(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148291
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】均し装置及びそれを備えた組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20231005BHJP
B65G 47/19 20060101ALI20231005BHJP
B65G 11/20 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01G19/387 C
B65G47/19
B65G11/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056228
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】末道 亮
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕也
【テーマコード(参考)】
3F011
3F080
【Fターム(参考)】
3F011AA07
3F011BA02
3F011BB08
3F011BC03
3F080AA51
3F080BA08
3F080CF02
3F080DA06
3F080EA14
(57)【要約】
【課題】搬送される物品を確実に安定して均すことができる均し装置及びそれを備えた組合せ計量装置を提供する。
【解決手段】物品を搬送する搬送路を挟んで対向配置されたクランクアーム35と、搬送路の上方に位置するように、クランクアーム35に支持された均し作動軸41と、均し作動軸41に取付けられた均しアーム48とを備え、均しアーム48は、下端部に均し具50を有し、クランクアーム35の回転に連動して、均し具50の先端部が、循環軌跡sに沿って移動することによって、搬送される物品wを均すようにしている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送路を挟んで対向配置されたクランクアームと、前記搬送路の上方に位置するように、前記クランクアームに支持された均し作動軸と、前記均し作動軸に取付けられた均しアームとを備え、
前記均しアームは、下端部に均し具を有し、前記クランクアームの回転に連動して、前記均し具の先端部が、循環軌跡に沿って移動することによって、搬送される前記物品を均す、
ことを特徴とする均し装置。
【請求項2】
前記均し作動軸は、一対の前記クランクアーム間に亘って支持されており、
前記均し作動軸に沿って延びる支点軸を備え、
前記均しアームは、前記均し作動軸に揺動自在に取付けられると共に、前記支点軸が挿通係合する案内孔を有する、
請求項1に記載の均し装置。
【請求項3】
前記支点軸は、高さ位置を調節可能である、
請求項2に記載の均し装置。
【請求項4】
前記均し作動軸は、前記クランクアームに対して着脱可能に支持され、前記均しアームの前記案内孔の下端を、前記支点軸が通過可能に開放してある、
請求項2または3に記載の均し装置。
【請求項5】
前記一対のクランクアーム間に、前記搬送路が複数設けられ、複数の前記均しアームが、各搬送路の上方にそれぞれ位置するように、前記均し作動軸にそれぞれ取付けられている、
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の均し装置。
【請求項6】
前記一対のクランクアームの一方のクランクアームが、モータの駆動軸に連結され、他方のクランクアームが、遊転自在に支持されている、
請求項5に記載の均し装置。
【請求項7】
前記均し具は、前記均しアームに高さ調節可能に連結されている、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の均し装置。
【請求項8】
複数の直進フィーダが、直線状に並ぶように列設され、各直進フィーダによって搬送される物品が供給される供給ホッパ及び前記供給ホッパから排出される物品を保持してその重量を計量する計量ホッパを、上下に一連に有する計量ユニットの複数連が、直線状に並ぶように列設されている組合せ計量装置であって、
前記請求項1ないし7のいずれか一項に記載の前記均し装置を備え、
前記均しアームの前記均し具が、前記搬送路を構成する前記直進フィーダによって搬送される前記物品を均す、
ことを特徴する組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送される物品を均す均し装置及びそれを備えた組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
組合せ計量装置として、例えば、特許文献1に示されているように、分散フィーダで分散搬送した物品を、分散フィーダの周囲に放射状に並列配備した複数の直進フィーダに搬出し、各直進フィーダによって物品を直線的に振動搬送して、供給ホッパに送り込むようにしたものが知られている。
【0003】
かかる組合せ計量装置においては、目標組合せ重量が小さく、供給ホッパへ少量の物品を搬送する必要があるような場合、あるいは、物品の性状や形状によって、物品が嵩高くまとまって搬送され易いような場合には、物品が、供給ホッパへ過剰に供給され、更に、供給ホッパから計量ホッパへ物品が過剰に供給されることがある。
【0004】
このように物品が計量ホッパへ過剰に供給されると、組合せ演算における組合せが成立し難くなって計量処理能力が低下したり、歩留まりが低下するといった弊害が生じる。
【0005】
このような弊害を解消するために、上記特許文献1では、直進フィーダの搬送トレイ上に、ウレタンゴムや合成ゴムなどの弾性材からなる層厚規制板を垂下し、搬送される物品の層厚を調整して、供給ホッパへ適当少量ずつ物品を送り込む分散供給装置を装備することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、弾性材からなる層厚規制板では、その弾性変形の度合いによって、物品の通過量が規制されるので、物品の通過量を、一定量に安定して規制するのは容易でないという難点がある。
【0008】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、物品を確実に安定して均すことができる均し装置及びそれを備えた組合せ計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0010】
(1)本発明に係る均し装置は、物品を搬送する搬送路を挟んで対向配置されたクランクアームと、前記搬送路の上方に位置するように、前記クランクアームに支持された均し作動軸と、前記均し作動軸に取付けられた均しアームとを備え、前記均しアームは、下端部に均し具を有し、前記クランクアームの回転に連動して、前記均し具の先端部が、循環軌跡に沿って移動することによって、搬送される前記物品を均すものである。
【0011】
本発明に係る均し装置によると、搬送される物品に対して、先端部が、循環軌跡に沿って移動する均し具を作用させることで、物品を的確かつ強力に掻き崩して均し、所望の層厚にして均一に搬送することができる。
【0012】
また、均し具の先端部は、循環軌跡に沿って移動するので、循環軌跡の下部で物品を掻き均し、循環軌跡の上部で物品から上方に離間するように設定するといったことが可能であり、これによって、物品の搬送を妨げることなく、的確な均し処理を行うことができる。
【0013】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記均し作動軸は、一対の前記クランクアーム間に亘って支持されており、前記均し作動軸に沿って延びる支点軸を備え、前記均しアームは、前記均し作動軸に揺動自在に取付けられると共に、前記支点軸が挿通係合する案内孔を有する。
【0014】
この実施態様によると、一対のクランクアーム間に、搬送路を跨ぐように、均し作動軸を支持すると共に、均し作動軸に沿って延びる支点軸を装備し、クランクアームの回転に伴って、均しアームの案内孔に挿通係合する支点軸を支点として、均しアームを揺動させることによって、均しアームの下端部の均し具を、循環軌跡に沿って移動させることができる。
【0015】
(3)本発明の他の実施態様では、前記支点軸は、高さ位置を調節可能である。
【0016】
この実施態様によると、均しアームの揺動支点となる支点軸を、上下に位置変更することで、均しアーム下端部に備えた均し具における循環軌跡に沿う移動幅等を変更するといったことが可能となる。これによって、物品の性状などに応じた好適な均し処理を行うことができる。
【0017】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記均し作動軸は、前記クランクアームに対して着脱可能に支持され、前記均しアームの前記案内孔の下端を、前記支点軸が通過可能に開放してある。
【0018】
この実施態様によると、均し作動軸のクランクアームに対する連結を解除することで、均しアームを取付けたままで均し作動軸を、均しアームの開放された案内孔を介して支点軸から離脱させることができ、洗浄や各種のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0019】
(5)本発明の好ましい実施態様では、前記一対のクランクアーム間に、前記搬送路が複数設けられ、複数の前記均しアームが、各搬送路の上方にそれぞれ位置するように、前記均し作動軸にそれぞれ取付けられている。
【0020】
この実施態様によると、複数の均しアームを、均し作動軸に並列するように取付け、各均しアームによって、複数の各搬送路をそれぞれ搬送される物品を一括して均すことができる。
【0021】
(6)本発明の他の実施態様では、前記一対のクランクアームの一方のクランクアームが、モータの駆動軸に連結され、他方のクランクアームが、遊転自在に支持されている。
【0022】
この実施態様によると、単一のモータを駆動源として、一対のクランクアームを回転させることによって、一対のクランクアーム間に設けられている複数の搬送路をそれぞれ搬送される物品を一括して均すことができるので、簡単な構造で、効率的に均し処理を行うことができる。
【0023】
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記均し具は、前記均しアームに高さ調節可能に連結されている。
【0024】
この実施態様によると、均し具の高さ位置を調節することによって、物品の性状などに応じた好適な層厚に物品を均すことができる。
【0025】
(8)本発明に係る組合せ計量装置は、複数の直進フィーダが、直線状に並ぶように列設され、各直進フィーダによって搬送される物品が供給される供給ホッパ及び前記供給ホッパから排出される物品を保持してその重量を計量する計量ホッパを、上下に一連に有する計量ユニットの複数連が、直線状に並ぶように列設されている組合せ計量装置であって、
上記(1)ないし(7)のいずれかの前記均し装置を備え、前記均しアームの前記均し具が、前記搬送路を構成する前記直進フィーダによって搬送される前記物品を均すものである。
【0026】
本発明に係る組合せ計量装置によると、直進フィーダによって搬送される物品を均して、所望の層厚にして計量ユニットに搬送することができ、これによって、計量ユニットの計量ホッパへ物品が過剰に供給されるのを抑制し、計量処理能力が低下したり、歩留まりが低下するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明に係る均し装置によれば、搬送される物品に対して、先端部が、循環軌跡に沿って移動する均し具を作用させることで、物品を、所望の層厚にして均一に搬送することができ、また、循環軌跡の下部で物品を掻き均し、循環軌跡の上部で物品から上方に離間するよう設定することで、物品の搬送を妨げることなく、的確な均し処理を行うことができる。
【0028】
本発明に係る組合せ計量装置によれば、直進フィーダによって搬送される物品を、均し装置によって均して、所望の層厚にして計量ユニットに搬送することができるので、計量ホッパへ物品が過剰に供給されるのを抑制し、計量処理能力が低下したり、歩留まりが低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る均し装置を備える組合せ計量装置の側面図である。
【
図6】
図6は均し装置の駆動側部位を示す斜視図である。
【
図7】
図7は均し装置の遊転側部位を示す斜視図である。
【
図10】
図10は通常作動時における均し装置の正面図である。
【
図11】
図11は通常作動時における均し装置の要部を拡大した正面図である。
【
図12】
図12は取り外し前段工程における均し装置の正面図である。
【
図13】
図13は取り外し前段工程における均し装置の要部を拡大した正面図である。
【
図14】
図14は取り外し後段工程における均し装置の正面図である。
【
図15】
図15は取り外し後段工程における均し装置の要部を拡大した正面図である。
【
図16】
図16は別の使用形態での均し装置を示す側面図である。
【
図17】
図17は本発明の他の実施形態における均し装置の要部を拡大した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は本発明に係る均し装置を備える組合せ計量装置の全体側面図、
図2はその平面図であり、また、
図3は組合せ計量部の概略側面図、
図4は組合せ計量部の概略正面図である。
【0031】
この実施形態の組合せ計量装置は、食品や菓子、等の多品種の物品を所定重量ずつ組合せ計量し、全体として所定の重量となるように混合計量して排出するものである。この組合せ計量装置は、櫓状に組まれたフレームの階上床面Fに搭載設置され、組合せ計量されて排出された物品は、階下に設置した図示されていない包装機に投入して袋詰めされる。
【0032】
なお、構造を理解し易くするために、以下の説明では、
図1と
図2における図面左右方向を前後方向、また、この前後方向と直交する水平方向、すなわち、
図1における紙面表裏方向、及び、
図2における図面上下方向を左右方向と呼称することとする。
【0033】
図1に示すように、この組合せ秤は、作業者が左右に歩行移動可能な中央通路Rを挟んで、前後2台の組合せ計量部1が向い合せに配置された構造となっている。各組合せ計量部1は、基本的には同仕様に構成されており、以下、一方の組合せ計量部1(
図1及び
図2における図面右側の組合せ計量部1)について、その基本的な構成を
図3及び
図4を参照して説明する。
【0034】
組合せ計量部1における中央通路R側には、床面Fに設置した台枠2上に、横長箱状に形成された2台の基体3が左右に並べて設置されている。各基体3の中央通路Rと反対側には、複数連(この例では、6連)の計量ユニット4が左右一列状に装備されている。従って、この例では、2台の基体3を並列配備した1台の組合せ計量部1にそれぞれ一列12連の計量ユニット4が装備され、2台の組合せ計量部1を対向配備した装置全体としては、計24連の計量ユニット4で多品種(例えば9種)の物品を組合せ計量するようになっている。
【0035】
また、各組合せ計量部1における計量ユニット4群の更に外側(中央通路Rと反対側)には、多品種の物品を各計量ユニット4の上部に供給する物品供給部5が配備されている。
【0036】
計量ユニット4自体は、周知構造のものと同様であり、
図3に示すように、物品供給部5から搬送されてきた物品を受け取って一旦貯留する開閉自在なゲートを有する供給ホッパ6と、供給ホッパ6から排出された物品を貯留してその重量を計量する開閉自在なゲート7a,7bを有する計量ホッパ7と、計量ホッパ7で計量され、排出された物品を受け取って一時貯留する開閉自在なゲートを有するメモリホッパ8とを上下縦列状に配置した構造となっている。
【0037】
計量ホッパ7には、中央通路Rから遠い側の外ゲート7aと、中央通路R側の内ゲート7bがそれぞれ独立して開閉作動可能に備えられている。計量ホッパ7の外ゲート7aのみを揺動開放させることで、計量した物品が直接下方に送出され、内ゲート7bのみを揺動開放させることで、計量した物品がメモリホッパ8へ送り込まれて一時貯留されるようになっている。
【0038】
各計量ユニット4に対応してメモリホッパ8が備えられているので、組合せ演算に参加できる有効なホッパの数が増え、計量精度が向上する。
【0039】
図4に示すように、計量ホッパ7とメモリホッパ8の下方には、所定の重量となるように組合せ選択された複数の計量ホッパ7、あるいは、メモリホッパ8から送出された物品を集める第1集合シュート9が配備されると共に、隣接する2台ずつの第1集合シュート9の下方に、第1集合シュート9で集められた物品を一時的に受け止め貯留する2台の第1集合ホッパ10が配備されている。また、第1集合ホッパ10の下方には、各第1集合ホッパ10から排出された物品を滑落案内して集める第2集合シュート11と、14連の計量ユニット4を用いて計量されて集められた物品を、一か所に集めて一時貯留する第2集合ホッパ12とが配置されている。
【0040】
中央通路Rを挟んで対向配備された組合せ計量部1に1台ずつ備えた第2集合ホッパ12は、中央通路Rの下方において前後に近接して配備され、包装機側からの供給要請指令に基づいて同時に開閉制御され、それぞれ所定量ずつ組合せ計量された多品種の物品が混合されて、階下の包装機にまとめて排出される。
【0041】
図2の平面図に示すように、7台ずつ計量ユニット4を並列装備した各基体3は、横端部の縦向き支点xを中心として旋回可能に台枠2の上部にそれぞれ支持されている。計量ユニット4のメンテナンスに際しては、
図2中の仮想線で示すように、基体3を中央通路R側に旋回して開放することで、計量ユニット4群を広く露出させ、ホッパ類の脱着やメンテナンスを容易に行うことができるようになっている。また、基体3を開放することで、物品供給部5を中央通路R側からメンテナンス、あるいは、洗浄することもできる。
【0042】
物品供給部5には、
図3に示すように、物品を収容する貯留ホッパ13と、各貯留ホッパ13の下端に連通するよう供給部フレーム16に固定支持された送出ガイド14とが備えられると共に、送出ガイド14を経て送り出された物品を各計量ユニット4に向けて直線的に振動搬送する12台の直進フィーダ15が、供給部フレーム16の上部に左右に並列して配備されている。
【0043】
直進フィーダ15は、物品を樋状のトラフに載置して直線状に振動搬送する上手側フィーダ15aと、物品を先下がり階段状の樋状のトラフに載置して振動搬送する下手側フィーダ15bとを、搬送方向に向けて縦列配置して構成されている。
【0044】
物品供給部5の供給部フレーム16には、計量ホッパ6に過剰に供給された物品を排出するためのリジェクト機構20が備えられている。リジェクト機構20には、前後水平に進退移動可能なリジェクトシュート21と、リジェクトシュート21に導入した物品を回収する回収シュート22と、回収容器23とが装備されている。
【0045】
リジェクトシュート21は、計量ホッパ7から第1集合シュート9への送出径路に外側から対向して配備されており、エアーシリンダ24によって進退駆動されるようになっている。通常時、
図3中の実線で示すように、リジェクトシュート21は外側に退避しており、計量ホッパ7における外ゲート7aの開放に伴う物品の第1集合シュート9への排出を妨げることがない。
【0046】
そして、計量ホッパ7で計量された重量値が過量である場合には、
図3中の仮想線で示すように、リジェクトシュート21が進出するリジェクト状態となる。この状態で、外ゲート7aが開放作動されることで、計量ホッパ7内の物品がリジェクトシュート21に排出され、過量の物品が回収シュート22を介して回収容器23に流下案内されて回収される。また、回収が完了するとリジェクトシュート21は元の退避位置に後退移動され、計量ホッパ7の外ゲート7aが閉じられて次の計量に備えられる。
【0047】
この実施形態の組合せ計量装置では、搬送路を構成する直進フィーダ15によって搬送される物品の搬送量を均一に安定させて、計量ユニット4に物品を供給できるようにするために、直進フィーダ15で搬送中の物品を均す均し装置30を備えており、以下、その詳細な構造を説明する。
【0048】
図3に示すように、この均し装置30は、直進フィーダ15における上手側フィーダ15aの終端近くの上方箇所に設置されている。
【0049】
図5に示すように、均し装置30は、直進搬送路を構成する6列の直進フィーダ15を挟んで対向するように立設された左右一対のサイドフレーム31、32が、ステー33で連結されたフレーム構造を備えている。
【0050】
図5、
図6に示すように、一方のサイドフレーム31の外面には、モータ34が横向き水平に取り付けられると共に、サイドフレーム31の内側には、モータ軸34aに一端が連結されたクランクアーム35が配備されている。モータ34の作動に伴って、クランクアーム35が水平支点y周りに一定方向に回転駆動されるようになっている。
【0051】
図5、
図7に示すように、他方のサイドフレーム32の内面には、前記水平支点yと同心に軸受けケース36が取り付けられると共に、軸受けケース36に転がり軸受けを介して支持された遊転支軸37に、前記クランクアーム35と同一アーム長さのクランクアーム38の一端が連結されている。なお、以降の説明において、駆動側となる一方のクランクアーム35を駆動側クランクアーム35、遊転自在な他方のクランクアーム38を遊転側クランクアーム38と呼称する。
【0052】
駆動側クランクアーム35及び遊転側クランクアーム38の各遊端部には、支軸39、40がそれぞれ内向き片持ち状に連結され、これら両支軸39、40に亘って均し作動軸41が水平に連結支持されている。
【0053】
均し作動軸41の両端には、連結ボス42、43がそれぞれ外嵌されて、貫通ボルト44、45によって、均し作動軸41に連結固定されている。また、駆動側の連結ボス42が、駆動側クランクアーム35の支軸39に挿嵌されて、蝶ボルト46で締込み固定されると共に、遊転側の連結ボス43が、遊転側クランクアーム38の支軸40に挿嵌されて蝶ボルト47で締込み固定されている。
【0054】
均し作動軸41には、複数本(図示の例では4本)の均しアーム48が、前後揺動自在に遊嵌装着されている。
図8に示すように、均しアーム48は、その上端部に、均し作動軸41に遊転自在に挿嵌される連結孔49が備えられると共に、アーム下端部における前後向き外面に、金属板片をヘの字状に屈折成形してなる均し具50が、高さ調節可能にボルト連結されている。また、均しアーム48には、下端側に開放された案内孔51が形成され、この案内孔51が、左右のサイドフレーム31、32に亘って高さ調節可能に水平固定された支点軸52に挿通係合されている。
【0055】
均し作動軸41には、均しアーム48の左右両側に位置する切込み付きのカラー53が外嵌装着されている。このカラー53をネジ締めして均し作動軸41に固定することで、均しアーム48を左右方向の任意の位置に位置決めして、前後揺動自在に遊嵌支持するようになっている。
【0056】
均し装置30は以上のように構成されており、その作動経過が
図9(a)~(d)に示されている。
【0057】
すなわち、駆動側クランクアーム35が回転駆動されて、均し作動軸41が所定半径の円弧軌跡に沿って時計方向に回転移動すると、均し作動軸41に遊嵌支持された均しアーム48の上端部が、前後及び上下に移動すると共に、均しアーム48が、支点軸52を支点として前後に揺動することになる。その結果、均し具50の下端が、楕円に近い形状の循環軌跡sに沿って反時計方向に回動移動する。
【0058】
図示のように、略楕円状の循環軌跡sをもって移動する均し具50は、先ず、上手側フィーダ15aで振動搬送されてくる物品wに上方から食い込んだ後、搬送上手上方へ振り上げ移動し、嵩高い物品wをほぐして嵩低くする。
【0059】
この際に、均し具50を、その移動径路に対して迎え角がつくよう取付け姿勢を設定しておくことで、絡まっている物品wでも確実にすくい取るように分離して均し処理することができる。
【0060】
また、均し具50の均しアーム48に対する取付け高さを調節することによって、均し具50下端の循環軌跡sを上下に位置調整し、均した後の物品の層の厚さを調整変更することができ、少量の物品の搬送に対応することができる。
【0061】
支点軸52の高さを調節して均しアーム48に対する揺動支点の位置を上下に変更すると、均し具50下端の前後方向での振れ幅を変更することができる。これらの調整によって、物品wの品種や必要な搬送量に応じた好適な均し形態を選択することが可能となる。
【0062】
なお、実施形態のように、上手側フィーダ15aの終端近くに均し装置30を配備すると、均し具50による掻き均し作用を受けた物品wは、振動搬送されて直ちに下手側フィーダ15bに落下排出されることになり、その際の落下衝撃による分散作用で一層効果的に均される。下手側フィーダ15bでは、
図5に示すように、階段状の段差が形成された樋状のトラフによって振動搬送されることによって更にほぐされ、少量ずつ計量ユニット4の供給ホッパ6に送り込まれる。
【0063】
上記均し装置30においては、物品供給部5での洗浄作業や各種のメンテナンス作業を行う際に、均しアーム48群を均し作動軸41ごと着脱できるよう構成されており、以下、その着脱構造と着脱操作を、
図10~
図15を参照しながら説明する、
図10、
図11に示すように、通常の使用状態において、駆動側クランクアーム35の支軸39、及び、遊転側クランクアーム38の支軸40に、均し作動軸41の両端に連結固定された連結ボス42、43がそれぞれ所定の深さで挿入され、蝶ボルト46、47で締め込み固定されている。
【0064】
取り外しに際しては、先ず、
図12、
図13に示すように、両蝶ボルト46、47を弛めて各支軸39、40と連結ボス42、43との連結固定を解除し、均し作動軸41を、遊転側クランクアーム38側にスライド移動させる。これによって、駆動側の連結ボス42が支軸39から抜き外されると共に、遊転側の連結ボス43が支軸40に深く挿嵌される。
【0065】
次に、
図14、
図15に示すように、遊転側クランクアーム38の支軸40に挿嵌連結された状態の均し作動軸41を、遊転側クランクアーム38と一緒に支点y周りに少し持ち上げ移動させ、連結ボス42を駆動側クランクアーム35の支軸39に対向する位置から外れた位置まで移動させる。この状態で、均し作動軸41を駆動側クランクアーム35側に大きくスライド移動させ、遊転側の連結ボス43を支軸40から抜き外す。
【0066】
その後、均しアーム48群を装備した均し作動軸41を上方に大きく持ち上げることで、均しアーム48を支点軸52から離脱させることができ、所望の位置に運び出して、洗浄、あるいは、部品調整や交換などのメンテナンスを任意に行うことができる。
【0067】
また、均しアーム48群を装備した均し作動軸41を取り外すことで、上手側フィーダ15aの上方が開放され、上手側フィーダ15aの着脱等を容易に行うことができる。
【0068】
なお、均しアーム48群を装備した均し作動軸41の取付けは、上記操作を逆に行うことになる。
【0069】
以上のように本実施形態によれば、搬送される物品に対して、先端部が、循環軌跡に沿って移動する均し具50を作用させることで、物品を的確かつ強力に掻き崩して均し、所望の層厚にして均一に搬送することができる。
【0070】
また、均し具50の先端部は、循環軌跡sの下部で物品を掻き均し、循環軌跡sの上部で物品から上方に離間するので、物品の搬送を妨げることなく、的確な均し処理を行うことができる。
【0071】
更に、均し作動軸41は、工具を使用することなく、クランクアーム35,38に対する連結を解除することによって、均しアーム48を取付けたままで均し作動軸41を、支点軸52から離脱させることができるので、洗浄や各種のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0072】
単一のモータ34で、一対のクランクアーム35,38を回動させることによって、複数の上手側フィーダ15aの物品を、一括して均すことができるので、簡単な構造で、効率的に均し処理を行うことができる。
【0073】
このように上手側フィーダ15aにおいて、均し装置30によって、搬送される物品を均して、所望の層厚にして計量ユニット4に搬送することができるので、物品の搬送量を均一に安定させて搬送することができる。これによって、直進フィーダ15から計量ユニット4の計量ホッパ7へ供給される物品の供給量を安定させることができ、計量ホッパ7へ物品が過剰に供給されるのを抑制し、計量処理能力が低下したり、歩留まりが低下するのを防止することができる。
【0074】
[他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0075】
(1)上記実施形態では、均し具50を、
図9に示すように、迎え角をもって搬送上手上方への振り上げ移動するように取り付けているが、物品の性状によっては、
図16に示すように、均し具50が逃げ角をもって搬送上手上方へ振り上げ移動するように取り付けることもできる。この場合は、均し具50で嵩高い物品を押し崩しながら均すことになる。
【0076】
(2)
図17に示すように、単純に駆動側クランクアーム35及び遊転側クランクアーム38に均し作動軸41を挿通して、ノブ付きボルト54、あるいは、ハンドル付きボルトや蝶ボルト等の手動締付け部材で固定するようにしてもよい。
【0077】
(3)上記実施形態では、均し作動軸41を取り外す際に、均し作動軸41を先に駆動側クランクアーム35から抜き外し、その後、均し作動軸41を遊転側クランクアーム38から抜き外す形態としているが、逆に、均し作動軸41を先に遊転側クランクアーム38から抜き外し、その後、駆動側クランクアーム35から抜き外す形態で実施することもできる。
【0078】
(4)上記実施形態では、均しアーム48の案内孔51は、下端を開放したが、他の実施形態として、案内孔は、開放することなく、長孔としてもよい。
【0079】
(5)均しアーム48に取り付ける均し具50の形状は、物品の形状や性状に対応して任意に選択することができる。例えば、均し具50を屈折しない単純な平板材で構成してもよく、また、板状の他にフォーク状のものを利用することもできる。
【0080】
(6)クランクアーム35を駆動するモータ34は、物品の性状等に応じて、その動作速度をモータパターンに従って変化させるようにしてもよい。
【0081】
(7)均し具50を均しアーム48の下端部に一体に形成することもできる。
【0082】
(8)一つの均し装置30で、複数の品種の物品を均し処理する場合は、処理する物品に対応して選択した仕様の異なる均し具50を、対応する均しアーム48にそれぞれ任意の高さで取り付けて実施すればよい。
【0083】
(9)上記実施形態の均し装置30は、最大6本の均しアーム48を装着可能としているが、装置横幅を大きくすれば、より多数の直進フィーダ15に対応することができる。ただし、並列された直進フィーダ15の全てに亘る横幅に均し作動軸41を支持することが困難な場合は、複数台の均し装置30を並列して設置するとよい。
【0084】
(10)上記実施形態では、物品を振動搬送する直進フィーダ15によって直進搬送路を構成する場合を示しているが、単に物品を載置して搬送するベルトコンベヤによって直進搬送路を構成する場合に適用することもできる。
【符号の説明】
【0085】
4 計量ユニット
15 直進フィーダ
15a 上手側フィーダ
15b 下手側フィーダ
30 均し装置
35 クランクアーム(駆動側)
38 クランクアーム(遊転側)
41 均し作動軸
48 均しアーム
50 均し具
51 案内孔
52 支点軸
s 循環軌跡