IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイコク電機株式会社の特許一覧

<図1>
  • 特開-遊技場用管理システム 図1
  • 特開-遊技場用管理システム 図2
  • 特開-遊技場用管理システム 図3
  • 特開-遊技場用管理システム 図4
  • 特開-遊技場用管理システム 図5
  • 特開-遊技場用管理システム 図6
  • 特開-遊技場用管理システム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148270
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】遊技場用管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A63F7/02 332B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056195
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】金井 生多
(72)【発明者】
【氏名】山内 幸司
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA05
2C088CA07
2C088CA31
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】特定の商圏における売上規模を算出可能にする。
【解決手段】管理サーバは、例えば第1遊技情報として実際に集計する稼動率を基に分析を行い、想定遊技情報として想定アウトを算出できることから、他の遊技場であってもどの程度の稼動状況であるか、出店予定地の商圏における遊技場においてどの程度アウトを見込めるかといった事項をも把握することが可能となる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技場毎に設けられ、当該遊技場内に設けられた各遊技機の遊技に関する各種の遊技情報を収集する遊技情報収集手段と、
前記複数の遊技場から収集された前記遊技情報のうち第1遊技情報と第2遊技情報との関係を分析する分析手段と、
前記複数の遊技場のうち特定の遊技場における前記第1遊技情報を受付ける遊技情報受付手段と、
前記遊技情報受付手段により受付けられた前記第1遊技情報と前記分析手段による分析結果に基づき、想定遊技情報として前記特定の遊技場における第2遊技情報を算出する算出手段と、
を備える遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記遊技情報収集手段により収集された前記複数の遊技場毎の前記遊技情報を比較することで当該複数の遊技場をランク分けするランク分け手段と、
前記ランク分け手段によるランク分けの結果に基づいて前記遊技場のランクと前記遊技情報とを対応付けて管理するランク情報管理手段と、
前記算出手段により算出された前記想定遊技情報と前記ランク情報管理手段により管理される前記遊技情報とを比較することで前記特定の遊技場が何れのランクに属するかを判定するランク判定手段と、を備える請求項1に記載の遊技場用管理システム。
【請求項3】
前記ランク情報管理手段により管理される前記遊技情報のうち売上に関する情報である第3遊技情報と前記想定遊技情報とに基づき前記特定の遊技場の売上規模を算出する売上規模算出手段と、
前記複数の遊技場を特定の商圏に分類する商圏分類手段と、を備え、
前記売上規模算出手段は、前記商圏分類手段により分類された商圏における売上規模を算出する請求項2に記載の遊技場用管理システム。
【請求項4】
前記遊技情報収集手段は、前記遊技機をスペックに応じたタイプ別に分類するとともに、収集した各種の遊技情報を前記タイプに対応付けて管理し、
前記算出手段は、前記想定遊技情報を前記タイプ別に算出する請求項1から3の何れか一項に記載の遊技場用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技場においては最適な営業施策を講じるための営業管理システムが供されている。例えば、特許文献1の営業管理システムでは、パチンコ機、玉貸機等の遊技装置から各種の稼働(稼動)情報を収集して蓄積記憶するデータベース部を備え、その蓄積された情報から売上、粗利、稼働率など営業管理指標となる各種の特定情報を生成するとともに、稼働率など1つの特定情報を基準とし、これと他の特定情報との対応関係を回帰近似し誤差範囲が分かるようにグラフ化して対比表示するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-224391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、遊技場の経営者が新しく遊技場を出店しようとする際に、出店予定地(商圏)においてどの程度の遊技者が存在し、どの程度の売上規模が見込めるのかを把握することが重要である。しかしながら、上記した営業管理システムにおいては、売上や粗利に関する情報を収集できるのは自店やチェーン店のみであり、出店予定地付近に存在する他の遊技場(競合店)における売上規模を把握することができない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、特定の商圏における売上規模を算出可能にする遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の遊技場用管理システムは、
複数の遊技場毎に設けられ、当該遊技場内に設けられた各遊技機の遊技に関する各種の遊技情報を収集する遊技情報収集手段(例えば各遊技場A~Cの管理装置5)と、
前記複数の遊技場から収集された前記遊技情報のうち第1遊技情報(例えば遊技場における月間の稼動率)と第2遊技情報(例えば月間の遊技機一台当りの平均アウト)との関係を分析する分析手段(例えば回帰分析を実施する管理サーバ9)と、
前記複数の遊技場のうち特定の遊技場における前記第1遊技情報を受付ける遊技情報受付手段(例えば稼動率を受付ける管理装置5或いは管理サーバ9)と、
前記遊技情報受付手段により受付けられた前記第1遊技情報と前記分析手段による分析結果(例えば回帰分析結果から回帰式を取得すること)に基づき、想定遊技情報(例えば想定アウト)として前記特定の遊技場における第2遊技情報を算出する算出手段(例えば管理サーバ9)と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、例えば第1遊技情報として実際に集計する稼動率を基に分析を行い、想定遊技情報として想定アウトを算出できることから、他の遊技場であってもどの程度の稼動状況であるか、出店予定地の商圏における遊技場においてどの程度アウトを見込めるかといった事項をも把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における遊技場用管理システムの全体構成を概略的に示す図
図2】(a)及び(b)は、稼動率と平均アウトとの関係を示すプロット図及び収集される遊技情報を示す図
図3】種別ランク毎の集計結果を示す図
図4】特定商圏内における想定売上を示す図
図5】各商圏の種別毎の売上規模の集計結果を示す図
図6】種別ランク「8」におけるタイプ別の集計結果を示す図
図7】店舗Aにおけるタイプ別の集計結果を用いた売上規模を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用管理システムの全体構成を示す概略図である。遊技場A内には多数の(複数機種の)遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2が設置されている。これら遊技機1及び遊技装置2は2台ずつ中継装置3に接続されており、中継装置3はLAN4を介して管理装置5(遊技情報収集手段)と接続されている。
【0010】
また、遊技場A内にはPOSや残高精算機(何れも図示略)も設置されており、これらPOSや残高精算機もLAN4を介して管理装置5と接続されている。なお、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。管理装置5は、遊技場A内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード6、モニタ7、プリンタ(図示略)等が接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技情報や稼動状態等を管理する。
【0011】
本実施形態では、遊技場A以外の遊技場(図1の例示では遊技場B、遊技場C)においても、遊技場Aと同様のシステムが構築されており、各遊技場B,Cにも、遊技機1、遊技装置2、中継装置3、LAN4、管理装置5等が設置されている。
【0012】
これら遊技場A~Cにおける各管理装置5は、それぞれインターネットやVPN接続等の公衆回線8を介して各遊技場A~Cとは別に設置されている管理サーバ9(遊技情報収集手段、分析手段、遊技情報受付手段、算出手段、ランク分け手段、ランク情報管理手段、ランク判定手段、売上規模算出手段、商圏分類手段)と接続されており、各種信号や各種情報を公衆回線8等を介して管理サーバ9と通信可能に構成されている。なお、各遊技場A~Cでは、上記のように同等の構成が実現されていることから、以下では、遊技場Aにおける構成を中心に説明する。
【0013】
図1に示す遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面10に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル11、上部受皿12、下部受皿13を有すると共に、盤面10に、液晶表示部14、普図入賞口15、第1始動口16、第2始動口17、大入賞口18を有する。
【0014】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口16は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口17は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口16、17への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を液晶表示部14にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
【0015】
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。なお、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0016】
(3)大当り抽選の当選確率(大当り確率)は1/260であり、大当りがその後に確変状態(確変)となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口18を開放する。なお、1Rの上限入賞数は9個であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0017】
(4)対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は第1始動口16に入賞した場合は4Rが55%であり、15Rが45%であるが、第2始動口17に入賞した場合は4Rが10%であり、15Rが90%であり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口16よりも第2始動口17の方が高く設定されている。
【0018】
(5)確変中は大当り確率が1/74に向上すると共に、各始動口16、17への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。なお、確変は次回大当りまで継続するので、大当り後に大当りでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当り(通常大当り)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となる。
【0019】
(6)第2始動口17は普図入賞口15への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。また、開放期間は通常状態では0.3秒を1回であり、時短状態では5秒を2回となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放期間は長くなること又は開放回数が増加することで第2始動口17の入賞率が高くなる。以上は、遊技場A内に設置される複数機種の遊技機1のうち例えば機種Aについて例示したが、例えば機種Bであれば大当り確率やラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な仕様となる。
【0020】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口16、17への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。なお、遊技機1から出力される信号でもよい。
【0021】
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。なお、補給装置から出力される補給信号をセーフ信号としてもよい。又、玉を実際に払い出した際に出力される実セーフ信号と、入賞に応じて払い出しが予約された場合に出力される入賞セーフ信号とがあるが、入賞から出力までのタイムラグを極力省くため後者を採用することが望ましい。
【0022】
スタート信号=遊技機1から出力される始動入賞(特定の入賞)により変動(作動)する液晶表示部14(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)及びスタート(スタート処理数)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、信号入力に応じてスタート処理を特定し、「スタート信号×1」をスタート回数(スタート処理数)として特定する。なお、第1始動口16又は第2始動口17への入賞を示す信号としてもよい。
【0023】
大当り信号=遊技機1から出力される大当り期間を特定可能な信号である。大当り中にレベル出力される状態信号であるので、大当り信号の入力中を大当り中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口17の入賞率が向上する特別状態中(時短中(確変時も含む))にレベル出力される状態信号であるので、特別状態信号の入力中を特別状態中として特定する。また、大当り信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0024】
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯19、貨幣(貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口20、遊技者からの操作入力を受け付けるタッチパネル式の液晶表示部21、持玉(会員であれば貯玉も含む、獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦22、払い出された玉が通過する払出ノズル23、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口24、遊技機1の下部受皿13の下方に位置する着脱可能な計数受皿25、対応する遊技機1を遊技する遊技者を撮像するカメラ26等を有する。
【0025】
遊技装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)貨幣を受け付けると(貨幣受付処理)と、遊技機1と遊技装置2の双方に入金額を表示すると共に貸出1単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1から払い出させ(対価付与処理)、その対価付与処理に応じて入金額の表示を貸出玉の対価を除いた残高の表示とする。貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0026】
(2)残高がある状態で遊技機1の貸出釦が押下(貸出操作、付与操作)されると、貸出1単位分の貸出玉を遊技機1から払い出させ、その対価分を残高から引き落とす。又、所謂各台計数機能も備えており、遊技者が獲得した獲得玉を計数し、その計数した獲得玉を対価として再度玉を払い戻すことも可能であり、その払い戻し分の対価を除いた玉数を持玉として特定することも可能である。
【0027】
(3)残高や持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦が押下(発行操作)されると、残玉や持玉を特定可能な一般カードを発行する。なお、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行は説明の簡略化のため不可としたが可能としてもよい。
(4)カメラ26により撮像した映像を特定可能な撮像信号を出力する。
【0028】
(5)中継装置3とのシリアル通信(売上信号の出力)により管理装置5にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や貸出玉数、入金額や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、計数玉、持玉、払戻玉、及び一般カードの受付や発行処理を特定可能であるが、これらはパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)でも特定可能である。
【0029】
管理装置5は、当該遊技場A内に設けられた遊技機1や遊技装置2等の各々から出力される各種の遊技信号(遊技情報)を入力することにより、各遊技機1の遊技に関する各種の遊技情報を収集する。ここで、図2(b)は、管理装置5により収集(算出)された遊技情報の一部を説明図として例示するものであり、説明の便宜上「…」を付した各項目の欄は、該当する集計期間における遊技情報を具体的な算出値で表すものとする。
【0030】
即ち、遊技場Aにおいて収集される遊技情報は例えば、同図(b)に示す「タイプ」別の「台数」「アウト」「稼動率」「売上」、その他の遊技情報を含む(後述の図3等参照)。このうち、「タイプ」は、遊技機1のスペック値(例えば大当り確率の逆数としての理論TS)に対応しており、係る理論TSを目安に遊技機1を分類する射幸性のタイプである。
「タイプ」は例えば、同図(b)に示す「ハイミドル」「ライトミドル」「ライト」の3つ、或いは図示しない「ミドル」「ミニマム」「その他(例えば所謂羽根モノに属するタイプ)」を含む6つに分類される。
【0031】
同図(b)の「台数」「アウト」「稼動率」「売上」、或いは後述する他の遊技情報は、管理装置5においてタイプと対応付けて管理され、夫々定期的に管理装置5から管理サーバ9へ送信される。このうち、「稼動率」は、所定の時刻において設定遊技機(当該遊技場A内の遊技機1)のうちどの程度の遊技機1が稼動しているかを示し、「売上」は遊技機一台当りの売上(同図ではタイプ別の算出値)を示すものとして送信される。
【0032】
また、管理装置5は、遊技装置2側(カメラ26側)から入力する撮像信号に基づき遊技者を検出し、その遊技者の遊技時間や遊技履歴をも蓄積することから、遊技者毎或いは遊技機1毎の遊技履歴も収集し、送信できる。何れにしても、管理サーバ9へ送信される遊技情報或いは遊技履歴は、上記したタイプや種別と対応付けたデータとして送信することができる。
【0033】
なお、種別は例えば貸出レートが同一のグループ或いはパチンコ遊技機とスロットマシンとの別を表すものとする(図2(b)の「4円パチンコ」参照)。図2(b)の遊技情報は、送信対象の一部を例示するにすぎず、後述する第1遊技情報や第2遊技情報を特定可能な遊技情報であればどのような遊技情報或いは各種信号を送信対象として管理サーバ9に送信してもよい。
また、管理装置5は、管理サーバ9により集計された集計結果や算出結果をモニタ7に表示することができるものとする。
【0034】
管理サーバ9は、各遊技場A~Cから送信される各種信号や各種情報を受信して集計し、又、集計した情報を各遊技場A~Cへ送信する。ここで、図2(a)は、管理サーバ9において遊技場A~Cを含む各遊技場から収集された遊技情報に基づき、個々の遊技場における稼動率と、遊技機一台当りの平均アウトとの関係をプロットしたプロット図を示している。この場合、管理サーバ9は、例えば遊技場における月間の稼動率を第1遊技情報、これに対応する月間の遊技機一台当りの平均アウトを第2遊技情報として、両者の関係を分析する。
【0035】
即ち、同図(a)のプロット図は、種別を「4円(4円パチンコ)」、営業時間を「14時間営業」とし、上記の如く月間の稼動率(小数)をx軸にとり、月間の遊技機一台当りの平均アウトとをy軸にとり得られたプロットである。なお、図2(a)では説明の便宜上x軸をパーセント(%)表記としている。
そして、管理サーバ9は、稼動率と平均アウトとの関係を求める回帰分析を実施し、その回帰分析結果から回帰式を取得する。この場合、管理サーバ9はプロッティングして得られた相関式、つまりは回帰分析を用いて算出した近似直線の近似式は例えば「y=48096x-26.994」となる。
【0036】
こうして得られた近似式より、管理サーバ9は、複数の遊技場A~Cのうち特定の遊技場における稼動率(第1遊技情報)を受付けることで、その受付けられた稼動率と前記回帰分析結果に基づき、想定遊技情報として当該特定の遊技場における想定アウト(第2遊技情報)を算出することができる。
例えば、ある遊技場における稼動率が25%の場合、当該遊技場における想定アウトは、上記の近似式において「x=0.25」を代入することで「11997個」(実数値、小数点以下切り捨て)と求めることができる。
【0037】
なお、稼動率については、上記の如く遊技場Aから送信される遊技情報を用いてもよいし、遊技情報を送信できない遊技場に対しては他の遊技場により入力される稼動率を用いてもよい。また、種別に関しては遊技場A~Cに応じて指定でき例えば「1円パチンコ」や「20円スロット」を用いてもよい。また、営業時間に関しては「13時間営業」といったように、遊技場の営業形態に合わせたものを採用する。管理サーバ9や管理装置5では、これら種別や営業形態、タイプ等が、上記の如く収集された遊技情報に対応付けて管理される。
【0038】
また、管理サーバ9は、収集された複数の遊技場毎の遊技情報を比較することで当該複数の遊技場をランク分けするランク分け手段として機能する。
図3(a)(b)は、係る複数の遊技場(遊技場A~Cを含む多数の店舗)の集計結果を種別ランクごとに示す図表である。管理サーバ9では、モニタ9aの表示画面で図3(a)(b)の図表を表示出力させて、キーボード9b等の入力手段により、種別等を選択する選択操作を行うことができるものとする。
なお、管理装置5においても、モニタ7の表示画面で係る表示出力を行いキーボード6等で選択操作を行うことができ、図4以降の表示画面も同様とする。
【0039】
即ち図3(a)の欄に示すように、「種別」「期間」「割数」の夫々の選択項目を選択し、集計対象を設定する。このうち「割数」は、各遊技場に設定されている損益分岐割数であり、当該割数に応じて粗利、玉単価が異なる傾向にあることから、割数の選択により当該割数が設定されている遊技場を集計対象とするものである。
【0040】
図3(b)の「ランク」は、管理サーバ9において各遊技場から送信される遊技情報を基に、例えばアウト及び粗利で各遊技場を評価し、10段階でランク付けした「1~10」の数値で表わされる。この場合、先ず比較の対象となる遊技場毎のアウト及び粗利を降順に並べて順位付けをし、次に各順位を平均した値を降順に並べ下位からランク1、ランク2、…との段階毎に10分割し種別のランク(種別ランク)を決定する。
これにより、管理サーバ9は、ランク分けの結果に基づいて遊技場のランク「1~10」と遊技情報とを対応付けてランク毎に管理する。係るランクと遊技情報を示す、同図3(b)の各項目の意味は、以下の通りである。
【0041】
・ランク :種別ランクを示す。
・店舗数(店):各種別ランクの店舗数を示す。
・アウト(個):各種別ランクにおける特定期間の一日及び一台当りの平均アウト(実数)を示す。
・売上(円) :各種別ランクにおける特定期間の一日及び一台当りの平均売上を示す。
・粗利(円) :各種別ランクにおける特定期間の一日及び一台当りの平均粗利を示す。
【0042】
・玉単価(円):売上/アウトを示す。
・以上(個) :当該ランク及び当該ランクの一つ下のランクにおけるアウトの平均を示す。但し、ランク1については「0」とする。
・未満(個) :当該ランク及び当該ランクの一つ上のランクにおけるアウトの平均を示す。但し、ランク10については「99999」とする。
【0043】
上記の管理サーバ9において算出された想定遊技情報と同図3(b)の遊技情報とを比較することで特定の遊技場が何れのランクに属するかを判定することができる。例えば、稼動率から算出した上記の想定アウト「11997個」を、同図(b)の「以上」、「未満」に当てはめると、当該遊技場の想定ランクが「8」に属することが分る。
【0044】
管理サーバ9は、自身の管理する遊技情報のうち売上に関する情報である第3遊技情報としての例えば玉単価と、想定遊技情報としての例えば想定アウトと、に基づき特定の遊技場の売上規模を算出する売上規模算出手段として機能する。
図4(a)(b)は、係る売上規模について特定の商圏内における想定売上を示している。同図(a)に示すように「種別」「期間」「商圏」の夫々の選択項目の欄が設けられており、特定の商圏Aが選択(参照)されるものとする。なお、参照する商圏は、複数の遊技場を特定の商圏に分類する管理サーバ9(商圏分類手段)において、予め登録・分類された商圏或いは市区町村毎に登録・分類された商圏の中から参照してもよい。
【0045】
同図(b)の各項目の意味は、以下の通りである。
・割数(割) :遊技場に設定されている損益分岐割数を示す。
・台数(台) :遊技場に設置されている平均遊技機数を示す。
・客数(人) :特定の遊技場における一時間当たりの平均実稼動人数を示す。
・稼動率(%):客数÷台数×100
・想定アウト(個):稼動率から算出される一日及び一台当たりの想定アウトを示す。
【0046】
・想定月間累計アウト(個):台数×想定アウト×日数 … 式(1)
・想定ランク :想定アウトから算出される想定ランクを示す。
・想定玉単価(円):想定ランクにおける玉単価を示す。
・想定月間累計売上(円):想定月間累計アウト×想定玉単価 … 式(2)
・計(円) :当該商圏における想定月間累計売上の合計を示す。
【0047】
管理サーバ9は、上記の如く特定の遊技場の稼動率から想定アウトを算出し、算出した想定アウトを用いて当該特定の遊技場の種別ランクを想定ランクとして求める。そして、求めた想定ランクにおける玉単価(第3遊技情報)と想定アウト(想定遊技情報)とを用いた積により(式(1)と式(2)参照)、当該特定の遊技場の売上規模を例えば図4(b)の「想定月間累計売上」として求めることができる。
【0048】
同図(a)の設定例によれば、「商圏A」における「4円」パチンコの想定月間売上規模は「798,329,878円」となる。また、想定月間累計売上は、種別や期間、商圏、割数を変更することができ、例えば商圏A以外の特定の商圏(同図(b)の店舗A~E以外の店舗が属する商圏)における売上規模をも算出する。
【0049】
図5(a)(b)は、こうした各商圏A~Cの種別毎の売上規模の集計結果を示しており、同図(a)に示すように「期間」と「種別」の夫々の選択項目の欄が設けられている。この場合の「期間」は年単位で集計対象年を選択でき、「種別」は、「4円」パチンコ以外に、図示しない1円パチンコ、20円スロット、5円スロット、それらを合わせたオールを集計対象として選択できる。
このように、管理装置5のモニタ7において、複数の商圏A~Cに亘って売上規模を種別毎に表示させることができ、遊技場の経営者は売上規模を参考にして何れの商圏に新規出店すべきか等を分析できるようになる。
【0050】
上記したように、管理サーバ9及び管理装置5は遊技機1をスペックに応じたタイプ別に分類する機能を有し、収集した各種の遊技情報をタイプに対応付けて管理する。
図6(a)(b)は、係る遊技情報をタイプ別に集計した集計結果を示している。同図(a)に示すように「種別」「期間」「割数」「種別ランク」の夫々の選択項目の欄が設けられており、種別ランク「8」の遊技場が選択された例を表している。
【0051】
このように、「種別」「期間」「割数」の選択(設定)のみならず、「種別ランク」をも設定して、特定の種別ランクにおける、遊技機1のタイプ別に「売上」「アウト」「玉単価」といった各集計結果を表示させることができる。また、特定のランク毎にタイプ別の集計結果を管理することで、より詳細に売上規模を算出することができる。
【0052】
図7(a)(b)は、「店舗名」Aにおけるタイプ別の集計結果を用いた売上規模を示しており、図4(a)の「商圏」を示す欄において、その特定の商圏内における店舗名「A」を選択することにより遷移する表示画面として表わされる。
図7(a)は、その選択された店舗名「A」と算出対象とする設定「期間」を示す。図7(b)における各項目の意味は、以下の通りである。
【0053】
・稼動率(%) :客数÷台数×100
・想定アウト(個):当該タイプの稼動率/4円の稼動率×4円の想定アウト … 式(3)
・想定売上[台](円):対応する種別ランクにおける当該タイプの玉単価×当該タイプの想定アウト … 式(4)
・想定売上[タイプ](円):台数×想定売上[台] … 式(5)
・想定月間累計売上(円):想定売上[タイプ]×日数[31日] … 式(6)
【0054】
ここで、遊技機1のタイプによっては稼動率や売上が異なるため、特定の種別で売上規模を算出した場合であっても多少の誤差が生じてしまう。多少の誤差が生じても売上規模として比較することができるが、より詳細に売上規模を算出するのが好ましい。
この点、本実施形態の管理サーバ9は、各遊技場から送信される遊技情報をタイプ別に集計し(図6参照)、タイプ別の稼動率を算出する(図7参照)。当該タイプ別の稼動率と対応する種別の稼動率との比率を算出し、対応する種別の想定アウトに乗算することで(式(3)参照)、当該タイプにおける一日及び一台当たりの想定アウトを算出する。
【0055】
そして、算出したタイプ別の想定アウトに、特定の種別におけるタイプ別の玉単価を乗算することで(式(4)参照)、当該タイプにおける一日及び一台当たりの想定売上[台]を算出する。算出した想定売上[台]に台数及び当該期間(設定期間)における日数を乗算することで、想定売上[タイプ]及び想定月間累計売上を算出することができる(式(5)及び式(6)参照)。また、タイプ別の想定月間累計売上を全タイプにて加算することで特定の種別の売上規模を算出することができる(図7の「4円計」参照)。なお、特定の商圏において算出する想定月間売上については、種別から算出した想定月間累計売上を利用してもよいし、タイプ別に算出した想定月間累計売上を利用してもよい。
【0056】
上記のように、タイプ別に想定月間累計売上を算出する場合、管理サーバ9においてタイプ別の稼動率を参照して想定遊技情報(例えば想定アウト)をタイプ別に算出する(図7参照)。また、当該タイプにおける一台当たりの一日の想定売上[台]を算出した上で、当該店舗Aの設置台数並びに当該期間の日数を乗算することで、特定の遊技場における設置状況並びに該当期間に応じた集計結果乃至算出結果を得ることができる。
【0057】
なお、図7では説明の便宜上、店舗名を遊技場Aに対応する「A」としたが、店舗A以外の遊技場や、他の商圏を選択・設定して売上規模を算出しうることは勿論である。
この点、従来の管理システムでは、売上や粗利に関する情報を収集できるのは自店やチェーン店のみであり、出店予定地付近に存在する他の遊技場や競合店における売上規模を把握することができないが、本実施形態の遊技場用管理システムは、遊技場Aの管理装置5において、競合店の売上等の情報を直接的に収集できないとしても、多数の遊技場から収集された言わばマーケットデータとしての遊技情報を管理サーバ9にて分析し、これに基づき特定の遊技場の想定遊技情報(例えば想定アウト)や売上規模或いは特定の商圏における売上規模をも算出することができ、例えば当該管理装置5にて出店予定地の属する商圏を指定することにより、その売上規模を事前に把握したい遊技場経営者のニーズに応えることができる等の効果を奏する。
【0058】
以上に説明したように本実施形態の管理サーバ9は、複数の遊技場から収集された遊技情報のうち第1遊技情報(例えば稼動率)と第2遊技情報(例えば遊技機一台当りの平均アウト)との関係を分析する分析手段として機能し、複数の遊技場のうち特定の遊技場における第1遊技情報を受付けて、当該受付けた第1遊技情報と分析手段による分析結果に基づき、想定遊技情報として特定の遊技場における第2遊技情報(例えば想定アウト)を算出する。
これによれば、例えば第1及び第2遊技情報として上記稼動率及び平均アウトの関係を分析することにより、実際に集計する稼動率を基に想定アウトを算出することができ、出店予定地の商圏における遊技場においてどの程度アウトを見込めるか等を把握することができる。
【0059】
管理サーバ9は、遊技場のランクと遊技情報とを対応付けて管理するとともに、算出手段として算出した想定遊技情報(例えば想定アウト)とランク情報管理手段として管理する遊技情報とを比較することで特定の遊技場が何れのランクに属するかを判定する。
これによれば、収集した各遊技場の実データ(遊技情報)を用いて遊技場をランク分けし、ランクに応じて遊技情報を管理できる。また、特定の遊技場がどのランクに振分けられるか把握でき、振分けられたランクの遊技情報を把握することで、当該特定の遊技場や出店予定地の商圏における稼動状況を含む遊技情報を把握することができる。
【0060】
管理サーバ9は、ランク情報管理手段として管理する遊技情報のうち売上に関する情報である第3遊技情報(例えば玉単価)と想定遊技情報(例えば想定アウト)とに基づき特定の遊技場の売上規模を算出し、商圏分類手段として分類した商圏における売上規模を算出する。これによれば、ランクに応じて管理される遊技情報は売上に関する情報を含むことから、特定の遊技場が振分けられるランクとその売上に関する情報並びに想定遊技情報との関係より、当該特定の遊技場や出店予定地の商圏における売上規模を把握することができる。
【0061】
管理サーバ9は、例えば想定遊技情報としての想定アウトをタイプ別に算出することから、所望するタイプの想定アウトを精度よく求めることができ、ひいては遊技場の売上規模をより精度よく算出することができる。
【0062】
本発明は、上記した実施形態に限定されることなく、次のように変形又は拡張できる。なお、以下に示す変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせてもよいし、適宜採用しなくともよいし、複数例示した構成等を一つだけ採用してもよい。
管理サーバ9についてはクラウド型サーバを用いてもよく、各制御(上記演算等)についてはクラウド上で行ってもよい。
【0063】
使用する遊技情報は日毎のデータであってもよいし月毎のデータであってもよい。また、稼動率は1時間毎のデータの平均値を使用しているが、定時毎(例えば11時、15時、19時)のデータを平均したものを使用してもよい。
参照・選択する商圏についてはどのように分けてもよく、自店舗を中心とした任意の範囲に位置する遊技場を含めるようにしてもよいし、遊技場管理者により予め選択するようにしてもよい。
【0064】
第1遊技情報や第2遊技情報は、遊技情報の分析結果に基づき、売上規模を算出可能とする相間関係のある遊技情報を含むものであればよく、例示した稼動率や平均アウトに限定するものではない。また、例えば稼動率は「客数÷台数」で算出可能であることから、その両者を第1遊技情報として用い、或いは他の算出方法で算出した稼動率そのものを第1遊技情報として収集してもよい。
【0065】
管理サーバ9の情報は管理装置5にて閲覧可能であり、例えば通常のパソコン等、遊技場に設置される必要のない表示装置等にて閲覧可能としてもよいが、ID等を入力して閲覧者の主体を特定可能とすることが望ましい。また、管理装置5にて、図3図7の図表の表示出力により表示画面で閲覧することができるが、その出力態様は印字出力であってもよい。
【0066】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置5の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定してもよい。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定してもよく、ランクの区分やタイプの区分(分類)は上記した区分に限らず、その区分数を増減させる等、適宜変更することができる。
【0067】
対象となる遊技機1は遊技媒体をデータのみで管理する所謂封入式等の例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用できる。なお、所謂封入式等を考慮して遊技媒体は必要に応じて遊技価値と表現する。
管理装置5が行う処理の一部を中継装置3又は遊技装置2等にて行ってもよい。又、管理サーバ9で行う処理を管理装置5で行ったり、管理装置5で行う処理を管理サーバ9で行う等、どのように構成してもよい。従って例えば、管理装置5及び管理サーバ9は何れも、上記した特定の遊技場における第1遊技情報を受付ける遊技情報受付手段として機能させることもできる。
【符号の説明】
【0068】
図面中、1は遊技機、5は管理装置(遊技情報収集手段、遊技情報受付手段)、9は管理サーバ(分析手段、遊技情報受付手段、算出手段、ランク分け手段、ランク情報管理手段、ランク判定手段、売上規模算出手段、商圏分類手段)である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7