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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148280
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B23K9/04 Y
B23K9/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056213
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】591001282
【氏名又は名称】大同メタル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】浅羽 凌
(72)【発明者】
【氏名】中井 雅博
(57)【要約】
【課題】添加物の蒸発を低減し、添加物の均一な分散を図り、摺動性能のさらなる向上が図られる摺動部材を製造するための溶接装置を提供する。
【解決手段】一実施形態による溶接装置10は、母材11にワイヤ12をアーク溶接することによって摺動部材の摺動層を形成する。溶接装置10は、ワイヤ供給部13および添加材供給部20を備える。ワイヤ供給部13は、摺動層を構成するマトリクスとなるワイヤ12を供給する。添加材供給部20は、ワイヤ供給部13から供給されたワイヤ12と母材11との間の放電によって溶融した溶滴15に、マトリクスに添加する添加材21を供給する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材にワイヤをアーク溶接することによって摺動層を形成する溶接装置であって、
前記摺動層を構成するマトリクスとなる前記ワイヤを供給するワイヤ供給部と、
前記ワイヤ供給部から供給された前記ワイヤと前記母材との間の放電によって溶融した溶滴に、前記マトリクスに添加する添加材を供給する添加材供給部と、
を備える溶接装置。
【請求項2】
前記添加材供給部は、前記マトリクスに添加される前記添加材を、粒子、前記粒子を含む粉末、前記粒子を含むワイヤ、または前記粒子を含む棒材として前記溶滴に供給する請求項1記載の摺動部材の溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、溶接装置に関し、特に摺動部材の摺動層を形成する溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アーク溶接によって摺動部材を形成することが周知である(特許文献1、2)。特許文献1では、裏金の表面にアーク溶接によってCu-Sn-Pbの合金を摺動層として積層している。このとき、摺動層は、合金のマトリクスにPbが予め分散された粉末を用いて形成される。これにより、特許文献1では、溶接時の高温によるPbの蒸発を低減し、摺動層にPbが均一に分散した組織の形成を図っている。
【0003】
近年、環境へ与える負荷のさらなる低減などの要求から、摺動部材を用いる軸受は、高い面圧環境における摺動特性の向上が求められている。そこで、マトリクスに例えば低融点の金属や硬質の材料などを添加材として添加し、摺動層の性質の向上が図られている。この場合、摺動層は、例えばあらかじめマトリクスに添加材を加えた粉末やワイヤを用いて溶接を行なうことにより形成することができる。
【0004】
ところが、マトリクスに添加された低融点の金属は、溶接時に蒸発を招きやすく、摺動層のマトリクスの欠陥や偏析を招くという問題がある。また、マトリクスに添加された硬質の材料は、溶接時に凝集を招きやすく、マトリクスにおける均一な分散が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04-300073号公報
【特許文献1】特開平04-371390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、添加物の蒸発を低減し、添加物の均一な分散を図り、摺動性能のさらなる向上が図られる摺動部材を製造するための溶接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による溶接装置は、母材にワイヤをアーク溶接することによって摺動層を形成する。溶接装置は、ワイヤ供給部および添加材供給部を備える。ワイヤ供給部は、前記摺動層を構成するマトリクスとなる前記ワイヤを供給する。添加材供給部は、前記ワイヤ供給部から供給された前記ワイヤと前記母材との間の放電によって溶融した溶滴に、前記マトリクスに添加する添加材を供給する。
【0008】
これにより、添加材は、溶融したワイヤの溶滴に混合される。すなわち、本実施形態では、添加材は、母材とワイヤとのアークによって母材に形成される溶融池ではなく、ワイヤに形成される溶滴に加えられる。そのため、添加材は、溶滴に均一かつ微細に分散し、溶滴が凝固して形成される摺動層にも均一かつ微細に分散する。これは、溶滴が母材に落下することにより、溶滴は迅速に冷却されるからである。すなわち、溶滴に加えられた添加材は、容積が比較的小さな溶滴と均一かつ微細に混合された後、母材に落下して冷却され、均一かつ微細に混合された状態を維持したまま凝固する。また、溶滴に添加材を加えることにより、溶融池に添加材を加える場合と比較して、母材と添加材との混合が低減される。さらに、本実施形態のように比較的熱容量が小さい溶滴に添加材を加えることにより、添加材が溶滴に分散した状態のまま迅速に冷却され、添加材の蒸発にともなう欠陥も低減される。したがって、摺動性能のさらなる向上を図ることができる。
【0009】
他の実施形態による摺動部材では、前記添加材供給部は、前記マトリクスに添加される前記添加材を、粒子、前記粒子を含む粉末、前記粒子を含むワイヤ、または前記粒子を含む棒材として前記溶滴に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による摺動部材を製造するための溶接装置を示す模式図
図2】一実施形態による摺動部材を製造するための溶接装置を示す模式図
図3】一実施形態による摺動部材を示す模式図
図4】一実施形態による摺動部材の組織を示す模式的な断面図
図5】一実施形態による摺動部材の製造方法の流れを示す模式図
図6】一実施形態による摺動部材の製造方法の流れを示す模式図
図7】一実施形態による摺動部材の製造方法の流れを示す模式図
図8】一実施形態による摺動部材を適用した回転部材を示す模式的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて実施形態を説明する。
(溶接装置)
まず、摺動部材を製造するための溶接装置について説明する。
図1に示すように溶接装置10は、母材11とワイヤ12との間の放電を用いた、いわゆるアーク溶接装置である。溶接装置10は、ワイヤ供給部13を備えている。ワイヤ供給部13は、消耗電極であるワイヤ12を、予め設定された周期と移動量で周期的に母材11側へ移動とその反対側への移動とを繰り返しつつ供給する。ワイヤ供給部13と母材11との間は、電源装置14を通して電気的に接続されている。電源装置14は、ワイヤ供給部13と母材11との間に予め設定された電圧を印加する。ワイヤ12は、ワイヤ供給部13に接することによって、ワイヤ供給部13と同一の電位となる。これにより、母材11とワイヤ12とが接近するとアーク状態になるとともに、母材11とワイヤ12とが接すると短絡状態となる。ワイヤ供給部13によりワイヤ12を進退することにより、母材11とワイヤ12との間はアーク状態と短絡状態とが繰り返し発生する。
【0012】
ワイヤ供給部13によってワイヤ12の先端が母材11に接近すると、ワイヤ12と母材11との間にアークが発生する。ワイヤ12は、発生したアークによって瞬時に加熱され、溶融する。溶融したワイヤ12は、溶滴15となって母材11側へ落下する。溶融したワイヤ12の溶滴15が母材11に接すると、母材11とワイヤ12とが短絡し母材11とワイヤ12との間の通電が停止され、溶滴15は母材11に移行する。すなわち、ワイヤ12は、アーク溶接による溶滴移行によって母材11に積層される。ワイヤ供給部13がワイヤ12の先端を母材11から遠ざけることによって、母材11とワイヤ12とが離間し、再び母材11とワイヤ12との間にアークが発生する。これを繰り返すことにより、母材11にはワイヤ12を構成する材料によって溶接層が形成される。
【0013】
ワイヤ供給部13は、ガス噴出口16を有している。ワイヤ供給部13は、ガス噴出口16からシールドガス17を噴射する。シールドガス17は、例えばアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを主成分とし、酸素などが添加されている。ガス噴出口16は、母材11とワイヤ12とが接触する溶接部の近傍を包囲するようにシールドガス17を噴射する。これにより、母材11とワイヤ12との溶接部は、シールドガス17によって外気から遮蔽される。シールドガス17は、Oを含むAr、100%のAr、CO、Ar+CO、Ar+Heなどを用いることができる。
【0014】
溶接装置10は、上記に加え、添加材供給部20を備えている。添加材供給部20は、母材11とワイヤ12との間のアークによって形成された溶滴15に添加材21を供給する。本実施形態では、添加材供給部20は、母材11とワイヤ12との間のアークによって母材11側に形成された溶融池ではなく、ワイヤ12側に形成された溶滴15に添加材21を供給する。添加材供給部20は、図1に示すように粉末状の添加材21を溶滴15に供給する。また、添加材供給部20は、図2に示すように添加材21を含むワイヤ22を溶滴15に供給する構成でもよい。さらに、添加材供給部20は、これら図1および図2に示す例に限らず添加材21を含む棒材などを溶滴15に供給する構成でもよい。
【0015】
以上のように、本実施形態の場合、溶接装置10は、添加材供給部20を備えている。そのため、添加材21は、母材11とワイヤ12との間のアークによってワイヤ12が溶融して形成される溶滴15に供給される。
【0016】
(摺動部材の製造方法、摺動部材)
次に、上記の溶接装置を用いた摺動部材の製造方法、およびこれにより得られる摺動部材について説明する。
図3に示すように摺動部材30は、母材11および摺動層32を備えている。摺動層32は、母材11と反対側の面に摺動面33を形成する。母材11は、例えばFeやCuなどの金属またはこれらの合金で形成されている。摺動層32は、この母材11の表面に溶接によって形成されている。具体的には、摺動層32は、図1に示すようにワイヤ12を母材11に溶接することによってワイヤ12を主材料として形成されている。摺動層32は、Cu、Al、Snのうちの元素を第一成分とする合金である。すなわち、摺動層32を構成する合金のマトリクスは、ワイヤ12によって形成される。第一成分とは、摺動層32を構成する合金の中で最も含有率の高いものである。例えば摺動層32をCu合金で形成する場合、ワイヤ12はこの摺動層32と同一のCu合金で形成されている。
【0017】
摺動層32は、図4に示すようにマトリクス34に均一かつ微細に分散した粒子相35を有している。すなわち、摺動層32は、マトリクス34と、このマトリクス34に均一かつ微細に分散した粒子相35とを有している。粒子相35は、低硬度相を含んでいる。低硬度相は、マトリクス34よりも硬度の低い粒子の相である。低硬度相は、例えばPb、Bi、Sn、Sb、In、Mg、Al、Znなどから選択される少なくとも1つ以上の元素、またはこれらの化合物である。また、粒子相35は、高硬度相を含んでいてもよい。高硬度相は、マトリクス34よりも硬度の高い粒子の相である。高硬度相は、例えばNi、Sn、Mo、C、Si、Mn、Fe、Ti、Al、W、Cr、Sc、Zr、Co、P、B、Cuなどから選択される少なくとも1つ以上の元素もしくは化合物、またはこれらとO、Nなどとの化合物である。
【0018】
ワイヤ12は、図1および図2に示す溶接装置10のワイヤ供給部13に供給される。ワイヤ供給部13に供給されたワイヤ12は、母材11との間のアーク放電によって溶融し、図5(A)および図6(A)に示すように溶滴15を形成する。形成された溶滴15は、添加材21が添加される。添加材21は、添加材供給部20から溶滴15に添加される。添加材21は、図5(A)に示すように粒子相35となる予め選択された材料の粒子、材料の粒子を含む粉末として添加材供給部20から溶滴15に添加される。また、添加材21は、図6(A)に示すように材料の粒子を含むワイヤ22、または材料の粒子を含む棒材として添加材供給部20から溶滴15に添加される。
【0019】
低硬度相および高硬度相のうち少なくともいずれか一方を含む粒子相35は、添加材供給部20から供給される添加材21から形成される。すなわち、溶融したワイヤ12の溶滴15に添加材21を添加することにより、溶融したワイヤ12の溶滴15に粒子相35となる各種の材料が混合される。そして、図5(B)および図6(B)に示すように溶滴15が母材11へ移行すると、ワイヤ12をマトリクス34の材料とする溶滴15は母材11に積層される。図5(C)および図6(C)に示すように溶滴15が凝固することにより、母材11には摺動層32が形成される。
【0020】
摺動層32は、上記の例に限らず、図7に示すように形成してもよい。図7に示す例の場合、ワイヤ供給部13に供給されたワイヤ12は、母材11との間のアーク放電によって溶融し、図7(A)に示すように溶滴15を形成する。形成された溶滴15は、図7(B)に示すように母材11へ移行する。図7に示す例の場合、添加材供給部20は、図7(C)に示すように母材11へ移行して溶融状態となっている溶滴15に添加材21を添加する。溶融した溶滴15に添加材21を添加することにより、溶融したワイヤ12の溶滴15に粒子相35となる各種の材料が混合される。そして、溶滴15が凝固することにより、母材11には摺動層32が形成される。なお、図5または図7に示すように、添加材供給部20が添加材21を添加する時期は、アークによって溶滴15が形成されて母材11で凝固するまでの間に設定することができる。
【0021】
これらの摺動層32は、上述のようにマトリクス34に添加材21を原料とする粒子相35を含んでいる。本実施形態の場合、添加材21は、摺動層32の形成時において、母材11とワイヤ12とのアークによって母材11に形成される溶融池ではなく、ワイヤ12に形成される溶滴15に加えられる。これにより、粒子相35となる添加材21は、溶滴15に均一かつ微細に分散し、形成される摺動層32にも均一かつ微細に分散する。これは、溶滴15が母材11に落下することにより、溶滴15は迅速に冷却されるからである。すなわち、溶滴15に加えられた添加材21は、容積が比較的小さな溶滴15と均一かつ微細に混合された後、母材11に落下して冷却され、均一かつ微細に混合された状態を維持したまま凝固する。
【0022】
また、溶滴15に添加材21を加えることにより、溶融池に添加材21を加える場合と比較して、摺動層32において母材11との混合は低減される。溶融池は、ワイヤ12と母材11とが混合して溶融した状態となっている。そのため、例えば溶融池に添加材21を加えると、添加材21は摺動層32となるワイヤ12だけでなく溶融した母材11とも混合される。そして、溶融池で混合された母材11、ワイヤ12および添加材21は、凝固速度が緩やかとなり、添加材21の凝集を招きやすくなる。さらに、例えば予めワイヤ12に添加材21を混合すると、アークによる加熱時に温度が上昇し、添加材21の蒸発などによる欠陥を招きやすくなる。
【0023】
これらに対し、本実施形態では、添加材21は、比較的熱容量が小さい溶滴15に加えられる。そのため、添加材21による粒子相35は、摺動層32のマトリクス34に分散した状態のまま迅速に冷却することができる。また、本実施形態では、添加材21の蒸発にともなう欠陥の発生を低減することができる。
以上の手順により、母材11に摺動層32が積層された摺動部材30が製造される。
【0024】
摺動部材30は、図3および図4に示すように母材11および摺動層32を備えている。本実施形態の場合、図4に示すようにマトリクス34に添加材21からなる粒子相35が均一かつ微細に分散している。粒子相35の低硬度相に含まれるPbやBiなどの融点の低い金属は、摺動層32のマトリクス34に比較して柔らかいPb相やBi相を形成する。そのため、粒子相35の低硬度相は、摺動部材30と相手材との摺動時における摺動部分での異物埋収性を高め、耐焼付性の向上に寄与する。一方、粒子相35の高硬度相は、摺動部材30と相手材との摺動時に生じる凝着物を除去する。摺動部材30と相手材との摺動部分に摺動によって生じた凝着物などの異物が相手材に付着すると、凝着物と摺動部材30の摺動面33とが接し、その部分で焼付を招くおそれがある。摺動層32に含まれる例えばMoCなどの高硬度相は、この摺動部分に付着する異物を掻き落す。これにより、粒子相35の高硬度相は、摺動部材30と相手部材との焼付の低減に寄与する。
【0025】
(摺動部材の実施例)
摺動部材30の実施例を検証した。実施例は、図1に示す溶接装置10を用いて、母材11となる鋼板に、Cu合金のワイヤ12を用いてアーク溶接によって摺動層32を形成した。母材11にワイヤ12を溶接するとき、粉末状の添加材21をワイヤ12の溶滴15に供給した。ワイヤ12は、Cu-Si-MnのCuを主成分とする合金であり、Cu系合金の摺動層32を形成する。添加材21の粉末は、Cu-22Pb-1.5Sn(質量%)を用いた。シールドガス17は、2vol%のOを含むArを用いた。母材11とワイヤ12との間に印加する電圧は14Vに設定し、溶接電流は85Aに設定した。その結果、図4に示すように摺動層32に粒子相35としてのPbが均一かつ微細に分散した組織が形成された。Pb相は、非常に微細であり、任意の断面における直径が0.5~3μmであった。
【0026】
以上説明したように、本実施形態では、ワイヤ12の溶融によって形成された溶滴15に添加材21を添加している。これにより、添加材21からなる粒子相35は形成される摺動層32のマトリクス34に均一かつ微細に分散する。したがって、摺動性能をより高めるとともに、添加材21を選択することにより、摺動性能を用途に応じて適切に制御することができる。
【0027】
図8に示すように、本実施形態で形成する摺動部材30は、例えば風力発電の軸や軸受など、大規模かつ面圧が高い回転部材40に好適に用いることができる。図8に示す例の場合、回転部材40は、母材11および摺動層32を備えている。回転部材40は、回転軸部41および摺動層32を備えている。そして、回転部材40は、母材11からなる回転軸部41に、摺動層32が溶接によって直接設けられている。これら回転軸部41と摺動層32とは、摺動部材30を構成している。
このように、回転軸部41に溶接によって摺動層32を直接設けることにより、摺動性能が制御された摺動層32を備える摺動部材30によって、高い面圧にも対応することができる。
【0028】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
例えば、摺動部材30は、母材11および摺動層32に加え、図示しないオーバレイ層を備えていてもよい。この場合、オーバレイ層は、摺動層32の表面、つまり母材11と反対側の面に摺動層32に重ねて形成される。オーバレイ層は、例えばSnやBiなどの軟質の金属または合金を用いることが好ましい。また、オーバレイ層は、例えば固体潤滑剤を分散した樹脂などを用いてもよい。摺動部材30は、オーバレイ層を備えるとき、このオーバレイ層の最表面が相手材と摺動する摺動面33となる。さらに、摺動部材30は、母材11と摺動層32との間に、図示しない1層以上の中間層を備えていてもよい。この場合、中間相は、例えばNiやその合金など、母材11と摺動層32との接着力を高める材料を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0029】
図面中、10は溶接装置、11は母材、12はワイヤ、15は溶滴、20は添加材供給部、21は添加材を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8