面51と対向する側面301が第1の側面51に押し当てられ、L字の内側の第2の側面52と対向する側面302が第2の側面52に押し当てられる。
【0043】
(実施の形態の効果)
上記の本発明の実施の形態に係る車両内装用物品保持具1においては、保持部材20又は保持部材30と側壁12によって、保持する物品5の挿入方向と幅方向の位置決めをすることができる。また、物品5の保持のために動作する部品は保持部材20または保持部材30のみであり、複数の部品を連動させる機構を必要としないため、コストを抑えることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、本発明の車両内装用物品保持具は、物品を上方や斜め上方から挿入する形式のものであってもよい。この場合であっても、車両内装用物品保持具1と同様に、保持部材20又は保持部材30と側壁12によって物品5を保持することができる。
【0045】
また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。また、上記の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0046】
1 車両内装用物品保持具
10 ケース
11 底面
12、13、14 側壁
121 窪み
20、30 保持部材
21 バネ
22 落下抑制用部材
23 ワイヤレス給電モジュール
31 アーム
32 回転軸
5 物品
51 第1の側面
52 第2の側面
53 第3の側面
54 操作ボタン