IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リブドゥコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-吸収性物品 図1
  • 特開-吸収性物品 図2
  • 特開-吸収性物品 図3
  • 特開-吸収性物品 図4
  • 特開-吸収性物品 図5
  • 特開-吸収性物品 図6
  • 特開-吸収性物品 図7
  • 特開-吸収性物品 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148195
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/475 20060101AFI20231005BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20231005BHJP
   A61F 13/515 20060101ALI20231005BHJP
   A61F 13/494 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A61F13/475 111
A61F13/53 200
A61F13/515
A61F13/494 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056091
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嶺
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA16
3B200BA20
3B200BB20
3B200CA11
3B200CA14
3B200DA02
3B200DA03
3B200DA14
3B200DA17
3B200DB11
(57)【要約】
【課題】軟便等が排泄された吸収性物品を使用後に廃棄する際、より衛生的に処理することが可能な吸収性物品を提供する。
【解決手段】トップシート2とバックシート3とこれらの間に配された吸収性コア4とを有し、トップシート2の幅方向の両側にサイドシート5が設けられた吸収性物品1であって、吸収性コア4は後側部4Cが中間部よりも幅広に形成され、後側部4Cにおいて、吸収性コア4が、トップシート2の幅方向の外縁より幅方向の外方に延在しており、サイドシート5はトップシート2にサイド接合部6で接合され、サイドシート5のサイド接合部6より幅方向の内方部分が防漏フラップ7を形成し、サイド接合部6は、吸収性コア4の後側部4Cと重なって設けられ、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分に弱化部6Wを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有し、前記トップシートの幅方向の両側にサイドシートが設けられた吸収性物品であって、
前記吸収性コアは、前後方向に対して前側部と後側部とこれらの間の中間部を有し、前記後側部が前記中間部よりも幅広に形成され、前記後側部において、前記吸収性コアが、前記トップシートの幅方向の外縁より幅方向の外方に延在しており、
前記サイドシートは前記トップシートにサイド接合部で接合され、前記サイドシートの前記サイド接合部より幅方向の内方部分が防漏フラップを形成し、
前記サイド接合部は、前記吸収性コアの前記後側部と前記中間部と重なって設けられるか、前記吸収性コアの前記後側部と重なり、前記吸収性コアの前記中間部よりも幅方向の外方側に設けられており、
前記サイド接合部は、前記吸収性コアの前記後側部と重なる部分に弱化部を有し、
前記弱化部における前記サイド接合部の接合強度が、前記吸収性コアの前記中間部と重なる部分またはそれよりも幅方向の外方側の部分における前記サイド接合部の接合強度よりも小さいことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
前記サイド接合部は、前記サイドシートと前記トップシートとが接着することにより形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記サイド接合部は、前記サイドシートと前記トップシートとが溶着することにより形成されている請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記弱化部において、前記サイド接合部は前後方向に断続的に設けられている請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記サイド接合部は、前記トップシートの幅方向の外縁から10mm以内の領域に形成されている請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記サイド接合部は、前記吸収性コアの前記後側部と前記中間部と重なって設けられ、
前記サイド接合部の前記弱化部における接合強度が、前記サイド接合部の前記中間部と重なる部分における接合強度よりも小さい請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記サイド接合部は、前後方向に直線状に延び、幅方向に複数列配置された接合部から構成され、
前記サイド接合部のうち、最も幅方向の内方側に配置された接合部における前記弱化部の接合強度が、それよりも幅方向の外方側に配置された接合部における前記弱化部の接合強度よりも大きい請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記サイド接合部は、前後方向に直線状に延び、幅方向に複数列配置された接合部から構成され、
前記サイド接合部のうち、最も幅方向の内方側に配置された接合部は、前記弱化部において前後方向に連続的に設けられ、最も幅方向の外方側に配置された接合部は、前記弱化部において前後方向に断続的に設けられている請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記サイド接合部よりも幅方向の外方側に、前記サイドシートが前記吸収性コアと前記バックシートに接合された第2サイド接合部が設けられ、
前記第2サイド接合部は、前記吸収性コアの前記後側部と重なって設けられるとともに、前記吸収性コアの前記中間部よりも幅方向の外方側に設けられ、
前記第2サイド接合部は、前記吸収性コアの前記後側部と重なる部分で前記サイドシートと前記吸収性コアを接合し、前記吸収性コアの前記中間部よりも幅方向の外方側において前記サイドシートと前記バックシートを接合している請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、尿パッド等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、肌面側に防漏フラップが設けられた吸収性物品が知られており、例えば特許文献1、2には、そのような吸収性物品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-115459号公報
【特許文献2】特開2009-95636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
吸収性物品の使用の際、吸収性物品のトップシート上に軟便が排泄される場合がある。そのような吸収性物品を使用後に廃棄する際、吸収性物品を衛生的に処理できることが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、軟便等が排泄された吸収性物品を使用後に廃棄する際、より衛生的に処理することが可能な吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決することができた本発明の吸収性物品とは、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有し、トップシートの幅方向の両側にサイドシートが設けられた吸収性物品であって、吸収性コアは、前後方向に対して前側部と後側部とこれらの間の中間部を有し、後側部が中間部よりも幅広に形成され、後側部において吸収性コアがトップシートの幅方向の外縁より幅方向の外方に延在しており、サイドシートはトップシートにサイド接合部で接合され、サイドシートのサイド接合部より幅方向の内方部分が防漏フラップを形成し、サイド接合部は、吸収性コアの後側部と中間部と重なって設けられるか、吸収性コアの後側部と重なり、吸収性コアの中間部よりも幅方向の外方側に設けられており、サイド接合部は、吸収性コアの後側部と重なる部分に弱化部を有し、弱化部におけるサイド接合部の接合強度が、吸収性コアの中間部と重なる部分またはそれよりも幅方向の外方側の部分におけるサイド接合部の接合強度よりも小さいところに特徴を有する。
【0006】
本発明の吸収性物品は、吸収性コアの後側部と重なる部分において、トップシートとサイドシートとが接合されたサイド接合部に弱化部が形成されているため、弱化部においてサイド接合部の接合を解除することができる。吸収性物品は、弱化部でのサイド接合部の接合を解除することにより、接合が解除された弱化部を開口とし、サイドシートと吸収性コアの後側部との間の空間を内部空間とするポケットを形成することができる。このように形成されたポケットは、吸収性物品の使用後に吸収性物品を廃棄する際に、トップシート上に溜まった軟便等を流し込むのに使用することができ、吸収性物品をより衛生的に処理することが可能となる。
【0007】
サイド接合部は、サイドシートとトップシートとを接着することにより形成することができる。サイド接合部は、サイドシートとトップシートとを溶着することにより形成することもできる。弱化部において、サイド接合部は前後方向に断続的に設けられていることが好ましく、このように弱化部が形成されることにより、弱化部でのサイド接合部の接合を解除することが容易になる。
【0008】
サイド接合部は、トップシートの幅方向の外縁から10mm以内の領域に形成されていることが好ましい。これにより、トップシート上に溜まった軟便等をサイドシートと吸収性コアの後側部との間の空間に流し込んだ際に、軟便等が速やかに吸収性コアに吸収されやすくなる。
【0009】
サイド接合部は、吸収性コアの後側部と中間部と重なって設けられ、サイド接合部の弱化部における接合強度は、サイド接合部の中間部と重なる部分における接合強度よりも小さいことが好ましい。このようにサイド接合部を形成することにより、トップシート上の吸収性コアの中間部と重なる部分に溜まった軟便等を、吸収性コアの後側部と重なる位置に形成されたポケットに誘導することが容易になる。
【0010】
サイド接合部は、前後方向に直線状に延び、幅方向に複数列配置された接合部から構成されてもよい。この場合、サイド接合部のうち、最も幅方向の内方側に配置された接合部における弱化部の接合強度が、それよりも幅方向の外方側に配置された接合部における弱化部の接合強度よりも大きいことが好ましい。このようにサイド接合部が構成されることにより、吸収性物品の使用の際に弱化部でのサイド接合部の接合が解除されにくくなり、トップシート上に排泄された尿や軟便等が防漏フラップの間に保持されやすくなる。吸収性物品の使用後は、弱化部において幅方向の内方側に配置された接合部の接合を解除することで、それに伴い、それより幅方向の外方側に配置された接合部の接合も解除しやすくなる。そのため、弱化部におけるサイド接合部の接合を解除することが容易になる。
【0011】
サイド接合部は、前後方向に直線状に延び、幅方向に複数列配置された接合部から構成され、サイド接合部のうち、最も幅方向の内方側に配置された接合部は、弱化部において前後方向に連続的に設けられ、最も幅方向の外方側に配置された接合部は、弱化部において前後方向に断続的に設けられていることも好ましい。このようにサイド接合部が構成されることにより、吸収性物品を使用の際、トップシート上に排泄された尿や軟便が防漏フラップによって確実にせき止められ、尿や軟便がサイド接合部の弱化部を幅方向の外方に越えて移行することが抑えられる。一方、吸収性物品の使用後は、サイド接合部の弱化部での接合を解除しやすくなる。
【0012】
サイド接合部よりも幅方向の外方側には、サイドシートが吸収性コアとバックシートに接合された第2サイド接合部が設けられることが好ましい。この場合、第2サイド接合部は、吸収性コアの後側部と重なって設けられるとともに、吸収性コアの中間部よりも幅方向の外方側に設けられ、第2サイド接合部は、吸収性コアの後側部と重なる部分でサイドシートと吸収性コアを接合し、吸収性コアの中間部よりも幅方向の外方側においてサイドシートとバックシートを接合していることが好ましい。このように第2サイド接合部が設けられることにより、吸収性物品の使用後、弱化部でのサイド接合部の接合を解除する際、吸収性コアの中間部よりも幅方向の外方側においてサイドシートとバックシートとの接合が維持されやすくなり、吸収性物品を破損することが起こりにくくなる。そのため、より安定して弱化部でのサイド接合部の接合を解除することができ、吸収性物品をより衛生的に処理することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の吸収性物品は、吸収性物品の使用後に廃棄する際に、トップシート上に溜まった軟便を衛生的に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図2図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表す。
図3図1に示した吸収性物品のIII-III断面図を表す。
図4図1に示した吸収性物品の吸収性コアとサイド接合部の位置関係を示した図を表す。
図5図1に示した吸収性物品の後側部の変形例を表す。
図6】本発明の吸収性物品の他の一例として、尿パッドをトップシート側から見た平面図を表す。
図7図6に示した吸収性物品のVII-VII断面図を表す。
図8図6に示した吸収性物品のVIII-VIII断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の吸収性物品について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。図1図4には、本発明の吸収性物品の一例として、尿パッドの構成例を示した。図1は、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表し、図3は、図1に示した吸収性物品のIII-III断面図を表し、図4は、図1に示した吸収性物品の吸収性コアとサイド接合部の位置関係を示した図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
【0016】
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性コア4とを有する。トップシート2は吸収性コア4の肌面側に配され、吸収性物品1を着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシート3は吸収性コア4の外面側に配され、吸収性物品1を着用した際に着用者とは反対側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート2を透過して吸収性コア4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0017】
吸収性物品1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、吸収性物品1を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、吸収性物品1と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、吸収性物品1を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、吸収性物品1を着用者が着用した際に、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、その反対側を非肌面側とする。
【0018】
トップシート2は吸収性コア4の肌面側に配されるシート部材であり、吸収性物品1の着用の際に着用者の肌に面するように設けられる。トップシート2は、液透過性であることが好ましい。トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0019】
バックシート3は吸収性コア4の非肌面側に配されるシート部材であり、液不透過性であることが好ましい。バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、バックシート3として、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0020】
吸収性物品1は、肌面側の幅方向xの両側に防漏フラップ7が設けられる。防漏フラップ7を設けることにより、尿等の横漏れが防止される。防漏フラップ7は、トップシート2の幅方向xの両側にサイドシート5を設けることにより形成される。具体的には、サイドシート5がトップシート2にサイド接合部6で接合され、サイドシート5のサイド接合部6より幅方向xの内方部分から防漏フラップ7が形成される。サイド接合部6では、トップシート2の肌面側にサイドシート5が配されることが好ましい。サイド接合部6が防漏フラップ7の立ち上がりの起点となり、サイドシート5の幅方向xの内方端が自由端となる。サイド接合部6は、前後方向yに直線状に延びるように形成されることが好ましい。サイド接合部6はまた、トップシート2および/またはサイドシート5の前端部から後端部にかけて連続的または断続的に形成されることが好ましい。
【0021】
防漏フラップ7には、フラップ弾性部材8が設けられることが好ましい。すなわち、サイドシート5のサイド接合部6より幅方向xの内方部分に、フラップ弾性部材8が設けられることが好ましい。フラップ弾性部材8を設けることにより、サイドシート5の幅方向xの内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、防漏フラップ7が形成される。フラップ弾性部材8は前後方向yに延在するように設けられる。なお、防漏フラップ7の前後端部はサイド接合部6よりも幅方向xの内方部分でトップシート2に接合されてもよく、これにより防漏フラップ7が幅方向xの内方に傾倒して立ち上がり、尿や軟便等の漏れ防止効果が高まる。
【0022】
サイドシート5は液不透過性であることが好ましく、バックシート3に使用可能なシート材料から構成することができる。サイドシート5は、例えば、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等から構成されることが好ましい。
【0023】
トップシート2やバックシート3やサイドシート5として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。これらの各シートの単位面積当たりの質量は、8g/m以上が好ましく、10g/m以上がより好ましく、また40g/m以下が好ましく、30g/m以下がより好ましい。
【0024】
吸収性コア4は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア4としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア4は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされて、親水性繊維とされていることが好ましい。
【0025】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コア4は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0026】
吸収性コア4は、単層から構成されてもよく、複数層から構成されてもよい。例えば、吸収性コア4は、上側吸収層と下側吸収層を有するものであってもよい。
【0027】
吸収性コア4の単位面積当たりの質量は、例えば、60g/m以上が好ましく、75g/m以上がより好ましく、80g/m以上がさらに好ましく、また1000g/m以下が好ましく、950g/m以下がより好ましく、900g/m以下がさらに好ましい。吸収性コア4に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量は、60g/m以上が好ましく、75g/m以上がより好ましく、80g/m以上がさらに好ましく、また600g/m以下が好ましく、550g/m以下がより好ましく、500g/m以下がさらに好ましい。吸収性コア4が複数層から構成される場合は、複数層の吸収性コアまたはそこに含まれる親水性繊維の合計の単位面積当たりの質量がこのような範囲にあることが好ましい。なお、吸収性コア4に開口部または凹部が設けられる場合は、上記に説明した吸収性コア4または吸収性コア4に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量は、開口部または凹部以外の部分の吸収性コア4または吸収性コア4に含まれる親水性繊維の単位面積当たりの質量の平均値を意味する。
【0028】
吸収性コア4は、いわゆる砂時計形状または羽子板形状を有する。すなわち、吸収性コア4は、前後方向yに対して前側部4Aと後側部4Cとこれらの間の中間部4Bを有し、少なくとも後側部4Cが中間部4Bよりも幅広に形成されている。図4に示すように、前側部4Aと後側部4Cが中間部4Bよりも幅広に形成されている場合は、吸収性コア4は砂時計形状に形成される。一方、図面には示されていないが、後側部4Cが前側部4Aと中間部4Bよりも幅広に形成されている場合は、吸収性コア4は羽子板形状に形成される。このように吸収性コア4が形成されることにより、吸収性コア4は中間部4Bで着用者の両脚から圧迫されにくくなり、吸収性物品1を着用した際に吸収性コア4が歪みにくくなる。
【0029】
吸収性コア4が砂時計形状に形成される場合、吸収性コア4は、前側部4Aおよび/または後側部4Cにおいて最も幅広に形成される。前側部4Aの幅方向xの長さと後側部4Cの幅方向xの長さは同じであっても異なっていてもよい。中間部4Bは、吸収性コア4の前後方向yの前後端部を除く領域のうち、幅方向xの長さが最も狭くなる部分として規定することができる。例えば、吸収性コア4の前側半分の最も幅広の部分から後側半分の最も幅広の部分の間の領域において、幅方向xの長さが最も狭くなる部分を中間部4Bとすることができる。吸収性コア4は、中間部4Bにおいて、幅方向xの長さが一定の部分を有していてもよく、すなわち、吸収性コア4の外縁は、中間部4Bにおいて、前後方向yに延びる直線部を有していてもよい。一方、吸収性コア4は、中間部4Bにおいて、幅方向xの長さが一定の部分を有していなくてもよく、この場合、中間部4Bは吸収性コア4において前後方向yの一点において形成されることとなる。中間部4Bの前後方向yの長さは、例えば、吸収性コア4の前後方向yの長さの50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
【0030】
吸収性コア4が羽子板形状に形成される場合、吸収性コア4は、後側部4Cにおいて最も幅広に形成される。前側部4Aと中間部4Bでは、吸収性コア4は、幅方向xの長さが一定に形成されるか、前側部4Aが中間部4Bよりも幅狭に形成されることが好ましい。前側部4Aと中間部4Bは、吸収性コア4の後側部4Cよりも前側部分を前後方向yに2等分することにより、区分することができる。吸収性コア4は、少なくとも中間部4Bにおいて幅方向xの長さが一定に形成されることが好ましく、さらに前側部4Aの少なくとも一部にかけて幅方向xの長さが一定に形成されることが好ましい。従って、吸収性コア4の外縁は、中間部4Bにおいて、前後方向yに延びる直線部を有することが好ましく、当該直線部はさらに前側部4Aにかけて延びていることが好ましい。吸収性コア4は、幅方向xの長さが一定に形成された部分の後側端を中間部4Bと後側部4Cとの境界とすることができる。
【0031】
吸収性コア4の後側部4Cの前後方向yの長さは、例えば、吸収性コア4の前後方向yの長さの20%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、また60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。このように吸収性コア4が形成されることにより、後述するように、軟便等を流し込むためのポケットをより広く形成しやすくなる。
【0032】
吸収性コア4には、前後方向yに延びる開口部または凹部が設けられていてもよい(図示せず)。吸収性コア4に開口部または凹部が設けられることにより、開口部または凹部が尿等の拡散路として機能し、尿等が開口部または凹部に沿って拡散しやすくなる。その結果、尿等が吸収性コア4に速やかに吸収されるとともに、吸収性コア4が広範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。
【0033】
開口部は、吸収性コア4を厚み方向zに貫通して設けられる。一方、凹部は、吸収性コア4の目付(単位面積当たりの質量)が部分的に減らされることにより形成される。この場合、凹部は、目付けが、凹部以外の部分よりも70質量%以下、より好ましくは60質量%以下となるように形成されることが好ましい。吸収性コア4に凹部が形成される場合、凹部は吸収性コア4のトップシート2側の表面に形成されることが好ましい。吸収性コア4がトップシート2側の上側吸収層とバックシート3側の下側吸収層から構成される場合は、上側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように下側吸収層が設けられることにより、吸収性コア4のトップシート2側の表面に凹部を形成することができる。
【0034】
開口部または凹部は、吸収性コア4の幅方向xの中央部に前後方向yに延びるように設けられることが好ましい。吸収性コア4の幅方向xの中央部とは、吸収性コア4の幅方向xの中心線を含み、当該中心線に沿って前後方向yに延びる部分を意味する。吸収性コア4には、開口部または凹部が1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよいが、吸収性コア4に設けられる開口部または凹部の数は、3つ以下が好ましく、2つ以下がより好ましく、1つのみがさらに好ましい。
【0035】
開口部または凹部は、幅方向xの長さが、吸収性コア4の中間部4Bの幅方向xの長さの10%以上となることが好ましく、15%以上がより好ましく、20%以上がさらに好ましく、また50%以下が好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下がさらに好ましい。開口部または凹部が2つ以上設けられる場合は、吸収性コア4の中間部4Bにおける開口部または凹部の合計の幅方向xの長さがこのような割合にあることが好ましい。
【0036】
開口部または凹部は、吸収性コア4の中間部4Bの少なくとも一部と重なって形成されることが好ましい。このように開口部または凹部が形成されることにより、開口部または凹部が着用者の排尿部付近に位置し、着用者から排泄された尿等のより多くが開口部または凹部に流入しやすくなる。開口部または凹部は、さらに吸収性コア4の前側部4Aおよび/または後側部4Cに延在していてもよい。
【0037】
開口部または凹部は、前後方向yの長さが、吸収性コア4の前後方向yの長さの25%以上となることが好ましく、30%以上がより好ましく、また70%以下が好ましく、60%以下がより好ましく、50%以下がさらに好ましい。なお、開口部または凹部は、吸収性コア4の外縁に接しないように設けられることが好ましい。
【0038】
吸収性コア4は、後側部4Cがトップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在している。吸収性コア4は、後側部4Cの前後方向yの少なくとも一部が、トップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在していればよく、後側部4Cの他の一部はトップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在していなくてもよい。
【0039】
吸収性コア4の後側部4Cにおいて、トップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在した部分の肌面側は、サイドシート5によって覆われていることが好ましい。従って、サイドシート5のサイド接合部6より幅方向xの外方部分は、トップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在し、吸収性コア4に面して配置されることが好ましい。サイドシート5のサイド接合部6より幅方向xの外方部分は、さらに吸収性コア4の幅方向xの外縁(特に吸収性コア4の後側部4Cの幅方向xの外縁)より幅方向xの外方に延在していることが好ましく、吸収性コア4の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在したサイドシート5は、バックシート3に面して配置され、バックシート3と接合していることが好ましい。
【0040】
上記のように吸収性コア4が形成される場合、サイド接合部6は吸収性コア4の後側部4Cと重なって設けられることとなる。サイド接合部6はさらに吸収性コア4の前側部4Aとも重なって設けられてもよく、例えば吸収性コア4が砂時計形状に形成される場合は、そのようにサイド接合部6が形成されることが好ましい。この場合、サイド接合部6は、吸収性コア4の少なくとも前側部4Aと後側部4Cと重なっていることが好ましい。吸収性コア4が羽子板形状に形成される場合は、サイド接合部6は、吸収性コア4の前側部4Aと重なって設けられてもよく、そうでなくてもよい。後者の場合、サイド接合部6は、吸収性コア4の前側部4Aよりも幅方向xの外方側に位置することとなる。
【0041】
サイド接合部6は、吸収性コア4の中間部4Bとも重なっていることが好ましい。これにより、トップシート2上に排泄された尿等が、吸収性コア4の中間部4Bにおいて速やかに吸収されやすくなる。この場合、吸収性コア4の中間部4Bでは、幅方向xの一方側と他方側の防漏フラップ7の間の部分の全部が吸収性コア4と重なって配置されるため、防漏フラップ7の間に排泄された尿等がトップシート2を透過すると、その下側に存在する吸収性コア4によって速やかに吸収されやすくなる。なお、サイド接合部6は吸収性コア4の中間部4Bと重なって設けられなくてもよく、この場合、サイド接合部6は吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側に位置することとなる。
【0042】
サイド接合部6は、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分において、トップシート2とサイドシート5との接合強度が小さく形成された弱化部6Wを有する。これにより、弱化部6Wにおいてサイド接合部6の接合強度が弱くなり、弱化部6Wでトップシート2とサイドシート5の接合を解除することが可能となる。吸収性物品1は、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除することにより、接合が解除された弱化部6Wを開口とし、サイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間を内部空間とするポケットを形成することができる。このように形成されたポケットは、吸収性物品1の使用後に吸収性物品1を廃棄する際に、トップシート2上(特にトップシート2上の後側部4Cと重なる部分)に溜まった軟便等を流し込むのに使用することができ、吸収性物品1を衛生的に処理することが可能となる。ポケット内に流入した軟便等は、吸収性コア4の後側部4C、特にサイド接合部6よりも幅方向xの外方部分で、好適に吸収される。
【0043】
弱化部6Wでは、サイド接合部6の接合強度が、吸収性コア4の中間部4Bと重なる部分におけるサイド接合部6の接合強度よりも小さく形成されている。サイド接合部6が吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側に位置する場合は、弱化部6Wにおけるサイド接合部6の接合強度が、吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側の部分におけるサイド接合部6の接合強度よりも小さく形成されている。このように弱化部6Wが形成されることにより、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分のみで、サイド接合部6の接合を解除することが容易になる。そのため、誤ってサイド接合部6の中間部4Bと重なる部分まで解除したり、あるいはサイド接合部6の中間部4Bよりも幅方向xの外方側に位置する部分まで解除することが起こりにくくなる。弱化部6Wでのサイド接合部6の接合強度は、サイド接合部6が中間部4Bと重なる部分またはそれより幅方向xの外方側の部分での接合強度の90%以下が好ましく、また50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましい。
【0044】
サイド接合部6の接合強度は、JIS K 6854-3:1999「接着剤-剥離接着強さ試験方法(T形剥離)」に準じて測定することができる。吸収性物品1から、トップシート2とサイドシート5を、サイド接合部6での接合を維持したまま、幅方向xの長さが50mm、前後方向yの長さが100mm以上となるように切り出して試験片とし、引張試験機にて当該試験片の剥離強さを測定することにより、接合強度を求めることができる。試験片は、一方のチャックにトップシート2を固定し、他方のチャックにサイドシート5を固定し、チャック間距離を適宜設定し、剥離速度(チャック移動速度)300mm/分で、トップシート2とサイドシート5とを前後方向yに沿って剥離する。なお、試験片については、剥離長さと、吸収性コア4の前側部4A、中間部4B、後側部4Cと重なる位置との関係を、予め把握しておく。横軸に剥離長さ、縦軸に剥離強さをとったプロファイルを作成し、剥離強さが小さくなった区間を弱化部6Wとして特定することができる。弱化部6Wにおけるサイド接合部6の接合強度は、弱化部6Wとして特定した区間の剥離強さの平均値として求められる。サイド接合部6が中間部4Bと重なる部分またはそれより幅方向xの外方側の部分におけるサイド接合部6の接合強度は、当該区間での剥離強さの平均値または当該地点での剥離強度として求められる。
【0045】
弱化部6Wは、サイド接合部6が吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分の少なくとも一部に形成されればよい。弱化部6Wの前後方向yの長さは、例えば、サイド接合部6が吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分の前後方向yの長さの25%以上が好ましく、30%以上がより好ましく、35%以上がさらに好ましい。これにより、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除した際に、トップシート2上に溜まった軟便等を、サイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間に流し込みやすくなる。弱化部6Wの前後方向yの長さの上限は特に限定されず、サイド接合部6が吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分の前後方向yの長さの100%以下であればよいが、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましい。これにより、軟便等をサイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間に流し込んだ後、吸収性物品1を丸めたりして廃棄する際に、軟便等が当該空間から逆流して出てくることを抑えることができる。弱化部6Wの前後方向yの長さとしては、例えば3cm以上が好ましく、5cm以上がより好ましく、8cm以上がさらに好ましい。
【0046】
サイド接合部6は、例えば、サイドシート5とトップシート2とを接着することにより形成することができる。この場合、弱化部6Wにおいて、それ以外の部分よりも接着力の弱い接着剤を用いたり、接着剤の塗布量を少なくしたり、接着剤の塗布面積を小さくしたり、接着剤の塗布幅を狭くすることにより、弱化部6Wでの接合強度を小さくすることができる。
【0047】
サイド接合部6は、サイドシート5とトップシート2とを溶着することにより形成することもできる。この場合、弱化部6Wにおいて、それ以外の部分よりも溶着面積を小さくしたり、溶着幅を狭くしたり、断続的に溶着することにより、弱化部6Wでの接合強度を小さくすることができる。サイドシート5とトップシート2との溶着は、ヒートシールや超音波溶着により行うことができる。
【0048】
弱化部6Wにおいて、サイド接合部6は前後方向yに断続的に設けられていることが好ましい。このように弱化部6Wが形成されることにより、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除することが容易になる。この場合、弱化部6Wでのサイド接合部6の断続間隔は0.5mm以上が好ましく、1mm以上がより好ましく、また3mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましい。
【0049】
サイド接合部6は、トップシート2の幅方向xの外縁の近傍に形成されることが好ましい。具体的には、サイド接合部6は、トップシート2の幅方向xの外縁から10mm以内の領域に形成されることが好ましく、8mm以内の領域がより好ましく、5mm以内の領域がさらに好ましい。これにより、トップシート2上に溜まった軟便等をサイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間に流し込んだ際に、軟便等が速やかに吸収性コア4に吸収されやすくなる。すなわち、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除すると、サイド接合部6よりも幅方向xの外方側にはほとんどトップシート2が存在せず、トップシート2を介さずに吸収性コア4が存在することとなるため、軟便等が速やかに吸収性コア4に吸収されやすくなる。
【0050】
サイド接合部6は、吸収性コア4の中間部4Bと重なって設けられ、弱化部6Wにおけるサイド接合部6の接合強度が、吸収性コア4の中間部4Bと重なる部分におけるサイド接合部6の接合強度よりも小さく形成されていることが好ましい。この場合、サイド接合部6は吸収性コア4の後側部4Cから中間部4Bにかけて重なって形成されるため、トップシート2上の中間部4Bと重なる部分に溜まった軟便等を、吸収性コア4の後側部4Cと重なって形成されたポケット(すなわちサイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間)に誘導することが容易になる。
【0051】
サイド接合部6は、前後方向yに直線状に延び、幅方向xに複数列配置された接合部から構成されてもよい。このようにサイド接合部6が構成された例を図5に示した。図5には、図1に示した吸収性物品1の後側部の変形例が示されている。
【0052】
図5では、サイド接合部6は、前後方向yに直線状に延びるように形成された接合部6aと接合部6bから構成され、接合部6aと接合部6bが幅方向xに並んで配置されている。この場合、サイド接合部6を構成する各接合部が、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分に弱化部6Wを有することが好ましい。
【0053】
サイド接合部6が前後方向yに直線状に延びる複数の接合部から構成される場合、サイド接合部6のうち、最も幅方向xの内方側に配置された接合部における弱化部6Wの接合強度が、それよりも幅方向xの外方側に配置された接合部における弱化部6Wの接合強度よりも大きいことが好ましい。図5に示した態様では、幅方向xの内方側に配置された接合部6aにおける弱化部6Wの接合強度が、幅方向xの外方側に配置された接合部6bにおける弱化部6Wの接合強度よりも大きいことが好ましい。
【0054】
上記のようにサイド接合部6が構成されることにより、吸収性物品1の使用の際、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合が解除されにくくなり、トップシート2上に排泄された尿や軟便等が防漏フラップ7の間に保持されやすくなる。吸収性物品1の使用後は、弱化部6Wにおいて幅方向xの内方側に配置された接合部6aの接合を解除することで、それに伴い、それより幅方向xの外方側に配置された接合部6bの接合も解除しやすくなる。そのため、弱化部6Wにおけるサイド接合部6の接合を解除することが容易になる。
【0055】
サイド接合部6が前後方向yに直線状に延びる複数の接合部から構成される場合、サイド接合部6のうち、最も幅方向xの内方側に配置された接合部が弱化部6Wにおいて前後方向yに連続的に設けられ、最も幅方向xの外方側に配置された接合部が弱化部6Wにおいて前後方向yに断続的に設けられることも好ましい。図5に示した態様では、幅方向xの内方側に配置された接合部6aが弱化部6Wにおいて前後方向yに連続的に設けられ、幅方向xの外方側に配置された接合部6bが弱化部6Wにおいて前後方向yに断続的に設けられることが好ましい。
【0056】
上記のようにサイド接合部6が構成されることにより、吸収性物品1を使用の際、トップシート2上に排泄された尿や軟便が防漏フラップ7によって確実にせき止められ、尿や軟便がサイド接合部6の弱化部6Wを幅方向xの外方に越えて移行することが抑えられる。一方、吸収性物品1の使用後は、サイド接合部6の弱化部6Wでの接合を解除しやすくなる。なお、最も幅方向xの外方側に配置された接合部は、弱化部6Wにおいてトップシート2とサイドシート5が全く接合されていなくてもよく、この場合も弱化部6Wにおいて接合部が断続的に設けられることとなる。サイド接合部6が前後方向yに直線状に延びる3つ以上の接合部から構成される場合は、最も幅方向xの内方側に配置された接合部と最も幅方向xの外方側に配置された接合部の間に配置された接合部は、弱化部6Wにおいて前後方向yに連続的に設けられてもよく断続的に設けられてもよい。
【0057】
サイド接合部6が前後方向yに直線状に延びる複数の接合部から構成される場合、最も幅方向xの内方側に配置された接合部における弱化部6Wの接合強度は、当該接合部が吸収性コア4の中間部4Bと重なる部分またはそれよりも幅方向xの外方側の部分における接合部の接合強度よりも小さく形成されることが好ましい。これにより、弱化部6Wにおいて、サイド接合部6のトップシート2とサイドシート5との接合を解除することが容易になる。
【0058】
図面には示されていないが、サイド接合部6の弱化部6Wは、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分に形成され、さらに吸収性コア4の前側部4Aと重なる部分にも形成されてもよい。この場合、吸収性コア4は砂時計形状に形成されていることが好ましく、また、吸収性コア4は、前側部4Aにおいて、トップシート2の幅方向xの外縁より幅方向xの外方に延在していることが好ましい。このように、サイド接合部6の吸収性コア4の前側部4Aと重なる部分に弱化部6Wが形成されていれば、トップシート2上で軟便が前側部4Aと重なる部分まで広がった場合など、前側部4Aと重なる弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除することにより、サイドシート5と吸収性コア4の前側部4Aとの間の空間に軟便等を流し込むことができる。なお、弱化部6Wは、吸収性コア4の後側部4Cと重なる部分のみに形成されることが好ましい。
【0059】
吸収性物品1は、サイド接合部6よりも幅方向xの外方側に第2サイド接合部が設けられてもよい。このように構成された吸収性物品の構成例を図6図8に示した。図6図8には、図1図4に示した吸収性物品1において、サイド接合部6よりも幅方向xの外方側に第2サイド接合部9が設けられた構成例が示されている。図6は、吸収性物品(尿パッド)を肌面側から見た平面図を表し、図7は、図6に示した吸収性物品のVII-VII断面図を表し、図8は、図6に示した吸収性物品のVIII-VIII断面図を表す。
【0060】
図6図8に示した吸収性物品1では、サイド接合部6よりも幅方向xの外方側に、サイドシート5が吸収性コア4とバックシートに接合された第2サイド接合部9が設けられている。第2サイド接合部9は、吸収性コア4の前側部4Aと後側部4Cと重なって設けられるとともに、吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側に設けられ、吸収性コア4の前側部4Aと後側部4Cと重なる部分でサイドシート5と吸収性コア4を接合し、吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側においてサイドシート5とバックシートを接合している。第2サイド接合部9が設けられることにより、吸収性物品1の使用後、弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除する際、吸収性コア4の中間部4Bよりも幅方向xの外方側においてサイドシート5とバックシートとの接合が維持されやすくなり、吸収性物品1を破損することが起こりにくくなる。そのため、より安定して弱化部6Wでのサイド接合部6の接合を解除することができ、吸収性物品1を衛生的に処理することが可能となる。なお、吸収性コア4が羽子板形状に形成される場合は、第2サイド接合部9は、吸収性コア4の前側部4Aと重なって設けられずに、吸収性コア4の前側部4Aよりも幅方向xの外方側に設けられることが好ましい。この場合、第2サイド接合部9は、後側部4Cと重なる部分でサイドシート5と吸収性コア4を接合し、吸収性コア4の前側部4Aと中間部4Bよりも幅方向xの外方側においてサイドシート5とバックシートを接合していることが好ましい。
【0061】
第2サイド接合部9は接着または溶着により形成することができるが、接着により形成されることが好ましい。これにより、第2サイド接合部9において、吸収性コア4の後側部4C(あるいはさらに前側部4A)をサイドシート5と接合することが容易になる。第2サイド接合部9は、前後方向yに直線状に延び、幅方向xに複数列配置された接合部から構成されてもよい。サイド接合部6を接着により形成し、第2サイド接合部9を接着により形成する場合は、サイド接合部6に用いられる接着剤と第2サイド接合部9に用いられる接着剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0062】
トップシート2上に溜まった軟便等をサイドシート5と吸収性コア4の後側部4Cとの間の空間に流し込んだ際に、軟便等が速やかに吸収性コア4に吸収されるようにする点から、吸収性コア4の後側部4Cの弱化部6Wよりも幅方向xの外方部分には、吸収性コア4の肌面側に軟便等の誘導路が形成されていることが好ましい(図示せず)。誘導路は凹溝や凸条として形成することができ、吸収性コア4の肌面側に窪んだ部分を形成したり、あるいは盛り上がった部分を形成することにより、吸収性コア4に凹溝や凸条を形成することができる。凹溝または凸条は、例えば、前後方向y、幅方向x、または前後方向yに対して斜め方向に延びるように形成される。これにより、軟便等が誘導路に沿って拡散しやすくなり、軟便等が吸収性コア4に速やかに吸収されやすくなる。誘導路は、弱化部6Wと重なる部分から、弱化部6Wよりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。
【0063】
以上、本発明の吸収性物品について図面を参照して説明したが、本発明の吸収性物品は図面に示したような尿パッドに限定されず、使い捨ておむつや軽失禁パッド、生理用ナプキンであってもよい。
【0064】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成される。前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
【0065】
使い捨ておむつは、テープタイプの使い捨ておむつであってもよく、パンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。テープタイプの使い捨ておむつは、例えば、後背部の幅方向の両端部に止着部材が設けられて構成され、当該止着部材を前腹部に止着することにより、着用時にパンツ形状に形成することができる。パンツタイプの使い捨ておむつは、ウェスト開口部と一対の脚開口部とを有するパンツ形状を有し、着用前からパンツ形状に形成されているものである。
【0066】
吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有するように形成される。使い捨ておむつはまた、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された吸収性本体を設けて構成することもできる。後者の場合、外装部材をパンツ形状に形成することで、パンツタイプの使い捨ておむつとすることができる。いずれの場合も、上記に説明したようにトップシートとサイドシートをサイド接合部で接合し、サイド接合部の一部に弱化部を設けることにより、本発明の吸収性物品とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1:吸収性物品
2:トップシート
3:バックシート
4:吸収性コア、4A:前側部、4B:中間部、4C:後側部
5:サイドシート
6:サイド接合部、6W:弱化部
7:防漏フラップ
8:フラップ弾性部材
9:第2サイド接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8