(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148243
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】マルチカーエレベータの運行管理装置
(51)【国際特許分類】
B66B 1/18 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B66B1/18 C
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056155
(22)【出願日】2022-03-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HA02
3F502HB12
3F502JA86
3F502JA91
3F502LA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エレベータのサービス階に含まれないスペースにかごを退避させなくても、全てのかごが全てのサービス階に停止可能なマルチカーマルチカーエレベータの運行管理装置を提供する。
【解決手段】複数の昇降路を複数のかごが同時に移動可能なマルチカーエレベータの運行を管理するマルチカーエレベータの運行管理装置であって、複数のかご移動制御部及び前記複数の昇降駆動装置を群管理する群管理部を備え、複数の昇降駆動装置は複数のかごよりも少なくとも1つ多く設けられ、一のかごと一の昇降駆動装置とは結合又は離脱可能に構成され、群管理部は複数のかごと複数の昇降駆動装置とが結合及び離脱した組み合わせに基づいて、複数のかごのそれぞれの行先階に関する情報を含む経路データを作成すると共に複数のかご移動制御部と複数の昇降駆動装置に送信し、複数のかご移動制御部と複数の昇降駆動装置は経路データに基づいて複数のかごを移動させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降路と、
複数のかごと、
前記複数のかごと対をなし、横移動を制御する複数のかご移動制御部と、
前記複数の昇降路のそれぞれで昇降可能な複数の昇降駆動装置と、
前記複数の昇降駆動装置と対をなし、昇降移動を制御する複数の昇降移動制御部と、を備え、
前記複数の昇降路を前記複数のかごが同時に移動可能なマルチカーエレベータの運行を管理するマルチカーエレベータの運行管理装置であって、
前記複数のかご移動制御部及び前記複数の昇降駆動装置を群管理する群管理部を備え、
前記複数の昇降駆動装置は前記複数のかごよりも少なくとも1つ多く設けられ、一の前記かごと一の前記昇降駆動装置とは結合又は離脱可能に構成され、
前記群管理部は前記複数のかごと前記複数の昇降駆動装置とが結合及び離脱した組み合わせに基づいて、前記複数のかごのそれぞれの行先階に関する情報を含む経路データを作成すると共に前記複数のかご移動制御部と前記複数の昇降駆動装置に送信し、
前記複数のかご移動制御部と前記複数の昇降駆動装置は前記経路データに基づいて前記複数のかごを移動させるマルチカーエレベータの運行管理装置。
【請求項2】
前記群管理部は、前記経路データに一の前記かごの昇降路間の横移動が含まれる場合において、一の前記かごと結合状態にある昇降駆動装置と、移動先となるかごと結合を有しない状態にある昇降駆動装置とが隣接すると共に同一高さで停止したと判断した場合、一の前記かごのかご移動制御部に前記経路データに基づいて横移動させる請求項1に記載のマルチカーエレベータの運行管理装置。
【請求項3】
前記同一高さは前記かごの行先階の高さとする請求項2に記載のマルチカーエレベータの運行管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の昇降路内で複数台のかごが全ての階床に移動可能なエレベータの運行を管理するマルチカーエレベータの運行管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、昇降路の端部にエレベータのサービス階床に含まれないかごの退避スペースを設けたマルチカー式エレベータの群管理制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、エレベータのサービス階床に含まれない退避スペースを設けなければ上かごは最下階に停止することができないし、下かごは最上階に停止することができないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、エレベータのサービス階に含まれないスペースにかごを退避させなくても、全てのかごが全てのサービス階に停止可能なマルチカーエレベータの運行管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマルチカーエレベータの運行管理装置は、複数の昇降路と、複数のかごと、複数のかごと対をなし、横移動を制御する複数のかご移動制御部と、複数の昇降路のそれぞれで昇降可能な複数の昇降駆動装置と、複数の昇降駆動装置と対をし、昇降移動を制御する複数の昇降移動制御部と、を備え、複数の昇降路を複数のかごが同時に移動可能なエレベータの運行を管理するエレベータの運行管理装置であって、複数のかご移動制御部及び複数の昇降駆動装置を群管理する群管理部を備え、複数の昇降駆動装置は複数のかごよりも少なくとも1つ多く設けられ、一のかごと一の昇降駆動装置とは結合又は離脱可能に構成され、群管理部は複数のかごと複数の昇降駆動装置とが結合及び離脱した組み合わせに基づいて、複数のかごのそれぞれの行先階に関する情報を含む経路データを作成すると共に複数のかご移動制御部と複数の昇降駆動装置に送信し、複数のかご移動制御部と複数の昇降駆動装置は経路データに基づいて複数のかごを移動させる。
【0007】
かかる構成によれば、群管理部が作成した経路データに基づいて、複数のかご移動制御部と複数の昇降駆動装置が移動することで、複数のかごはそれぞれの行先階に移動することが可能になる。よって、群管理部が複数のかごと複数の昇降駆動装置とが結合及び離脱状態を管理することで衝突を防止しつつ、複数のかごを同時に移動することができる。
【0008】
また、群管理部は、経路データに一のかごの昇降路間の横移動が含まれる場合において、一のかごと結合状態にある昇降駆動装置と、移動先となるかごと結合を有しない状態にある昇降駆動装置とが隣接すると共に同一高さで停止したと判断した場合、一のかごのかご移動制御部に経路データに基づいて横移動させることもできる。
【0009】
かかる構成によれば、かごが横移動することが可能な状態になってから、かごは横移動を開始することが可能になる。
【0010】
また、同一高さはかごの行先階の高さとすることもできる。
【0011】
かかる構成によれば、かごの行先階の階床で停止して横移動をすることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、エレベータのサービス階に含まれないスペースにかごを退避させなくても、全てのかごが全てのサービス階に停止可能なマルチカーエレベータの運行管理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチカーエレベータの運行管理装置が設けられるマルチカーエレベータの概略図である。
【
図2】同エレベータの運行管理装置の群管理部の経路データ作成処理を示すフロー図である。
【
図3】同エレベータの運行管理装置の群管理部の経路データ判断処理を示すフロー図である。
【
図4】同エレベータの運行管理装置の移動制御部の処理を示すフロー図である。
【
図6】同エレベータの各昇降駆動装置の最上階及び最下階への停止または不停止を示す図である。
【
図7】同エレベータの運行管理装置の構成を示す第一ブロック図である。
【
図8】同エレベータの運行管理装置の構成を示す第二ブロック図である。
【
図9】同エレベータの運行管理装置の構成を示す第三ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るマルチカーエレベータの運行管理装置8を有するエレベータEの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図1は、前記エレベータEの基本構成を示している。このエレベータEは、隣り合うように配置される複数(
図1では2つ)の昇降路A,Bと、複数の昇降路A,Bを縦移動(上下移動)する又は昇降路A,B間を横移動する複数(
図1では3つ)のかごK1,K2,K3と、かごの運行を管理するマルチカーエレベータの運行管理装置8(
図7参照)と、を備える。マルチカーエレベータの運行管理装置8は、すべてのかごK1~K3の移動についての制御をする移動制御部81と、複数のかごK1~K3を群管理する群管理部82と、を備える(
図7参照)。群管理部82は、記憶部820と、制御部821と、を備えている。記憶部820は、ROMやRAMなどのメモリで構成される部分であり、記憶部820には、群管理の制御処理に必要な情報が保存される。制御部821は、CPUなどの処理装置で構成される部分であり、経路データ作成部822、判断部823の機能を有する。本実施形態で移動制御部81及び群管理部82は、かごに結合して移動する昇降駆動装置2~6を制御する。かごK1,K2,K3は、前方に乗り降りするための開閉可能な単数又は複数の扉を備える。
図1において、図の左右方向を左右方向(又は横方向)とし、図の上下方向を上下方向(又は縦方向)とし、紙面の貫通方向を前後方向として以下において説明する。尚、かごの個数は、複数の昇降路の数に対して少なくとも1つ多い個数とすることが好ましい。また、昇降駆動装置の個数は、複数のかごの数に対して少なくとも1つ多い個数とすることが好ましい。
図1では、2つの昇降路A,Bが近接した状態で隣り合うように配置されているが、昇降路A,B間に所定の距離を空けて昇降路A,Bを隣り合うように配置してもよい。
【0016】
各昇降路A又はBには、上下方向に延びる左右一対のガイドレール1,1と、ガイドレール1,1に案内されて昇降可能な複数(
図1では5つ)の第1~第5昇降駆動装置2~6と、を備えている。これら第1~第5昇降駆動装置2~6の昇降は、移動制御部81により制御される。
【0017】
各昇降駆動装置2~6は、かごK1に結合又は離脱可能に構成されるとともに、図示していない駆動部を備えていて、駆動部を駆動させることによって、結合されたかごK1をガイドレール1,1に沿って昇降させるように構成している。他の実施形態として、各昇降駆動装置2~6は、かごK1に結合又は離脱可能に構成されるとともに、図示していない吊りロープに連結され、該吊りロープを巻き上げる巻上機(図示せず)の駆動により、結合されたかごK1をガイドレール1,1に沿って昇降できるように構成してもよい。また、かごK1がかごK1を横移動させるための横移動用駆動部を有し、横移動用駆動部を駆動させることによって、特定の階又は任意の階で隣り合う昇降路間を移動できるように形成された移動通路をかごK1が移動できるように構成する。
【0018】
各かごK1の後面には、昇降駆動装置2,3,4,5,6の前面に備える凹部2A,3A,4A,5A,6Aのそれぞれに横方向から係合する係合部7を備えている。凹部2A,3A,4A,5A,6Aに係合部7が係合した状態で係合部7が横方向(左右方向)に移動することができるように、横移動手段を備えている。この横移動手段は、固定側となる昇降駆動装置2,3,4,5,6側にリニアガイド(リニアモータの一次側)を設けるとともに、可動側となる係合部7側にリニアモータの二次側を設けている。そして、リニアモータを駆動することにより、係合部7がリニアガイドに沿って横方向に移動することで、一方の昇降路Aから隣り合う他方の昇降路BへかごK1が移動できるように構成しているが、係合部7に駆動用車輪を設けて、駆動用車輪をモータにより駆動することにより係合部7が凹部に沿って横方向に移動することで、一方の昇降路Aから隣り合う他方の昇降路BへかごK1が移動できるように構成してもよい。
【0019】
図1では、左側の昇降路Aに3つの第1~第3昇降駆動装置2,3,4を備え、右側の昇降路Bに2つの第4~第5昇降駆動装置5,6を備えている。
図1では、最下方に位置しているかごK1が一方(左側)の昇降路A(
図7参照)から隣り合う他方(右側)の昇降路Bへ移動している途中の状態を示し、他方(右側)の昇降路Bへの移動が完了する(
図8参照)と、右側の昇降路Bを上昇して左側の昇降路AのかごK2を追い越してかごK2の上方に位置している昇降駆動装置4に移動する(
図9参照)ように構成されている。このように、他のかごが上方に位置している場合であっても、該他のかごを追い越して一のかごが他のかごよりも上方に移動することができるので、他のかごの位置にかかわらず、一のかごが全てのサービス階に移動できる。
【0020】
図7、
図8、
図9のブロック図では、群管理部82と移動制御部81(かご移動制御部811、昇降移動制御部812)と信号伝送可能に接続される。また、各昇降移動制御部812はそれぞれの昇降駆動装置2~6と各かご移動制御部811はかごK1~K3と信号伝送可能に接続される。
【0021】
図7において、昇降駆動装置2とかごK1を結ぶ二重線は、昇降駆動装置2の前面に備える凹部2AとかごK1の後面の係合部7が係合している状態を表している。同様に、昇降駆動装置3とかごK2を結ぶ二重線は、昇降駆動装置3の前面に備える凹部3AとかごK2の後面の係合部7が係合している状態を表している。また、昇降駆動装置6とかごK3を結ぶ二重線は、昇降駆動装置6の前面に備える凹部6AとかごK3の後面の係合部7が係合している状態を表している。
【0022】
図8において、昇降駆動装置3とかごK2を結ぶ二重線は、昇降駆動装置3の前面に備える凹部3AとかごK2の後面の係合部7が係合している状態を表している。同様に、昇降駆動装置5とかごK1を結ぶ二重線は、昇降駆動装置5の前面に備える凹部5AとかごK1の後面の係合部7が係合している状態を表している。また、昇降駆動装置6とかごK3を結ぶ二重線は、昇降駆動装置6の前面に備える凹部6AとかごK3の後面の係合部7が係合している状態を表している。
【0023】
図9において、昇降駆動装置3とかごK2を結ぶ二重線は、昇降駆動装置3の前面に備える凹部3AとかごK2の後面の係合部7が係合している状態を表している。同様に、昇降駆動装置4とかごK1を結ぶ二重線は、昇降駆動装置4の前面に備える凹部4AとかごK1の後面の係合部7が係合している状態を表している。また、昇降駆動装置6とかごK3を結ぶ二重線は、昇降駆動装置6の前面に備える凹部6AとかごK3の後面の係合部7が係合している状態を表している。
【0024】
図7では、かごK1は昇降駆動装置2と結合して昇降する。
図8では、かごK1は昇降駆動装置5と結合して昇降する。
図9では、かごK1は昇降駆動装置3と結合して昇降する。ここで、
図7と
図8は、かごK1が昇降路Aの昇降駆動装置2から昇降路Bの昇降駆動装置5へ横移動したことを表している。また、
図8と
図9は、かごK1が昇降路Bの昇降駆動装置5から昇降路Aの昇降駆動装置4へ横移動したことを表している。例えば、昇降路Aにおいて、かごK1が3階に停止、かごK1より上方の5階にかごK2が停止している。その後、かごK1は昇降路Aの3階で昇降路Bに横移動して昇降路Bを上方に走行する。そして、かごK1は昇降路Bの7階で昇降路Aに横移動することで、昇降路AのかごK2を追い越すことが可能になる。ここで、かごK1が横移動した3階または7階はかごK1の行先階であってもよい。この結果、かごK1が昇降路Aの昇降駆動装置2と結合して昇降することで最下階をサービス可能とし、かごK1が昇降路Aの昇降駆動装置4と結合して昇降することで最上階をサービス可能とすることができる。
【0025】
移動制御部81は、かごK1~K3及び昇降駆動装置2~6の移動についての制御をする。本実施形態の移動制御部81は、かごK1~K3に結合した昇降駆動装置2~6及び横移動手段を制御して、駆動させることでかごK1~K3を移動させる。具体的に、移動制御部81は、かごK1~K3の移動を制御するかご移動制御部811と、昇降駆動装置2~6の移動を制御する昇降移動制御部812と、を備える。また、移動制御部81は、群管理部82が作成した経路データに基づいてかごK1~K3及び昇降駆動装置2~6を移動させる。本実施形態の移動制御部81は、1つのかごK1~K3に対して1つのかご移動制御部811が設けられ、各かご移動制御部811は対応するかごK1~K3の移動を制御し、1つの昇降駆動装置2~6に対して1つの昇降移動制御部812が設けられ、各昇降移動制御部812は対応する昇降駆動装置2~6の移動を制御する。本実施形態の昇降移動制御部812は、群管理部82からの指令に基づいて昇降駆動装置2~6を移動させる制御を実行する。
【0026】
図4に示すように、移動制御部81は、群管理部82がかごK1~K3の移動を許可した場合にかごK1~K3を経路データに基づいて移動させる移動工程S3と、群管理部82がかごK1~K3の移動を禁止した場合にかごK1~K3を待機させる待機状態S4と、を実行する。本実施形態の移動工程S3及び待機状態S4は、かご移動制御部811及び昇降移動制御部812によって実行される。
【0027】
経路データは、各かごK1~K3の移動経路と所要時間とに関するデータであり、具体的には、各かごK1~K3の移動開始から所定時間後の各かごK1~K3の位置を表すデータである。本実施形態の経路データは、各かごK1~K3の移動に関するタイムテーブルとしてのデータである。本実施形態の経路データは、各かごK1~K3が移動をする場合には、各かごK1~K3が移動を開始してから移動を完了するまでの、所定時間毎(例えば1秒毎)の各かごK1~K3の位置を表したタイムテーブルとしてのデータである。即ち、経路データは、所定時間後に各かごK1~K3が、どの昇降路のどの場所(例えば高さ)に位置しているのかを示すデータである。また、各かごK1~K3が停止する場合の経路データは、各かごK1~K3が停止する位置に各かごK1~K3が次の移動を開始するまでとどまるというタイムテーブルを示すデータである。
【0028】
図2に示すように、経路データ作成工程S1は、かご呼び又は乗場呼びに対応して現在位置から目的位置まで移動するための経路データを作成する工程である。本実施形態の経路データ作成工程S1は、現在位置から目的位置までの移動について、横移動の必要の有無を判断し、横移動が不要であると判断した場合には、縦移動のみの移動経路に関する経路データを作成する。経路データ作成工程S1は、かご呼び又は乗場呼びに対応するために横移動が必要か否かを判断する移動判断工程S11と、移動判断工程S11の判断に基づいて移動経路を決定し、経路データを作成する経路決定工程S12と、を含む。
【0029】
移動判断工程S11は、一のかご(例えばかごK1)のかご呼び又は乗場呼びに対応した目的位置(行先階)に縦移動のみで到着できるか否かを判断する工程である。本実施形態の移動判断工程S11では、他のかご(例えばかごK2,K3)との干渉を回避するために横移動が必要か否かを判断する。具体的に、移動判断工程S11では、他のかごK2,K3の経路データを取得し、縦移動のみで目的位置まで移動した場合に他のかごK2,K3と干渉するか否かを判断し、干渉しない場合には縦移動のみで移動可能であると判断(移動判断工程S11においてYES)、干渉する場合には縦移動のみでは移動不能であると判断(移動判断工程S11においてNO)する。また、移動判断工程S11では、かご呼び又は乗場呼びに対応した目的位置が最上階の場合、一のかごK1が結合している昇降駆動装置が最上階には不停止である場合は、他のかごK2,K3との干渉の有無にかかわらず、縦移動のみでは移動不可能であると判断(移動判断工程S11においてNO)する。また、移動判断工程S11では、かご呼び又は乗場呼びに対応した目的位置が最下階の場合、一のかごK1が結合している昇降駆動装置が最下階には不停止である場合は、他のかごK2,K3との干渉の有無にかかわらず、縦移動のみでは移動不可能であると判断(移動判断工程S11においてNO)する。
【0030】
図6に示すように、昇降路Aの昇降駆動装置2は最上階には不停止、最下階には停止である。また、昇降路Aの昇降駆動装置3は最上階及び最下階ともに不停止である。また、昇降路Aの昇降駆動装置4は最上階には停止、最下階には不停止である。一方、昇降路Bの昇降駆動装置5は最上階には不停止、最下階には停止である。また、昇降路Bの昇降駆動装置6は最上階には停止、最下階には不停止である。
【0031】
経路決定工程S12は、移動判断工程S11の判断に基づいて移動経路を決定し、移動経路に基づいた移動に必要な時間を導出して経路データを作成する工程である。本実施形態の経路決定工程S12では、移動判断工程S11での判断に応じて縦経路決定工程S121又は縦横経路決定工程S122のいずれかを実行する。具体的に、経路決定工程S12では、移動判断工程S11で縦移動のみで移動可能であると判断された場合(移動判断工程S11においてYES)には縦経路決定工程S121を実行し、移動判断工程S11で縦移動のみでは移動不能であると判断された場合(移動判断工程S11においてNO)には縦横経路決定工程S122を実行する。
【0032】
縦経路決定工程S121は、一のかごK1が現在位置から目的位置まで縦移動のみで移動する移動経路に関する経路データを作成する工程である。即ち、縦経路決定工程S121では、一のかごK1が同じ昇降路内を移動して現在位置から目的位置まで移動する移動経路に関する経路データを作成する。
【0033】
縦横経路決定工程S122は、一のかごK1が現在位置から目的位置まで縦移動及び横移動によって移動する移動経路に関する経路データを作成する工程である。即ち、縦横経路決定工程S122では、一のかごK1が複数の昇降路内での縦移動及び複数の昇降路間を横移動して現在位置から目的位置まで移動する移動経路に関する経路データを作成する。また、縦横経路決定工程S122では、他のかごK2,K3との干渉を回避する移動経路に関する経路データを作成する。具体的に、縦横経路決定工程S122では、他のかごK2,K3の経路データを参照して、移動先にある他のかごK2,K3を回避するように移動経路を決定する。また、縦横経路決定工程S122では、かご呼び又は乗場呼びに対応した目的位置が、一のかごK1が現在位置している昇降路と異なる昇降路である場合には、目的位置として設定される昇降路に到着するような移動経路に関する経路データを作成する。
【0034】
本実施形態の縦横経路決定工程S122では、現在位置から目的位置までの移動に必要な所要時間が最も短い移動経路に関する経路データを作成する。具体的に縦横経路決定工程S122では、目的位置までの移動において、横移動が最も少なく、かつ、他のかごK2,K3との干渉を回避できる移動経路に関する経路データを作成する。
【0035】
以上のように、経路決定工程S12では、一のかごK1が現在位置から目的位置まで縦移動のみで到着可能な場合には縦移動のみの移動経路に関する経路データを作成し、横移動が必要な場合には、他のかごK2,K3との干渉を回避でき、かつ、横移動の回数が最も少なくなる移動経路に関する経路データを作成するので、現在位置から目的位置までの移動に必要な所要時間が最も短い移動経路に関する経路データを作成できる。
【0036】
受信工程S2は、群管理部82が経路決定工程S12において作成した経路データに基づいて、移動制御部81は、許可情報又は禁止情報を受信する工程である。
【0037】
受信工程S2は、経路データに基づく移動の可否についての情報を群管理部82から受信する工程である。本実施形態の受信工程S2では、群管理部82から送信される許可情報又は禁止情報を受信する。具体的に、受信工程S2では、群管理部82から送信される、経路データに基づく移動を許可する情報に関する許可情報を受信したか否かを確認する許可情報受信確認工程S21と、経路データに基づく移動を禁止する情報に関する禁止情報を受信したか否かを確認する禁止情報受信確認工程S22と、を許可情報又は禁止情報のいずれかを受信したことが確認されるまで繰り返し実行する。また、本実施形態の移動制御部81は、受信工程S2で許可情報を受信したことを確認した場合(許可情報受信確認工程S21においてYES)に移動工程S3に移行し、受信工程S2で禁止情報を受信したことを確認した場合(禁止情報受信確認工程S22においてYES)に待機状態S4に移行する。
【0038】
待機状態S4は、禁止情報を受信した場合に、許可情報を受信するまで一のかごK1を停止させて待機させる状態である。具体的には、
図5に示すように、待機状態S4では、一のかごK1を停止させる停止工程S41と、群管理部82から許可情報を受信したか否かを確認する待機受信確認工程S42と、を実行する。待機受信確認工程S42において、許可情報の受信が確認できない場合(待機受信確認工程S42においてNO)には、待機受信確認工程S42を繰り返し実行する。また、本実施形態の移動制御部81は、待機受信確認工程S42で許可情報を受信したことが確認できた場合(待機受信確認工程S42においてYES)に、待機状態S4を終了して移動工程S3に移行する。
【0039】
移動工程S3は、許可情報を受信した場合に、許可情報を受信した経路データに基づいて一のかごK1を移動させる工程である。具体的に、移動工程S3では、経路データに基づいて一のかごK1が移動するように、昇降駆動装置2~6及び一のかごK1の横移動用駆動部を制御する。経路データに沿った移動が完了すると、一のかごK1が到着した位置で次の移動まで停止して、移動工程S3は終了する。
【0040】
群管理部82は、複数のかごK1~K3の移動について群管理をする。群管理部82は、エレベータ全体の輸送効率やエネルギー効率を考慮して、乗場呼びに対して割り当てるかごを選択する制御をする。本実施形態の群管理部82の制御部821は、かごK1~K3同士が衝突しないように各かごK1~K3の移動を群管理する。具体的に、群管理部82は、経路データ作成部822において作成した経路データについて、該経路データに基づいてかごK1~K3が移動した場合にかごK1~K3同士が衝突する可能性があるか否かを判断部823で判断する。本実施形態の群管理部82は、かごK1~K3同士の衝突の可能性がある場合に経路データに基づくかごK1~K3の移動を禁止し、かごK1~K3同士の衝突の可能性がない場合に経路データに基づくかごK1~K3の移動を許可する。このような群管理部82は、移動制御部81から各昇降駆動装置とかごK1~K3との結合の組み合わせに関する情報を受信し、かごK1~K3の現在位置を把握する。
【0041】
図3に示すように、群管理部82の判断部823は、一のかごK1が経路データに基づいて移動することの可否について判断するための工程を実行し、移動制御部81に対して、一のかごK1が経路データに基づいて移動することを許可する情報に関する許可情報又は一のかごK1が経路データに基づいて移動することを禁止する情報に関する禁止情報を送信する。具体的に、群管理部82の判断部823は、経路データ作成部822から経路データを受信工程S5と、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に、他のかごK2,K3の移動経路に進入するか否かを判断する経路判断工程S6と、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に、他のかごK2,K3を衝突するおそれがあるか否かを判断する衝突判断工程S7と、を実行し、経路判断工程S6及び衝突判断工程S7の判断結果に基づいて、許可情報を送信する許可情報送信工程S10又は禁止情報を送信する禁止情報送信工程S8のいずれかを実行する。また、本実施形態の群管理部82の判断部823は、禁止情報送信工程S8を実行した場合に、前回の禁止情報を送信した時点から所定時間経過後に経路判断工程S6及び衝突判断工程S7を繰り返し実行する反復処理工程S9を実行する。
【0042】
経路判断工程S6は、一のかごK1についての経路データに含まれる移動経路が、他のかごK2,K3の移動経路と重複するか否かを判断する工程である。具体的に、経路判断工程S6では、他のかごK2,K3の経路データを参照して他のかごK2,K3の移動経路を抽出し、一のかごK1の移動経路に他のかごK2,K3の移動経路と重複する部分があるか否かを判断する。例えば、他のかごK2,K3が他のかごK2,K3の経路データに基づいて移動している途中の場合には、一のかごK1の移動経路が他のかごK2,K3の移動開始地点から目的地点までの間の部分を含んでいるか否かを判断する。また、他のかごK2,K3が停止している場合には、一のかごK1の移動経路が他のかごK2,K3の停止している地点を含んでいるか否かを判断する。経路判断工程S6では、一のかごK1の移動経路に他のかごK2,K3の移動経路と重複する部分がある場合には、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3の移動経路に進入すると判断する(経路判断工程S6においてYES)。また、経路判断工程S6では、一のかごK1の移動経路に他のかごK2,K3の移動経路と重複する部分がない場合には、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3の移動経路に進入しないと判断する(経路判断工程S6においてNO)。
【0043】
衝突判断工程S7は、一のかごK1の移動経路と他のかごK2,K3の移動経路が重複する場合に、一のかごK1と他のかごK2,K3が衝突するおそれがあるか否かを判断する工程である。なお、衝突するおそれがある状態とは、経路データに基づいて移動したときに、一のかごK1と他のかごK2,K3が衝突又は異常に接近する(例えば、一のかごK1と他のかごK2,K3の距離が、通常時の減速度で減速したときに停止できる位置までの距離未満となる)場合を指す。衝突判断工程S7では、他のかごK2,K3の経路データと一のかごK1の経路データを比較し、一のかごK1と他のかごK2,K3が同じ時刻に、昇降路内の同じ位置又は異常に接近した位置にいるか否かを判断する。具体的に、衝突判断工程S7では、一のかごK1の経路データに関するタイムテーブルと、他のかごK2,K3の経路データに関するタイムテーブルとを比較することで、一のかごK1と他のかごK2,K3の距離を導出し、衝突のおそれがあるか否かを判断する。衝突判断工程S7では、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に、他のかごK2,K3と衝突又は異常に接近すると判断した場合には、衝突のおそれがあると判断する(衝突判断工程S7においてYES)。また、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に、他のかごK2,K3と衝突又は異常に接近しないと判断した場合には、衝突のおそれがないと判断する(衝突判断工程S7においてNO)。
【0044】
このように、経路判断工程S6及び衝突判断工程S7では、一のかごK1が他のかごK2,K3の移動経路内に進入する場合であっても、一のかごK1及び他のかごK2,K3の経路データ(タイムテーブル)を参照して衝突のおそれがあるかどうかを判断するので、一のかごK1が他のかごK2,K3の移動経路内に進入する場合であっても一のかごK1と他のかごK2,K3の衝突を防止できる。
【0045】
許可情報送信工程S10は、経路判断工程S6及び衝突判断工程S7において、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3と衝突するおそれがないと判断された場合に、移動制御部81に対して許可情報を送信する工程である。具体的に、許可情報送信工程S10は、経路判断工程S6において、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3の移動経路に進入しないと判断された場合(経路判断工程S6においてNO)に、移動制御部81に対して許可情報を送信する工程である。また、許可情報送信工程S10は、経路判断工程S6において、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3の移動経路に進入すると判断され(経路判断工程S6においてYES)、かつ、衝突判断工程S7において衝突のおそれがないと判断された(衝突判断工程S7においてNO)場合に、移動制御部81に対して許可情報を送信する工程である。許可情報送信工程S10が完了すると、経路データを受信した群管理部82の判断部823における一連の処理は完了する。
【0046】
禁止情報送信工程S8は、経路判断工程S6及び衝突判断工程S7において、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3と衝突するおそれがあると判断された場合に、移動制御部81に対して禁止情報を送信する工程である。具体的に、禁止情報送信工程S8は、経路判断工程S6において、一のかごK1が経路データに基づいて移動した場合に他のかごK2,K3の移動経路に進入すると判断され(経路判断工程S6においてYES)、かつ、衝突判断工程S7において衝突のおそれがあると判断された(衝突判断工程S7においてYES)場合に、移動制御部81に対して禁止情報を送信する工程である。
【0047】
反復処理工程S9は、前回の禁止情報を送信した時点から所定時間経過後に経路判断工程S6及び衝突判断工程S7を繰り返し実行する処理をする工程である。反復処理工程S9では、例えば、禁止情報の送信から1秒経過後に、同じ経路データについての経路判断工程S6及び衝突判断工程S7を実行するための処理をする。本実施形態の反復処理工程S9は、群管理部82の判断部823が許可情報を送信するまで経路判断工程S6及び衝突判断工程S7を繰り返し実行させる。
【0048】
以上のような構成のマルチカーエレベータの運行管理装置8によれば、群管理部82が一のかごK1が経路データ通りに移動した場合に、他のかごK2、K3に衝突するおそれがあるか否かを判断するので、かごK1~K3の同士の衝突を防止できる。
【0049】
また、他のかごK2、K3の経路データに基づいて衝突の可能性を判断するので、他のかごK2,K3が動いていたとしても衝突のおそれを確実に判断できる。
【0050】
さらに、群管理部82が、他のかごK2,K3の移動経路に進入し、かつ、他のかごK2、K3と衝突するおそれがない、と判断した場合に、一のかごK1が他のかごK2、K3の移動経路に進入する場合であっても、移動制御部81は、一のかごK1を経路データに基づいて移動させる。よって、一のかごK1が他のかごK2、K3の移動経路に進入しない場合には、その先の判断をすることなく一のかごK1を移動させることができるので、群管理部82の処理に関する負荷を抑制しつつかご同士の衝突を防止できる。
【0051】
また、群管理部82は、一のかごK1が経路データに基づいて移動しても他のかごK2、K3と衝突するおそれがないと判断した場合に許可情報を移動制御部81に対して送信し、移動制御部81は、許可情報を受けた場合に一のかごK1を経路データに基づいて移動させるので、一のかごK1が他のかごK2,K3と衝突することを確実に抑制できる。
【0052】
このように、かごK1~K3と昇降駆動装置2~6とがそれぞれ結合又は離脱可能に構成し、かごK1~K3の衝突を回避しつつ全てのサービス階に停止することを可能としている。
【0053】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0054】
例えば、複数の昇降路と、昇降路間を横移動可能なかごK1~K3を有するエレベータEを管理する場合を例に挙げて説明したが、このような構成に限らない。例えば、1本の昇降路内を複数台のかごK1~K3が上下移動するエレベータEを管理するようにすることもできる。
【0055】
また、群管理部82の判断部823は、許可情報又は禁止情報を送信する場合について説明したが、このような構成に限らず、許可情報及び禁止情報のいずれか一方のみを送信することもできる。例えば、群管理部82の判断部823は許可情報のみを送信するように構成する場合には、移動制御部81は、許可情報を受信しない場合には、経路データに基づく一のかごK1の移動を禁止されたとみなして、待機状態S4に移行することができる。また、群管理部82の判断部823は禁止情報のみを送信するように構成する場合には、移動制御部81は、禁止情報を受信しない場合には、経路データに基づいて一のかごK1を移動させるように構成することができる。いずれにしても、移動制御部81は、群管理部82の判断部823が一のかごK1を経路通りに移動した場合に他のかごK2,K3に衝突するおそれがないと判断した場合に、一のかごK1を経路データに基づいて移動させる。
【0056】
さらに、群管理部82の判断部823は、一のかごK1が経路データ通りに移動した場合に、他のかごK2,K3の移動経路に進入するか否かを判断し、他のかごK2,K3の移動経路に進入すると判断した場合には、一のかごK1と他のかごK2,K3が同時刻に所定距離以上接近する場合に衝突のおそれがあると判断する場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、一のかごK1が経路データ通りに移動した場合に、他のかごK2,K3の移動経路に進入する場合に衝突のおそれがあると判断することもできる。
【0057】
また、移動制御部81は、所要時間が最短となる移動経路を含む経路データを作成する場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、2本の昇降路のうち、どちらかを優先して使用するような移動経路を含む経路データを作成することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1…ガイドレール、2~6…昇降駆動装置、7…係合部、8…マルチカーエレベータの運行管理装置、81…移動制御部、82…群管理部、A・B…昇降路、E…エレベータ、K1~K3…かご
【手続補正書】
【提出日】2023-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の昇降路と、
複数のかごと、
前記複数のかごと対をなし、横移動を制御する複数のかご移動制御部と、
前記複数の昇降路のそれぞれで昇降可能な複数の昇降駆動装置と、
前記複数の昇降駆動装置と対をなし、昇降移動を制御する複数の昇降移動制御部と、を備え、
前記複数の昇降路を前記複数のかごが同時に移動可能なマルチカーエレベータの運行を管理するマルチカーエレベータの運行管理装置であって、
前記複数のかご移動制御部及び前記複数の昇降駆動装置を群管理する群管理部を備え、
前記複数の昇降駆動装置は前記複数のかごよりも少なくとも1つ多く設けられ、一の前記かごと一の前記昇降駆動装置とは結合又は離脱可能に構成され、
前記群管理部は前記複数のかごと前記複数の昇降駆動装置とが結合及び離脱した組み合わせに基づいて、前記複数のかごのそれぞれの行先階に関する情報を含む経路データを作成すると共に前記複数のかご移動制御部と前記複数の昇降駆動装置に送信し、
前記複数のかご移動制御部と前記複数の昇降駆動装置は前記経路データに基づいて前記複数のかごを移動させ、
前記群管理部は、前記経路データを作成する経路データ作成部と、判断部と、を備え、
前記経路データ作成部は、他のかごの前記経路データを取得して、一のかごについての前記経路データを作成し、
前記判断部は、前記一のかごが前記経路データに基づいて移動した場合に、前記他のかごと衝突するおそれがあるか否かを判断し、
前記かご移動制御部及び前記昇降移動制御部は、前記一のかごが前記他のかごと衝突するおそれがないと前記判断部が判断した場合に前記一のかごを前記経路データに基づいて移動させるマルチカーエレベータの運行管理装置。
【請求項2】
前記経路データは、前記複数のかごのそれぞれの移動経路と所要時間に関するデータであり、
前記判断部は、前記一のかごの前記経路データにかかる移動経路と前記他のかごの前記経路データにかかる移動経路が重複するか否かを判断し、両移動経路が重複する場合に、前記一のかごと前記他のかごが衝突するおそれがあるか否かを判断し、
前記かご移動制御部及び前記昇降移動制御部は、
前記判断部が前記経路データにかかる移動経路が重複しないと判断した場合、又は、
前記経路データにかかる移動経路が重複すると判断し、かつ、前記一のかごと前記他のかごが衝突するおそれがないと判断した場合に、前記一のかごを前記経路データに基づいて移動させる、請求項1に記載のマルチカーエレベータの運行管理装置。
【請求項3】
前記経路データは、前記かごが移動を開始してから移動を完了するまでの所定時間毎の前記かごの位置を表したタイムテーブルであり、
前記判断部は、前記一のかごの前記経路データに関するタイムテーブルと前記他のかごの前記経路データに関するタイムテーブルとを比較することで、前記一のかごと前記他のかごの距離を導出し、前記一のかごと前記他のかごが衝突するおそれがあるか否かを判断する、請求項1又は2に記載のマルチカーエレベータの運行管理装置。