(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148304
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】排水トラップ及び排水システム
(51)【国際特許分類】
E03C 1/28 20060101AFI20231005BHJP
E03C 1/122 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E03C1/28 A
E03C1/122 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056249
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000144072
【氏名又は名称】SANEI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
(74)【代理人】
【識別番号】100167966
【弁理士】
【氏名又は名称】扇谷 一
(72)【発明者】
【氏名】中島 一彰
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061AA01
2D061AB06
2D061AB10
2D061DA02
2D061DD08
2D061DE01
2D061DE10
(57)【要約】
【課題】 洗面器のような槽体の下方において排水トラップが占有する空間の拡大を抑えることを可能とする。
【解決手段】 槽体ユニット110と、槽体ユニット110からの水を排水する床排水管140と、の間に配設される排水トラップ1であって、略柱形状の外形を有し、上部開口11xにて槽体と連通する第1の内部空間IS1、第1の内部空間IS1の外周周りに形成され、これと連通する第2の内部空間IS2、及び第2の内部空間IS2の外周周りに形成され、第2の内部空間IS2及び床排水管140の各々と連通する第3の内部空間IS3、を形成する筒体部としての第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40を備えた、排水トラップ1。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体と、前記槽体の直下から前記槽体に向かって延出するとともに前記槽体からの水を排水する排水管と、の間に配設される排水トラップであって、
略柱形状の外形を有し、第1の連通位置にて前記槽体と連通する第1の内部空間、
前記第1の内部空間の外周周りに形成され、前記第1の内部空間と連通する第2の内部空間、及び
前記第2の内部空間の外周周りに形成され、前記第2の内部空間及び前記排水管の各々と連通する第3の内部空間、
を形成する筒体部を備え、
前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とが連通する第2の連通位置は、前記第1の連通位置より下方であり、
前記第2の内部空間と前記第3の内部空間とが連通する第3の連通位置は、前記第2の連通位置より上方であり、
前記第3の内部空間と前記排水管とが連通する第4の連通位置は、前記第2の連通位置より下方であり、
前記第2の連通位置と前記第4の連通位置とは、前記第1の内部空間の中心軸方向に沿って配列されており、
前記第3の連通位置は、前記第1の内部空間の周面に相対する側に位置している、
排水トラップ。
【請求項2】
前記第1の内部空間、前記第2の内部空間及び前記第3の内部空間は、前記第1の内部空間の前記中心軸に対して回転対称をなすように配置されている、
請求項1に記載の排水トラップ。
【請求項3】
前記筒体部は、前記槽体が載置される台座上に形成された開口に挿通可能な外形を有する、
請求項1又は2に記載の排水トラップ。
【請求項4】
前記筒体部は、複数のサブ筒体部を有し、
前記第1の内部空間は、前記複数のサブ筒体部のいずれか一つにより形成されており、
前記第1の内部空間を形成する前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つは、前記複数のサブ筒体部の残りに対し、前記槽体の位置する側から脱着自在に固定されている、
請求項1から3のいずれかに記載の排水トラップ。
【請求項5】
前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つは、前記第1の内部空間を介して前記槽体の位置する側から前記複数のサブ筒体部の残りに対して脱着自在に固定されている、
請求項3に記載の排水トラップ。
【請求項6】
前記筒体部の前記複数のサブ筒体部は、
前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つであって、前記第1の内部空間と前記第2の内部空間の一部とを形成し、且つ、一方の開口端が前記槽体に連通し、他方の開口端が前記第2の内部空間に連通している、筒状の第1の壁体を有する第1のサブ筒体部と、
前記複数のサブ筒体部の他の一つであって、前記第2の内部空間の残りの一部と前記第3の内部空間の一部とを形成するとともに、前記第1のサブ筒体部の前記他方の開口端と相対し、且つ、離隔して位置する底面と前記第1のサブ筒体部の外側面に相対し、且つ、離隔して位置する内側面とを含む筒状の第2の壁体を有する第2のサブ筒体部と、
前記複数のサブ筒体部の残りの一つであって、前記第3の内部空間の残りの一部を形成するとともに、前記第2のサブ筒体部の外側面と相対し、且つ、離隔して位置する内側面を含む筒状の第3の壁体を有する第3のサブ筒体部とを有する、
請求項1から5のいずれかに記載の排水トラップ。
【請求項7】
前記槽体、前記第2のサブ筒体部及び前記第3のサブ筒体部は、前記第1のサブ筒体部の脱着方向に略平行な向きに沿って、脱着自在に組み合わされている、
請求項6に記載の排水トラップ。
【請求項8】
前記槽体は、前記第1のサブ筒体部の前記第1の壁体と前記第2のサブ筒体部の前記第2の壁体との間に形成される間隙に脱着自在に組み合わされている、
請求項7に記載の排水トラップ。
【請求項9】
前記第3のサブ筒体部の前記第3の壁体の上端は開口を形成しており、
前記第2のサブ筒体部は、
前記第3のサブ筒体部の前記第3の壁体の前記開口を閉塞するとともに前記第2の内部空間を形成する閉塞面を形成する第4の壁体と、
前記第4の壁体の縁から延出して形成された、前記槽体が固定される台座に係止されるフランジとを更に有する、
請求項6から8のいずれかに記載の排水トラップ。
【請求項10】
槽体と、
前記槽体を載置する台座と、
前記槽体に脱着自在に装着される排水トラップとを備え、
前記排水トラップとして請求項1から9のいずれかに記載の排水トラップを備えた、
排水システム。
【請求項11】
槽体と、
前記槽体を載置する台座と、
前記槽体に脱着自在に装着される排水トラップであって請求項1から9のいずれかに記載の排水トラップとを用いた排水システムの施工方法であって、
前記台座には、前記排水トラップを挿通させる貫通孔が形成されており、
前記貫通孔に前記排水トラップを挿通させて前記台座に前記排水トラップを配設する工程と、
前記台座に配設された前記排水トラップに前記槽体を装着させる工程とを備えた、
排水システムの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水トラップ及びそれを備えた洗面器・手洗い器などの槽体を有する排水システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面器直下の配管には、排水管から昇ってくる臭気やガスが洗面器側に漏出することを防ぐために排水トラップが配設されている。そのような排水トラップの例として知られるSトラップやPトラップ等のサイフォン式トラップは、主に鉛直方向に平行な上記配管の延出方向に略直交する向きに大きくカーブしながら連続的な細い管材によって構成され、鉛直方向下向きに凸となるようカーブした部分に洗面器からの排水を封水として蓄積するようにしている(例えば、特許文献1、
図1等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の排水トラップには、以下のような課題があった。すなわち、上記従来の排水トラップにおいて、封水を蓄積するための管材は、上記配管に隣接する空間に一定の広がりをもって配設されることとなる。この空間は、洗面器が配設される化粧台の内部に形成されるが、化粧台の収納スペースを狭くしてしまうか、化粧台の大型化を招いてしまう。
【0005】
特に近年は、洗面器等が配設される施設や設備において、床から直立した態様で設けられる床排水管が増えており、そのような床排水管に対して上記従来の排水トラップを適合させようとすると、洗面器及び床排水管との接続のための配管の引き回しが複雑化して、配管が占める空間を更に大きくしてしまう。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、洗面器のような槽体の下方において占有する空間の拡大を抑えることが可能となる、コンパクトな排水トラップ及びそれを備えた排水システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、槽体と、前記槽体の直下から前記槽体に向かって延出するとともに前記槽体からの水を排水する排水管と、の間に配設される排水トラップであって、略柱形状の外形を有し、第1の連通位置にて前記槽体と連通する第1の内部空間、前記第1の内部空間の外周周りに形成され、前記第1の内部空間と連通する第2の内部空間、及び前記第2の内部空間の外周周りに形成され、前記第2の内部空間及び前記排水管の各々と連通する第3の内部空間、を形成する筒体部を備え、前記第1の内部空間と前記第2の内部空間とが連通する第2の連通位置は、前記第1の連通位置より下方であり、前記第2の内部空間と前記第3の内部空間とが連通する第3の連通位置は、前記第2の連通位置より上方であり、前記第3の内部空間と前記排水管とが連通する第4の連通位置は、前記第2の連通位置より下方であり、前記第2の連通位置と前記第4の連通位置とは、前記第1の内部空間の中心軸方向に沿って配列されており、前記第3の連通位置は、前記第1の内部空間の周面に相対する側に位置している、排水トラップである。
【0008】
第2の本発明は、前記第1の内部空間、前記第2の内部空間及び前記第3の内部空間は、前記第1の内部空間の前記中心軸に対して回転対称をなすように配置されている、第1の本発明の排水トラップである。
【0009】
第3の本発明は、前記筒体部は、前記槽体が載置される台座上に形成された開口に挿通可能な外形を有する、第1又は第2の本発明の排水トラップである。
【0010】
第4の本発明は、前記筒体部は、複数のサブ筒体部を有し、前記第1の内部空間は、前記複数のサブ筒体部のいずれか一つにより形成されており、前記第1の内部空間を形成する前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つは、前記複数のサブ筒体部の残りに対し、前記槽体の位置する側から脱着自在に固定されている、第1から第3のいずれかの本発明の排水トラップである。
【0011】
第5の本発明は、前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つは、前記第1の内部空間を介して前記槽体の位置する側から前記複数のサブ筒体部の残りに対して脱着自在に固定されている、第3の本発明の排水トラップである。
【0012】
第6の本発明は、前記筒体部の前記複数のサブ筒体部は、前記複数のサブ筒体部のいずれか前記一つであって、前記第1の内部空間と前記第2の内部空間の一部とを形成し、且つ、一方の開口端が前記槽体に連通し、他方の開口端が前記第2の内部空間に連通している、筒状の第1の壁体を有する第1のサブ筒体部と、前記複数のサブ筒体部の他の一つであって、前記第2の内部空間の残りの一部と前記第3の内部空間の一部とを形成するとともに、前記第1のサブ筒体部の前記他方の開口端と相対し、且つ、離隔して位置する底面と前記第1のサブ筒体部の外側面に相対し、且つ、離隔して位置する内側面とを含む筒状の第2の壁体を有する第2のサブ筒体部と、前記複数のサブ筒体部の残りの一つであって、前記第3の内部空間の残りの一部を形成するとともに、前記第2のサブ筒体部の外側面と相対し、且つ、離隔して位置する内側面を含む筒状の第3の壁体を有する第3のサブ筒体部とを有する、第1から第5のいずれかの本発明の排水トラップである。
【0013】
第7の本発明は、前記槽体、前記第2のサブ筒体部及び前記第3のサブ筒体部は、前記第1のサブ筒体部の脱着方向に略平行な向きに沿って、脱着自在に組み合わされている、第6の本発明の排水トラップである。
【0014】
第8の本発明は、前記槽体は、前記第1のサブ筒体部の前記第1の壁体と前記第2のサブ筒体部の前記第2の壁体との間に形成される間隙に脱着自在に組み合わされている、第7の本発明の排水トラップである。
【0015】
第9の本発明は、前記第3のサブ筒体部の前記第3の壁体の上端は開口を形成しており、前記第2のサブ筒体部は、前記第3のサブ筒体部の前記第3の壁体の前記開口を閉塞するとともに前記第2の収容空間を形成する閉塞面を形成する第4の壁体と、前記第4の壁体の縁から延出して形成された、前記槽体が固定される台座に係止されるフランジとを更に有する、第6から第8のいずれかの本発明の排水トラップである。
【0016】
第10の本発明は、槽体と、前記槽体を載置する台座と、前記槽体に脱着自在に装着される排水トラップとを備え、前記排水トラップとして第1から第9のいずれかの本発明の排水トラップを備えた、排水システムである。
【0017】
第11の本発明は、槽体と、前記槽体を載置する台座と、前記槽体に脱着自在に装着される排水トラップであって第1から第9のいずれかの本発明の排水トラップとを用いた排水システムの施工方法であって、前記台座には、前記排水トラップを挿通させる貫通孔が形成されており、前記貫通孔に前記排水トラップを挿通させて前記台座に前記排水トラップを配設する工程と、前記台座に配設された前記排水トラップに前記槽体を装着させる工程とを備えた、排水システムの施工方法である。
【発明の効果】
【0018】
以上のような本発明は、排水トラップにおいて、洗面器のような槽体の下方において占有する空間の拡大を抑えることが可能となる効果を奏する。
【0019】
本発明の上記の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システムの構成を示す、正面図による分解図
【
図2】本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システムの構成を示す、斜視図による分解図
【
図3】本発明の実施の形態に係る排水トラップの構成を示す、正面図による要部断面図
【
図4】本発明の実施の形態に係る排水トラップの構成を示す、斜視図による分解図
【
図9】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップの第1のサブ筒体部10の構成を示す、正面図による要部断面図(B)
図9(A)のE-E直線による断面図
【
図10】本発明の実施の形態に係る排水トラップの第2のサブ筒体部20の構成を示す、正面図による要部断面図
【
図11】(A)
図10のF-F直線による断面図(B)
図10のG-G直線による断面図(C)本発明の実施の形態に係る排水トラップの第2のサブ筒体部20の構成を示す平面図
【
図12】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップのOリング押さえ50の構成を示す平面図(B)本発明の実施の形態に係る排水トラップのOリング押さえ50の構成を示す、正面図による要部断面図
【
図13】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップの第3のサブ筒体部30の構成を示す、正面図による要部断面図(B)
図13のH-H直線による断面図
【
図14】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップの閉塞部40の構成を示す平面図(B)本発明の実施の形態に係る排水トラップの閉塞部40の構成を示す底面図(C)本発明の実施の形態に係る排水トラップの閉塞部40の構成を示す、正面図による要部断面図
【
図15】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップのキャップ60の構成を示す平面図(B)本発明の実施の形態に係る排水トラップのキャップ60の構成を示す、正面図による要部断面図
【
図16】本発明の実施の形態に係る排水トラップの作用を説明するための図
【
図17】(A)本発明の実施の形態に係る排水トラップの第1のサブ筒体部10の他の構成例を示す、正面図による要部断面図(B)本発明の実施の形態に係る排水トラップの第1のサブ筒体部10の他の構成例を示す平面図
【
図18】本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システムを用いた洗面・手洗い設備200の構成を模式的に示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(排水システム)
図1は、本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システムの構成を示す、正面図による分解図であり、
図2は、本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システムの構成を示す、斜視図による分解図である。
【0023】
各図に示すように、本発明の実施の形態に係る排水トラップを有する排水システム100は、槽体ユニット110及び排水トラップ1を主要な構成として備える。
【0024】
槽体ユニット110は、洗面器や手洗い器を例とする槽体111と、槽体111の開口111xに装着される管体112とを主要な構成として有する。
【0025】
管体112は、一方の開口端であって槽体111の内側に露出する排水口112xと、他方の開口端且つ先端である先端部112a側であって排水トラップ1に接続される開口112yとを有する略円筒形状の部材である。管体112は、排水口112x側の外周面に、雄ねじ112bが形成されている。
【0026】
管体112は、槽体111の内側から、スポンジパッキン113を介して開口111xに挿入される。槽体111の外側へ露出した管体112の一部分には、槽体111寄りの側から順に、三角パッキン114、滑りパッキン115が嵌入される。最後に、管体112の雄ねじ112bに、その内側に雌ねじ116aが形成されたロックナット116が螺合することにより、管体112は槽体111に固定される。
【0027】
排水トラップ1は、槽体ユニット110と、洗面台が配置される床に突設された床排水管140とを接続する手段である。
【0028】
排水トラップ1は、槽体111の開口111x及び管体112を含めた槽体ユニット110、後述する台座130の配設孔130x並びに床排水管140で共有される中心軸CA周りに回転対称を成すように形成された、略円筒形状の外形を有する。また、排水トラップ1は、各々が中心軸CAを周りに回転対称を成す略円筒形の外形を有する第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30の三つの筒体並びに閉塞部40を有する。中心軸CA側から見て、排水トラップ1において、第1のサブ筒体部10は最内周を、第2のサブ筒体部20の一部分及び第3のサブ筒体部30は最外周を、第2のサブ筒体部20の残りの部分は第1のサブ筒体部10と第3のサブ筒体部30との間の周をそれぞれ成す、同心円状に配置されている。これにより、排水トラップ1は、概略三重筒状の構成を有する。
【0029】
図1に示すように、第2のサブ筒体部20は、槽体ユニット110と対向する一端側に上部開口23xを有し、上部開口23x側から槽体ユニット110が挿入される。上部開口23xの奧には第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体部20との間隙Gが配置されており、槽体ユニット110の管体112の先端部112aが間隙Gに嵌入されることにより、槽体ユニット110は排水トラップ1に脱着自在に固定される。
【0030】
更に、排水トラップ1は、槽体ユニット110が配設される化粧台の台座130上に形成された貫通孔である配設孔130xに挿通自在な程度の外径を有する一方、上部開口23xと略水平な面から周方向に広がって形成されたフランジ25を備える。フランジ25の外径は配設孔130xよりも大きく、これにより、槽体ユニット110が配設される側から配設孔130xに挿入された排水トラップ1は、フランジ25が配設孔130xの周縁に係止された状態で、台座130上に挿抜自在に固定される。
【0031】
更に、排水トラップ1は、上部開口23xに対する他端側である下側筒体本体部22が、キャップ60の螺合により床排水管140と接続される。これにより、槽体ユニット110と床排水管140とは、中間に排水トラップ1を介して接続され、排水口112xが床排水管140と連通した状態におかれ、排水システム100が完成する。なお、槽体ユニット110において、排水口112xは、脱着自在な独立した部品である排水口カバー120により、中心軸CA方向視にて遮蔽され、且つ、管体112と連通可能な状態で閉塞される。
【0032】
ここで、本発明に関する以後の説明においては、上記の説明に基づき、各図を参照して説明する際の方向を次の通り定義する。すなわち、
図1、2における中心軸CAに沿った方向を上下方向と定義し、槽体ユニット110が位置する側を上方、床排水管140が位置する側を下方と定める。また、
図1の面に対し向かって右手側の方向を右側、左手側の方向を左側と定め、これらを結ぶ方向を左右方向と定義する。更に、上下方向及び左右方向と直交する方向を前後方向と定義し、
図1の面に対して手前側の方向を前方、奥側の方向を後方と定める。各方向は、各図に示す直交座標にて示し、以後の説明は適宜図中座標の表示を参照して行う。
【0033】
(排水トラップ1の概略)
本発明の実施の形態の排水トラップ1は、排水システム100において、上側の開口端として槽体ユニット110と接続される上部開口23xと、下側の開口端として床排水管140と接続される下部開口22yとを有し、床排水管140側からの臭気やガスが槽体ユニット110へ導かれることを阻止しつつ、槽体111からの排水を床排水管140へと導く。
【0034】
図3は、本発明の実施の形態に係る排水トラップの構成を示す、正面図による要部断面図であり、
図4は、本実施の形態に係る排水トラップの構成を示す、斜視図による分解図である。以下、
図3、4、並びに必要に応じて他の図面を適宜併せて参照して、説明を行なう。
【0035】
排水トラップ1は、上述したように、各々が中心軸CAを周りに回転対称を成し、且つ、上から見て同心円状をなすように配置された、略円筒形の外形を有する第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30の三つの筒体並びに閉塞部40を有する。
【0036】
第1のサブ筒体部10は、排水トラップ1の最内周側に位置して槽体ユニット110の管体112に直接連通する部材である。第2のサブ筒体部20は、第1のサブ筒体部10を内部に収容して槽体ユニット110及び床排水管140の各々に接続されるとともに、排水トラップ1の外装の一部分を構成する部材である。第3のサブ筒体部30は、第2のサブ筒体部20の一部を外側から覆って、排水トラップ1の外装の残りの部分を構成する部材である。閉塞部40は、第2のサブ筒体部20と第3のサブ筒体部30とを一体に組み付けるとともに、排水トラップ1の外装の一部分を構成する部材である。
【0037】
排水トラップ1は、これら第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30並びに閉塞部40の組み合わせにより、後述する排水トラップとしての機能を発揮する。以下、各々のサブ筒体その他の部材について説明を行う。
【0038】
(第1のサブ筒体部10)
第1のサブ筒体部10は、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の部材である筒体本体部11を有する。特に
図4並びに
図9(A)及び(B)に示すように、筒体本体部11は、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、両端の底面の上側が開口端である上部開口11xを形成し、両端の底面の下側が閉止端を形成する底11cを有することで、閉管状の外形を構成する。
【0039】
更に、筒体本体部11は、底11cの周縁に沿った側壁の左右両側の各々が外周面11aから内周面11bまで貫通して切り欠かれることにより形成された、一対のスリット11yを有する。一対のスリット11yが形成されることに伴い、一対のスリット11yの周方向に隣接する側壁の残りの一部は、前後方向に配列された一対の脚部11dを構成する。これにより、第1のサブ筒体部10の筒内空間10xは、上方において上部開口11xを、下方において一対のスリット11yをそれぞれ介して、外部と連通した状態におかれている。
【0040】
更に、筒体本体部11は、上部開口11xに隣接する側壁の外周面11a上に、上面視で環状の凹溝11wが形成されている。
図3及び
図4に示すように、凹溝11wには、パッキンP3が装着される。更に、筒体本体部11の底11cの中心には、貫通孔である取付孔11zが設けられている。
【0041】
(第2のサブ筒体部20)
第2のサブ筒体部20は、ステンレス等の金属製の部材である中央筒体本体部21、中央筒体本体部21の下方に位置する下側筒体本体部22、中央筒体本体部21の上方に位置する上側筒体本体部23、及び中央筒体本体部21及び上側筒体本体部23の間に位置する境界筒体本体部24、並びに上側筒体本体部23の外周を取り囲むフランジ25が、鋳造等の手段により一体的に形成された構成を有する。換言すれば、第2のサブ筒体部20において、中央筒体本体部21、下側筒体本体部22、上側筒体本体部23及び境界筒体本体部24並びにフランジ25は、単一の部材における位置が互いに異なる部位としてそれぞれ形成されている。
【0042】
(中央筒体本体部21)
中央筒体本体部21は、特に
図4並びに
図10及び
図11(A)に示すように、第2のサブ筒体部20の略中央に位置し、外径が同一径の外周面21aが連続して形成されることにより他の部分と区画される部位である。
【0043】
中央筒体本体部21は、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、上方が後述する上側筒体本体部23の開口端である上部開口23x及び下部開口23yに連通する開口端を形成し、下方が閉止端を形成する底21cを有することで、閉管状の外形を構成する。
【0044】
更に、中央筒体本体部21は、上側の側壁の左右両側の各々が外周面21aから内周面21bまで貫通して切り欠かれることにより形成された、一対のスリット21xを有する。一対のスリット21xが形成されることに伴い、一対のスリット21xの周方向に隣接する側壁の残りの一部は、前後方向に配列された一対の脚部21eを構成する。
【0045】
これにより、第2のサブ筒体部20の筒内空間20xは、上側筒体本体部23の上部開口23x及び下部開口23yと一対のスリット21xとをそれぞれ介して、外部と連通した状態におかれている。
【0046】
更に、中央筒体本体部21は、底21cの外表面21dの中心から中心軸CAに沿って下方に突設された凸端21fを有し、凸端21fの内側には、凹面21yの中央に開口された非貫通孔である取付穴21zが設けられている。
【0047】
(下側筒体本体部22)
下側筒体本体部22は、特に
図4並びに
図10及び
図11(B)に示すように、中央筒体本体部21の下方、すなわち第2のサブ筒体部20の下端に位置する部位である。下側筒体本体部22は、第1のサブ筒体部10及び第3のサブ筒体部30並びに閉塞部40との組み合わせにより排水トラップの機能を発揮する部品であるとともに、床排水管140と排水トラップ1との接続に用いられる部位である。
【0048】
下側筒体本体部22は、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、両端の底面の上側が開口端である上部開口22xを形成し、両端の底面の下側が開口端である下部開口22yを有することで、上下両端が連通する筒型の外形を構成する。
【0049】
下側筒体本体部22は、外径が中央筒体本体部21の外周面21aよりも小さい外周面22aと、外周面22aの上方に位置し、外径が中央筒体本体部21の外周面21aと略同一寸法である外周面22cとを有する。なお、外周面21aと外周面22cとの境界は、図示されるようにテーパ面を介することによる外径の連続的な変化により生じるものであってもよいし、段差を介することによる外径の断続的な変化により生じるものであってもよい。
【0050】
更に、下側筒体本体部22において、上部開口22xは下部開口22yより内径が小さい。具体的には、上部開口22xと同一内径の内周面22dは、外周面22aと外周面22cとの略境界上に位置する上面視環状の縁部22zを境界として、より小さな内径である、中間開口22wを含んだ内周面22bに段階的に変化している。
【0051】
更に、下側筒体本体部22の外周面21aの上端側には雄ねじ22eが形成されている。同様に、外周面22aの下端側には雄ねじ22fが形成されている。雄ねじ22eは雄ねじ22fよりも大きな外径を有し、したがって下側筒体本体部22は段階的に僅かに先細な外形を有する。
【0052】
更に、下側筒体本体部22において、上部開口22xの周縁からは前後方向に配列された一対の脚部22gが上方に延出して、中央筒体本体部21の底21cの外表面21dに達し、これと一体化している。一対の脚部22gを有することに伴い、一対の脚部22gの周方向に隣接する中央筒体本体部21と下側筒体本体部22との境界は、左右方向に配列された間隙22hを形成する。
【0053】
間隙22hは上部開口22xと連通している。これにより、第2のサブ筒体部20は、中央筒体本体部21と下側筒体本体部22との境界の外周側に位置する間隙22hから下側筒体本体部22の筒内空間をへて下部開口22yまで連通している構成を有する。
【0054】
(上側筒体本体部23)
上側筒体本体部23は、特に
図4並びに
図10及び
図11(C)に示すように、中央筒体本体部21の上方、すなわち第2のサブ筒体部20の上端に位置する部位である。上側筒体本体部23は、第1のサブ筒体部10及び第3のサブ筒体部30との組み合わせにより排水トラップの機能を発揮する部品であるとともに、第1のサブ筒体部10との組み合わせにより槽体ユニット110と排水トラップ1との接続に用いられる部位である。
【0055】
上側筒体本体部23は、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、両端の底面の上側が開口端である上部開口23xを形成し、両端の底面の下側が開口端である下部開口23yを有することで、筒内空間23wを上下両端にて連通する筒型の外形を構成する。
【0056】
上側筒体本体部23は、その外径が中央筒体本体部21の外周面21a及び後述する境界筒体本体部24の外周面24a及び外周面24bよりも大きな外周面23aを有する。これにより、上側筒体本体部23は、境界筒体本体部24との境界に形成された、上面視で環状の縁部23bを有している。
【0057】
更に、上側筒体本体部23の筒内空間23wは、下方に移行するにしたがってその内径が断続的に小さくなっている。具体的には、上部開口23xと同一内径の内周面は、下方に位置する上面視環状の縁部23cを境界として、より小さな内径の内周面24eに変化する。更に、縁部23cの内周径と同一の内周面は、更に下方に位置する上面視環状の縁部23dを境界として、更に小さな内径の内周面24fに変化する。更に、縁部23dの内周径と同一の内周面は、更に下方に位置する上面視環状の縁部23eを境界として、後述する境界筒体本体部24の内周面及び中央筒体本体部21の内周面21bに連続する、更に小さな内径の内周面に変化する。
【0058】
なお、特に
図10に示す通り、縁部23eの内周径及びそれより下方の内周面の径は、中央筒体本体部21の内周面21bの径と等しくなっている。これにより、境界筒体本体部24及び中央筒体本体部21とは、中央筒体本体部21の内周面21bに等しい径の内周面を有する構成を備える。
【0059】
更に、上側筒体本体部23において、特に
図11(C)に示すように、縁部23d上には、非貫通孔である複数の取付穴23zが所定間隔にて設けられている。
【0060】
(境界筒体本体部24)
境界筒体本体部24は、特に
図3及び
図4並びに
図10に示すように、上下方向に沿って、中央筒体本体部21と上側筒体本体部23との間に位置する部位であって、第2のサブ筒体部20と後述する第3のサブ筒体部30との組み合わせに用いられる部位である。
【0061】
境界筒体本体部24は、特に
図10に示すように、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、両端の底面の上側が上側筒体本体部23の縁部23dから連続した内周面24fを有し、両端の底面の下側が中央筒体本体部21の内周面21bから連続して同一径の内周面を有することで、上下両端にて連通する筒型の外形を構成する。なお、下側筒体本体部22において、上端から延出する内周面24fと下端から延出する内周面とは、縁部23eを境界として、内周面24fのほうがより大きな内径を有する。
【0062】
更に、境界筒体本体部24は、側壁の外周面上に、上面視で環状の凹溝24x及び凹溝24yが上下方向に離隔して形成されている。また、凹溝24x及び凹溝24yが形成されることに伴い、凹溝24x及び凹溝24yの中心軸方向に隣接する側壁の外周面は、上下方向に離隔して配列された外周面24a及び外周面24bを構成する。
【0063】
凹溝24xは、上側筒体本体部23の外周面23aと境界筒体本体部24の外周面24aとの間に形成される。凹溝24yは、境界筒体本体部24の外周面24aと外周面24bとの間に形成される。
図3及び
図4に示すように、凹溝24yには、パッキンP1が装着される。
【0064】
更に、境界筒体本体部24において、外周面24a及び外周面24bの各々の径は、上側筒体本体部23の外周面23aの径よりも小さくなっている。
【0065】
更に、境界筒体本体部24の外周面24bは、その外径が中央筒体本体部21の外周面21aも大きい。これにより、境界筒体本体部24は、境界筒体本体部24との境界に形成された、上面視で環状の縁部24dを有している。
【0066】
(フランジ25)
フランジ25は、特に、
図10及び
図11(C)に示すように、上側筒体本体部23の上部開口23xと略同一の平面上に位置して、上部開口23xの径方向に沿った等方的な広がりを有する部位であって、排水トラップ1を洗面台の台座130等に配設するための部位である。
【0067】
上述したように、フランジ25の外径は配設孔130xよりも大きくなっている。これにより、槽体ユニット110が配設される側から配設孔130xに挿入された排水トラップ1は、フランジ25が配設孔130xの周縁に係止された状態で、台座130上に挿抜自在に固定される。
【0068】
(第3のサブ筒体部30)
第3のサブ筒体部30は、特に
図3及び
図4に示すように、上下方向に沿って第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23と下側筒体本体部22との間に位置するとともに、上面視では第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の外周側に位置する部材で、第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22及び上側筒体本体部23とともに、排水トラップ1の外装を構成する部材である。
【0069】
第3のサブ筒体部30は、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の部材である筒体本体部31を有する。特に
図4並びに
図13(A)及び(B)に示すように、筒体本体部31は、内周面及び外周面を形成する壁体としての側壁の他、両端の底面の上側が開口端である上部開口31xを形成し、両端の底面の下側が開口端である下部開口31yを有することで、上下両端が連通する筒型の外形を構成する。第3のサブ筒体部30の側壁の外周面31aは、排水トラップ1の外装を構成する。
【0070】
(閉塞部40)
閉塞部40は、特に
図3及び
図4に示すように、前後方向又は左右方向視で第3のサブ筒体部30の下端と第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の上端とにまたがって配置されるとともに、上面視では第3のサブ筒体部30の内周面と第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の外周面とにまたがって配置される部材である。更に、閉塞部40は、上述のように、第2のサブ筒体部20と第3のサブ筒体部30とを一体に組み付けるための部材であるとともに、第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22並びに上側筒体本体部23とともに、排水トラップ1の外装を構成する部材である。
【0071】
閉塞部40は、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の部材である、閉塞本体部41を有する。特に
図14(A)、(B)及び(C)に示すように、閉塞本体部41は、上部開口40xから下部開口40yまで連通する略環状の外形を構成する。
【0072】
閉塞本体部41の上下方向に沿った中央部分からは、径方向に沿って等方的に広がって形成されたフランジ部42が設けられている。閉塞本体部41の外周面には、上面視で環状の凹溝41aが形成されている。更に、閉塞本体部41の、フランジ部42より下方の部分は、上下方向視で略六角形の外形を有するナット部43を形成している。
【0073】
更に、閉塞部40において、閉塞本体部41及びフランジ部42の内周面41b上には、上面視で環状の凹溝41cが形成されている。また、ナット部43の内周面は、雌ねじ43aを構成している。
図3及び
図4に示すように、凹溝41aには、パッキンP4が装着され、凹溝41cには、パッキンP5が装着される。
【0074】
(排水トラップ1)
以上説明した、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40の組み合わせによる、本実施の形態の排水トラップ1の構成は、以下の通りである。
【0075】
はじめに、第1のサブ筒体部10及び第2のサブ筒体部20は、以下のように組み合わされている。すなわち、
図3及び
図4に示すように、第1のサブ筒体部10は、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23xを介して中央筒体本体部21内に挿入され、底11cが中央筒体本体部21の凹面21yに嵌合することにより、第2のサブ筒体部20に対して位置決めされる。
【0076】
そして、第1のサブ筒体部10の上部開口11xから挿入された固定ねじS1が、上部開口11xを介してなされる操作により、第1のサブ筒体部10の底11cの取付孔11zを間に挟んで第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の取付穴21zに螺合される。これにより、第1のサブ筒体部10は第2のサブ筒体部20に対して、中心軸CAを共有する同軸配置にて固定される。
【0077】
次に、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40は、以下のように組み合わされている。すなわち、
図3及び
図4に示すように、第3のサブ筒体部30は、上部開口31xを第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22に対向させた状態で、下方から、全体が第2のサブ筒体部20に挿通される。
【0078】
第3のサブ筒体部30は、特に
図3に示すように、上部開口31xが、境界筒体本体部24の外周面24a及び24bに嵌入されるとともに、上下方向において縁部23bにより係止されることにより、第2のサブ筒体部20に対して位置決めされている。
【0079】
そして、閉塞部40は、第3のサブ筒体部30が位置決めされた第2のサブ筒体部20に対して、上部開口40xを第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22に対向させた状態で、下方から、全体が下側筒体本体部22に挿通される。更に、閉塞部40は、ナット部43に対する外部からの操作に基づき内周面の雌ねじ43aが下側筒体本体部22の雄ねじ22eに螺合される。これにより、第3のサブ筒体部30は第2のサブ筒体部20に対して、上部開口31xが上側筒体本体部23により閉塞され、下部開口31yが下側筒体本体部22及び閉塞部40により閉塞された状態で、中心軸CAを共有する同軸配置にて固定される。
【0080】
また、
図3及び
図4に示すように、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の縁部23d及び縁部23eには、OリングO1を間に介してOリング押さえ50が装着される。Oリング押さえ50は、
図12(A)及び(B)に示すように、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の部材である、開口50xを有する環状のリング本体部51と、開口50xの上端側と略水平な面から周方向に広がって形成されたフランジ部52とが一体成型された構成を備える。
【0081】
フランジ部52上には、貫通孔である複数の取付孔52xが、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の複数の取付穴23zの各々の位置に対応した配置となるように、所定間隔にて設けられている。
【0082】
Oリング押さえ50は、フランジ部52の複数の取付孔52xの各々を介して、上側筒体本体部23の複数の取付穴23zの各々に固定ねじS2が螺合されることにより、第2のサブ筒体部20に固定される。
【0083】
排水トラップ1と床排水管140との接続には、キャップ60が用いられる。キャップ60は、
図15(A)及び(B)に示すように、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の合成樹脂製の部材である、上部開口60x及び下部開口60yを有する環状のキャップ本体部61を備える。下部開口60yは、キャップ本体部61において、キャップ本体部61の内周面であって下部開口60yと略同一をなす面から中心軸方向に向かって延出する、上面視で環状の縁部61bが形成されていることに基づき、上部開口60xより小さな内径を有する。縁部61bには、パッキンP6が装着される。
【0084】
更に、キャップ本体部61の内周面の全面には、雌ねじ61aが形成されている。キャップ60は雌ねじ61aにより第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の雄ねじ22fと螺合する。
【0085】
図3に示すように、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23と第3のサブ筒体部30との間は、パッキンP1を介在させることで気密性、水密性が保持されている。同様に、第3のサブ筒体部30と閉塞部40との間は、パッキンP4を介在させることで気密性、水密性が保持されている。同様に、第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22と閉塞部40との間は、パッキンP5を介在させることで気密性、水密性が保持されている。同様に、
図1及び
図3に示すように、槽体ユニット110と排水トラップ1との間は、OリングO1及びパッキンP3を介在させることで気密性、水密性が保持されている。同様に、
図1及び
図3に示すように排水トラップ1と床排水管140との間は、パッキンP6を介在させることで気密性、水密性が保持されている。
【0086】
なお、排水システム100における、槽体ユニット110及び床排水管140への排水トラップ1の組み付けは、以下のように行われる。すなわち、
図1及び2に示すように、洗面台の台座130の配設孔130xに挿通させた状態の排水トラップ1は、図示しない床面から直上に向かって延出して配設された床排水管140に対して中心軸CAに沿って相対した状態に置かれる。キャップ60は、床排水管140又は排水トラップ1の第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22にあらかじめ挿通させておく。
【0087】
以上の状態で、床排水管140に、第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の下部開口22yを嵌入させ、縁部22zにて係止させて、仮固定を行う。次に、キャップ60を下側筒体本体部22に螺合させて、床排水管140に締結して、排水トラップ1は床排水管140に固定されるとともに、床排水管14に連なる排水経路として接続される。
【0088】
一方、洗面台の台座130に配設された排水トラップ1は、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23xが露出している。したがって、上述したように、槽体ユニット110の管体112の先端部112aを上部開口23xに挿入し、上部開口23xの下方に位置する、上面視で環状の、第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体部20との間隙Gに嵌入することにより、槽体ユニット110は排水トラップ1に固定されるとともに、排水トラップ1に連なる排水経路として接続される。槽体ユニット110の槽体111と第2のサブ筒体部20との間には、合成樹脂製のOリング押さえ50が介在することにより、槽体ユニット110の脱着時又は使用時における槽体111の損傷の恐れは低減される。
【0089】
なお、以上説明した、槽体ユニット110及び床排水管140への排水トラップ1の組み付けの一連の工程は、本発明の排水システムの施工方法の実施の形態に相当する。
【0090】
各部材が上述のように組み合わされた本実施の形態の排水トラップ1は、排水の上流である槽体ユニット110側から下流である床排水管140までの間の排水経路が、以下のように形成されている。
【0091】
すなわち、特に
図3、
図5、
図6及び
図16に示すように、排水トラップ1は、上流から順に、Oリング押さえ50の開口50x、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23x及び下部開口23y、並びに第1のサブ筒体部10の上部開口11xを介して、第1のサブ筒体部10の筒内空間10xと連通している。ここで第1のサブ筒体部10の筒内空間10xは、排水トラップ1における第1の内部空間IS1を形成する。第1の内部空間IS1は、上下方向視で中心軸CAを含んで回転対称に形成される、略柱形状の外形を有する空間である。
【0092】
次に、特に
図1、
図3、
図5~7、及び
図16に示すように、上面視において第1のサブ筒体部10の外周面11a及び第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の内周面21bに囲まれ、左右又は前後視において第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の底21c及び槽体ユニット110により囲まれる空間が、排水トラップ1における第2の内部空間IS2を形成する。第2の内部空間IS2は、第1の内部空間IS1の外周周りに形成される、上下方向視で外形環状の空間である。
【0093】
更に、特に
図3、
図5~8、及び
図16に示すように、上面視において第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の外周面21a及び第3のサブ筒体部30の内周面31bに囲まれ、左右又は前後視において第2のサブ筒体部20の境界筒体本体部24の縁部24d、及び第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22並びに閉塞部40により囲まれる空間が、排水トラップ1における第3の内部空間IS3を形成する。第3の内部空間IS3は、第2の内部空間IS2の外周周りに形成される、上下方向視で外形環状の空間である。
【0094】
第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2は、
図3及び
図5に示すように、第1のサブ筒体部10の一対のスリット11yを介して連通する。第2の内部空間IS2と第3の内部空間IS3は、
図3及び
図5に示すように、第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xを介して連通する。第3の内部空間IS3と第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の下部開口22yは、
図3及び
図8に示すように、中央筒体本体部21と下側筒体本体部22との境界の間隙22hを介して連通する。
【0095】
ここで、
図3に示すように、第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2との連通位置である第1のサブ筒体部10の一対のスリット11yは、槽体ユニット110と第1のサブ筒体部10との連通位置である上部開口11xよりも下方に位置する。
【0096】
また、第2の内部空間IS2と第3の内部空間IS3との連通位置である第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xは、第1の内部空間IS1と第2の内部空間IS2との連通位置である第1のサブ筒体部10の一対のスリット11yよりも上方に位置する。
【0097】
また、第3の内部空間IS3と第2のサブ筒体部20の下側筒体本体部22の下部開口22yとの連通位置である中央筒体本体部21と下側筒体本体部22との境界の間隙22hは、第2の内部空間IS2と第3の内部空間IS3との連通位置である第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xよりも下方に位置する。
【0098】
以上の説明において、排水トラップ1は、本発明の排水トラップに相当する。第1のサブ筒体部10は本発明の第1のサブ筒体に相当し、第2のサブ筒体部20は本発明の第2のサブ筒体に相当し、第3のサブ筒体部30は本発明の第3のサブ筒体に相当する。また、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40の組み合わせは、本発明の筒体部に相当する。また、槽体ユニット110は本発明の槽体に相当し、床排水管140は本発明の排水管に相当する。
【0099】
以上のような構成を備えた実施の形態の排水トラップ1は、排水の上流である槽体ユニット110側から下流である床排水管140までの間の排水経路上に、同心円状に配置された第1の内部空間IS1~第3の内部空間IS3が形成されることで、ボトルトラップとして機能する。
【0100】
以下、
図3、
図5~
図8及び
図16を参照して、本実施の形態の排水システム100に組み込まれた排水トラップ1における排水状態の説明を行う。なお、上記各図中の黒矢印は、槽体ユニット110からの排水の移動方向を示す。
【0101】
槽体ユニット110の管体112からの排水は、管体112に直結される上部開口11xを介して第1のサブ筒体部10の筒内空間10x、すなわち第1の内部空間IS1に侵入すると、第1のサブ筒体部10の一対のスリット11yから排出され、第2の内部空間IS2内に、
図16中に網掛にて示した封水SWとして滞留する。
【0102】
第2の内部空間IS2内に滞留した封水SWの水位が第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xまで達してオーバーフローすると、オーバーフローにより生じた余剰分の排水は、一対のスリット21xから第3の内部空間IS3に漏出し、第2のサブ筒体部20における中央筒体本体部21と下側筒体本体部22との境界の間隙22hを経由して、下側筒体本体部22の上部開口22x及び下部開口22yを介し、下側筒体本体部22に直結された床排水管140へ導かれる。以上の排水トラップ1における排水の経路は、略円筒形の外形の高さ方向又は径方向に沿って生じており、中心軸CAに略直交する左右方向及び前後方向を含む平面上における広がりが抑えられている。
【0103】
本実施の形態の排水トラップ1においては、第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xは、第1のサブ筒体部10の一対のスリット11yよりも上方に位置するように設けられていることから、第2の内部空間IS2からの排水が、第2のサブ筒体部20の中央筒体本体部21の一対のスリット21xに達するオーバーフロー状態となるまでは、封水SWとして第2の内部空間IS2に滞留するようになっている。これにより、床排水管140より下流からの臭気やガスが槽体ユニット110まで上がってくることが妨げられる。
【0104】
また、排水トラップ1は、排水経路を形成する一対のスリット11y及び一対のスリット21xに対して封水SWを蓄積する第2の内部空間IS2との容積差が大きくとられているボトルトラップ、すなわち非サイフォン式トラップとして機能している。これにより、サイフォン式トラップのような自己サイフォン現象に基づく破封や異音の発生が抑制される。
【0105】
以上のような本発明の実施の形態の排水トラップ1は、ボトルトラップとして機能するための構成である、槽体ユニット110と連通する第1の内部空間IS1、床排水管140と連通する第3の内部空間IS3、並びに第1の内部空間IS1及び第3の内部空間IS3の各々と連通する第2の内部空間IS2が、上下方向視で同心円状に形成され、且つ、第1の内部空間IS1~第3の内部空間IS3間の連通経路が、主に上下方向視で同心円の径方向に沿って形成され、最外周に位置する第3の内部空間IS3より周の外側にはみ出すことがない。
【0106】
上述した排水経路に対応して、第1の内部空間IS1~第3の内部空間IS3を形成するための第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30も、上下方向視で同心円状に配置される。更に、第1の内部空間IS1~第3の内部空間IS3間の連通経路は、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30の各々を、一対のスリット11y、一対のスリット21x、及び間隙22hを介することにより同心円の径方向又は軸方向に沿って横断させることで形成されている。
【0107】
本実施の形態の排水トラップ1は、以上の構成を備えたことにより、全体として、左右及び上下方向視において、槽体ユニット110及び槽体ユニット110の直下に配設される床排水管140と中心軸CAを共有し、中心軸CAに対して回転対称な略円筒形の外形を有する。
【0108】
したがって、排水トラップ1は、その形状も、排水の経路と同様に、略円筒形の外形の高さ方向及び径方向に沿って生じており、中心軸CAに略直交する左右方向及び前後方向を含む平面上の広がりが抑えられている。具体的には、排水トラップ1と床排水管140とを接続するための配管その他の構成物は、上下方向視において排水トラップ1の外装より外側にはみ出すことがない。
【0109】
その結果、本実施の形態の排水トラップ1は、洗面器のような槽体の下方において配設した場合でも、排水トラップ1自体が占有する空間の拡大を抑えることが可能となる。更に、排水システム100のように、槽体111の排水口112x及び床排水管140と中心軸CAにて同軸配置した場合は、占有空間を最小に抑えられた、省スペースな排水システムを得ることが可能となる。
【0110】
更に、本実施の形態の排水トラップ1は、特に
図3及び
図4に示すように、第1の内部空間IS1及びIS2を形成するための第1のサブ筒体部10が、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23xを介して中央筒体本体部21内に挿入される構成を備え、且つ、第1のサブ筒体部10を第2のサブ筒体部20との固定も、第1のサブ筒体部10の上部開口11xから挿入される固定ねじS1により、第1のサブ筒体部10の底11cの中央に設けられた取付孔11zを介してなされることを特徴とする。
【0111】
これにより、第1のサブ筒体部10は、排水システム100において槽体ユニット110を分離した状態において、排水トラップ1の露出開口である第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23を介して脱着自在となる。したがって、施工後の排水システム100から槽体ユニット110を分離したり、槽体ユニット110全体を分解したりすることなく第1のサブ筒体部10の清掃やメンテナンスを行うことができ、清掃やメンテナンスの作業性を向上させることが可能となる。
【0112】
更に、本実施の形態の排水トラップ1は、特に
図1及び
図3に示すように、外装である第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30の上面視の形状が、槽体ユニット110が配設される化粧台の台座130上に形成された貫通孔である配設孔130xに挿通自在な程度の外径を有する一方、上部開口23xと略水平な面から周方向に広がって形成されたフランジ25を備えたことを特徴とする。
【0113】
これにより、排水トラップ1は、槽体ユニット110が配設される側から配設孔130xに挿抜自在に固定することができ、排水システム100の施工やメンテナンス時の作業性を向上させることが可能となる。
【0114】
更に、本実施の形態の排水トラップ1は、特に
図1及び
図3に示すように、第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体部20との間に形成された間隙Gに槽体ユニット110の管体112の先端部112aを嵌入させることで、槽体ユニット110が排水トラップ1に脱着自在に固定されるようにしたことを特徴とする。
【0115】
これにより、施工後の排水システム100において特別な工事や治具を必要とすることなく槽体ユニット110を分離して、槽体ユニット110又は排水トラップ1の清掃やメンテナンス時、更には槽体ユニット110交換その他の作業における作業性を向上させることが可能となる。
【0116】
更に、本実施の形態の排水トラップ1は、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40の各部材が、接着や溶着といった、各部材の不可逆的な変形を伴う技術的手段によらず、各部材同士の嵌入及び螺合によってのみ組み合わされてなることを特徴とする。
【0117】
これにより排水トラップ1は、組み合わせの完成後も、組み合わせ完成前と変わらない品質を保持する部品単位で分解可能とすることができ、メンテナンス時の作業性を向上させ、更には再使用時の利便性を向上させることが可能となる。
【0118】
更に、本実施の形態の排水トラップ1は、第2のサブ筒体部20、第3のサブ筒体部30及び閉塞部40の各部材の組み合わせの方向が、第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体部20との組み合わせの方向に合わせて、中心軸CAに沿った向きに揃えられていることを特徴とする。
【0119】
これにより排水トラップ1は、組み立て及び分解を容易に行うことができ、施工工事時及びメンテナンス時の作業性を向上させることが可能となる。
【0120】
なお、排水トラップ1の第1のサブ筒体部10は、
図17(A)及び(B)に示す他の実施の形態のように、メンテナンス用の取っ手12を設けた構成としてもよい。取っ手12は、外形略円弧状の取っ手本体部12aと、第1のサブ筒体部10の筒体本体部11の上縁部11e上に、筒体本体部11と一体的に成形された又は別部材として固定された固定部12bとを備える。
【0121】
取っ手本体部12aは、金属又は合成樹脂製の部材であって、特に
図17(B)に示すように、筒体本体部11の底面の半周に略一致する外形を有するとともに、両端が中心軸に向かって屈曲している。
【0122】
固定部12bは、筒体本体部11の半径方向に沿って左右一対の組で設けられる。固定部12bの各々は、左右方向を貫通する貫通孔12xを有する。取っ手本体部12aの、屈曲した両端が各々の固定部12bの貫通孔12xに嵌入されることにより、取っ手本体部12aは、筒体本体部11に対して、左右方向を軸として回動自在に固定される。
【0123】
このような取っ手12を設けたことにより、第1のサブ筒体部10は、取っ手12を操作することにより、排水トラップ1の、上側により近い側から容易にアクセスすることが可能となり、第2のサブ筒体部20に対する脱着時の作業性を向上させることが可能となる。
【0124】
次に、本発明の実施の形態の排水トラップ1を有する排水システムが施工された環境の一例を、
図18を参照して説明する。
【0125】
洗面・手洗い設備200は、本発明の実施の形態の排水トラップ1を有する排水システム100と、排水システム100が配設された洗面台150と、洗面台150に配設された、水栓装置を構成する吐出装置160とを備える。
【0126】
洗面台150は、洗面・手洗い設備200が配設される床面201から所定高さで台座130を保持するとともに、その内部に排水システム100の排水トラップ1及び床排水管140並びに吐出装置160を構成する配管及び昇温設備を収容している。
【0127】
また、洗面台の台座130上には、槽体ユニット110の槽体111が、排水口カバー120にて排水口112xを閉塞された状態で設置される。更に、台座130上には、吐出装置160の一部である、吐出口162を介して槽体111に湯水を吐出する吐出管161、及び吐出管161の開閉及び湯水の温度調節等の操作を受け付けるための操作部163が設けられている。
【0128】
このような洗面・手洗い設備200において、本発明の実施の形態の排水トラップ1を有する排水システム100を適用することは、以下の効果を奏する。すなわち、本発明の実施の形態の洗面・手洗い設備200を店舗内、あるいは玄関やベッドルームその他の、床面201その他の空間が限られた狭小なスペースにおいて設置する際は、洗面台150もまた小さなサイズのものを用いる必要があり、その中に設けられる排水システムや吐出装置を設置するためのスペースも限られる。また、洗面台150に設置される槽体111は、外径が比較的小さくなり内面の角度も急峻となるため、槽体111からの排水の流速が大きくなり易い。
【0129】
したがって、槽体111及び床排水管140と中心軸を共有して配設され、占有する空間の拡大を抑えることができるとともに、異音の発生を抑制できるボトルトラップとして働く排水トラップ1及びそれを有する排水システム100を用いることは、洗面・手洗い設備200をこのような狭小なスペースに設置する際に特に好適である。
【0130】
以上のように、本発明の実施の形態に係る排水トラップ1によれば、洗面器のような槽体の下方において占有する空間の拡大を抑えることが可能となる効果を奏する。
【0131】
(他の実施の形態)
しかしながら、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0132】
上記の実施の形態においては、排水トラップ1は、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、及び第3のサブ筒体部30及び閉塞部40の組み合わせによる筒体部により、第1の内部空間IS1~第3の内部空間IS3が形成されるものとした。
【0133】
一方で、本発明は、略柱形状の外形を有し、第1の連通位置にて槽体と連通する第1の内部空間、第1の内部空間の外周周りに形成され、第1の内部空間と連通する第2の内部空間、及び第2の内部空間の外周周りに形成され、第2の内部空間及び排水管の各々と連通する第3の内部空間を形成する筒体部を備え、第1の内部空間と第2の内部空間とが連通する第2の連通位置は、第1の連通位置より下方であり、第2の内部空間と第3の内部空間とが連通する第3の連通位置は、第2の連通位置より上方であり、第3の内部空間と排水管とが連通する第4の連通位置は、第2の連通位置より下方であり、第2の連通位置と第4の連通位置とは、第1の内部空間の中心軸方向に沿って配列されており、第3の連通位置は、第1の内部空間の周面に相対する側に位置しているものであればよい。
【0134】
したがって、本発明の筒体部は、単一の部材又は任意の複数の部材の組み合わせで構成されるものであってもよいし、各部材の具体的な形状や、組み合わせの具体的な態様によって限定されるものではない。例えば、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、及び第3のサブ筒体部30の上面視による形状は、共通して矩形であっても楕円であってもよいし、各筒体部ごとに異なっていてもよい。
【0135】
更に、上記の実施の形態においては、排水トラップ1において、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20、及び第3のサブ筒体部30及び閉塞部40は、中心軸CAを共有して同心円上に配置されるものとした。
【0136】
一方で、本発明は、略柱形状の外形を有し、第1の連通位置にて槽体と連通する第1の内部空間、第1の内部空間の外周周りに形成され、第1の内部空間と連通する第2の内部空間、及び第2の内部空間の外周周りに形成され、第2の内部空間及び排水管の各々と連通する第3の内部空間を形成する筒体部を備えるものであればよい。したがって、第1のサブ筒体部10、第2のサブ筒体部20及び第3のサブ筒体部30及び閉塞部40は、その全部又は一部が異なる中心軸を共有した態様で配置される構成であるものとしてもよい。
【0137】
更に、上記の実施の形態においては、排水トラップ1において、第1のサブ筒体部10は、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23x側から脱着自在に固定されるものとしたが、第2のサブ筒体部20の下方から脱着自在に固定されるものとしてもよい。
【0138】
更に、上記の実施の形態においては、第1のサブ筒体部10が、第2のサブ筒体部20の上側筒体本体部23の上部開口23xを介して中央筒体本体部21内に挿入される構成を備え、且つ、第1のサブ筒体部10を第2のサブ筒体部20との固定も、第1のサブ筒体部10の上部開口11xから挿入される固定ねじS1により、第1のサブ筒体部10の底11cの中央に設けられた取付孔11zを介してなされるものとした。
【0139】
一方で、本発明の排水トラップの筒体部は、複数のサブ筒体部を有し、第1の内部空間は、複数のサブ筒体部のいずれか一つにより形成されており、第1の内部空間を形成する複数のサブ筒体部のいずれか当該一つは、複数のサブ筒体部の残りに対し、槽体の位置する側から脱着自在に固定されているものであればよい。
【0140】
したがって、第1のサブ筒体部10は、上面視では、第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体部20との間隙Gにて脱着自在に固定されていてもよいし、左右又は前後視で任意の個所で脱着自在に固定されていてもよい。
【0141】
しかしながら、本実施の形態のように、上部開口11xと連通する第1の内部空間IS1を介して固定される構成とすることは、固定のための作業や操作を行うための空間をボトルトラップの構成要素としての第1の内部空間IS1と兼用することができ、排水トラップの大型化を抑制することができ、好適である。
【0142】
更に、上記の実施の形態においては、第1のサブ筒体部10を第2のサブ筒体部20との固定は、第1のサブ筒体部10の上部開口11xから挿入される固定ねじS1により、第1のサブ筒体部10の底11cの中央に設けられた取付孔11zを介してなされるものとした。
【0143】
一方で、本発明は、第1の内部空間を形成する複数のサブ筒体部のいずれか前記一つは、複数のサブ筒体部の残りに対し、槽体の位置する側から脱着自在に固定されているものであればよく、その脱着の具体的な態様に限定されるものではない。
【0144】
したがって、例えば、第1のサブ筒体部10と第2のサブ筒体とは螺合するような形状を有するものとして構成してもよいし、嵌めあいによって結合されるような形状を有するものとして構成してもよい。特に、第1のサブ筒体部10が直接的に第2のサブ筒体と固定されるような構成とすることは、当該固定のための操作を第1のサブ筒体部10の上方から行うことができ、作業性を向上させることができる利点があり、好適である。
【0145】
以上のように、本発明は、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明したものを含め、上記実施の形態に対し、構成、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を施すことができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0146】
以上のような本発明は、洗面器のような槽体の下方において占有する空間の拡大を抑えることが可能になるという効果を奏し、例えば洗面台への適用において有用である。
【符号の説明】
【0147】
1 排水トラップ
10 第1のサブ筒体部、10x 20x 23w 筒内空間、11 筒体本体部、11a 外周面、11b 内周面、11c 底、11d 脚部、11e 上縁部、11w 凹溝、11x 上部開口、11y スリット、11z 取付孔、12 取っ手、12a 取っ手本体部、12b 固定部、12x 貫通孔
20 第2のサブ筒体部、21 中央筒体本体部、21a 22a 22c 23a 24a 24b 外周面、21b 22d 内周面、21c 底、21d 外表面、21e 22g 脚部、21f 凸端、21x スリット、21y 凹面、21z 23z 取付穴、22 下側筒体本体部、22b 内周面、22e 22f 雄ねじ、22w 中間開口、22x 23x 上部開口、22y 23y 下部開口、22z 23b 23c 23d 23e 24d 縁部、23 上側筒体本体部、24 境界筒体本体部、24x 24y 凹溝、25 フランジ
30 第3のサブ筒体部、31 筒体本体部、31a 外周面、31b 内周面
31x 上部開口、31y 下部開口
40 閉塞部、40x 上部開口、40y 下部開口、41 閉塞本体部、41a 41c 凹溝、41b 内周面、42 フランジ部、43 ナット部、43a 雌ねじ
50 Oリング押さえ、50x 開口、51 リング本体部、52 フランジ部、52x 取付孔
60 キャップ、60x 上部開口、60y 下部開口、61 キャップ本体部、61a 雌ねじ、61b 縁部
100 排水システム、110 槽体ユニット、111 槽体、111x 112y 開口、112 管体、112a 先端部、112b 雄ねじ、112x 排水口、113 スポンジパッキン、114 三角パッキン、115 滑りパッキン、116 ロックナット、116a 雌ねじ、120 排水口カバー、130 台座、130x 配設孔、140 床排水管、150 洗面台、160 吐出装置、161 吐出管、162 吐出口、163 操作部
200 洗面・手洗い設備、201 床面
G 22h 間隙、CA 中心軸、IS1 第1の内部空間、IS2 第2の内部空間、IS3 第3の内部空間、O1 Oリング、P1 P3 P4 P5 P6 パッキン、S1 S2 固定ねじ、SW 封水