(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023148341
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】紫外線照射装置及び紫外線照射システム
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20231005BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A01K13/00 F
A61L2/10
A01K13/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022056296
(22)【出願日】2022-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】田坂 圭次郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 則雅
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD11
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて紫外線の照射を実行可能な紫外線照射装置及び紫外線照射システムを提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、紫外線照射装置は、光源と、検出部と、制御部と、を備える。光源は、紫外線を照射する。検出部は、飼育動物に関する情報を検出する。制御部は、検出された情報に基づいて飼育動物に関する状態を判定し、判定された状態に応じて光源による紫外線の照射を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を照射する光源と;
飼育動物に関する情報を検出する検出部と;
前記検出された情報に基づいて前記飼育動物に関する状態を判定し、前記判定された状態に応じて前記光源による紫外線の照射を制御する制御部と;
を備える、
紫外線照射装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記飼育動物と、前記飼育動物とは異なる動物との間の近接度に基づいて、前記飼育動物に関する状態を判定する、
請求項1に記載の紫外線照射装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記飼育動物による所定の行動に基づいて、前記飼育動物に関する状態を判定する、
請求項1記載の紫外線照射装置。
【請求項4】
前記所定の行動は、排泄のための予備行動を含む、
請求項3記載の紫外線照射装置。
【請求項5】
紫外線を照射する光源と;
飼育動物に関する情報に基づいて前記飼育動物に関する状態を判定し、前記判定された状態に応じて前記光源による紫外線の照射を制御する制御部と;
を備える、
紫外線照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、紫外線照射装置及び紫外線照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
治療室内にペットを収容した状態で紫外線を照射することで、ペットに付着した細菌やウイルス等を殺菌する装置が知られている。このような装置では、ペットの行動を制限することなく、ペット及びペットの周囲の状態に応じて紫外線の照射を実行することが求められている。また、牛舎や鶏舎等の畜舎内で感染の拡大を防止できるように、家畜及び家畜の周囲の状態に応じて、紫外線の照射を実行することが求められている。すなわち、飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて紫外線の照射を実行することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6788761号公報
【特許文献2】特開2022-36703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて紫外線の照射を実行可能な紫外線照射装置及び紫外線照射システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、紫外線照射装置は、光源と、検出部と、制御部と、を備える。光源は、紫外線を照射する。検出部は、飼育動物に関する情報を検出する。制御部は、検出された情報に基づいて飼育動物に関する状態を判定し、判定された状態に応じて光源による紫外線の照射を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて紫外線の照射を実行可能な紫外線照射装置及び紫外線照射システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る紫外線照射システムが使用される空間の一例を示す図。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る紫外線照射装置の一例を示すブロック図。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る紫外線照射システムにおける紫外線照射の制御動作の一例を示すフローチャート。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係る紫外線照射システムにおける紫外線照射の制御動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施形態の紫外線照射装置(10)は、光源(11)、検出部(12)、及び制御部(13)を備える。光源(11)は、紫外線を照射する。検出部(12)は、飼育動物(A)に関する情報を検出する。制御部(13)は、検出された情報に基づいて飼育動物(A)に関する状態を判定し、判定された状態に応じて光源(11)による紫外線の照射を制御する。これにより、紫外線照射装置(10)は、飼育動物(A)の行動を制限することなく、飼育動物(A)の状態、及び飼育動物(A)の周囲の状態に応じて紫外線照射を実行することができる。このため、飼育動物(A)に対する紫外線の照射を汎用的に実行することができる。
【0009】
実施形態の紫外線照射装置(10)では、制御部(13)は、飼育動物(A)と、飼育動物(A)とは異なる動物(B,C)との間の近接度に基づいて、飼育動物(A)に関する状態を判定する。これにより、例えば、人間(B)が帰宅した際や、人間(B)又は動物(C)と飼育動物(A)との距離が閾値未満になった際等、近接度が高い状態になると、制御部(13)は、光源(11)から、飼育動物(A)を含む領域又は飼育動物(A)と近接した他の動物(B,C)を含む領域に紫外線を照射させることができる。このため、飼育動物(A)と、動物(B,C)との間における細菌やウイルス等の感染を抑制できる。
【0010】
実施形態の紫外線照射装置(10)では、制御部(13)は、飼育動物(A)による所定の行動に基づいて、飼育動物(A)に関する状態を判定する。これにより、飼育動物(A)が所定の行動を行うと、制御部(13)は、光源(11)から、飼育動物(A)による所定の行動に起因して発生する物を含む領域に紫外線を照射させることができる。このため、飼育動物(A)の行動により生じる物を介した細菌やウイルス等の拡散を防止することができる。
【0011】
実施形態の紫外線照射装置(10)では、所定の行動は、排泄のための予備行動を含む。これにより、飼育動物(A)が排泄のための予備行動を行うと、制御部(13)は、光源(11)から、飼育動物(A)による予備行動に起因して発生する排泄物を含む領域に紫外線を照射させることができる。このため、飼育動物(A)の排泄物を介した細菌やウイルス等の拡散を防止することができる。
【0012】
実施形態の紫外線照射システム(1)は、光源(11)及び制御部(13)を備える。光源(11)は、紫外線を照射する。制御部(13)は、飼育動物(A)に関する情報に基づいて飼育動物(A)に関する状態を判定し、判定された状態に応じて光源(11)による紫外線の照射を制御する。これにより、紫外線照射システム(1)は、飼育動物(A)の行動を制限することなく、飼育動物(A)の状態、及び飼育動物(A)の周囲の状態に応じて紫外線照射を実行することができる。このため、飼育動物(A)に対する紫外線の照射を汎用的に実行することができる。
【0013】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
なお、以下に示す実施形態に係る紫外線照射装置、紫外線照射システムにおいては、紫外線を照射対象物(例えば、細菌やウイルス等が少なくとも1つ以上付着している汚染箇所)に照射することで、照射対象物を殺菌、もしくは除菌もしくは滅菌することが可能である。また、以下の実施形態においては殺菌を例に用いて説明を行うが、「殺菌」の用語は、「滅菌」ないし「除菌」に置き換えることが可能である。なお、本実施形態に係る紫外線照射装置、紫外線照射システムにおいては、紫外線を、細菌やウイルス等が存在する虞がある箇所や、この先細菌やウイルス等が侵入してくる虞がある箇所を照射対象物として照射してもよい。また、本実施形態においては、照射対象物は「物」でなくてもよく、例えば、空気などの「気体」や、水などの「液体」であってもよい。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る紫外線照射システムが適用されるシステム空間の一例を示す図である。システム空間R1は、紫外線照射システム1が機能する(紫外線照射システム1が備える紫外線照射装置から紫外線が照射される)空間である。システム空間R1は、例えば、一般家庭の部屋のように周囲を壁等で囲まれた閉空間である。システム空間R1は、例えば、牛舎や鶏舎のように周囲の一部又は全部が壁等で囲まれていない開空間であってもよい。
【0016】
システム空間R1内には、飼育空間R2が設けられる。飼育空間R2は、飼育動物Aが飼育される空間である。例えば、飼育空間R2は、ケージのように、飼育空間R2の外における飼育動物Aの行動を制限する機能を有する空間であってもよい。また、例えば、飼育空間R2は、牛舎や鶏舎のように、複数の飼育動物Aを収容可能な空間であってもよい。飼育空間R2は、システム空間R1の一部であってもよいし、全部であってもよい。
【0017】
飼育動物Aは、人間によって飼育可能な、人間を除く任意の動物である。例えば、飼育動物Aは、ペットとして飼育される動物、家畜として飼育される動物、及び動物園のような施設で飼育される動物を含む。
【0018】
また、システム空間R1内には、飼育空間R2の内外を問わず、人間B、及び動物Cが存在し得る。人間Bとしては、例えば、飼育動物Aの飼育者、及び動物園における客等が挙げられる。動物Cは、飼育空間R2で飼育されていない、人間を除く任意の動物である。人間B及び動物Cは、システム空間R1に自由に出入りできる。
【0019】
人間B及び動物Cは、細菌やウイルス等が付着した状態で、システム空間R1内に入り得る。飼育動物Aは、人間B及び動物Cによって持ち込まれた細菌やウイルス等に感染する可能性がある。また、何らかの要因で細菌やウイルス等に感染した飼育動物Aは、自身又は自身の排泄物等を媒介として、他の飼育動物Aを感染させる可能性がある。システム空間R1内でこのような感染の可能性が高い状態が発生した場合、飼育動物A、及び飼育動物Aの周辺は、速やかに殺菌されることが好ましい。
【0020】
このような殺菌処理を適切に実行するため、システム空間R1内には、紫外線照射システム1が設けられる。紫外線照射システム1は、飼育動物A、及び飼育動物Aの周囲の状態に応じて、紫外線の照射を制御する。紫外線照射システム1は、光源11、検出部12、及び図示せぬ制御部を備える。
【0021】
図1では、紫外線照射システムの構成の例として、2種類の態様が示される。
図1(A)に示されるように、紫外線照射システム1に含まれる光源11及び検出部12は、1個の筐体内に設けられていてもよい。
図1(B)に示されるように、紫外線照射システム1に含まれる光源11及び検出部12の各々は、互いに異なる筐体内に設けられていてもよい。
【0022】
図2は、第1実施形態に係る紫外線照射システムの構成の一例を示すブロック図である。紫外線照射システム1は、紫外線照射装置10を備える。
【0023】
図2(A)及び
図2(B)はそれぞれ、
図1(A)及び
図1(B)に対応する。
図2(A)に示されるように、紫外線照射システム1に含まれる紫外線照射装置10は、光源11、検出部12、及び制御部13を備えていてもよい。
図2(B)に示されるように、紫外線照射システム1に含まれる紫外線照射装置10は、光源11及び制御部13を備えており、検出部12を備えていなくてもよい。この場合、紫外線照射システム1の検出部12は、システム空間R1内の任意の場所(例えば、天井、壁面、飼育空間R2に据付けなど)に配設される。
【0024】
光源11は、紫外線を照射するように構成された発光体である。光源11は、非LED(Light Emitting Diode)のランプであってもよく、LEDであってもよい。非LEDのランプである場合、光源11は、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等であってもよい。光源11からは、UV-Cに分類される紫外線が照射される。具体的には、例えば、光源11は、殺菌力の高い紫外線を照射し得る。殺菌力の高い紫外線の例としては、例えば、254ナノメートル(nm)を主波長とする紫外線が挙げられる。また、例えば、光源11は、動物への影響が少ない紫外線を照射し得る。動物への影響が少ない紫外線の例としては、222nmを主波長とする紫外線が挙げられる。光源11による紫外線の照射範囲は、例えば、システム空間R1に対応する。なお、光源11による紫外線の照射範囲は、例えば、飼育空間R2に対応する。具体的には、光源11は、飼育空間R2内の、現在飼育動物Aが滞在している場所に紫外線を照射する。または、光源11は、飼育空間R2の全域に紫外線を照射する。これらの場合、光源11が照射する紫外線は、例えば、漏れ光として、飼育空間R2外部のシステム空間R1に照射されてもよい。
【0025】
検出部12は、例えば、カメラを含む。検出部12は、システム空間R1における、飼育動物Aに関する情報(飼育動物Aに影響を与える虞がある要素に関する情報)や、飼育空間R2近傍の情報を検出する。検出部12による情報の検出範囲は、例えば、システム空間R1に対応する。飼育動物Aに関する情報とは、例えば、カメラによって撮影されたシステム空間R1内の撮影データのうち、飼育動物Aに関する画像及び映像である。飼育動物Aに関する情報は、飼育動物Aが映っている画像及び映像であってもよいし、飼育動物Aが映っていない画像及び映像であってもよい。飼育動物Aが映っていない画像及び映像の例としては、人間B又は動物Cが映っている画像及び映像が挙げられる。検出部12は、検出した情報を制御部13に送信する。
【0026】
制御部13は、プロセッサ、及び記憶媒体を含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。制御部13は、記憶媒体に記憶されるプログラムを実行することにより、検出部12から受信した情報に基づいて飼育動物Aに関する状態を判定し、判定された状態に応じて光源11による紫外線の照射を制御する。
【0027】
具体的には、例えば、制御部13は、飼育動物Aと、人間B又は動物Cとの間の近接度に基づき、飼育動物Aに関する状態を判定する。制御部13は、判定された状態に応じて光源11による紫外線の照射を制御する。
【0028】
ここで、近接度は、例えば、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の距離に基づいて判定される。例えば、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の距離が所定の距離未満(以下)の場合、制御部13は、近接度が高いと判定する。例えば、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の距離が所定の距離以上(より大きい)の場合、制御部13は、近接度が低いと判定する。近接度が高いと判定された場合、制御部13は、飼育動物Aを含む領域、又は飼育動物Aに近接した人間B又は動物Cを含む領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。紫外線を照射する領域は、飼育動物A、及び飼育動物Aに近接した人間B又は動物Cのいずれも含む領域であってもよい。一方、近接度が低いと判定された場合、制御部13は、紫外線を照射しないように光源11を制御する。
【0029】
なお、制御部13は、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の距離に基づくことなく近接度を評価してもよい。例えば、制御部13は、人間B又は動物Cがシステム空間R1内に入ってきたことをトリガとして、近接度が高いと判定してもよい。システム空間R1が飼育者である人間Bの家であり、外から人間Bが家に帰ってきた場合などが、具体的なケースとして想定される。この場合、検出部12は、明るさセンサであったり、音センサであったりしてもよい。検出部12が明るさセンサの場合は、システム空間R1の電気を点灯したことや、システム空間R1へのドアを開いて外の明かりが取り込まれたことに基づいて、人間Bがシステム空間R1内に入ってきたと判断される。検出部12が音センサの場合は、人間Bの足音や話し声に基づいて、人間Bがシステム空間R1内に入ってきたと判断される。検出部12が明るさセンサの場合は、検出部12はシステム空間R1のドアの近傍に配設されることが好ましい。検出部12が音センサの場合は、検出部12は飼育空間R2の近傍に配設されることが好ましい。
【0030】
以上のような構成により、飼育動物Aに付着した細菌やウイルス等が、人間B又は動物Cに感染する前に、殺菌処理を行うことができる。また、人間B又は動物Cに付着した細菌やウイルス等が、飼育動物Aに感染する前に、殺菌処理を行うことができる。
【0031】
図3は、第1実施形態に係る紫外線照射システムにおける紫外線照射の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0032】
システム空間R1内に人間B又は動物Cが入ると(開始)、検出部12は、飼育動物Aに関する情報を検出する(S11)。具体的には、検出部12は、飼育動物Aに対する人間B又は動物Cの位置に関する情報を検出する。検出部12が、システム空間R1のドアの近傍に配設された明るさセンサの場合は、例えば、検出部と、飼育空間R2と、の距離が検出される、または、明るさセンサが動作したかどうかが検出される(共に固定値)。検出部12が、飼育空間R2の近傍に配設された音センサの場合は、例えば、音源(人の位置)と、飼育空間R2と、の距離が検出される(可変値)。
【0033】
制御部13は、S11の処理で検出された情報に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する(S12)。具体的には、制御部13は、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の近接度に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。
【0034】
飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、が近接した状態であると判定された場合、(S12;yes)、制御部13は、飼育動物Aを含む領域、又は飼育動物Aと近接した人間B又は動物Cを含む領域に対して紫外線を照射するように光源11を制御する(S13)。S13の処理において、制御部13は、動物への影響が少ない紫外線を照射するように光源11を制御する。なお、S11の処理で検出された情報が固定値の場合は、その情報に基づいて判定した結果は、S13側に分岐するように構成する必要がある。
【0035】
飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、が近接した状態でないと判定された場合、(S12;no)、制御部13は、光源11による紫外線の照射を停止させる(S14)。光源11が紫外線を照射していない場合、制御部13は、光源11に、紫外線照射の停止状態を維持させる。
【0036】
S13の処理又はS14の処理が終了すると、紫外線照射システム1による紫外線照射の制御動作は終了となる(終了)。
【0037】
第1実施形態によれば、制御部13は、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の近接度に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。近接度が高いと判定された場合、制御部13は、飼育動物Aに近接した人間B又は動物Cに対して、光源11から紫外線を照射させる。これにより、人間B又は動物Cに付着している細菌やウイルスが飼育動物Aに感染することを抑制できる。したがって、飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて、適切に紫外線の照射を実行することができる。
【0038】
(第2実施形態)
第1実施形態では、制御部13が、飼育動物Aと、人間B又は動物Cと、の間の近接度に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する場合について説明したが、これに限られない。以下では、第1実施形態とは異なる構成及び動作について主に説明する。第1実施形態と同等の構成及び動作については、適宜説明を省略する。
【0039】
制御部13は、飼育動物Aによる所定の行動に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定してもよい。飼育動物Aによる所定の行動の例としては、飼育動物Aの排泄のための予備行動、及び飼育動物Aの毛が抜ける行動等が挙げられる。
【0040】
まず、飼育動物Aによる所定の行動が、飼育動物Aの排泄のための予備行動である場合について説明する。
【0041】
この場合、制御部13は、飼育動物Aが排泄のための予備行動を行ったか否かに基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。例えば、制御部13は、検出部12からの情報に基づき、飼育動物Aの行動が、制御部13に予め記憶された行動と合致するか否か、又は類似するか否かを判定することにより、飼育動物Aに関する状態を判定する。排泄のための予備行動とは、実際に排泄物が排泄されるまでに習慣的に飼育動物Aが行う行動である。排泄のための予備行動の具体例としては、例えば、飼育動物Aがトイレと認識する領域に入る行動、及び飼育動物Aが排泄を行う領域の周りを何度も回る行動等が挙げられる。飼育動物Aが排泄のための予備行動を行ったと判定された場合、制御部13は、予備行動に起因して排泄物が発生する領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。一方、飼育動物Aが排泄のための予備行動を行わなかったと判定された場合、制御部13は、紫外線を照射しないように光源11を制御する。
【0042】
なお、制御部13は、予備行動の後、実際に排泄が行われたか否かを更に判定してもよい。飼育動物Aが排泄を行ったと判定された場合、制御部13は、紫外線の照射が人為的に解除されるまで、排泄物が存在する領域に対する紫外線の照射を継続するよう、光源11を制御してもよい。また、制御部13は、排泄物が存在する領域に対する紫外線の照射が行われていることを、紫外線照射システム1の管理者に通知してもよい。
【0043】
なお、検出部12は、カメラに加えて、臭気センサを有していてもよい。検出部12の臭気センサは、飼育動物Aに関する情報として、システム空間R1内の臭気を検出する。検出部12は、検出された臭気情報を、制御部13に送信する。これにより、制御部13は、カメラからの画像及び映像情報に加えて、臭気センサからの臭気情報に基づき、実際に排泄が行われたか否かを判定することができる。
【0044】
次に、飼育動物Aによる所定の行動が、飼育動物Aの毛が抜ける行動である場合について説明する。
【0045】
この場合、制御部13は、飼育動物Aが毛の抜ける行動を行ったか否かに基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。毛の抜ける行動の具体例としては、例えば、毛繕い、身震い、及び所定の速度以上での移動等が挙げられる。飼育動物Aが毛の抜ける行動を行ったと判定された場合、制御部13は、毛の抜ける行動に起因して抜け毛が発生する領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。具体的には、例えば、飼育動物Aが毛繕いや身震い等の行動を行った場合、制御部13は、飼育動物Aが毛繕いや身震い等の行動を行った領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。また、例えば、飼育動物Aが所定の速度以上での移動を行った場合、制御部13は、飼育動物Aが所定の速度以上で移動した経路を含む領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。一方、飼育動物Aが毛の抜ける行動を行わなかったと判定された場合、制御部13は、紫外線を照射しないように光源11を制御する。
【0046】
また、制御部13は、図示せぬ空調機器に対して、所定の送風制御を実行させてもよい。所定の送風制御とは、例えば、毛の抜ける行動によって発生した抜け毛を、抜け毛が落ちた場所によらず、システム空間R1内の所定の領域に移動させるように送風する制御である。そして、制御部13は、送風によって抜け毛が集まる領域に紫外線を照射するように光源11を制御する。この場合、紫外線の照射される領域は、毛の抜ける行動が行われた場所によらず、固定される。
【0047】
なお、抜け毛の量は、季節に応じて変化し得る。制御部13は、季節の変化に応じて、紫外線を照射する場合における紫外線照射量を変化させるように光源11を制御してもよい。具体的には、制御部13は、抜け毛が多い季節では、光源11による紫外線照射量を多くしたり、毛の抜ける行動としての所定の速度以上での移動について、所定の速度を遅い速度に設定したり、してもよい。制御部13は、抜け毛が少ない季節では、光源11による紫外線照射量を少なくしたり、毛の抜ける行動としての所定の速度以上での移動について、所定の速度を早い速度に設定したり、してもよい。
【0048】
以上のような構成により、細菌やウイルス等が飼育動物Aの排泄物や抜け毛を介して他の飼育動物Aに感染する前に、殺菌処理を行うことができる。
【0049】
図4は、第2実施形態に係る紫外線照射システムにおける紫外線照射の制御動作の一例を示すフローチャートである。
【0050】
飼育動物Aが行動を行うと(開始)、検出部12は、飼育動物Aに関する情報を検出する(S21)。具体的には、検出部12は、飼育動物Aの行動に関する情報を検出する。
【0051】
制御部13は、S21の処理で検出された情報に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する(S22)。具体的には、制御部13は、飼育動物Aが所定の行動を行っているか否かに基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。
【0052】
飼育動物Aが所定の行動を行っている状態であると判定された場合、(S22;yes)、制御部13は、飼育動物Aが行った所定の行動に起因して発生する排泄物や抜け毛等の物がある領域に対して、紫外線を照射するように光源11を制御する(S23)。飼育動物Aが当該領域にとどまっている場合、S23の処理において、制御部13は、動物への影響が少ない紫外線を照射するように光源11を制御する。飼育動物Aが当該領域にとどまっていない場合、S23の処理において、制御部13は、殺菌力の高い紫外線を照射するように光源11を制御する。
【0053】
飼育動物Aが所定の行動を行っている状態でないと判定された場合、(S22;no)、制御部13は、光源11による紫外線の照射を停止させる(S24)。光源11が紫外線を照射していない場合、制御部13は、光源11に、紫外線照射の停止状態を維持させる。
【0054】
S23の処理又はS24の処理が終了すると、紫外線照射システム1による紫外線照射の制御動作は終了となる(終了)。
【0055】
第2実施形態によれば、制御部13は、飼育動物Aによる所定の行動に基づいて、飼育動物Aに関する状態を判定する。飼育動物Aが所定の行動を行っていると判定された場合、制御部13は、当該所定の行動に起因して排泄物や抜け毛等の物が発生する領域に対して、光源11から紫外線を照射させる。これにより、細菌やウイルス等が、飼育動物Aの排泄物や抜け毛を介して他の飼育動物Aに感染することを抑制できる。したがって、飼育動物、及び飼育動物の周囲の状態に応じて、適切に紫外線の照射を実行することができる。
【0056】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
1…紫外線照射システム、10…紫外線照射装置、11…光源、12…検出部、13…制御部、R1…システム空間、R2…飼育空間、A…飼育動物、B…人間、C…動物。