(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148315
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】走行作業情報処理システムおよび走行作業情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231005BHJP
【FI】
G05D1/02 S
G05D1/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056263
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】千木崎 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】紺野 尚之
(72)【発明者】
【氏名】亀谷 仁志
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA03
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD02
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301GG06
5H301GG09
5H301GG10
5H301LL01
5H301LL02
5H301LL03
5H301LL06
5H301LL07
5H301LL08
5H301LL11
5H301LL14
(57)【要約】
【課題】障害物に対する対応を容易に判断でき、自律走行作業装置を安全に遠隔操作する。
【解決手段】
情報処理システム1は、自動走行清掃を実行可能な自律走行作業装置2と、自律走行作業装置2を操作するための操作端末4とを備える。自律走行作業装置2は、走行部11と、第1撮影部15と、計測部13とを備える。操作端末4は、表示部53を備える。自律走行作業装置2において、第1撮影部15は、自律走行作業装置2の前方を撮影して第1撮影データ60を取得し、計測部13は、自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測することによって、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離と、壁から障害物までの第2距離とを計測して計測データを取得する。操作端末4において、表示部53は、第1撮影データ60の画像において障害物に計測データの距離表記を対応させて生成した表示データの画像を表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、前記自律走行作業装置を操作するための操作端末とを備えた走行作業情報処理システムにおいて、
前記自律走行作業装置は、走行部と、撮影部と、計測部と、装置側通信部とを備え、
前記操作端末は、端末側通信部と、表示部とを備え、
前記自律走行作業装置において、
前記撮影部は、前記自律走行作業装置の前方を撮影して撮影データを取得し、
前記計測部は、前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離を計測することによって、前記自律走行作業装置から未知の前記非作業対象である障害物までの距離と、壁や段差などの既知の前記非作業対象から前記障害物までの距離とを計測して計測データを取得し、
前記装置側通信部は、前記撮像データと前記計測データとを前記操作端末に向けて送信し、
前記操作端末において、
前記端末側通信部は、前記撮像データと前記計測データとを受信し、
前記表示部は、前記撮影データの画像において前記障害物に前記計測データの距離表記を対応させて生成した表示データの画像を表示する
ことを特徴とする走行作業情報処理システム。
【請求項2】
前記自律走行作業装置を管理するための管理サーバを更に備え、
前記管理サーバは、サーバ側制御部と、サーバ側通信部とを備え、
前記自律走行作業装置は、装置側制御部を更に備え、
前記自律走行作業装置において、
前記装置側通信部は、前記撮影データと前記計測データとを前記管理サーバへと送信し、
前記管理サーバにおいて、
前記サーバ側通信部は、前記自律走行作業装置から送信された前記撮影データと前記計測データとを受信し、
前記サーバ側制御部は、前記撮影データの画像において前記障害物に関連する表示位置に前記計測データの距離表記を重ねて表示データを生成し、
前記サーバ側通信部は、前記表示データを前記操作端末へと送信し、
前記操作端末において、
前記端末側通信部は、前記管理サーバから送信された前記表示データを受信し、
前記表示部は、前記表示データの画像を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項3】
前記操作端末は、操作入力部を更に備え、
前記管理サーバは、遠隔操作命令部を更に備え、
前記操作端末において、
前記操作入力部は、前記表示部に表示された前記表示データの画像上で、前記障害物および/または既知の前記非作業対象に関連する表示位置での選択操作を受け付け、
前記端末側通信部は、前記選択操作に応じて、前記表示位置および前記選択操作に対応する遠隔操作を前記管理サーバへと送信し、
前記管理サーバにおいて、
前記サーバ側通信部は、前記操作端末から送信された前記遠隔操作を受信し、
前記遠隔操作命令部は、前記遠隔操作と前記自律走行作業装置の進行方向とに基づいて遠隔操作命令を生成し、
前記サーバ側通信部は、前記遠隔操作命令を前記自律走行作業装置へと送信し、
前記自律走行作業装置において、
前記装置側通信部は、前記管理サーバから送信された前記遠隔操作命令を受信し、
前記装置側制御部は、前記走行部が前記遠隔操作命令に従って走行するように制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項4】
前記管理サーバにおいて、
前記サーバ側制御部は、前記計測部による前記自律走行作業装置から非作業対象までの計測結果と、前記撮影部により撮影した撮影データとに基づいて、ドアを検出した場合、所定のドア周辺速度への減速命令を発し、
前記サーバ側通信部は、前記減速命令を前記自律走行作業装置へと送信し、
前記自律走行作業装置において、
前記装置側通信部は、前記管理サーバから送信された前記減速命令を受信し、
前記装置側制御部は、前記走行部が前記減速命令に従って前記ドア周辺速度で走行するように制御する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項5】
前記管理サーバにおいて、
前記サーバ側制御部は、前記計測部による前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離計測結果と、前記撮影部により撮影した撮影データとに基づいて、前記非作業対象の境界を判断し、前記表示データの画像において前記境界に対応する表示位置に境界線の画像を重畳することで前記表示データを編集し、
前記サーバ側通信部は、編集した前記表示データを前記操作端末へと送信する
ことを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の走行作業情報処理システム。
【請求項6】
自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、前記自律走行作業装置を操作するための操作端末とにおける走行作業情報処理方法であって、
前記自律走行作業装置において、前記自律走行作業装置の前方を撮影して撮影データを取得する撮影工程と、
前記自律走行作業装置において、前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離を計測することによって、前記自律走行作業装置から未知の前記非作業対象である障害物までの距離と、壁や段差などの既知の前記非作業対象から前記障害物までの距離とを計測して計測データを取得する計測工程と、
前記自律走行作業装置において、前記撮像データと前記計測データとを前記操作端末に向けて送信する装置側通信工程と、
前記操作端末において、前記自律走行作業装置から前記撮像データと前記計測データとを受信する端末側通信工程と、
前記操作端末において、前記撮影データの画像において前記障害物に前記計測データの距離表記を対応させて生成した表示データの画像を表示する表示工程と、
を有することを特徴とする走行作業情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事前に入力されたプログラムに従って自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置を備えた走行作業情報処理システムおよび走行作業情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自律走行作業装置は、事前に入力されたプログラムに従って、環境地図、走行経路、走行設定および作業設定(清掃設定)を作成または設定して記憶し、その記憶結果に基づいて自律的に走行し自動で作業(清掃)する自動走行作業(自動走行清掃)を実行可能な機能を有する。例えば、自律走行作業装置は、商業施設、オフィス、ホテル、病院等の作業エリアの床面の清掃作業を行う産業用(業務用)自律走行作業装置(自律走行清掃装置)に適用される。
【0003】
また、自律走行作業装置は、第三者が作業エリアを利用したり往来したりする利用時間内に作業を行う場合がある。そのため、自律走行作業装置は、作業エリアにおいて、事前に記憶された環境地図等に存在しない障害物に遭遇したときに、その障害物を回避して自律走行するか否かを判断するものがある。このとき、自律走行作業装置は、障害物を回避できないと判断して自律走行を停止することがあるが、このような場合でも、利用者(操作者)による手動操作に応じて障害物を回避して走行させるなど、障害物に影響されることなく作業を継続することが求められる。
【0004】
例えば、特許文献1の自律走行体は、再現走行モードにおいて、進行方向に障害物が存在する場合に減速または停止の走行命令を生成する走行命令生成部や、教示走行モードにおいて、本体と障害物との距離が所定値以下である場合に、障害物に接近している旨の通知を行う通知部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の自律走行作業装置では、進行方向に障害物が存在する場合に減速または停止の走行命令を行ったり、本体と障害物との距離が所定値以下である場合に、障害物に接近している旨の通知を行ったりするものがある。しかしながら、自律走行作業装置の作業エリアには、障害物だけでなく壁や段差などの非作業対象も存在することがあり、自律走行作業装置を遠隔操作する際に、利用者(操作者)は自律走行作業装置が障害物や壁や段差などを回避して走行できるか否かを容易に判断することができない。
【0007】
本発明は、上記したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、作業エリアにおける障害物に対する対応を容易に判断でき、自律走行作業装置を安全に遠隔操作することができる走行作業情報処理システムおよび走行作業情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の走行作業情報処理システムは、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、前記自律走行作業装置を操作するための操作端末とを備えた走行作業情報処理システムにおいて、前記自律走行作業装置は、走行部と、撮影部と、計測部と、装置側通信部とを備え、前記操作端末は、端末側通信部と、表示部とを備え、前記自律走行作業装置において、前記撮影部は、前記自律走行作業装置の前方を撮影して撮影データを取得し、前記計測部は、前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離を計測することによって、前記自律走行作業装置から未知の前記非作業対象である障害物までの距離と、壁や段差などの既知の前記非作業対象から前記障害物までの距離とを計測して計測データを取得し、前記装置側通信部は、前記撮像データと前記計測データとを前記操作端末に向けて送信し、前記操作端末において、前記端末側通信部は、前記撮像データと前記計測データとを受信し、前記表示部は、前記撮影データの画像において前記障害物に前記計測データの距離表記を対応させて生成した表示データの画像を表示することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の走行作業情報処理システムによれば、自律走行作業装置によって自動走行清掃を行っている間に、事前に記憶された環境地図等に存在しない障害物に遭遇したときでも、自律走行作業装置を遠隔操作する操作端末で表示データの画像を確認することによって、その障害物を回避するか否かを容易に判断することができる。このとき、操作端末で表示データの画像を確認することで、自律走行作業装置から障害物までの距離や、自律走行作業装置から壁や段差などの既知の非作業対象までの距離などを容易に把握することができ、操作者による障害物を含む周囲の状態の認識度を向上することができる。従って、走行作業情報処理システムによれば、作業エリアにおける障害物に対する対応を容易に判断することができ、自律走行作業装置を安全に遠隔操作することができる。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第2の走行作業情報処理システムは、前記自律走行作業装置を管理するための管理サーバを更に備え、前記管理サーバは、サーバ側制御部と、サーバ側通信部とを備え、前記自律走行作業装置は、装置側制御部を更に備え、前記自律走行作業装置において、前記装置側通信部は、前記撮影データと前記計測データとを前記管理サーバへと送信し、前記管理サーバにおいて、前記サーバ側通信部は、前記自律走行作業装置から送信された前記撮影データと前記計測データとを受信し、前記サーバ側制御部は、前記撮影データの画像において前記障害物に関連する表示位置に前記計測データの距離表記を重ねて表示データを生成し、前記サーバ側通信部は、前記表示データを前記操作端末へと送信し、前記操作端末において、前記端末側通信部は、前記管理サーバから送信された前記表示データを受信し、前記表示部は、前記表示データの画像を表示することを特徴とする。
【0011】
本発明の第2の走行作業情報処理システムによれば、自動走行清掃を行う自律走行作業装置と、当該自律走行作業装置を遠隔操作する操作端末とを、管理サーバによって紐付けするように管理することができ、管理サーバは、自律走行作業装置が未知の障害物を検出した場合に、当該自律走行作業装置に紐付けされた操作端末に対して障害物に関する表示データを送信して表示させることができる。また、表示データの作成といった高負荷の画像処理を管理サーバで行うことで、自律走行作業装置や操作端末における制御処理速度の低下の懸念がない。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第3の走行作業情報処理システムにおいて、前記操作端末は、操作入力部を更に備え、前記管理サーバは、遠隔操作命令部を更に備え、前記操作端末において、前記操作入力部は、前記表示部に表示された前記表示データの画像上で、前記障害物および/または既知の前記非作業対象に関連する表示位置での選択操作を受け付け、前記端末側通信部は、前記選択操作に応じて、前記表示位置および前記選択操作に対応する遠隔操作を前記管理サーバへと送信し、前記管理サーバにおいて、前記サーバ側通信部は、前記操作端末から送信された前記遠隔操作を受信し、前記遠隔操作命令部は、前記遠隔操作と前記自律走行作業装置の進行方向とに基づいて遠隔操作命令を生成し、前記サーバ側通信部は、前記遠隔操作命令を前記自律走行作業装置へと送信し、前記自律走行作業装置において、前記装置側通信部は、前記管理サーバから送信された前記遠隔操作命令を受信し、前記装置側制御部は、前記走行部が前記遠隔操作命令に従って走行するように制御することを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の走行作業情報処理システムによれば、自律走行作業装置が未知の障害物を検出した場合でも、操作端末に表示した表示データにおいて障害物や既知の非作業対象に関連する表示位置での選択操作を行うことで、当該障害物を回避して走行するための遠隔操作を自律走行作業装置に対して行うことができる。これにより、自律走行作業装置を遠隔操作する場合でも、容易に障害物への対応を判断することができ、操作者の利便性を向上することができる。また、障害物を回避することが不可能と認識する場合もあり、別ルートへの迂回や係員現場対応の手配など、遠隔操作の内容を含む障害物への対応を容易に判断することができる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の第4の走行作業情報処理システムは、前記管理サーバにおいて、前記サーバ側制御部は、前記計測部による前記自律走行作業装置から非作業対象までの計測結果と、前記撮影部により撮影した撮影データとに基づいて、ドアを検出した場合、所定のドア周辺速度への減速命令を発し、前記サーバ側通信部は、前記減速命令を前記自律走行作業装置へと送信し、前記自律走行作業装置において、前記装置側通信部は、前記管理サーバから送信された前記減速命令を受信し、前記装置側制御部は、前記走行部が前記減速命令に従って前記ドア周辺速度で走行するように制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の走行作業情報処理システムによれば、遠隔操作により走行する自律走行作業装置の走行速度を、ドア付近で強制的に低下させることができる。これにより、人などがドアから作業エリアへと急に侵入した場合でも、自律走行作業装置を即座に停止させることができ、安全性を向上することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の第5の走行作業情報処理システムは、前記管理サーバにおいて、前記サーバ側制御部は、前記計測部による前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離計測結果と、前記撮影部により撮影した撮影データとに基づいて、作業対象と前記非作業対象の境界を判断し、前記表示データの画像において前記境界に対応する表示位置に境界線の画像を重畳することで前記表示データを編集し、前記サーバ側通信部は、編集した前記表示データを前記操作端末へと送信することを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の走行作業情報処理システムによれば、自律走行作業装置が暗い作業エリアで自動走行清掃を行う場合であっても、壁などの非作業対象と床などの作業対象との境界線を表示した表示データを操作端末に表示することで、操作者は、自律走行作業装置が走行可能な床面を容易に把握することができ、走行の安全性を向上すると共に、操作者の利便性を向上することができる。例えば、壁と床との境界線に沿って自律走行作業装置を走行させることで、清掃漏れをなくすことができる。また、暗い作業エリアでの表示データでも、自律走行作業装置から障害物までの第1距離表記や、障害物から壁までの第2距離表記を表示するので、操作者は、障害物を見落とすことなく、障害物を回避する遠隔操作を行うことができる。更に、学習モードでは、操作者は、操作端末の遠隔操作画面を参照しながら遠隔操作する際に、壁と床との境界線を確認しながら、自律走行作業装置の学習走行清掃を行うことができる。
【0018】
上記課題を解決するために、本発明の走行作業情報処理方法は、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置と、前記自律走行作業装置を操作するための操作端末とにおける走行作業情報処理方法であって、前記自律走行作業装置において、前記自律走行作業装置の前方を撮影して撮影データを取得する撮影工程と、前記自律走行作業装置において、前記自律走行作業装置から非作業対象までの距離を計測することによって、前記自律走行作業装置から未知の前記非作業対象である障害物までの距離と、壁や段差などの既知の前記非作業対象から前記障害物までの距離とを計測して計測データを取得する計測工程と、前記自律走行作業装置において、前記撮像データと前記計測データとを前記操作端末に向けて送信する装置側通信工程と、前記操作端末において、前記自律走行作業装置から前記撮像データと前記計測データとを受信する端末側通信工程と、前記操作端末において、前記撮影データの画像において前記障害物に前記計測データの距離表記を対応させて生成した表示データの画像を表示する表示工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、走行作業情報処理システムおよび走行作業情報処理方法は、作業エリアにおける障害物に対する対応を容易に判断でき、自律走行作業装置を安全に遠隔操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける自律走行作業装置の構成を示す概要図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける自律走行作業装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける操作端末の構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の前方を撮影した第1撮影データの例を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の後下方を撮影した第2撮影データの例を示す平面図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、各利用者の登録情報の例を示す表である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、各利用者の権限情報の例を示す表である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、第1撮影データおよび計測データに基づく表示データの例を示す平面図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末が表示するログイン画面の例を示す平面図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末が表示する遠隔操作画面の例を示す平面図である。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図16】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおける管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図17】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、第1撮影データおよび計測データに基づく表示データの例を示す平面図である。
【
図18】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、自律走行作業装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図19】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【
図20】本発明の第2の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、操作端末の動作例を示すフローチャートである。
【
図21】本発明の第3の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、第1撮影データおよび計測データに基づく表示データの例を示す平面図である。
【
図22】本発明の第3の実施形態に係る走行作業情報処理システムにおいて、管理サーバの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。以下の実施形態は、本発明の好適な具体例であって、種々の好ましい技術を開示しているが、本発明の技術範囲はこれらの態様に限定されるものではない。
【0022】
本発明の第1の実施形態による走行作業情報処理システム1について説明する。
図1(a)に示すように、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2と、管理サーバ3と、操作端末4とを備える。自律走行作業装置2は、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能に構成され、管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理するように構成され、操作端末4は、自律走行作業装置2を操作するように構成されている。自律走行作業装置2は、所定のネットワーク5を介して管理サーバ3と通信可能に接続され、操作端末4は、所定のネットワーク5を介して管理サーバ3と通信可能に接続される。
【0023】
なお、走行作業情報処理システム1は、1台の管理サーバ3に対して、同様の機能を有する複数台の自律走行作業装置2を備えてよいが、本実施形態では、1台の自律走行作業装置2を備える例を説明する。また、走行作業情報処理システム1は、1台の管理サーバ3に対して、同様の機能を有する複数台の操作端末4を備えてよいが、本実施形態では、1台の操作端末4を備える例を説明する。
【0024】
先ず、自律走行作業装置2について説明する。
図2に示すように、自律走行作業装置2は、各部を収容するための装置本体10と、装置本体10を走行させる走行部11とを備える。自律走行作業装置2は、所定の作業を実行する作業部として、例えば、装置本体10の下方の床面FLの清掃作業を実行する清掃部12を備えて、自律走行清掃装置として機能する。自律走行作業装置2は、例えば、ショッピングモールなどの商業施設、オフィス、ホテル、病院、学校、工場などの全部または一部のエリアを清掃エリア(作業エリア)として、清掃エリアの床面FLを清掃対象(作業対象)とする。
【0025】
また、自律走行作業装置2は、装置本体10と周囲の壁や障害物(例えば、置物)などの非作業対象との位置関係を計測する計測部13と、所定距離内の壁や障害物を検知する障害物検知部14とを備える。自律走行作業装置2は、装置本体10の前方を撮影する第1撮影部15(撮影部)と、装置本体10の後方を撮影する第2撮影部16とを備える。自律走行作業装置2は、自律走行作業装置2の各種機能の操作や表示のためのタッチパネルなどからなる操作表示部17と、自律走行作業装置2の各部に電力を供給し、バッテリー(図示せず)の残量監視や充電を制御するための電源部18とを備える。なお、非作業対象は、壁や段差に限らず、ドア(扉)、ガラス状自動ドア、掃き出し窓、カーテン、パーティション、作業する床面と材質の異なる他の床面(走行作業できない床面)、清掃表示具(例えば、作業コーンや看板など)などの静止物でよく、また、人や小動物、台車などの動体でもよい。
【0026】
更に、自律走行作業装置2は、自律走行作業装置2の各部および各種機能(走行部11による走行、清掃部12による清掃、計測部13による計測、第1撮影部15および第2撮影部16による撮影など)を統括制御する装置側制御部20と、走行部11の走行データや清掃部12の清掃データ(作業データ)からなる清掃プラン(作業プラン)を記憶する装置側記憶部21と、管理サーバ3や操作端末4などの外部機器と通信するための装置側通信部22とを備える。
【0027】
次に、自律走行作業装置2の動作の概要を説明する。
【0028】
自律走行作業装置2は、手動操作による走行および自動操作による自律的な走行が可能な車両体であって、学習モード、再現(自動)モードおよび手動モードの何れかの動作モードに切り替えられて動作する。自律走行作業装置2は、操作端末4や操作表示部17の操作に応じて動作モードを切り替え可能とする。
【0029】
自律走行作業装置2は、学習モードおよび手動モードでは、現場で自律走行作業装置2を稼働する清掃係員などの作業者や、自律走行作業装置2を遠隔操作する操作者などの利用者による操作端末4や操作表示部17の手動操作に応じて手動走行や手動清掃(手動作業)を行う学習走行清掃(学習走行作業)および手動走行清掃(手動走行作業)をそれぞれ実行する。また、学習走行清掃では、学習走行に伴って清掃エリアの環境地図を作成して記憶すると共に、学習走行時の走行経路や走行状態を示す走行データと、学習清掃時の清掃状態を示す清掃データとを取得して、走行データおよび清掃データを含む清掃プランを記憶する。
【0030】
自律走行作業装置2は、再現モードでは、自動走行清掃(自動走行作業)を行って、学習走行清掃で記憶された清掃プランのうちで、作業者に選択された清掃プランを再現するように、選択された清掃プランおよび対応する環境地図に基づいて、装置側制御部20による自動操作に応じて自動走行および自動清掃(自動作業)を行う。
【0031】
清掃プランは、走行経路に沿った複数のステップで構成され、各ステップには、走行データおよび清掃データが関連付けられる。ステップの間隔は、学習走行清掃を行う際に、所定の時間間隔(例えば、25ms)に設定されてもよく、あるいは、自律走行作業装置2の所定の移動距離(例えば、0.2m)に設定されてもよい。また、清掃プランは、上記した以外に、学習走行清掃開始からの経過時間をステップ毎に関連付けて記憶してもよい。
【0032】
走行データは、例えば、走行部11の走行経路上の自己位置データ(環境地図上の自己位置を示すX座標およびY座標、開始位置の向きに対する角度)、操舵フラグ(直進、左折、右折)、進行方向への走行速度[m/s]および旋回速度[deg/s]を含み、走行データに基づいて走行経路を図化することができる。あるいは、走行速度は、複数段階の速度の何れかに切り替えられてよく、走行データは、走行速度の段階的な速度を数字(例えば、0~7の8段階)に換算して記憶するとよい。
【0033】
清掃データは、例えば、清掃部材24のパッド圧、洗浄液供給部25の供給水量および吸引部26の吸引量を含む。パッド圧は、清掃部材24を床面FLに押し付ける力であり、供給水量は、洗浄液供給部25によって床面FLに供給される洗浄液(作業液)の量であり、吸引量は、吸引部26によって床面FLから洗浄後の汚水を吸引する際の吸引ブロア(図示せず)の稼働強度である。なお、パッド圧、供給水量および吸引量は、複数段階の強度の何れかに切り替えられてよく、清掃データは、パッド圧、供給水量および吸引量の段階的な強度を数字(例えば、0~2の3段階や、0~4の5段階など)に換算して記憶するとよい。なお、清掃データは、清掃部材24の作動/停止、回転速度を含んでもよい。
【0034】
次に、自律走行作業装置2の各部を説明する。
【0035】
走行部11は、装置本体10の下部に設けられていて、駆動輪として1つの前輪11aを備え、補助輪として一対の後輪11bを備え、前輪11aおよび一対の後輪11bには、それぞれ、タイヤが取り付けられる。前輪11aは、進行方向前側で装置幅方向中央に設けられ、走行駆動用モータ(図示せず)と前輪回転用エンコーダ(図示せず)とを備える。走行部11は、走行駆動用モータを駆動して前輪11aを回転させることで装置本体10を前進させ、前輪11aの回転を停止させることで装置本体10を停止させる。走行駆動用モータの駆動を制御することで、自律走行作業装置2(走行部11)の走行速度の調整(加減速)が行われる。なお、走行部11は、走行駆動用モータが前輪11aを逆転させることで装置本体10を後退させてもよい。
【0036】
また、前輪11aは、操舵軸(図示せず)と操舵用モータ(図示せず)と操舵回転用エンコーダ(図示せず)とを備える。走行部11は、操舵用モータを駆動して操舵軸を回転させることで前輪11aの向きを変えて装置本体10を操舵し、前輪11aの向きを変えながら装置本体10を前進させることで、自律走行作業装置2(走行部11)を左折(左旋回)や右折(右旋回)させる。操舵用モータの駆動を制御することで、自律走行作業装置2(走行部11)の操舵角が調整される。例えば、操舵軸を回転させて進行方向に対して操舵角を左側または右側に90度傾けるように操舵用モータを制御しながら、装置本体10を前方または後方へ旋回することで、装置本体10は左側または右側に信地旋回する。
【0037】
一対の後輪11bは、進行方向後側で装置幅方向(左右方向)に間隔を空けて設けられ、それぞれ走行距離を回転量から把握するためのエンコーダ(図示せず)を備える。一対の後輪11bは、前輪11aの駆動による装置本体10の移動に応じて従動回転する。自律走行作業装置2(走行部11)の走行速度の調整(加減速)と操舵は、後輪11bに備えられたエンコーダを用いて後輪11bの各々の回転量をフィードバックしながら走行駆動用モータと操舵用モータを制御することで行われてもよい。なお、本実施形態では、駆動輪の前輪11aと補助輪の後輪11bとを備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、例えば、他の実施形態では、補助輪の前輪11aと一対の駆動輪の後輪11bとを備えてもよい。
【0038】
走行部11は、動作モードが学習モードまたは手動モードに設定されている場合、操作者や作業者による操作端末4や操作表示部17の手動操作に応じて動作する。また、走行部11は、動作モードが再現モードに設定されている場合、操作者や作業者に選択された清掃プランの走行データおよび環境地図に基づく装置側制御部20(再現制御部34)の制御に応じて動作する。
【0039】
清掃部12は、装置本体10の下部に設けられ、装置本体10の下方の床面FLを清掃するように構成される。清掃部12は、動作モードが学習モードまたは手動モードに設定されている場合、操作者や作業者による操作端末4や操作表示部17の手動操作に応じて動作する。また、清掃部12は、動作モードが再現モードに設定されている場合、操作者や作業者に選択された清掃プランの清掃データに基づく装置側制御部20(再現制御部34)の制御(自動操作)に応じて動作する。
【0040】
清掃部12は、例えば、洗浄液を用いて床面FLを清掃する湿式の清掃機構で構成され、床面FLに接触して床面FLを清掃する清掃部材24(作業部材)と、洗浄液を床面FLに供給する洗浄液供給部25と、床面FLを清掃した使用後の洗浄液、即ち、汚水を吸引する吸引部26とを備える。清掃部12は、清掃部材24を床面FL上で回転させる清掃部材用モータ(図示せず)と、清掃部材24を床面FLに対して上下方向に移動させると共にパッド圧を可変する清掃部材用アクチュエータ(図示せず)とを備える。清掃部12は、吸引部26で吸引された汚水を回収する汚水回収部(図示せず)を備える。なお、清掃部12は、湿式の清掃機構に限定されず、乾式のスイーパーなどの清掃機構で構成されてもよい。
【0041】
清掃部材24は、進行方向略中央で装置幅方向(左右方向)に並んで取り付けられた一対の洗浄パッドや一対の洗浄ブラシなどで構成される。左側の洗浄パッドまたは洗浄ブラシが上方視時計回りに回転し、右側の洗浄パッドまたは洗浄ブラシが上方視反時計回りに回転して、幅方向中央側で前方から後方へ向かうように回転する。これにより、一対の洗浄パッドまたは一対の洗浄ブラシの前方の汚水や塵埃を幅方向中央側に収集しつつ後方へ排出する。
【0042】
洗浄液供給部25は、供給ポンプ(図示せず)を用いて洗浄液タンク(図示せず)から床面FLに洗浄液を供給して散布するように構成される。
【0043】
吸引部26は、吸引ブロアなどで構成され、吸引した汚水を汚水回収部(図示せず)へと回収する。汚水回収部は、清掃部材24より後方で床面FLに接地して設けられたスキージ27によって、清掃部材24から後方に排出される汚水を受け止めて収集し、吸引部26に接続された汚水ダクト(図示せず)によって、収集された汚水を吸引部26の吸引力を利用して吸引し、吸引された汚水を、汚水ダクトに接続された汚水タンクへ回収する。
【0044】
計測部13は、装置本体10と周囲の壁や障害物などの非作業対象との位置情報(例えば、装置本体10の進行方向に対する角度や距離)を計測するレーザーレンジファインダ(LRF:Laser Range Finder)13aなどを備える。計測部13は、装置本体10が走行している間、例えば、所定のタイミング毎(例えば、25ms毎)に非作業対象との位置情報を計測する。LRF13aは、装置本体10の前側および左右両側に亘って検知範囲を有するように構成される。
【0045】
計測部13は、自律走行作業装置2から非作業対象(障害物など)までの距離を詳細に計測することによって計測データを取得する。例えば、計測部13は、自律走行作業装置2から前方(進行方向)の非作業対象までの第1距離や非作業対象までの第1方向を計測し、即ち、計測部13は、第1距離および第1方向に基づいて、自律走行作業装置2に対する非作業対象の位置情報を把握可能である。また、計測部13は、自律走行作業装置2の前方の障害物などの非作業対象から当該非作業対象に対して左右方向(進行方向との交差方向)に存在する壁などの非作業対象までの第2距離を計測する。そして、計測部13は、第1距離および第1方向と第2距離とを含む計測データを取得する。なお、計測部13は、複数の非作業対象を検出した場合、複数の非作業対象のそれぞれについて計測データを取得する。
【0046】
障害物検知部14は、装置本体10から所定距離内の壁や障害物などの非作業対象の有無を検知する超音波センサなどの複数の近接センサ14a(検知部)や、装置本体10付近の床面FLの段差を検知する赤外線センサなどの段差センサ、装置本体10の前下側のバンパー(図示せず)に取り付けられて非作業対象との接触を検知するバンパーセンサなどを備える。障害物検知部14は、装置本体10が走行している間、常時稼働していてよい。
【0047】
第1撮影部15は、装置本体10の前方を撮影する赤外線カメラやCCD(Charge Coupled Device)カメラなどの第1撮像装置15aを備え、第1撮像装置15aは、例えば、装置本体10の前上側に取り付けられる。第1撮影部15は、第1撮像装置15aによって自律走行作業装置2の前方を撮影して、
図6に示すように、第1撮影データ60(撮影データ)を取得する。なお、第1撮像装置15aが複数の赤外線カメラで構成される第1撮影部15は、第1撮影データ60に基づいて、自律走行作業装置2の前方の障害物や壁までの距離などの位置情報を大まかに計測可能である。第2撮影部16は、装置本体10の後方を撮影するCCDカメラなどの第2撮像装置16aを備え、第2撮像装置16aは、例えば、装置本体10の後下側に取り付けられる。第2撮影部16は、例えば、自律走行作業装置2が自動走行清掃を行う際に、第2撮像装置16aによって自律走行作業装置2の後下方を撮影して、
図7に示すように、第2撮影データ61を取得する。
【0048】
操作表示部17は、装置本体10の後上側に設けられ、タッチパネルなどを有して構成され、操作表示部17の各部は、装置側制御部20に接続されている。操作表示部17は、例えば、自律走行作業装置2の稼働/停止を操作するためのキースイッチ(図示せず)や、自律走行作業装置2の緊急停止を操作するための緊急停止ボタン(図示せず)を有する。
【0049】
操作表示部17のタッチパネルは、装置側制御部20からの制御信号に応じて様々な画面を表示し、各画面でのタッチ操作に基づく操作信号を装置側制御部20へと送信する。例えば、操作表示部17のタッチパネルは、動作モードを選択可能なモード選択画面(図示せず)を表示したり、学習モードおよび手動モードにおいて、走行部11の走行速度、清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などを設定可能な設定画面(図示せず)を表示したりする。
【0050】
電源部18は、装置本体10内部に搭載されたバッテリー(電源)および充電回路を備え、外部電源に接続することでバッテリーが充電され、また、自律走行作業装置2の各部へと電力を供給する。電源部18は、バッテリーの残量を示す信号を装置側制御部20へと出力してもよい。
【0051】
装置側制御部20は、CPU(Central Processing Unit)などのコンピュータで構成され、
図2や
図3に示すように、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含む装置側記憶部21および装置側通信部22に接続されている。また、装置側制御部20は、上記の走行部11、清掃部12、計測部13、障害物検知部14、第1撮影部15、第2撮影部16、操作表示部17および電源部18などの自律走行作業装置2の各部に接続されている。
【0052】
また、装置側制御部20は、装置側通信部22を介して外部機器と通信可能に接続される。装置側通信部22は、管理サーバ3や操作者や作業者などの利用者の保有する操作端末4などの外部機器と、Wi-Fiなどの無線LAN通信規格やBluetooth(登録商標)によって無線通信を行う。装置側通信部22は、例えば、自律走行作業装置2が自動走行清掃を行っている間に、第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、計測部13の計測結果である計測データとを管理サーバ3へと送信する。
【0053】
装置側記憶部21は、自律走行作業装置2の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、装置側制御部20が、装置側記憶部21に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、装置側制御部20は、装置側記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、
図3に示すように、モード切替部30、学習制御部31、地図作成部32、清掃プラン作成部33、再現制御部34および遠隔操作制御部35として動作する。これにより、自律走行作業装置2は、事前に記憶されたプログラムに従って自律的に走行し自動で作業することができる。また、装置側記憶部21は、1つ以上の清掃プランを記憶すると共に、各清掃プランに対応する環境地図も記憶する。
【0054】
モード切替部30は、操作端末4や操作表示部17の操作に応じて、動作モードを学習モード、再現モードおよび手動モードの何れかに切り替える。
【0055】
学習制御部31は、学習モードにおいて、学習走行清掃が行われる間、所定のステップ間隔毎に、走行部11の走行データおよび清掃部12の清掃データを取得して装置側記憶部21に記憶する。
【0056】
学習制御部31は、例えば、走行データとして、計測部13が計測した位置情報に基づいて自己位置データ(X座標およびY座標、角度)を取得する。また、走行部11の前輪11aの前輪回転用エンコーダで前輪11aの走行回転数を検出し、その検出結果に基づいて走行部11の走行速度を取得する。更に、走行部11の前輪11aの操舵回転用エンコーダで前輪11aの操舵回転数を検出し、その検出結果に基づいて走行部11の旋回速度を取得する。学習制御部31は、例えば、清掃データとして、清掃部材24に対して設定された清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25に対して設定された洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26に対して設定された吸引の稼働/停止および吸引量を取得する。
【0057】
地図作成部32は、学習モードにおいて学習走行清掃が行われる間、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)などの技術を用いて、リアルタイムで自己位置の推定と環境地図の作成とを行う。
【0058】
具体的には、地図作成部32は、所定の清掃エリアの学習走行清掃の間に、計測部13の計測結果として、装置本体10と装置本体10の周囲の壁などの非作業対象との位置情報を取得し、この計測部13の計測結果に基づいて、所定の時間間隔毎または所定の距離間隔毎に、装置本体10の周囲の局所地図を作成する。また、地図作成部32は、局所地図と走行部11の各エンコーダによる検出結果(走行部11の移動量)とに基づいて、局所地図中の自律走行作業装置2の自己位置(座標)を推定する。
【0059】
そして、地図作成部32は、学習走行清掃を完了する際に、各局所地図をつなぎ合わせる(合成する)ことで清掃エリアの環境地図を作成する。また、地図作成部32は、局所地図中の自己位置(計測部13が計測した各位置情報)をつなぎ合わせる(合成する)ことで走行経路を作成する。この環境地図を用いることで、局所地図中の自己位置と、計測部13が計測した非作業対象の位置情報とに基づいて、走行経路に沿って走行可能範囲を把握することができ、この走行可能範囲に基づいて、作業エリア内の走行経路の状態(未知の障害物の有無など)を検出することができる。
【0060】
清掃プラン作成部33は、学習走行清掃が行われる間に学習制御部31が装置側記憶部21に記憶していた走行データおよび清掃データを、学習走行清掃を完了する際に、ステップ毎に関連付けて清掃プラン(作業プラン)を作成する。なお、清掃プラン作成部33は、作成した清掃プランおよび環境地図を、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信することで、管理サーバ3に認識させておくとよい。これにより、管理サーバ3にアクセスする他の利用者は、清掃プランおよび環境地図を確認することができる。また、自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行するとき、何れの清掃プランおよび環境地図を利用するかを管理サーバ3へと通知しておくことで、管理サーバ3にアクセスする他の利用者は、自律走行作業装置2が当該清掃プランおよび当該環境地図に基づく自動走行清掃を実行中であることを、知ることができる。
【0061】
清掃プラン作成部33は、作成した清掃プランについてプラン名の入力を操作表示部17のタッチパネルの所定の入力画面(図示せず)で受け付けて、操作者などによって入力されたプラン名を、作成した清掃プランに付加する。清掃プラン作成部33は、作成した清掃プランを、同じ学習走行清掃で地図作成部32が作成した環境地図と関連付けて装置側記憶部21に記憶する。なお、清掃プラン作成部33は、学習走行清掃を行うことなく、自律走行作業装置2をコンピュータとして用いることによって、または管理サーバ3や操作端末4などの外部機器によって、あるいは事前に入力されたプログラムに従って自動で走行経路を作成することによって、事前に環境地図、走行データおよび清掃データが作成された場合、これらの環境地図、走行データおよび清掃データについて清掃プランを作成してもよい。
【0062】
再現制御部34は、動作モードが再現モードの場合に、清掃プランの選択を、操作表示部17のタッチパネルの所定の清掃プラン選択画面(図示せず)で受け付けて、選択された清掃プランを装置側記憶部21から読み出し、この清掃プランの走行データおよび清掃データ並びに清掃プランに対応する環境地図に基づいて、走行部11および清掃部12を制御して自動走行清掃を行う。
【0063】
このとき、再現制御部34は、清掃プランに対応する環境地図上の自律走行作業装置2の自己位置を推定しながら自動走行清掃を実行する。例えば、再現制御部34は、地図作成部32を利用してSLAMなどの技術を用いて局所地図を作成し、局所地図中の自律走行作業装置2の自己位置を推定して、局所地図を環境地図にマッチングさせることで、環境地図上の自己位置を推定する。
【0064】
そして、再現制御部34は、清掃プランの走行データのステップ毎の自己位置データと、環境地図上で推定される自己位置を合わせて走行部11を制御しつつ、清掃部12の清掃データに基づいてステップ毎に清掃作業を制御する。
【0065】
また、再現制御部34は、自動走行清掃において、計測部13のレーザーレンジファインダ13aおよび障害物検知部14の近接センサ14aによって障害物などの非作業対象の検知を行い、非作業対象との距離が所定の安全距離に近づくと減速するように走行部11を制御し、非作業対象との距離が所定の安全距離以下になると停止するように走行部11を制御するとよい。更に、再現制御部34は、清掃プランに対応する環境地図と、地図作成部32を利用して作成した局所地図とを重ねることで、差異箇所があるか否かを判定し、差異箇所を判定した場合に、当該差異箇所を、環境地図に存在しない未知の障害物と判定してよい。このとき、再現制御部34は、局所地図の二次元座標に基づいて、自律走行作業装置2から未知の障害物までの距離を算出することができる。
【0066】
再現制御部34は、自動走行清掃において、第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、計測部13の計測結果である計測データとを、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。再現制御部34は、自動走行清掃において、計測部13の計測結果に基づいて、環境地図に存在しない未知の障害物を進行方向に検出した場合には、自律走行作業装置2から障害物までの距離が所定の停止距離になるまで障害物に接近すると、自動走行清掃を停止して、手動操作や遠隔操作を待機する状態になる。また、再現制御部34は、未知の障害物を検出した場合、障害物に起因する走行不能を示すエラー通知を、装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。
【0067】
遠隔操作制御部35は、動作モードが再現モードの場合に自律走行作業装置2が自動走行清掃を行っている間に、装置側通信部22が管理サーバ3や操作端末4などの外部機器から遠隔操作命令を受信すると、自動走行清掃に代えて、遠隔操作走行を実行する。遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行を実行するとき、自動走行清掃を一時中断し、遠隔操作走行を終了するとき、自動走行清掃を再開する。遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行において、遠隔操作命令に対応する遠隔操作に従って自律走行作業装置2が走行するように走行部11および清掃部12を制御する。
【0068】
例えば、遠隔操作が前進、停止、右旋回または左旋回を指示する場合、遠隔操作制御部35は、自律走行作業装置2が前進、停止、右旋回または左旋回を行うように走行部11を制御し、また、遠隔操作によって走行部11の走行速度の設定を受け付けてよい。遠隔操作制御部35は、遠隔操作によって清掃部12による清掃作業の実行/停止の設定を受け付けてよく、また、清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などの個別設定を受け付けてよい。なお、遠隔操作制御部35は、遠隔操作に拘わらず、遠隔操作走行を行う場合には常に清掃作業を停止するように清掃部12を制御してもよい。
【0069】
更に、遠隔操作制御部35は、遠隔操作が障害物の回避を指示する場合には、上記の遠隔操作に従った走行部11の制御に加えて、計測部13の計測結果に基づいて、障害物から所定の安全距離を空けて走行するように、走行部11を制御するとよい。このとき、遠隔操作制御部35は、自律走行作業装置2の進行方向に障害物を検出している間、遠隔操作走行を継続し、障害物を検出しなくなると、遠隔操作走行を終了するとよい。あるいは、遠隔操作制御部35は、遠隔操作に応じて遠隔操作走行を終了してもよい。なお、遠隔操作制御部35は、遠隔操作が障害物の自動回避を指示する場合には、自動走行によって障害物を回避して、障害物を検出しなくなると自動走行による遠隔操作走行を終了するように、走行部11を制御してもよい。遠隔操作制御部35は、遠隔操作走行を終了すると、遠隔操作走行の終了通知を装置側通信部22によって管理サーバ3へと送信する。
【0070】
また、遠隔操作が第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作を指示する場合、遠隔操作制御部35は、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影や、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60や第2撮影部16が撮影した第2撮影データ61の送信を制御する。なお、遠隔操作制御部35は、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影について、撮影方向やズームを制御してもよい。遠隔操作制御部35は、上記した遠隔操作に限定されず、自律走行作業装置2の各部に対する様々な遠隔操作を受け付けて、各部を制御可能にしてよい。
【0071】
次に、管理サーバ3について説明する。管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理すると共に、操作端末4を利用する操作者や作業者などの利用者の操作権限などを管理する。管理サーバ3は、
図4に示すように、サーバ側制御部40と、サーバ側記憶部41と、サーバ側通信部42とを備える。
【0072】
サーバ側制御部40は、管理サーバ3の各部および各種機能を統括制御するものであり、CPUなどのコンピュータで構成され、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含むサーバ側記憶部41およびサーバ側通信部42に接続されている。
【0073】
また、サーバ側制御部40は、サーバ側通信部42を介して外部機器と通信可能に接続される。サーバ側通信部42は、自律走行作業装置2や操作者や作業者などの利用者の保有する操作端末4などの外部機器と、Wi-Fiなどの無線LAN通信規格やBluetooth(登録商標)によって無線通信を行う。サーバ側通信部42は、例えば、自律走行作業装置2の第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60や、自律走行作業装置2の計測部13の計測結果である計測データを自律走行作業装置2から受信し、また、当該第1撮影データ60および当該計測データに対応する表示データ62(
図10参照)を操作端末4へと送信する。サーバ側通信部42は、操作端末4から遠隔操作を受信し、また、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する。
【0074】
サーバ側記憶部41は、管理サーバ3の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、サーバ側制御部40が、サーバ側記憶部41に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、サーバ側制御部40は、サーバ側記憶部41に記憶されたプログラムを実行することにより、装置端末間紐付部45、表示データ生成部46、遠隔操作命令部47として動作する。
【0075】
管理サーバ3は、操作端末4の操作者や作業者などの利用者を管理するところ、サーバ側記憶部41には、
図8に示すように、各利用者の登録情報として、個人識別情報(個人コード)、氏名、利用者種別などが登録されている。また、管理サーバ3は、自律走行作業装置2を管理するところ、サーバ側記憶部41には、
図9に示すように、各利用者が各自律走行作業装置2を遠隔操作する際の権限情報が登録されている。権限情報は、各利用者の個人コード、各自律走行作業装置2の装置識別情報(例えば、識別番号)および遠隔操作の権限種類などが関連付けられて記憶されている。また、管理サーバ3は、自律走行作業装置2が学習走行清掃で作成した清掃プランおよび環境地図や、各種撮影データや、作業者による操作端末4の操作内容をサーバ側通信部42によって受信し、その履歴をサーバ側記憶部41に記憶するとよい。
【0076】
装置端末間紐付部45は、操作端末4によって自律走行作業装置2を遠隔操作可能にするために、自律走行作業装置2と操作端末4とを紐付けるものである。例えば、装置端末間紐付部45は、管理サーバ3にログインした操作端末4から、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2の選択を受け付けて、当該自律走行作業装置2と当該操作端末4とを紐付ける。装置端末間紐付部45は、操作端末4を保有する操作者や作業者などの利用者の権限情報に応じて、自律走行作業装置2を遠隔操作可能であるか否かを判断し、また、遠隔操作を受け付ける操作内容を判断する。
【0077】
表示データ生成部46は、自律走行作業装置2において第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60と計測部13が計測した計測データとに基づいて、
図10に示すように、操作端末4に表示させる表示データ62を生成する。ここで、表示データ生成部46は、撮影データの画像において障害物に計測データの距離表記を対応させて表示データ62を生成し、例えば、障害物に関連する表示位置に計測データの距離表記を重ねて表示データ62を生成する。あるいは、距離表記は、障害物から離れた位置に表示されてもよく、障害物との間に引出線などを介して表示されてもよい。なお、第1撮影データ60に障害物がない場合には、表示データ生成部46は、第1撮影データ60をそのまま表示データ62としてよい。また、表示データ生成部46は、表示データ62の画像上で、距離表記の選択操作を受け付けるために、画像上での距離表記の表示位置情報を含むように、表示データ62を生成するとよい。表示位置情報は、画像上の位置情報や距離表記の種類、距離表記の選択操作に対応する遠隔操作の種類などを含んでよい。あるいは、表示データ生成部46は、表示データ62の画像上で、距離表記の選択操作を受け付けるための操作アイコンを含むように、表示データ62を生成してもよい。表示データ生成部46は、生成した表示データ62をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。
【0078】
例えば、表示データ生成部46は、自律走行作業装置2の前方の所定の障害物の計測データに関して、自律走行作業装置2から当該障害物までの第1距離および第1方向に基づいて当該障害物の位置情報を特定する。表示データ生成部46は、複数の赤外線カメラである第1撮影部15で撮影した第1撮影データ60に基づいて、画像上の障害物や壁までの大まかな位置情報を特定する。表示データ生成部46は、計測データから特定した障害物の位置情報が、第1撮影データ60の大まかな位置情報の何れに対応するかを判断することで、第1撮影データ60の画像上における当該障害物の表示位置を特定する。そして、表示データ生成部46は、第1撮影データ60の画像上において、障害物に対して、当該障害物の第1距離を示す第1距離表記63を対応させて表示データ62を生成し、例えば、当該障害物の表示位置に第1距離表記63を重ねて表示するように第1撮影データ60を編集することで表示データ62を生成する。このとき、表示データ生成部46は、第1距離表記63が自律走行作業装置2から障害物までの距離であることを示す標識(例えば、白抜き三角形)を、第1距離表記63と共に表示するように、射影変換などの画像処理を行うことによって、表示データ62を生成するとよい。なお、第1距離表記63の表示位置情報は、第1距離表記63の選択操作に対応する遠隔操作として、障害物の自動回避指示を含んでよい。
【0079】
また、表示データ生成部46は、自律走行作業装置2の前方の所定の障害物の計測データに関して、当該障害物から壁までの第2距離に基づいて当該障害物の周辺情報を特定する。表示データ生成部46は、複数の赤外線カメラである第1撮影部15で撮影した第1撮影データ60に基づいて、画像上の障害物や壁までの大まかな位置情報を特定する。表示データ生成部46は、計測データから特定した障害物の周辺情報が、第1撮影データ60の大まかな位置情報の何れに対応するかを判断することで、当該障害物の周辺情報の画像上の表示位置(例えば、障害物と壁との中間位置)を特定する。そして、表示データ生成部46は、第1撮影データ60の画像上において、障害物に対して、当該障害物の第2距離を示す第2距離表記64を対応させて表示データ62を生成し、例えば、当該障害物の周辺情報の表示位置に第2距離表記64を重ねて表示するように第1撮影データ60を編集することで表示データ62を生成する。このとき、表示データ生成部46は、第2距離表記64が障害物から壁までの距離であることを示す標識(例えば、白抜き四角形)を、第2距離表記64と共に表示するように、射影変換などの画像処理を行うことによって、表示データ62を生成するとよい。また、第2距離が自律走行作業装置2の進行可能な幅より短い場合には、進入禁止を示す標識を第2距離表記64と共に表示するとよい。なお、第2距離表記64の表示位置情報は、第2距離表記64の選択操作に対応する遠隔操作として、第2距離表記64に対応する位置での自動走行指示を含んでよい。
【0080】
なお、表示データ生成部46は、複数の障害物について計測データが存在する場合には、複数の障害物のそれぞれについて、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離表記63と障害物から壁までの第2距離表記64とを表示するように、表示データ62を生成するとよい。
【0081】
また、表示データ生成部46は、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離が所定範囲内にある計測データについて第1距離表記63や第2距離表記64を表示する一方、第1距離が所定範囲外にある計測データについて第1距離表記63や第2距離表記64を表示しないように、表示データ62を生成してもよい。あるいは、表示データ生成部46は、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離が所定範囲内にある計測データについて第1距離表記63や第2距離表記64を強調表示(例えば、濃色や大サイズなどで表示)する一方、第1距離が所定範囲外にある計測データについて第1距離表記63や第2距離表記64を控えめに表示(例えば、淡色や小サイズなどで表示)するなど、距離に応じて距離表記の表示形式を変えるように、表示データ62を生成してもよい。また、表示データ生成部46は、障害物から壁までの第2距離が自律走行作業装置2の作業幅と安全距離とを合わせた幅以上である計測データについて第2距離表記64を走行可能表示する一方、第2距離が自律走行作業装置2の作業幅と安全距離とを合わせた幅未満である計測データについて第2距離表記64を走行不能表示するとよい。
【0082】
遠隔操作命令部47は、例えば、未知の障害物を検出した自律走行作業装置2から、障害物に起因する走行不能を示すエラー通知を受信すると、遠隔操作依頼をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。また、遠隔操作命令部47は、遠隔操作をサーバ側通信部42によって操作端末4から受信すると、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を生成する。例えば、遠隔操作命令部47は、遠隔操作の内容と自律走行作業装置2の進行方向とに基づいて遠隔操作命令を生成してよい。具体的には、自律走行作業装置2において第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60と計測部13が計測した計測データとに基づいて、自律走行作業装置2の進行方向に障害物を検出した場合であって、遠隔操作が当該障害物の回避指示である場合には、遠隔操作命令部47は、当該障害物を回避して走行することを指示する遠隔操作命令を生成する。
【0083】
また、遠隔操作が前進、停止、右旋回または左旋回などの走行指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該走行指示の遠隔操作命令を生成し、遠隔操作が走行部11の走行速度などの走行設定指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該走行設定指示の遠隔操作命令を生成する。遠隔操作が清掃部12の清掃作業の実行/停止などの作業指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該作業指示の遠隔操作命令を生成し、遠隔操作が清掃部材24の清掃の稼働/停止およびパッド圧、洗浄液供給部25の洗浄液供給の稼働/停止および供給水量、吸引部26の吸引の稼働/停止および吸引量などの個別設定指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該個別設定指示の遠隔操作命令を生成する。
【0084】
遠隔操作が第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作指示である場合、遠隔操作命令部47は、当該撮影操作指示の遠隔操作命令を生成する。遠隔操作命令部47は、上記した遠隔操作に限定されず、自律走行作業装置2の各部に対する様々な遠隔操作を受け付けて、各部を制御するための遠隔操作命令を生成してよい。
【0085】
なお、サーバ側通信部42は、自律走行作業装置2に紐付けされている操作端末4の権限情報に応じて、自律走行作業装置2へと送信する遠隔操作命令の種類を判断してよく、例えば、走行部11の走行操作を送信する操作端末4や、清掃部12の清掃作業操作を送信する操作端末4や、第1撮影部15の撮影操作を送信する操作端末4や、第2撮影部16の撮影操作を送信する操作端末4を識別してよい。
【0086】
また、遠隔操作命令部47は、自律走行作業装置2が遠隔操作走行を終了した際に、遠隔操作走行の終了通知をサーバ側通信部42によって自律走行作業装置2から受信すると、遠隔操作走行の終了通知をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。
【0087】
次に、操作端末4について説明する。操作端末4は、パーソナルコンピュータやタブレット端末などで構成され、
図5に示すように、端末側制御部50と、端末側記憶部51と、端末側通信部52と、タッチパネルなどで構成される表示部53とを備える。
【0088】
端末側制御部50は、操作端末4の各部および各種機能を統括制御するものであり、CPUなどのコンピュータで構成され、ROM、RAM、ハードディスク、フラッシュメモリなどを含む端末側記憶部51、端末側通信部52および表示部53に接続されている。
【0089】
また、端末側制御部50は、端末側通信部52を介して外部機器と通信可能に接続される。端末側通信部52は、自律走行作業装置2や管理サーバ3などの外部機器と、Wi-Fiなどの無線LANなど通信規格やBluetooth(登録商標)によって無線通信を行う。端末側通信部52は、例えば、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2との紐付けを行うために、当該自律走行作業装置2の選択指示を管理サーバ3へと送信する。端末側通信部52は、紐付けされた自律走行作業装置2に関する表示データ62を管理サーバ3から受信し、また、当該表示データ62を用いた遠隔操作を管理サーバ3へと送信する。
【0090】
端末側記憶部51は、操作端末4の各部および各種機能を制御するためのプログラムやデータを記憶し、端末側制御部50が、端末側記憶部51に記憶されたプログラムやデータに基づいて演算処理を実行することにより、各部および各種機能を統括制御する。例えば、端末側制御部50は、端末側記憶部51に記憶されたプログラムを実行することにより、ログイン処理部55、装置選択部56、表示制御部57、操作入力部58として動作する。
【0091】
ログイン処理部55は、操作者や作業者などの利用者による操作端末4を用いた管理サーバ3へのログイン処理を受け付けるものである。ログイン処理部55は、
図11に示すように、ログイン処理を行うためのログイン画面65を表示部53に表示し、ログイン画面65において、操作者や作業者などの利用者の個人識別情報(個人コード)やパスワードの入力を受け付ける。ログイン画面65は管理サーバ3で管理されるウェブ上の画面で構成されていてよい。個人識別情報やパスワードは、管理サーバ3において管理されている。ログイン処理部55は、入力された個人識別情報やパスワードを含むログイン要求を、端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。
【0092】
管理サーバ3がログイン要求に基づいて個人識別情報およびパスワードを認証してログイン成功を操作端末4へと送信すると、装置選択部56は、ログイン成功に応じて、遠隔操作を所望する自律走行作業装置2を選択するための装置選択画面(図示せず)を表示部53に表示し、装置選択画面において、自律走行作業装置2の選択を受け付ける。装置選択画面は管理サーバ3で管理されるウェブ上の画面で構成されていてよい。装置選択部56は、選択された自律走行作業装置2の選択指示を、端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。これにより、管理サーバ3によって、自律走行作業装置2と操作端末4とが紐付けされる。
【0093】
表示制御部57は、操作端末4と紐付けされた自律走行作業装置2が自動走行清掃を行うときに、
図12に示すように、自律走行作業装置2を遠隔操作するための遠隔操作画面70を表示部53に表示する。遠隔操作画面70は管理サーバ3で管理されるウェブ上の画面で構成されていてよい。
【0094】
遠隔操作画面70には、ログインした操作者または作業者などの利用者を示すログイン名71と、遠隔操作する自律走行作業装置2を示す装置名72とが表示される。遠隔操作画面70には、走行部11の走行操作を行うための走行操作領域73と、清掃部12の清掃作業操作を行うための清掃操作領域74と、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作を行うためのカメラ操作領域75と、第1撮影部15で撮影された第1撮影データ60に基づく表示データ62を表示するための画像表示領域76とが表示される。
【0095】
なお、遠隔操作画面70の各表示領域は、操作端末4を保有する操作者や作業者などの利用者が自律走行作業装置2を利用する権限情報に応じて表示される。例えば、権限情報において、走行部11の走行操作が許容される場合、走行操作領域73が操作可能に表示されるが、許容されない場合、走行操作領域73は表示されず、若しくは操作不能に表示される。権限情報において、清掃部12の清掃作業操作が許容される場合、清掃操作領域74が操作可能に表示されるが、許容されない場合、清掃操作領域74は表示されず、若しくは操作不能に表示される。権限情報において、第1撮影部15や第2撮影部16の撮影操作が許容される場合、カメラ操作領域75が操作可能に表示されるが、許容されない場合、カメラ操作領域75は表示されず、若しくは操作不能に表示される。また、権限情報において、表示データ62の閲覧が許容される場合、画像表示領域76が閲覧可能に表示されるが、許容されない場合、画像表示領域76は表示されない。
【0096】
走行操作領域73には、走行部11の走行速度を変更する速度変更ボタン80が操作可能に表示される。速度変更ボタン80は、例えば、操作する度に走行速度を段階的に上げる上ボタンと、操作する度に走行速度を段階的に下げる下ボタンとを備える。走行操作領域73には、走行部11の前進、停止、右旋回または左旋回などの走行指示を入力するための操作キー81が操作可能に表示される。
【0097】
清掃操作領域74には、清掃部12の清掃部材24の稼働/停止を切り替える清掃スイッチ82および清掃部材24のパッド圧を調整するパッド圧調整ボタン83が操作可能に表示される。パッド圧調整ボタン83は、操作する度に清掃部材24のパッド圧を段階的かつ循環的に切り替える。
【0098】
清掃操作領域74には、清掃部12の洗浄液供給部25の稼働/停止を切り替える供給スイッチ84および洗浄液供給部25の供給水量を調整する供給水量調整ボタン85が操作可能に表示される。供給水量調整ボタン85は、操作する度に洗浄液供給部25の供給水量を段階的かつ循環的に切り替える。
【0099】
清掃操作領域74には、清掃部12の吸引部26の稼働/停止を切り替える吸引スイッチ86および吸引部26の吸引量を調整する吸引量調整ボタン87が操作可能に表示される。吸引量調整ボタン87は、操作する度に吸引部26の吸引量を段階的かつ循環的に切り替える。
【0100】
カメラ操作領域75には、第1撮影部15や第2撮影部16のズームを操作するズームボタン88および第1撮影部15や第2撮影部16の撮影方向を操作する撮影方向ボタ89が操作可能に表示される。表示制御部57は、ズームボタン88の操作に応じて、表示データ62の表示位置を調整して動かす。
【0101】
画像表示領域76には、紐付けされた自律走行作業装置2に関する表示データ62が表示される。表示データ62には、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60の画像が主に表示され、当該画像において障害物に関連する表示位置に計測部13が計測した計測データの距離表記が重ねて表示されている。画像表示領域76では、表示データ62の画像では、距離表記として、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離表記63と、障害物から壁までの第2距離表記64とが表示されている。表示データ62には、画像上での第1距離表記63や第2距離表記64の表示位置情報が含まれていて、画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上での選択操作が表示位置情報に対応しているかを判断することで、第1距離表記63や第2距離表記64の選択操作を判断可能とする。
【0102】
また、表示制御部57は、自律走行作業装置2が未知の障害物を検出した際に、管理サーバ3からの遠隔操作依頼を端末側通信部52によって受信すると、遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の遠隔操作の推奨通知を表示する。更に、表示制御部57は、自律走行作業装置2が遠隔操作走行を終了した際に、遠隔操作走行の終了通知を端末側通信部52によって管理サーバ3から受信すると、遠隔操作画面70において、遠隔操作走行の終了通知を表示する。
【0103】
操作入力部58は、画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上で、障害物に関連する表示位置での選択操作を受け付けていて、例えば、第1距離表記63や第2距離表記64の選択操作を受け付けている。なお、操作入力部58は、自律走行作業装置2の遠隔操作の推奨通知に拘わらず、第1距離表記63や第2距離表記64の選択操作を受け付けてよい。
【0104】
第1距離表記63または第2距離表記64の選択操作が行われると、例えば、操作入力部58は、第1距離表記63または第2距離表記64に対応する表示位置情報に基づいて、第1距離表記63または第2距離表記64の選択操作に対応する遠隔操作の種類を取得する。操作入力部58は、取得した遠隔操作を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。例えば、第1距離表記63の表示位置情報が、第1距離表記63の選択操作に対応する遠隔操作として、障害物の自動回避指示を含む場合、操作入力部58は、自動回避指示を指示する遠隔操作を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。第2距離表記64の表示位置情報が、第2距離表記64の選択操作に対応する遠隔操作として、第2距離表記64に対応する位置での自動走行指示を含む場合、操作入力部58は、自動走行指示を指示する遠隔操作を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。
【0105】
あるいは、操作入力部58は、画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上で、第1距離表記63または第2距離表記64の選択操作が行われると、自律走行作業装置2を遠隔操作で手動走行させるための操作キー81を操作可能にするとよい。この場合、操作入力部58は、操作キー81の操作に応じて、前進、停止、右旋回または左旋回などの走行指示を示す遠隔操作を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。
【0106】
次に、走行作業情報処理システム1において自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行中に障害物を遠隔操作に応じて回避する動作例を、
図13~
図15のフローチャートを参照しながら説明する。
図13は、自律走行作業装置2の動作を示し、
図14は、管理サーバ3の動作を示し、
図15は、操作端末4の動作を示す。
【0107】
先ず、自律走行作業装置2は、自動走行清掃を開始すると(
図13のステップS11)、自動走行清掃を実行している間、第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、計測部13が自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測した計測データとを取得し、第1撮影データ60および計測データを管理サーバ3へと送信する(
図13のステップS12)。なお、この動作例では、自動走行清掃を実行中の自律走行作業装置2が、常に、所定の時間間隔毎に、第1撮影データ60および計測データを管理サーバ3へと送信する例を説明するが、他の例では、第1撮影データ60のみを管理サーバ3へと送信してもよく、あるいは、障害物に起因するエラーが生じた場合のみ、第1撮影データ60および計測データを管理サーバ3へと送信してもよい。
【0108】
このとき、動作例では
図14(a)のステップAに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60および計測データを受信すると(
図14(a)のステップS21)、第1撮影データ60および計測データに基づいて表示データ62を生成する(
図14(a)のステップS22)。なお、第1撮影データ60および計測データにおいて、環境地図に存在しない未知の障害物が検出された場合には、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から当該障害物までの第1距離や障害物までの第1方向と、当該障害物から壁までの第2距離とを含む表示データ62を生成することになる。管理サーバ3は、生成した表示データ62を操作端末4へと送信する(
図14(a)のステップS23)。
【0109】
このとき、動作例では
図15のステップBに移行し、操作端末4は、管理サーバ3から表示データ62を受信すると(
図15のステップS31)、表示データ62を遠隔操作画面70に画面表示する(
図15のステップS32)。これにより、自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行している間、操作端末4では、自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60に基づく表示データ62を確認することができる。
【0110】
ところで、自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、環境地図に存在しない未知の障害物を検出しなければ(
図13のステップS13:No)、自動走行清掃を継続し、自動走行清掃を終了すると(
図13のステップS14:Yes)、走行作業情報処理システム1の動作を終了する。一方、自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、環境地図に存在しない未知の障害物を検出した場合(
図13のステップS13:Yes)、障害物に起因する走行不能を示すエラー通知を管理サーバ3へと送信し(
図13のステップS15)、自動走行清掃を停止して待機する(
図13のステップS16)。
【0111】
このとき、動作例では
図14(b)のステップCに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2からエラー通知を受信すると(
図14(b)のステップS24)、遠隔操作依頼を操作端末4へと送信する(
図14(b)のステップS25)。
【0112】
また、動作例では
図15のステップDに移行し、操作端末4は、管理サーバ3から遠隔操作依頼を受信すると(
図15のステップS33)、自律走行作業装置2の遠隔操作の推奨通知を表示する(
図15のステップS34)。
【0113】
操作端末4では、表示データ62を表示している遠隔操作画面70において、自律走行作業装置2の遠隔操作を受け付けていて、遠隔操作の推奨通知に対して許可応答が行われて遠隔操作が行われた場合(
図15のステップS35)、例えば、表示データ62の第1距離表記63または第2距離表記64の選択操作などにより遠隔操作が行われた場合に、遠隔操作を管理サーバ3へと送信する(
図15のステップS36)。
【0114】
このとき、動作例では
図14(c)のステップEに移行し、管理サーバ3は、操作端末4から遠隔操作を受信すると(
図14(c)のステップS26)、当該遠隔操作に対応する遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する(
図14(c)のステップS26)。
【0115】
また、動作例では
図13のステップFに移行し、自律走行作業装置2は、自動走行清掃を停止して待機しているところ、管理サーバ3から遠隔操作命令を受信すると(
図13のステップS17:Yes)、遠隔操作走行を行うために、第1撮影データ60と計測データとを取得して管理サーバ3へと送信する(
図13のステップS18)。なお、装置側記憶部21に記録されている第1撮影データ60および計測データについて、遠隔操作を受け付けた時点の数秒・数分前のデータを、管理サーバ3を介して操作端末4に送信することで、操作端末4が数秒・数分前のデータを参照できるようにしてもよい。これにより、現在の画像(状態)を確認できるだけでなく、現在の画像(状態)がどのような経緯で起きたのかを確認することができる。そして、自律走行作業装置2は、遠隔操作に従って、障害物を回避して走行する(
図13のステップS19)。自律走行作業装置2は、このような遠隔操作走行を終了すると(
図13のステップS20:Yes)、自動走行清掃を再開して、動作例では
図13のステップS12に移行する。
【0116】
上記のように、本実施形態によれば、走行作業情報処理システム1は、自律的に走行し自動で(清掃)作業する自動走行清掃(自動走行作業)を実行可能な自律走行作業装置2と、自律走行作業装置2を操作するための操作端末4とを備える。自律走行作業装置2は、走行部11と、第1撮影部15(撮影部)と、計測部13とを備える。操作端末4は、表示部53を備える。自律走行作業装置2において、第1撮影部15は、自律走行作業装置2の前方を撮影して第1撮影データ60(撮影データ)を取得し、計測部13は、自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測することによって、自律走行作業装置2から未知の非作業対象である障害物までの第1距離と、壁や段差などの既知の非作業対象から障害物までの第2距離とを計測して計測データを取得する。操作端末4において、表示部53は、第1撮影データ60の画像において障害物に計測データの距離表記を対応させて生成した表示データ62の画像を表示する。
【0117】
このような構成により、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2によって自動走行清掃を行っている間に、事前に記憶された環境地図等に存在しない未知の障害物に遭遇したときでも、自律走行作業装置2を遠隔操作する操作端末4で表示データ62の画像を確認することによって、その障害物を回避するか否かを容易に判断することができる。このとき、操作端末4で表示データ62の画像を確認することで、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離や、自律走行作業装置から壁や段差などの既知の非作業対象までの距離などを容易に把握することができ、操作者による障害物を含む周囲の状態の認識度を向上することができる。従って、走行作業情報処理システム1によれば、作業エリアにおける障害物に対する対応を容易に判断することができ、自律走行作業装置2を安全に遠隔操作することができる。
【0118】
また、本実施形態では、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2を管理するための管理サーバ3を更に備え、管理サーバ3は、サーバ側制御部40と、サーバ側通信部42とを備える。自律走行作業装置2は、装置側制御部20と、装置側通信部22とを備える。操作端末4は、端末側通信部52を備える。自律走行作業装置2において、装置側通信部22は、第1撮影データ60と計測データとを管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3において、サーバ側通信部42は、自律走行作業装置2から送信された第1撮影データ60と計測データとを受信し、サーバ側制御部40は、第1撮影データ60の画像において障害物に関連する表示位置に計測データの距離表記を重ねて表示データ62を生成し、サーバ側通信部42は、表示データ62を操作端末4へと送信する。操作端末4において、端末側通信部52は、管理サーバ3から送信された表示データ62を受信し、表示部53は、表示データ62の画像を表示する。
【0119】
このような構成により、走行作業情報処理システム1は、自動走行清掃を行う自律走行作業装置2と、当該自律走行作業装置2を遠隔操作する操作端末4とを、管理サーバ3によって紐付けするように管理することができ、管理サーバ3は、自律走行作業装置2が未知の障害物を検出した場合に、当該自律走行作業装置2に紐付けされた操作端末4に対して障害物に関する表示データ62を送信して表示させることができる。また、表示データの作成といった高負荷の画像処理を管理サーバで行うことで、自律走行作業装置や操作端末における制御処理速度の低下の懸念がない。
【0120】
また、本実施形態では、走行作業情報処理システム1において、操作端末4は、操作入力部58を更に備え、管理サーバ3は、遠隔操作命令部47を更に備える。操作端末4において、操作入力部58は、表示部53に表示された表示データ62の画像上で、障害物および/または既知の非作業対象に関連する表示位置での選択操作を受け付け、端末側通信部52は、選択操作に応じて、表示位置および選択操作に対応する遠隔操作を管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3において、サーバ側通信部42は、操作端末4から送信された遠隔操作を受信し、遠隔操作命令部47は、遠隔操作と自律走行作業装置2の進行方向とに基づいて遠隔操作命令を生成し、サーバ側通信部42は、遠隔操作命令を自律走行作業装置2へと送信する。自律走行作業装置2において、装置側通信部22は、管理サーバ3から送信された遠隔操作命令を受信し、装置側制御部20は、走行部11が遠隔操作命令に従って走行するように制御する。
【0121】
このような構成により、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2が未知の障害物を検出した場合でも、操作端末4に表示した表示データ62において障害物や既知の非作業対象に関連する表示位置での選択操作を行うことで、当該障害物を回避して走行するための遠隔操作を自律走行作業装置2に対して行うことができる。これにより、自律走行作業装置2を遠隔操作する場合でも、容易に障害物への対応を判断することができ、操作者の利便性を向上することができる。また、障害物を回避することが不可能と認識する場合もあり、別ルートへの迂回や係員現場対応の手配など、遠隔操作の内容を含む障害物への対応を容易に判断することができる。
【0122】
次に、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1について説明する。以下、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の走行作業情報処理システム1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0123】
第2の実施形態では特に、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測した計測データとに基づいて、作業エリアに隣接するドアまたはドアの開放を検出(認識)した場合に、ドア付近で自律走行作業装置2を減速させる。
【0124】
第2の実施形態では、管理サーバ3のサーバ側制御部40は、サーバ側記憶部41に記憶されたプログラムを実行することにより、
図16に示すように、装置端末間紐付部45、表示データ生成部46、遠隔操作命令部47に加えて、減速命令部48として動作する。減速命令部48は、自律走行作業装置2の進行方向側にドアまたはドアの開放を検出した場合に、自律走行作業装置2を減速させる減速命令を発するものである。
【0125】
減速命令部48は、自律走行作業装置2が遠隔操作走行を行っている間に、第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、計測部13が自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測した計測データとを、サーバ側通信部42によって受信すると、第1撮影データ60と計測データとに基づいて、自律走行作業装置2の進行方向側に、減速対象となるドアが存在するか否かを検出する。また、減速命令部48は、減速対象のドアを検出した場合、計測データに基づいて、自律走行作業装置2からドアまでの距離やドアまでの方向を取得して、作業エリアにおけるドアの位置情報を取得する。更に、減速命令部48は、第1撮影データ60に基づいてドアまでの大まかな位置情報を特定すると共に、計測データに基づくドアの位置情報を第1撮影データ60に基づくドアの位置情報に照らし合わせることで、第1撮影データ60の画像におけるドアの表示位置情報を取得する。
【0126】
減速命令部48は、例えば、第1撮影データ60の画像解析によりドアまたはドアの開放の有無を検出し、あるいは、計測データに基づいて、連続的な壁が検出されるときに、計測データに基づいて壁の形状を判定して、壁から所定幅だけ凹設された箇所を検出することでドアの有無を検出し、また、凹設された箇所の凹設方向の深さが所定深さ閾値以上であるか否かを検出することでドアの開放の有無を検出し、若しくは、これらの手法を併せて利用することでドアまたはドアの開放の有無を検出する。
【0127】
また、減速命令部48は、検出したドアを全て減速対象のドアとしてもよく、あるいは、検出したドアのうち、自律走行作業装置2の走行経路から所定範囲内にあるドアを減速対象のドアとしてもよく、あるいは、検出したドアのうち、開放しているドアを減速対象のドアとしてもよく、若しくは、検出したドアのうち、当該ドアの設けられた部屋内の入室を判定したドアを減速対象のドアとしてもよい。
【0128】
例えば、減速命令部48は、小窓を有するドアについて小窓からの明かりを検出した場合に、当該ドアの設けられた部屋の入室を判定してよい。また、走行作業情報処理システム1が、作業エリアを有する建物の各部屋の入室を管理する入室システムと連携されている場合には、減速命令部48は、検出したドアの設けられた部屋について、入室システムによる当該部屋の入室の検出結果や、当該部屋の施解錠の検出結果や、当該部屋のドアの開閉の検出結果に従って、当該ドアの設けられた部屋の入室を判定してもよい。
【0129】
なお、表示データ生成部46は、減速命令部48が減速対象のドアを検出した場合であって、第1撮影データ60の画像明るさが所定の明るさ閾値以上である場合に、第1撮影データ60の画像における当該ドアの表示位置情報に基づいて、表示データ62の画像における当該ドアの表示位置を把握し、
図17に示すように、当該ドアの表示位置で当該ドアを強調表示する標識66(例えば、ドアの輪郭を囲う破線など)を表示するように、表示データ62を生成するとよい。表示データ生成部46は、表示データ62の画像におけるドアの表示位置に、自律走行作業装置2からドアまでの距離を示す第3距離表記67を重ねて表示するように、表示データ62を生成する。また、表示データ生成部46は、表示データ62の画像上で、減速対象のドアの選択操作を受け付けるために、画像上での減速対象のドアの表示位置情報を含むように、表示データ62を生成するとよい。
【0130】
このような表示データ62を管理サーバ3から受信して遠隔操作画面70に表示する操作端末4では、操作入力部58は、遠隔操作画面70の画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上で、強調表示された減速対象のドアの選択操作を受け付けていて、例えば、減速対象のドアの表示位置の選択操作や、強調表示の標識66の選択操作、第3距離表記67の選択操作を受け付けている。表示データ62には、画像上での減速対象のドアの表示位置情報が含まれていて、画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上での選択操作が表示位置情報に対応しているかを判断することで、減速対象のドアの選択操作を判断可能とする。
【0131】
また、減速命令部48は、自動走行清掃を行っている自律走行作業装置2が減速対象のドアに接近して、減速対象のドアから所定範囲内を走行する場合、自律走行作業装置2に対して所定のドア周辺速度への減速命令を生成して、サーバ側通信部42によって自律走行作業装置2へと送信する。ここで、減速命令部48は、自律走行作業装置2が減速対象のドアから所定範囲内に達したときに、自動的に、減速命令を生成してもよく、あるいは、操作者による減速操作に応じて減速命令を生成してもよい。若しくは、自律走行作業装置2自身が、減速対象のドアに接近して、減速対象のドアから所定範囲内に達したことを検出した場合に、自律走行作業装置2がドアへの接近に起因する注意喚起を管理サーバ3へと通知し、管理サーバ3は、この注意喚起の通知に応じて、ドア周辺速度への減速命令を生成して自律走行作業装置2へと送信してもよい。
【0132】
例えば、操作端末4の遠隔操作画面70において、画像表示領域76に表示された表示データ62の画像上で、減速対象のドアの選択操作が行われると、操作入力部58は、当該ドアの選択を端末側通信部52によって管理サーバ3へと送信する。管理サーバ3では、操作端末4から減速対象のドアの選択を受信すると、減速命令部48は、自動走行清掃を行っている自律走行作業装置2が、選択された減速対象のドアから所定範囲内に達した場合に、ドア周辺速度への減速命令を生成して自律走行作業装置2へと送信する。これにより、自律走行作業装置2は、選択された減速対象のドアの周辺で、ドア周辺速度に減速して走行することとなる。なお、自律走行作業装置2は、ドア周辺速度に減速して走行する間、清掃部12による清掃作業を継続してよく、あるいは、停止してもよい。
【0133】
また、減速命令部48は、ドア周辺速度に減速した自律走行作業装置2が、選択された減速対象のドアから所定範囲外に離れた場合に、ドア周辺速度の解除命令を生成して自律走行作業装置2へと送信する。これにより、自律走行作業装置2は、選択された減速対象のドアを通過すると、ドア周辺速度への減速を解除して元の速度で走行することとなる。若しくは、自律走行作業装置2自身が、減速対象のドアから所定範囲外に離れて、減速対象のドアを通過したことを検出した場合に、自律走行作業装置2が注意喚起解除を管理サーバ3へと通知し、管理サーバ3は、この注意喚起解除の通知に応じて、ドア周辺速度の解除命令を生成して自律走行作業装置2へと送信してもよい。
【0134】
次に、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1において自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行中にドア周辺で遠隔操作に応じて減速する動作例を、
図18~
図20のフローチャートを参照しながら説明する。
図18は、自律走行作業装置2の動作を示し、
図19は、管理サーバ3の動作を示し、
図20は、操作端末4の動作を示す。
【0135】
先ず、自律走行作業装置2は、自動走行清掃を開始すると(
図18のステップS41)、自動走行清掃を実行している間、第1撮影部15が自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、計測部13が自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測した計測データとを取得し、第1撮影データ60および計測データを管理サーバ3へと送信する(
図18のステップS42)。
【0136】
このとき、動作例では
図19のステップGに移行し、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60および計測データを受信すると(
図19のステップS51)、第1撮影データ60および計測データに基づいて表示データ62を生成する(
図19のステップS52)。
【0137】
また、管理サーバ3は、第1撮影データ60および計測データに基づいて、自律走行作業装置2の進行方向側に、減速対象のドアがあるか否かを判断する(
図19のステップS53)。ドアが検出されない場合には(
図19のステップS53:No)、管理サーバ3は、生成した表示データ62をそのまま操作端末4へと送信する(
図19のステップS54)。一方、ドアが検出された場合には(
図19のステップS53:Yes)、管理サーバ3は、生成した表示データ62において、ドアを強調表示する標識66や自律走行作業装置2からドアまでの距離を示す第3距離表記67を追加してから(
図19のステップS55)、表示データ62を操作端末4へと送信する(
図19のステップS54)。
【0138】
このとき、動作例では
図20のステップHに移行し、操作端末4は、管理サーバ3から表示データ62を受信すると(
図20のステップS61)、表示データ62を遠隔操作画面70に画面表示する(
図20のステップS62)。これにより、自律走行作業装置2が自動走行清掃を実行している間、操作端末4では、自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60に基づく表示データ62を確認することができる。
【0139】
操作端末4では、表示データ62を表示している遠隔操作画面70において、減速対象のドアの選択操作を受け付けていて、減速対象のドアの選択操作が行われなければ(
図20のステップS63:No)、動作例はリターンとなる。一方、減速対象のドアの選択操作が行われると(
図20のステップS63:Yes)、操作端末4は、減速対象のドアの選択を管理サーバ3へと送信して(
図20のステップS64)、動作例では
図19のステップIに移行してリターンとなる。なお、何れの場合でも、操作端末4は、遠隔操作画面70の表示を継続する。
【0140】
管理サーバ3では、操作端末4から減速対象のドアの選択を受信すると(
図19のステップS56:Yes)、減速対象のドアの周辺で減速するために所定のドア周辺速度への減速命令を自律走行作業装置2へと送信し(
図19のステップS57)、動作例では
図18のステップJに移行する。
【0141】
自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、管理サーバ3から減速命令を受信すると(
図18のステップS43:Yes)、ドア周辺速度へ減速するように制御することになる(
図18のステップS44)。
【0142】
また、管理サーバ3では、自律走行作業装置2が減速中でなければ(
図19のステップS58:No)、動作例はリターンとなるが、自律走行作業装置2が減速中であれば(
図19のステップS58:Yes)、自律走行作業装置2が減速対象のドアを通過して所定範囲外に離れたか否かを判定する(
図19のステップS59)。管理サーバ3では、自律走行作業装置2が減速対象のドアを通過していない場合(
図19のステップS59:No)、動作例はリターンとなるが、減速対象のドアを通過した場合(
図19のステップS59:Yes)、自律走行作業装置2の減速を解除するために解除命令を自律走行作業装置2へと送信し(
図19のステップS60)、動作例では
図18のステップKに移行してリターンとなる。
【0143】
自律走行作業装置2は、自動走行清掃の実行中に、管理サーバ3から解除命令を受信すると(
図18のステップS45:Yes)、ドア周辺速度への減速を解除して元の速度に戻すように制御することになる(
図18のステップS46)。
【0144】
また、自律走行作業装置2は、管理サーバ3から減速命令がなく(
図18のステップS43:No)、また、管理サーバ3から解除命令がない場合に(
図18のステップS45:No)、自動走行清掃を終了すると(
図18のステップS47:Yes)、走行作業情報処理システム1の動作を終了する。
【0145】
上記のように、第2の実施形態によれば、走行作業情報処理システム1では、管理サーバ3において、サーバ側制御部40は、計測部13による自律走行作業装置2から非作業対象までの計測結果と、第1撮影部15により撮影した第1撮影データ60とに基づいて、ドアを検出した場合、所定のドア周辺速度への減速命令を発し、サーバ側通信部42は、減速命令を自律走行作業装置2へと送信する。自律走行作業装置2において、装置側通信部22は、管理サーバ3から送信された減速命令を受信し、装置側制御部20は、走行部11が減速命令に従ってドア周辺速度で走行するように制御する。
【0146】
このような構成により、走行作業情報処理システム1は、遠隔操作により走行する自律走行作業装置2の走行速度を、ドア付近で強制的に低下させることができる。これにより、人などがドアから作業エリアへと急に侵入した場合でも、自律走行作業装置2を即座に停止させることができ、安全性を向上することができる。また、ドアを検出した場合に、当該ドアの設けられた部屋内の入室を判定したドアを減速対象のドアとすることで、人の出入りが想定されるドア付近のみで、自律走行作業装置2を減速させることもできる。
【0147】
次に、第3の実施形態の走行作業情報処理システム1について説明する。以下、第3の実施形態の説明において、第1、第2の実施形態の走行作業情報処理システム1と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0148】
第3の実施形態では特に、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2の前方を撮影した第1撮影データ60と、自律走行作業装置2から非作業対象までの距離を計測した計測データとに基づいて壁(非作業対象)と床(作業対象)との境界を判断し、その境界線68(
図21参照)の画像を表示データ62の画像に重畳することで表示データ62を編集し、編集した表示データ62の画像を操作端末4に表示させる。
【0149】
第3の実施形態では、自律走行作業装置2の第1撮影部15は、赤外線カメラで構成された第1撮像装置15aを備え、作業時間が夜間であったり、作業エリアの照明が消灯されたりして、作業エリアが暗い状態であっても、撮影可能である。なお、赤外線カメラの第1撮像装置15aで撮影された第1撮影データ60は、モノクロ画像で表示されるが、自律走行作業装置2の前方の障害物や壁などの非作業対象までの距離などの位置情報が大まかに計測されている。なお、第1撮像装置15aは、測距用の赤外線カメラと、表示データ撮影用のCCDカメラとを両方備えてもよい。
【0150】
管理サーバ3の表示データ生成部46は、第1撮影データ60と計測データとに基づいて壁と床との境界を判断し、その境界線68を表示データ62に重ねて編集するように構成される。表示データ生成部46は、生成した表示データ62をサーバ側通信部42によって操作端末4へと送信する。
【0151】
具体的には、表示データ生成部46は、第1の実施形態と同様に、環境地図に存在しない未知の障害物を検出した場合に、自律走行作業装置2において第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60と計測部13が計測した計測データとに基づいて、自律走行作業装置2から当該障害物までの第1距離表記63と、当該第1距離表記63に対応する標識とを含むように表示データ62を生成する。また、表示データ生成部46は、第1の実施形態と同様に、第1撮影データ60と計測データとに基づいて、障害物から壁までの第2距離表記64と、当該第2距離表記64に対応する標識とを含むように表示データ62を生成する。
【0152】
更に、表示データ生成部46は、第3の実施形態では特に、第1撮影データ60に基づいて、画像上の障害物や壁などの非作業対象までの大まかな位置情報を特定し、また、計測データから特定した非作業対象の位置情報が、第1撮影データ60の大まかな位置情報の何れに対応するかを判断することで、第1撮影データ60の画像上における当該非作業対象の表示位置を特定する。このとき、表示データ生成部46は、連続的な当該非作業対象を検出することで壁などの非作業対象を検出し、検出した壁の位置情報に基づいて、壁などの非作業対象と床などの作業対象との境界を判断すると共に、当該境界の表示位置情報を特定する。なお、表示データ生成部46は、連続的な当該非作業対象を検出することで障害物を検出し、検出した障害物の位置情報に基づいて、障害物と床との境界を判断すると共に、当該境界の表示位置情報を特定してもよい。
【0153】
表示データ生成部46は、
図21に示すように、表示データ62の画像において、壁と床との境界に対応する表示位置に境界線68を重ねるように表示データ62を編集する。例えば、表示データ生成部46は、スーパーインポーズなどの技術を利用して、境界線68を表示データ62に重畳するとよい。なお、
図21では、自律走行作業装置2が暗い作業エリアで自動走行清掃を実行中に撮影した第1撮影データ60に基づいて生成した表示データ62を示す。ここで、表示データ生成部46は、境界線68が壁と床との境界であることを識別できるような表示形式(例えば、破線や点滅など)で境界線68を表示させるとよく、表示データ62がモノクロの第1撮影データ60に基づいている場合には、境界線68を赤青緑などの原色の表示形式で表示させることにより、壁や床と識別可能にするとよい。なお、表示データ生成部46は、表示データ62の画像において、障害物と床との境界に対応する表示位置に境界線68を重ねるように表示データ62を編集する。ここで、表示データ生成部46は、境界線68が障害物と床との境界であることを識別できるような表示形式(例えば、鎖線や点滅など)で境界線68を表示させるとよく、表示データ62がモノクロの第1撮影データ60に基づいている場合には、境界線68を原色の表示形式で表示させることにより、障害物や床と識別可能にするとよい。
【0154】
次に、第3の実施形態の走行作業情報処理システム1において自律走行作業装置2が暗い作業エリアで自動走行清掃を実行中に表示データ62を生成する動作例を、
図22のフローチャートを参照しながら説明する。なお、自律走行作業装置2の動作は、
図13に示す第1の実施形態の動作と同様であり、管理サーバ3の動作は、
図14(b)および
図14(c)に示す第1の実施形態の動作と同様であり、操作端末4の動作は、
図15に示す第1の実施形態の動作と同様であるので、これらの動作の説明は省略する。換言すれば、第3の実施形態において、管理サーバ3は、
図14(a)に示す動作に代えて、
図22に示す動作をおこなう。
【0155】
自動走行清掃を実行中の自律走行作業装置2において、第1撮影部15が撮影した第1撮影データ60および計測部13が計測した計測データを管理サーバ3へと送信すると(
図13のステップS12)、第3の実施形態の動作例では、
図22のステップAに移行する。
【0156】
管理サーバ3は、自律走行作業装置2から第1撮影データ60および計測データを受信すると(
図22のステップS71)、第1撮影データ60および計測データに基づいて表示データ62を生成する(
図22のステップS72)。なお、第1撮影データ60および計測データにおいて、環境地図に存在しない未知の障害物が検出された場合には、管理サーバ3は、自律走行作業装置2から当該障害物までの第1距離表記63や、当該障害物から壁までの第2距離表記64を含む表示データ62を生成することになる。また、管理サーバ3は、第1撮影データ60および計測データに基づいて壁と床との境界を検出した場合(
図22のステップS73:Yes)、当該境界に対応する境界線68を追加するように表示データ62を編集する(
図22のステップS74)。管理サーバ3は、生成した表示データ62を操作端末4へと送信する(
図22のステップS75)。
【0157】
このとき、動作例では
図15のステップBに移行し、操作端末4は、管理サーバ3から受信した境界線68を含む表示データ62を遠隔操作画面70に画面表示することになる(
図15のステップS32)。
【0158】
上記のように、第3の実施形態によれば、走行作業情報処理システム1では、管理サーバ3において、サーバ側制御部40は、計測部13による自律走行作業装置2から非作業対象までの計測結果と、第1撮影部15により撮影した第1撮影データ60とに基づいて、壁と床との境界を判断し、表示データ62の画像において境界に対応する表示位置に境界線68を重ねて編集する。
【0159】
このような構成により、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2が暗い作業エリアで自動走行清掃を行う場合であっても、壁と床との境界線68を表示した表示データ62を操作端末4に表示することで、操作者は、自律走行作業装置2が走行可能な床面FLを容易に把握することでき、走行の安全性を向上すると共に、操作者の利便性を向上することができる。なお、表示データ62の元となる第1撮影データ60が、補助照明を用いて撮影された場合や、暗視カメラの第1撮影部15で撮影された場合でも、境界線68が重畳されることで、壁と床との境界が見易くなる。例えば、壁と床との境界線68に沿って自律走行作業装置2を走行させることで、清掃漏れをなくすことができる。また、第3の実施形態では、暗い作業エリアでの表示データ62でも、自律走行作業装置2から障害物までの第1距離表記63や、障害物から壁までの第2距離表記64を表示するので、作業者は、障害物を見落とすことなく、障害物を回避する遠隔操作を行うことができる。更に、学習モードでは、作業者は、操作端末4の遠隔操作画面70を参照しながら遠隔操作する際に、壁と床との境界線68を確認しながら、自律走行作業装置2の学習走行清掃を行うことができる。
【0160】
なお、上記した実施形態では、走行作業情報処理システム1は、自律走行作業装置2と操作端末4との間で、管理サーバ3を介して各種データを通信する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、走行作業情報処理システム1は、管理サーバ3の有する機能を自律走行作業装置2または操作端末4が有することにより、
図1(b)に示すように、管理サーバ3を備えずに構成されてもよい。
【0161】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う走行作業情報処理システムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明は、自律的に走行し自動で作業する自動走行作業を実行可能な自律走行作業装置によって、ショッピングモールなどの商業施設の床面の清掃作業や、工場、鉄道ターミナルなどの作業エリアの自動作業を行う、自動床面洗浄・清掃装置やカメラで監視を行う警備装置などの産業用(業務用)作業ロボットを備えた走行作業情報処理システムに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0163】
1 走行作業情報処理システム
2 自律走行作業装置
3 管理サーバ
4 操作端末
11 走行部
12 清掃部(作業部)
13 計測部
15 第1撮影部
20 装置側制御部
22 装置側通信部
34 再現制御部
35 遠隔操作制御部
40 サーバ側制御部
42 サーバ側通信部
45 装置端末間紐付部
46 表示データ生成部
47 遠隔操作命令部
48 減速命令部
50 端末側制御部
52 端末側通信部
53 表示部
57 表示制御部
58 操作入力部
60 第1撮影データ
62 表示データ
63 第1距離表記
64 第2距離表記
68 境界線
70 遠隔操作画面