(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148205
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20231005BHJP
A63B 69/36 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B69/36 532B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056107
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】島田 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大倫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 宗一郎
(57)【要約】
【課題】身体動作時に足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を、表示装置に分かりやすく表示する。
【解決手段】表示制御装置40は、ゴルフスイングを行うユーザーの映像、及びゴルフスイング時にユーザーの足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置30に表示させる。表示制御装置40は、映像処理部42と、足圧処理部45とを備える。映像処理部42は、撮影装置20により撮影された映像を表示装置30に表示させる。足圧処理部45は、ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサから取得した検出値に基づいて足圧情報を取得するとともに、表示装置30に表示されている映像のタイミングにおける足圧情報を表示装置30に表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体動作を行うユーザーの映像、及び身体動作時に前記ユーザーの足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置に表示させる表示制御装置であって、
撮影装置により撮影された前記映像を前記表示装置に表示させる映像処理部と、
前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサから取得した検出値に基づいて前記足圧情報を取得するとともに、前記表示装置に表示されている前記映像のタイミングにおける前記足圧情報を前記表示装置に表示させる足圧処理部とを備えることを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
前記足圧情報は、片足ごとの足圧中心の位置を示す情報、両足の足圧中心の位置を示す情報、片足ごと又は両足の足圧中心の移動軌跡を示す情報、左足及び右足に加わる足圧の比率を示す情報、並びに片足ごと又は両足における前後の足圧の比率を示す情報から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記足圧処理部は、前記足圧情報に基づいて、前記表示装置における前記映像を表示する画面に表示されている特定の視覚的要素の描画色を設定する請求項1又は請求項2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記ユーザーの身体動作時における骨格の状態を示す骨格情報を表す骨格描画を前記映像に重ねて表示させる骨格処理部を備え、
前記特定の視覚的要素は、前記骨格描画である請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
前記ユーザーの身体動作に伴って移動する部位の移動軌跡を示す軌跡描画を前記映像に重ねて表示させる軌跡処理部を備え、
前記特定の視覚的要素は、前記軌跡描画である請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項6】
表示装置と、
身体動作を行うユーザーの映像を撮影する撮影装置と、
前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサと、
請求項1~5のいずれか一項に記載の表示制御装置とを備える表示システム。
【請求項7】
身体動作を行うユーザーの映像、及び前記ユーザーの身体動作時に足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置に表示させる表示制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
撮影装置により撮影された前記映像を前記表示装置に表示させる処理と、
前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサから取得した検出値に基づいて前記足圧情報を取得するとともに、前記表示装置に表示されている前記映像のタイミングにおける前記足圧情報を前記表示装置に表示させる処理とを前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示制御装置、表示システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポーツ分野及びヘルスケア分野において、ユーザーの足裏に加わる圧力を測定する機能を有する履物を利用してユーザーの身体動作の良否などを解析する技術が知られている。例えば、特許文献1は、ボール飛行に関する情報、足裏に加わる圧力などの身体動作に関する情報を収集、記憶、及び評価するゴルフスイング評価システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術のゴルフスイング評価システムは、身体動作における所定のタイミングごとに、足裏に加わる圧力がどのような状態であるかをユーザーに分かりやすく表示する点において改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する表示制御装置は、身体動作を行うユーザーの映像、及び身体動作時に前記ユーザーの足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置に表示させる表示制御装置であって、撮影装置により撮影された前記映像を前記表示装置に表示させる映像処理部と、前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサから取得した検出値に基づいて前記足圧情報を取得するとともに、前記表示装置に表示されている前記映像のタイミングにおける前記足圧情報を前記表示装置に表示させる足圧処理部とを備える。
【0006】
上記構成によれば、表示装置には、身体動作を行うユーザーの映像が表示されるとともに、表示されている映像のタイミングにおける足圧情報が表示される。そのため、ユーザーは、表示装置に表示されている身体動作の変化に着目して表示装置を確認することにより、身体動作中の任意のタイミングにおける足圧の状態を容易に理解できる。したがって、上記構成の表示制御装置によれば、身体動作中の足圧情報を表示装置に分かりやすく表示できる。
【0007】
表示制御装置の一態様における、前記足圧情報は、片足ごとの足圧中心の位置を示す情報、両足の足圧中心の位置を示す情報、片足ごと又は両足の足圧中心の移動軌跡を示す情報、左足及び右足に加わる足圧の比率を示す情報、並びに片足ごと又は両足における前後の足圧の比率を示す情報から選ばれる少なくとも一種である。
【0008】
上記構成によれば、身体動作中の足圧のバランスに関する情報又は重心移動に関する情報を表示装置に分かりやすく表示できる。そのため、身体動作中の足圧のバランス又は重心移動を分析する場合に有用である。
【0009】
表示制御装置の一態様における、前記足圧処理部は、前記足圧情報に基づいて、前記表示装置における前記映像を表示する画面に表示されている特定の視覚的要素の描画色を設定する。
【0010】
表示制御装置の一態様は、前記ユーザーの身体動作時における骨格の状態を示す骨格情報を表す骨格描画を前記映像に重ねて表示させる骨格処理部を備え、前記特定の視覚的要素は、前記骨格描画である。
【0011】
表示制御装置の一態様は、前記ユーザーの身体動作に伴って移動する部位の移動軌跡を示す軌跡描画を前記映像に重ねて表示させる軌跡処理部を備え、前記特定の視覚的要素は、前記軌跡描画である。
【0012】
上記の各構成によれば、表示装置における身体動作の映像を表示する画面に表示されている身体動作のタイミングにおける足圧情報が、当該画面に表示される視覚的要素の描画色として間接的に表示される。そのため、ユーザーは、身体動作の映像を表示する画面のみを確認することで、当該画面に表示されている身体動作のタイミングにおける足圧情報を把握できる。したがって、上記構成の表示制御装置によれば、身体動作中における足圧情報を、表示装置に更に分かりやすく表示できる。
【0013】
上記課題を解決する表示制御装置は、表示装置と、身体動作を行うユーザーの映像を撮影する撮影装置と、前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサと、上記表示制御装置とを備える。
【0014】
上記課題を解決するプログラムは、身体動作を行うユーザーの映像、及び前記ユーザーの身体動作時に足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置に表示させる表示制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、撮影装置により撮影された前記映像を前記表示装置に表示させる処理と、前記ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサから取得した検出値に基づいて前記足圧情報を取得するとともに、前記表示装置に表示されている前記映像のタイミングにおける前記足圧情報を前記表示装置に表示させる処理とを前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、身体動作時に足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を、表示装置に分かりやすく表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】(a)、(b)は、表示装置の表示画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の表示制御装置を備える表示システムの一実施形態を説明する。
表示システムは、身体動作を行うユーザーの映像、及びユーザーの身体動作時に足裏に加わる圧力(以下、足圧と記載する。)に基づく足圧情報を表示装置に表示させる。表示システムの表示対象となる身体動作は、足圧の変化を伴う身体動作である。当該身体動作としては、例えば、ゴルフ、野球、ホッケーなどのゴルフスイング、ボールのスローイング、サッカーなどのキック、ランニング、ウォーキングといったスポーツ分野及びヘルスケア分野における各種の身体動作が挙げられる。以下では、一例として、表示対象となる身体動作がゴルフスイングである場合について説明する。
【0018】
図1に示すように、表示システムAは、ユーザーの両足の足裏に加わる圧力を検出する足圧センサ10と、ユーザーのゴルフスイングの映像を撮影する撮影装置20を備える。また、表示システムAは、表示装置30と、表示装置30に表示される内容を制御する表示制御装置40とを更に備える。
【0019】
[足圧センサ、撮影装置、表示装置]
図2に示すように、足圧センサ10は、ゴルフシューズなどの履物の中敷きとして適用される基材11と、基材11に取り付けられる複数のセンサ部12を備える。足圧センサ10は、各センサ部12による検出値、及び各検出値が検出された時間を示す時間情報を表示制御装置40に出力するように構成されている。
【0020】
センサ部12は、縦横に並設された複数の圧力センサ12aからなり、足裏に加わる部位ごとの圧力を経時的に検出する。センサ部12は、基材11における指の付け根部分の複数箇所及び踵部分の複数箇所にそれぞれ配置されている。基材11における圧力センサ12aの配置は特に限定されるものでなく、表示対象となるユーザーの身体動作に応じて適宜、設定できる。
【0021】
圧力センサ12aとしては、圧電素子等を用いた公知の感圧センサを用いることができる。特に、足裏に配置されるという使用状況に鑑みると、伸縮性及び耐久性の観点から、誘電エラストマーを利用したエラストマー製の圧電素子を用いることが好ましい。上記誘電エラストマーとしては、例えば、架橋されたポリロタキサン、シリコーンエラストマー、アクリルエラストマー、ウレタンエラストマーが挙げられる。
【0022】
撮影装置20は、ユーザーのゴルフスイングの映像を撮影できるものであれば特に限定されない。撮影装置20としては、例えば、ビデオカメラ、携帯電話やタブレット端末に搭載されているカメラが挙げられる。撮影装置20は、撮影された映像のデータ、及び当該映像が撮影された時間を示す時間情報を表示制御装置40に出力するように構成されている。
【0023】
撮影装置20により撮影される映像の撮影方向は特に限定されるものではない。撮影装置20により撮影される映像は、例えば、ユーザーの後方側から撮影した映像であってもよいし、ユーザーの正面側から撮影した映像であってもよい。
【0024】
表示装置30は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスである。表示装置30は、表示画面を備える携帯電話及びタブレット端末であってもよい。
【0025】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、表示装置30は、表示制御装置40により制御された表示内容を表示する表示画面31を備える。表示画面31の上部には、撮影装置20により撮影されたゴルフスイングの映像を表示する映像表示画面32が設けられている。表示画面31の下部には、足圧センサ10の検出値に基づく足圧情報を表示する足圧表示画面33が設けられている。
【0026】
映像表示画面32には、ゴルフスイングの映像である動画又は静止画を表示する映像表示部32a、及び映像表示部32aに表示されている映像を操作するための操作アイコンが表示される操作部32bが設けられている。操作部32bに表示される操作アイコンは、再生・停止ボタン34a、コマ戻しボタン34b、コマ送りボタン34c、シークバー34d、タイミング指定ボタン34eである。操作アイコンは特に限定されるものでなく、公知の動画再生ソフトに設けられるものを適用できる。
【0027】
操作部32bに表示される操作アイコンに対する操作は、例えば、図示しないポインティングデバイスによる入力操作、タッチパネルに対するタッチ操作により行われる。ポインティングデバイスは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウスである。
【0028】
[表示制御装置]
表示制御装置40は、例えば、サーバ、PC(Personal Computer)、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末である。
【0029】
図1に示すように、表示制御装置40は、送受信部41、映像処理部42、骨格処理部43、軌跡処理部44、足圧処理部45、及び記憶部46を備える。
送受信部41は、表示制御装置40と足圧センサ10及び撮影装置20との間、並びに表示制御装置40と表示装置30との間でデータの送受信を行う。送受信部41は、有線又は無線の通信手段を有し、公知の通信方式にて相互の通信を行う。公知の通信方式としては、例えば、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)通信等の近距離無線通信が挙げられる。
【0030】
映像処理部42は、撮影装置20から入力されたゴルフスイングの映像に基づいて、1回のゴルフスイングを行っている期間である動作期間、及び1回のゴルフスイングに含まれる動作タイミングを決定する処理を行う。
【0031】
動作タイミングは、表示対象となる身体動作に応じて予め設定されている。表示対象となる身体動作がゴルフスイングである本実施形態においては、動作タイミングは、アドレスのタイミング、トップのタイミング、インパクトのタイミング、及びフィニッシュのタイミングである。動作タイミングは特に限定されるものではなく、任意に設定できる。
【0032】
動作期間及び動作タイミングを決定する方法は特に限定されるものでなく、撮影装置20から入力されたゴルフスイングの映像を公知の手法により解析して決定すればよい。例えば、映像処理部42は、動作タイミングごとに予め設定されている条件に基づいて、ゴルフスイングの映像からアドレスのタイミング、トップのタイミング、インパクトのタイミング、及びフィニッシュのタイミングを抽出する処理を行う。その後、映像処理部42は、抽出したアドレスのタイミングの数フレーム前の時点から、抽出したフィニッシュのタイミングの数フレーム後の時点までの期間を動作期間として決定する処理を行う。
【0033】
動作期間及び動作タイミングの決定後、映像処理部42は、決定された動作期間の映像を映像表示部32aに表示する処理を行う。また、映像処理部42は、映像表示画面32の操作部32bにおけるタイミング指定ボタン34eの表示位置を設定する処理を行う。タイミング指定ボタン34eは、アドレスのタイミング、トップのタイミング、インパクトのタイミング、フィニッシュの各動作タイミングを指定する操作アイコンである。
図3(a)及び
図3(b)において、タイミング指定ボタン34eはそれぞれ「A」、「T」、「I」、「F」で示されている。映像処理部42は、シークバー34dにおける、決定された各動作タイミングに該当する時点の下方に、各動作タイミングに対応するタイミング指定ボタン34eの表示位置を設定する。
【0034】
映像処理部42における上記の各処理は、例えば、撮影された映像のデータが撮影装置20から入力されたタイミング、又は表示制御装置40に対してユーザーによる所定の操作が行われたタイミングで実行される。
【0035】
また、映像表示画面32の操作部32bに対して操作が行われた場合、映像処理部42は、行われた操作の内容に応じた映像を映像表示部32aに表示する処理を行う。なお、タイミング指定ボタン34eに対する操作が行われた場合、映像処理部42は、操作が行われたタイミング指定ボタン34eに対応する動作タイミングの映像を映像表示部32aに表示する処理を行う。
【0036】
骨格処理部43は、撮影装置20から入力されたゴルフスイングの映像に基づいて、映像中のゴルフスイングを行っているユーザーの骨格の状態を示す骨格描画を作成する処理を行う。そして、骨格処理部43は、作成した骨格描画を、映像表示部32aに表示されている映像に重ねて表示する処理を行う。映像表示部32aに表示される骨格描画は、映像表示部32aに表示されている映像に同期している。つまり、映像表示部32aに表示される骨格描画は、映像表示部32aに表示されている映像のタイミングにおける骨格の状態を示している。
【0037】
図3(a)及び
図3(b)においては、ゴルフスイングを行っているユーザーの関節の位置を示す点と、関節の位置を示す点同士を接続する線との組み合わせによって骨格描画が表現されている。骨格描画の表現方法は特に限定されるものではなく、公知の骨格描画を適宜、適用できる。また、ゴルフスイングの映像から骨格描画を作成する方法は特に限定されるものでなく、ゴルフスイングの映像を公知の手法により解析することにより作成すればよい。
【0038】
骨格処理部43における上記の各処理は、例えば、撮影された映像のデータが撮影装置20から入力されたタイミング、又は表示制御装置40に対してユーザーによる所定の操作が行われたタイミングで実行される。
【0039】
軌跡処理部44は、撮影装置20から入力されたゴルフスイングの映像、及び映像処理部42にて決定された各動作タイミングに基づいて、映像中のゴルフクラブのヘッド部分の軌跡を示す軌跡描画を作成する処理を行う。そして、軌跡処理部44は、作成した軌跡描画を映像表示部32aに表示されている映像に重ねて表示する処理を行う。
【0040】
図3(a)は、トップのタイミングが表示されている状態を示している。
図3(a)においては、軌跡描画として、アドレスからトップまでの期間の動作であるテイクバックにおけるヘッド部分の軌跡が鎖線で示されている。
図3(b)は、インパクトのタイミングが表示されている状態を示している。
図3(b)においては、軌跡描画として、テイクバックにおけるヘッド部分の軌跡に加えて、トップからインパクトまでの期間の動作であるダウンスイングにおけるヘッド部分の軌跡が一点鎖線で示されている。また、図示は省略するが、フィニッシュのタイミングが表示されている状態では、テイクバック及びダウンスイングにおけるヘッド部分の軌跡に加えて、インパクトからフィニッシュまでの期間の動作であるフォロースルーにおけるヘッド部分の軌跡が示される。
【0041】
軌跡描画の表現方法は特に限定されるものではなく、公知の軌跡描画を適宜、適用できる。また、ゴルフスイングの映像から軌跡描画を作成する方法は特に限定されるものでなく、ゴルフスイングの映像を公知の手法により解析することにより作成すればよい。
【0042】
軌跡処理部44における上記の各処理は、例えば、撮影された映像のデータが撮影装置20から入力されたタイミング、又は表示制御装置40に対してユーザーによる所定の操作が行われたタイミングで実行される。
【0043】
足圧処理部45は、足圧センサ10から入力された検出値及び時間情報に基づいて、映像処理部42にて決定された動作期間における足圧情報を作成する処理を行う。足圧情報は、ゴルフスイング時の足圧の状態を示す情報である。本実施形態では、一例として、足圧情報が、左足及び右足に加わる足圧の比率を示す情報である場合について説明する。
【0044】
足圧情報が作成された後、足圧処理部45は、作成した足圧情報を含む画像を作成する処理、及び作成した画像を表示画面31の足圧表示画面33に表示する処理を行う。
図3(a)及び
図3(b)においては、左足及び右足の足圧の合計に占める左足の足圧の割合及び右足の足圧の割合を示す棒グラフが足圧表示画面33に表示されている。
図3(a)の足圧表示画面33の棒グラフは、右足の足圧が大きい状態であることを示し、
図3(b)の足圧表示画面33の棒グラフは、左足の足圧が大きい状態であることを示している。
【0045】
また、足圧処理部45は、作成した足圧情報に基づいて、足圧の状態が予め設定された複数の状態のうちのどの状態に該当しているかを判定する処理を行う。本実施形態においては、上記複数の状態は、左右の足圧が同程度である状態、左足の足圧が大きい状態、右足の足圧が大きい状態の3つの状態である。そして、足圧処理部45は、上記判定の結果に基づいて、映像表示部32aに表示される骨格描画の描画色を、足圧の状態ごとに予め決められた色に設定する処理を行う。
【0046】
例えば、
図3(a)に示すように、右足の足圧が大きい状態である場合、足圧処理部45は、映像表示部32aに表示される骨格描画の描画色を赤色に設定する。また、
図3(b)に示すように、左足の足圧が大きい状態である場合、足圧処理部45は、映像表示部32aに表示される骨格描画の描画色を青色に設定する。なお、足圧情報に基づいて予め設定される複数の足圧の状態は特に限定されるものではなく、足圧情報の種類などに応じて任意に設定できる。
【0047】
足圧処理部45における上記の各処理は、例えば、撮影された映像のデータが撮影装置20から入力されたタイミング、又は表示制御装置40に対してユーザーによる所定の操作が行われたタイミングで実行される。
【0048】
映像処理部42、骨格処理部43、軌跡処理部44、及び足圧処理部45は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。
【0049】
記憶部46には、映像処理部42により決定された動作期間の映像が記憶されるとともに、当該映像に紐づけた状態にて、骨格描画、軌跡描画、及び足圧の比率を示す画像が記憶される。なお、記憶部46に記憶される骨格描画の情報は、足圧処理部45により設定された描画色に関する情報を含む。また、記憶部46には、映像処理部42、骨格処理部43、軌跡処理部44、及び足圧処理部45における各処理の実行を制御するためのプログラム46aが記憶されている。プログラム46aは、身体動作を行うユーザーの映像、及びユーザーの身体動作時に足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置に表示させる表示制御装置40としてコンピュータを機能させるためのプログラムに相当する。
【0050】
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態の表示制御装置40によれば、表示装置30の映像表示画面32に、ゴルフスイングを行うユーザーの映像が表示される。そして、表示装置30の足圧表示画面33に、映像表示画面32に再生されているタイミングにおける足圧の比率を示す画像が表示される。映像表示画面32に表示されるゴルフスイングの映像が再生中の動画である場合、足圧表示画面33には、足圧の比率が連続的に時間変化する画像が表示される。そして、映像表示画面32に表示されている映像を一時停止した場合、足圧表示画面33には、停止されたタイミングにおける足圧の比率を示す画像が表示される。したがって、ユーザーは、映像表示画面32に表示されるゴルフスイングの動作変化に着目して足圧表示画面33を確認することにより、ゴルフスイング中の任意のタイミングにおける足圧の比率の状態、及びゴルフスイング中における足圧の比率の時間変化を容易に理解できる。
【0051】
さらに、表示装置30の映像表示画面32には、映像に映っているユーザーの骨格の状態を示す骨格描画が、ゴルフスイングの映像に重ねて表示される。したがって、映像表示画面32に表示されるゴルフスイングの動作変化と併せて、ゴルフスイング中の骨格の状態を把握できる。
【0052】
また、映像表示画面32に表示される骨格描画は、映像表示画面32に表示されているタイミングにおける足圧の比率に応じた描画色で表示される。換言すると、映像表示画面32に表示されているタイミングにおける足圧の比率が、映像表示画面32に表示される骨格描画の描画色として間接的に表示される。そのため、ユーザーは、足圧表示画面33を確認せずとも、映像表示画面32に表示される骨格描画の描画色を確認することで、映像表示画面32に表示されているタイミングにおける足圧の比率を把握できる。この場合、ユーザーは、映像表示画面32と足圧表示画面33の二つの画面の表示内容を同時に把握して一致させる作業によって論理的に理解できる情報を、映像表示画面32の表示内容を確認するのみで感覚的に理解できる。
【0053】
次に、本実施形態の効果について記載する。
(1)表示制御装置40は、ゴルフスイングを行うユーザーの映像、及びゴルフスイング時にユーザーの足裏に加わる圧力に基づく足圧情報を表示装置30に表示させる。表示制御装置40は、映像処理部42と、足圧処理部45とを備える。映像処理部42は、撮影装置20により撮影された映像を表示装置30に表示させる。足圧処理部45は、ユーザーの足裏に加わる圧力を検出する足圧センサ10から取得した検出値に基づいて足圧情報を取得するとともに、表示装置30に表示されている映像のタイミングにおける足圧情報を表示装置30に表示させる。
【0054】
上記構成によれば、ユーザーは、映像表示画面32に表示されるゴルフスイングの動作変化に着目して表示装置30を確認することにより、ゴルフスイング中の任意のタイミングにおける足圧の状態、及びゴルフスイング中における足圧の時間変化を容易に理解できる。したがって、ゴルフスイング中における足圧情報を、表示装置30に分かりやすく表示できる。
【0055】
(2)足圧情報は、左足及び右足に加わる足圧の比率を示す情報である。
上記構成によれば、ゴルフスイング中の足圧のバランスに関する情報を表示装置30に分かりやすく表示できる。そのため、ゴルフスイング中の足圧のバランスに着目してゴルフスイングを分析する場合に有用である。
【0056】
(3)表示制御装置40は、骨格処理部43を備える。骨格処理部43は、ユーザーのゴルフスイング中の骨格の状態を示す骨格情報を表す骨格描画を映像に重ねて表示させる。足圧処理部45は、足圧情報に基づいて、骨格描画の描画色を設定する。
【0057】
上記構成によれば、映像表示画面32に表示されているタイミングにおける足圧の比率が、映像表示画面32に表示される骨格描画の描画色として間接的に表示される。そのため、ユーザーは、足圧表示画面33を確認せずとも、映像表示画面32に表示される骨格描画の描画色を確認することで、映像表示画面32に表示されているタイミングにおける足圧の比率を把握できる。したがって、ゴルフスイング中における足圧の比率に関する情報を、表示装置30に更に分かりやすく表示できる。
【0058】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・足圧センサ10から入力された検出値に基づいて作成される足圧情報は、左足及び右足に加わる足圧の比率に限定されない。例えば、足圧情報は、片足ごと又は両足における前後(つま先側と踵側)の足圧の比率を示す情報であってもよい。この場合にも、上記(2)と同様の効果が得られる。
【0059】
また、足圧情報は、右足及び左足の片足ごとの足圧中心の位置を示す情報、両足の足圧中心の位置を示す情報、片足ごと又は両足の足圧中心の移動軌跡を示す情報であってもよい。この場合には、足圧中心の移動、即ち重心移動に着目してゴルフスイングを分析する場合に有用である。また、足圧情報は、片足ごと又は両足に加わる足圧の総荷重の時間変化を示す情報、即ち、踏み込みの強さの時間変化を示す情報であってもよい。
【0060】
・足圧表示画面33に表示される画像を変更してもよい。また、複数種類の足圧情報が作成された場合において、作成した複数の足圧情報を示す画像を作成し、足圧表示画面33に表示するようにしてもよい。この場合、複数の足圧情報を含む画像を作成して足圧表示画面33に表示させてもよいし、足圧情報ごとに異なる画像を作成して、ユーザーの操作に基づいて足圧表示画面33に表示される画像を切り替える構成としてもよい。
【0061】
例えば、
図4は、両足における前後の足圧の比率を示す画像が足圧表示画面33に表示されている状態を図示している。
図5は、複数の足圧情報を含む画像が足圧表示画面33に表示されている状態を図示している。
図5に示す画像には、左右の足圧の比率を示すゲージ35a、前後の足圧を示すゲージ35b、片足における足圧の分布を濃淡で示すとともに片足の足圧中心P1が示された足形35cが含まれている。さらに、
図5に示す画像には、両足の足圧中心P2及び足圧中心P2の移動軌跡35dが含まれている。
【0062】
・映像表示画面32に表示されている骨格描画以外の視覚的要素の描画色を足圧情報に基づいて設定することにより、映像表示画面32に足圧情報を間接的に描画してもよい。他の視覚的要素としては、例えば、軌跡描画、シークバー34dなどの操作アイコン、映像表示画面32の画面枠が挙げられる。また、描画色を設定する視覚的要素は、映像表示画面32に表示されている映像におけるユーザーの体の一部であってもよい。例えば、左足の足圧が大きい状態である場合には、ユーザーの左足を赤く表示し、右足の足圧が大きい状態である場合には、ユーザーの右足を赤く表示する。
【0063】
さらに、映像表示画面32に表示されている2以上の視覚的要素の描画色を足圧情報に基づいて設定する構成としてもよい。例えば、左右の足圧比率に基づいて骨格描画の描画色を設定するとともに、前後の足圧比率に基づいて映像表示画面32の画面枠の描画色を設定する。また、足圧処理部45に関して、映像表示画面32に表示されている視覚的要素の描画色を設定する処理を省略してもよい。
【0064】
・軌跡処理部44により作成される軌跡描画は、ゴルフクラブのヘッド部分の移動軌跡を示すものに限定されない。例えば、映像中のユーザーの体の一部、例えば、腕部分の移動軌跡を示すものであってもよい。また、表示対象となる身体動作がウォーキングである場合には、軌跡描画は、映像中のユーザーの足部分の移動軌跡を示すものであってもよい。
【0065】
・骨格処理部43及び軌跡処理部44のいずれか一方又は両方を省略してもよい。
・表示制御装置40は、足圧情報以外の身体動作に伴う情報を表示装置30に表示させる追加情報処理部を備えていてもよい。足圧情報以外の身体動作に伴う情報としては、身体動作がゴルフスイングである場合、例えば、打ち出されたボールの弾道、飛距離、及び速度や、ユーザーのグリップ圧が挙げられる。また、身体動作がウォーキングやランニングである場合、心拍数、心電図が挙げられる。足圧情報以外の身体動作に伴う情報を表示装置30に表示させる場合、表示システムAには、必要時応じて、当該情報を取得するためのセンサが適宜、追加される。表示システムAも、上述と同様に、例えば心拍数や心電図を表示する数値色を足圧の比率に関連して設定してもよい。また、弾道、飛距離などの数値も、所定タイミング、例えばインパクト時の足圧の比率に関連して設定するようにすることで、上述と同様の効果が得られる。
【0066】
・映像処理部42により決定される動作タイミングは、表示対象となる身体動作の種類に応じて適宜、設定される。表示対象となる身体動作がウォーキングやランニングである場合の動作タイミングとしては、例えば、踵着地のタイミング、つま先離地のタイミング、踵離地のタイミング、つま先離地のタイミングが挙げられる。
【符号の説明】
【0067】
A…表示システム
10…足圧センサ
20…撮影装置
30…表示装置
40…表示制御装置
42…映像処理部
43…骨格処理部
44…軌跡処理部
45…足圧処理部
46…記憶部
46a…プログラム