(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148194
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】スタビライザの製造方法および母材
(51)【国際特許分類】
B21D 41/04 20060101AFI20231005BHJP
B21J 5/06 20060101ALI20231005BHJP
B21J 5/12 20060101ALI20231005BHJP
B21D 53/88 20060101ALI20231005BHJP
B60G 21/055 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B21D41/04 Z
B21J5/06 G
B21J5/12 Z
B21D53/88 Z
B60G21/055
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056090
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 一樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 純彦
(72)【発明者】
【氏名】野上 雄史
(72)【発明者】
【氏名】増田 将大
【テーマコード(参考)】
3D301
4E087
【Fターム(参考)】
3D301AA81
3D301AA86
3D301DA66
3D301DA74
3D301DB18
4E087AA08
4E087BA18
4E087CA17
4E087CA28
4E087CB01
4E087DB15
4E087DB22
4E087EC02
4E087HA82
(57)【要約】
【課題】スタビライザにおける両端部の平面度の低下を抑制することができるスタビライザの製造方法および母材を提供すること。
【解決手段】本発明に係るスタビライザの製造方法は、母材に対して鍛造処理を施して、両端部に貫通孔が形成されるスタビライザを作製するスタビライザの製造方法であって、母材の端部の、スタビライザにおける貫通孔に対応する貫通孔形成位置に凸部を形成する凸部形成ステップと、凸部を含む貫通孔形成位置に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材に対して鍛造処理を施して、両端部に貫通孔が形成されるスタビライザを作製するスタビライザの製造方法であって、
前記母材の端部の、前記スタビライザにおける前記貫通孔に対応する貫通孔形成位置に凸部を形成する凸部形成ステップと、
前記凸部を含む前記貫通孔形成位置に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、
を含むことを特徴とするスタビライザの製造方法。
【請求項2】
前記凸部形成ステップは、前記母材の端部を平板化しつつ、前記凸部を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のスタビライザの製造方法。
【請求項3】
前記母材の端部を加熱する加熱ステップ、
をさらに含み、
前記凸部形成ステップは、前記加熱ステップによって加熱された端部に対して前記凸部を形成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のスタビライザの製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔形成ステップによって形成された前記貫通孔を含む領域のバリ除去を行うバリ除去ステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載のスタビライザの製造方法。
【請求項5】
前記凸部形成ステップは、前記貫通孔形成時に発生したダレの程度の実測データに基づいて予測されるダレ発生量をもとに設定される前記凸部を形成する、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のスタビライザの製造方法。
【請求項6】
鍛造処理によって両端部に貫通孔が形成されるスタビライザを作製するための母材であって、
当該母材の端部の、前記スタビライザにおける前記貫通孔に対応する貫通孔形成位置に形成される凸部、
を備えることを特徴とする母材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタビライザの製造方法および母材に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に用いられるスタビライザは、車両に取り付けられて、該車両の姿勢を安定させる。スタビライザは、例えば中実または中空の棒状部材を変形させて形成される(例えば、特許文献1、2を参照)。スタビライザは、両端部が車両と接続し、その接続部分は、平面状をなしている。スタビライザの端部は、棒状部材を潰して平板化させた後、ボルト等の締結部材が挿通される貫通孔が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63-273541号公報
【特許文献2】特開2007-320343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、スタビライザの端部における貫通孔は、穿孔部材によって端部を打ち抜くことによって形成される。この際、打ち抜き時に生じる摩擦等によって、貫通孔周囲が変形し、所謂ダレが形成される場合があった。ダレが形成されると、端部の平面度が低下し、締結部材による車両とスタビライザとの締結強度が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スタビライザにおける両端部の平面度の低下を抑制することができるスタビライザの製造方法および母材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るスタビライザの製造方法は、母材に対して鍛造処理を施して、両端部に貫通孔が形成されるスタビライザを作製するスタビライザの製造方法であって、前記母材の端部の、前記スタビライザにおける前記貫通孔に対応する貫通孔形成位置に凸部を形成する凸部形成ステップと、前記凸部を含む前記貫通孔形成位置に貫通孔を形成する貫通孔形成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るスタビライザの製造方法は、上記発明において、前記凸部形成ステップは、前記母材の端部を平板化しつつ、前記凸部を形成する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るスタビライザの製造方法は、上記発明において、前記母材の端部を加熱する加熱ステップ、をさらに含み、前記凸部形成ステップは、前記加熱ステップによって加熱された端部に対して前記凸部を形成する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るスタビライザの製造方法は、上記発明において、前記貫通孔形成ステップによって形成された前記貫通孔を含む領域のバリ除去を行うバリ除去ステップ、をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るスタビライザの製造方法は、上記発明において、前記凸部形成ステップは、前記貫通孔形成時に発生したダレの程度の実測データに基づいて予測されるダレ発生量をもとに設定される前記凸部を形成する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る母材は、鍛造処理によって両端部に貫通孔が形成されるスタビライザを作製するための母材であって、当該母材の端部の、前記スタビライザにおける前記貫通孔に対応する貫通孔形成位置に形成される凸部、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スタビライザにおける両端部の平面度の低下を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態において製造されるスタビライザの構成の一例を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示すスタビライザを作製する製造方法を説明するための図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すスタビライザを作製するための母材であって、鍛造処理前の母材を示す図である。
【
図5】
図5は、鍛造処理前の母材の端部の構成を示す図である。
【
図7】
図7は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図(その1)である。
【
図8】
図8は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図(その2)である。
【
図9】
図9は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図(その1)である。
【
図10】
図10は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図(その2)である。
【
図11】
図11は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平面度について説明するための図である。
【
図12】
図12は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平面度について説明するための図である。
【
図13】
図13は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平行度について説明するための図である。
【
図14】
図14は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平行度について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、図面は模式的なものであって、各部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる場合があり、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態において製造されるスタビライザの構成の一例を示す側面図である。
図1に示すスタビライザ1は、金属や、各種繊維(例えば炭素繊維)によって形成される。スタビライザ1は、両端が屈曲し、中央部が直線状に延びる本体部2と、本体部2の一端に設けられる第1端部3と、本体部2の他端に設けられる第2端部4とを有する。
【0016】
本体部2は、柱状、例えば円柱状をなして延びる。本体部2は、中空であってもよいし、中実であってもよい。
【0017】
第1端部3は、平板状をなす。第1端部3には、板厚方向に貫通する貫通孔31が形成される。
第2端部4は、平板状をなす。第2端部4には、板厚方向に貫通する貫通孔41が形成される。
例えばスタビライザ1が自動車に設けられる場合、第1端部3は左右に配置されるサスペンションのうちの一方のサスペンションに接続し、第2端部4は他方のサスペンションに接続する。この際、各端部は、ボルト等の締結部材が貫通孔に挿通されてサスペンションに固定される。
【0018】
ここで、各端部(第1端部3および第2端部4)は、締結部材による車両とスタビライザ1との締結強度の低下を抑制するため、この締結部分が平面であることが求められる。
図2は、
図1に示す領域Rの拡大図である。
図2は、第1端部3について示しているが、第2端部4と同様である。例えば、第1端部3では、貫通孔31の周囲に位置する領域32において、平面であることが求められる。
【0019】
続いて、スタビライザ1の製造方法について、
図3~
図6を参照して説明する。
図3は、
図1に示すスタビライザを作製する製造方法を説明するための図である。スタビライザ1は、母材に対して鍛造加工を施すことによって作製される。
【0020】
母材10は、柱状の両端を屈曲させることによって形成され、本体部11、第1端部12および第2端部13を有する。まず、この母材10の第1端部12および第2端部13を加熱する(
図3の(a)参照:加熱ステップ)。加熱処理では、例えば加熱コイル110を用いて、各端部を加熱する。
【0021】
母材10の両端部を加熱後、各端部をプレスする(
図3の(b)参照:平板化ステップ)。例えば、
図3の(b)に示すように、母材10の端部(
図3では第1端部12)が保持部材120aに保持され、この保持部材120aに載置された端部を押圧部材120bによって押圧することによって、端部を潰して平板化する(
図3の(c)参照)。この際、押圧部材120bには、母材10の貫通孔形成位置に対応する位置に、凹部120cが形成される。このため、平板化によって、母材10の端部には、凹部120cの形状に対応する凸部が形成される(凸部形成ステップ)。本実施の形態では、平板化ステップおよび凸部形成ステップが同時に実施される。
【0022】
図4は、
図1に示すスタビライザを作製するための母材であって、鍛造処理前の母材を示す図である。
図5は、鍛造前の母材の端部の構成を示す図である。
図6は、
図5に示すA-A線断面図である。
図4および
図5に示す母材10は、両端が屈曲してなる本体部11と、本体部11の一端に設けられる第1端部12と、本体部11の他端に設けられる第2端部13とを有する。また、第1端部12および第2端部13には、凸部12a、13aがそれぞれ形成される。
【0023】
例えば、凸部12aは、錐台状をなして第1端部12において突出している。凸部12aは、貫通孔を形成した際に、ダレの発生が抑制される位置および形状に設定される。例えば、凸部12aは、貫通孔形成時に発生したダレの程度の実測データに基づいて予測されるダレ発生量をもとに設定される。凸部12aの形成範囲、例えば、第1端部12からの突出する基端部における幅W1を直径とする領域は、第1端部12(第1端部3)において、締結部材が配設される領域に応じて設定される。この締結部材が配設される領域とは、第1端部12のなかでも高い平面度および平行度が要求される領域である。凸部12aは、例えばこの締結部材が配設される領域と同等またはそれ以上となる領域に形成される。また、凸部12aは、幅W1が、先端部における幅W2に対して30%以上70%以下の範囲に設定される。また、凸部12aは、突出長H1が、凸部12aを除く位置における第1端部12の厚さH2に対して1%以上10%以下の範囲に設定される。本実施の形態において、凸部12aが円錐台状をなすものとして説明するが、角錐台状をなす等、他の凸形状をなすものであってもよい。
なお、凸部13aについても同様である。
【0024】
図3に戻り、第1端部12および第2端部13形成後、切削加工処理を実施する(
図3の(d)参照)。切削加工処理では、第1端部12および第2端部13に対して貫通孔形成処理(貫通孔形成ステップ)およびトリム加工(トリム加工ステップ)を施す。
図3の(d)では、第1端部12の加工例について示しているが、第2端部13についても同様である。
【0025】
貫通孔は、穿孔部材130aを用いた第1端部12への穿孔によって形成される。この際、第1端部12は、支持部材130bに載置され、ストリッパ130cによって支持部材130b側に押さえ付けられる。支持部材130bおよびストリッパ130cは、穿孔部材130aの先端が挿通可能な中空部を有する。穿孔部材130aを、ストリッパ130cを貫通させて、凸部12aを含む第1端部12の貫通孔形成位置を打ち抜くことによって第1端部12に貫通孔(
図3の(e)に示す貫通孔12b)を形成する。
【0026】
トリム加工は、トリム刃130dを用いて、第1端部12の外形を形成する(
図3の(d)参照)。トリム加工では、トリム刃130dを用いて、例えば
図4に示すように、第1端部12の加工線L
Cに沿って切除することによって、第1端部3の外形を形成する。
なお、貫通孔形成およびトリム加工の施工順は、どちらを先に行ってもよい。
【0027】
切削加工処理後、成形部材140aによってバリを除去するバリ除去処理を実施する(
図3の(e)参照:バリ除去ステップ)。この際、第1端部12は、支持部材140bに載置される。第1端部12が成形部材140aと支持部材140bとによって挟まれることによって、貫通孔12b周囲に形成されるバリが潰され、該バリが除去される。これにより、
図1に示すスタビライザ1が作製される。
【0028】
ここで、母材における凸部の有無による断面形状の差異について、
図7~
図10を参照して説明する。
図7および
図8は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図である。
図7は、スタビライザの端部の長手方向と直交する平面を切断面とする断面における、該端部の外縁を示す。
図7は、外縁L
1が本体部2からみて左側、外縁L
2が本体部2からみて右側を示す。
図8は、スタビライザの端部の長手方向と平行、かつ
図7の切断面と直交する平面を切断面とする断面における、該端部の外縁を示す。
図8は、外縁L
3が本体部2側、外縁L
4が本体部2側と反対側の外縁を示す。
図9および
図10は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部の断面の一例を示す図である。
図9は、スタビライザの端部の長手方向と直交する平面を切断面とする断面における、該端部の外縁を示す。
図9は、外縁L
11が本体部2からみて左側、外縁L
12が本体部2からみて右側を示す。
図10は、スタビライザの端部の長手方向と平行、かつ
図7の切断面と直交する平面を切断面とする断面における、該端部の外縁を示す。
図10は、外縁L
13が本体部2側、外縁L
14が本体部2側と反対側の外縁を示す。
なお、
図7および
図8、ならびに、
図9および
図10は、それぞれ同じ板厚の母材を用いて、同じ径の貫通孔を形成したスタビライザの端部を示すものである。また、
図7~
図10に示す矢印は、穿孔部材の進入方向を示す。
図7~
図10から分かるように、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成した方(
図7および
図8)が、ダレの発生度合いが小さく、平面性を有しているといえる。
また、
図7~
図10において、r
MINは平面度、平行度の確保が必要な領域(例えば
図2の領域32参照)の最小径を示しており、r
MAXは平面度、平行度の確保が必要な領域の最大径を示している。すなわち、r
MINおよびr
MAXで囲まれた範囲で、平面度、平行度を確保することが必要である。
【0029】
また、母材における凸部の有無による平面度および平行度の差異について、
図11~
図14を参照して説明する。なお、
図11~
図14は、凸部の有無以外は同一材料、同一形状の母材を用いて作製されたスタビライザの端部の結果であり、平面度や平行度は、規格の基準値を1として規格化した結果を示している。
図11は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平面度について説明するための図である。
図12は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平面度について説明するための図である。
図11および
図12において、各サンプルについて、スタビライザの一方の端部(例えば第1端部3)における一方の面の平面度のプロットを〇で示す。同様に、一方の端部における他方の面の平面度のプロットを●、他方の端部(例えば第2端部4)における一方の面の平面度のプロットを□、他方の端部における他方の面の平面度のプロットを黒色の□で示す。
図11および
図12に示すように、凸部を有する母材を用いて作製したスタビライザの方が、端部における平面度が、全体的に小さい。加えて、凸部を有しない母材を用いて作製したスタビライザは、端部の両面における平面度の差が大きくなっている。
【0030】
図13は、凸部を有する母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平行度について説明するための図である。
図14は、凸部を有しない母材を用いて貫通孔を形成したスタビライザの端部における平行度について説明するための図である。
図13および
図14において、各サンプルについて、スタビライザの一方の端部(例えば第1端部3)の平行度のプロットを〇、他方の端部(例えば第2端部4)の平面度のプロットを●で示す。
図13および
図14に示すように、凸部を有する母材を用いて作製したスタビライザの方が、両端部における平行度が、全体的に小さい。加えて、凸部を有しない母材を用いて作製したスタビライザは、両端部の平行度の差が大きくなっている。
【0031】
以上説明した本発明の実施の形態では、スタビライザを作製するための母材において貫通孔形成位置に凸部を形成し、該凸部を含む領域を打ち抜いて貫通孔を形成するようにした。本実施の形態によれば、凸部の形成によって、打ち抜き時のダレの発生が抑制され、その結果、スタビライザにおける両端部の平面度の低下を抑制することができる。また、ダレの発生を抑制することによって、バリ除去の精度も向上する。
【0032】
また、実施の形態では、凸部の形成によって、打ち抜き時の荷重によって生じる端部の反りを抑制することもできる。この反りの抑制によって、貫通孔形成による平面度や平行度の低下を一層確実に抑制することができる。
【0033】
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、打ち抜きによって貫通孔を形成したり、トリム加工を施したりする製品に対して適用可能である。また、実施の形態では、母材10の端部を平板化しつつ、凸部を形成する例について説明したが、平板化と凸部の形成とを別のタイミングで行ってもよい。すなわち、実施の形態では、平板化ステップと凸部形成ステップとを同時に実施しているが、平板化ステップと凸部形成ステップとを別のタイミングで実施してもよい。
【0034】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【0035】
以上説明したように、本発明に係るスタビライザの製造方法および母材は、スタビライザにおける両端部の平面度の低下を抑制するのに好適である。
【符号の説明】
【0036】
1 スタビライザ
2、11 本体部
3、12 第1端部
4、13 第2端部
10 母材
12a、13a 凸部
31、41 貫通孔
120a 保持部材
120b 押圧部材
120c 凹部
130a 穿孔部材
130b、140b 支持部材
130c ストリッパ
130d トリム刃
140a 成形部材